−−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−
por 斎藤祐司
過去の、断腸亭日常日記。 −−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−
太い斜字で書いてある所は99年、2000年、2001年、2002年、2003年、2004年、2005年、2006年、2007年、2008年、2009年、2010年、2011年、2013年、2014年、2016年のスペイン滞在日記です。
太字で書いたモノは2010年11月京都旅行。2011年3月奈良旅行と東日本大震災、11月が京都旅行、2012年4月、11月、12月の京都旅行、2013年4月京都旅行5月出雲遷宮旅行10月伊勢神宮の遷宮旅行11月京都旅行、2014年5月6月、7月の京都旅行、2015年6月京都旅行、9月奈良・京都旅行、11月京都・滋賀旅行、2016年11月京都旅行の滞在日記です。
5月8日(月) 晴 10441 成田のホテルにて
準備万端成田にやってきたつもりだった。途中で、上着の長袖を忘れた事に気付いた。それと、スペインの電話帳代わりになっているノートも忘れてきた。何なんだろう!しかし、全部が完璧にならないのが、逆に良いことと考えよう。代用できる物を、即席で探して、ホテルへチェックイン。取りあえず、一服。
フランス大統領選挙が行われ、マクロン大統領が誕生した。日本の株価が450円上がり、ドル/円は、ちょっとドル高になり、ユーロ/円は、1.5円ユーロ高になった。ヨーロッパの首脳は祝福している。EUは守られたが、フランス国内では抗議のデモが各地で行われているという。これは、国民戦線のルペンへの抗議ではなく、自由経済で失業者が多い、労働者や学生がデモをしているという。つまり、深刻な状態になっていると言うことだ。日本も、こうならないようにしないといけないだろう。
5月9日(火) 曇 11533 成田にて
朝食を食べタバコを吸った。ホテルを出て、スペインへ向かう。忘れ物が多い今回。でも、じっくり腰を据えてサン・イシドロを観たいと思う。電話帳がないが、アイホンに入っているもので、間にあうだろう。去年のように、比較的安全なマドリードならなお良い。マドリードでの日常が、落ち着くのは15日過ぎからだろう。それまでも、それからも楽しみたい。
無事マドリード到着。夕飯を食べて、酒を飲んで寝る事にする。
5月10日(水) 曇/雨 9743
マドリードに夕方着いて、スペイン用携帯の電源を入れると、電話が死んでいなかった。去年までだと、3ヶ月使用しないと使えなくなって、新しい番号を買いに行かなければならなかった。さっそく宿に電話するも出ない。まずいと思って、空港からタクシー飛ばして宿へ。そうしたら20時過ぎていたけど大丈夫だった。それから飯食ったり、連絡した。食事中、テレビでやっていたチャンピンズ・リーグ準決勝ユベントス対モナコを観る。ファルカオがモナコにいた。アトレティコの時は、あんなに輝いていたのに……。
下山さんは、電話が通じなかった。そしたら、故障して修理中とのこと。くまさんも元気そう。これから昼食を一緒に取る。THさんは、ラーメンをすすっていた。マドリードで仕事しながらこれからサン・イシドロの闘牛観戦。
セビージャの闘牛の表彰が発表になった。トゥリウファドールは、アントニオ・フェレーラ。メホール・ファエナは、ロカ・レイ。メホール・カポーテは、アントニオ・フェレーラ。剣刺しが、ホセ・マリア・マンサナレス。メホール・ガナデリアが、ハンディージャ。メホール・バンデリジェーロが、ラファエル・ロサ。騎馬闘牛士は、なし。特別賞が、ミウラ。トゥリウファドールになったのは、1頭の牛で耳2枚取ったロカ・レイではなく、耳1枚と場内1周のフェレーラ。バンデリージャで、モントリュに捧げ、カポーテでは、外連味ない誠実なお手前のベロニカで、観客を沸かせた。あのベロニカでセビージャの観客が沸くのは、まだまだセビージャも捨てたもんじゃないなと思った。つまり、外連のロカ・レイではなく、外連味ないフェレーラを選んだのが素晴らしいと思った。
『京都人の密かな愉しみ 桜散る』は13日21時からBSNHKプレミアムで放送される。今回が完結編。スペインにて観れないのが、残念だが録画して貰うことになっている。そして、今日の夜は、チャンピオン・リーグ準決勝、アトレティコ・デ・マドリード対レアル・マドリードの試合がある。結果はどうあれ、必死さを見せて欲しい。
5月11日(木) 雨/曇 17903
昨日の夜中から降り出した雨は朝になっても上がらず、寒い朝だ。こんな記事からの引用から始める。
「アトレティコ・マドリーでキャプテンを務めるMFガビ・フェルナンデスが、対戦相手の主将の言葉に反論している。
10日のチャンピオンズリーグ準決勝セカンドレグで本拠地ビセンテ・カルデロンにマドリーを迎えるアトレティコ。マドリーDFセルヒオ・ラモスは、前日会見で「僕たちが(富裕層の象徴である)バーバリーヒルズで育ったとでも言いたげだ」「僕たちの中には普通の町から出てきたような選手もいる」とのコメントを残し、今回の試合を前にメガクラブの姿勢を揶揄するようなキャンペーンを張ったアトレティコを批判した。
S・ラモスの会見から数時間後、アトレティコの選手として公式会見に出席したガビは、その発言について聞かれると次のように答えている。
「どこで生まれ育ったとか、持っているお金とか、そういうのは謙虚な心とはまったく関係ない。僕にとって謙虚の定義というのは、アトレティコのサポーターに象徴されるようなものだ」
「ファーストレグの試合後、たった4000人のサポーターが歌ったアカペラのイムノ(チーム応援歌)がサンティアゴ・ベルナベウに響き渡っていた。僕は鳥肌が立ったよ。今晩、泊まるホテルの前で最後の激励があると思う。彼らのレベルに見合うプレーを見せたいね」
ファーストレグで0-3と敗れているアトレティコは、セカンドレグで大差を逆転する必要に迫られている。
「このチームは、決して敗北を認めない。今の感情を周囲の人々に説明するのは難しい。ファーストレグの結果は困難なものだからね。でも僕たちにモチベーションは不足していない。準備はできているし、このチームに欠けていたのが大逆転劇だとしたら...明日がその日だ」 」 ーー「GOAL」よりーー
PGで待ち合わせして、THさんと会った。サン・イシドロのカルテル観ながら話をして近くのバルでつまみながらサッカーを観た。試合前から、選手が練習に出てきただけで、目に涙を溜めて歓声を上げるアトレティコファン。THさんから、セビージャやグラナダのセマナ・サンタの興味深い話を訊きながらサッカーを観る。サクラモンテの丘を行進が登っていって森を過ぎて、その上に満月が昇っていた。という話はハーと思った。セマナ・サンタは移動祝祭日で、毎年替わる。満月に合わせて替わっているのかと思ったからだ。日本は昔、太陰暦で、信長が死んだ6月1日は新月の日だ。真っ暗中を光秀が進軍した。坂本龍馬は、11月15日に死んだ。つまり、満月の日だ。そして、生まれたのも同じ11月15日。面白もんだと思った。
そんな話をしていたら、サウルがコーナーからのヘディングで、アトレティコが1点先制した。するとバルが騒ぎ出した。ここは、アトレティコファンが集まるバルだった。そして、ニーニョ・トレースが倒されてPK獲得。グリーズマンが決めて2−0。信じられないことに、開始17分で、あと1点取れば、延長決着まで持ち込んだ。アトレティコ・ファンの歓喜で包まれるビセンテ・カルデロン・スタジアム。そして、バル。シメオネは、両腕を大きく広げて下に、下げるような仕草の後、両手の人指し指を頭にやった。つまり、冷静になるようにという指示だ。
試合の1/3も行かない時点で希望に包まれているスタジアム。前半ここまま行けば、希望はさらに大きくなっただろう。しかし、それを打ち砕いたのは、ベンゼマだ。クリスティアーノ・ロナウドから早いリスタートでスローインのボールが渡ると、左をドリブルで進み、ゴール・ライン際で、3人のDFに囲まれている状況を冷静に対応して、抜け出すとクロースへの折り返し、GKが弾いたところにイスコが詰めて、1点を入れた。これにより、トータルで、2−4になり、アトレティコは、アウエーゴール差で、後3点入れなければ決勝に進めなくなった。ジダンは、試合後ベンゼマがどうやって抜け出したのか判らないし、何人抜いたのかも覚えていないと言った。
THさんとバルに歓声が響いたりする中で、闘牛の話をしながら、観ていた。今回セビージャで活躍したフェレーラの事を訊かれた。凄くないですか?まずセビージャのカポーテのことを言った。ベロニカとメディア・ベロニカだけで観客を沸かせるのは凄い。しかも、モランテじゃない。昔のベンタスだとああいうので沸いた。今回セビージャであのカポーテで沸いたのを観て、セビージャも闘牛の見方の正しい部分が残っているのを証明した感じだった。あのベロニカで、「オーレ」がこだまする闘牛場は、ベンタスとセビージャくらいだろう。
ロカ・レイの外連とフェレーラの外連がない闘牛。セビージャは、外連のないフェレーラの闘牛の方が良いと今回判断した。旋風を巻き起こしているロカ・レイは、新たな磁場を持っている。フリ旋風の時もそう。闘牛知らない人がロカ・レイ目当てに闘牛場へ通うのは良いことだ。タラバンテが、ロカ・レイの真似をしている事についても話をした。それとバレンシアのクーロ・ディアス。あのファエナは、ちょっと領域が違うところにあるような感じだった。あれをサン・イシドロでやったら大変な事になる。トゥリウンファドールするだろう。パコ・ウレニャには、きつめの意見だった。思うに、その闘牛士の本当に良い闘牛に出会っていないと、思い入れが発生しないような気がする。去年THさんは、フェレーラについて良い印象を話していなかったが、今年はセビージャの闘牛を観てそういう気持ちなった訳だし、この辺は、難しいところだと思う。
昨日サン・イシドロのアボノを取りに、ラス・ベンタス闘牛場まで行った。そこでこんな事があるのかと、ビックリした。機械から切符が1枚ずつ出てくるのだが、それがてんでバラバラに出てきて、揃えるのに夢中になっていたら1枚が機械の隙間から機械の中へ入ってしまった。信じられない。こんな事が起こるんだと思って、全部取ってからタキージャに行って、事情を説明。信じて貰えないが、切符を観てないのが判り、タキージャから出てきてくれて、機械を明けて取り出して貰った。そこから中に落ちるか?という所から機械の中へ入ってしまった。
5月12日(金) 曇のち雨 11833
何故だろう?ベンタスのホームに電車から降りると、足が勝手に早足になるのは。足だけではなく、気持ちも体も何故か急いでいる。おそらく、過去の闘牛の感動を知っているから、知らず知らずのうちに、早足にさせているのだと思う。昨日サン・イシドロ初日。ソルテオに出掛けた。ネット販売などで、タキージャには列が出来ていない。昔は、何百メートルもの列が出来、切符を求める人が並んでいた。ソルテオのタキージャもあったが、今は同じ所で売っている。
ラ・キンタ牧場の牛は、サンタ・コロマ系なので、コリーダ・ドゥーラだ。ビクトリーノ・マルティン牧場の牛の用に芦毛が多かった。ソルテオで囲いの中を移動している姿を観ると、ちょっと太い感じがするが、これは競走馬と比べるからそう見えるのだろう。新しい係員などが、キビキビ仕事をしていた。彼らはおそらく、フロリートから色々な事を学んで、仕事をしているのだと思った。
闘牛は、5頭目の牛で、ハビエル・ヒメネスが耳を切り損ねた。カポーテの時から左角が良い牛で、ムレタでも、初め右手に持っていたが、裏でパセを通すパセから初め、ナトゥラルに替えると、牛が動き出した。「オーレ」がなり喝采がなった。そのままナトゥラルを繋げば耳が取れる牛だった。しかし、途中で、デレチャッソに替えると、牛の動きが止まった。もうなんだろう。ホセ・トマスの様に徹底してトレアールが出来ない。ナトゥラルのないファエナには、ほとんど価値がないが、ナトゥラルだけのファエナは、非常に価値があるファエナなのに…。剣を代えた後のファエナもせずに剣が決まったが、耳を要求する観客は少なかった。あれで耳になっちゃおかしい。正常な観客の反応だと思った。
2頭目の牛で、ダビ・ガルバンがコヒーダされた。THさんが言うように、倒れて気絶しただけかと思っていたが、骨折していたという。打ち所が悪かったのか、体が硬いからそうなったのか…。アルベルト・アギラールは、ほぼ何も出来なかった。利き角が判っているのに、それに対応できない。ちょっとだけ沸かせたが、それだけだ。闘牛は難しい。何頭目の牛の時に、ピカが反対側で行われた。THさんが疑問に思っていたようだが、牛のケレンシアの問題だからそこでピカを入れても支障はない。レグラメント違反にはならないのだ。
これから宿を替えなければならない。そして、出来れば今日もソルテオもみたい。エル・ベントリジョ牧場の牛。観てみたい。
5月13日(土) 曇 15932
昨日宿を替えラス・ベンタス闘牛場へ向かった。着いたのが12時過ぎくらいで、タキージャに並んだが、買えなかった。12時で終了らしい。それでも、ソルテオの処に行ったら、みんな出てきているところだった。15分には、終わったということだった。しょうがないので帰ってきた。この日は、1ヶ月定期を買いに行った。カードが必要で、カードは7年間有効だという。あと7年も通うことはないだろうけど、取りあえず買えたのは嬉しい。そして、来年、ホセ・トマスが出場することを願うのみだ。そしたら、アボノも良い席を買いたいし、セギドールになりたい。
昨日の闘牛は、エル・ベントリジョ牧場の牛で、エウヘニオ・デ・モラ、モレニート・デ・アランダ、ロマン。アランダが5頭目で耳1枚取った。耳はともかく、やろうとしている意図が感じられる闘牛だった。アポデラードがオルテガ・カノ。ちゃんと闘牛判っているやり方が感じられた。ナトゥラルがちょっと良くなかったが、デレチャッソで「オーレ」がなっていた。そこまでは良いが、ピンチャッソ1回で、その後、良い剣が入ったが、それで耳1枚というのはどうなんでしょうと思った。
エウヘニオは、サン・イシドロでは、ノビジェーロの1回を合わせて、PGを3回観ている。期待していたが、やっぱり彼は闘牛を感覚でやっている。初めの牛で、ロディージャ?違うよなと思っていたら、ムレタを、エンガンチャされて、飛んだ。この牛、左が良いのが判っているだからそういうファエナなら当然、ロディージャは無しでしょう。もう判っていない。4頭目は、向かってこない牛で、出来なかった。勿論、彼にも原因があるんだけど…。
ロマンは、アランダの初めの牛の、キーテが良かった。それくらいで、彼のやり方で、ラス・ベンタス闘牛場で、耳を切ったというのが不思議に思った。牛が良かったんだろうと思う。ちょっとなぁ。やり方を考えた方が良いと思った。
5月14日(日) 晴 15819
朝、競馬をやってラス・ベンタス闘牛場へ向かった。タキージャには、初日より人が並んでいた。闘牛の切符を求める人と、ソルテオの切符を買う列は、昔のように別にして欲しいと思う。ソルテオの後、PGに向かって歩いているとTHさんと会った。彼女も見に来ていたのだ。サレ・アントニオ・ビエンベニーダってどこか知ってますか?というので、その場所に連れて行く。中では本の発表会のような物が行われていた。
その中に、飾られているマノレーテの写真を見て回った。しばらくして、外にもマノレーテを記念した写真などがあったので、観に行く。それから、お腹が空いたということなので、昼食を取りにいった。THさんは朝早くからラジオの録音に出掛けていたという。それでお腹がペコペコだという。そして、夢にまで出てきて食べたかったという、ピザを注文。闘牛の話などして、コーヒーを飲む。
昨日の闘牛は、エル・ピラール牧場の牛で、ディエゴ・ウルディアレス、ダビ・モラ、ホセ・ガリド。ウルディアレスは、なんか疲れてくる。頑張って欲しいが、彼の闘牛への思いが、トレアールに反映されていないような気がするのだ。しかし、ダビ・モラは酷かった。口笛、罵声鳴り続けた、この日の5頭目。この日2頭とも剣が半分も刺さらない状態で、デスカベジョをやったが、5頭目は、20回近くやった。しかも、牛の頭を下げずにやっているから、決まるわけがない。当たり前だ。それを続ける。何にも判っていない。去年のプエルタ・グランデは、何だったんだろう?信じられない酷さだ。観客が罵声を浴びせ、座布団の雨が降るのも納得だ。
ホセ・ガリドは、印象として1番良かった。カポーテでの牛の扱いが良かったが、ムレタでの仕上げが上手いこと行かない。出場回数が少ないので、牛の扱い方にぎこちなさを感じる部分があるが…。もっと、深く牛を観る目を持った方が良いと思う。そうすれば、牛に合わせた、適応力が増すと思う。困ったことに、エル・ピラール牧場の牛って、ラス・ベンタス闘牛場で、ほとんど良い闘牛を観た記憶がない。これから宿を代える。そして、昼食は友人宅へ。
5月15日(月) 晴 10795
今日はサン・イシドロの日。昨日は、M夫妻の処へ行って、昼食を頂いた。パクチー入りサラダ、コスティージャのオーブン焼き、餅米を使った中華ちまき風の物。闘牛や東京の話などもしたが、大相撲中継を観て、それから、『べっぴんさん』の番外編を観る。それを観ながら、マドリードって最近チェーン店が多くなって、と話したら、面白くなくなって来たよね。この方が観光客には良いのかも知れないが、確かにそうだと思った。ネットの影響が多きのだろう。メトロに乗っていても、半分以上の人がスマホをいじっている。バルなんかでもそうだ。
昨日の騎馬闘牛は、アンディー・カルタヘナが4頭目で、観客を総立ちにさせた。馬を後ろ足だけで立たせ、それから歩行もした。勿論、自身が乗った状態でである。白い馬だった。それでもピンチャッソ2回では、耳が出るはずはない。セルヒオ・ガランも牛と馬の距離が近い状態で、乗馬技術を見せて観客を喜ばせた。彼もピンチャッソ1回では、観客の強い耳要求があったが、プレシデンテは耳を出さなかった。場内1周でプレシデンテへ抗議の口笛が吹かれた。マヌエル・マンサナレスは、アポデラードの一人が、ファン・アンドレス・エルモーソ・デ・メンドーサ。メンドーサの兄弟かそういう人なのだろう。昔に比べれば良くなったが、もっと出来ないと、消えていくだろうと思う。
これから宿を代える。そろそろ用意して出掛けよう。
5月16日(火) 晴 16505
昨日から、PCの調子がおかしい。HP制作ソフトが、なかなか立ち上がらない状況になっている。これだけで、昨日今日と時間を費やしている。何が原因か判らない。PC詳しい人に相談しようと思う。今日は時間がないので、明日以降にする。昨日飲み過ぎて、調子が出ない。ソルテオを中止してクルトゥラに行こうと思う。THさんからセサルが出ると教えて貰った。その後は、三木田夫妻と何処ぞで昼食を取る予定だ。
昨日のサン・イシドロは、剣が決まっていれば、クーロ・ディアスは耳を切っていただろう。あれだけ観客からの「オーレ」の声を引きだしたのは、今年のサン・イシドロでは、初めてだった。1頭目のファエナは、タンダ・デ・ムレタソが3回か4回くらいが良かったが、段々牛が危なくなって出来なくなった。4頭目の牛は、右角が悪い牛。左なら出来る。しかも危ない。クーロはナトゥラルを繋いでパセ・デ・ペチョも、ムレタを右手に持ち替えてやっていた。つまり、出来るだけパセは、左角を通すようにしていた。そういうことは判っているのだ。でも観客の中には、パセの時にクルサードせずに牛を外からパセしていると、口笛を吹く人たちがいた。それは、意図が分かるが、こういう危険な牛を相手にしていることを勘定に入れていない、闘牛とはこうだという、プロトタイプの考え方だ。賛成できない。
パコ・ウレニャは、トレアールについては今回は触れない。剣刺しについて書いておく。2回とも剣は1回で刺さったが、それが酷かった。2回とも、剣先が左の脇腹から出ていたからだ。観客から口笛を吹かれていたが、それは当然だ。ロペス・シモンは、最後の牛の牛をならすカポーテのベロニカで、失敗した。タブラに近いところで、背を向けてベロニカを始めたが、もっとアレナ中央部の方に行って、ベロニカをしないと、牛の動きが小さくなり、ファエナの時に影響を及ぼす危険性があったが、それを直ぐに修正できなかった。アレナ中央部に行ってベロニカを始めたときは、牛の動きが替わることがなかった。ムレタになってもそれは、替わらなかった。ああいう始め方は、駄目な牛を駄目なまま闘牛をさせることになる。そして、ファエナ自体もつまらない物になってしまう。闘牛士は、牛の悪さを強調してどうするのだ。牛の持っている、良い部分を引きだしてこそ、良いファエナになる。そこが気になった。
5月17日(水) 曇/晴 14766
昨日から天気が良い。今日明日は暑くなる。しかし、クアレンタ・デ・マジョ。いつまた寒くなるか判らないのが、マドリードの5月の天気。5月40日つまり、6月10日くらいまで冬みたいに寒い日になることがある。会いたくない人間が、マドリードに来ていることを訊いた。それを言ったら、斎藤さんはもし会っても、堂々としていれば良いんですよ。折角闘牛観に、お金かけて来ているんだからと、言われた。勿論そうなのだが、正直会いたくない。
昨日は、ラス・ベンタス闘牛場へ行って、本の出版発表会みたいな物があって、そこに、セサル・リンコンが出た。だから、会いに行ってきたのだ。会場に着いたのが、15分前くらいで、がらがらだった。そうしたら、後ろの席の辺りでセサルが立って電話していた。だから無言で握手。それから直前まで電話をしているから話しかけれない。勿論、いつもそうだが、緊張している状態で、落ち着かないのだ。電話が終わって、他の人と話をし始めたので、頃合いを見計らって、写真を取りに行ったら、一緒に写真を撮らせてくれた。
前置きの話や、作者の話、セサルの話が終わり、質問に答えてセサルも、闘牛反対から闘牛を守る話を熱弁していた。丁度、質問の前に三木田さんから電話があって、席を外しもう出ようと思っていたら、セサルが話し始めたので出られなくなった。ラファエルは、途中で出ていったので、あのタイミングで出ていれば良かったかとも思ったが、やはり、コロンビアで闘牛が禁止される状態があって、それをコロンビアの闘牛士たちがハンガーストをして抗議して、セサルが死ぬかも知れないなから止めるように説得したり、色々あって、闘牛が再開された。そういうことが、また、起こらないようにしなければという思いが強いのだと思う。拍手が起きていた。
会場を後にして、三木田さんに会いに行った。色々話が出来て良かった。また、いる間に会えるだろうと思う。仕事があるので、頃合いを見計らってという感じだろう。それにしても、みんな、闘牛場へ足を運ばなくなった。それが残念でならない。今や番長くらいしかアボナードはいなくなった様だ。
昨日の闘牛は、入場行進の後、ホセリート・エル・ガジョの命日なので、1分間の黙祷が捧げられた。サン・イシドロに通うようになって26年。この日がどういう日かは、判っている。この日をラス・ベンタス闘牛場で過ごせる幸せを感じている。フォルテスが男気を見せた。というか、危なっかしい闘牛で、観客を刺激し続け、剣を代えた後のファエナも、ベルナディーナを体ギリギリを牛が通る、危ない緊張感が続いた。剣も決まり、耳要求をしたが、プレシデンテは、耳を出さなかった。場内一周。耳かどうかは、どっちでも良いと思った。良くやった。でも、何かが足りない気もしたのだ。
ファン・デル・アラモ。印象にない。一つのパセの形の美しさなどは感じるが、牛の扱いとか明確じゃないので、ただやっているだけにしか見えなかった。ロマンは、最後の牛で、膝を折ったデレチャッソから初めた。ああいう風に牛に大きく動くように覚えさせることは良いことだ。ポンセが良くやるスタイルだ。でも、その後は、牛を少し動かしていたが、パセの後、牛の返りが速く危なかった。案の定コヒーダされた。多分、牛の扱いにビジョンがないのだろうと思う。自分と牛との対話が、観客にも判るようにしないと、「オーレ」は鳴らない。それが出来ていないのだろう。デスカベジョは4回だったが、頭を下げて割と良いところを刺していたように見えたが、微妙に少しずれていたのだろう。
5月18日(木) 雨のち晴 10068
ソルテオに行ってきた。列に並んでいたら、ホセリート・カルデロンが通って行った。91年当時、ラス・ベンタス闘牛場付きのバンデリジェーロだった。セサルが初めてプエルタ・グランデしたときにもついていた。気付いたら、プレシデンテの補佐をするようになっていた。今でもそういうことやっているんだろう。入口入って直ぐにTHさんがいた。何やら話をしているようだったので、挨拶だけ。相変わらず牛を観ても全然判らない。
帰り際に、元闘牛士のアニバル・ルイス(確かそういう名前だった)がいた。サン・イシドロで3アビソ受けそうになって必死にデスカベジョをやっていた。サポートしたのは、ハビエル・バスケスだったと思うけど…。出たところに、ラファエルもいた。メトロで帰ってきた。メルカドで、買い物をして、帰って台所でタマネギを切っていたら涙が出てきた。まるで、シャキラのPVの様な感じ。
昨日の闘牛は、フエンテ・インブロ牧場の牛で、ファンディ、ミゲル・アンヘル・ペレラ、ホセ・ガリド。ファン・カルロス元国王が来て、1頭目の牛から3頭目の牛まで、牛が捧げられた。簡単に言ってしまえば、ペレラはああいう牛は出来ない。もう牛が出てきて、カポーテを振っている時点で、それが判る。確かノビジェーロの時に、PGした牧場。でも、彼も感覚で闘牛をやるタイプの様で、適応力がない。この日、1番良かったのは、ホセ・ガリド。この日3頭目の牛のファエナだ。アレナ中央で牛を誘い始めた。難しい牛だったが、距離が判っているから出来るのだ。ペレラは距離が全然判らない。あれじゃ、はまったときしか良いファエナが観れなくなる。剣を代えた後の、ベルナディーナも良かったが、剣刺しがピンチャッソ・オンダじゃ耳は出ない。
ファンディは5頭目の牛のバンデリージャ打ちで、8本打った。3回目は両手に2本ずつバンデリージャを持って、ビオリン、その後は普通に打った。牛の背中に、綺麗にバンデリージャが並んでいた。ファエナは、膝を着いて牛をパセして、2回転くらい牛を回した。それで観客が喜んで、「オーレ」が鳴った。途中から、クルサードせずに小手先のパセを繋いでいた。どうものれない。剣も入った。観客は耳を要求したが、プレシデンテは耳を出さなかった。当然だと思う。
万希ちゃん来たようだ。今年もタラバリに来たのだ。
5月19日(金) 晴 11382
朝の一発目に、ディランの『ライク・ア・ローリング・ストーン』を聴くと、気力がみなぎってくる。昨日闘牛が終わって万希ちゃんと会う。開口一番、何なんでしょうね、あれ。耳じゃないのに、と。まあビックリした。隣の席のアボナードの夫婦は剣が決まると、今日は終わりという感じで、挨拶して帰って行った。当然、耳が出るなどと思っていない。そういう闘牛の内容だった。
パルラデ牧場の牛で、クーロ・ディアス、イバン・ファンディニョ、ダビ・モラ。イバン・ファンディニョは、何処が良いのか判らない。この日5頭目のカポーテで、カポーテ振ったまま、逃げてしまった。左角はおかしくない感じだが、右角の時がやりにくそう。つられたように、バンデリジェーロたちもボロボロの状態。ファエナは、1分もしないで剣を代えていた。そんなに右角危なかったか。
クーロ・ディアスは、牛に恵まれなかった観がある。1頭目の初めは良かったが続かなかった。それでも1番闘牛場を沸かせていた。THさんはクーロの牛が2頭とも良かった、ソルテオの後、言っていたが、正直牛の見方が判らない。が、結果的にはそんなじゃなかった。クーロは、トレアールをそんなに間違えていなかったと思うので、牛が良いとは言えないような気がするのだ。勿論、ソルテオでの牛の見方は、難しいと思う。脚、首、角、体型、そしてバランス。これらを動きを見て判断する。だから、クアドリージャがソルテオ前に行う時に観るのが1番良いと思うが、そんなこと出来るわけがない。そういう経験を持った人なら、囲い場から移動させている姿を観て、良い牛、悪い牛と見分けがつくのだろうが、競馬場のパドックのように、良い馬、そうじゃない馬と判断は出来ない。ましてや、パドックで良いからと言って走るわけでもない。これは、非常に大きな課題だ。
問題のダビ・モラの最後の牛のファエナ。デレチャッソで、膝を折ったパセで牛を動かすと、「オーレ」が鳴った。パセ・デ・ペチョの時牛が、ブスカンドした。つまり、左角の方が危ない。その後の、タンダ・デ・ムレタソ2回くらいはまあまあだったが、後はほとんど良くなかった。それでも、剣が良いところに決まって、少しずつ白いハンカチが闘牛場全体に広がっていって、ウソでしょうとその現象自体が不思議だったのに、何故か耳が出てしまったと、言う感じだった。
ただ一つ。前回アビソ3回と浴びて屈辱を味わったダビ・モラが、今日は名誉挽回と、3頭目の牛がカブラのような牛で、観客から「ミャオ」とパセの時にいわれていたが、めげずに、カポーテでガオネラをしたり、ムレタでも丁寧にパセを繋いでいた。そして6頭目の最後の牛で、ムレタの初めで、膝を折ったパセで、牛に動きを教えてその後のファエナに良い影響を与えた。そういう努力の積み重ね。自分がやるべき仕事を出来るだけ丁寧にする労力と根気を忘れなかったからこそ、出た耳だったのではないかと思いたい気分になっている。
万希ちゃんと終わった後、話したが、闘牛の話や、結衣さんの話からTTTの話になって、色々話した。それは、良いとして、万希ちゃんにいつ原稿描くのか訊いたら、やっぱり、朝か昼に描くことが多いという。どうしても闘牛観ていると、夜は描けないからといっていた。なるほどと思った。朝出来れば目が覚めた時に起きて、体操か運動して、それからかなと思った。
5月20日(土) 晴 12047
昨日、ソルテオに絡めて闘牛の話を書いたら、THさんが、ソルテオ前の、reconocimiento で、1頭ずつ出てきて動きが観れる、全部の牛を並べて、比較して観れることを教えてくれた。確かに、ラス・ベンタス闘牛場の、HPの動画を観ると、そういうようなことが判る。一般人がソルテオと言っているのは、ソルテオ後の囲い場を移動させて、出場させるまでの檻に入れるのを観ているが、これは切符にも、apartado
と書いてある、それを観ているのだ。上からじゃ判らなくて当然だ。こういう事を教えてくれて、非常にありがたい。素人が、観て全然判らないは、当然だということ。もし、apartado
を観て良い牛って判るスペイン人がいたら、それは、牧場関係者か、クアドリージャをやっていた人なのだろうと思う。THさんは、プロから18日の牛について、意見を訊いたのだという。素晴らしいことだ。感謝。少なくても、競馬のパドック解説よりは、ずっとあてになると思う。もし、reconocimiento
に同行する機会があったとすれば、やっぱり、セサルが現役の時だっただろうと思う。
昨日の闘牛は、素晴らしかった。良いファエナが観れた。エル・プエルト・デ・サン・ロレンソ牧場の牛で、セバスティアン・カステージャ、アレハンドロ・タラバンテ、ハビエル・ヒメネス。カステージャの1頭目は耳だと思った。耳要求があり出ると思っていたが、出なかった。これもフィグラらしい良いファエナだった。タラバンテは、どうなんだろうという牛を動かしていた。静かに始まったファエナは、テンプラール気味のパセを繋ぎ、剣を代えるまで、約5分。1回右手から左手持ち替えての長いパセで、闘牛場が一気に盛り上がった。それから2、3分ナトゥラルなどのパセを繋いだ。剣も良いところに決まり、「トレロ」コールが鳴った。耳2枚かと思ったが、1枚しか出なかった。でも、素晴らしいファエナだった。ラス・ベンタス闘牛場の耳というファエナ。そして、なんと言っても、外連がないタラバンテのファエナが観れたのが嬉しい。
発見があったのは、ハビエル・ヒメネス。初めの牛は直ぐ膝を着く牛で、ムレタを振る手の位置を出来るだけ低くしないようにしてファエナをしていた。地味な闘牛士だが、考えているんだと思った。コヒーダされた最後の牛は、左角が危なかった。だから、右角でパセをするようにしていた。パセ・デ・ペチョもムレタを左手に持ち替えていた。仕事が丁寧。だが、風が吹いてムレタが変になったりしていた。時々ブスカンドもしていた。危ないと思っていたら、デレチャッソで払われて、牛の頭の上に乗って右太股をざっくり刺された。刺さったのが判ったから、もう出来ないと思った。ブルラデロの所に逃げてきたが、下手をすれば動脈まで行っているような感じだった。隣のアボナードに、もう出来ない。太股を刺された。と言った。バンデリジェーロに抱えられて医務室に向かった。重傷。地味だけどこういう闘牛士がいるんだと思った。明日がある。日の目を見る日が来るぞ。ハビエル!
5月21日(日) 曇 11056
オークスが行われて、1番人気のソールスターリングが優勝した。桜花賞の雪辱を果たしたルメール。これで、ヴィクトリア・マイルに続いて2週連続GT勝ち。来週のダービーも勝てば3週連続になる。多分、来週も1番人気になるのかも知れないが、デ・ムーロのGTの勝負強さを超えるくらいの勢いを出して、来週も勝って欲しい。藤澤和雄厩舎も2週連続になる。そして、悲願のダービー制覇だ。それにしてもルメールは完璧な騎乗をした。勝つための最良の乗り方が出来ている。
昨日のサン・イシドロは、騎馬闘牛。アンディー・カルタヘナ、ディエゴ・ベントゥラ、レオナルド・エルナンデス。レオナルドは、5回連続プエルタ・グランデがかかっていたが、牛が悪く耳が取れなかった。アンディーも牛が悪すぎ。ベントゥラが、耳1枚が2回でプエルタ・グランデした。20日に続き2日連続のノー・アイ・ビジェテ。闘牛を観に来る観客と、騎馬闘牛を観に来る観客は、客層が違う。隣のアボナードも売りに出しているようで、来なかった。そして、綺麗な若い女性たちが来ている。こっちの方が、闘牛より分かり易いからなのだろうと思う。
ヘレスのタラバンテとロカ・レイのマノ・ア・マノは、2人ともプエルタ・グランデした。動画を観ると、タラバンテは、初めの牛のファエナで膝を着いていた。ラス・ベンタス闘牛場とは、違うやり方で始めた。しかし、その後は、膝を着かずに出来るだけ外連がない闘牛をしていたようだ。そういう闘牛が観たいのだ。24日は19日のような闘牛をやって欲しい。ラス・ベンタス闘牛場の観客が望んでいるのは19日のような外連がない闘牛だ。
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