断腸亭日常日記 2018年 6月 その1

--バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で--

por 斎藤祐司


過去の、断腸亭日常日記。  --バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で--

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 6月22日(金) 晴/曇 7506

 空は曇っているのに、日が出ている。それでいて暑い。曇っていなければ、30度は超えるだろうと思う。米ちゃんの話だと、麻酔をするのだから、絶対大丈夫という事はないので・・・と、書いてあった。言われてみればそうかも知れない。眼ざめの時の、喉の渇きは確かになぁ。ワールドカップのアルゼンチン。アルゼンチン人は、絶対決勝トーナメントに進出してドイツやブラジルに勝ってくれるだろうと思っていただろうが、初戦がメッシがPKを外して引き分けて、2戦目がクロアチアに0-3の大敗。3点目を入れられた時に、アルゼンチンのユニホームを着て応援していた子供が泣き出していた。それを父親らしい人が、抱き寄せていた。GKのカバジェーロのミスからボロボロ。監督も焦っていた。あれではもうダメだ。あれだけ走らないメッシが、前半だけで4キロ走ったこと自体、勝つ気の表れだろうが、普段やらないことをやるとろくなことにはならない。

 モドリッチとマスチェラーノがぶつかったり、睨みつけたり。レアル・マドリードと、元バルセロナ。お互いに譲れないものがあるのだ。でも、メッシ一人に頼り切っているようなチームはやっぱり、チームとしては完成度が足りない。前回は、メッシとマスチェラーノの二人だけで決勝まで勝ち上がったが、アグエロがいても、たとえ、ディ・マリアが出ていても、改善されないメッシ依存症。大敗後、監督は責任は私にあると言ったが、アグエロは、勝手に言わせておけと、怒っていたという。チームは崩壊状態。3戦目勝てる保証はないなと思った。

 それに比べて、フランスの中盤は素晴らしい。FWにはグリーズマン、エムバベがいる。そして、チームメイトから15の肺があると言われた、カンテ。あの運動量と危険の芽を摘み取るセンスは、誰が見ても素晴らしい。大車輪の活躍。レスターシティ―優勝の功労者で元岡崎の同僚。現チェルシー。こういう選手がいて、チームとしての機能が噛み合うのだ。右サイドを駆け上がるパバールも良い。クロアチアもチームとして機能している。

 島根県の庭園が、アメリカの日本庭園専門誌『The Journal of Japanese Gardening(ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング)』で、ベスト50の中に、7つ入っているという。第1位は、足立美術館。もういつか行って見たいところの一つ。15年連続の1位だ。では何故、島根にこれだけ多くの素晴らしいと言われる庭園があるのか?平田本陣記念館とか康国寺、皆美館などにある日本庭園は、枯山水で、大きな飛び石があるのが特徴で、その大きな飛び石には、藩主松平不昧(ふまい)が来た時に、籠を置くためにあるのだという。こういう庭を出雲流という。

 京都の大徳寺の塔頭、孤篷庵(こほうあん)の特別拝観に行った時、火事で焼けた跡、松平不昧の古図から今の孤篷庵が再建されたと言っていた。有名な茶人。出雲松江藩の藩主であり、茶人。出雲流と言われる庭は、茶を飲みながら庭を観るのを好んだ不昧が始まりのようだ。そして、島根には不昧流という茶道の流派が今でもあるのだという。去年京都国立博物館で行われた『国宝展』に出ていた、玳披(たいひ)天目茶碗は、不昧が一時所有していた。他には、落語にもなった『井戸の茶碗』も所有した。落語では、細川の殿様になっているが、おそらく、不昧に行く前の話なのだろう。不昧が家督を継いだのは明和4年。錦絵の鈴木春信や平賀源内の頃だ。つまり、田沼意次の頃だから面白なぁと思う。


 6月23日(土) 曇のち雨 9507

 梅雨の雨が降っている。梅雨前線がかかっている。各地で地震が起きている。大阪だけじゃないのが不気味な感じがする。霧島もまた噴火した。明日は晴れて暑いようだ。

 ブラジルは、0-0のままアディショナルタイムになった。このまま引き分けになれば良いのに思っていた。が、ようやく得点を入れ、ダメ押しもネイマールがして2-0で勝った。試合終了直後ネイマールは泣いていた。プレッシャーから解放されたからだと思う。メッシにしろ、彼にしろ国民の期待に応えようと、過度ともいえるプレッシャーを抱えている。それが所属するクラブチームなら毎試合ではないだろうから、限定した試合に集中して結果を出せばいいのだろうが、代表チームでは、毎試合かかるプレッシャーは体も気持ちも疲弊するだろう思う。所属クラブでは、楽しそうに見える時があるが、このワールドカップでは、全然楽しそうじゃない。あれは苦痛だと思う。強豪国のスーパースターの宿命といえばそれまでだが・・・。楽しくないならやらなきゃ良いのにと感じる。こういう事を感じるは今回初めて。大会前は、希望だけが気持ちの上で優位になっているはずだ。しかし、試合が始まり勝てなかったり、負けたりすると、マスコミやファンからのプレッシャーは増大する。今はネットがあるのでSNSで、匿名のファンが好き勝手なことを言いたい放題だ。


 6月24日(日) 雨のち曇 11248

 芭蕉などの俳諧から、狂歌が出来て、そのネットワークから狂歌連が出来る。その中から京都へ出張した幕臣の狂歌師が上方で流行っていた「咄」を勉強して、江戸に持ち帰って狂歌連などで出版したのが落語の基になって行くのだと、田中優子の『江戸の想像力』に書いてあった。当時の江戸の文化の流行をリードしていたのは狂歌師、大田南畝(なんぽ)。明和・天明の時代に狂歌連の活動から鈴木春信の錦絵が出ている。

 100万都市になった江戸の人口比率は、50万が武士で、50万が町人だった。経済活動が活発になって、面白いことを求めて、狂歌から、錦絵や落語が生まれたというのは、芭蕉もビックリだろう。大工の棟梁だった男が、「宝合わせの会」でうけた。屁理屈の弁論大会のようなもので、その集まりの中でスターになって行くのだという。その大工の棟梁、烏亭焉馬が初めて落語を職業にするようになった。

 俳諧ネットワークから狂歌連が出来、そこから錦絵が生まれ浮世絵に発展していった。そして、落語も出来た。100万都市で、寄席が1815年に75軒。1820年には125軒あった。現在1000万を超す人口に対して、寄席は10軒以下である。面白いことというのが多様化していからか?それでも最近は、江戸最盛期の落語家の数を超えるほど増えているという。


 6月26日(火) 晴 25929/2

 先週は雨模様の日が多かったが、今週になり30度を超える夏日になっている。昨日は、ちょっと心配になって病院へ行った。暑い中、医者と話をした。自分の感覚と、それを訊いた医者の見立を訊いた。何となく判った。鈍痛と出っ張りと・・・。足の方まで痛みがあるような感じ。予定通りを確認して帰ってきた。

 ワールドカップ予選H組。日本はセネガルに2-2で引き分け。また、川島がチョンボした。目の前に相手チームの選手がいるのに、膝を着いてパンチング。相手に当たってゴール。何が起こったのか、どうしてゴールになったのか判らなかった。再生されたものを観て呆れた。スペインの『マルカ』の採点は0点になっていた。川島は、「完全に自分のミス」と言ったが、怒りとか呆れるというか、マイナスの強い感情が起こる。ああいうGKを使っている監督の気持ちが判らない。3戦目は、外してほしい。

 それでも柴崎からのクロスに長友が反応してそれで、乾が得意のコースから同点になるゴールをあげた。乾のゴールを、「詩のようだ」海外のメディアが伝えたという。その後、大迫がゴール前で空振りしたり、乾のシュートがバーに当たったりして勝ち越し出ずにいたら、セネガルに勝ち越しされた。それから選手交代して、大迫がゴール前にあげたボールにGKとせってつぶれた岡崎。その奥で、乾がパスを出して、再びGKにつぶされた岡崎の先の、本田がゴールして同点に追いついた。今までにない日本の逞しさを感じた。

 お互いに攻撃的な試合運びで面白かった。ヨーロッパのテレビ解説をした人たちもそういう感想を伝えていた。そういう物が伝わる試合だったと思う。柴崎、乾、長友、酒井が素晴らしかった。交代した、本田、岡崎も味がある。次引き分け以上で決勝トーナメント進出になる。昨日は、ポルトガルもスペインも引き分け。世界のサッカーは、力差が少なくなってきたようだ。それでも、ベスト4とかになるのは、強豪国と言われてきたチームだろうけど、サッカーが変わってきているのが予選リーグの結果を観ているだけでも判る。


 6月27日(水) 晴 8586

 『半分、青い。』を観て、昨日録画していたマツコの番組を観た。中華そばをやっていたからだ。ラーメンではなく、中華そば。余計なものがトッピングされていない、昔ながらの中華そば。おばあちゃんが作ってくれた中華そばを思い出しながら観ていたら食いたくなった。それで昼食を高円寺に行って中華そばを食べた。

 ワールドカップ、アルゼンチンはメッシのゴールなどで2-1でようやく勝った。マラドーナもスタジアムで観ていたが、途中興奮のあまり病院に搬送されたという。マラドーナは、良くも悪くもマラドーナである続ける。アルゼンチン・ファンは泣いていた。まだ、予選リーグを勝って決勝トーナメント進出しただけなのに・・・。メッシは、「こんなに苦しかったことは記憶にない」と言ったという。勝てば、神様メッシになり、負ければ全てメッシのせい。もう、可愛さ余って憎さ100倍。サンパオリ監督は、「ロシアで重要なことを成し遂げるという夢を我々は共有している」と語ったという。

 次は、ベスト16で、フランスと対戦になる。カンテが全ての危険の芽を摘むフランス。厳しい戦になるだろう。予想を言えば、フランス有利だ。


 6月28日(木) 晴 8864

 今日も暑い。練馬では33度を超えている。夕方近くに用事があって新宿に行った。用事を済ませて西口を歩いていたら、先日中野にあった本屋と同じチェーン店があった。実はこっちの方には良く来る。紀伊国屋と同じくらいかもしれない。西口のイベントをするスペースで古本市をやっていた。ちょっと覗いてみたが、面白そうだった。今日はこれからワールドカップ。相手を研究して、日本とういう方法で戦って欲しい。日本風のパスサッカーで。

 ワールドカップ、ドイツが韓国に0-2で負けた。2点ともアディショナルタイムの失点だった。2点目はGKのノイアーが攻撃に参加して、ボールを奪われてのカウンターからの決定的な失点。26本のシュートを打ち続けたが得点できない。攻撃のパターンが決まっていた印象だった。そして、韓国のGKが素晴らしかった。ワールドカップには、前回優勝チームが予選リーグで敗退するというジンクスある。ドイツはその通り1勝2敗の最下位で敗退した。レーブ監督は、「大きな失望」「1番先に責任を負う必要がある」と辞任を匂わせた。フンメルスは、予選敗退になった事を、「言葉では表せない」「1試合も楽な試合はなかった」「我々は間違っていた」と語った。メルケル首相は、「とても悲しい」を言った。4年前の栄光はかすんだ。

 テレビ解説をやっていた戸田も指摘していたが、選手選考の時に、イングランドで活躍するドリブラーのザネを入れなかったことが、攻撃を単調にしたと言っていた。同じことを元イングランド代表のファーディナンドも指摘している記事があった。ドイツは相手チームに研究され対策を打たれた。後半は前掛かりになって守備がおろそかになって、カンターを何度も食らっていた。韓国もめげずに守りそして攻めた。GKはとても落ち着いていたしワールドクラスだと思う。韓国は予選リーグ突破出来なかったが、大きな1勝を手に入れた。ドイツの監督や選手が呆然とする姿を見て、凄く嬉しかった。世界の差は、縮まっていることを実感した。


 6月29日(金) 晴 9618

 熱中症の危険があることをNHKなどがテレビで喚起している。働き方改革一括法案が参議院で可決された。暑い中、昼過ぎに練馬に出掛け、つけ麺を食べた。昨日は排骨麺を食べたが、麵が食べたい気分だ。それから喫茶店で、『江戸の想像力』の続きを読んだ。中国の小説の成り立ちが、語りから始まり、それを編集して出来ていることを知る。日本と同じように物語を語る語り部が講談師の様に語るという事が書いたあった。『水滸伝』の枝の話から『金瓶梅』が出来たという。そういうのって、風太郎は知っていたんだろうか?と思った。長編と短編の違いや、それを応用して物語を面白く変えるやり方などがあることを知る。こういうのって、落語風に口述で語る物語として30分とか40分の独演会風の語りとして構成するというのは面白い試みだと思った。

 満月の昨日、日本はポーランドに0-1で負けた。同時に行われていたコロンビア対セネガルで、コロンビアが1-0でリード。ここまま行けば勝ち点、得失点差も並び、フェアプレーポイント差(イエローカードの数が少ない)で日本の、決勝トーナメント進出が決まる。後半約10分、長谷部を入れてイエローを貰わないように指示し、その後は、攻めずにバックでポールを回した。会場からは凄いブーイングが起こった。ポーランドも勝ち点3が貰える状況で、ボールを奪いに来ない。暗黙の了解。日本は決勝トーナメント進出、ポーランドはワールドカップ1勝というメリットがある。どちらも得する結果だ。南米の雄コロンビア。したたかさとずるさを持ち合わせている。西野監督は、この時点で最も確実な戦略を取った。心情的にはとても不満。しかし、スポーツというレールで考えるなら、結果オーライである。

 この試合で1番良かったのが、GK川島。決定的なシーンでボールをゴールからかき出した。この2試合の酷さを考えると、ここでやらなかったら、何だよという感じだが、ここは素直に誉めなければならない。初めて出場した武藤も良かったが、自分が得点するという意識が強すぎて周りが見えていない。パスすべきという選択がない。これが出場2試合目とかならそれが出来ているのかもしれない。宇佐美はカウンターでドリブルで上がっていくのに直線的だ。あれだと相手DFに直ぐに追いつかれる。フェイント入れたり左右に振りながらドリブルしないと簡単にクリアされる。なかなか良さが出ない。ただ武藤は相手からは嫌がられていた。


 6月30日(土) 晴 9811

 夏越の大祓。半年の罪穢れを清めるもの。茅の輪くぐりをやって清める。「1周目は、左足でわたいでわをくぐり、水無月の 夏越の祓いひ する人は 千年(ちとせ)の命 のぶといういうなり と、心で唱えながら左回りに回る。2周目は、右足からまたいで輪をくぐり、思う事 みな尽きねとて 麻の葉を きりにきりても 祓いつるかな と唱えながら右に回りで戻り、最後は左足からまたいで輪をくぐり、蘇民将来、蘇民将来 と、唱えながら左回りに回る。」と、『京都人の密かな愉しみ』にある。

 今日も暑い。昨日、最も早い梅雨明け宣言がされた東京。昨日アルヘシラスで、ホセ・トマスの復帰闘牛があった。Facebook などの動画を観たが、ちょっと違和感を感じた。こういう闘牛が観たいのではないのにと思った。ロカ・レイのような飾られた闘牛。そういう手前を観たいのではない。もっと、古典落語のような語りが訊きたいと思った。


 7月1日(日) 晴 14092

 フランス対アルゼンチンの試合が終わるまでタバコを吸っていたが、それ以降禁煙に入った。そうしたら喉が痛い。やはりいつのやっているものをやらなくなると、こういう影響が出るようだ。でもなぜ喉が痛いのか判らない。禁煙は、手術の時の酸素吸入の後に、麻酔で無防備なので、目覚めた時に痰がからむで苦しくなるからだ。それを少しでも抑えるために禁煙をする。手術が終われば、好きなだけ吸える。その楽しみがあるから、禁煙できるといって良い。

 フランスとアルゼンチンの試合は4-3でフランスが勝ったが、ポゼッションが70対30でアルゼンチン。でも、エンパベのスピードは驚異的だ。PKを獲得したり、イエローカードを連発させたりアルゼンチンを苦しめた。パバールのスーパーゴールもあったが、エンパベの名前が一気に世界に拡散した。ペレ以来60年ぶりの10代での1試合2ゴール。スター誕生の試合だったようだ。

 メッシをつぶしたフランスがカウンターで圧倒した。でもアルゼンチンは、ディ・マリアのスーパーミドルゴールも良かったし、メッシから背の低いアグエロへのパスでヘディングのゴールは驚きだ。最後まで諦めずにやったアルゼンチンは、不気味さを感じた。それが伝統なのかもしれない。パバールのスーパーゴールの時に、呆れたような顔をしたマスチェラーノとメッシ。それでも何とかしようとやっている姿はマスチェラーノらしかった。実は、メッシよりも、アグエロよりも、イグアインよりも、最もアルゼンチンらしい選手がマスチェラーノだと思っている。あの運動量と、身を粉にして献身的にチームに尽くす姿は、スポーツの中で真実を体現している。絶対的な価値感がそこにある。マスチェラーノは試合後、代表引退を宣言した。

 もう1試合は、ウルグアイがポルトガルを2-1で下した。カバーニとスアレスのサイドチェンジのパス交換で、カバーニのゴールなどウルグアイがポルトガルにスキを見せなかった。センターバックのゴディンとヒメネスの堅守はアトレティコのそれ。固いのはシメオネ仕込みだからだ。こっちもクリスティアーノ・ロナウドを抑え込んだ。次の準々決勝はウルグアイ対フランス。エンパベのスピードをゴディンとヒメネスはどう対抗するのか見ものだ。


 7月2日(月) 晴 8056

 蒸し暑い中を外に出て過ごすのは嫌だ。かといって、外に出なければ飯も食えないければ、仕事もできない。買い物もできない。グダグダ考えずに外に出て、欲しいもの、必要なものを探すために買い物に出かけるのが良いのかもしれない。とはいえ、最近は長い時間出かけるのは負担だ。出来れば短い時間だけ外に出ていたい。腹の具合も気になるし…。

 下山さんが、闘牛ジャーナリズムを怒っていた。へレスでやったと時よりもずっと古典落語を語っているのに、そうじゃない映像を編集して流していると。へレスって、たぶん2年前の闘牛の事だと思う。この前アルヘシラスでやった闘牛の方が、良かったと下山さんは見立てたようだ。だから、怒っているようだ。アルヘシラスでの闘牛を現地で観た訳ではないので判らない。下山さんの感覚では、へレスの闘牛より良いと断言している。へレスの闘牛より、良いというは、相当なものだ。あの時は、尻尾が出た。それと、体を反らさずにパセをする、引退前のスタイルの闘牛を感じた。今回は、体を反らせているような気がする。反っていても良いけど、そうじゃないやり方が観たいと思う。ただ、牛と対峙した時の「間」の緊張感は感じた。そのエネルギーというか、そういう物を感じれる闘牛が観たいのだ。

 ワールドカップベスト16スペインはロシアにPK戦で負けた。1100本もパスを通しても決勝ゴールをあげることは出来なかった。クロアチアもPK戦で勝ち上がった。直前の監督交代。タクトを振る指揮官が不在になった中で、イエロ監督は打開策を見つけることが出来なかった。僕には協会が監督更迭を決めたこと自体が良く分からない。協会のメンツだけという感じ。でも、これで結果が出せなかったのだから、もう世代交代へ重心を移すべきだ。イニエスタは引退を宣言した。セルヒオ・ラモスもピケも要らないだろう。10代や20代前半の選手を使うべきだろう。

 禁煙2日目。ライターで火をつけても、煙は出ない寂しさよ。


 7月3日(火) 晴 10402

 残念なことに日本はベルギーに2-3で負けた。前半0-0で、後半早々に原口と乾のゴールで2-0とリードした。これは勝てると夢をみた。しかし、2枚替えで、システムを替えると、マークのずれと高さで2-2に追いつかれて、アディショナルタイムにコーナーキックから逆襲のカウンターで負けた。相手の2点目と3点目は、2枚替えの選手だった。非常に残念だ。しかし、原口が勝負に行ってゴールを決め、乾の無回転シュートのゴールは世界屈指のGKクルトワでもノーチャンスの完璧なゴールだった。

 流れから柴崎のパスに反応した原口。香川のパスに反応した乾。クルトワから2ゴール決めたのというのは凄いことだ。最も安定感があり、ファインセーブもするクルトワ。アトレティコにレンタル中にシメオネに見いだされ、チャンピオンズリーグやリーグ戦で大活躍した。今はチェルシーに戻っている。だから、クルトワからの2ゴールをあげたのはとても凄いことだと思う。2-0になった時のクルトワの表情や、スペイン人監督マルティネスの表情は追い詰められた人間の表情だった。アザールは焦っていたし、試合後の会見で、負けるかもしれないと思ったと言っていた。「日本代表は信じられないほど素晴らしいチームで、今日のようなプレーをすれば何処にでも勝てるだろう。」と称賛した。守備のリーダー、コンパニも、「僕が言わずにいられないのは、今日の日本は衝撃的に良かったということだ。彼らはとにかくハードワークを貫き、戦術的熟練者だった」

 マルティネス監督は、「準備が素晴らしかった。」「失点の不運?そんなことはない。詳細なところで、2点は素晴らしいカウンターアタック。今日は日本の良いパフォーマンスを褒めた方がいい」語り、香川と乾を称賛した。勝ては、ブラジルとの対戦だった。やらせてあげたかった。

 暑い時に食べるカレーは美味しい。そして、そうめんも。ただのそうめんじゃない。ゆでた豚肉にネバネバオクラやネギ、わかめが入ったそうめん。辛味大根などを添えるとなお良い。


 7月4日(水) 晴/曇 10108

 九州や北海道は雨が降って大変だ。九州は台風、北海道は大雨で川が氾濫している。東京も金曜日から雨が降るという。

 日本のアディショナルタイムの失点シーンについて、カペッロは時間稼ぎをしない本田が悪いと言っていた。ヨーロッパサッカーの、いやイタリアのカテナチオ流の考え方が強いカペッロの意見などくそくらえ。カペッロがレアル・マドリード監督時代優勝したが、サッカーが面白くないと解任されている。あの勝負だけにこだわったつまらないサッカーに、日本のサッカーを重ねないで欲しい。カペッロのようなサッカーをしていたら、ベルギー戦のような感動はなかったはずだ。それより、オシムの話に耳を傾けていた方が、はるかに有意義だ。

 セルジオ越後の様に、南米風の正論だけをいうのにも違和感を感じる。それより、同じようなことを言っていても、柴崎岳の10人のコロンビアにしか勝てなかったという言葉に耳を傾けたいと思う。ベスト16とベスト8の差は大きいと柴崎は現実的に言う。そういう風に選手が試合の中で感じた感覚で、大きな違いがあると感じる話に、耳を傾けたくなる。何を指針にするかは、人それぞれ。その人にあったものを使えば良いと思う。それが編集の方法だ。西野監督は、たぶん今現在の中で、最高に近い編集をチームの中で出来たと思う。それが今の力なのだ。それでも足りないものがあった。それを埋めるために、次のワールドカップを目指して欲しいと思う。

 右肘の故障で治療していた大谷翔平が戻ってきた。いきなり、6番DHで先発したが、4打数無安打3三振。どうもスイングが本当じゃない気がする。イチローは野球の基本は胸を見せないこと、と言った。投げる時も、投げる瞬間まで胸が見えないようにするし、打つときも、バットスイングの最後に胸が見えるようにと言っていた。今日の大谷は、スイングの時に、胸が速く見えているように感じた。


 7月5日(木) 曇一時雨 10754

 大雨情報の中で、早朝大リーグ中継を観た。その中で今日が大谷翔平の誕生日だと知った。アメリカとは時差があるので、この時点では、独立記念日の7月4日。日本はもう5日になっているので誕生日。第1打席、打撃妨害で出塁して先制のホームを踏んだ。第2打席が右前打、第4打席が右翼線二塁打のマルチ。4打数2安打。2得点。そして、三振がなかったのも良い。二塁打は鋭かった。試合も勝った。大谷って修正力とか適応力とかいうけど、二軍とかで試合になれて復帰という手順を踏まずにいきなり復帰してもこうやって結果を出す。そして、次はホームランを打つのではないかと思わせる。そういう処が凄いなぁと思う。

 京都四条大橋の鴨川の映像をニュースで観た。氾濫しそうな川の流れで、避難勧告が出ているという。それは京都だけではなく神戸や他の処でも出ているようだ。京都で思い出したのか、松岡正剛が書いた山田風太郎の文章。『千夜千冊』には風太郎の本は載っていない。それで思い出したのが、『別冊新評 山田風太郎の世界』である。目次をみたらあった。「ザ・ピーナッツ主義と生機械学」。1970年代の文章で少し古臭いが、やはり風太郎の大事な部分を押さえている気がした。

 「・・・風太郎作品の全作を通じて、「肉欲なきエロティシズム」はひとつの顕著な特色だった。いかに人肉地獄が描かれようと、いかにくノ一たちのセクシャルな忍法が繰り広げられようと、風太郎の筆はそこに一抹の精子の臭いとて残さない。読む者はむしろ次第に春情を奪われてゆく。これは不思議な力である。性のない「セクシャリズム」とは、どこかついに「神のない人倫主義」をも感じさせるものがある。
 〔表現方法〕・・・一に冗漫嫌い、二にそれゆえに速度を尊び、三に美学に惜しみなく言葉を尽くし、四に敢えて思想語を排しているとことが、かえって私を酔わせてきた。池波正太郎をはじめ、時代小説派の私には堪えがたい文章で物語を進める作家が多い中で、山田風太郎には一度も倦怠を覚えなかった一つのゆえんである。」 --「ザ・ピーナッツ主義と生機械学」松岡正剛より--

 これから新宿で米ちゃんと会う。


 7月6日(金) 雨 9991

 「法務省は6日、オウム真理教による一連の事件で死刑が確定した死刑囚13人のうち、教団元代表(教祖)、松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚(63)のほか、早川紀代秀(68)、井上嘉浩(48)、新実智光(54)、土谷正実(53)、中川智正(55)、遠藤誠一(58)の死刑囚6人の刑を執行した。政府関係者が明らかにした。」(毎日新聞)

 13人という数字。それはキリストと12使徒の数と同じというのが気に食わない。江川紹子は、NHKのニュースの中で、教祖と同じ日に弟子たちの死刑執行した事について、これは教祖やその弟子たちの関係が強いことを印象付ける可能性があるので違う日に執行するような配慮が必要だったと非難していた。カルト教団にとって、重要な意味づけを持つというのは確かにあり得る話だと思った。

 京都新聞を観ていたら川の氾濫の記事はなかったが、「ウオッカの調教師、酒気帯び運転 滋賀、容疑で逮捕」こんなタイトルの記事があった。牝馬でダービーを勝ったウオッカの角居勝彦調教師が衝突事故を起こし、基準値を超えるアルコールを検出され逮捕された。ロシアの酒ウオッカの名前を持つ馬の調教師の酒気帯び運転って、可笑しいよな。これだけ読んだら競馬知らない人は笑うかもしれない。競馬知っている人なら驚くだろう。

 京都の避難勧告は25万人くらいになっているという。渡月橋は通行止めになっている。観光地の寺社仏閣でも拝観中止になっている処もあるようで、それもJR中心に運行停止になっているからかもしれない。そして、九州の福岡、長崎、佐賀で大雨特別警報という最大級の特別警報が発表された。


 7月7日(土) 雨のち曇 5816

 七夕の今日、大雨の影響で、交通網だけではなく、死者行方不明など関西中心に被害者が出ている。いろいろなイベントが中止や順延になったようだ。高校野球も順延になったところが多いようだ。この天気じゃ、織姫と彦星は1年に1度の逢瀬はかなわないようだ。『半分、青い。』の主人公は七夕生れの鈴愛(すずめ)と律。物語はどう続くのか。

 ワールドカップ準々決勝2試合は、フランスがウルグアイに勝った。グリーズマンの2点目のシュートは無回転でGKがはじき出せなかった。笑顔のない得点。第二の故郷とグリーズマンがいうウルグアイ。CBはアトレティコのチームメイトのゴディン、ヒメネスがいる。相手に敬意を表したと言っていた。もう一つのブラジル対ベルギーは、ベルギーがブラジルに2-1と快勝した。これは対日本戦の教訓があったから勝てたのだと感じる試合だった。勝ち上がったフランスとベルギーの試合が事実上の決勝になるような気がする。

 1点差の9回裏ツーアウトランナーなし。そこから大谷が四球を選び、盗塁。ボールがセンターに行く間に3塁へ。そしてタイムリーが出て同点。次の打者が止めたバットにボールが当たりライト前ヒット。中継プレーが悪くてランナーがホームを踏んで逆転サヨナラ。大谷の四球からチームは勝ちを拾った。チームのムードを盛り上げる四球と盗塁だった。

 パンプローナのサン・フェルミンが始まった。パブロ・エルモーソ・デ・メンドーサがプエルタ・グランデした。


 7月8日(日) 曇 11431

 大雨で堤防の決壊などで、死者行方不明が100人を超える数になっている。1階が水没して2階に避難している処もあるようだ。第1級河川ではない処の堤防の決壊が多いのが特徴。こういう時の被害は、意外と大きい。去年の大雨の時も同じような特徴があったと思う。

 明日から入院。何も用意していない。これからつらつらやろうかと思う。呑気といえば呑気なものである。早くタバコが吸いたい。


 7月9日(月) 晴 5412

 快晴。準備も適当にこれから病院へ向かう。外は暑そう。さっきシャワーを浴びた肌の渇きもままならぬまま、そろそろ出かけようと思う。パコ・ウレニャのコヒーダ。パディージャのカツラが取れるような感じの頭の皮がむけたコヒーダ。パディージャは今年で引退を宣言しているという。両目がある時からコヒーダの多い闘牛士人生だった。ウレニャもコヒーダが多い。ボクシングでいえば、パンチドランカーのような感じだ。顔面に受けるパンチも、一つの快感という状態で、ボクシングと一体になっている。たこ八郎もそうだったが、漫画『あしたのジョー』の矢吹丈もそうだったはずだ。時々見てられなくなるようなシーンに出くわす。ボクシングならぬ、闘牛。過激にして、辛酸をなめる人生。そして、それも闘牛。分かっているが過激だ。


 7月13日(金) 晴 6907/4

 退院してきた。夜中の六人部屋。いびきの二重奏、三重奏を聞きながらうつらうつらしながら、ぼんやりと暗闇などの中に見えた、エッジングの直線の交差や、白いキャンバスに吹き付けられた茶色の水玉模様のようなものが、感情を表現しているのかと、ぼんやりと考えていた。茶色い水玉模様は、綺麗な円ではなく、泥を壁に吹き付けたようなザラザラ感があった。

 腹に力が入らない。痛いからだ。退院前に医者が来て、腹を触ったりして話をした。腹腔鏡で開けた穴は3つ。へその穴と、それに並行して左右に1か所ずつ。そこにテープが貼られている。退院したら普通にシャワーを浴びて良いという。汗とかシャワーとかでテープが取れたら傷口はシャワーで流してかまわないという。刺激物は取らない方が良いという。コーヒーや酒。タバコもというがそれは直ぐにでも取りたいもの。ともあれ退院して通常の生活に戻るが、この腹の張りや痛さで、普通に歩いたり酒飲んだりすることが出来るはいつになるのか。1週間くらいはかかりそうだ。


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