−−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−
por 斎藤祐司
過去の、断腸亭日常日記。 −−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−
太い斜字で書いてある所は99年のスペイン滞在日記です。
99年1月13日〜2月16日 | 2月19日〜4月14日 | 4月15日〜5月11日 | 5月12日〜6月4日 |
6月7日〜6月10日 | 6月13日〜7月9日 | 7月11日〜8月8日 |
8月9日(月)
京都から来た、闘牛の会メンバーの中村さんに会った。彼女の話だとビセンテ・バレラは闘牛場に出掛ける前に、アレハンドロ・サンスのCDを聞いてから行くそうだ。俺は聞いたことないけどスペインじゃブレイクした歌手だ。その他には、ルイス・ミゲル。と、言っても闘牛士じゃない。ポピュラーを現代風にアレンジして歌っているらしい。発音も判りやすいのでスペイン語の勉強にも役立つとのこと。
京都に帰ったら、歌詞とテープを送って貰うことになった。他にも、闘牛のテープを送って貰う。今年のバレンシア。2人で闘牛の話をしていると、「闘牛を見にスペインに行きたくなる」 と中村さんが言っていた。俺も、お金さえあれば今直ぐにでも行きたい。
日本に居ても闘牛の事ばかり考えている。と、彼女は言う。俺も似たようなものだ。こうやってHPまで作って居るんだから。上手くいけば来年はセビージャの春祭りと、マドリードのサン・イシドロを一緒に見れるだろう。
NHK、驚異の小宇宙人体V遺伝子・DNA、命を刻む時計の秘密 〜老化と死の設計図〜は、テロメアと、テロメナーゼの話し。テロメアは、染色体の端の部分を言い、細胞分裂の度に短くなっていって、寿命に関係していると見られている。そして短くなったテロメアを元の長さに直す働きを持っているのがテロメナーゼ。これは、体細胞にはなく、生殖器の中でのみあると言うことだ。
よって、染色体のテロメアは、元の長さにして子孫に伝えることが出来る。
メジャーリーグで、片手の投手、ジム・アボットが引退を決意したそうだ。日米大学野球の時から彼の生き方を尊敬していた。大リーガーになって活躍してホントに嬉しかった。ヤンキース時代には、ノーヒット・ノーランを達成した。非常に残念だが活躍できなくなったら引退するのがプロだ。だが、彼の人生は野球をやめてからの方が長いはずだ。これらもハンディキャップを乗り越えて生きていくことが出来るだろう、と俺は思う。
8月10日(火)
NHK、驚異の小宇宙人体V遺伝子・DNA、秘められたパワーを発揮せよ〜精神の設計図〜は、遺伝子と性格の関係についてだった。一卵性双生児の性格の違い。一卵性の三つ子。2人は、一緒に兄弟として暮らし、1人は、違う国で暮らす。性格が似ているのは、違う国で暮らす兄弟。同じ国で暮らす兄弟は性格が違っていた。
こういう違いは、遺伝子だけじゃなく、脳の神経を繋ぐ神経細胞の接続部分にある、シナプスの情報伝達の仕方の違いにもようるとのこと。それと、生活環境の違いで後天的に変わって来る。同じ家で暮らす一卵性双生児で性格が違うのも、交友関係の違いによるらしい。外部からの刺激によって脳細胞のネットワークを変える。
それと、性格(気性と言った方が良いかも知れない)と関係が深いと考えられる物質、セロトニン。これは、“不安”を感じる。これを、シナプスでリサイクルするのが、セロトニントランスポーター(セロトニンをシナプスで回収する、レセプター)。自殺未遂を繰り返す人間は、セロトニントランスポーター(タンパク質)が少ない。だから、直ぐに不安を感じて自殺したくなる。
新奇探索傾向。目新しさ危険な事に引きつけられる事。これも、遺伝子に関係している。日本人には、遺伝子的に数が少ない。闘牛士は、新奇探索傾向が強いのかも知れない。
DNAとは、人間の肉体を作るタンパク質を、何処にどう作るかを記入されている設計図。タンパク質の作られ方によって肉体が違ってくる。肉体=タンパク質の違いは、性格の違いになる。それは、環境の違いにも影響を受けるが、脳細胞の違いと言うことだ。
いずれにしても性格を作るのは、脳細胞なのだ。
今日時計をなくした。多分もう出てこないだろう。
サン・セバスティアンで、パディージャ、耳1枚。ビトリアで、ミゲル・アベジャン、耳1枚。
8月11日(水)
NHK、『14歳になりました』 は、7年に1回、同じ人間を訪ねて、今の生活や将来の夢を語って貰う番組。7歳の時に語った夢と、思春期になった14歳が語る夢の違い。これは、親の影響が物凄く強い。また、現実が少しずつ判って来ている年頃。伊万里の窯元の子供は、焼き物を作りたいと7年前言っていたが、今はやりたくないと言う。バブルが崩壊して窯元は倒産。父親は、従業員を解雇して1人で人形を焼いて生計を立てている。
農家の家に育った子供は、7年前農業をしたいと言っていたが、今は、場合によってはやるかも知れないと言う。何故かと言えば、減反などで農業をする環境が年々厳しくなってきている。それを、子供が感じている。親を見て大変だと感じているからだ。
去年家族旅行中に交通事故にあって、両親が重傷。それから、人との関わり方を考えるようになったという女の子は、家族の大切さ、周りの友人の大切さと痛切に感じた。今の夢は、福祉やボランティアをしたいという。
将来プロ野球選手になりたいという、在日韓国人の少年。今一番欲しい物は?と、問われて、何でも悩みを相談できる友人と、答えた、中国残留孤児の子供。7歳の時にはTVゲームばかりやっていて、今は、一切やらずに受験勉強をいている子。
色々な今の14歳が見れた。正直な感想は、変に大人びていて、子供らしいむちゃくちゃさが何故ないのだろうと、思った。彼等の内面には、中国残留孤児の子供が言った、「何でも悩みを相談できる友人」 が欲しいのかも知れない。こういう友人は、普通に学校に行っていれば、僕等の頃は簡単に出来たのに、今は出来にくいようだ。それぞれが自分の殻に閉じこもって他者との距離を縮める方法が判らないようだ。いや、怖くて出来ないのだろう。
今日、新宿三越で、サルバドール・ダリ展を見る。ダリの書く、血の涙は一体何なんだろう。ある絵では、20歳年上のピカソの書き方の影響が明らかに感じられる。涙を流す目など。また、三美神を描くにしても、足首から下が、男の様な厳つい足を書き、その上は女の曲線で書かれている。タイトルは、俺好みの、『液体的三美神のいる魔法の浜辺』 。ダリにとっても女は液体的なのだ。
また、『生きている静物』 の、特に水(酒かも知れない)は、スーパーリアリズムだ。ダリの絵は、構図や色彩だけじゃなく、絵のリアルさにおいても人を引きつける。勿論、タイトルもそうだ。『羊たち』 も感心してしまう作品。『春のはじめのころ』は、ダリのスケベさが出ていて面白い。ピカソだって晩年、女の陰部ばかりリアルに描いていたのだから、こういうのは好きだ。
美術館の中では、ブニュエルとダリの共同脚本の映画、『アンダルシアの犬』 をやっていた。改めて見たらこれは恋愛映画だった。中でかかっていた曲はワーグナーの、『トリスタンとイゾルデ』。元の話は、アーサー王聖杯伝説。その中の、トリスタンとイゾルデの話は世界で初めて、個人と個人の間の恋を描いた話だ。また、ワーグナーを使っているのもふざけていて良い。
ダリとブニュエルの出会いは、それぞれ違う分野で活躍する出発点の所にある、幸運な出会いだ。ブニュエルの、『銀河』と、ダリの、宗教画にはある種の共通点があるのかも知れない。
帰りに紀伊国屋で、『突破力』中坊公平、佐高信。NHK人間講座『歌謡曲って何だろう』阿久悠。を買ってきた。
昨日のサン・セバスティアン。ビセンテ・バレラ、耳なし。オルドニェス、耳1枚。ホセ・トマス、耳2枚。
8月12日(木)
NHK、驚異の小宇宙人体V遺伝子・DNA、〜未来人の設計図〜は、遺伝子操作をして病気や農作物を改良していく話。基本的に病気にしろ、農作物にしろDNA操作をするのは反対だ。最近、日本でもDNA操作をした農作物の表記を義務づける法律が国会を通った。自然じゃないのもは危ないのだ。
NHK、「バイキング・ロード」 前編に、ジブラルタル海峡でのマグロ取りをやっていた。マグロを捕る漁師をアルマドラバという。インディオと言う綽名の漁師は、アルマドラバは今非常に人気があると、言う。何故なら日本からマグロを買い付けに船が来るようになって生活が良くなったからだという。
インディオの息子達はアルマドラバになりたがっている。そのインディオが日本から来た船がマグロを積み終えて出航するのを見ながら、「俺は満足だ。日本からマグロを買い付けに来るようになって生活が楽になった。」、と。マグロ取りは、危険な仕事だ。置き網から他の網にマグロを追い込み、テカギを刺して船に引き上げる。船から落ちると150kg以上あるマグロのヒレで叩かれ、命の保証はないのだ。アルマドラバを現地では、“海の闘牛士”と言う。
昨日のサン・セバスティアン。ファン・モラ、耳1枚。ポンセ、耳1枚。エル・フリ、耳1枚。ウエスカ。ペピン・リリア、耳2枚。
8月13日(金)
今日でHP開設11ヶ月目になる。闘牛士の怪我が目立ってきた。ファン・モラ、エスパルタコ、エウヘニオ・デ・モラ、パディージャ、ビセンテ・バレラ、アベジャンもコヒーダされた。暑さとハードスケジュールと疲れ。闘牛士には大変な時期だ。
8月15日のバイオンヌのカルテルは切符が売り切れだそうだ。カルテルは、セサル・リンコン、ホセ・トマス、エル・フリ。フランスでは1年で何回か本当に良いカルテルがある。スペインなら直ぐ出来ないカルテルがフランスなら観客の要求に直ぐ応えてくれる。
昨日のサン・セバスティアン。セサル・リンコン、monumental bronca だって。こんな日もある。オルドニェス、場内一周。アベジャン、場内一周。コヒーダ。ウエスカ。マヌエル・カバジェーロ、耳3枚。パディージャ、耳2枚。コヒーダ。エウヘニオ・デ・モラ、耳1枚要求。コヒーダ。
8月15日(日)
昨日は物凄い雨だった。まるで女のションベンを浴びてるような雨だった。今日は一転暑かった。
54年目の敗戦記念日。精神で戦った日本は原爆二発を浴びて無条件降伏。その後、A級戦犯が首相になる国だ。反省などあるはずがない。だから、希望も夢もない国になった。よく共産党や、旧社会党が、「民主主義の根幹に関わる問題だ」などど言う言い方をするが、日本が民主主義だった時って一体いつなんだ?
この国は、いつまでたっても民主主義の国にはならないだろう。人と人とのコミュニケーションの取り方を知らない民族なのだから。戦後、復興の象徴になった、「リンゴの歌」。♪赤いリンゴに くちびるよせて だまって見ている 青い空 リンゴはなんにも 言わないけれど リンゴの気持ちは よくわかる リンゴかわいや かわいやリンゴ♪
日本人の心情は、♪リンゴはなんにも 言わないけれど リンゴの気持ちは よくわかる♪なのだ。つまり、言わなくても判る世界からしか脱却出来ずにいる。世界は、言わなきゃ判らないことだらけなのに。日本人的な精神土壌がこういううちは何ら変わらないのかも知れない。
13日、マドリード、ラス・ベンタスの結果。フェルナンド・ロブレニョ、耳1枚、耳1枚。プエルタ・グランデ。サン・セバスティアン。ポンセ、耳1枚、耳1枚。
昨日の結果。オルドニェス、場内一周。ホセ・トマス、耳1枚。エル・フリ、耳なし。
8月16日(月)
今日、松田君に手伝って貰ってムレタの写真を撮った。が、上手い具合に取れていない。やり直しだ。
昨日の結果。バイオンヌ。セサル・リンコン、耳3枚。ホセ・トマス、耳3枚。エル・フリ、耳3枚。3人のプエルタ・グランデ。今日はとても気分が良い。闘牛場はとんでもなく盛り上がった様だ。観客の期待に応えた3人の闘牛士は立派だ。総立ちの観客の中を3人が肩車で場内一周。プエルタ・グランデからの凱旋になった。
8月17日(火)
非常に重要な事が、El Mundo に載っていた。大闘牛士、セサル・リンコンが引退を決意し発表した、と。
記事は短い物だった。が、僕にとってはとんでもなく大きな記事だ。僕に闘牛のほとんど全てを教えてくれたのは、セサル・リンコンの闘牛だった。セサルの闘牛と、ホセリート、オルテガ・カノ。エスパルタコの悪い闘牛。この4人の闘牛の比較をやっている内に闘牛が判っていったのが91年だった。その後、ポンセ、ホセ・トマス、エル・フリの闘牛がスペイン中を沸かせた。
史上最高の闘牛士は、ホセ・トマスだろう。ホセ・トマスは、97年のサン・イシドロ祭のプエルタ・グランデも見たし、97年スペイン中で見た。98年、99年のサン・イシドロ祭のプエルタ・グランデも見た。兎に角、凄い技で観客を沸かせ続けている。だが、どうしてだろう。感心して見ているのだが、感動したことがないのだ。
ビクトル・プエルトのファエナに胸が熱くなったり、エル・フリに感動して涙したり、ホセリートに体が震えそうになったりした。だが、ホセ・トマスには一度も感動しなかった。セサルの闘牛には、上記の全てがあった。闘牛が生きる希望になった。理屈を越えた凄さがあった。
ホセ・トマスは、全て言葉で説明できてしまうのだ。感情が勃起しないのだ。それでも、僕は言う。ホセ・トマスは、史上最高の闘牛士だと。セサルは、最も感動的な闘牛士だ。
非常に悲しいことだが、ついに来る日が来た。91年最高の闘牛士だったセサル。今年6月6日、グラナダでつまらなそうにペピン・リリアのファエナを見ていたセサル。僕はセサルの最高の時を見ているし、最低の時も見ている。だからこそ言う。セサルは、見ている人の気持ちを引きつけて離さない闘牛のコアを持っている、と。
何か、気が抜けたような感じだ。寂しい。これで闘牛が終わったような気さえする。
8月22日(日)
昨日の夜にTELがあった。受話器を取ると、「今晩は。誰だか判りますか?」と来た。馬鹿野郎1年以上話してなくても判るよ。と、心で思ったが、「一馬(かずま)だろ」 「判りますか」 当たり前だ。あんだけ競馬の話をしたんだから。
あいつは俺と会って、競馬新聞に入った。入社直後に中山競馬場のパドックで背中を叩く奴がいた。それが一馬だった。曰く、「斎藤さん、ジェニュインは偽物ですよ。うちの新聞社のトラック・マンがみんな、あれは偽物だって言ってますよ」と来た。あいつが入った競馬新聞社は、俺が競馬を始めたときからずっと買っている新聞だ。トラック・マンの名前もほとんど知っている。具体的な名前を挙げてそう言うことを言う。
前日、その新聞とにらめっこして、ジェニュイン、タヤスツヨシ、ホッカイルソーの3点を5000円か、10000円ずつ買おうと思っていたのだ。そして、今まさにパドックで最終確認して、その3点を買おうと思っていたときだった。その言葉を聞いて急に自信がなくなって1000円ずつの3点にして買った。
結果は、ご存じの通り、あの皐月賞、1着ジェニュイン、2着タヤスツヨシ。配当2800円ぐらいだった。あの時パドックで奴に会わなかったら、最低5000円X2800円=14万円になっていたのに・・・。
一馬は今、北海道の道営競馬のトラック・マンをやっている。もう何年になるのだろう。元気に仕事している。話が競馬の話になって、最近地方の馬が中央の馬を負かして、道営競馬のトラック・マンとしてはとても嬉しいと、言っていた。古くは、ハイセイコーからオグリキャップ、メイセイオペラまで。
そしてこの前の函館3歳ステークスを勝った道営競馬の馬の話。そして今日のクローバー賞に出る、タキノスペシャルは、函館3歳ステークスを勝った馬より3枚上です。と言う。 ほんまかいな。結果は中央馬の1,2着で、タキノスペシャルは3着だった。今日俺は仕事で、セイウンスカイの単勝も買えなかった。競馬をやらなかったのだ。
一馬。変わってねぇよな、お前。そう言うお前が俺は好きだぜ。馬券だけが競馬じゃねぇ。お互いこれからも競馬を、より理解しようぜ。わざわざ中元に夕張メロンを送くんなくても良いのに。でも、最近、小クワガタを飼っているので、俺の食べカスは彼等にやろうと思う。
今日のセイウンスカイは、後方からの競馬。新境地を開いた重要な競馬だった。
セサル・リンコンは、来年 an~o saba`tico(安息の年)を取るという。まだ、ちゃんと訳してないのでハッキリしないが、どうやら2001年にまた闘牛をするようだ。
少し気持ちが落ち着いた。一時は、HPを続ける気も失いかけた。メールで闘牛の質問してくる人や、掲示板に書き込みをしてくれる人もいる。HPの更新もしないのにアクセスが増える。嬉しいことだ。一馬も道営競馬のHPを作りたいと言っていた。俺も闘牛普及のHP作りを続けていこうと思う。一馬、早くパソコン買ってメールのやり取りしようよ。
今年の秋競馬は、面白くなりそうだ。
8月23日(月)
高円寺では、祭りの準備が始まった。鳶が観客席の作って提灯の飾り付けも終わって。公園では子供達に大人が踊りを教えている。街のそこかしこで囃子に合わせて踊りの練習をしている。
ビルバオの結果。トマス・カンプサーノ、場内一周が2回。オスカル・イガレス、場内一周、耳1枚。ホセ・イグナシオ・ラモス、場内一周。マラガ。ポンセ、耳1枚。ホセ・トマス、耳1枚。モランテ・デ・ラ・プエブラ、耳1枚。マドリード、ラス・ベンタス。フラスクエロ、耳1枚が2回。プエルタ・グランデ。
8月24日(火)
日が暮れてから稲妻が光り、雷が鳴り、どしゃ降りの雨が降った。JRは各線で電車が止まった様だ。この雨は、秋を呼ぶ雨だという。
アルメリアの結果。ポンセ、耳3枚。エル・フリ、耳1枚が2回。ホセ・ガブリエル・オリベンシア、耳1枚。
8月25日(水)
雨のせいで朝涼しくなった。でも相変わらず昼間は暑い。
アルメリアの結果。オルドニェス、耳1枚に場内二周。ホセ・トマス、耳4枚。モランテ・デ・ラ・プエブラ、耳2枚。
8月26日(木)
スペインから送られてきた闘牛のビデオを観ている。今年の7月14日、パンプローナ。セサル・リンコン、ポンセ、ペピン・リリア。ペピン・コールの中のファエナ。静かだが確実な技を見せて良い闘牛をやった、セサル。セサルのカポーテは凄い。地味だが素晴らしく良い。エル・フリの派手なカポーテだけしか目がいかない人は見る目がない。
ファエナの時のセサルの楽しそうな顔が印象的だ。両足を揃えたナトゥラルは特に良かった。その後の、右手のパセ、シルクラールも。珍しくナトゥラルの方が良かったのは、ビックリ。右手は良いのだからナトゥラルが良ければ言うことなし。剣刺しは、レシビエンド。完璧だった。2枚目の耳を観客は要求したが1枚だった。残念。
メールを書きながらなので、ポンセをしっかり観ていない。これから観る。
アルメリアの結果。エスパルタコ、場内一周。ポンセ、耳なし。ミゲル・アベジャン、耳1枚が2回。
8月27日(金)
昨日のビデオの続き。ポンセはいつものポンセ。あれで耳2枚ならどうしてセサルが耳1枚なんだろう。
アルメリアの結果。エル・コルドベス、耳2枚。ホセ・トマス、耳1枚ともう1枚要求。エル・フリ、耳1枚ともう1枚要求。
8月29日(日)
セビージャの女子マラソンと辰吉丈一郎のボクシングを交互に観ていた。辰吉はやはり駄目だった。観ていて悲しくなった。元もとガードが悪いボクサー。手数も少ないし、あれだけ打たれれば負けて当たり前だ。試合の度に顔面が腫れる。当然目にも負担が来るだろう。それでも辰吉の人気は凄い。俺も辰吉が好きだが、ボクサーとしてはな・・・。
女子マラソンは最後に北朝鮮の選手に抜かれた。バルセロナ、オリンピックの時も韓国か北朝鮮の選手に負けたよな。過去の政治的なことが朝鮮民族に日本にだけは負けたくないと思って最後に踏ん張らせるのだろうか。
男子マラソンのアントン優勝の盛り上がりは凄かった。97年セサルと食事しているときアントンの事をTVでやっていた。セサルはマラソンではそんなに金は稼げないだろうと言っていた。闘牛に比べれば比じゃない。でも、アントンはスペイン人の期待に応えたのは立派だ。
27日アルメニアの結果。セサル・リンコン、耳1枚。マヌエル・カバジェーロ、耳1枚要求。ルイス・マヌエル、耳3枚。サン・セバスティアン・デ・ロス・レジェス、エル・コルドベス、耳1枚が2回。ビセンテ・バレラ、耳3枚。ウセダ・レアル、耳3枚。
28日アルメリアの結果。マンサナレス、耳なし。ビセンテ・バレラ、耳1枚。モランテ・デ・ラ・プエブラ、耳1枚。サン・セバスティアン・デ・ロス・レジェス、エル・フンディ、耳なし。オスカル・イガレス、耳1枚。エル・カリファ、耳1枚。リナレス、ホセ・トマス、耳2枚。
8月30日(月)
闘牛の会の井戸さんにTEL。10月の定例会の題目と発表者が決まった。月報で、7月の片山さんの原稿がどうなっているか聞くと、まだ頼んでない、とのこと。俺が、先生はいないかも知れませんよ。パリかマドリードにいるかも知れない。と、言うと、斎藤さん初めから聞いていたでしょう。来た来た。それって、俺に書けって言ってるようなもんだ。そりゃーノートはちゃんと取ってますよ。でも、9月の月報の原稿って全部俺が書くわけ?週末に確認のTELをかけなきゃならなくなった。
昨日の夜の雨は何だ。パラパラ降ってきたと思ったら、アッという間にどしゃ降りになった。あの雨の中で頭にシャンプーを付けて髪を洗い、体も洗ったとしても泡の立つ暇もなかっただろう。それくらい凄いスコールのような雨だった。山手線は信号故障のため、一時運行が出来なくなった。
16日に東急本店で去年の報道写真展を観た。コソボ、東南アジアの悲惨な死体の写真が多かった。うんざりしてくる。人殺しがそんなに面白いか。今日NHK教育TVでコソボを取材した写真家、大石芳野さんの写真特集番組がある。女性らしい視点からこの惨劇と人間を捉えていることだろう。
メールなどで闘牛のことを聞いてきた人がいた。彼女はエル・フリとホセ・トマスを見たがっていた。これは、良きに付け悪しきに付け僕の影響大だ。29日、サン・セバスティアン・デ・ロス・レジェスで、ホセ・トマスとミゲル・アベジャンを観ると言って旅立った。結果は下の通りだ。初めての闘牛観戦だったのかは知らない。でも、良いカルテルで耳10枚。興奮して帰って来るんじゃないかな。
サン・セバスティアン・デ・ロス・レジェスの結果。マンサナレス、耳2枚。ホセ・トマス、耳4枚。ミゲル・アベジャン、耳4枚。リナレス。ポンセとエル・フリがプエルタ・グランデ。コルメナール・ビエホ。牛が悪くペピン・リリアとダビラ・ミウラは耳なし。ウセダ・レアル、耳1枚。
8月31日(火)
今日の大ニュースは、何と言ってもエル・フリのコヒーダ重傷。ログローニョのサン・ミジャン病院に担ぎ込まれた。この日最後の牛は、おとなしく、危険な牛。左角がフリアンの右大腿を2カ所刺した。1カ所は15か20cm。もう1カ所は、その下を10cm。筋肉を損傷した。全身麻酔がかけられ手術が行われた。
復帰までの期間は、新聞によって違う。15日か20日と書いているのと、25日と書いてあるものがある。いずれにせよこれで、9月中旬まで休養を余儀なくされた。
9月1日(水)
いよいよ9月。今日も残業。帰ってきてインター・ネットでスペインの新聞を見ようとしたら開かない。ieを使うと一つだけ開いた。エル・フリは復帰まで20日間掛かるそうだ。
昨日の結果。サン・セバスティアン・デ・ロス・レジェス。オルドニェス、耳2枚。ホセ・トマス、耳4枚と尻尾1つ。モランテ・デ・ラ・プエブラ、耳2枚と尻尾要求。コルメナール・ビエホ。マヌエル・カバジェーロ、耳なし。エル・コルドベス、耳3枚。ミゲル・アベジャン、耳1枚。
9月2日(木)
涼しくなった。今日の夜は寒いくらいだ。残暑もこれで終わりなら楽なのだがそんな都合の良いことにはならないだろう。昨日のマドリードも涼しかったようだ。と言うか雨だった。
アルカラ・デ・エナレスの結果。リトリ、耳2枚。ポンセ、耳2枚。エル・フリに代わりミゲルアベジャン、耳3枚。コルメナール・ビエホは、雨で中止。クエジャール、エスパルタコ、耳2枚。エル・コルドベス、耳4枚。オルドニェス、耳1枚。
9月3日(金)
最近23時20分頃、プロバイダーにアクセスしようとしてもなかなか繋がらない。一昨日は、繋がったのは0時過ぎだった。アクセス・ポイントを変えようかと思って調べたら今のままの方が良いことが判った。
アルカラ・デ・エナレスの結果。アントニェーテ、耳1枚。エスパルタコ、耳2枚。エル・コルドベス、耳1枚が2回。パレンシア、マンサナレス、耳なし。ダビ・ルギジャーノ、耳1枚。モランテ・デ・ラ・プエブラ、耳3枚。
フェリア・デ・オトーニョのカルテルが一つ決まる。何日かは明記されていない。ビセンテ・バレラ、モランテ・デ・ラ・プエブラ、エウヘニオ・デ・モラ。
9月4日(土)
フェリア・デ・オトーニョのカルテルが発表になった。期待する闘牛士ではバレラ、モランテ、エウヘニオ、ウセダ・レアルが出場する。ノビジェーロでは、エル・ファンディが出る。
パレンシアの結果。エル・フリが出ず。ポンセ、耳2枚。ミゲル・アベジャン、耳1枚。
9月5日(日)
今日はセサル・リンコンの誕生日。
1枚の写真を見て感動してしまった。朝日新聞に載っていた写真だ。橋の上をリヤカーを引くお婆さん。荷台には荷物が高く積まれ引く手は肩のあたりにある。割烹着に前掛け。日本手拭いを頭から頬かぶりにして雨笠を着けている。顔は笠に隠れて見えない。重そうな荷物を一歩一歩ゆっくり踏みしめて歩いている。
記事のタイトルは、「毎朝7時5分。信濃川にかかる万代橋をリヤカーを引いて渡る女性がいます」。記事のきっかけになったのは読者からの投稿。会社員の斎藤健一さんは、「自転車出勤する途中、万代橋で1人の女性とすれ違います。リヤカーの荷台には山と積まれた箱に入った魚です。黙々とリヤカーを引く姿が、働く美しさを謙譲に語ってくれます」。
斎藤さんがこの光景を強く意識するようになったのは五ヶ月前。地元育ちの斎藤さんは三、四十代の頃朝夕万代橋を渡って通勤していた。その時もこの姿をにていたはずだ。七年ぶりに首都圏での単身赴任を終えて今秋新潟に戻った。以前と同じ時刻に同じ姿で万代橋を渡っていく姿に接した瞬間、感動が突き上げてきた。
「必要以上に金を儲けることや、他人と競争するこことは無縁に働く姿を、美しいと思った。働くことの本当の意味を語っているような気がした」という。
リヤカーを引くのは、加藤久代さん、78歳。尋常小学校を出て24歳で見合い結婚。戦争で兄と弟を失い、出征後、2ヶ月で帰ってきた夫は、仕事を転々とした。2人娘が生まれたが生活は楽でなかった。大酒のみの夫に金のことで文句を言うと、痣が出来るほど殴られた。
「私はそれが憎くてねぇ。暴力は嫌でねぇ」 その夫も10年前に死んだ。 「いけないことだけど、娘と喜びました。ただ、亡くなる2ヶ月前、大きな涙をぽとぽと落として、『お前に拾われたようなもんだ』と言われました。私は、『いまさらそんなこと言われても、40年棒にふりましたよ』って言ってやりましたけど」
娘達も独立し、いまは1人暮らし。行商での儲けは1日3,4千円。それと1ヶ月約7万円の年金が、生活費の全てだ。「年を取ると度胸がついてくるからね。くよくよしたってしょうがないから。なるようにしかならんしね。いまが一番安心ですね。何の心配もなくてね」
婆さんは今日も万代橋をリヤカーを引いて渡る。労働の本質はこういうものなのだろう。日本の女は強かった。特に母は。今の母は、睡眠薬入りのカレーを子供に食わせて殺し、保険金を受け取ろうとしたり、とんでもない。親がこうだからその親に育てられる子供もおかしくなるのだろう。
ロンダの結果。エスパルタコ、耳1枚。オルドニェス、耳なし。ホセ・トマス、耳2枚。パレンシア、マヌエル・カバジェーロ、耳1枚が2回。マノロ・サンチェス、耳なし。ペピン・リリア、耳1枚。バイオンヌ、エル・フリに代わり、セサル・リンコン、耳1枚。ポンセ、耳なし。ウセダ・レアル、耳なし。
9月6日(月)
闘牛の会の井戸さんにTELする。片山先生は日本にいた。おかげて7月の原稿を書かなくてすんだ。今週の土曜日闘牛の会。ビデオの準備もしなくてはならない。松田君にもTELした。公園でカポーテとムレタの写真を撮ってきた。今日アップしようと思ったが出来そうもない。明日以降になる。
下山さんの事も書いているので今週中にアップできるだろう。
バルセロナの結果。ハビエル・バスケス、場内一周が2回。ルイス・デ・パウロバ、耳なし。ルイス・ミゲル・エンカボ、耳1枚。パレンシア、エル・コルドベス、耳2枚。オルドニェス、耳1枚。ホセ・トマス、耳1枚が2回。バイオンヌ、フェルナンド・メカ、耳1枚。ミゲル・ロドリゲス、耳なし。ペピン・リリア、耳1枚。アランフェス、リトリ、耳1枚。ファン・モラ、場内一周。エウヘニオ・デ・モラに代わって、ホセ・ルイス・モレノ、場内二周。アルカサール・デ・サン・ファン、クーロ・ロメロ、耳なし。エスパルタコ、耳2枚。アニバル・ルイス、耳2枚。エハア・デ・ロス・カバジェーロス、ポンセ、耳2枚。エル・フリに代わって、マヌエル・カバジェーロ、耳4枚。ペドゥリート・デ・ポルトゥガル、耳1枚。
9月7日(火)
今日は曇りだったが蒸し暑い日だった。
朝からTVでは、金嬉老の仮釈放を伝えた。全共闘前夜と言っていい時期に在日韓国人の金嬉老は、債権取り立てをめぐるトラブルから暴力団員2人を射殺。寸又峡の温泉旅館に、ライフル、ダイナマイト、青酸カリを持って、人質を取って立てこもる。マスコミなどを旅館に迎え入れて声明のようなものを出す。
正確ではないがこんな言い方だった。「無学な自分は、日本人の朝鮮人に対する差別を、こんな形でしか告発することが出来なかった。」 逮捕後、裁判で無期懲役が確定、服役していた。法務当局は、服役が既に24年に達していること、改しゅんの情があり再犯の恐れがないこと、韓国内での身元引き受け態勢が整っていることなどから、更生保護委員会に仮釈放を申請、認められた。
早朝3時50分と言う異例とも思える時間に仮釈放され、成田には5時過ぎに到着した。暴力団の報復が懸念された為だという。釜山の空港も500人の特殊部隊が警戒に当たったそうだ。釜山は金嬉老の両親の出身地。母親の遺骨を納骨した。韓国は歓迎ムード。記者会見や国会訪問などの予定が入っている。
記者会見で、時計を二つ出して、金嬉老と朴三中氏がこれから腕に着けて、これからの時を共に刻んで行きたいとのこと。「これからは、少年刑務所など慰問に行って講演したい」と言っていた。
「人を殺す権利は誰にもありません。私にもありません。」 気づくと言うことに遅いと言うことはないのだ。
丁度同時期に起きた、連続射殺魔、永山則夫は、自分が人を殺したのは無知のせいだと、言った。金嬉老とは人間の本質が違うようだ。人のせいや何かのせいにするのは簡単だ。永山は政治的だが、金嬉老は社会的だ。永山は確信犯だが、金嬉老は反省を忘れない。
身元引受人になった朴三中氏は韓国の僧侶で、服役囚の社会復帰の手助けを長年やって来た人だそうだ。金嬉老は、もう一つの人生を今日歩みだした。
アンドゥハルの結果。エル・フリに代わり、ファンモラ、場内一周。ポンセ、耳1枚。ホセ・トマス、耳1枚。
9月8日(水)
帰ってきたのが0時過ぎ。明日の仕事は早い。
池袋の東急ハンズ前で通り魔事件。8人が刺され2人が死亡した模様。犯人は現行犯逮捕。24歳の元新聞配達員。仕事を首になって1週間前に人を殺すことを決意したとのこと。そんなこと決意しないで、違うことを決意しろ!
ウティエルの結果。ポンセ、耳3枚。ビセンテ・バレラ、耳4枚。オルドニェス、耳3枚と尻尾1つ。モラレハ・デ・エンメディオ、牛、ホセリート。ホセ・ルイス・ボテ、耳3枚と尻尾1つ。ミゲル・ロドリゲス、耳4枚と尻尾1つ。(マノ・ア・マノ)。カラタジュ、エル・フリに代わって、出場のペピン・リリアだけが耳1枚を取った。
9月9日(木)
今日は、コンピューターソフトのプログラムがおかしくなるかも知れない日だったが、特に問題はなかった様だ。
NHK、『クローズ・アップ現代』で、日本リースの倒産再建の陣頭指揮を取った管財人の話をしていた。企業倒産再建を手掛ける管財人はその企業にとって生死がかかっている。能力のない管財人が来れば再建は絶望になる。日本リースの管財人がやった方法は、会社を他の企業に売却して、雇用と今のままでの営業を続けて再建をする方法だ。
リース部門は、アメリカの有力ノン・バンクの子会社。これはすんなり決まった。が、問題になったのは不動産部門。これを、複数の企業に競わせて高く売却した。これもGM系のノン・バンクだった。債権者にも、これからのビジョンをしっかり説明し、従業員にも雇用と今後の計画を説明して安心させた。
俺も、倒産企業の再建期に働いていたので管財人の重要性は充分判っている。だから、この管財人がやった再建は、日本企業だけに売却すること考えず、グローバルにものを考えた結果だ。
アルバセーテの結果。セサル・リンコン、耳なし。エル・フリに代わって、ファン・モラ、耳なし。右大腿刺される怪我。エル・コルドベス、耳なし。バルバストロ、リトリ、耳1枚が2回。ミゲル・アベジャン、耳3枚。エウヘニオ・デ・モラに代わって、アルベルト・ラミレス、耳1枚が2回。
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