断腸亭日常日記 2014年  京都 祇園祭

−−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−

por 斎藤祐司


過去の、断腸亭日常日記。  −−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−

太い斜字で書いてある所は99年、2000年、2001年、2002年、2003年、2004年、2005年、2006年、2007年、2008年、2009年、2010年、2011年、2013年のスペイン滞在日記です。
太字で書いたモノは2010年11月京都旅行。2011年3月奈良旅行東日本大震災、11月が京都旅行、2012年4月、11月、12月の京都旅行、2013年4月京都旅行5月出雲遷宮旅行10月伊勢神宮の遷宮旅行11月京都旅行、2014年5月6月の京都旅行滞在日記です。

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 6月24日(火) 曇のち雨 10820

 稲光がピカッと光り、爆音が鳴り近くに雷が落ちる。何度も落ちた。そうしたら土砂降りの雨が降ってきた。待機が不安的な状態になっていて、豪雨になった。梅雨時でこういう天気になっているのだろう。これは、カッパが必要なくらいの雨だ。

 スペインは、最終戦でようやくらしさを出して、3−0と快勝した。シャビ、ニーニョ・トーレス、モタがゴールした。ブラジル、メキシコ、オランダ、チリが決勝トーナメント進出を決めた。


 7月2日(水) 晴 94750/7

 あっという間に1週間が過ぎた。スペインに行っていた友人からメールがあって、帰ってきたばっかりだという。長い間行っていたようだ。下山さんからの伝言も受け取った。カステージャの事も書いてあった。俺がスペインに行かなくても、こうやって向の情報をくれるひとがいると言うことは、とても幸せなことだ。こういう人の情報は信用できるし嬉しい。intentar するにも、カルテルの予定が出ないのでどうにも動けない状況だ。

 知らないうちに7月になってしまった。ワールドカップも決勝トーナメントが始まって、各組1位がそれぞれ勝ち上がった。延長が5試合あり、力が拮抗している。何処が勝ってもおかしくない。また、ゴールキーパーの当たり年かも知れない。

 遅くなったが、宝塚記念は、横山典弘騎乗の1番人気、ゴールドシップが3馬身差の完勝。あまりに離しすぎたので、2着3着が人気薄が飛び込んで、3連単で25万円を超える大万馬券になった。あれは普通に考えたら買えない馬券だが、アルゴリズムからは、ワイドでは買える馬券だった。ダービー勝った典ちゃんが、今年2勝目のGT。嬉しかったなぁ。


 7月8日(火) 晴 51346/6

 台風が沖縄に来ている。気象庁は、暴風、波浪、高潮の特別警報を出し最大級の警戒を呼びかけている。東京は朝から快晴。しかし、夜から雨が降るという。相変わらず忙しくしている。闘牛の会へのメールが来たが、もう関わりがないので、ちゃんとした事が答えられない。

 イチローは、今シーズン始めて2試合連続3安打を打った。

 7月にまた、京都へ行き、8月にはスペインに行くことにした。1つ心配事がある。俺のパスポート何処に行った?


 7月14日(月) 晴 74169/6

 朝早く起きてワールドカップの決勝を観た。0−0で延長になりドイツのバックスに疲れが見え始めたが、ドイツが決勝点をあげて、1−0で勝った。ジリジリする目の離せない展開だったが、延長になってメッシになかなかボールが出なくなって、ドイツはチームで勝ち取った勝利だった。アルゼンチンのMDハビエル・マスチェラーノは、ピンチになると、ことごとく顔を出してつぶしていた。大車輪の活躍だった。

 決勝点は、守備をしないメッシの右サイドを崩されて決められたモノだ。大会MVPは、メッシだった。最優秀ゴールキーパーはドイツのノイヤーだった。点差が開けばドイツ。僅差ならアルゼンチンが勝つと思っていたが、延長まで行って、僅差でドイツが勝った。予想外だが、これだけ面白い試合になったのは、アルゼンチンの頑張りがあったからだ。特にマスチェラーノが素晴らしかった。

 試合後、部屋の片付けをして、パスポートを探し出した。ネットにて手続きして入金。これで8月にはスペインへ行ける。

夏来たる 台風一過の 蒸し暑さ  風吟


 7月15日(火) 晴 5823

 『花子とアン』は、ついに結婚式。部屋の片付けをしていたら、『ハックルベリー・フィンの冒険』が出て来た。訳は、村岡花子。『花子とアン』の主人公、村岡花子である。貧乏で学校へ行けず、字の読めなかった花が、キリスト教の女学校へ行って、徹底的に英語力を身につけて社会へ出て、翻訳者になっていく物語だ。

 暑くなった。ようやく、京都から帰ってきて、録画しているモノを全部見終わったと思ったら、明日からまた、京都へ行く。初めての祇園祭。楽しみだ。


 7月16日(水) 晴 15678

 朝、東京を発って京都へやって来た。京都の暑い。祇園祭は、宵山である。京都に着いてまず向かったのは、八坂神社近くの柏屋光貞。行者餅を予約していたので、そこで行者餅を受け取って、先斗町へ行って、昼食。大正時代創業洋食店で三段重ねの弁当を食べ、ホテルに向かう。あらかじめ早くチェックイン出来るように電話していたのでスムーズだった。それから併設されているスパで風呂に入り汗を流して昼寝をして18時頃起きた。

 それから早めにISOさんから電話があって、四条河原町で待ち合わせて、先斗町の美味しいところへ行った。タバコが吸えないと思っていたが、吸えることが判って、また何杯目かのビールを頼んで喫煙。四条通や烏丸通りは、夜店が一杯出ていて物凄い人だ。その後、山鉾を観て歩いて帰ってきた。京都の夏は、祇園祭で盛り上がっている。別名、鱧(はも)祭り。


 7月18日(木) 晴 55555/2

 朝、早起きして和食の朝食を食べ、荷物をホテルに預けチェックアウト。そのまま阪急に乗って四条で降りた。地上の昇ると、四条烏丸は人並みが凄い状態で、通り抜けるのが大変だった。9時をまわって山鉾巡行が始まった。途切れることがない人垣の四条。注連縄切りの現場近くでは交通規制で、人まで規制の対象になっていて、地下道を通って先に進みようやく辿り着く。そこで顔に白粉を塗った子供が太刀で注連縄を切った。歓声が上がる。身動きでないほどの人並みを掻き分けてまた地下にもぐって四条河原町の丸井側に到着。

 それから暑い中で、辻回しを観る。下に敷いた竹の上を滑らせて角を90度曲がる。四条から河原町へ。大体3回繰り返すと90度曲がることが出来る。これが辻回し。それを3・4台の山鉾を観て、荷物を取りにホテルに戻ったが、ホテルのカフェでタバコが吸えるのが判り、アイスコーヒーを飲みながら喫煙。それからホテルを代えて、四条烏丸へ行った。チェックインのあとホテルから出て来たら、四条新町の所で先頭の長刀鉾が、辻回し。これだと、人が少ないし、見やすい。それを観て、鉾が元の所に戻るまで観て、河原町に向かった。

 Eさんと待ち合わせて、昼食。スペインに2回月行って来た話などを訊いた。カステージャの話、ロサノの話を訊いた。下山さんやMさんに会った話なども訊いた。下山さんは、最近斎藤さんは闘牛への情熱がないと、つぶやいていたという。ISOさんは、京都なんか来てる場合ちゃうやろ。スペイン行かな、といっていた。やっぱり、ホセ・トマスを観ないと、そういう物が縮むというか、少なくなる気がする。

 ISOさんには、ホセ・トマスが良いのは判っているが、何処が良いのかというのを、書かないかん、と、言われた。そういうレポートを現地から書かなければならないと思った。

 夜、和食をコースで食べた。夏を感じさせる料理だった。NHKのBSのアーカイブスで、京都の料亭、瓢亭の代替わりについてやっていた。京都は料亭の横の繋がりが凄く、親友だった親の代から、親友が死ぬと親友の次の代の子供へ色々なモノを教える。それは料理もあるし、心構えなど色々なモノを色々な形でサポートする。おそらく他の地区には観られない物だろう。フランスからミシュランの星を貰っているレストランのシェフを京都に呼んで、それぞれの料亭の厨房に入って、作り方や食材を教え、彼らの感性で新しい料理を作ってもらったりして、刺激を貰ったりする活動をしているという。

 京都が、どの料理も美味しいのは、基本に料亭などの和食がしっかりした料理を提供しているからだと思う。だから、他の料理も評判が悪いと店を続けられなくなって閉店する。そういう厳しさもあるから、美味しいモノを真面目に作らないと話にならない。こういう世界での代替わりである。非常に興味がそそられる番組だった。

 和食を食べたあと、御輿を八坂神社から御旅所に持ってくる神幸祭を観る。そして、烏丸西の四条通りで、飲んだ。話が弾んで終電がなくなったISOさんは、ちゃんと帰れただろうか。いつも京都へ来ると付き合ってくれて本当に感謝している。


 7月23日(水) 晴 65056/5

 京都から戻ってきて忙しく過ごしている。仕事場の方もゴタゴタしていて、落ち着かない状態でもある。祇園祭は、今年から半世紀ぶりに前祭・後祭に分かれた。宵山には、四条や烏丸に34万人の人出があったという。明日は後祭の巡行があり、今日は日和神楽や、駒形提灯に飾られた山鉾が観れる。NHKでは、祇園祭の特集番組を放送していた。「千年の謎」と題して山鉾に飾られるタペストリーの物語を辿っていた。

 「動く美術館」といわれる山鉾を飾るタペストリー。それは、B.B の文字から始まる。16世紀ベルギー、ブリュッセルのタペストリーから長刀鉾に飾られている不思議な絨毯への物語まで、京都の町衆の事が良く解る作りになっていた。


 7月24日(木) 曇 6306

 床屋へ行き、病院へ行ってきた。病院は、8月13日から20日まで夏休みになるという。その前にまた、行かなければならないだろうと思う。Eさんからメールが来て、原稿チェックで喫茶店に入ったら、山鉾巡行をやっていたという。店から観ていたという。昨日夜中に、マラガ行きのAVEの往復切符をネットで購入。そうしたら、昼にカード会社から不正購入かも知れないと言うことで、電話があった。自分で購入した事を伝えた。こういうのは、ありがたい。最近は、ビットコインとか、ネットを使った不正行為が色々あるので、連絡をくれたようだ。

 個人情報漏洩事件も、色々起きているのでカード会社や銀行も、警戒を強めているのだろう。ネットでみんなが、お金が絡むやり取りをする頻度が多くなったので、上記のような事になってくるのだろう。嫌な世の中といえば、嫌な世の中だ。昔では考えられない事だ。現金が主流の時代から、丸井に代表される月賦の時代。それから、カードの時代を経て、今のネット購入時代へと変わった。凄い時代になったモノだ。

 たとえば、与謝蕪村の墓が、京都、金福寺にあるのは、ここが松尾芭蕉が滞在したといわれ、蕪村が芭蕉庵を作りこの寺を一門で復興したからだと思う。絵師としても名をはせた与謝蕪村。教科書などには、俳人として知られているが、絵師としても相当の絵を描いていた。こういう人から、人生を学ぶことは有意義なことだと思っている。金福寺は落ち着ける場所だ。それこそ一句ひねってみたい気分になる。

 今回は京都へ行って、寺も庭園も観ずに、祇園祭を観てきたが、京都でしか味わえないモノを感じてきた。京都へ行く前には咲いていなかった、百日紅が咲いた。睡蓮も咲いている。今日も暑い。夏である。

 庭に苔 夕立待って 緑なり  風吟


 7月25日(金) 晴 10587

 大暑過ぎて、暑さが増す。熱中症で病院へ搬送される人が増えているという。汗を出せば、疲れるし、バテる。ベタベタして気持ちが悪い。シャワーを浴びれば気分も変わる。こういう日は、ビールが美味しい。凍ったビールを始めて飲んだのは、スペインのバルだった。サン・イシドロの闘牛を観た後、少し離れたバルに入って注文したら、キンキンに冷えたブールならぬ、ビールの上の部分がシャーベットのように細かな氷が浮いているビールが出された。飲むと、頭が冷たさで痛くなるような感じだった。

 要は、ビールがあまり出ていなかったので、物凄くビールサーバーが冷えていたからだろう、そういうビールが出された。ISOさんはビールが好きだからこういう時期は、なおさらビールが美味しいだろう。


 7月30日(水) 晴 68417/5

 先日、弟からメールが来た。そこには、叔父さんが死んだことが書かれてあった。そして、兄弟から距離を置かれていたからか、葬式なども全て終わった後の報告だった。しかも、世話をかけた、下の弟が最後の始末をしているという。人の生き方は、様々だ。去年の年末に死んだ叔父さんは、好きだった。何か知らないが、タバコを銜えて、いつでも夢の方を観て生きていたような人だった。そんな感想持っている。

 先日死んだ叔父さんの方は、家族を顧みずに、自分の遊びに没頭する人だった。いつも県内にいて、主に海岸の公共事業をやっていた。定年後は、離婚して1人で生活していた。トースト1つ焼けないと、叔父さんの長女が言っていた事があったが、家族とも別れ、兄弟から疎遠になって・・・。全て自分のせいでそういうことになった。

 本当なら、盛岡に帰って葬式などに行かなければならなかったのだろうが、行っていない。夢を観ているような叔父さんとは、もっと話をしておけば良かったと思うが、先日死んだ叔父さんとはそういうことは思わない。ただ、いとこ姉妹がどんな気持ちでいるのかは、気になる。

 暑さも盛りになってきた。先週は床屋にも行ってサッパリしてきた。今BSで薬師丸ひろ子のコンサートを観ている。もし彼女が『あまちゃん』に出ていなかったら興味も湧かなかったと思う。彼女の映画を思い入れをもって数多く観たわけではないが、『Wの悲劇』は、非常に面白かった。まるでトリュフォーの映画のように、上と下の関係性で映画論が書けるような素晴らしい作品だった。

 僕の中では、薬師丸ひろ子といえば、『Wの悲劇』か、セーラー服と機関銃の頃の、来生えつこ・たかおで作詞作曲をやっていた歌手としての薬師丸ひろ子だ。だから、『あまちゃん』であんな役で出てくると、小泉今日子との絡みなんか面白いなぁと思ったのだ。それが23年ぶりのコンサート・ツアーを35周年でやったのは、タイムリーだった。

端居して妻子を避る暑さかな  蕪村
涼しさや鐘をはなるゝかねの声  蕪村


 7月31日(木) 晴 11079

 五木寛之の、「一向一揆」と「蓮如」の事を書いている部分を読んだ。本願寺が未だ石山本願寺に居を構えていなかった時代のようだ。親鸞の教えを、百姓や、女にも分かり易い言葉で伝え、念仏浄土出来るという阿弥陀仏信仰を北陸に植え付けた。そして、加賀の一向宗が富樫政親が籠もる高尾城に攻めて自害させ、税金を武士に払わない自治を確立する。これは約100年続く。室町幕府の権威は失墜して、戦乱の世の中になっていた。飢饉と、死が目の前にあった時代。蓮如は、念仏浄土を北陸の地に根付かせた。

 蓮如は、生涯で5人の夫人を持ち27人の子供を授かった。仏僧が妻帯することを禁じられていたのは鎌倉時代まで。それ以降の鎌倉新仏教からは、僧侶が欲望を口して、妻帯する僧が出た。師匠の親鸞も妻帯していた。

 「南無阿弥陀仏」の念仏を唱えれば、極楽浄土に行ける、それは男だけでなく、女も出来るという事を言ったという。つまりそれまでは、女は不浄のモノで、浄土出来ないという風に思われていた様だ。多分、罪人もそうである。しかし、そういう人こそ救われるべきだと考えたようだ。それにしても、「一向一揆」が作った100年の百姓たちの市民自治の共和国。浄土真宗の信者とは凄いモノだ。京都・東本願寺、西本願寺は、特別拝観の時に、お金を取らない。普段から信者たちのお金で潤っているからだ。信長が石山本願寺に手こずった事でも判るし、家康が本願寺を恐れ、東と西に分けたことからも判るが、信徒の多さとその資金力は、昔から、そして今も変わらず、驚異的だ。

涼しさを絵にうつしけり嵯峨の竹  芭蕉
蚊帳の中 滴る汗を 顔に受け 瞬く女の 目に涙  風吟
月明かり 黒髪みだれ 柔肌が 白くうねって 香り立つ閨  風吟


 8月1日(金) 晴 11026

 人は日々選択している。数学のように、答えが1つであるということはあり得ない。人生のようにハッキリしないのだ。これが正しいのか、そうじゃないのかは、直ぐに答えが出ないときもある。今こういう事を言って良いのか、悪いのか?こういう事では続けられないから、辞めた方が良いのかどうか?1つの基準では判断できないことも沢山ある。いろいろな角度から物事を考えて判断する必要もある。

 色々なことを考えて判断しても、まったく結果が悪いときもある。全然考えないでパッとやったことが、凄く良い結果が出ることもある。それが、自分という一人称単数で決まるが場合と、他者が存在する場合ではまた違うだろうし、その決断を仲間なり、その他の人が見ている場合でも違ってくるだろう。こういう選択が日々の生活の中にも転がっている。答えが1つならどれだけ判りやすいだろうと思う。

 でも、そうではないから面白いとも言える。競馬のように1つの「解」を求めて、ある基準を基に選択する。その面白さというのが競馬にはある。ある意味、人生では味わうことが出来ない快感である。自分が正しいのか、間違っているのかが、直ぐに判る。正しければ嬉しいが、間違っていれば、悲しいので、それを次から修正しようとする。正しい解だかからこそ、正解となる。

 逆に言えば、正解など、人生にはない。それも面白いと考えられる人生にしたいモノだ。


 8月4日(月) 晴 41035/3

 人の心は醜い。佐賀であった女子高生の殺人事件など観たくも訊きたくもないニュースだ。人間社会ここまで来たかと思う。しかし、戦乱の世、生き延びるために人肉を食べた人もいるだろう。訳もなく人を殺す世でもあっただろう。だから、今更であるが、そういうこともあるのだ。だが訊きたくない事だ。

 信長に謀反を起こした村重が生き延びて、千利休の弟子になり、茶人、道糞を名乗った。道に転がる犬の糞である。罪深い人生を送っても未だ死にきれず、生き恥をさらしてまで茶人として人生を送る。村重のために、妻を始め一族など多くの人が京の鴨川の川原で殺された。そういう物を背負って生き延びた。侘び寂びの茶の世界に生きた。この時代、こういう人もあれば、細川ガラシャのようにキリスト教を心の支えとして生きた人もいる。茶は、禅宗と結びついて武家社会と結びついた。キリスト教は信長の影響が大きい。それにしても、覚悟というモノが凄い。この時代に生きて、その覚悟が出来ていないとやばいなぁと、思う。

空想を 糞に変じて 夢を観る うなされ続ける 道糞の夢  風吟


 8月5日(火) 晴 10368

 猛暑の中、最新のニュースで、理化学研究所の笹井芳樹・発生再生科学総合研究所副センター長が理研の研究棟の4階と5階の踊り場で首を吊って自殺を謀ったようだ。病院に搬送され救命措置がとられていたが、隣接する先端医療センター病院の医師が、死亡を確認したという。

 こんな事になるとは思わなかったと、小保方晴子氏は思っているのだろうか。ノーベル賞受賞者山中伸弥教授のライバル、笹井芳樹氏は、自ら死を選んだ。3通の遺書のようなモノが残されていたという。そのうち1通は小保方晴子氏宛だったという。

 科学者・研究者という立場と、理研の管理者という立場の狭間で、「STAP細胞」問題で苦悩葛藤した結果がこれでは、彼が行ってきた再生医療のついての大いなる研究成果は、儚いモノになってしまうのだろうか?物凄い実績を持っている人が、こういう形になると、実績をそれほど持っていない人は、研究者としての立場の危うさを感じて、悲しく思うのではないのかと、思ってしまう。

 理研内は、大変な状況なっているだろう。犯人捜し的な、また、責任は誰にあるのか的な、解決の仕方だと、こういう結果になるのだろう。今後どういう研究のあり方にしていかなければならないのかということが、本当は1番大事なことだ。処分だけを、結果だけを問うようなやり方では、まずい状態になる。腹をくくって科学の発展のためにやって欲しい。


 8月7日(木) 晴 32240/2

 自殺に追い込まれたんだろうなぁと思う。理研のエース笹井芳樹氏は、「限界を超えた」と遺書に書いていたという。そこまで追い込んだ理研という組織は非道いモノだ。理研のトップ野依良治理事長は、
「この度 笹井芳樹 発生・再生科学総合研究センター副センター長の訃報に接し 驚愕しております 衷心よりお悔やみを申し上げます
 世界の科学界にとって かけがえのない科学者を失ったことは 痛惜の念に堪えません
 長年にわたる先導的ご研究に敬意を表し 謹んで哀悼の念をこめ ご冥福を心からお祈り申し上げます。」

 と、コメントを発しているが、辞めたがっていた笹井氏を辞めさせなかった理研という組織が殺したようなモノだ。誰もが責任を押しつけていった事件。結論を先送りし続けて、当事者を苦しめる仕掛け。まったくもって日本的な組織の典型。旧態依然の態勢の組織。ノーベル賞受賞者がいてこれだ。科学者と管理者を初めから別にすべき事なのに、そもそも科学的でないし、論理的でない。最悪の形で、笹井氏は犠牲者だ。彼に責任が全くなかったとは思わないが、死に至るまでの責任は、全くないはずだ。

恋ひ死なば恋ひも死ねとやたまぼこの道行く人にことづてもなし 柿本人麻呂
死はひややかな空とほく雲のゆく  種田山頭火
恋ひわぶと 聞きにだに聞け 鐘の音 うら忘らるる 時のまぞなき  和泉式部


 8月8日(金) 曇 11111

 水なすや 鱧(はも)より沁みる 京の夏  風吟

 宵山の夕方、先斗町にある和風の飲み屋に入ったとき、ISOさんが勧めてくれたのが、今の時期に食べられる水なすだった。口に含むとなすの水分がジュワーと口の中に広がった。この清涼感には驚いた。何かとっても、楽しく感じた。こんな物を京都の人は食べるのか。暑い夏でも、これを食べれたら、毎日楽しいだろうなぁと思った。

 食べたのはおひたしだったのか、つけもだったの覚えていないが、多分、おひたしだったんだろうと思う。漬物屋の店頭などには、水なすありますと書いた幟などがひらめいている。ああいうのを観ると京都の人は夏を感じるのだろう。京都の夏と言えば、祇園祭。別名が、鱧祭り。鱧や鰻で精をつけるのも良いだろう。でも、水なすの清涼感の方が好きだ。穏やかな幸せを感じる。

 女性的な食べ物なのかも知れない。しかし、落ち着く。和を感じる。これを毎日に食べられたら幸せだろうなぁと思う。変わらずいつも同じと言うことがどれほど平安を感じることが出来るだろうか。この穏やかさは、清涼感と共に格別だ。

 人の世は、いつもそこに留まってはいない。人間の細胞のおよそ98%が1年で入れ替わるように絶えず変化する。人の体を作っているタンパク質。でも、タンパク質だけを食べても、人の体は維持できない。色んな食べ物を食べて美味しさを味わい、季節を感じる。こういう細やかな事は、おばあちゃんが漬けた漬け物から感じたし、作ってくれる料理からも感じた。

 子供の頃は、花などを観て、綺麗とか、可愛いとかは殆ど思ったことはなかったし、感じたことはなかった。年をとると草花が綺麗だという気持ちがよく解るようになってきた。若いときに出来たことが出来なくなり、若いときの感性とは違う、何かを感じる。そこにある物をそのまま感じ、受け入れ、綺麗だと受け入れれるようになってくる。こういうのが、神社に代表される神道の感じ方なのだろう。自然の中に、人の営みの原点があると、日本人は感じている。

 37歳で大学教授になった笹井さん。研究生活だけを続けていればあんな事にはならなかったんだろうなぁと思う。水なすのことを思い出しながらそんなことを思った。

悲しみに 出会うたび
あの人を 思い出す
こんな時 そばにいて
肩を抱いて ほしいと

なぐさめも 涙もいらないさ
ぬくもりが ほしいだけ
ひとはみな 一人では
生きてゆけない ものだから

空しさに 悩む日は
あの人を 誘いたい
ひとことも 語らずにおなじ歌 歌おうと

何気(なにげ)ない 心のふれあいが
幸せを 連れてくる
ひとはみな 一人では
生きてゆけない ものだから

何気(なにげ)ない 心のふれあいが
幸せを 連れてくる
ひとはみな 一人では
生きてゆけない ものだから

生きてゆけない ものだから  ーー『ふれあい』歌詞:山川啓介 作曲:いずみたく 歌:中村雅俊ーー


 8月12日(火) 曇のち雨 58568/4

 台風が過ぎたのに、風の強い月曜日だった。甲子園大会は、台風の為、2日間遅れて開催された。第1試合でいきなり、春夏連覇を狙う龍谷大平安高校が負けた。波乱の大会になりそうだ。そして、サッカー日本代表監督に就任したハビエル・アギーレが記者会見して、「新監督の表情が勝負師のそれに変わったのは選手選考、チームをつくる上でのキーワードを挙げた時だ。

 「スペイン語と同じニュアンスで伝わるか分からないが、コンプロミソだ」。義務や責任、約束を果たすなどを意味するスペイン語。そこに新監督が選手に求めるハードワークと高いプロ意識がうかがえた。会見では他にも「諦めず競い合う」姿勢を表す「Competitivo(コンペティティーボ)」や「献身的に深く関わる」という意味の「Comprometido(コンプロメティード)」など独特の語録が登場した。これら「3C」がアギーレジャパンの神髄となる。」 

「 「哲学はシンプル。とにかく走る。いいプレーをする。そして勝利する。それが全てだ。国を背負っていることを肝に銘じて戦ってほしい」。闘争心を選手に求めた。」ーーサンスポよりーー

 選手選考からザックとの違いが判るだろうと思う。

 競馬は、台風の影響が心配されたが、中止にはならなかった。どういう風にアルゴリズムに現実を対応させるかという悩みも、かなり先が見える状況になってきた。実験検証の時期は過ぎたようだ。これからは、実践の問題になってきた。しびやに結果を求めたいと思う。


 8月13日(水) 曇 12904

 季節柄、戦争関連のTV番組をやっている。悲惨極まりない戦場の惨状をNHKなどを中心にやっている。NHKスペシャル「狂気の戦場 ペリリュー〜“忘れられた島”の記録〜」は、トンネルを掘ってゲリラ戦法長期戦でアメリカと戦った。アメリカが始めて日本の戦い方を実感した。これ以降、レイテ島や沖縄戦では、火炎放射器や東京など都市部の焼夷弾爆撃や原爆投下などの作戦が実行されたようだ。

 長崎原爆記念日に、安部首相は、前年とほぼ同じという冒頭部分があり、コピペで批判されている。集団的自衛権を閣議で決めたが、それについての批判を長崎市長がしたようだ。こういう事は、非常に重要なことなのに、国民的な議論なしに決定した事は、当然批判されなければならない。元自民党幹事長、野中広務は、批判している。過去に自民党がやって来た政策に反するからだろう。

 憲法9条に抵触するという批判だ。憲法解釈を勝手に変えることは憲法学者も批判している。どうなるんだろう。中国の挑発的な行動がこういう対抗措置として、考えられたのだろうとは思うが、間違ったやり方だと思う。


 8月14日(木) 曇のち雨 6951

 どうしてこうなるのと言うことがある。『花子とアン』では、花子の子供、歩が疫痢であっけなく死んでしまった。悲しみに暮れる花子を、夫や白蓮や家族が付きそう。その姿を詠んだ白蓮の歌に気がついたように、翻訳の仕事に没頭する。そうしなければ、悲しい気持ちを抑えきれないからだ。

 『ホットロード』の16日公開が迫っていて、TVでも映画の紹介がされている。じぇじぇじぇ『あまちゃん』主演の能年玲奈初主演の映画である。スペイン行く前に観れるのか、戻ってから観れるのか。『トイレ?行っトイレ!〜ボクらのうんちと地球の未来』というのがお台場でやっているが、この2つが観に行きたい物だ。平日の朝イチがねらい目だ。ただな、『ホットロード』の主題歌って尾崎豊なんだよな。のらないだよなこれ。


 8月19日(火) 晴 50652/5

 はーあ。もう直ぐスペイン行きだ。準備は整いつつある。スペインでの日程もせわしないが、こなせないモノではない。マラガでは、下山さんや、Yさん、須美さんとも会う予定だ。この暑いときに、あの熱いマラガに行くのかと思うとちょっと気が引けるが、ホセ・トマスに会えるのでそれはもう、どうでも良いことだ。どうせなら、熱く燃え上がって欲しい。

 高校野球では、東北勢が、6県中5県が1勝している。こういうのは、驚きの結果だ。盛岡大付属は、150キロ投手松本を擁して東海大相模に勝った。あの花巻東を決勝で破っての甲子園。そして、初勝利。暑さに負けず力を出して欲しい。行けるところまで行って欲しい。


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