断腸亭日常日記 2020年 8月 その2

--バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で--

por 斎藤祐司


 8月22日(土) 晴/曇 9268

 早めに目が覚めて、炭酸水にタバコ。準備して散歩に出かけた。土曜日なので人が少ない。池には鳥がいなかった。水をの中で、鯉が泳いでいる。足がかゆいので観ると、蚊がついていた。人が死ぬ原因の1番が、蚊だという。たぶん、頭に感染症とかが付くんだろうけど。コロナもそうだが、蚊を媒体にした感染症。感染症のワクチン開発って非常に難しい。コロナにおいても物凄い資金とエネルギーで、開発競争が行われているが、出来ないと思う。特に、RNAという片方だけの変異しやすい塩基配列だと、例え開発出来ても、その頃には、変異して効かなくなっているだろうというのが、感染症学者いっていることだ。基本の手洗いマスクは勿論、距離を取って3密にならない換気の良い処にいるしかない。

 Eテレで、藤井聡太二冠の特集番組をやっていた。NHKは、こういう番組が得意だ。羽生、谷川、屋敷、渡辺、佐藤天彦など、過去のタイトル保持者など有名棋士がいろいろな賞賛の言葉をいっていた。この高校生一人で、将棋界に革命を起こしている印象だ。今日の夜、京都、大原の勝林院で発見された、足利義満や、信長、光秀などの古文書などの事をやるようで、新しい歴史的視点が明らかになるのかもしれない。BSプレミアムが楽しみだ。

 スペインは、感染者が3日連続3000人を超えて、マドリードは1000人以上なり、感染者が増加する地区に対して、州政府は外出自粛を要請した。これは、強制力のあるものでないので罰金などはない。どこまで、効力があるものなのか?それと政府発表の感染者数が1日の感染者数が3000人超なのに、一昨日が約7000人、昨日が8000人超合計に加算されている。計算が合わない。その前も5000人くらい加算されている。少しでも、1日の感染者数を、少なく見せようとしているとしか思えない。本当は、合計に加算されている数字が1日の感染者数なんじゃないかと思う。それと死者も増えている。ここの処の感染拡大で、ヨーロッパの8月の景気指数が落ちている。財政的にドイツ以外は、非常に厳しいことになりそうだ。

 世界では、2295万4千人の感染者が出、79万9千人が死亡。アメリカは、562万3千人の感染者、17万5千人が死亡。スペインは、386054人の感染者、28838人の死者。ここ3日は、127、16人、25人の死者。東京では、ここ3日、186、339、258人の感染者(59日連続45人以上、44日連続100人以上)が出て、昨日までの累計で、18865人。350人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、1034人増え、61066人の感染者、1175人の死者。東京の速報は、256人の感染者が確認された。


 8月23日(日) 曇/雨 10818

 夜明け前に目が覚めた。昨日BSプレミアムで、『歴史発掘ミステリー 京都千年蔵 「大原 勝林院」』を観ていたら、眠くなって寝たので、早く目が覚めたのだろう。炭酸水にタバコ。準備して散歩に出かけた。今日は秋を感じさせる気温だ。お寺と神社の参拝の後、池に行ったが、鳥がいない。空は曇っているので、風がいつもより涼しい。場所を変えたら、木の葉に空蝉が一杯ついて写真を撮ろうとしたら、両足がかゆい。蚊が何匹もついていたので、はらった。その音を聞いてか、下にいた鳥が飛び立っていった。何処にいたのか。観えない処にいたようだ。

 帰って来て、眠くなって途中でやめた勝林院を観る。朝食は、茄子の揚げびたしとオクラ、納豆おろしとニラレバ炒め。勝林院は、藤原道長の義弟・寂源(源時叙)が開いた寺で、比叡山で開いていた塔頭が襲撃され大原まで降りて来たのだという。そこでは、当時は珍しく、男女の別なく寺に向かい入れていたという。ひたすら念仏を唱える。腫瘍が出来て治療を拒否して祈り続けた。ある日、道長がやってきた。彼は娘を天皇に嫁がせて、権勢を誇ったが、自分は地獄に落ちるのではないかと思っていたようだ。人里離れた大原で、修行する寂源の講話を聞き、心の平安を求めたようだ。声明(しょうみょう)で有名な勝林院。そこで、声明の今風にいえば、いわゆるリードボーカルを取った足利義満。その後の政治に大いに役立ったようだ。ここから出た、義満の肖像画は、見事なものだった。色褪せもほとんどない保存状態がいいもので、唯一銀で描かれた部分が黒くなっていた。

 面白かったのは、浅井長政が勝林院へ送った書状。姉川の戦いで、信長に敗れ琵琶湖北部の領地に狭まったといわれていた。この書状は、姉川の戦いの半年後に、勝林院へ、領地安堵という物で、実効支配していたことが判った。つまり、この2年後に、信長の比叡山焼き討ちが起こるが、どうやら、対長政の戦いの一環で行われた可能性が出てきたようだ。神仏を恐れぬ信長という、小説やドラマのイメージと、実像は違うようだ。東大寺・正倉院から蘭奢待を切り出した時も、天皇からの許可を得てやっているわけだし、色々と歴史の誤解が多い人物だ。時が経つと光秀から信長の命で、領地安堵の書状も残っている。

 リナレスの闘牛は、8月30日に、牛、ルイス・アルガラ、ファン・ペドロ・ドメク。闘牛士、ファン・オルテガ、アルバロ・ロレンソ、ダニエル・クレスポを行われるようだ。これは、アンダルシア州議会の1.5メートル距離を取って実施するとのこと。発売は、8月20日から発売され、21日にウエッブ上で始まっている。スペインってこうやって、コロコロ変わる処が面白い。ビルバオのビスタ・アレグレ闘牛場は、今年の闘牛の開催を行わないことを発表した。ギリギリというか、祭り開催が過ぎているような時期に発表している。これもスペイン的だ。セビージャ近郊のコレア・デル・リオやプエブラ・デル・リオで、また西ナイル熱(日本でいう日本脳炎らしい)での死者が増えているという。蚊を媒体とした感染症で、殺虫剤をまいているらしいが、感染が拡大しているようだ。コレア・デル・リオとかは、支倉常長使節団が滞在したといわれる処で、手の骨が教会にある。ハポン姓の多い処で、日本人が祖先ともいわれている。プエブラ・デル・リオは、確か、モランテが生まれた処だ。

 世界では、2320万6千人の感染者が出、80万4千人が死亡。アメリカは、566万8千人の感染者、17万6千人が死亡。スペインは、週末のためデータの更新されない。386054人の感染者、28838人の死者。ここ3日は、16人、25人、不明の死者。東京では、ここ3日、339、258、256人の感染者(60日連続45人以上、45日連続100人以上)が出て、昨日までの累計で、19121人。350人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、984人増え、62046人の感染者、1181人の死者。東京の速報は、212人の感染者が確認された。


 8月24日(月) 晴/曇 10277

 飲み過ぎたようで、起きれなかった。昨日は、内田篤人の引退試合で、21時過ぎても半沢直樹どころじゃない。内田の最後がBSで観れるならそっちが優先される。終了間際に内田のクロスが起点になって、同点ゴールが生まれ1-1の引き分け。ジーコが花束もって内田に渡した。デビューの頃の監督、3連覇の頃の監督のメッセージ。みんなブラジル人だ。鹿島からドイツのシャルケで活躍。レアル・マドリードにいたラウルがチームメイトになった。試合中、内田が怪我をしながらプレー。横からラウルがボールを奪って攻め込んでいった。ラウルの、内田に負荷をかけないようにという配慮だ。怪我してるから休んでいろって感じだ。内田が楽しそうに話していたのを思い出す。チャンピンズ・リーグ30試合以上出場というは、日本人では稀有な存在だ。日本代表でも活躍したが、右膝の怪我で引退になった。残念だ。良い人との出会いが一杯あったので、引退後も良い人生を送れるだろう。

 全英オープン女子は、去年の渋野日向子に続いて、ドイツのポポフが優勝した。ツアーで1勝もあげていない選手の優勝は、本人以上に周りがビックリだ。しかし、圧勝だった。うれし涙で、恋人のキャディーと抱きあう姿は美しい。渋野は、リンクスのコースと風にやられて予選落ち。上田桃子が、予選通過から調子を上げて、6位に入賞した。ベテランの味を出した。頭が痛いので、散歩には出ずに、朝食のそうめんを食す。メカブと合鴨スモークを合わせた。昨日夜の雨で、気温が下がったが、やはり日中になると気温が上がり33度くらいで暑い。ダルビッシュが、5勝目をあげ、大谷が5号ホームランを打った。

 スペインでは、9月から新学期が始まるが、感染拡大のなかで、マドリードでは教師たちのストライキすることが発表された。これに対して、「新学期、どのような条件でやるか決めていないのに、ストライキとは無責任だ」と州政府がいっているという。自分たちが2週間前になっても何の対策も発表しないから教師たちが、ストライキを発表したのに。8月14日頃、スペイン政府と各州政府の間で話し合いがもたれ、全国共通の強化項目が決まった。強制力はあるようだが、守られていないのが現状のようだ。この前、コロン広場で若者たちが集まって、マスク反対のデモをやったが、罰金など取り締まりが行われた様だが、感染拡大は止まらないだろうなぁ。スペインの暑い夏、マスク装着義務を課すのは、おかしいだろうという気持ちは判る。が、しかし、問題は、そこではない。新型コロナウイルスである。夏に感染拡大するのは、秋をむかえるにあたって、大変なことであるという事を意味するのである。また、非常事態宣言を出さないと止まらない。でも、それをやたらスペイン経済は、壊滅的なことになりそうだ。

 世界では、2343万4千人の感染者が出、80万8千人が死亡。アメリカは、570万3千人の感染者、17万6千人が死亡。スペインは、週末のためデータの更新されない。386054人の感染者、28838人の死者。ここ3日は、25人、不明、不明の死者。東京では、ここ3日、258、256、212人の感染者(61日連続45人以上、46日連続100人以上)が出て、昨日までの累計で、19333人。350人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、745人増え、62791人の感染者、1190人の死者。東京の速報は、95人の感染者が確認された。


 8月25日(火) 晴 5193

 明け方、目が覚めた。スッキリ起きれるのは良い事だ。炭酸水にタバコ。ゆっくり準備して、散歩に出かけた。最近のコース。通りかかった電車を観ると、吊革につかまっている人は、半分前後。車両によって違うが、こういう状況で日々出勤しているのかと思うとゾッとする。お寺と神社へ参拝。それから池のある寺に行く。今日は鳥がいなかった。戻っての朝食は昨日と同じ、メカブと合鴨スモーク入りのそうめん。それから『江戸の想像力』をめくる。

 昨日夜、買い物に出かけた。薬局には、30枚、50枚入りのマスクが売られるようになっている。スーパーで、アルコール消毒用のものが出ていた。店の入口の辺りに押してエタノールを出すやつ同じもの。1000円しなかったのですぐ買った。違うスーパーで買い物をしていたら、同じものが置いてあったが、こっちは、500円くらい高かった。こんなに値段が違う事に驚く。スペインのようだ。

 スペイン政府発表で、金土日で、19000強の感染者数。今までのほぼ2倍の感染者数を出している。日本は減ってきているが、スペインは非常事態宣言の頃の2倍3倍くらいの感染者数を数えている。バカンスで出かけて、それで増えているのだろう。日本は明らかに減ってきているが、スペインは逆に増えている。また非常事態宣言なんて、財政破綻状態のスペイン政府が出せる状況ではない。どうするんだろう?このまま秋になれば、歯止めは効かないだろう。台湾のオードリー・タンデジタル担当大臣のインタビュー記事を読んだが、新型コロナウイルス対策で最も先端的な事を世界に先駆けてやってきたが、日本やアメリカなどに比べ、非常に優れていることが判る。ジェンダーのオードリー・タンの考え方は、「みんながマイノリティになりうるという感覚を」とか「誰も取り残さないテクノロジー」だという。日本では、社会に馴染めないとか、疎外感を持っている人が多いが、それは、多様性を認めないからだ。オードリー・タンのように多様性が認められる社会でなければ、人は生きづらい。荷風にしろ、列外といわれ続けた風太郎にしろ、そういう生きづらさを抱えていた。そして、現代日本においては、それが個々人を圧迫している。多様な価値観が認められなければ、益々生きづらさを感じる人が増えるだろう。

 世界では、2365万7千人の感染者が出、81万3千人が死亡。アメリカは、574万人の感染者、17万7千人が死亡。スペインは、405436人の感染者、28872人の死者。ここ3日は、不明、不明、34人の死者。東京では、ここ3日、256、212、95人の感染者(62日連続45人以上、47日ぶりに100人以下)が出て、昨日までの累計で、19428人。352人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、493人増え、63284人の感染者、1203人の死者。東京の速報は、182人の感染者が確認された。


 8月26日(水) 晴 12964

 目覚まし前に起きて、炭酸水にタバコ。寝る前にも水を飲んでいるが、起きると水が欲しくなる。炭酸水は、2杯飲んでも足りない時もある。これをやっておかないと、散歩に出て暑さで倒れかねない。少しではあるが、以前に比べて楽になってきている気がする。それでも、日中の暑さはまだ厳しい。沖縄沖に、台風があり、九州や西日本は暑い。

 政府は、マスクやアルコール消毒液の転売禁止が近く解除する。マスクもアルコール消毒液も、充分に市場の出回っているのを理由にしている。それは、確かに今の状態はそうである。が、コロナ騒動が終わるまで、転売禁止のままにしておいて欲しいと思う。秋になって、世界的に、マスクがないとか、アルコール消毒液ないとかいう状態にならないと限らないのだから。本当は国会図書館へ行きたいが、電車に乗らないと行けないので、近くの図書館で検索したら、出てきたので、予約を入れた。今週中に借りれるだろう。

 スペイン政府は、新型コロナウイルス感染拡大の中で、再び、非常事態宣言をすることはないといった。各州が必要とすれば、それぞれの責任で、出してもかまわない。もう財政的にもたないから勝手にやってという事だろう。また、9月のからの新学期について、各州から教育の平等性を確保するため、中央政府で、全国統一政策実施求めたが、教育大臣は、その件に関しての管轄は各州の管轄なので、各自治体に任せるといった。スペイン政府は、各州へ丸投げ状態である。

 世界では、2390万3千人の感染者が出、81万9千人が死亡。アメリカは、577万9千人の感染者、17万8千人が死亡。スペインは、412553人の感染者、28924人の死者。ここ3日は、不明、34、52人の死者。東京では、ここ3日、212、95、182人の感染者(63日連続45人以上)が出て、昨日までの累計で、19610人。354人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、718人増え、64002人の感染者、1217人の死者。東京の速報は、236人の感染者が確認された。


 8月27日(木) 晴/曇時々雨 11365

 目覚まし前に起きて、炭酸水にタバコ。今日は少し頭が痛い。熱を測るも問題ない。やはり飲み過ぎなのだ。短めの散歩に出かけて、戻って朝食は、そうめん。サバ缶に納豆、ネギとニラ。それと茄子のたいたん。茄子が美味い。スーパー行った時に安いと思って買ってきた茄子。それを料理して食べている。茄子はだいぶ安くなってきた。水ナスも売っていたが、これは京都で食べるもの。それに料理法を知らない。たぶんそのまま切って食べても良いのだろうけど、東京に来る物は向こうより硬くて水分の少ない気がする。

 朝食後、銀行へ行き用事を済ませた。それから、スーパーまわり。買い物をすませて、『江戸の想像力』をめくる。昼食は、紙焼きパンとカレーパンですます。予約した図書館の本は、1冊は、貸出OKだが、1番読みたい本が準備中だ。明日以降になるだろう。

 スペイン政府の丸投げに対して、各州政府が非難している。当然といえば当然だ。日本でも知事たちが政府に要望をあげているのと同じだ。何故日本では、2メートルの距離を取って営業するよう強制力をもてないのか?法的にそれが出来ないのだろう。そういう法律を国会で通せばいいのに、国会を開こうとしない与党。感染拡大になった、GO TOトラベル・キャンペーン。それでも、国民の感染防止しようという行動変容で、なんとかおさまってきた。そしていまさら、GO TOに除外していた東京を入れようという話が出ている。このちぐはぐさは、なんなんだろう。

 世界では、2418万2千人の感染者が出、82万5千人が死亡。アメリカは、582万2千人の感染者、17万9千人が死亡。スペインは、419849人の感染者、28971人の死者。ここ3日は、34、52、47人の死者。東京では、ここ3日、95、182、236人の感染者(63日連続45人以上)が出て、昨日までの累計で、19846人。356人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、903人増え、64904人の感染者、1230人の死者。東京の速報は、250人の感染者が確認された。


 8月28日(金) 曇/晴 10106

 寝るのが、昨日起きた時間に近かったので、目覚ましなしで寝た。起きて、炭酸水にタバコ。朝食の木の葉丼風衣笠丼を作ったのが、10時頃。それから、弟が録画して送ってきた、美術の番組を観た。コロナ以前の価値観と、コロナが始まってからの価値観が大きく変動している。今まで当たり前だったことが、当たり前でなくなって、電車に乗ることさえ嫌になった。だから美術館へも行かなくなった。多くの飲食店やホテルは、売り上げが激減して、閉店倒産などになったり、閑古鳥が鳴く状態だ。マスクの日常が当たり前になり、手洗いは最低条件になっている。当たり前だった経済活動は、コロナ対策がなされていないと、人が来ないし売上がなくなってしまう。もう、コロナ以前のような価値観は、通用しない。新しい価値観が生まれようとしている大転換期になっているのだと思う。それに対応できなければ、企業や商店は生き残れない。そのことを胸に刻む必要がある。

 やんごとなき方、体調不良を理由に辞任を固めたというニュースが流れる。もともと17時から首相の記者会見が予定されていたが、そこで自分で説明するのだろう。前回と同じ、途中で投げ出す。次の首相は誰になるのか?とか、そういう感心よりも、コロナ対策がどうなるのかという事が、最大の関心事だ。御用学者などの分科会では、おかしな対応しかできない。まともに対応してもらいたい。とはいえ、次誰がやるかで、コロナの対応も変わってくるだろう。政局が大きく動いた。野党が1番ビックリしているのかもしれない。どうやら、後任が決まるまで執務を続けるようだ。

 たらしこみ。と、いっても男と女の話ではない。江戸時代の日本画の技法である。墨で描いたその後に、また乾かないうちに、墨をたらして描く技法をそういう。乾いていない処に、また墨を加えるので、墨の濃淡が出来る。その滲みかたがたらしこみの勝負どころだ。判りやすいのは、俵屋宗達。誰でも知っている『風神雷神図屛風』。そこでも使われている技法だ。宗達だけでなく、多くの絵師が使っているし、応用している。明治以降、外国人が日本画を観て、心奪われて、買いあさって行ったのは、このたらしこみである。龍にしろ、花鳥にしろ、たらしこみの墨の濃淡が遠近をあらわす日本画の技法のように感じたからだ。油絵のように、描き足しや塗り重ねが出来ない、一回性の失敗が許されない、一発勝負の技法だ。筆の動きや使い方を、熟知していないと描けないし、その墨の特性を把握していないとだめだ。なおかつ、使う紙や、宗達のように金箔の屏風の上に描く場合は、金箔に適した墨を用いないとたらしこみが、たらしこみにならない。そういう難しさがある。応用でいえば、若冲の「筋目描き」。応挙の「付立」などがそれだと思う。墨の滲みを利用して、それをコントロールする技法に、外国人が魅了された。白と黒で、世界を描いた。そのシンプルさこそ、日本という方法だ。引き算の美学である。余計なものを、はぶいて行った、そぎ落として行った、その先にあった究極の方法だ。禅寺の庭でいう枯山水の考え方だ。こういうのは、千利休の侘茶の世界でも、共有された日本的な表現なのだ。

 マドリード州政府は、28日、29日アルカラ・デ・エナレスの闘牛の開催許可を取り消したため、中止になった。新型コロナウイルス感染拡大のなかで、疫学的に、公衆衛生上の観点から、法務省、内務省、保健省が要求した分析に基いて、中止の決定がなされた。マドリード州政府は、アルカラ・デ・エナレスの住民と、主催などに謝罪した。と、いう事は、サン・セバスティアン・デ・ロス・レジェスも中止になる可能性が高くなったという事だろう。スペイン政府発表の1日の感染者は、3781人であるが、合計を観ると、約1万人が加算されている。相変わらず、こういう誤魔化しをやっている。こういうのって、マスコミとかで問題になっていないのだろうか?

 世界では、2446万5千人の感染者が出、83万1千人が死亡。アメリカは、586万9千人の感染者、18万人が死亡。スペインは、429507人の感染者、28996人の死者。ここ3日は、52、47、25人の死者。東京では、ここ3日、182、236、250人の感染者(64日連続45人以上)が出て、昨日までの累計で、20096人。356人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、865人増え、65769人の感染者、1241人の死者。東京の速報は、226人の感染者が確認された。


 8月29日(土) 晴 6027

 目覚まし前に起きて、炭酸水にタバコ。準備して散歩に出かけた。今日も池には、鳥がいなかった。それと、蚊が寄ってこない。蝉は相変わらず鳴いている。百日紅の花は、散りかかっているのもあれば、満開になっているものもある。蕾のものもある。百日咲くわけだから様々だ。今日も暑くなるという事が、散歩していて判る。これで、8月の東京猛暑日は、11日と過去最多になった。朝食は他人丼。卵使わなきゃと思って、豚肉と合わせた。

 図書館のHPを観たが、頼んだ3冊の内、1冊が、移送中のまま。午後に観たら、届いていたので、夜の涼しい時に取りに行こうと思う。麻生副総理は、「通院しながら職務を続けれればいい」とか「少しや休養したってなんてことない。休んでいる間は私が職務を代理するから、辞めないで欲しい」と説得を試みたようだが、やんごとなき方は、辞任の意思は固かったと、メディアが伝えている。7月から東京で、感染者が増えていった時に、何の手も打たなかった頃、顔色が悪いとか、健康不安説が流れていたが、前回と同じように、途中で放り出すんじゃないかという風に、思ったものだ。この人の責任の取り方って、森友・加計・桜と、いつも説明責任といって、何一つ説明せずに逃げるだけだった。そして幕引きも、やっぱり、逃げるが勝ちで、恥じゃないという考えのようだ。こういうのを無責任という。そういう人が、一国の首相をやっていたのだ。そして、多くの国民が選挙結果として期待した。それをこういう形で、裏切った。こういう人に、「美しい国、日本」などといって欲しくない。生き方が、不誠実この上ない。これで、忖度政治はやめにして欲しいものだ。

 世界では、2474万9千人の感染者が出、83万7千人が死亡。アメリカは、591万7千人の感染者、18万1千人が死亡。スペインは、439286人の感染者、29011人の死者。ここ3日は、47、25、15人の死者。東京では、ここ3日、236、250、226人の感染者(65日連続45人以上)が出て、昨日までの累計で、20322人。358人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、877人増え、66646人の感染者、1261人の死者。東京の速報は、247人の感染者が確認された。


 8月30日(日) 晴 12613

 寝るのが早かったので、夜明け前に起きた。炭酸水にタバコ。準備して散歩に出かけた。道を歩いていると、最近蝉が落ちている。まだ、蝉しぐれだが、そろそろ夏も終わりに近づいているのだろう。いつもの道順だが、寺はまだ開いていないので、神社へ行き、汗拭きを忘れたので、いったん部屋に戻り、遠目の寺へ行った。今日は、鳥がいた。玉砂利を踏む音に驚いて飛び立った。2羽いた。空は曇っていたので、涼しい。戻って、朝食は、サラダと木の葉丼風衣笠丼に豚肉の入れたもの。

 朝食を取りながら、録画していた服部親子の番組を観る。音楽一家の三代目、四代目。『真田丸』の作曲が父親で、ヴァイオリンが娘。そして、『半沢直樹』のテーマや挿入曲も作っている。服部といえば、この親子の叔父が、黒テントの役者をやっている事を思い出す。黒テントでやった『西遊記』や、『三文オペラ』を思い出す。新井純、斎藤晴彦、など。一役を多人数の役者が入れ替わって、それが、出演の役がそれぞれ入れ替わった芝居は、衝撃的だった。こういう芝居があるのかと思ったのが、黒テントだった。それと明治の日本に舞台を代えた『三文オペラ』は、すごく面白かった。『半沢直樹』からそんなことを思い出していた。

 図書館から借りてきた本をめくる。源内研究書。白石から平賀に姓を代えたことから始まる。そういうところから研究書って始めるんだと思った。『江戸の想像力』の中で、田中優子が、風来山人(源内)の『風流志道軒伝』の事をかなり書いているが、源内の文学史上においても、『物類品隲』の薬品会をまとめたものも、宝暦十三年に出版され、平賀源内の名を広めたのだという。彼の頭は、文系も理系も同時進行で進んでいたことが判る証拠だ。

 世界では、2500万9千人の感染者が出、84万2千人が死亡。アメリカは、596万1千人の感染者、18万2千人が死亡。スペインは、週末のためデータの更新がない。439286人の感染者、29011人の死者。ここ3日は、25、15人、不明の死者。東京では、ここ3日、250、226、247人の感染者(66日連続45人以上)が出て、昨日までの累計で、20569人。358人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、845人増え、67488人の感染者、1272人の死者。東京の速報は、148人の感染者が確認された。


 8月31日(月) 曇 12854

 目覚まし前に起きて、炭酸水にタバコ。今日は曇っているので、そんなに暑くない。林がある大きな家が2つあるが、今日は1つでは、蝉しぐれにはなっていなかった。お寺のには、赤く色づいた柿の実が落ちていた。こないだまでは、落ちている柿の実は全て青かった。夏の終わりだ。

 角倉了以は、京都の水運の父ともいわれる人で、桂川を開削して大坂まで通し、高瀬川を開削して伏見までの水運にした。豪商で、物流の要になる水運を通すことによって、京都の街を支えた。その息子・素庵も手伝った。素庵は書家としても有名で、師匠が本阿弥光悦だという。隠居後、光悦や、俵屋宗達の協力で、嵯峨本が作られた。BSプレミアムで、『風神雷神図を描いた男 天才絵師・俵屋宗達の正体』をやっていた。この番組では、たらしこみは、宗達が編み出した技法といっていた。ふーんと思った。扇などを作って売っていた、俵屋。福島正則から命令で、平家納経の修復にあったり、後水尾天皇などからの注文もあったという。当時は、評判の絵師になって行った。番組では、『風神雷神図』を注文したのは、角倉素案では、というニュアンスだったが、どうなんだろう。面白いと思ったのは、ある絵からの引用を自分の絵に使っているという指摘があった。それも、昔の絵に比べて全体的にデザイン構成を変えて、部分的な引用を貼り付けたような感じだ。歌でもそうだが、アメリカでは、フォークソングや、ゴスペルの引用というより、盗作に近い形で曲が使われている。60年代頃までけっこうそうだ。光琳が、自分のデザインを型染のように、そのまま何回か使っているように、デザインというか形というか意匠というか、そういうものを考えて描いているようだ。宗達も同じで、余白もまたそれに近いもののような気がする。

 世界では、2522万6千人の感染者が出、84万2千人が死亡。アメリカは、599万7千人の感染者、18万3千人が死亡。スペインは、週末のためデータの更新がない。439286人の感染者、29011人の死者。ここ3日は、25、15人、不明の死者。東京では、ここ3日、226、247、148人の感染者(66日連続45人以上、6日連続100人以上)が出て、昨日までの累計で、20717人。360人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、600人増え、68088人の感染者、1286人の死者。東京の速報は、100人の感染者が確認された。


 9月1日(火) 曇 9795

 目覚まし前に起きて、炭酸水にタバコ。冷房なしに寝れた。ゴミ出しで外に出たが、今日は涼しい。散歩へは行かず、朝食を取ることとす。冷凍庫からお好み焼を出して、レンジで温め食べる。ディランの『運命のひとひねり』をかけながら源内研究書を読む。その中に、『浄貞五百介図』を探し、渡辺主税から借り、書写したという。これに源内が序文を書き、賀茂真淵に添削を乞うたという。渡辺主税の息子・信濃を親交の深い木村蒹葭堂も『浄貞五百介図』を持っていたという。それも書き込みまであったという。この研究書の問題点は、俳諧に焦点を当てていること。本草学という視点が貧弱な気がする。勿論そういう事もあろうかと、本草学の事から書いた本も借りて来ている。

 7月は雨ばかり降って、日照不足で野菜が値上がりして、8月は日照りの猛暑が多く、日焼けで野菜が腐ったりで、値上がりが続いた。9月は、日本近海の海水温が高く、台風が勢力を増したり、維持したりして多く発生する可能性が高いという。明日から日曜日まで雨降り予報になりそうだ。自民党は、党員投票をやめて、国会議員と地方代表だけの総裁選を行うことを決めた。流れはすっかり、菅官房長官が次期総裁で総理という事になりそうだ。それにしても、PCR検査が増えない、そして何より、医療機関への資金援助や、秋冬に向けての準備不足が懸念される。

 世界では、2548万8千人の感染者が出、85万人が死亡。アメリカは、603万1千人の感染者、18万3千人が死亡。スペインは、462858人の感染者、29094人の死者。ここ3日は、不明、不明、83人の死者。東京では、ここ3日、247、148、100人の感染者(66日連続45人以上、7日連続100人以上)が出て、昨日までの累計で、20817人。363人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、429人増え、68516人の感染者、1298人の死者。東京の速報は、170人の感染者が確認された。


 9月2日(水) 曇/雨 12089

 目覚まし前に起きて、炭酸水にタバコ。頭痛がする。それでも散歩に出かけた。蒸し暑い。戻って朝食は、牛肉を使った他人丼。それから買物に出かけた。ポロシャツと五本指靴下を買ってきた。洗濯をし、スーパーで買物。鶏肉などを買ってきた。洗濯物を干しながら、昨日の『ガイアの夜明け』を観る。コロナ禍の非接触のスーパーやロボットなど。買物しながら自分でバーコードを読み込んで、レジではほとんど待ち時間がない状態を作り出す。『知恵泉 足利義満』、『偉人たちの選択』スペイン風邪を観る。それと『アナザーストーリー』で小松左京の『復活の日』という1964年に書かれたパンデミックのSF小説の事をやっていたのを観る。小松左京といえば、映画にもなった、『日本沈没』だ。阪神淡路大震災の時も、東日本大震災が起きた時も、頭に浮かんだのが、この『日本沈没』だった。SF小説とはいえ、非常にリアルな小説だ。

 『復活の日』は、細菌の中にウイルスがひっそりと隠れている。物語は、イギリス陸軍細菌戦研究所で試験中だったものを、スパイによって持ち去られ、スパイが乗った飛行機が墜落し、ウイルスを保管していた容器が砕け散り、世界中に拡散していく。生化学兵器。しかも、細菌の中に隠れているウイルス。だからウイルスが原因とは判らない。ウイルスはそれまで、タンパク質の殻におおわれているが、このウイルスはタンパク質の殻におおわれていない、むき出しの核酸ウイルス。これによって毒性は強まり、瞬く間に世界中に広がるというものだった。当時は、常識外れの事だった。架空の事だと思われていたが、3年後のウイルス学会で、むき出しの核酸をもったウイルスが発見されたという報告があった。科学的な仮説が、本当に発見された。『日本沈没』のように、非常にリアルだ。小説に必要なウイルスの情報は、アメリカ文化センターで、英文の論文を書き写して知識を得たという。コピー機のない時代だ。源内と同じ書写である。

 午後になり、ゴロゴロさんが鳴り出して、雷神がやってきた。スペインの感染拡大は止まらない。その前より先週の方が増えている。拡大地区は、マドリード、カタルーニャ、バスク。スペイン政府は、非常事態宣言を出さないといっている。各州政府それぞれに出すようにいっているようだ。そんな中、感染拡大を心配している親たちが、登校拒否させるという意見が増えている様だが、それに対して政府は、それは懲役の対象になるといっているようだ。

 世界では、2576万1千人の感染者が出、85万7千人が死亡。アメリカは、607万5千人の感染者、18万4千人が死亡。スペインは、470973人の感染者、29152人の死者。ここ3日は、不明、83、53人の死者。東京では、ここ3日、148、100、170人の感染者(67日連続45人以上、8日連続100人以上)が出て、昨日までの累計で、20987人。364人の死亡になった。全国では、昨日の時点で、633人増え、69154人の感染者、1313人の死者。東京の速報は、141人の感染者が確認された。


過去の、断腸亭日常日記。  --バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で--

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