断腸亭日常日記 2018年 3月

--バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で--

por 斎藤祐司


過去の、断腸亭日常日記。  --バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で--

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 3月17日(土) 晴 9461

 パラリンピック、スノーボードのバンクドスラロームで、成田緑夢(ぐりむ)が金メダル。成田三兄弟の1番下。長男の童夢も応援に来て叫んでいた。トリノオリンピックに兄姉が出場したが、メダルには届かなかった。子供の頃から上の2人はテレビなどに取り上げられていた有名なスポーツ一家。大人になったらどれだけ凄い選手になるのだろうと思っていたが、W杯で優勝できても、オリンピックでは届かなかったが、1番下の緑夢が腓骨神経麻痺で、パラリンピックに出場しての金メダル。銅も取っているが、1本目、2本目、3本目と常に攻めて全てその回1位のタイムをたたき出した。自分のベストを出したといって良いレースをした。

 「障害を持っている人、ケガをして引退を迫られている人、一般の人に夢や感動、希望、勇気を与えられるアスリートになりたい」というのが信条のようだ。動脈も切れ、片足切断の危機を乗り越え、歩行もできないかもしれないと怪我直後に言われたという。だからだろう「ケガした人や交通事故に遭った人の光になれるんじゃないか。それが一番うれしいことですね」と語ったという。

 ノルディックスキー距離男子10キロクラシカル立位で新田佳浩が金メダル。スタート直後に転倒してそれから追い上げての優勝。オリンピックでも、スタート直後に転倒して、最下位から金メダルを取った選手がいた。2大会に1回しかないクラシカル。銀メダルに続き2大会ぶりの金メダル。銀の時は幼い子供が2人抱きついていた。今回も2人の子供を抱くんだろうと思う。

 大谷はオープン戦でめった打ちにあった。ボールを持つ指先の感覚が違うのだろうと思う。だから、打たれないようにと焦るのだろう。こういう事を乗り越えないと、大リーグにフィットできないのだろうと思う。

 アンコールで再放送された『達人達』伊勢崎賢治X菅原小春。世界の紛争地で平和維持活動にあたる「紛争解決請負人」伊勢崎賢治とダンサーの菅原小春の対談を改めて観ていて、菅原小春のエナジーをビンビン感じた。勿論伊勢崎も物凄い。伊勢崎が菅原を指名して対談が行われた。YouTubeで、観た菅原のダンスに感動したのだという。それは、アフリカで観た女性のダンスがトランス状態になって行くのを観て感動したのに似ていたという。菅原小春のダンスは凄いが、むしろここで語られた言葉が、彼女の感性を感じた。


 3月18日(日) 曇 11854

 大坂なおみがランキング1位のハレプに圧勝して決勝へ進んだ。このまま優勝したら、松岡修造が言うようにグランドスラムを勝ってしまうだろう。そう思わせる快進撃。『ナオミの夢』だ。♪世界中にナオミ ナオミ♪ 全農カーリング日本混合ダブルス選手権で、藤沢五月、山口剛史ペアが全勝優勝。平昌パラリンピック出場の即席ペアでの優勝。青森で行われたこの大会は、銅メダル効果で、全日切符は売り切れだった。記事を読んでいると、最後の処に、もぐもぐタイムで何を食べたかまで書かれている。凄いもんだと思う。あの普通な女の子という処が万人受けするのだろう。

 この前、デポーで買った鶏肉と豚肉は、どちらも美味しかった。特に鶏肉のプリプリした食感と味は良いなぁと思った。アマタケという「南部どり」を生産販売している大船渡の会社が『カンブリア宮殿』で取り上げられていた。東日本大震災で、大打撃を受けたがモスバーガーが手を差し伸べる。同じ大船渡出身ということのようだ。南部どりバーガーがヒットして活気ずく。餌に、抗生物質や合成抗菌剤を一切使わない。育てている処には床暖房が入っている。だから糞が乾くので、菌の発生しにくいのだという。サラダチキンが、ヘルシーブームに乗って売れているがどうやら火付け役になったようだ。コンビニで売っている値段よりは高いが、他の商品と違うのだという。ジューシー。パックされている肉を見ると肉汁がパックの間に出ていない。肉の中に入っているからだという。食べてみたい。


 3月19日(月) 曇のち雨 16744

 曇っていても暖かい。桜があちこちで咲いている。大きな花を咲かせたのがテニスの大坂なおみ。4大大会に次ぐグレードの大会で、シャラポアやランキング1位のハレプなどを破って、決勝でも2-0のストレートで優勝した。この大会で落としたセットが1セットだけという圧勝。サーブが女子では早い190キロ。フォアもバックもダウンザライン。去年からの大きな違いは、力を抜いてコースを狙う処。今までは何でもかんでも力任せに打っていたが、コーチが変わり練習からそういうことを心掛けていたようだ。新コーチのサージャ・ベイジン。セリーナ・ウィリアムスなどの練習パートナーを長年務めていたという。

 「皆さん、僕に対してまでも愛ある言葉を示してくれて本当にありがとう。けど、僕が望んでいるのは、この時間を分かち合うこと、そして全ての称賛をナオミに向けてほしいということだ。彼女は成し遂げてくれた全てを物語る唯一無人の存在だ。彼女の以前のコーチ、彼女の父と母、ファンからの終わりない応援が彼女を突き動かし続けた。そこのあなたも、この偉業の一部なんだ」と試合後、ツイッターしたという。

 有り余る才能をようやく開花させた。確か以前に、ビーナス・ウィリアムスが対戦後に、大坂なおみを褒めちぎっていた。記者からの改善すべき点を問われ、何もない。と言っていた。おそらく自身の若い頃を観ているような気分になったのだろう。この優勝は大きな自信になっただろう。松岡修造がいうように、グランドスラムの優勝も夢じゃない。

 『遊戯神通 伊藤若冲』を楽しく面白く読んだ。河治和香は、浮世絵を勉強した人で、物語にそういう物が出てくる。錦絵の鈴木春信と風来山人が同じ長屋に住んでいたとことになっている。風来山人は、平賀源内のこと。源内と若冲も繋がりがあり、人間関係で画風なども変わることが書かれている。『動植綵絵』の中にある魚を書いている『群魚図』があるが、小説では、べれんす。「ベレンスとは、紅毛紺青(ベレインブラアク)というベルリンで数年前に発明されたばかりの新しい絵の具の通称である。 ・・・ 数年前から、オランダを経由して長崎に入ってくるようになったという。それが巡り巡って、京の若冲の画室ではすでに絵の具として使われている・・・」(遊戯神通 伊藤若冲)

 本にはこう書かれているが、NHKの『ミラクルワールド 若冲』では、プルシアンブルーという名前で出てくる。江戸時代中期長崎の出島に1キロほど輸入されたことが記録されているという。今までは、この絵の具を最初に使ったのが蘭画の事を知っていた平賀源内だといわれていたというが、その5年前に若冲が使っていたようだ。

 また、最後の方で、フランク・ロイド・ライト(帝国ホテルなどを作った建築家)の浮世絵コレクションの最初が若冲の『花鳥版画』だったという。浮世絵ではない物なのに、鈴木春信の錦絵の作り方よりも凝っている。それは、京都の友禅染などの工程の応用で作成されたのではないかという推理も面白い。フランク・ロイド・ライトは『花鳥版画』(ウッドプリント)を浮世絵と思い、この花鳥六図から浮世絵のコレクターになる。彼は生涯「ukiyo-e」という言葉を使わずに「woodprint」という表現で浮世絵を言っていたそうだ。そして、彼のいとこが、フェノロサだったという。ドキッとする。そしてあとがぎの処に、若冲コレクターで有名なアメリカ人、ジョー・プライスが初めてニューヨークの古美術店で若冲に出会ったのは、フランク・ロイド・ライトのお供で出掛けた時だったという。ちょっと、うなってしまった。

 それにしても、長崎、春信、源内、木村蒹葭堂、松下烏石、竹下式部、天龍道人。虚実入り混じって物語が構成される。そういう意味では、風太郎のような面白さを感じた。


 3月20日(火) 雨/曇 9605

 昨日アマタケのチキンサラダを買ってきた。これはいける。火が通っているので、そのままでも使えるし、あっためてもいい。昔は肉の消費量が、豚肉、鶏肉、牛の順番だったが、今は、鶏肉、豚肉、牛の順番になっているという。ヘルシーブームで、チキンサラダが受けたのは、皮を付けていない。それを始めたのも、アマタケだったという。それを大手が真似た。今やコンビニでもスーパーでも売っているチキンサラダ。でも、アマタケの物しか買わない熱烈なファンがいる。それは主婦だが、それは子供たちの声が支えているようだ。何故なら美味しいからだ。

 「 池田善次郎(渓斎栄泉) おっ、そうだった。これ、これ。これどうだ。 お栄 なにこの青。 善次郎 ベロよ。浮世絵でこのベロ使ったの俺が初めてなんだぜ。親父殿に見て貰いてぇと思ってよ。 お栄 深い青だ。普通の藍じゃないねこれ。 善次郎 そうよ。さすがお栄だ。あー、お前ぇに先に見せるんじゃなかったな。親子共々、あっと仰け反らせるつもりだったのによ。」 --NHKドラマ『眩(くらら)~北斎の娘~』よりーー

 ここに出てくるベロとは、ベロ藍の事である。ベロ藍とは、プルシアンブルーの事だ。このベロ藍を使って、北斎は『富嶽三十六景』などを描いた。それはあの『神奈川沖波裏』などに使われている鮮やかな青だ。それは若冲が『動植綵絵』で、プルシアンブルー使って描いてから65年後である。なんかこういうのを感じるだけで楽しくなる。面白い。

 闘牛はカステジョン、バレンシアと始まっている。昨日のフェレーラのファエナは良かった。牛もブエルタしたようだけど、長いパセが繋がった。雨で観客の入りは悪かったが、ああいうファエナを続けることが重要だ。


 3月21日(水) 雨 11370

 今日は寒い日だ。春分の日なのに雪が降っている処がある。どうもサン・イシドロのアボノを買おうとネットしていたが、うまくいかない。THさんに訊いてみたが、そりゃ分からないよな。日を変えてやってみることにした。それにしてもやけに興奮する。どうしよう。結衣さんのお父さんはガンで死んだ。今日からイタリア行く予定だったみたいだが、当然キャンセル。親って死んでいなくなってからの方が余計有難味を感じる。自分の後ろ盾になっていたことに気づく。親父は何も言わずに、俺を好きにさせてくれた。

 処で、一昨日書いた処が間違っていたので訂正を入れる。フランク・ロイド・ライトがフェノロサのいとこと書いたが、フェノロサのいとこは、フランク・ロイド・ライトがニューヨーク時代働いていた、ジョセフ・ライマン・シルスビーの設計事務所だった。彼の事務所の壁には浮世絵が飾っていて、事務所を辞める時に、若冲の『花鳥版画』の六図を譲り受けたのだという。そして、フェノロサが日本で収集した美術品はジョセフ・ライマン・シルスビーにも管理されていた。彼も浮世絵のコレクターになっていた。だから、若冲は、フェノロサの収集からジョセフ・ライマン・シルスビー、フランク・ロイド・ライトを通じて、世界最大の若冲コレクター、ジョー・プライスに繋がっているという事になるようだ。


 3月22日(木) 雨のち曇 11783

 関東では雪が積もった処がある。東北も雪だ。しかしマイアミの空は青く晴れ渡っていた。大坂なおみは、自身のアイドルであるグランドスラム23回優勝しているセリーナ・ウィリアムスの2-0のストレートで圧勝した。「彼女がいなければ、テニスをしていない」というほどの憧れのアイドル。産休後の2戦目で、セリーナは本調子じゃなかったのかもしれない。初めは緊張していたというが、「(セリーナとの対戦は)私の夢だった、戦えて本当に嬉しい。真剣に戦い『カモン!』とセリーナが発した声を聞いて、嬉しかった」と言う。セリーナは試合後の会見を拒否したが、「自分の準備は完璧ではなかったが、『なおみは素晴らしいテニスをした』私も見習いたい」というコメントを発表した。

 ネットのタイトルには、「大坂なおみ金星」という物があったが、なんか違和感すら感じる。何故なら、今やもう誰とやっても勝って当たり前のような気になるからだ。現役でランキング1位になった事がある選手は、10人いるというが、セリーナを破ったことでそのうちの5人に勝った。マイアミオープンの1回戦。だが、この勝利は世界を駆け抜けた。なんかこの前の優勝で、はじけたような感じだ。インタビューでは天然キャラで、大人気。それに試合の結果が付いてきた。彼女には人間味を感じるのだろうと思う。優勝した前週のBNPパリバ・オープン決勝は、20歳同士の対戦だった。もう世代交代に時期に来ているのかもしれない。その中心に、大阪なおみがいる。

 「将棋の最年少棋士、藤井聡太六段(15)が22日、大阪市福島区の関西将棋会館で行われた王座戦二次予選決勝で、糸谷哲郎八段(29)に勝利し、挑戦者決定トーナメント進出を決めた。」(讀賣新聞)これで公式戦16連勝。中学の卒業式を終えて、初めて公式戦だった。こっちもどこまで伸びていくのだろう。

 旅行会社からEチケットが送られてきた。それを観て気付いたが、マドリード到着の日を1日間違えていたので、あわてて予約を入れた。


 3月23日(金) 晴 8668

 気分が良い。サン・イシドロのアボノが買えた。パスポート番号がなかなか受け付けられなかったが、日を変えてやったら、すんなり入って買えたのだ。嬉しくなった。買えない時はむきになって、あんなに興奮したのに、それが嘘のようだ。朝食を食べ、カーリング女子世界選手権を観た。LS北見は出ていない。オリンピック期間に日本代表選考の大会があったからだ。出ているのは富士急。知っているのは小野寺だけ。北海道銀行所属だが、出産の為に出れない選手の代わりに、出場している。小野寺の父親はLS北見のコーチ。小野寺も石垣も実は北見市常呂町出身だという。常呂町からいかにカーリングの選手が出ているかが判る。吉田知那美が帰国後、夢は地元にいても叶うと言っていたが、本橋麻里が常呂町にLS北見を作って本当に良かった。そうでなければ、藤沢五月も中部電力時代4連覇で、LS北見に来ていなかっただろうし、オリンピック銅メダルもなかっただろう。それにしても、富士急のスキップは下手だなぁ。ドローショットはなかなか決めることが出来ない。藤沢五月の様にはいかない。藤沢だって、去年までは大丈夫かと思う時が多かったが、フォームを変えてから安定した。若いチームなので、北京を目指して大会に挑んでいるんだろう。

 散歩に出掛けた。ネコヤナギがどんな花を咲かせているのか観たかった。花は木蓮の様だった。それよりは花の大きさは小さく色も薄い桜色。初めて見たネコヤナギの花に、ようやく会えたという喜びを感じた。桜も椿も色々な花が咲き始めている。うららかな春の日差し。上に着ていたダウンジャケットを脱いで歩いた。

 ドナルド・キーンの『足利義政と銀閣寺』を読んだら、読みたい本が出てきた。芳賀幸四郎の『東山文化の研究』である。『東山文化』というのもある。この本は今絶版の様で、古本市場だと15000円前後で売られている。時間作って国会図書館へ行ってみようかと思っている。

 「かつて京都大学の学宝とまで称えられた東洋史家、湖南内藤虎次郎(一八六六~一九三四)は、あるときの講演でこう述べた。「大体今日の日本を知るために日本の歴史を研究するには、古代の歴史を研究する必要は殆どありませぬ。応仁の乱以降の歴史を知っておったらたくさんです。それ以前の事は外国の歴史と同じくらいにしか感ぜられませぬが、応仁の乱以後はわれわれの真の身体骨肉に直接触れた歴史であって、これをほんとうに知っておれば、それで日本歴史は十分だと言っていいのであります。(一九二一年の講演より。『日本文化史研究(下)』講談社学術文庫所収) ・・・

 室町時代の文化といえば、必ず「幽玄」「わび・さび」の言葉が用いられる。これらが指し示す概念は、平安の「あわれ」、鎌倉の「をかし」などとともに、室町文化のみならず日本文化を特徴づけるものとして頻りに用いられる。ところが、本書はこれをしない。代わりに人と人があたたかく結びつく、穏やかで静謐な心の通い合いが重視され、東山文化の本質として位置づけられた。たしかに会所は人が集うのに適した建物であったし、そこで行われる茶の湯も、立花も、連歌も、友との交流を求める「人」がいてこそ輝きを放つ芸術であった。」 --『足利義政と銀閣寺』あとがき 本郷和人より--

 こういう感じ方をしている人もいたんだと感心した。小説家の永井路子は武士が権力を握った鎌倉時代に焦点を当てて勉強し作家活動をした。僕は本を読んだことがないが、昔NHKの歴史ものの番組によく出ていた。あの穏やかな語り口はきいていて納得させられた印象がある。司馬遼太郎がある雑誌に参加していたが、永井路子に直木賞を取らせるまで雑誌を続けると言ったというが、確かに彼女は直木賞を取った。たぶん、権力構造を考えるなら平家を含めて鎌倉時代に焦点を当てたのは間違いではない。しかし、文化に焦点を当てるなら上記の様に応仁の乱以降と、もう一つは、『古事記』『日本書紀』の編集が始まった天智天皇から天武天皇・持統天皇の頃だと思う。持統天皇の時に伊勢神宮の遷宮が20年にごとに行われることが決まったりした訳だし・・・。こっちの方は権力構造かもしれない。でも、神社仏閣とかの関係からはこっちも入る?


 3月24日(土) 晴 8370

 買い物に行ったスーパーは明日から改装で閉店。物がない。買いたかったものがないので、他の処で買うしかない。残念な気持ちになる。トランプ大統領が通商301条を発動して、中国や日本にも関税を25%かける事を決定した。アメリカの株価は800ドル近く値下がりして、日本の株価も1000円くらい値下がりした。これにより円高に振れている。それと、国務長官などが強行タカ派に代わり、一気に北朝鮮、イラン情勢が緊張の度合いが高まった。やり始めるかもしれない。アメリカの国益が最重要と思っている人たちが政権を取って、政策を立てる。世界は、非常に危険な状態になる。

 大坂なおみは、2回戦で0-2で完敗した。朝から吐き気がして無理して試合をしたからのようだ。昨日のサッカー日本代表は、マリと戦い1-1の引き分け。PKで失点してロスタイムで同点に追いついた。やる気、気迫が足りない。観ていて面白くない。負けているのに、BKの槙野がGKとパスのやり取りを5回くらい続けていた。何を考えているのか分からない。パス練習は試合前にやっておいて欲しかった。やる気、攻める気が全く感じられない。ほとんど良い処がなかった。誰がどうのこうという問題じゃない気がする。ヨーロッパでも活躍している選手が出場しているのに、何も出来ていない。

 この前、NHKBSで、『メジャー4』をやっていた。茂野吾郎のような、みんなを巻き込んで士気をあげる選手が欲しい。がむしゃらさがない。綺麗に、ミスなくやろうとしているだけだ。もっとみっともなくても、覇気を感じるプレーが観たい。熱くならないよこれじゃ。春の選抜が昨日から始まったが、高校野球ファンが口にする魅力は、一生懸命さ。そういう当たり前の気持ちが、日々の試合の中で、溶けてなくなっているような気がする。


 3月25日(日) 晴 14526

 東京は暖かい。大谷はまあまあの投球で、メジャーデビューしそうだ。契約金が安い事や、話題性、そして、練習で見せる能力の高さが営業サイドや監督の気持ちをそっちの方に向かわせたのだろう。色々な意見が飛び交っている。まだ早い、じっくり育てたほうが良いという物や、全くダメで、打撃は高校生レベルとか、あれだけ打たれて2軍に落とさないのはおかしいという物。それでも、1試合1試合テーマをもってプレーしているようだ。凄いメンタルだ。そこがぶれないのが彼を成長さるのだろう。報道では、開幕3戦目に先発するという情報も流れている。希望をもってやっている。なるようにしかならないが、なるようになって欲しいと思う。

 数々の話題を提供している藤井聡太六段は、詰将棋解答選手権で初の4連覇を達成した。プロ棋士に交じって小学校6年生からの4連覇。全問正解で、1ラウンドは90分与えられた時間で55分しか使わなかったという。そしてただ1人の全問正解。プロの1番下のC2クラスも10戦全勝してC1に昇格した。プロ1年目での全勝昇格は、史上2人目だとか。記録破りの成績が続いている。あっぱれを通り越している!!!


 3月26日(月) 晴 15589

 今日の東京は20度で暑かった。今週は暑くなるのかもしれない。予報では金曜日に25度の夏日になるという。という事は、一気に桜が満開から盛りを過ぎかもしれない。競馬もいよいよGⅠシリーズが始まった。そして、ドミンゴ・デ・ラモスの昨日、ラス・ベンタス闘牛場で開幕戦が行われた。ビクトリーノ・マルティン牧場の牛で、エル・シド、ペペ・モラル、フォルテス。ダイジェストのビデオなどを見たが、ビクトリーノの牛は利き角が分かり易と思った。もちろん、観ている方はそうだが、やっている闘牛士は大変だ。パセの後の返りが速いし短い場合もあるので、いつコヒーダされるか分からないリスクが大きい。ピカでも、牛を遠くに置いて、ピカドールが牛を誘ってピカする見せ場もあった。

 マドリードは寒いようで、観客の服装は冬服。そして、太陽があたるソルは満員に近く、ソル・イ・ソンブラは結構入っていて、ソンブラはガラガラだった。そら―寒いから日があたる方が暖かいものそっちで観たいよなぁ。トータルで観ていないから断言は出来ないが、例えば、ペペ・モラルはカポーテの時に牛を外に振っていない。そういうやり方をビクトリーノの牛にすると、ムレタとの時は、牛が体の方に来る可能性が高くなると思う。フォルテスは、そこをちゃんとやっている。外へ外へと牛を振って、大きな動きを覚えさせるようにしている。それが、ファエナに繋がるのだと感じた。角の事も分かってファエナをしている。それが耳に繋がった。最後の牛はピンチャッソで、耳が出ずプエルタ・グランデ出来なかった。シドは多分牛が合わなかったのだろう。彼はあまり魔法をかけれる闘牛士ではないから合わないとうまくいかないのだろう。フォルテスは、うまく牛を扱えた。牛を生かせた。それが彼のファエナの味になって行くことを望む。


 3月27日(火) 晴のち曇 6335

 先週行って人が一杯で出来なかった健康診断に行ってきた。15分くらいで終わったので、今日を選んで良かったと思った。それから手っ取り早く隣のファミレスへ行って朝食を取った。朝食を取りながら本を読んでいたが、ふと北斎の映画をやっているのを思い出した。それで時間を合わせて恵比寿へ向かった。去年、大英博物館で行われた『葛飾北斎展』の映画である。『大英博物館プレゼンツ 北斎』がそれである。

 その中で、北斎研究家のロジャー・キースが、何度か声を詰まらせて北斎を語るのにはちょっとビックリした。浮世絵は、初版が最も絵師の意志が反映される。NHKが大英博物館に乗り込み8Kカメラで北斎を撮影した。拡大された版画や絵を、キュレーターのティム・クラークとロジャー・キース。赤富士の雲の拡大などを観て、微妙な曲線に感激していた。また、初版の赤富士の赤が薄いのにも言及していた。本来北斎が描いたのは薄い赤富士だった。レッドではなく、ピンクと言っていた。朝日を浴びた富士の崇高さを表すためにそう描いたのだと。

 大体テレビなどで得ている知識と同じであるが、ヨーロッパの人間の感じ方と日本人の感じ方は微妙に違う事も面白い。妙見菩薩と北斗七星信仰。日蓮宗の物だ。ヨーロッパ人はそういうことはあまり分からないような気がする。当初名のった北斎辰政も妙見菩薩の別名、北辰菩薩から取った。例えば、長谷川等伯も日蓮宗から出てきた絵師だ。その辺もちょっと興味がそそられる。ティム・クラークだと思うが、宇宙の中心である北極星に自分をなぞらえて、北斎は絵で全てを描こうとしたというような事を言っていた。それはそうだと思うけど、妙見菩薩の信仰が等伯の時代にもあったのかと、そもそも、妙見菩薩の信仰がどういう物なのかという処を調べないと、良く分からない。物事には両面があるのだから。それと北斎が、どれだけ妙見菩薩を信仰していたのかも分からない。

 北朝鮮が、中国に行って会談をするようだ。行ったのが、どうやら最高指導者の金正恩だという。アメリカとの交渉前に動き出したようだ。国会では、改ざん文書の事で、佐川宣寿の証人喚問が行われている。


 3月28日(水) 晴 11200

 今日も暑い。全国207か所で3月の最高気温を記録した。そろそろ、野菜が安くなってきた。あのホーロー鍋を買いにでも行こうかな。

 昨日のEテレの『ハートネットTV』平昌パラリンピックメダリスト凱旋!を観ていたら番組の最後で、成田緑夢が突然引退を宣言したのでビックリした。これから東京オリンピックを目指して、次の一歩を100%追及するために引退するという。パラリンピックとオリンピックの両方に出場してたくさんの影響を与えることが目標といった。

 「将棋の最年少棋士、藤井聡太六段(15)は28日、大阪市福島区の関西将棋会館であった第68期王将戦1次予選3回戦で井上慶太九段(54)に負け、継続中だった連勝は16でストップした。今年度最後の対局で、既に全部門1位を確定させている最終成績は73対局で61勝12敗、勝率8割3分6厘、連勝数29(2016年12月~17年6月)。中学2年のデビュー戦以来の通算成績は71勝12敗となった。」(毎日新聞)

 ルック・ジャラベールが死んだ。ファン・バウティスタの父親であり、アルルの興行主である。金曜日からアルルの闘牛が始まるというのに、直前の死だ。


 3月29日(木) 晴 12260

 朝かき揚げうどんを食べて、コーヒーを飲んで本を読んでいたら、ちょっと気持ちが悪くなってきた。それでも用事があったので新宿へ。用事を済ませて出てきたら、知り合いに会った。暗い顔していた。声を掛けるとビックリしていた。それから立ち話。そんな大したことを話したわけではないのに、後半は笑顔になった。良かった。今度じっくり話しましょうと言っていた。『わろてんか』である。こっちも気持ちが悪いが治った。

 録画していた『サシ旅』野草マニアと巡る春の散策ツアーを観る。めっちゃ面白かった。フキノトウとかよもぎなど。全く興味がなかった指原がどんどんテンションが上がる。よもぎとトリカブトがあんなに似ているとは思わなかった。粘土で野草を作る人も登場。本物そっくりでビックリ。最後は摘み取った野草料理。こういうのって、豊かだと思った。子供の頃、おばあちゃんに頼まれてつくしやよもぎを取ったことを思い出しながら観ていて楽しかった。日常にある幸福というのは、こういう処にもあるんだと思った。それから『ガッテン』を見始めた。


 3月30日(金) 晴 9444

 大リーグが開幕した。朝早くからNHKのBSで中継をやっていた。大谷翔平は、8番DHで先発した。第1打席で、一塁手の横を早いゴロで抜けるヒットを打った。後の4打席は凡退した。内角を攻められて凡打したのかと思っていたが、相手捕手のコメントだと、「スカウティングレポートを山ほど見た。」「ストライクゾーンの低めにボールを集めた。高いボールは持って行かれてしまう。そうなれば、ホームランでダメージを受けてしまう。だから、低めに集め、アウトを取れた」「彼のホームランはたくさん見たよ。打席での打ちミスもたくさん見たんだ。メジャーも一緒だ。投手が失投すれば、その代償を払う。今日だけじゃなくて、将来的にも彼に対してミスを犯さないことが大事だ」と語った。

 試合後、マイク・ソーシア監督は「ショウヘイは良かったと思うよ。打席に立って、いいスイングをしていたね。安打も放ったし、セカンドゴロも強い当たりだった」と打撃の内容を評価し、「これからどんどん良くなっていくと思う」と今後へ期待を寄せた。(Full-Count編集部)

「-先発出場を知った時の気持ちは。
 「やっぱりうれしかったし、何とか勝ちに貢献できるように頑張りたいなと思っていた」
 -最も感情が高まった瞬間は。
 「セレモニーももちろん、すごいわくわくしたし、でもやっぱり初打席に向かうときっていうのは、恐らくこの先忘れない打席になるのかなとは思うので、すごい特別な感情はあるんじゃないかなと思った」
 -初安打後に一塁上で何を思ったか。
 「うれしかったけど、まだ試合が始まってすぐだったので、そんなに感じる余裕はなかった」
 -開幕戦で緊張はあったか。
 「わくわくの方がどっちかといったら強かったと思う。打者に関してはあまりナーバスになることはないと思っている。きょうも同じように入れた」
 -記念の球は。
 「持っている。親が来ているので両親に渡したい」 」(日刊スポーツ)

 あたらめて大リーグは凄いと思った。日本で実績をあげたとは新人に対して、ちゃんと調べ上げて、データで裸にしている。その中で、大谷は落ち着いているのも見上げたものだ。戦いの本番は始まったばかりだ。これからどうなっていくか見守りたい。イチローも大歓声に迎えられて9番レフトで先発。大声援の中、2打席でヒットはなかった。「甘い球は来ない」と言った。「おかえり、と言ってもらえるのは、もう少し先かなと思っていたんですが、こんなふうにしてもらったら、この先はシアトルを離れたくない、という気持ちになりますね」。ファンは、マリナーズにイチローが戻ってきたことを喜んでいる。

 スペインは、セマナ・サンタで今日から3日間休みだ。闘牛もこれから盛り上がっていくだろう。4月1日のドミンゴ・デ・レスレクシオンは、セビージャのアントニオ・フェレーラが楽しみだ。バレンシアでも良いファエナをしたようだし、去年のセビージャの様に観客を沸かせて欲しい。牛は、ビクトリアーノ・デル・リオ、コルテスだ。昔なら、というかアルテルナティーバした頃のフェレーラならこういうフィグラがやる牧場の牛で、セビージャやマドリードで、やらせてもらえなかったのに、凄いものだ。年を取って味のあるファエナが出来るようになって来たからだ。ラス・ベンタス闘牛場のアフィシオナードが観たがる闘牛士になった。そして、セビージャでも。


 3月31日(土) 晴 8298

 晴れているが肌寒い朝。甲子園は、彦根東対花巻東。彦根東の増居投手は9回を終わってノーヒットノーラン。0-0で延長戦。10回裏ノーアウトからヒットが出て、それからノーアウト満塁。センターへの犠牲フライで花巻東がサヨナラ勝ち。大谷、雄星、勝ったぞ!それにしても、野球はやっぱり投手戦が最高に面白い。負けた増居投手は、限りなく美しい。144球で14奪三振の熱投。初ヒットを打たれてから崩れた。トーナメントで、どちらかに勝ちと負けが付く試合。負けた増居投手がただただ美しかった。こういうピッチャーが好きだ。花巻東の伊藤投手は打たせて取るピッチャー。1回途中からの緊急登板で、それにしても良く耐え抜いた。決着をつけるのが酷な気がするような試合だった。そういう中で戦った選手たちは、豊かな人間性を育むのだと思う。素晴らしい投手戦に乾杯!!!満月の日に良い試合が観れた。

 小平奈緒が平昌パラリンピックの選手村で突然後ろから「金メダリスト見つけた」と声を掛けられて、振り返るとそこには羽生結弦がいたという。お茶目だよなぁ。金メダリスト同士なのに、そういう風に声を掛ける羽生が面白い。

 『慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り 漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨とその時代』を読んでいたら、漱石が当時東京帝大の英語の教授ディクソンから依頼されて『方丈記』の翻訳を頼まれる。そして、それを翻訳する。約10年後南方熊楠も『方丈記』の翻訳をする。この本では、著者の坪内祐三は、熊楠の方が良い訳だというような事を書いている。それはどうでもいいのだが、『私説方丈記』を書いた堀田喜衛は、確か東京に出てきて苦労して、『方丈記』を手に入れるが漢字ばかりで読めなくて放って置いた。戦後になって、現代語の訳されたものを手に入れてようやく読めたという事を書いていたと記憶する。

 漱石は、俳句を詠み小説も書いたが、漢文にも優れていた。おそらく、漱石が読んだのは、真字本で書かれた漢字だけの本だったのだろうと思う。それを読みこなして翻訳した漱石は凄いと思ったのだ。そして、熊楠についてもそうだ。今では、考えられない教授と生徒の関係が明治の時代にはあったという事なのだろう。


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