重機ファン・カラーコーンいらず? 重い防御柵をジッパーみたいに一気に移動させることが可能な「ロードジッパー」
2017年8月4日
ジッパーみたいに防御柵を移動させる。
青木無常でございますよん。
道路工事の工事帯って、工事施工箇所のみならず、重機や道具を積載した車両、工事帯全体を防御するための道具等を載せた車両も含めて囲ってしまってるので、宿命的にどんな小さな工事でも範囲はけっこう巨大です。
そんな工事帯 = 規制帯を形成する、もっとも重要な要素として、カラーコーンというものがある。
あのカラーコーンというシロモノ、工事開始時に設置して工事終了時(たいていは道路が混雑し始めるかなり前の時間帯)には撤去しなければならない関係上、人間が簡単に持ち運びできる大きさ・重量のものに過ぎない。
ということは…自動車みたいな巨大で重いものが体当たりをかませば、簡単にすっ飛んでしまう程度の脆弱なシロモノにほかなりません。
「ここに侵入しちゃイケナイよ」という双方合意が成り立っている上での単なる「標示」としての仕切りに過ぎないので…突っ込んでくる車両に対する物理的・実質的な防御力は皆無に近いモノなんです。
そんな、実は脆弱きわまる仕切りを、コンクリート製の頑丈な「防御柵」にできないものか?
…という工事関係者にとっては長年の懸案を、ある程度は解決可能なおもしろい重機が出現したのでございますよ。
その名は「ロードジッパー」!
重くて頑丈なコンクリート製の「防御策」を、名前どおりジッパーみたいに短時間で右から左に移動させることのできる「システム」なのでございます。
ソース:トラベル Watch 2016/3/29 20:40
NEXCO東日本、コンクリート防護柵をジッパーのように移動するマシンを公開
http://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/750615.html
この「ロードジッパー」というものがどういうものなのかというと。規制を伴う高速道路本線工事において侵入事故防止や規制作業の効率化のため
に導入された「移動式防御柵」。
上にも記載したとおり、現状の道路工事においてはカラーコーン(ニュース記事中では「ラバーコーン」と称されていますが初めてきいた言葉だ)を人力で1個ずつおいて規制帯を形成していく形をとっています。
設置・撤去時はもちろん、時間帯によって規制帯を広げたり縮めたりする場合でもその都度その都度、人力で移動させることしかできないわけです。
さらにこのカラーコーン及びそれを補助するバリケード等も、さきに申し上げたとおり、車が突っ込んで跳ね飛ばせば物理的には簡単に突破できてしまう程度の、脆弱なシロモノにすぎない。
バリケードが設置されていなければ、置き方によってはコーンとコーンの間に充分な間隔が開いてしまっている場合もままあるので、勘違いした車両がそこから誤進入してしまうことも実際よく起こり得る事態です。
もちろん規制帯 = 工事帯内部では作業員がうろついてるし穴とか掘ってあったりすることもある。
そんなところに車両が侵入してきたら作業員も侵入した車両もきわめて危険。
そんな状態を回避するためには、もっと強固で、たとえ大型車両が誤って突っ込んできても突破できないような頑丈なもので囲ってしまう必要があるわけです。
その必要に応えて開発されたのが、この「ロードジッパー」というシステムなのだそうです。
具体的にどういうシロモノなのかは、動画をご覧いただければわかりやすい。
NEXCO東日本が試験導入する移動式防護柵「Road Zipper System」 - トラベル Watch
ご覧の通り、機構としてはきわめて単純。
電車を思わせる箱型の走行重機が、重量はあるもののブロック化された「防御策」をジッパーのように右から左へ(もちろんその逆も)順に移動させていくという、ただそれだけのシロモノ。
ただ、時間帯によって強固で頑丈な重量物を移動させて車線を増加・減少させるにはきわめて簡便。
私が最初に見た「ロードジッパー」の動画はゴールデンゲートブリッジで運用されているものらしかったのですが、情報をさがしてみたものの、あまりくわしいものは見つからなかった。
情報としてはこういう記事がありましたがね。
ソース:また行きたいな! ハワイ島 2016-09-02 05:59:03
ゴールデン・ゲート・ブリッジ ロード・ジッパー (7/20)
http://blog.goo.ne.jp/mataikitaina/e/a1fc5f482e29ec3c2e168b8fef36612b
どうやら時間帯によって「中央線」を移動させる役を担っているのではないか、ということでまちがいなさそうです。
最初に発見した動画も、そういう感じの動きかたをしていましたからネ。
参考リンク:Golden Gate Bridge Road Zipper in action at the tail end of its morning run
朝方と夕方で中央線の位置が変更される道路というのはおそらく日本中にあるのではないかと思いますけど、交通状況によって上り下りの交通量は変化するので、定期的に中央線を移動できるシステムがあれば確かに便利。
現状、こういう特殊な道路区分は二重に路上に車線を敷設し、灯火や頭上の道路標識によって有効な区分はどれかを標示する、というような方法をとっているようですが。
正直、よく通る道路ならともかく、初めていくようなところだとかなりわかりにくい。
でも、中央線そのものが物理的な仕切りになっていて、しかも時間帯によって適切な場所に移動するような機構に最初からなっていれば、誤解のしようもありませんし相対的に事故の減少も期待できる。
最初、ゴールデンゲートブリッジの動画を見て私が想像したのはこれでした。
この「ロードジッパー」、アイディアも名称も、動画そのものもおもしろかったし、柵を移動している電車みたいな機械もおもしろかったので「これは重機ファンで紹介できるな」とほくそ笑んだのでござんす。(`▽´)
まあロードジッパーで検索してみて日本語として出てきた情報は、私の想像とはややおもむきのちがう「規制帯」の移動システムでしたが。
実際、世界では中央線の移動システムとしても稼働しているみたいなので、まあ日本ではそういう用途ではまだ使われていないっぽいってだけのことのようです。
ソース:ニコニコ解析(γ) 2016年06月28日 10時45分
移動可能型分離帯ブロック&ロードジッパー・システム
http://www.nicovideo.me/watch/sm29138265
あと、こんな堅牢な防御柵で囲われてたら、工事車両どこから出し入れするのかとかそういう部分も疑問に感じるけど、たぶん、ところどころ隙間があるんだろうなと想像はできる。
もしこの「ロードジッパーシステム」目撃したことがあるよとおっしゃる場合は、ぜひにも情報や感想などいただけると幸いでございます。
アイディアとビジュアルが激しくおもしろいので強引に紹介本日はこのへんで。
最後まで読んでくれてありがとう。
それでは、また~(^_^)/~~
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