断腸亭日常日記 2020年 4−5月

−−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−

por 斎藤祐司


 4月28日(火) 曇一時雨 10425

 早朝目が覚めた。水を飲み、ディランの『廃墟の街』を聴く。北斎は、朝起きると毎日絵を描いていた。それが、鬼の絵だった何かで、それから1日が始まるという。『サピエンス全史』を書いた、ユヴァル・ノア・ハラリは、朝起きると、2時間瞑想するという。人は、何かそういう習慣が必要なのかもしれない。と思い、阿字観をすることにした。最近やっていなかったが、いつもはディランの『運命のひとひねり』を聴きながら30分弱やる。やり始めると、うっすらと額に汗が出る。本来は、空海の真言密教の瞑想法だが、瞑想なんて俺は出来ない。呼吸法と考えてやっている。これをすると、なんとなくスッキリする。それだけで、良いのだ。やっていれば、瞑想できるようになるかもしれない。

 イタリア、スペインでは、外出禁止がゆるくなった。スペインでは、親同伴で子供たちの外出が1時間1キロ以内が認められた。それでドッと人が出た。子供たちの歓声が響いたようだが、ソーシャル・ディスタンシングが守られない状態になっていたようだ。アメリカのニューヨークの感染拡大には、地下鉄の混雑状況があったという研究チームの発表があったという。日本でも相変わらず、朝夕の電車が混んでいるようで、これが無症状の患者を増やしている原因になっていると、考えた方が良いだろう。

 富田靖子が老眼鏡をかけて、ウトウトしている。録画している『スカーレット』を見直していたら、そんなシーンがあった。先日死んだ、大林監督の映画で初めて観た女優が、もう婆さん役で出ている。若かった富田靖子が、婆さんである。それと、小池さん役で出ていた婆さんが、烏丸せつこだった。これもビックリした。あの生意気盛りだった女優ですら、こんなに変わるのかと驚いた。人は年を取るもんだ。そしていつの間にか、自分も年を取ったと感じた。

 世界では、304万2千人の感染者が出、21万1千人が死亡。アメリカは、100万8千人の感染者、5万6千人が死亡。スペインでは、209465人の感染者(前日より減っている)、23521人の死者。ここ3日は、378、288、331人の死者が出た。東京では、ここ3日、103、72、39人の感染者が出て、昨日までの累計で、3947人、なった。全国では、昨日の時点で、172人増え、13613人の感染者、394人の死者。東京の速報は、112人の感染が確認された。やっぱり感染者は多くなった。それでも、日月は、検体数が少ないという。明日はもう少し増えるだろう。


 4月29日(水) 晴 7187

 朝、洗濯をして、長芋、納豆、目玉焼きなどで朝食を取り、スーパーで買い物をした。昼食は、サッポロ一番塩ラーメン。具は、キャベツやもやしなどと、羊肉とご飯。食欲はある。あり過ぎる。これじゃ太るぞ。散歩と阿字観。それに体操をしなきゃ。

 京都の鷹峯。『ブラタモリ』で、タモリが、大徳寺、今宮神社の西側のバス通りを歩いて、「京都へ来るとよく歩くんですよ、ここは」といっていた。森田って表札が多くてと、土塁を見る為に鷹峯まで行った時に、いっていたことがある。鷹峯は、本阿弥光悦が一門の法華宗(日蓮宗)を引き連れて、家康から拝領され移り住んだ土地。あの坂道をバスで行くと、源光庵に突き当たる。左側に光悦寺があり、右に行くと常照寺がある。どちらも法華宗の寺である。光悦寺の斜めむかえにある寺も日蓮宗の寺だ。この寺は哀愁があって好きだ。鷹峯は、春の桜、秋の紅葉の頃に行くと、特に景色が良い。

 常照寺は、本阿弥光悦が建立した。門は吉野門。島原といわれる以前の花街で、有名だった吉野太夫が寄進した門だ。てっきり、身請け後に豪商の金で寄進したものだと思っていたが、調べたら、身請け前の花魁だった時に、寄進したものだということが判った。こんな事をするくらいなら、そのお金で自由の身になれただろうにと思う。しかしそれが、吉野太夫の人柄というか、肝の据わった処なのだろう。身請けを争ったのは、後陽成天皇の息子で、名門貴族の近衛家の当主、近衛信尋(のぶひろ)と、豪商、灰屋紹益(はいやじょうえき)。着物の染料には灰がもちいられ、「紺灰業」を営んでいた。紹益は、本阿弥光悦の縁戚だったという。紹益は、茶の湯、和歌など風雅に夢中で、女遊びも大好き。西鶴の『好色一代男』のモデルともいわれる人。

 結局、紹益が吉野太夫を身請けした。たぶん西陣に、灰屋があったのだろう。そして、法華宗徒でもあったのではないかと思う。鉄砲伝来から、法華宗、鉄砲、財力、はイコールに近い形であったような気がする。これは、1つのテーマである。タモリは、鷹峯で秀吉が造った土塁を観たが、それとは違う、法華宗が見えるのが鷹峯のような気がする。五山送り火で、北山に灯る「妙法」の字は、法華経の「南無妙法蓮華経」から取ったもので、吉野太夫が、法華経こそ女人成仏印文也と、門徒になったという。毎年4月12日に行われていた吉野太夫花供養は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、11月15日に延期になった。

 何だか変なことをスペインはやっているようだ。今まで、抗体検査で陽性になっていた人を、感染者に加算していたのに、それを止めたという。今は、PCR検査で陽性になった人だけを、感染者としてカウントすることにしたという。統計の基本が変わる。どうなっているのだろう。PCR検査の精度は、70%といわれている。70%しか信用できなものだからどうでもいいと思っているのか、抗体検査キッドが信用できなからそういうことになったのか?それと、5月9日までの外出禁止令が、4度目延長されるとメディアが報じているようだ。今まで、延長は15日ずつ伸ばされているようだ。また、子供たちの外出許可で、違反者が続出という。テレビの映像でちょっと観たが、同時に外出できる保護者一人を含め3人まで。マスクやゴム手袋など利用と、他者との距離を置くことが義務付けられ、他の子供と遊ぶことが禁じられていた。つまり、『禁じられた遊び』をした人が多くいたのだ。なるほどスペインだと思った。

 世界では、311万6千人の感染者が出、21万7千人が死亡。アメリカは、103万4千人の感染者、5万8千人が死亡。スペインでは、232128人の感染者、23822人の死者。ここ3日は、288、331、301人の死者が出た。東京では、ここ3日、72、39、112人の感染者が出て、昨日までの累計で、4059人、になった。全国では、昨日の時点で、282人増え、13895人の感染者、413人の死者。東京の速報は、47人の感染が確認された。


 4月30日(木) 晴 11144

 まだ、発表になってなっていないが、政府は、緊急事態宣言を1か月ほど延長するようだ。日本医師会の会長なども延長要望しているし、東京医師会も会見を開いた。こういうのは、おそらく、政府や行政がなかなか動かないから会見を開いて、訴えているのだと思う。

 アベノマスク届きました。取りあえず付けてみたけど、小さい。鼻を隠せばあごが出る。鼻は隠れるけど、隙間がある。それと、ゴムを耳にかけると、引っ張られて、マスクの左右のゴムが付いている部分、ここにも隙間ができる。安心してこのアベノマスクは、付けれる品物ではないことが判る。悲しいなぁ。よんどころなき方のご行為って、こんなもんだったんですね。人気取りのマスク配給は、空腹を和らげる握り飯にもならない。何これって呆れるだけだ。これで税金が460億使われる。ワクチン開発の研究費補助金にして欲しい。お粗末!

 小池都知事がある時、囲み取材中に、「密です。密です」と取材陣に対して、密集状態になったことを注意した。それを観ていた壇蜜が、「あたしのことを呼ばれているのか、思ってしまってドキッとします」と、いっていた。「壇です。蜜です。壇蜜です」。壇蜜も面白いが、都知事も、絶妙なタイミングで、「密です。密です」といったものだ。今なら、スーパーとか密集するところでも使える言葉だ。こういう処が、元WBSキャスターである。

 スペインの感染者数について、EUに合わせる形で、PCR検査の陽性者という風にしたようだ。スペイン独自の、抗体検査で陽性になった人をカウントしなくなった模様だ。また、マドリード市は、10月までフィエスタ禁止を決めたが、これには、サッカーの試合も含まれているという。リーガ・エスパニョーラは、8月下旬から毎年始まるが、どうなるのか不明だ。また、第1四半期の一時解雇は、約58万人で、それ以外の解雇者は、28万6千人で、失業者は331万人、失業率は、14.4%。一時解雇者を含めるともっと上がる。また、25歳以下の若い世代の失業率は、32.99%だという。

 世界では、319万3千人の感染者が出、22万7千人が死亡。アメリカは、106万4千人の感染者、6万1千人が死亡。スペインでは、236899人の感染者、24275人の死者。ここ3日は、331、301、325人の死者が出た。東京では、ここ3日、39、112、47人の感染者が出て、昨日までの累計で、4106人、117人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、224人増え、14119人の感染者、432人の死者。東京の速報は、46人の感染が確認された。


 5月1日(金) 晴 11024

 今日はメーデーだが、デモはない。新型コロナウイルスの影響で、デモをやることは出来ないのだ。そして、八十八夜。夏が近づいてくるのだ。今政府の専門家会議の記者会見が行われている。5月7日以降も緊急事態宣言延長の布石だ。

 最近、自粛警察といわれる人が出て来て、営業している店舗のシャッターに、自粛するように貼り紙したり、パチンコ店に、脅迫電話や無言電話したりする嫌がらせ行為をしているようだ。一方、別にうつってもいいといって、自粛を無視する行動をする人もいる。どちらも気分の良いものではない。他人の行動は、監視するような心理は、健全なことではない。新型コロナウイルス拡大などの期間は、自分を見つめ直す時間と思って過ごした方が良いと思う。そういうことが、コロナ後に役立って行くと思っている。

 「野風 世というのは、万華鏡のようなものではないかと、思うことがありんす。 坂本龍馬 ほーお。 野風 人という玉が、筒の中に入れられており、誰かの手が、それを廻すのでござりんす。ほんの少し廻すだけで、隣り合う玉が変わり、すると、現れる模様がガラリと変わり。浮世の面白さがありんす。 龍馬 その話をいつか、してやってくれんかえ。南方仁に。目に見える模様は違えど、実は中にある玉は、決して変わらんちゅう話を。」――『JIN−仁− レジェンド』より――

 ユーロ圏の第1四半期のGDP(域内総生産)の速報値は、前年比3.8%減だった。死亡者が多い、フランスは、5.8%減。イタリアは、4.7%減。スペインは、5.2%減。ドイツは、1.9%減。ドイツの第2四半期の見通しは、12.2%減。今年は、6.6%に縮小する見通しだという。アメリカの失業申請は、380万人で、6週間で3000万人。農業を除く、1億5000万人のうち、5分の1が失業状態になったという。アメリカ商務省発表の3月の個人消費は、前月比、7.5%減。アメリカ経済の柱の個人消費が深刻な打撃を受けているという。FRBのパウエル議長は、新型コロナウイルスで、マイノリティーや低所得者に失業者が多く、黒人とヒスパニックの労働者が深刻な打撃を受けているという。

 世界では、325万6千人の感染者が出、23万3千人が死亡。アメリカは、109万2千人の感染者、6万3千人が死亡。スペインでは、236899人の感染者、24275人の死者。ここ3日は、301、325、268人の死者が出た。東京では、ここ3日、112、47、46人の感染者が出て、昨日までの累計で、4152人、120人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、188人増え、14305人の感染者、455人の死者。東京の速報は、165人の感染が確認された。

 「新型コロナウイルスで、世界中が苦しんでいます。今、人類がコロナから、突きつけられている課題は3つだと思います。ウイルスは人を介して伝わりますから「ステイホーム」、命と安全を守るために「ステイホーム」が第一。第二は「ステイホーム」をサポートするのは、医療従事者やスーパーで働く皆さん。あるいは市役所の皆さん等のエッセンシャルワーカーです。この人々に、どうように感謝し、サポートするか、これが第二の課題。第三の課題は、「ステイホーム」は収入減を意味しますので、特に社会的弱者に対して、どのように緊急の再分配政策が設計できるか。この3つの課題を全世界のリーダーが競っています。おそらく、ニューノーマルと呼ばれるコロナ後の世界では、政治に対する意識も高まり、投票率が上がると思います。また、皆さんが指摘しているように、テレワークやオンライン授業が、全世界で取り組まれています。ペストがルネサンスを生んだように、コロナウイルスはITリテラシーを高め、政治に対する関心を高め、きっと、新しい世界を招来すると信じています。今人類は、ウイルスに試されています。何を試されているか。それはグローバルな信頼と連帯を、ウイルスに試されているのだと僕は思います。みんなで知恵を出し合って、乗り切りましょう。」 ――「コロナに思う」出口治明 立命館アジア太平洋大学学長 テレビ東京WBSより――


 5月2日(土) 晴 6115

 朝から暑い。朝食は、納豆カレー、昼は、スパゲッティを食べる。今日散歩で、いつものお寺と神社に行く。それから、他のお寺に行った。本堂の方から池を観ようした。玉砂利の上に紅い実が落ちている。上を見ると桜の木に、さくらんぼが無数になっている。紅いもの、黄色に近いものがある。ツツジの生け垣があって、その上にもさくらんぼが落ちている。ツツジの赤紫の花と、紅いさくらんぼ。桜の花が咲くころには、ツツジの緑の葉の上に、薄ピンク色の花が落ちているとこれも綺麗だ。ツツジの花とさくらんぼは、もっと色が鮮やかである。自然の命を感じる。

 それから、もう一つの神社を通った。鳥居の前に、四角い石柱がある。そこに、「毎日笑顔」と刻まれてある。見上げると、鳥居の真ん中の位置にそれがあることが判る。なかなか良いものだと思う。こんな時だから、毎日笑顔って言葉が、笑みを誘い、なごんでくる。部屋に戻って、ETV特集『救急対談 パンデミックが変える世界〜歴史から何を学ぶか〜』を観たり、『JIN−仁− レジェンド』を観たりしながら、競馬をする。

 世界では、334万4千人の感染者が出、23万8千人が死亡。アメリカは、113万人の感染者、6万5千人が死亡。スペインでは、242988人の感染者、24824人の死者。ここ3日は、325、268、281人の死者が出た。東京では、ここ3日、47、46、165人の感染者が出て、昨日までの累計で、4152人、120人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、188人増え、14571人の感染者、481人の死者。東京の速報は、160人確認された模様。


 5月3日(日) 晴/曇 10128

 朝、朝食前に散歩に出かける。朝だと人が少ないのが良い。今日も暑いので、ゆっくり歩いていても汗が出る。藤の花は、散りかかっていた。何処かの観光地に咲いていた、見事な藤の花は、バサバサ切り落とされていた。綺麗に咲いていると、観光客が来るからという理由から。不要不急の外出自粛が、そうさせる。静かに、散らせてやって欲しいと、思うのだが・・・。それから、スーパーで買い物。今日は人が少なかった。

 ユヴァル・ノア・ハラリや、ジャック・アタリもいっていることだが、こういう非常事態なると、政権が権力の強化するために、独裁化しようとする。ハンガリーがそうしたし、イスラエルのネタニヤフ首相も選挙で、負けても議会を閉鎖して独裁化しようとしたが、国民の反対で出来なかった。外出禁止令を出して、都市封鎖したヨーロッパの国でも、こういう危険性はいつでもついて回る。ネタニヤフが、独裁化しようとしたとき、スマホなどで国民の移動情報を管理し感染拡大を防ごうとしたが、それを管理する機関が、国家警察であってはならないという。感染症対策であれば、保健省とか、日本であれば、厚生労働省でなければならないという。何故なら、警察機関に情報が渡れば、それは、国家の独裁化や監視国家化の方向へ向かうという。中東戦争の時に、出された非常時の法律が、それが終わっても、何十年も続いたことを例に出して、情報は、決して警察機関に渡してはならなことを強調していた。

 日本でも、憲法改正して、外出禁止令が出せるようにした方が良いと、よんどころなき方は、憲法審査会に要望したようだが、緊急事態宣言を発出して、その責任者に、本来は感染症対策なら厚生労働相がなるべき処を、経済産業相が担当している処がそもそもおかしいし、感染症よりも、経済の方に重きを置いているということを示しているということだろう。それに、よんどころなき方責任を取る気もないようだ。この人、覚悟がない。

 そもそも、日本は自然災害に対しては、備えてきたが、感染症に対しては備えてこなかった。それで止もう得ず、自粛要請である。そんなことをして、外出を止められるのかという、疑問がある。しかし、多くの人はそれに従っている。自粛といえば、昭和天皇崩御を思い出すが、あの時は、テレビも全部つまらない番組ばかりで、レンタルビデオ屋に沢山の人がいって映画などビデオを借りて観ていた。今のテレビは、コロナ一色だが、日本は、PCR検査を増やさなければならない。外出を自粛している多くの人が、早く出かけられるようになるためには、感染拡大を縮小させなければならない。それを確かめるために抗体検査も必要だ。

 政府のやっている新型コロナウイルス対策は、完全なものではない。それをみんなが判っているから、医者や科学者のいうことを信じて、自粛要請にも耐えている。日本を知らない外国人は、そんなことで、コロナに対応できるのかと思うだろう。しかし、ギリギリの処でまだ持ち堪えている。他のどの国も真似の出来ないことをやっている。日本という方法で。これが本当に上手くいくかどうかは判らない。それでも、今多くの人は、それを信じようとしている。希望を持っていると思う。失敗すれば、大変なことになることも判っているはずだ。そして今は、それを信じたいと思っている。

 世界では、342万8千人の感染者が出、24万3千人が死亡。アメリカは、115万8千人の感染者、6万7千人が死亡。スペインでは、245567人の感染者、25100人の死者。ここ3日は、268、281、276人の死者が出た。東京では、ここ3日、46、165、160人の感染者が出て、昨日までの累計で、4477人、141人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、328人増え、14877人の感染者、517人の死者。東京の速報は、まだ発表されていない。


 5月4日(月) 雨のち曇 11277

 朝雨が降った。散歩へは行かず、長芋納豆漬物目玉焼き味噌汁などで朝食を取る。東京は今日も暑い。

 土曜日の『JIN−仁− レジェンド』で、南方仁が、医学所の松本良順の依頼で、長崎の精得館で、ペニシリンの講義をする。ある日、武士に切られたグラバーが連れられてきた。同行したのが坂本龍馬。仁が、長崎に来たかすかな思いは、龍馬に会えないということ。手術を依頼されたのは、精得館教頭、ボードウィン。眼科専門医だったが、下瞼の涙腺が切られていた。立ち会った仁が変わりに手術をする。明かりが足りないというと、持ってきたのが無尽灯だった。涙腺を消毒した細い針金で確保し、縫い上げる手術を終える。それを観たボードウィンが感動し、今までの御無礼をお許しくださいと、いう。

 龍馬が長崎に来たのは、グラバーから銃を買って、長州へ売る為だった。それを知った仁は、武器商人と怒る。が、長州へ同行することになる。長州へ発つ前に、講義を熱心に聞いてのは、カタクリ儀右衛門こと田中久重だった。無尽灯を作った久重に、豆電球を渡す。これがあれば、もっと明るく、長時間明るくなることを教える。江戸に戻った仁へ、改良した無尽灯が送られてくる。それが、手術に役立つ。

 のちに、明治時代に東京芝浦電気(東芝)を作る田中久重。彼が作った万年時計(万年自鳴鍾)は、現在国立科学博物館に展示されている。この時計の技術を久重に教えたのが、京都の時計職人、戸田東三郎である。この人が作った測量器を使って、新しい暦が出来たり、伊能忠敬が日本地図を作った測量器として使われた。天明の大火の後、戸田東三郎が、大坂の木村蒹葭堂を訪ねた時、同行したのが、伊藤若冲だったことは、以前日記に書いた。若冲が死んだのは1800年(寛政12年)。久重が生まれたのが1799年(寛政11年)。京都と久留米なのですれ違ってもいない。戸田東三郎が、いつ死んだかという資料もない。彼の息子も、京都で時計屋をやっていたという。

 『JIN−仁− レジェンド』に田中久重が出て来て、戸田東三郎を思い出し、そして、伊藤若冲を思い出した。久重が京都で模型の蒸気船を作り、それを観た、佐賀藩士で、蘭学者広瀬元恭の同門の佐野常民の誘いで、肥前佐賀藩で、蒸気機関車や蒸気船を作る。銃砲の鋳造にも携わる。歴史の中で、同時代に、龍馬も久重も、西郷隆盛も、勝海舟もいた。長崎海軍伝習所に、勝海舟が入所したことも、久重が入所したことも歴史の事実であるが、この2人がどういう関係だったかは、明らかになっていない。ここに入所したのは、薩長よりも、佐賀藩が1番多かった。するとここで空想する。海舟と久重がどう絡んだかを。幕末の混乱期。

 ETV特集『救急対談 パンデミックが変える世界〜歴史から何を学ぶか〜』の中で、ヤマザキマリは、イタリアでペストが流行った時に、仮面が防護用具としてあったということをいっていた。それが今はカーニバルの仮面として残っている。歴史学者、磯田道史は、江戸時代蘭方医がいかがわしいものと思われていた頃、黒死病(天然痘)に医者が何も出来ないのに、蘭方医が、種痘して防いだ。それで一気に、蘭方医の信用が上がったという。これは、『JIN−仁−』にも出てくる、伊東玄朴、緒形洪庵のことだ。この物語の中で、腑分けの事も出てくるが、日本で初めて腑分けが行われたのは、宝暦四年京都の監獄の死者を使って山脇東洋などによって行われた。そして、前野良沢、杉田玄白によって『解体新書』が翻訳される。江戸中期から、蘭学などによって発達した科学や医学が、アヘン戦争後の海外列強の圧力によって、その力を得て、一気に大政奉還に向かっていったのだと思う。空想の物語は、『JIN−仁−』を観ていると羽ばたいてくる。それが始まるのが、宝暦の京という物語。

 世界では、350万7千人の感染者が出、24万7千人が死亡。アメリカは、118万3千人の感染者、6万8千人が死亡。スペインでは、247122人の感染者、25264人の死者。ここ3日は、281、276、164人の死者が出た。東京では、ここ3日、165、160、91人の感染者が出て、昨日までの累計で、4568人、145人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、202人増え、15079人の感染者、536人の死者。東京の速報は、87人が確認された。


 5月5日(火) 曇のち雨 9123

 今日も朝から暑い。朝食後の散歩に出かけたが、かぶっている帽子が汗で濡れる。出かける時に、上着を着ないで出かけた。それでも、直ぐに汗が噴き出した。帰ってきたて、着替えしようと下を向いたら、帽子のつばから汗がポタポタ落ちた。今日は、初めからマスクをして歩いた。いつもは、歩き始めると息苦しくなるのだが、慣れてきたせいか、それをあまり感じなかった。鯉のぼりが泳ぐ、子供の日。

 昨日、よんどころなき方が、5月7日までとした緊急事態宣言を、5月31日まで延長することを発表した。賛否両論が噴出している。それはおおむね、賛成は、延長したことで、反対は、営業自粛している店舗などは、これではつぶれるだろうという事のようだ。もうすでに、コロナ倒産といわれるものは、2月から4月までで、100件を超えている。おそらく、レストラン食堂や、ラーメン屋、飲み屋とかは、家賃、従業員の賃金など払えなくなり、軒並みつぶれていく処が出るだろうことは、想像に容易い。

 家賃や、従業員の賃金を助成する予算なども、補正予算で組んで通過したが、延長に伴い、それでは全く足りないと意見が大勢を占めているようだ。家賃についても、与党ですり合わせをしているようだが、少なくても以前から出している野党案の方が、スピード感があるようだが、野党案ということで、審議にすら入っていない。緊急事態宣言延長を、支持する声は多い。しかし、政権に対する不満の声は、大きくなっていることを感じる。

 その一つは、延長にあたり、一切数値を示さず、3週間半自粛要請したことだ。今日大阪の吉村知事が、会議を開き、緊急事態宣言延長期間にも、解除できる条件を数字で明確に提示した。@経路不明の新規感染者が前週よりも減少する。A経路不明の新規感染者10人未満。BPCR検査陽性率7%以下。C重症者向け病床使用率60%未満など。@〜Cすべて原則7日連続で達成すれば、5月15日から、自粛等を段階的に解除する。これは、大阪モデルとして、非常に参考になる。

 世界では、358万4千人の感染者が出、25万1千人が死亡。アメリカは、120万8千人の感染者、6万9千人が死亡。スペインでは、247122人(昨日と同じ?)の感染者、25428人の死者。ここ3日は、276、164、164人の死者が出た。東京では、ここ3日、160、91、87人の感染者が出て、昨日までの累計で、4654人、150人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、175人増え、15253人の感染者、556人の死者。東京の速報は、58人が確認された。


 5月6日(水) 曇のち雨 10554

 最近は目覚ましの設定は、6時半。今日もそうだった。起きて炭酸水を飲んでタバコ。それから、散歩へ行った。セレッソ大阪のロティーナ監督の記事を読んだ。母国スペインでの感染状況を嘆き、日本の感染状況に驚いていた。スーパーへの買い物は、3日に1回行き、朝2時間散歩へ出かけているという。それを読んでいて、散歩は人がいない朝だなと思い、出かけた。お寺と神社へ行き、さくらんぼの具合を観に遠目のお寺へ行った。実が大きくなっているものもあるし、落下しているもの、しぼんでしまったものもあった。

 朝食は、サッポロ一番塩ラーメン。北海道は、感染第2波が来ている。特に札幌が多く、30人弱出ていた時もあった。知事や札幌市長が会見を開いて、不要不急の外出や移動自粛を訴えている。独自で緊急事態宣言を出した時よりも深刻な状態になっているようだ。昼食は、泣きながら玉ねぎを刻んで炒め、ブロッコリーとカリフラワーを入れ、それを分けて、残った方に、冷凍の海老、イカ、アサリ入れ火が通ったらお湯を入れてカレーを作り食べた。分けた物には、挽肉を入れて炒め、トマトピューレを入れて仕上げた。こっちは、スパゲッティように使う。

 闘牛専門サイト、ムンドトロに載っていた記事を観た。ちょっと衝撃的だった。社会的距離(ソーシャル・ディスタンシング。スペイン語で、Distancia de seguridad 安全な距離)前後左右1.5m、9平方メートル取った場合、マドリードのラス・ベンタス闘牛場23000人収容は、5000人未満になり、セビージャのレアル・マエストランサ闘牛場、12000人収容は、2400人になるという。マドリードのもう一つのビスタレグレ闘牛場、12000人収容は、4500人になり、ラス・ベンタス闘牛場より収益が良いという。おおむね、昔造られた闘牛場は客席のスペースが狭いため、新しく作られたイジュンベや、ビスタレグレの方が収益性が良いようだ。しかし、社会的距離を取って闘牛を開催した場合、今まで同じような収益をあげようとすると、切符代が相当高く設定しないと、開催出来ない可能性があることを、意味するのではないかと思う。これを、スペインの場合、サッカーに当てはめても同じことがいえるのではないか?

 スペインでは、外出禁止が緩和され始めたが、条件の中に、社会的距離が含まれている。だから、レストランにしても、密閉密集密接の3密を避ける条件が含まれているようだ。いわゆる、ニューノーマルが社会の在り方を変えていくだろう。23分の5の観客数で闘牛を開催すると、切符代を5倍近くに値上げしないと、興行として成立しなくなるということなのか?アボノで400ユーロした切符が、2000ユーロ弱ということになるという計算になる。これじゃ、闘牛を観に来る人がいなくなる。これでは、闘牛が終わってしまう可能性が出てくることを危惧する。もっとも、闘牛やサッカーファンが、社会的距離を判っていても、受け入れるかどうか判らない。始まってしまえば、関係なくなるような気もする。

 世界では、366万2千人の感染者が出、25万7千人が死亡。アメリカは、123万3千人の感染者、7万1千人が死亡。スペインでは、247122人(昨日と同じ?)の感染者、25613人の死者。ここ3日は、164、164、185人の死者が出た。東京では、ここ3日、91、87、58人の感染者が出て、昨日までの累計で、4713人、150人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、121人増え、15374人の感染者、566人の死者。東京の速報は、38人が確認された。


 5月7日(木) 晴 11076

 今日は目覚まし通りいかなくて、起きたのは朝ドラの後だった。朝食は、長芋納豆など取り、スーパーで買い物をした。欲しいものが売り切れていた。それから、散歩に出かけた。連休明けで、本来なら緊急事態宣言後になるはずだったが、散歩で出会ったのは、老夫婦や爺さん、婆さんもいたが、乳母車を押した若い夫婦もいた。街には、出勤で出てきたサラリーマンが出てきたようだ。今日明日は、出勤になる人も多いのかもしれない。ATMにも、人が並んでいた。帰りに、スーパーで野菜などを買って帰る。

 ドイツのメルケル首相は、全店舗営業を許可した。ブンデスリーガも、無観客で再開される。ニューヨーク州の経済再開の4段階は、@建設、製造、卸売。A金融、不動産、小売。B飲食、宿泊。C娯楽、芸術に、なっている。@から始め、順にABCと再開していくというもののようだ。その為に、PCR検査や、抗体検査などを実態を調べているようだ。それと再生産数や、重症者の病床なども空き状況など7つの項目がある模様。

 スペインでの新型コロナウィルスの新規感染者数が減少を続けているが、過去2週間における医療従事者の感染者増加率は39.5%、累計で43,325人。これは感染確認者全体の約20%で、ヨーロッパ平均よりもはるかに高い。また、10%のイタリアと比べても、2倍にとなっている。同じく過去2週間における医療従事者以外の新規感染者数は、14%の増加にとどまっている。また、過去1週間の新規感染者数が8546人で、その内の5331人が医療従事者で、事実上、医療施設が現時点での最も多い感染源となっている。

 また、5日スペイン厚生省発表では、過去24時間での感染者の7割が医療従事者であるという。このニュース、悲しくてやりきれない思いがする。スペインでは、毎日20時になると医療従事者へ感謝の気持ちを込めて、オバシオン(喝采)が送られている事は、すでに書いている。今でもこれは続いている。何だか、戦へ向かう武士のような、覚悟を医療従事者に感じるのだ。こういう処に、勝手に闘牛を感じたりして、自分でも不思議な感情が出てくる。トーレーロ、トーレーロ、トーレーロ!!!

 「 女 やりきれないですね。 見ず知らずの隣の紳士 槍は切るもんじゃなく、通すもんだ。やり通しなさい。」NHKのドラマにあったセリフだ。人にとって大事なものは、それかもしれない。スペインでの第1波がおさまり、第2波が来た時、抗体を持った医療従事者が、現場で活躍できるかもしれない。そういう希望もある。ドイツは、経済活動始動に舵を切った。それは、感染第2波に向けて準備をしている事も意味している。検査キットや検査所などの施設や人を確保して、病床など、医療関連の準備もして、財政についても準備している政策があるからだと思う。また、昨日から自粛から生活防疫に切り替えて、経済活動を再開した韓国も、第2波に供えている。

 世界では、375万5千人の感染者が出、26万8千人が死亡。アメリカは、125万9千人の感染者、7万4千人が死亡。スペインでは、220325人(昨日減っている?たぶん、抗体検査陽性者を全て切ったのだろう)の感染者、25857人の死者。ここ3日は、164、185、244人の死者が出た。東京では、ここ3日、87、58、38人の感染者(4日連続100人以下)が出て、昨日までの累計で、4748人、155人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、105人増え、15477人の感染者、577人の死者。東京の速報は、23人が確認された。


 5月8日(金) 晴 12246

 寝るのが遅くなって、起きるのも遅くなった。朝食は、肉そば。それから、買い物に行った。今日は肉が中心。これで月曜日までは、買い物に行かなくても良いだろう。こういう時世だからか、野菜が高くなっている気がする。

 『日本人のお名前』で、役所や銀行など記入例に、山田太郎、花子というのがあった。昔は、本当に多かったが、今はほとんど使われていないという。山田太郎が使われていたのは、漫画『ドカベン』の主人公という風に思う人が多いようだが、実は、病気の母を助けるために、新聞配達した『新聞少年』を歌った山田太郎から始まったようだ。俺の場合は、山田太郎に対してよりも、山田風太郎への憧れが強いのだが。

 風太郎の『警視庁草紙』の中に「幻燈煉瓦街」というのがある。河竹黙阿弥、高橋由一、少年幸田露伴、夏目漱石などが出てくるのだが、煉瓦街に店を出していた、カタクリ儀右衛門が出てくる。実は、風太郎の小説を読んで、こういう人がいたんだということを知ったのだ。西郷隆盛の都落ちの前に、佐賀藩の江藤新平も新政府を離れている。初代警視総監川路利良が、新政府のための治安を任されるのだが、それを任せたのが、薩摩のお庭番としてやっていたのに目を付けた、西郷だった。この小説は、西郷都落ちを、土下座して、「おいどんも、連れて行って、たもうせ」と嘆願した川路が、熊本へ西郷を倒すために抜刀隊を向かわせる処で終わる。川路が、恩師の西郷でさえ、治安維持のために倒すという冷酷さと、明治初期の混乱を描いている。おそらく、風太郎の明治物の最高傑作。

 もう何だか、政府は出口戦略に向かって、突っ走っている印象を受ける。西村担当相が、1週間感染者ゼロの17県の経済活動解除するようなニュアンスを会見でいったりしている。我慢していた人が、ダレるようなことになる。大阪モデルは、経済活動再開と、感染2波に供えるためというのも含まれている。それをふまえずに、ただ経済活動出来ますよという、印象を与えている。そこが、あやふやになっている処が、ドイツのメルケル首相と違いだ。ちゃんと大勢の人にPCR検査をやっておかなければならないし、1日1万件も出来ていない状態では、第2波が来た時、また混乱すだけだ。1日、10万件くらいPCR検査が出来る体制を作っておくことが、治療体制を直ぐに出来ることになると思う。大学や民間などには、自動で出来る機械があるのに、それを今まで使って来なかったのが、検査数が少ない主な理由のようだ。早く検査数を多く出来るようにして欲しいものだ。

 スペインでは、週明けの月曜日から、外出禁止が緩和され、営業が再開される処が増えるようだ。感染者が少ない処は、それで良いのだろうが、マドリード州の公共保健局長が辞任を発表した。マドリード州では、まだ早いという、州政府に対しての抗議である。これをサンチェス首相が、許可するのか、却下するのかまだ判っていないようだ。マドリード州のように危ない処もある。マドリードの友人も、まだ仕事を始めていないし、いつから始まるかも決まっていないという。それで良いと思う。おそらく月曜日には、人がドッと出るだろう。そして、また感染者が増えていくことになるのではないかと思う。ドイツのような、明確な出口戦略がスペインにはないようだ。それを危惧する。

 世界では、384万5千人の感染者が出、26万9千人が死亡。アメリカは、128万9千人の感染者、7万6千人が死亡。スペインでは、221447人の感染者、26070人の死者。ここ3日は、185、244、213人の死者が出た。東京では、ここ3日、58、38、23人の感染者(5日連続100人以下)が出て、昨日までの累計で、4771人、160人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、96人増え(3月以来100人以下になった)、15575人の感染者、590人の死者。東京の速報は、39人確認の感染者がされた。


 5月9日(土) 曇 11113

 曇っているが、23度ある。何だか生ぬるい感じだ。部屋の蛍光灯が切れて、買いに行った。最近地震が多いが、桜島が爆発的噴火した。噴煙4200mだという。

 布マスクを配るといって5週間。あれから布マスクが配られているのは東京都だけ。他の46道府県には配られていない。その前に、不織布マスクも誰でも買えるよう出来るような事をいっていたが、いまだにそれも出来ていない。PCR検査1日2万件といって4週間。PCR検査は、1日1万件を超したことは1日たりともない。指示さえすれば、全てできると思っているのだろうか?自粛要請をしても、ほとんど緊急事態に、補償も出来ていないし、PCR検査を受けれずに死んだ人まで出ている。これでは、倒産・失業は急激に増えるだろう。

 まるで江戸時代のお殿様と変わりない。「そうせい」といっているだけで、実行されると思っている。まさに、丸投げ。おそらくこれは、忖度政治のなれの果てである。何も解っていないと思われても、仕方ないだろう。国民の生命と財産を守ることが出来ていない。こういう政治には、みんなで、声を上げなきゃダメだろう。コロナは、明らかに弱者を直撃する。生活苦による自殺者増えるだろう。だって、仙人のように、霞を食って生きていれる人間なんていないんだから・・・。「ボーっと生きてんじゃねぇよ!」

 マドリード州は、月曜日からレベル0からレベル1に移行する予定が、1週間延びることになったという。つまり、緩和しないという。早く経済活動再開したい政府と、感染縮小を願う民意では、民意の方が強かったようだ。

 世界では、393万5千人の感染者が出、27万4千人が死亡。アメリカは、131万7千人の感染者、7万8千人が死亡。スペインでは、222857人の感染者、26299人の死者。ここ3日は、244、213、229人の死者が出た。東京では、ここ3日、38、23、39人の感染者(6日連続100人以下)が出て、昨日までの累計で、4810人、171人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、88人増え(2日連続100人以下になった)、15663人の感染者、607人の死者。東京の速報は、36人の感染者が確認知れた。


 5月10日(日) 曇 10898

 曇っていて、風も吹いているへんな天気だ。10時と17時に区のスピーカーから緊急事態のため、密集密接を避け不要不急の外出は避けてくださいと、毎日流れている。西村大臣が、気のゆるみを指摘したが、感染者が1週間出ていない県は、緩和されるような事をいったから、土日人出が多くなったのに、また、懲りずに、34県は緩和を視野に入れていることを、会見でいったという。この大臣は、メッセージの出し方が滅茶苦茶だ。

 コロナ騒動のドサクサで、警察庁法改正して、定年を65歳に引き上げて、政権の好む人に役職を与えようとしている。このことは、再三野党などが批判してきたが、文化人や芸能人、音楽家などが実名で、ツイッターで批判し、すでに200万件の投稿かあるという。右とか左とか関係なしに、三権分立を守らなければならないという、民意の表れだと思う。外出自粛要請を良い事に、好き勝手なことやり抜く意志には、驚く。そんな強い意志があるなら、コロナ対策をちゃんとやって欲しい。政府よりも常に先を行っているのは、初期の頃は、鈴木道知事、小池都知事であり、今は吉村府知事だ。先導役いないと、対策も方針も示せない危うさがある。

 スペイン政府は結局、マドリード州、バルセロナの外出禁止が緩和することを許可しなかった。マドリード州、カタルーニャ州、カスティージャ・イ・レオン州は、まだ感染者が多いということで、多い処では緩和しないように嘆願していたようだが、これが通ったようだ。カスティージャ・イ・レオンは不明。マドリード州も、知事と副知事の所属政党が違うためか、知事は緩和反対で、副知事が緩和賛成と分かれて、混乱しているようだ。失業者も3月30万人、4月29万人で、2カ月で、約60万人増え389万人になった。年金保険納付者もこの2か月で、約95万人減り、1840万人になったという。

 世界では、402万4千人の感染者が出、27万9千人が死亡。アメリカは、134万3千人の感染者、7万9千人が死亡。スペインでは、223578人の感染者、26478人の死者。ここ3日は、213、229、179人の死者が出た。東京では、ここ3日、23、39、36人の感染者(7日連続100人以下)が出て、昨日までの累計で、4846人、180人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、114人増え、15777人の感染者、624人の死者。東京の速報は、22人の感染者が確認された。


 5月11日(月) 曇 2217

 だいぶ暑くなってきた。部屋にいても汗ばむくらいだ。セビージャの下山さんは、外出緩和といっても、バルとかは、店内には入れず、テラス席で、塩・コショウなどは感染リスクがあるので、置いていない。メニューも、感染リスクがあるので、黒板にチョークで書いた物になっているという。バルセロナのTHさんは、ようやく、散歩に出かけれるようになったといっていた。バルセロナの方が、セビージャよりやっぱり厳しいようだ。バルが営業しているというのには、ビックリした。マドリードやバルセロナでは、まだ考えられないだろう。

 山梨大学の島田眞路学長(医師)は、PCR検査数が少ないのは、「日本の恥」といって、検査数を増やすことを訴えている。3月8日に入院患者が、骨髄炎で運ばれて、患者に意識障害があって検査したところ新型コロナウイルスで、骨髄炎を発症したことを発表したのが、山梨大学医学部だった。この症例は、国内で初めてで、極めて重要な症例と、島田学長が発表したのは、記憶に新しい。

 再三再四、PCR検査数を増やすようにいっている。島田学長指示で、山梨大学病院に入院している患者すべてにPCR検査を実施し、院内感染にも取り組んでいる現場からの発言だ。安倍首相と山中伸弥のネットテレビの対談があったが、そこでも、山中教授が首相に、PCR検査を大学でやれば、1日10万件出来るので、是非検討してくださいといっていたが、島田学長も、以前から同じことをいっている。

 国会中継を観ていたが、政府の答弁では、大学の施設を使ってPCR検査を増やすという考えはないようだ。何故かといえば、大学の管轄は、厚生労働省ではなく、文部科学省だからという縦割り行政がネックになっているという。こういう非常時の状態になっても、こんな事しか出来ないというのは、本当に情けない。「日本の恥」という事も、理解できる。あーあ、ダメなんだなこの内閣と思ってしまう。

 それとPCR検査のやり方について、厚生労働省のマニュアルでは、鼻から検査用の綿棒を入れ鼻腔奥から採取する方法だが、北海道大学の研究では、アメリカなどでもやられているように、1ccの唾液の採取で検査が出来るという。北海道大学といえば、クラスター対策班の西浦教授も北大だ。厚生労働省は、この方法の採用の検討に入ったという。鼻腔から取るより、唾液から採取する方法の方が、採取時に採取する人の感染リスクが、軽減されるというメリットもあるという。また、新しいPCR検査キット、抗体検査キットも日本の企業が開発して発売、承認されるという。ちなみに、横浜に停泊してしたダイヤモンド・プリンセス号感染者受け入れ要請で、山梨大学へ来たのは、厚生労働省が担当したという。

 おそらく、医学部は厚生労働省で、大学が文部科学省の担当という風に分かれているのだろう。こういうのってやめたらと思う。ドイツのメルケル首相は、西ドイツ生まれで東ドイツ育ちの物理学者である。ドイツ中央政府の権限ではなく、地方自治体の権限で、外出禁止を出したのは、民主主義を守るためのようだ。外出緩和も、地方自治体の権限で行い、感染者が増えたら、外出禁止に戻すのも、地方自治体の権限で行うことになっている。メルケル首相の言葉に説得力があるのは、科学者としての冷静さが、政治家としての判断に役立っているのだと思う。日本の政治家には、というか、安倍政権は、誤魔化しばかりをしている。だから特に今は、政治家のいうことや、やること、振る舞いが信用出来ないから、科学者や医者のいうことが、本当のように思える。だから、人々が彼らのいうことを信じようと思うのだ思う。

 世界では、409万7千人の感染者が出、28万2千人が死亡。アメリカは、136万4千人の感染者、8万人が死亡。スペインでは、224390人の感染者、26621人の死者。ここ3日は、229、179、143人の死者が出た。東京では、ここ3日、23、39、36、22人の感染者(8日連続100人以下)が出て、昨日までの累計で、4868人、180人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、114人増え、15847人の感染者、633人の死者。東京の速報は、15人の感染者が確認された。


 5月12日(火) 曇 11786

 ここの処、暑くなってきた。気象庁は、熱中症に注意するように呼び掛けている。例年通りの呼びかけと違って、コロナ騒動の中で、マスクをしている。マスクしてジョギングなど、酸欠や水分補給不足になりやすいという。夏にジョギングなどをするのは、物好きか、運動部の練習である。知り合いの中には、中毒のようになって、1日20キロ以上走って、物凄く痩せた人もいるが、それは健康になりたいという病気のようなものだ。健全ではないと思う。

 スペインに初めて行ったのは、80年代だ。91年オスタルの予約もなく重いスーツケース転がしながら行って、サン・ヘロニモ通りのオスタル3件にコンプレートといわれ、断られたが、コンプレートの意味すら判らなかった。そんな頃は、プエルタ・デル・ソルや闘牛場などの露店で、ヒターノ(ジプシー)などがタバコを売っていた。しかも、1本のタバコから。こんな国があるんだとビックリした。しかも後で気付くのが、正規のタバコ屋で売るよりも割高なのを知った。その差額が、露店の人の収入になることを知る。たぶん、カテドラルの前で乞食のように、金色の真鍮と思われれる皿を出して、慈悲を受けようとする老婆が何処にでもいたあの頃。それよりは、仕入れて、露店でタバコを売る商売は、まともなのだろう。近年そういう露天商がスペインにはいなくなった。カテドラル前の黒衣の老婆も少なくなった。

 始めて見た時は、赤ずきんちゃんを騙す老婆のイメージが重なって、ブルッとした。しかもグラナダの黒衣の老婆は、何を話しているのか、全く単語すら判らなかった。それは、アンダルシア訛りの言葉だったわけではなく、オシの老婆だったのだ。ますますザワザワした。子供の頃、お祭りで観た復員兵の帽子をかぶり、白い服を着て、義足などを付けた傷痍軍人。夜の暗がりの中で、和ろうそくの火が揺れる。寺山修司の映画の風景を同じだ。あれは、訳もなく異様に怖かった。アコーディオンやハーモニカを吹いて、軍歌や戦中歌謡をやっていた。それもマイナーコードの暗い曲調だった記憶がある。もし童謡だったら印象はかなり違ったものになっていただろう。グラナダ黒衣の老婆も同じ感覚があった。老人の顔は厳しく、銀行の金利は、普通預金で、15%くらいあった不況の時代のスペイン。

 最近では、身体障害者が無くなった腕や、足を見せて、物貰いをしている人もいたが、今のスペイン、そういう人は何処にいるのだろう?主に政府が救えない全盲者を救済する組織として、ONCE(オンセ)という宝くじ販売組織がある。これは、フランコ独裁の時代からあった。このONCEですら外出禁止令で、売り上げは激減しているはずだ。マドリードのある地区にいるプータ(売春婦)にして同じだろう。スペインだと教会がそういう人たちを支援しているのだろうか?人は生きていかなければならない。そして、生きているはずだ。今弱者だけでなく、世界に必要なのは、希望である。本来この希望をもたらすものは、政治であるべきなのだが、ほとんどの国では、その希望を示されていないことが、悲しい現実である。

 世界では、416万8千人の感染者が出、28万5千人が死亡。アメリカは、138万1千人の感染者、8万1千人が死亡。スペインでは、227436人の感染者、26744人の死者。ここ3日は、179、143、123人の死者が出た。東京では、ここ3日、36、22、12人の感染者(9日連続100人以下)が出て、昨日までの累計で、4883人、189人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、45人増え、15968人の感染者、657人の死者。東京の速報は、28人の感染者が確認された。


過去の、断腸亭日常日記。  −−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−

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