断腸亭日常日記 2018年 5月 スペイン旅行

--バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で--

por 斎藤祐司


過去の、断腸亭日常日記。  --バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で--

太い斜字で書いてある所は99年、2000年、2001年、2002年、2003年、2004年、2005年、2006年、2007年、2008年、2009年、2010年、2011年、2013年、2014年、2016年、2017年のスペイン滞在日記です。
太字で書いたモノは2010年11月京都旅行。2011年3月奈良旅行東日本大震災、11月が京都旅行、2012年4月、11月、12月の京都旅行、2013年4月京都旅行5月出雲遷宮旅行10月伊勢神宮の遷宮旅行11月京都旅行、2014年5月6月、7月の京都旅行、2015年6月京都旅行、9月奈良・京都旅行、11月京都・滋賀旅行、2016年11月京都旅行、2017年9月京都旅行、11月の奈良・滋賀・京都旅行高野山・京都旅行滞在日記です。

99年4月15日~5月11日 5月12日~6月4日 6月7日~6月10日 2000年4月20日~4月29日 5月1日~5月14日
5月15日~5月31日 6月1日~6月15日 6月16日~6月29日 2001年4月19日~5月3日 5月4日~5月17日
5月18日~5月31日 6月1日~6月11日 6月12日~6月22日 2002年4月16日~4月30日 5月1日~5月15日
5月16~5月31日 6月1日~6月13日 2003年4月16日~5月24日 5月25日~6月10日 6月12日~6月26日
2004年4月14日~5月7日 5月8日~5月31日 6月1日~6月17日 2005年3月31日~4月24日 4月25日~5月22日
5月23日~6月16日 2006年4月13日~5月6日 5月7日~5月29日 5月30日~6月19日 2007年4月20日~5月19日
5月20日~6月16日 2008年5月13日~6月16日 2009年5月25日~6月6日 6月7日~6月12日 6月13日~6月22日
6月23日~7月3日 7月4日~7月21日 9月24日~10月2日 2010年5月29日~6月7日 6月8日~6月26日
11月14日~11月26日 2011年3月5日~3月17日 7月20日~7月31日 8月1日~8月22日 9月14日~10月3日
 11月21日~11月27日 2012年 4月2日~4月22日 11月1日~11月13日  12月4日~12月11日 2013年 4月18日~5月4日
 5月5日~5月13日  5月14日~5月24日 10月1日~10月29日  11月25日~12月6日  2014年5月31日~6月23日
6月24日~8月19日  8月24日~9月2日 2015年6月17日~9月20日 9月22日~11月19日  11月20日~12月31日
 2016年4月4日~5月2日 5月3日~5月20日  5月23日~6月1日  6月2日~6月20日  9月1日~9月15日
 11月16日~11月30日 2017年 5月8日~5月21日  5月22日~5月31日  6月1日~6月12日  6月13日~6月27日
 8月27日~9月11日  10月30日~11月12日  11月13日~11月26日  2018年1月1日~1月16日  1月17日~2月2日
2月3日~2月15日   2月16日~2月25日  2月26日~3月16日  3月17日~3月31日  4月1日~4月9日
 4月10日~4月24日  4月25日~5月4日  5月5日~5月14日    

 5月15日(火) 晴 12267

 昨日の夕方、マドリードに到着。電話を使えるようにしようとしたり、今日は朝からラス・ベンタス闘牛場へ行ってきた。本来、アボノメールを見せれば、切符をちゃんと貰えるはずなのに、めんどくさがってかなんか知らないが、スマホで出来るの一点張り。それも、ちょっと対策を取った。くまさんのところに行ってお土産などを渡して、話をしてきた。今日から、ソルテオを観ようと思っていたが、そんなので、観に行けなかった。

 取りあえず無事にマドリード到着。そして、サン・イシドロ日からサン・イシドロを観る。今日はマドリードは休日。これから飯食って、寝て闘牛。


 5月16日(水) 晴 20036

 到着当日歩いている人の服装は冬服だった。荷物をもっているから東京と同じ服装でも汗が出る。そんなもんかと昨日は冬服で出掛けたら暑かった。日中は半袖の人がいる。夕方過ぎると服装が変わるのか、それとも到着日の天気のせいだったのか?なんか、北朝鮮の金正恩が、またおかしなこと言いだして、米朝会談がなくなるかもしれないようだ。気違いに刃物、いや、気違いに原爆。

 闘牛場は暑かった。直射日光があたるソルだから仕方ない。どうやら帽子を忘れてきた。どうせ買うならエンジェルスの赤い帽子が欲しいが、マドリードで売ってないだろうなぁ。エル・プエルト・デ・サン・ロレンソ牧場の牛で、エル・ファンディ、パコ・ウレニャ、ロペス・シモン。エル・プエルトの牛は初めの3頭は、トリルから出ると止まり匂いをかぐ仕草をした。気性的なものなのだろう。何処に行けばいいのか迷っている感じがする。つまり、突進して来ないのだ。ファンディはバンデリージャ打ちの3回目ビオリンをやったが、2本とも刺さらなかった。口笛を吹かれた。牧田のような120キロの直球って感じか、あれはやり難い。

 パコ・ウレニャは、初めの牛で良いファエナをした。初めのベロニカは、牛の動きがゆっくりで小さい。足を止めてカポーテを振って、牛の動きに合わせる。牛の動き距離は小さいが、中心点を決めて動かしているので牛の動きが良くなるはず。時に誤魔化すことも必要だが、こっちの方が危険なリスクはあるが、牛の動きが良くなる可能性が高くなると思う。闘牛場から「オーレ」の声が出る。カポーテでは左角が長いのが判る。

 ムレタでもやっぱり左角が良い。パコ・ウレニャは、ちゃんとそこを解っている。カポーテから、大事に牛を扱ってきたからちゃんと動く。「オーレ」が響く。ナトゥラルの長いパセのタンダが続くと「オーレ」の声が大きくなる。こういう長いパセを牛から引き出せたのは、カポーテからちゃんとやって来たからだと思う。右も丁寧だ。もう後は剣だけ。しかし、牛の置き方が悪い。前足が揃わない。それなのに刺しに行こうとする。焦っている。これじゃまずいなと思っていたら、案の定ピンチャッソ。ため息が漏れる。しかも、4回も・・・。デスカベジョ。挨拶するも、観客は耳を出したがっていた。

 5頭目の牛で、耳1枚取る。ファエナの前半は良くなかった。後半になって何とかパセが繋がった感じだ。始め牛の方が断然良かった。でも、剣が決まったのが5頭目の時。2頭の牛を合わせて耳1枚って感じの耳だった。だが、それだけの価値のファエナをパコ・ウレニャはやったと思う。

 ロペス・シモンは、初めの牛で、足を動かしながらカポーテを振った。パコ・ウレニャの様に耐えらない。危険を回避している。これが普通と言えば普通だ。こうやって良いファエナを引き出せる時もある。でも、ファエナも牛との距離が段々と近くなって1mくらいのところで牛を誘う。それを出来るのは、ホセ・トマスだけでしょう。危険なようで、フリがやるような見せかけだけのようなファエナで、しかも牛が動かない。アポデラードがクーロ・バスケスに代わって、最近良くなってきたと、下山さんが言っていたが、2年前に観たファエナのやり方の方が良かった気がする。結果が出ないと迷いが出るのか?そんなに悪くはないんだろうけど、良いファエナを観たいと思っている人間にとっては、物足りない。


 5月17日(木) 晴 17867

 全然みてなかったので知らなかったが、昨日はヨーロッパ・リーグ決勝で、アトレティコ・デ・マドリードが3-0で勝って優勝した。闘牛を観終わった後に、歩いていたら、バルの前のテレビで中継がされていて、2-0で勝っていたのでこのままいくだろうと思った。ソルで降りて、バルに行ったらアトレティコファンがいっぱいいた。そこで夕食を取りながらサッカーを観ていた。3点目が入って大騒ぎ。アトレティコのカミセタを着ている娘もいる。背広を着たサラリーマンもいる。そこで過ごすのもまた、一興。

 16日のサン・イシドロは、ヌニェス・デル・クビジョ牧場の牛で、アントニオ・フェレーラ、ホセ・マリア・マンサナレス、アレハンドロ・タラバンテ。タラバンテは、最後の牛の剣刺しで、ピンチャッソ2回でプエルタ・グランデが消えた。ひょっとしたら2枚出ていたかもしれない。初めの牛では、膝を折ったデレチャッソで牛を大きく動かして、牛をものにした。ああいう風に牛に動きを教えるようなパセを始めにきっちとやれば、ファエナは闘牛士の思いのままになる。左右のパセは長く観客に心地よさを与えた。完全な耳1枚。

 アントニオ・フェレーラは、体の力を抜いたパセを繋いだ。こちらも長いパセ。ナトゥラルが印象に残った。去年の耳を思い出すようなファエナだった。でも、あとでビデオを観ると右手のパセ・デ・ペチョは、大きなパセで印象に残るものだった。ファエナの最後の盛り上げ方が上手いと思った。あれで耳1枚が出た。

 マンサナレスの耳は5頭目に出た。ちょうどトイレに行っていたら、扉を閉められたのでテレビで観た。明らかにクルサードしてないで牛を誘い、しかも、体から遠くを通すパセを繋ぐ。マンサナレスお得意のパセ。客席は盛り上がっているようだ。でも、あれじゃなぁと思うファエナだ。間の取り方は1級品。それと剣刺しも良い。でも、それだけ。扉が開いて中に入ると耳に対する抗議の手拍子が起きていた。当然。

 昨日は、良い夜だった。良い闘牛が観れて、アトレティコがヨーロッパチャンピオンになったのだから。今日はこれから宿を替える。明日の朝も替える。そうすれば去年と同じところになる。でもその前に、ソルテオに行ってこようと思っている。


 5月18日(金) 曇/雨 21498

 宿を替えて、定宿に朝入る。宿替えで、ソルテオには行けないかもしれないと思っていたが、何とか行けた。昨日は、11時44分に開場したが、今日は11時55分の開場だった。今日は牛のリストの写真が撮れなかった。Facebookにも書いたが、ハンディージャ牧場の牛。1頭目69番△、2頭目1番?、3頭目122番?、4頭目124番△、5頭目65番△、6頭目81番×。という見立になった。?になっているのは、ともの前に三角形があるが、腰つきというか尻がしっかりしているように見えた。これは、昨日の教訓だ。三角形があったので最も重い×にしたのに、あまり前脚がつぶれずに耳1枚のファエナになったからだ。こういう失敗を踏まえて適応力を付けて行きたい。大谷翔平の様に・・・。処で、今日の大谷翔平は、4打席目でホームランを打った。試合は0-7と、決まっていたが、9回裏に結果を残した。

 昨日の闘牛は、ファン・ペドロ・ドメク、パルラデ牧場の牛。フィニート・デ・コルドバ、ロマン、ルイス・ダビ・アダメ。フィニートは、始めの牛は良かった。左角が良いのに、デレチャッソを繋げる。それでも良いんだけど、ナトゥラルが全然決まらない。クルサードが相変わらず浅い。していない時の方が多い。

 ロマンは、闘牛を誤解しているのかと思ってしまった。初めの牛は遠くから呼べる牛。それを読んだのは偉い。でも、呼べる距離を解っていない。それと、カルトゥーチョ・デ・ペスカドをやろうとしていたけど、もっと突進する牛の時でない有効ではない。デレチャッソで誘うのが普通なのに・・・。自分がやりたい闘牛をやろうとしているだけ。牛の特性に合わせて何をするのか。適応力がないといわれても仕方ない。派手にやろうとするからそうなるのだろうと思う。もっと当たり前に、当たり前のことを積み重ねていってほしい。

 ルイス・ダビ・アダメは、初めの牛で耳1枚切った。ソルテオの見立ではこの牛は最悪と評価したが、そうではなかった。ともの前に三角形が出来、大きく凹んでいたのでそういう見立になった。おそらく、前脚が耐えきれずにつぶれるだろうと思ったからだ。確かに何度か前脚がつぶれたが態勢に影響しなかった。それより動いている時の牛の体の筋肉が凄かった。力があるのだ。そしてこの日1番良い闘牛の仕方をしていたと思う。最後の牛で、カポーテでフリがやるロペシーナをやって観客を沸かせていた。

 今回ソルテオを観て、闘牛を観たのは昨日が初めて。それで思ったのは、去年に比べて牛が大きくがっちりしている気がした。牛の体重が重くなったという言うのではなくて、骨格が良い。特に尻と後ろ足。そして、思った以上に筋肉が付いているように思った。それは、ソルテオではちょっと分からないと思う。ほとんど動いていないからだ。闘牛場に出てきて筋肉や動きが判る感じだ。


 5月19日(土) 晴 13384

 昨日は、雨で闘牛が中止になると思っていたら1滴の雨も闘牛中は降らなかった。でもやはり寒かった。闘牛が終わった後、万希ちゃんと会って話した。カステージャって耳を取ってもいつも口笛吹かれたり、三拍子の手拍子を受けてしまう。ファエナ途中でクルサードしない時があるので、7などからそういう反応を受ける。スペイン人じゃなく、フランス人だという事や、闘牛がパターン化しているのが原因だと思う。それが好きとという人もあれば、だから退屈という人もいる。ポンセのベーリー・スペシャル・ワン・パターンに似ている。

 昨日の闘牛は、ハンディージャ牧場の牛で、ファン・ホセ・パディージャ、セバスティアン・カステージャ、ロカ・レイ。パディージャは、闘牛開始前に喝采を浴びた。この日は、コヒーダされることもなく、バンデリージャでは、2頭とも最後はビオリンをやった。膝を着いたパセなどで初めの牛で観客を沸かせたが、それ以上牛の良さを引き出せなかった。

 セバスティアン・カステージャは、初めの牛は、普通にやろうとしていたが、上手くいかなかった。次の牛の時は、いつものパターン。アレナ中央に立ってブルラデロにいる牛を誘って右手に持ったムレタを背中の方に振って牛を通すパセから始めた。結局一緒の闘牛。そして、ファエナの途中で口笛が鳴る。誤魔化して闘牛やってるんじゃないよ、というような口笛だ。あれは、ちゃんと闘牛をやれよという意味も含まれているが、耳2枚は出させないぞという効果もあると思う。マンサナレスほど酷くはない。何かにつけ、文句が言いたいという人もいるのだ。

 ロカ・レイは、白い衣装で登場。闘牛で腹の辺りが牛の血で赤くなるのをよく見る。今日のロカ・レイは、背中を通すパセの時に牛が接触して、何と尻の処が牛の血で赤くなっていた。尻の青い奴は見たことあるが、尻の赤い奴は、猿以外知らない。彼の闘牛のスタイルは、観客にいかにインパクトを与えるかという事を主眼に置いている。それでも、この前のロマンの様に全く牛を無視して闘牛はやらないようだ。ある程度牛の事を分かった上で、闘牛をやっている。そこが、またやっているよと思っても、観ていられるところだと思う。最後の牛は、力強さに欠け、パセの後、逃げているような牛。若い彼には、こういう牛を扱う方法がないと思う。経験を多く積んだベテラン闘牛士なら扱えると思うが、それでもそういう闘牛士はなかなかいないのも事実。

 今日も雨予報。月曜日まで雨の降る時間が予報では出ている。


 5月20日(日) 晴 13832

 昨日は、三木田さん夫婦と会って昼食を取った。マドリードで最近はやっているというビュッフェ方式のレストランでランチ。これが意外と美味しかった。パエジャも日本人には米の炊き具合良かったし味も良い。鶏の焼いたのも柔らかくてジューシー。赤ピーマンも甘くなるように長く焼いている。牛肉は食べなかったが赤身肉が美味しそうだった。デザートも店で作ったもの。何故か話は、昔の話。今回は闘牛の話よりそっち方が多かった。大谷翔平話からプロ野球の話。衣笠が死んだ話。アングラ芝居から俳優の話。寺山修司や三島由紀夫、太田省吾。早稲田小劇場の白石加代子、赤テント、黒テントなど。

 昨日の闘牛は、アルクルセン牧場の牛で、クーロ・ディアス、ホセリート・アダメ、ファン・デル・アラモ。クーロ・ディアスはコヒーダされた。去年アルクルセンは、サン・イシドロに2日出て、2回ともプエルタ・グランデしたが、今年の牛は良くない。腰つきが華奢だった。ファン・デル・アラモは2頭目の牛の時、膝を折ったパセから始めた。これは去年と同じだ。でも、牛が動かない。

 ホセリート・アダメは、2頭目の牛も良くなかった。パセの後、逃げていく牛。こういう牛が多かった。しかし、諦めずにパセを繋いでいたらファエナの後半は動くようになって来た。それで観客が盛り上がって耳の雰囲気になった。それでも、剣刺しが酷かったので、あれで耳を出すのはどうかと思う。プレシデンテはちょっとおかしい。三拍子の手拍子や、「フエラ・デ・パルコ」の合唱が起きていた。


 5月21日(月) 曇/晴、夜土砂降りの雨 8968

 さっき闘牛場から帰って来た。昨日今日と更新が遅れている。もうすぐ0時になろうとしている。シンデレラの様に、0時までには更新しなければと思っている。昨日の闘牛は、騎馬闘牛。ディエゴ・ベントゥラとレオナルド・エルナンデス。ベントゥラが、耳1枚、耳1枚でプエルタ・グランデ。エルナンデスは最後の牛で耳1枚。それまでだって耳を取れたのに、剣が全然ダメだった。こんなに酷い剣刺しは騎馬闘牛では珍しい。闘牛の途中で、どうしようもなく眠くなった。気づいたら牛がタブラを超えてカジェホンの中に入っていた。それで眠気が覚めた。あー二人ともやること分かっているからつまらないのかもしれない。


 5月22日(火) 晴のち曇 11045

 朝は晴れていたが、昼過ぎになって曇ってきた。昨日みたいに雨が降るかもしれない。今日はソルテオに行ってきた。フランスから戻って来たTHさんと一緒に観た。途中でトイレに行きたくなって2頭の牛が観れなかった。観た中では、2頭目の30番の牛がギリギリかなという感じ。4頭目5頭目は見れなかったが、THさんが言うには5頭目のモレニート・デ・アランダの牛が良かったといっていた。終わってから闘牛士の話を訊いたが、初めてラス・ベンタス闘牛場に出場した時は、プレッシャーを感じたといっていた。

 普通はそうだと思う。緊張もさほど感じることなく耳を取るような闘牛士は、大谷翔平クラスだろう。ちゃんとした準備が出来ていても、いなくても、プレッシャーを感じるのが当たり前の神経だ。やってきた事をそのまま出せればいいと思えるような闘牛士だけが、この世界で成功できるのだろう。

 昨日の闘牛は、見習い闘牛。若牛は、コンデ・デ・マヤルデ牧場。パブロ・アティエンサ、アルフォンソ・カダバル、トニェーテ。アティエンサは、あまりよくなかった。アルフォンソ・カダバルは、初めの牛で耳要求があったがそんなでもなかった。距離が判っている感じがしたが、2頭目ではそれも感じられなかった。トニェーテは、最後の牛で、バケツをひっくり返したようなスコールのような土砂降り雨。あっという間に、アレナが田んぼのような状態なった。テンディドにいる観客がドンドンいなくなる中、グラダとアンダナーダの観客がいなくなる観客に当てつけるように、「オーレ」の合唱を始めた。こういう時って、耳が出ることが多いのだ。それは経験上知っている。ラス・ベンタス闘牛場でも、セビージャでも。

 そして、トニェーテはムレタを振って牛を動かし続けた。もうパセが感動的だとか、手が低いパセだとか、コロカシオンが良いとか、ほとんど関係ない。土砂降りの雨というシチュエーションが観客を興奮させている。剣も決まりお約束の耳1枚。土砂降りの雨の中、場内一周するトニェーテへ、「トレロ」コールまで出た。笑って観ていた。テンディド7など一部から抗議の手拍子も起こったが、それをやらなくも良いだろうとおもう。意味は分かるが、こういうレガーロの耳が出てもいいじゃないかと思う。特に見習い闘牛士に対しては・・・。


 5月23日(水) 曇 13150

 昨日は闘牛場へ着いたら、雨が降りそうな雰囲気でどうなるんだろうと思っていたが、雨は降らなかった。エル・ベントリージョ牧場の牛は、ソルテオで観た通りあまりよくなかった。つぶれないだけで、良い闘牛になるような牛ではなかった。クーロ・ディアスは牛がダメで、カポーテとムレタでちょっとだけ楽しませた。モレニート・デ・アランダは、距離が判っているのかと思っていたが、牛から1mくらいのところでトレアールしていたので牛が動くはずがない。何でメリハリつけて出来ないんだろうと思ってしまう。ダビ・モラは初めの牛で、頑張ったで賞。つぶれないだけの牛を丁寧にやっていた。良いパセが出ない。それでも、剣が決まると観客は耳を要求した。そして、場内一周。テンディド7からは口笛が吹かれていた。それは当然だと思った。耳の価値を感じないファエナだった。

 今日ソルテオに並んでいたらTHさんから電話があった。もう切符を買って並んでいたのだ。それから遅めにやってきたが、切符が売り切れだったといっていた。それでも後から入って来たので、入口の係員に入れて貰ったのだろう。今日のソルテオは、一頭目105番×、二頭目82番?尻がデカイ、三頭目44番△三角形があるが腰がしっかりしている、四頭目78番×、五頭目31番△、六頭目10番△。ペレラの牛は良くなかったが、タラバンテとロカ・レイの牛は良さそうだった。

 大谷翔平は、試合前のバッティング練習でファンや相手チームを驚かせている。標高1600m球場で三階席上段に打って歓声を上げさせ、地元記者があそこまで打った打者は見たことがないと驚きのツイートをし、エンジェルスのスタジアムでも特大の打球を打って、後日職員が飛距離を計測したり、カナダのトロントでは、五階席に打ち込んで、ファンの歓声を上げさせ、それを観た相手チームの四番打者が、「彼は別世界から来た」と驚きを語ったという。MLB公式ホームページには、その打球が動画で掲載されたという。ある相手チームの選手は、「僕があそこまで飛ばすには、二塁から打たないと届かない」と言ったそうだ。打撃だけでこれだけの衝撃を与えているのに、ピッチャーでも160キロ以上の直球を投げ、フォークボール、スライダー、カーブもある。大谷翔平の二刀流は、大リーグを変えようとしているのかもしれない。当然の様に、オールスターのホームラン競争へ出場するようファンやマスコミの声が強くなっている。

 そういえば、今日のソルテオで隣の青年から話しかけられた。ドイツから来たという。Facebookを観ていたようで、サンタ・コロマなどの書き込みを読んでいたみたい。彼は小さい頃、父親に連れられてラス・ベンタス闘牛場のサン・イシドロを観ていたという。97年くらいから。だからホセ・トマスのはじめのプエルタ・グランデも見ているという。彼のお気に入りはホセリート。良い趣味していると思う。僕は、セサル・リンコンのプエルタ・グランデから闘牛を観ていると言ったが、彼は休みが10日くらいしか取れなくてもうドイツに帰らないといけないといっていた。ドイツにもアフィショナードがいたんだなぁと持った。アニアもそういえばドイツ人か。


 5月24日(木) 曇/雨 11746

 昨日は、闘牛中に3頭目の時に雨が降り出した。この前の様に土砂降りの雨ではなかったが、テンディドの観客は、中の通路の方に下がった。それから雨は弱くなったが、降っていた。サン・イシドロっていつも雨が降る。今日だってソルテオの帰りにちょっと雨が降った。終わった後、闘牛場で待ち合わせ。わざわざ来てくれて、それから、サント・ドミンゴへ移動して食べて飲んで話をした。

 TD君は、日本料理店のどん底を辞めて、アイリッシュバーで働いているという。相変わらずジムでも教えている。アイリッシュバーの仕事仲間が日本語教えてくれというから、数字を教えて、1から順番に教えて行って、10はメッシと言ったら、爆笑してしたという。スペイン人と話をするときは、いつも冗談ばかり言っている。それだけスペイン語が堪能なのだ。1軒目で結構お腹いっぱいになった。ブール頼んだのに、手羽の揚げ物、ひよこ豆サラダ、パエジャまで出てきたからだ。それから、近くの店に移動して、海老とチーズをつまんだ。同居人の話や、本の話をした。彼は、出来ればニューヨークに移住したいといっていた。そういえば、日大のアメフトのレイトタックルの話になって、あれはやばいといっていた。僕らが高校の時、サッカーのタックルに行くときは、2つの方法がある。ボールに行くか、足に行くか、ハッキリしろと先輩から言われた。それはもう、40年以上前の話だ。当然ボールに行っていた。卒業した先輩は、試合中に、相手の足の骨を折った人がいた。話を訊いたらあれは、すまないことをしたといっていた。その先輩の事を見ていて寂しい人なんだと思った記憶がある。気持ちが弱いというか、繊細なんだろうと思った。決して良い方に簡単に進むことが出来ないだろうと思った。

 TD君はラグビーをやっていたので、ハイパントなどの後に、キッカーにレイトタックルをするじゃないと訊いたら、あれは勢いがあるから止められない時があって、やりますよ。でも、当然ファールだし今だったらシンビンで退場になりますからね。と、言っていた。確かにあれは、止められない時があると思う。実名で会見した選手は、アメリカとか行って、コーチの勉強して関学の監督になればいいと、言っていた。それか、ラグビー選手になればと。指示を出した覚えがないと、監督やコーチが言っている。が、そんなわけないだろうと思う。腹をくくれない監督とコーチ。その下でやる選手がかわいそうだ。

 今日のソルテオAPARTADO。一頭目6番△腰がしっかりしてる、二頭目118番△、三頭目122番×、四頭目18番△、五頭目64番?、六頭目40番?腰が厚い。ソルテオの後、THさんへ渡すものを渡した。

 昨日の闘牛は、ビクトリアーノ・デル・リオ牧場の牛で、ミゲル・アンヘル・ペレラ、アレハンドロ・タラバンテ、ロカ・レイ。牛が良くなかった。3頭目の時に雨が降ってきた。そこで盛り上がって「オーレ」の声が出ていたが、牛が動かない。ペレラの牛はソルテオで観たままダメだった。タラバンテも牛の引きが悪かった。ロカ・レイは、最後の牛で、耳1枚。耳1枚。ロカ・レイ流の驚きを切れながら盛り上げてファエナをしていた。剣が決まり耳が出た。それにしても、15日から観ているが、膝を着く牛が少ない。サン・イシドロを見始めた頃は、しょっちゅう膝を着いたりして牛が好感されていたが、今まで1頭の牛も交換になっていない。しかもほとんど1日1つの牧場の牛で行われている。獣医検査もちゃんと通るように、多めに牛を持ってきているのだろうと思う。興行主が、シモン・カサスに代わってから、切符の売り方、牛など大幅に改良された。ただ、アボノが紙の切符じゃなくて、ネットでダウンロードして、Aiphoneで画面を見せて、ピッと機械で読み取って入場して、門のところで席番号を確認して入るのは、何か風情がない気がする。

 大谷翔平は、昨日9回最終打席1アウト満塁で、バットを折りながら同点のセンター前ヒットを打って、初盗塁も決めた。シモンズのタイムリーでホームに生還。これがダメ押しになって、エンジェルスが5-4で逆転勝ちした。この試合まで得点圏打率が5割だったという。凄いことだ。


 5月25日(金) 曇/雨 13544

 さっき闘牛場から帰って来た。それで肉を焼いて食べた。今日の闘牛はプエルタ・グランデが2人出た。それで、昨日はどうだったけと、確認するとエル・フリとヒネス・マリンのマノ・ア・マノで、フリが剣刺しでプエルタ・グランデを逃し耳1枚だった。今日はパコ・ウレニャの代わりにアレハンドロ・タラバンテが出場した。パコ・ウレニャはカンポで怪我をしたというので、テンタデロでやってしまったのだろう。ヌニェス・デル・クビジョ牧場で、ソルテオを観た感想は、ロペス・シモンの牛が1番良い牛に見えた。タラバンテは、牛に恵まれないと思っていたが、ホセ・トマスと同じで、この牧場の牛は扱い慣れているから牛がちゃんと動いてプエルタ・グランデ。ロペス・シモンは、コヒーダが二回あってそれで初めの牛で耳1枚。そして、最後の牛で、耳1枚切った。明日時間があったら、その辺をもう少し詳しく書こうと思う。それと、フリのプエルタ・グランデを逃したやつも・・・。


 5月26日(土) 曇/晴 17003

 今日は土曜日。朝早く起きて競馬。大谷翔平は、3打数で無安打、1四球。先発のセベリーノには公言通り外角を攻めれられた。8回には抑えのチャップマンの164キロの直球との勝負。レフトへの大飛球があったが、ショートゴロに抑えられた。こういう真剣勝負をやっていくことによって、向上していくのだと思う。

 昨日の闘牛は、ヌニェス・デル・クビジョ牧場の牛で、ファン・バウティスタ、アレハンドロ・タラバンテ、ロペス・シモン。タラバンテは、2頭目の牛で耳2枚。膝を折ったデレチャッソで始めた。これはこの前と同じだ。最近これをするとラス・ベンタス闘牛場が盛り上がる。去年のファン・デル・アラモのファエナを思いだす。ソルテオでは良く見えなかった牛だが、この牧場は、コルバチョと通っていただろうからお手の物。扱える。柔らかでスムーズなムレタ捌きで牛と闘牛場を支配した。観客が望む闘牛、自身がやりたい闘牛でそれに応える。テンディド7から口笛など吹かれていたが、それでも、前回の借りを返した耳2枚になった。コロカシオンが良い。右手から左手に持ち替えて繋いだパセの長い事。闘牛場の歓声が大きくなる。ナトゥラルからパセ・デ・ペチョへ行くときのムレタ捌きも実にスムーズ。ムレタを振った後に、牛の目の前にムレタがあるので、牛をそれを目指して動かざるを得なくなる。タンダが切れた後、牛の前に立って喝采を浴びる。最近紙を長くしている。そのオールバックから一筋の髪の毛が顔にかかる。万希ちゃんの絵のようだ。それが闘牛士のかっこよさにもなっているように思う。剣は、スエルテ・ナトゥラルで決まった。

 ロペス・シモンは初めの牛で2度コヒーダされた。初めはナトゥラルの途中で牛が内側に来て足を払われた。頭(後頭部)を押さえていたが顔から血を流していた。みんなに抱えられたが、それでも牛に向かっていった。靴は履いていない。丁寧にパセを繋いだ。剣が決まれば耳だろうと思った。しかし、ピンチャッソ。次に剣が決まったが、その時またコヒーダされた。こうなると観客は盛り上がってハンカチを振る。プレシデンテも耳を出した。もうこういう場合は耳でしょうがない。コヒーダされた者勝ちだ。

 まだ雨が降り続く最後の牛。ロペス・シモンはは滑らないように靴を抜いてファエナを始める。田んぼの様になったアレナで靴を履くと滑りやすくなる。脱ぐの基本。ベロニカの時から牛の動きが良く見えた。右角の時に、カポーテに角引っかかっていたのが唯一の不安要素。しかし、ファエナでは左右両方の角は良かった。ソルテオで観た通り良い牛だった。膝を折ったデレチャッソで始めた。「オーレ」がなる。観客は彼の味方だった。ナトゥラルも良かった。一つ不満を言えば、牛を誘う位置が近すぎた。もう少し離れたほうが良いと思う。やる気というか思いが先行したからだと思うのだが。剣は、スエルテ・コントラリアで遠目に立つ。どちらかというといつものスタイル。牛の左側に剣が決まった。でも角度も場所も良い。これで耳1枚でプエルタ・グランデが決まった。

 バウティスタは、土砂降りの雨の中でテンディドの観客が避難する中での闘牛。パセの時に足や体が動く。あれがなければもっと盛り上げった。そうなれば耳を切っていたかもしれないが、そうはならなかった。良い牛だったと思う。そこが原因だ。

 朝、下山さんと話したが、プエルタ・グランデを通過する前にタラバンテが、ロペス・シモンの牛で引っ張って、追い越してプエルタ・グランデに向かっていったことを言っていた。これは、お前より俺の方が先に行くという、上下関係を表していると、テレビでエスプラが言っていたそうだ。そういう気持ちって闘牛士が持っているんだと、ちょっと驚いた。ちなみに、タラバンテとロペス・シモンは共に5回目のプエルタ・グランデだったようだ。

 24日のフリとヒネス・マリンのマノ・ア・マノ。フリは剣刺しが決まっていれば2頭目の牛で、耳2枚を切っていた。膝を折ったデレチャッソで始めた。もうそこから闘牛場は熱狂に包まれた。「オーレ」の声がこだました。でも時々クルサードしていないんだよな。それで口笛も吹かれたり、ヤジも飛ばされる。でも、闘牛場にいる大半の観客がフリに味方している。それでいいんだけど。1度パセ・デ・ペチョの後、剣を振り上げてテンディド7の方を見て挑発するようなしぐさをした。あれは気のせいだったのか?余計なことをしなきゃいいのにと思っていた。だからか、剣刺しは、骨に当たりほぼ直角に半分入ったところで止まった。ちゃんと入っていたら耳2枚取れたはずだ。

 ヒネス・マリンの事をちょっと書いておく。どのファエナの時だった・・・。遠くから牛を呼んでファエナを始めた。これは去年アルクルセン牧場の牛でプエルタ・グランデした時と同じやり方。彼の闘牛はラス・ベンタス闘牛場以外では見たことがない。でもああやって、距離が判る闘牛を出来るのは非常に良いことだ。そういうやり方が本当に分かっているのなら、そういう闘牛を続けて行って欲しいと思う。そうすれば、20m30m離れた処からも牛を呼べる闘牛が観れるような気がしてワクワクする。

 明日からセビージャへ行く。帰りは29日。闘牛が観れるようにマドリードへ戻ってくる。


http://www2u.biglobe.ne.jp/~tougyuu/以下のHPの著作権は、斎藤祐司のものです。勝手に転載、または使用することを禁止する。


ホームに戻る