断腸亭日常日記 2000年、その10 スペイン日記 その4

−−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−

por 斎藤祐司


過去の、断腸亭日常日記。  −−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−

太い斜字で書いてある所は99年、2000年のスペイン滞在日記です。

99年1月13日〜2月16日 2月19日〜4月14日 4月15日〜5月11日 5月12日〜6月4日
6月7日〜6月10日 6月13日〜7月9日 7月11日〜8月8日 8月9日〜9月9日
9月12日〜10月7日 10月10日〜11月10日 11月14日〜11月28日 12月12日〜12月31日
2000年1月1日〜15日 1月16日〜1月31日 2月1日〜2月28日 3月2日〜3月29日
4月2日〜4月19日 4月20日〜4月29日 5月1日〜5月14日 5月15日〜5月31日
6月1日〜6月15日

 6月16日(金)

 昨日セビージャから帰ってきたら米ちゃんからTELで18日にトレドに行くとのこと。それとKさんがセサルのことで話があるから連絡が欲しいと言うことだった。KさんにTELしたらエドガールが、セサルは来週何とか時間を作ってくれるそうだ。そしたらフィンカに行かなきゃならない。贅沢は言えないけど希望としては19,20,24日にして貰いたい。そうすれば闘牛が見れる。

 でも基本的には、セサルに会いたいので来いと言えば行くしかない。気持ちはいつでも良い。でも、出来れば闘牛も観たい。去年は話が出来なかったから今年こそは会いたいと思っている。どうなるか。去年のように諸事情で会えなくなるかも知れないし。

 昨日の闘牛は、気分が悪かった。帰ってきて三木田さんと榎本さんにTELした。三木田さんはカメラマンのTさんと会って話していたときに、Tさんは僕のHPを全部読んだと言っていたそうだ。凄いもんだ。このHPを全部読むなんて大変だぜ。それに上手く消化できれば良いんだけど。榎本さんは今日、日本に1ヶ月戻ると言うことだった。俺が闘牛に言っている間に米ちゃんがトレドの切符をマドリードで売っていることを突き止めていてくれた。

 中崎君にトレドに行くかどうか聞いたら観戦記を書き上げた後で、部屋にやってきた。ホセ・トマスとミゲル・アベジャンの違いを彼なりに話していた。「アベジャンは、死んでも良いっていう闘牛。刺し違えても良い闘牛をする。そう言う風で、ホセ・トマスは、死ぬかも知れないような危ないことをしても生き残って行ける、そう言う違いがある。」良いところを突いている。アベジャンの気迫は、直接的に感情に訴えるものだ。ホセ・トマスは、闘牛を観ているとジワジワジワジワと観客の方に気迫が伝わってくる。知らない内に観客は彼のファエナにのめり込んでしまう。そんなこんなで、4時頃まで酒を飲んで話していた。

 寝るのが遅すぎた。朝トレドの切符を買いに行くと11時からと、言われ。11時なって聞くと今度は、12時半に新しい切符が届くと言うことだった。1回で済まないのがスペインらしい。再度、12時半に言って切符を買ってきた。現像したフィルムを観たが良い写真が撮れていた。

 これからフィルムを取りに行って飯を食ってゆっくり昼寝でもしよう。未だ酒が抜けていない感じだ。ガスパチョを飲んだので落ち着いてきた。2日酔いにはガスパチョが良い。


 6月17日(土)

 せっかく朝早く起きたのに腰が痛くまた横になってしまった。現像に出していたフィルムを取りに行ったら28日のアランフェスのが入っていた。ちょっと観ただけだが凄いのが取れてる期待が高まった。これからじっくり観よう。あのパセのシーンが思うように取れているのがそれが楽しみだ。

 日本から持ってきたハイライトが切れかかっているのでしばらくドゥカドスを吸っていたがフォルトゥナに代えてみた。あまりパッとしない味だ。でも、面白いと思ってのはタバコを空けるときに引っ張るビニールにフォルトゥナのサイト・アドレスが書いていた。こういうところは面白い。


 6月18日(日)

 昨日、日本は競馬が中止だった。皇太后が死んだからなのだろうか?代替は月曜日とのこと。分けの分かんない中止は、納得できないし、JRA自身も売り上げ減少に繋がるのだから、中止しない方が良いに決まっている。

 アランフェスのホセ・トマスの写真は上手く撮れていた。15日のベネフィセンシアのエル・フリの写真も良い。特に、ロペシーナの連続写真は良いぞ。去年はそんなにロペシーナをしなかったのに今年は結構観ている。ムレタの所でも良いのが取れた。他にも良いのがある。が、HPに載せるかどうかは、? このHPは大きくなりすぎたので写真をいっぱい出すとパンクするだろう。

 これから飯を食ってトレドに向かう。今日はホセリート、ホセ・トマス、モランテ・デ・ラ・プエブラ。良いカルテルだ。またワクワクするような闘牛を観たいものだ。


 6月19日(月)

 昨日のトレドへ行った。早めについたのでバルに入って喉を潤していたのらサッカーのヨーロッパ選手権が始まった。バルに人がドンドン集まってきた。席に座っている人は後から来て立っている人の見えないとか言って退いて貰ったりしていたが開始早々ラウルのゴールの時はもう大騒ぎだった。

 狭いバルいっぱいに人が入り、ただでさえ暑いのに風の通りが悪くなってみんな汗を流してサッカーに夢中になっている。こんなにいっぱい人が居るのに後から後から人が入ってきて何対何でどっちが勝っているか聞いたり教えたり。スペインの選手が倒されると、反則だ、とか、ペナルティーだ、と叫んでみている。

 前半が終了した時点で、人はアッという間に引けて、1/3になった。暑いのと闘牛場が開場になったからだ。僕等も闘牛場へ入った。結果は、2−1でスペインが勝った。

 闘牛は、牛が悪かった。あんな牛であのカルテルは勿体ない。


 6月20日(火)

 昨日は疲れて部屋でゴロゴロしていた。牛のように反芻は出来ないので飯は作って食べた。片づけをやって荷物を整理しだした。また、荷物が多くなるのかと思うとうんざりする。セサルからの連絡待ちの状態。今日判れば夜グラナダに行くかも知れない。判らなくても明日の夜には、グラナダに行きたい。

 朝からウンコに2回も行った。腰が痛いことと関係があるのか、酒の飲み過ぎか。食った分出さないと体調が悪くなるのかも知れない。

 昨日テレマドリードで、グラナダの闘牛を中継していた。ペピン・ヒメネスは良いところなしだったが、フィニートは2頭とも良くて耳を1枚1枚切った。ここまでは良いとして、ハビエル・コンデは1頭目は良い牛なのに途中からダメにして耳が切れなかった。明らかに自分のせいだ。しかし、最後の牛の素晴らしいこと。牛が良すぎて耳2枚。牛は、場内一周した。牛が良いと自信満々でやることは派手。油で固めたオールバックの髪を振り乱してパセを繋いだ。

 笑ったのは、右手のパセの時に、左手が既に腰の所で手を開いてパセの後の持ち替えを待機していた。あの左手が妙におかしかった。また、パセ・デ・フローレスをするときに小刻みにステップをして1回転して牛を誘ってやったことだ。マルタ・サンチェスの彼氏でカッコマンのハビエルが思いっきりカッコつけてのパセだ。ノビジェーロの頃から見てるけど全然変わってない。やってることが一緒。彼はああやって一生カッコマンのまま終わるだろう。

 でも、牛が良いとハビエルでさえグラン・ファエナが出来るのが闘牛だ。スゲー牛だったよな。インドゥルトになるかと思ったくらいだ。フィニートは一時期の不調から立ち直って良いパセをするようになった。彼女もできたようでやる気いっぱいなのかも知れないが、ハビエルとはレベルが違う。ハビエルは二流か三流。フィニートは闘牛士として一流だ。


 6月21日(水)

 今日ヨーロッパ選手主権予選リーグ最終戦、スペイン対ユーゴスラビアがある。スペインは勝てば決勝トーナメントに行けるが引き分けは条件が付き、負けると敗退するだろう。昨日は何組か判らないけどイングランドとドイツが予選敗退した。決勝に行ったのはポルトガルとルーマニア。いくらワールドカップ優勝を過去にしているからって現実は甘くない。

 ドイツはボールキープ率は6割以上あったが攻撃力決定力がない。守備はボロボロだった。イングランドは攻撃パターンは未だあるが、個人だよりチームとしてのまとまりはない。ペナルティーエリアで何十年前やってたタックルしたらペナルティー取られて当たり前。

 下手くそでもひたむきにボールにくらいついて行くポルトガルやルーマニアの方が勝つに決まってるよ。この大会でヨーロッパのサッカーは変わるかも知れない。それほど重要な結果が出そうな大会だ。

 それと、セサルと連絡がつき23日11時にマドリード近郊のセサルの家で会うことになった。ここはフィンカじゃない。何回か行ったところだ。よって22,23日のグラナダの闘牛は行かないことにした。

 本当は21〜23日までグラナダに闘牛を見に行く予定だった。23日は、下山さんと一緒にホセリート、ホセ・トマスを観るはずだった。残念だが見れないことになった。お詫びのTELを入れたら、気にしなくて良いと言ってくれた。でも、今年は一杯2人で闘牛を観た。10回以上は観ただろう。念願のホセリートも一緒に観ることが出来たし、満足している。


 6月22日(木)

 まあ何という試合だったか。スペイン中が今浮かれているかも知れない。Fさんと一緒にTVで観ていたがスペインは九分九厘負け試合。90分過ぎてロスタイム5分。それも残り2分でペナルティーで同点。終了20秒前に正面ペナルティーエリア付近からアルフォンソの左足が奇跡的な逆転のゴールをもたらした。

 あまりにマンガチックでFさんと笑ってしまった。逆転ゴールの瞬間は下のバルで叫び声が鳴った。あれは、スペイン中の声と一緒だったろう。2−2の同点でユーゴスラビアが1人退場者を出し、カマチョがデフェンスのパコを下げてオフェンスを投入。そして2−3になった時点でスペインの負けは決定的と思われた。恐らくあのまま負けていたらカマチョの采配ミスと、マスコミやファンに叩かれただろう。

 それを救ったのがペナルティーを呼び込んだラウルの粘りとラストパスが、ペナルティーの呼び水になる。それと、アルフォンソのダイレクトボレーシュート。

 グラナダ行きを取りやめたので、今日は部屋の掃除をして明日のセサルと話すことを考えよう。大闘牛士がわざわざ僕のために時間をとってくれるのだから楽しく意義のあるものにしなければ。


 6月23日(金)

 朝早く起きた。歯を磨いた。シャワーを浴びて体を綺麗にした。聞くことも昨日ノートに書いて準備が出来ている。飯も食った。後は、ウンコをして行くだけだ。

 当日になって予定変更のTELが入った。セサルは12時にマドリードで用事があってそれを済ませたら、是非フィンカに来てくれと言っているらしい。何れにせよまたTELが入る。それ待ちだ。


 6月24日(土)

 今はとても悲しい気分だ。

 出掛ける前に、3,4本のTELがあった。12時に、ガナデリア協会で待ち合わせ。エドガールが来てその後にセサルが来た。セサルは、協会に用事があって来たようでゆっくり話が出来なかった。が、時間がなく本当はフィンカに一緒に行くつもりだったらしい。でも、恐らく大事な用件の場に僕を呼んでくれたこと自体、信頼されていると言うことだろう。

 何年か前、ダックスの闘牛場でモソ・デ・エスパーダのルイス・カルロスが、僕も目の前で、500フラン札の束を数えていたことがあったけど、それも同じ事だろう。彼は、セサルの実兄。弟を、マエストロと呼ぶ。

 時間がなくて用意していた質問が全部出来なかった。また、協会の中で会長、経理担当、獣医、事務員などがいたためにビデオも撮れなかった。その質問の中で、「今はガナデリアで満足している。」 「インドゥルトの牛を出せるなんてガナデリア冥利。非常に幸福だ。」 「今は戦士の休息の時。田舎で緑に囲まれてのんびり暮らすのは楽しい。殆ど牧場から出ないで過ごしてます」 

 と言って、現在の心境を語ってくれた。その中で悲しい気分にさせたのは、「もう闘牛士には戻らない。今までに何度も何度もコヒーダされて怪我ばかりしてきた。そう言うことはもう沢山だ。」と、言った。

 セサルは、マンサナレスと違って怪我が多く、大きな怪我も何度もしている。それは、彼の闘牛が危険に満ちた闘牛だった証拠だ。もう20年以上も闘牛場で牛を相手にしてきたのだ。ロベルト・ドミンゲスのようにもう闘牛士には戻らない。去年の6月6日のグラナダが僕が観た最後のセサルの闘牛になる。

 だから、僕の中で何かが終わったような気がする。

 あれほど純粋に闘牛が観たい、闘牛を知りたいと思ってセサルを追っかけて毎日闘牛場に通った。そこで出会うもの全てが新鮮でとても楽しかった。今闘牛場に多くの闘牛士が出て活躍している。でも、セサルに変わる闘牛士はいない。セサル・リンコンは、セサル・リンコンだ。ホセ・トマス、ホセリート、エウヘニオ、アベジャン、モランテ、・・・。いろんな闘牛士がいるがそれだけのことだ。

 もう貴重になってしまったな。セサルの闘牛服の着替えを取った写真は。グラン・ファエナを撮った写真も・・・。

 このHPは辞めないが、もうあまり更新はしないだろう。カルテルとかニュースとかは、書くと思うけど。日記と。それとスペインにいる間は観戦記は書き続ける。今日はトレドでエル・カリファを観てこようと思う。

 エドガールは、スペインに来たら直ぐTELをして下さい。と言い、セサルは、来年はフィンカを見に来て下さいと、言ってくれた。ありがとう。来年スペインに来たらそうします。


 6月25日(日)

 せっかくトレドまで行ったのにエル・カリファは未だ怪我が治っていないらしく不出場だったのでそのまま帰ってきた。帰ってきてサッカーを観た。イタリアとポルトガルが順当に勝った。今日は、トレドには行かない。理由は、エウヘニオは観たいがエル・フリを観たくない。ラス・ベンタスにカナレス・リベラと、エル・マドリレーニョが出るのでそれが観たい。トレドに行くとスペイン対フランス戦が全く見れない。

 以上の理由により、本日はラス・ベンタス闘牛場に行く。俺が行かなかったグラナダでは、ホセリート、ホセ・トマスがプエルタ・グランデをした。24日レオンでもホセ・トマスは耳3枚でプエルタ・グランデだった。バダホスでは、ビクトリーノ・マルティンの牛がインドゥルトした。ペピン・リリアがシンボルとしての耳2枚と尻尾1つを取る。今日は、アリカンテでは、エル・トレオンの牛が出る。良い結果が出るとセサルが喜ぶだろう。

 ネットで宝塚記念の結果を見た。グラスはもう引退だろう。マチカネキンノホシは最下位。勝ったのは、テイエムオペラオー。気が早いが今年の年度代表馬はオペラオーになるのかな。

 セサルのことを考えると涙が出てくるので考えないことにする。日本に帰ったら闘牛の本を出すべく原稿を書こう。


 6月26日(月)

 昨日のラス・ベンタスでは観光客が殆どだった。初めて闘牛を観る観客が5割以上だったろう。日本人観光客も多く闘牛士の入場行進をする前のプエルタ・デ・クアドリージャにはカメラを持った日本人が並んでいた。観光客のための闘牛と言っていい日だった。

 そんな中で闘牛が始まったが、とにかく牛が悪すぎた。始めてみた闘牛がこんなにつまらないものならもう二度と闘牛を見に来ないだろう。オーレの殆ど鳴らない闘牛。サン・イシドロ祭後のラス・ベンタスの闘牛はわりと良い闘牛士が出てくるが、昨日は牛が非道すぎた。

 どうせ日本人は1週間から10日の旅行が殆どなのだから見て1回か2回だろう。同じ見るなら良いカルテルの所で良い牛で見た方がまた見たくなるだろう。ラス・ベンタスで良い闘牛を見るのは非常に難しい。良い闘牛を見たときは他の闘牛場で観るとき以上の感動があるのは間違いないが。

 昨日メールが2通来た。1通は元闘牛の会の会員。久しぶりだったがこのHPを見ていてくれた。それでメールをくれた。用件は違うところにあったが非常に嬉しいメールだった。もう1通は、このHPを今年のセビージャで闘牛を見てきてから見続けているという人からだった。「闘牛に興味を持った人間にとってはとても大事なページ」なので「続けて下さい」というものだった。

 このメールも非常に嬉しいことが書いてあった。下山さんからもTELで、「あんな事、書いちゃダメです」と言われた。そうなのだろうが、闘牛がいやになったわけではないし、もうどうでも良いと思って投げやりになっているわけではない。HPではなく違うことに力を入れようと言うのだ。

 毎日1,2時間書けば結構な量になるだろう。そう言うことを続けていくためにはHPはカルテルとニュースくらいになるだろう。でも、毎日闘牛情報を探してネットは見るだろうし今までやって来たことも続けていくのだ。ご心配掛けて済みません。

 昨日のサッカーはやはりフランスに負けた。結果は1−2だけど、スペインは必死でサッカーやってたけど、フランスは楽しいそうにやっていた。ゲーム中も遊んでいるような所と、頭の良さを感じた。やっぱりフランスが優勝するのかな。

 今日は三木田さんと昼食。その後は、フィルムを米ちゃんに渡さなきゃならない。明日は、ブルゴス。今年最後の闘牛になる。牛がダニエル・ルイス。この前のアリカンテはあまり良くなかったからちょっと不安だ。でも、出るのはホセリート、ホセ・トマス、ミゲル・アベジャン。最後を飾るにはふさわしいカルテルだ。


 6月27日(火)

 これからブルゴスに向かう。帰りは明日の朝。今年最後の闘牛だ。もうあまり時間がない。25日アリカンテでエル・カリファが耳2枚。エル・トレオン牧場の牛は、良い牛だったと新聞に書いてあった。昨日のホセ・トマスはブランカ。久々だ。彼も人間なんだからそう言うこともある。

 グラナダではしっかりプエルタ・グランデしている。最近蒸すように暑い。ブルゴスはどうなんだろう。雨だけは降らないで欲しい。


 6月28日(水)

 ブルゴスから今マドリードに帰ってきた。ブルゴス発は2:20予定。それが1時間遅れて到着、出発した。マドリードへは15分遅れだった。

 ブルゴスでは、前タキージャがあったところを探してウロウロしていたら牧ちゃんにあった。お母さんも一緒で、3人でレストラン“シド”で昼食を取った。少量を摘むことにし、なすと鱈の焼き物、子羊、ソロミージョのチーズソースを食べた。みんな美味しかった。特にソロミージョは今まで食べた中で1番かも知れない。フルーツがないのでコーヒーを飲んで店を出て一旦別れる。

 18時20分に闘牛場に着く。タキージャに行こうとすると何人もダフ屋が声を掛けてきた。それを振り切って歩いていくと、「1人、1人」としつこく声を掛けてくるので、「そう」と言うと、切符を出してきた。見るとソンブラの17列目だったので、「俺はソルが欲しいんだ」と言うと、ソンブラの3列目を出して見せた。切符をよく確かめて、「こっちの方が良い」と言うと、さっきの切符とか色々切符を見せて、「こっちはどうだ、こっちはどうだ」というので、「さっきの切符の方が良い」と言って値段を聞いた。

 1万くらいかなと思っていたら、「ここに書いてある値段で良い」言ったのでビックリした。もう、開始間際で売れ残った切符の在庫処理中だったのだ。6950ptsと書いていたので7000pts渡して買った。闘牛場の中は、満員ではなかった。8割入っているかどうかだった。

 終わった後、牧ちゃんが泊まっているホテル、プエルタ・デ・ブルゴスで会う。ここは、闘牛士が泊まっているホテルだった。ロビーで待っているとホセリートが降りてきた。写真撮った。一緒の写真も牧ちゃんにとって貰った。ホセリートに東京のペーニャのメンバーですと言ったら喜んでいた。最後に握手したがとてもきつく握ったのでこっちも手に力が入った。顔は笑顔だった。

 ホセリートって身長は170くらいかな。俺よりちょっと高いくらいだ。でも、闘牛場で観ると大きく見える。良い闘牛士はみんなそうだ。牧ちゃんは、「ホセリートってホントに格好いい」と言っていた。男の俺が見てもそう思うのだから女から見たらもっとそう思うのだろう。闘牛の始まる前と違ってホセリートは穏やかそうだった。耳が取れなかったのにロビーでいろんな人と話をしていた。

 こういうことは昔はなかったように記憶している。結婚してから変わってのかも知れない。あるいは躁鬱気味なところがあるので躁の時だったのかも知れない。いや、違うな。結婚して変わったのだろう。1時間以上ロビーにいたもの。

 牧ちゃんは、ホセリートが耳を切れなかったことが不満だったが、闘牛は良かった。ただ、牛が良くはなかった。街の中心に歩いていってビールを飲んで別れた。昼食を御馳走になったのでしっかりお礼を言った。

 マイヨール広場からカテドラルへ行くと野外劇が始まった。爆竹がうるさいので静かなところに行って飯を食うことにした。マイヨール近くのレストランでモルシージャとソロミージョを食べた。どっちも美味しかったがソロミージョは、“シド”の方が美味い。1時過ぎに店を出て駅に向かった。そして、1時間遅れで電車は発車した。

 今日は、会わなければならない人が何人か居る。部屋の掃除、荷造り。色々やることが多い。スペインも今日を入れて後2日。TELも掛けなきゃならないし。忘れ事がないようにしないと。それと観戦記はこういう状況なので書けるかどうか判らない。結果だけ言っておこう。ホセリート、耳なし。ホセ・トマス、耳2枚でプエルタ・グランデ。ミゲル・アベジャン、耳1枚が2回でプエルタ・グランデ。


 6月29日(木)

 昨日は、エドゥーにあって下山さんの記事が載った新聞のコピーを渡した。セビージャの方でしか売ってない新聞なのでマドリードとかでは手に入りにくい。エドゥーは昼食を部屋で御馳走してくれた。外は高いからだ。今後の予定などを聞いて来年の再会を約束して別れた。

 それからくまさんの所に行って話をしてきた。くまさんの所の会員になった。なんだかんだ話していたら18時くらいになったので荷造りなど代える準備のために帰ってきた。夜、下山さんやM夫妻の所に電話した。また来年も来ようと思う。金は何とかなるだろう。問題は時間が作れるかどうかだ。

 荷物が重いので預けていくことにする。今年も良い闘牛が見れた。友人とも沢山あって色んな話が出来た。新しい友達もできた。良いビデオも持って帰れる。闘牛の会で良い発表が出来るだろう。さぁ日本に帰ろう。明後日は東京競馬場にいるだろう。


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