断腸亭日常日記 2000年、その3

−−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−

por 斎藤祐司


過去の、断腸亭日常日記。  −−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−

太い斜字で書いてある所は99年のスペイン滞在日記です。

99年1月13日〜2月16日 2月19日〜4月14日 4月15日〜5月11日 5月12日〜6月4日
6月7日〜6月10日 6月13日〜7月9日 7月11日〜8月8日 8月9日〜9月9日
9月12日〜10月7日 10月10日〜11月10日 11月14日〜11月28日 12月12日〜12月31日
2000年1月1日〜15日 1月16日〜1月31日

 2000年2月1日(火)

 昨日は寒い日だった。朝いつものようにマクドナルドでホットケーキの朝食を取って出ようとしたら、「ありがとう御座います、行ってらっしゃいませ」と、店員が言った。これから家に帰って寝るんだけどなぁ、と思ったが、これは接客マニュアルってやつだ。マニュアルって仕事では基準になるものだから重要だけど、生き方や人生にはマニュアルはないのだ。

 仕事を離れたらマニュアルから離れるべきだ。

 30日ボゴタ(コロンビア)の結果。ネルソン・セグラ、耳1枚。エル・フリ、耳1枚。ウセダ・レアル、−。 30日、サン・クリストバル(ベネズエラ)の結果。レオナルド・ベニティス、−。マヌエル・カバジェーロ、耳2枚。ファン・バウティスタ、耳3枚。


 2月2日(水)

 今日は朝のバリューセットを食べられないくらいの残業だった。バレンシアの火祭りのカルテルが一部発表された。ホセリートもホセ・トマスもエル・フリも出ない。エスパルタコやマンサナレスじゃなぁ。


 2月3日(木)

 いつの間にか木曜日。あさっては闘牛の会だ。用意が出来ていない。

 今日もまたバリューセットが食べられなかった。昨日は忙しそうだったから止めた店に、今日は入って飯を食った。おばちゃんが1人でやってる店で定食などを出している。初めて入ったが特にみそ汁が美味かった。鰹節や昆布でダシと取るのじゃなく、煮干しでダシを取っていた。みそ汁はこうでなくちゃ行けない。

 地域によってみそ汁のダシの取り方は違うだろう。ガキの頃お祖母ちゃんに作って貰ったみそ汁は、煮干しでダシを取ったものだった。幼い頃から口に馴染んだ味は忘れられない。もし記憶喪失になってもこういうみそ汁を飲んだなら記憶が戻りそうなみそ汁だ。

 おばちゃんのみそ汁を飲んでそんなことを思った。男の料理はレストランに行って食えばいい。あるいは、美味いラーメン屋に行けばいい。でも、女の料理は人の味覚の原点に位置するものだ。こういう女の料理は何だか元気が出てくるし、体が嬉しさを感じてしまう。汚ねぇ店だけど気に入った。バリューセット食うよりこういう料理の方がずっと良い。でもこんな店少ないんだろうな。

 今はマニュアル化されたチェーン店ばかり。人間性はマニュアルでならされて、美味いものではなく、安定した味を店も客も求めるんじゃ個人が経営する店は少なくなるだけだ。個性個性と言われている割には、平均、安定が喜ばれている。何か変だよな。


 2月6日(日)

 超忙しい。取りあえずバレンシアの火祭りのカルテルが発表したのでアップした。


 2月10日(水)

 忙しい。24時間体制で仕事に入らなければならないのかとと思っていたが、そうならなくて良かった。

 夜中に鼻水を垂らして働いている男がいた。鼻の下に左と右側に鼻水が乾いた2本の線が縦に出来ている。街灯の光を浴びて止めどなく流れ出る男の鼻水が光っていた。鼻をかむ分けでもない、手で拭うわけでもない。休むことなく手を動かしているのでそんな暇がないのだろうか。

 その男を見て美しいと思った。

 家族のために寒風の中、黙々と働く。素晴らしいことだ。こういう姿を、汚いとか、醜いとか思う人は、その人の今までの人生の方が、醜いのだ。

 カステジョンのカルテルが一部発表された。各地の結果も出ている。が、あまり時間がない。そのうち・・・。

 京都の小学生刺殺事件の容疑者が自殺し、昨日は、50前後の男女がメッタ刺しになって死傷した。これは、過激派の内ゲバのようだ。内ゲバで良かった。そうじゃなければ猟奇事件だ。勿論、内ゲバも猟奇的だが、一般人(俗に言う、普通の人)がやったのならこっちにも降りかかってくる可能性があるが、内ゲバじゃその可能性がない。


 2月13日(日)

 土曜日、岡部幸雄が前人未踏の2600勝を達成した。仕事で遅くなって家に帰れなくなってホテルでTVをつけていたがウトウトしている間の出来事だった。1年100勝しても26年掛かる大記録だ。馬券は買ってなかったがとても嬉しかった。

 今日家に帰ってきてHPを開いたら松田君からの書き込みがありデジカメを返し、ビデオを交換した。16日から1ヶ月スペインに行くと言うことだった。3月5日のラス・ベンタスで国王の母親を称えた闘牛を見てくると言う。他にもビクトル・プエルトのウニコの見てくる予定でいるようだ。美術の勉強とサッカーと闘牛。金はない様だけど帰ってきたら面白い話を聞かせて欲しい。

 夜、池袋に行ってトリフォーの『恋愛日記』を見てきた。葬式のシーンから始まるが出席者は全員女性と言う異様なもの。棺を墓穴に入れて女達が土を掛けていく。「この角度は生前彼が1番好んだ角度だった。」ナレーションが入る。丁度、埋葬される穴から女の足を見る。「彼は良く言っていた。女の足は美しい地球を測るコンパスだ。」(ちょっと違ったかな)

 改めてトリフォーを見て、女の足のフェティシズムが描かれていたのが面白かった。主人公は顔ではなく、足に惚れる。こういうあり方が可笑しい。当然女は美人だけが出てくるわけではない。そういう所も良い。次回上映予定の『緑色の部屋』のナタリー・バイはただただ美しい。だがこの映画に出てくる女達はいろんな個性を持っている。そしてそういう女達を彼は愛した。

 恋愛は情熱だ。良くもまぁ女のことばかり追いかけて街を歩けるものだ。そしてトリフォーのドラマツルギーは大人用のものだ。


 2月16日(水)

 とにかく忙しい。先々週は闘牛の会の後、夜、昼、夜で仕事に入った。それでも後楽園に行って馬券を買ってきた自分を愛しいと思った。何が重要なのか?その一つが基準。それを理解していないと滅茶苦茶になってしまう。闘牛ならクルサード。競馬なら馬と一体になれるか。サッカーならトラッピングや回りをどれだけ見れるか。仕事ならどれだけ回りに気を使うことが出来るか。仕事はお金の関係で出来ている。でもそれ以上のことはお金を越えた所にある。金だけじゃない、楽しみ喜びを共有できればそれ以上のものが出てくる。基準は重要だ。そして自分を愛せること。だから回りの人間を愛していける。人を愛せない奴は何もできない。


 2月17日(木)

 残業が終わって歩道橋を上っていくと、1列に男達が並んで同じ方向を見ていた。何を見ているのかとその方向を見たら、競馬場で馬達がレースの最中だった。なるほどね。そりゃ見るわ。と思ったが大分遠いので小さくしか見えない。でも、ゴール板を過ぎて向こう正面のこちら側に流してくる馬達の元気な走りを見て気分が良かった。

 スペインには、4月20日位に行こうと思っている。仕事の関係で未だどうなるかは判らないが。


 2月18日(金)

 訂正しなければならないことが出来た。ホセリートの復帰第1戦は3月30日ホセ・トマスとのマノ・ア・マノになる模様。


 2月19日(土)

何だかよく判らない。

今月の初めにカステジョンのカルテルが、あるHPに出ていた。18日ABCにカステジョンのカルテルが載った。19日にEL PAISにカステジョンのカルテルが載った。その全てが違うのだ。一体どれが正しいのか判らない。特に1番大事な、エル・フリとホセリート、ホセ・トマスの日付が反対になっている。スペインってそういう国だと思っていたけど、早くハッキリして欲しい。

 追記。後で見たら同じものが2つあったのでそれを正しいと判断し、アップしなおそう。


 2月21日(月)

 とにかく忙しい。寝る暇がないほどだ。今日だって12時まで残業。これから出勤。

 昨日のフェブラリーSは、ペリエ(フランス)の乗ったウイングアローが勝った。ガッツポーズで喜びを表現していたが、笑顔でのインタビューを聞いていると憎めないな、と思った。初来日当時、ヨーロッパのトップクラスのジョッキーと言う事で騎乗していたが勝ちきれないレースが多かった。それに直線で良くムチを落とすことでも有名だった。

 しかし今は、デットーリと双璧をなすヨーロッパトップジョッキーになった。ペリエが来日するとペリエから馬券を買う人が居るほどだ。直線に向いたときの手応えでは、故郷のメイセイオペラの菅原騎手の方が断然だった。それを相手に持ってくるのだから凄い。「ペリエ」コールまで起きた東京競馬場。工藤調教師の引退に花を添えた。厩舎は南井克己に引き継がれる。南井。オグリキャップやタマモクロス、ナリタブライアンのような馬を育ててくれよ。

 こんなに忙しいと好きな競馬か闘牛のことを考えないとやってられないよ。


 2月22日(火)

 NHKの昼の番組に、石橋連司が出ていた。4月に第7病棟が芝居をやるということ。脚本は、唐十郎。主演は勿論、石橋連司と緑魔子。番組を見ていて久しぶりに芝居が見たくなった。連司と魔子の絡む芝居が見たくなった。連司は勿論、魔子のあの肉体表現とあの声が溜まらなく聞きたくなった。

 連司を初めて見たのは、映画 『あらかじめ失われた恋人たちよ』 だった。あの映画は、桃井かおるの映画デビュー作だった。連司は映画の中で圧倒的な存在感があった。こんな個性的な役者がいるのかと思った。最近悪役ばかりだけど、上手い役者だからこそ悪役を演じきれるのだ。芝居は時間を作って必ず見に行こうと思う。


 2月25日(金)

 闘牛の会に、高校で闘牛をテーマにして発表をすると言って、来ていた女子高生が、無事に発表を終えて好評だったとメールを送ってきた。何回かメールを送ってアドバイスをしたので彼女がまとめたレポートが読みたくなった。送ってくれないかな。

 会の牧ちゃんから誘われていた夕食会の誘いの返事も書かずに行かなかった。忙しいのでTELもせずに申し訳ないと反省しています。これも23日だった。高校生の発表も確か23日だった。昨日は13時まで仕事だったので家に帰れなかった。アー本当に忙しい。


 2月26日(土)

 肩書きや役職だけで仕事が出来るわけではない。それまでどういう仕事をしてきたのかがいつも試されている。新潟県警本部長が辞任した。9年以上も監禁されていた女性が発見されたその日に監査に来た中央の人と飲食飲酒して、麻雀をしながら県警に指示を送っていたのだそうだ。

 全く素晴らしい仕事ッぷりである。こういうことをしないと出世できないのだろうなぁ、警察庁は。出世しか頭にない人は、仕事を全うできない。仕事を全うしようとする人は、出世など考えないものだ。嘘に嘘を塗りたくって誤魔化したつもりでも、正義には嘘は通用しない。トラブルに対応できない責任者は説明1つまともに出来ない。だから人も動かせないのだろう。


 2月28日(月)

 人間寝ようと思えばいくらでも寝れる。2週間降りの休みだったのでよく寝た。バジャドリードの城が2ゴールをあげて勝った。「僕を応援してくれる全ての人に捧げるゴール」と、会見で言っていた。一方中田のASローマはユベントスに1−2で負けた。これで優勝はなくなった。

 スカパー!がディレクTVを吸収合併する。サッカーファンには嬉しいだろう。城と中田が同じTVで見れるのだから。


http://www2u.biglobe.ne.jp/~tougyuu/以下のHPの著作権は、斎藤祐司のものです。勝手に転載、または使用することを禁止する。


ホームに戻る