断腸亭日常日記 2019年 5月

−−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−

por 斎藤祐司


過去の、断腸亭日常日記。  −−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−

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 5月10日(金) 曇/晴 11610

 曇っていて時々晴れて気温が高い。28度。一気に夏が来たような感じ。予報では、今日明日が気温が高く、日曜日からは22、23度くらいになる。最低気温も15度前後で過ごしやすい日が続きそうだ。

 大谷がメジャー復帰3戦目で、2安打した昨日、アメリカと中国の経済交渉は折り合わず、今日の交渉でどうなるかということになるが、期限の今日から10%の関税は、25%に引き上げられた。ニューヨークは、137ドル下落し、日経平均は、買い戻しの動きが出て値上がりしたが、海外勢は、先物売り出し、前日比で上下して57円安で引けた。北朝鮮が2日続けて弾道ミサイルを発射した。韓国は、懸念を表明し、アメリカは深刻といった。不良同士のトランプ大統領と金正恩は、仲が良いが、交渉が決裂したことで、金正恩は不良らしくふるまっている。

 セビージャは、サンティアゴ・ドメク牧場の牛で、エル・シド、ミゲル・アンヘル・ペレラ、パコ・ウレニャ。エル・シドが入場行進後、喝采に挨拶した。今年引退を表明している。最後のフェリア・デ・アブリル。初めの牛は、パセの途中で飛ぶ牛で、ナトゥラルの時に、左腕は角で払われていた。左角が短いわけではないと思う。たぶん、ムレタと牛の距離がパセの時に離れたために、牛がそういう動きになったと思う。地元セビージャの暖かい観客の拍手にこたえて挨拶した。ペレラの1頭目は凄く良い牛で場内一周した。ペレラならこれくらいのファエナは出来る。あれで、プレシデンテが2枚目を出さなかったのには、ビックリした。最近セビージャは厳しくなってきた印象だ。あれだけパセが続き、盛り上がったのに、白いハンカチと青いハンカチしか出なかった。青は牛の場内一周。耳2枚目は明確に拒否した。観客は非難の口笛を吹いて抗議した。2頭目の牛は癖のある牛で、こういう牛になると、対応できなくなる。これも昔からそうだ。また今の状況を考えると、ピカドールも良いし、バンデリジェーロたちは素晴らしい。この日もクーロ・ハビエルが1頭目のバンデリージャ打ちで挨拶し、2頭目のバンデリージャ打ちの時のカポーテの振り方で挨拶した。久々じゃないかな、セビージャで、テルシオ・デ・バンデリージャの場で、バンデリジェーロのカポーテにビエンと声が出たのは。こういうクアドリージャがいることが、かえってペレラの牛を見る目を育てないのかもしれない。

 パコ・ウレニャは、ペレラの1頭目のキーテで、ガオネラをした。何度目かのパセの時に牛を体の近くを通した後に、牛の後脚が足に引っ掛かり転んだ。ちゃんとクルサードして、ガオネラのパセを体の周りを通すようにしているので、後脚が残ることがあり、こういう接触が起こることがある。それだけ、ちゃんとトレアールしている証拠でもある。ムレタのパセの時は、右手の時は、右目で見えるように、顔の右側を牛の方にむける。その方が見えるからだろう。左手の時は、牛に近い方に右目あるので、他の闘牛士とはあまり変わらない印象だ。片目が見えなくなっても、工夫してトレアールしている。素晴らしい事だ。


 5月11日(土) 晴 11627

 晴て暖かい。良い陽気だ。朝食後、メジャーリーグを観ながら洗濯をしたり、買い物に行ったり、朝から競馬日和だ。毎日朝方までセビージャの闘牛観ているが、それにして昨日の闘牛は歴史的な闘牛だった。下山さんも、THさんもそれを闘牛場で目撃した。羨ましいものだ。あの観客の沸き方は凄かった。総立ち状態になったり、最後の牛の剣刺しが決まると、「トレロ」コールが沸き起こっていた。

 セビージャの闘牛。ハンディージャ牧場の牛で、モランテ、ロカ・レイ、パブロ・アグアドで、ノー・アイ・ビジェテ。モランテは今日もやる気があった。1頭目では耳取れなかったが、あんな闘牛のあった後では、自然にやる気に気合が入るってもの。ベロニカで沸かせ、ムレタでは長いパセやゆっくりなパセを繋いだ。トゥリンチェラを観たかった。牛がくるっとまわって来るそれは、鮮やかだ。それが足りなかったが、それでも3日目にしてようやく耳1枚。モランテも駆けつけたファンも納得できる結果だ。でも、剣刺しの後の牛の顔を上着のポケットから白いハンカチを出してなでたのは何だったんだろう?

 前回尻尾が出ずプエルタ・デル・プリンシペを逃したロカ・レイは、ポルタガジョーラから始めた。それからラルガ・カンビアールの連続で闘牛場の観客を味方につけた。このラルガ・カンビアールは、両手で持ってやるもので、その方が連続してやりやすくなる。パブロ・アグアドのキーテは、チクエリナ。牛を通す方の足がもう一方の足に引いてパセしていたが闘牛場は沸いた。ロカ・レイのキーテもチクエリナ。こっちは、牛を通す方の足に引いているので、形としてもロカ・レイのチクエリナの方が良いパセだ。ロカ・レイのバンデリジェーロも良い。牛を置くためのパセの後、後ろにスーッと下がって牛から離れて牛を停めていた。こういう動きが出来るバンデリジェーロは、闘牛を理解している。前日のクーロ・ハビエルのようだ。ファエナは、ロディージャのパセからデレチャッソを繋ぎパセ・デ・ペチョ。しかし、タンダのレマテのパセ・デ・ペチョで、コヒーダされた。それでもひるまず、パセを繋いで観客を沸かせ、剣も決まり耳1枚。剣刺しはタブラの処だった。

 そして、パブロ・アグアドである。クラシックなスタイルのセビージャの闘牛士。切符が売り切れになったのは、モランテやロカ・レイのせいかも知れないが、今日の主役は間違いなくパブロ・アグアドだった。ファエナは、デレチャッソの長いゆっくりしたパセを繋ぐ。右角が良い。クラシックだが、長いゆっくりとしたパセが続くとオーレが大きくなる。観客はすっかりファエナに酔いしれている。こういう闘牛士が出てくるんだな、セビージャは。テンプラールなパセが凄い!剣はグラン・エストカーダだった。牛が倒れると闘牛場は白いハンカチが揺れた。ベティスの元スペイン代表のホアキンも笑顔で、ハンカチを振る。プレジデンテはいきなり耳2枚を意味する白いハンカチを2枚出した。今年セビージャで1番良いファエナだった。なんをいえば、左角が短ったからナトゥラルの出来が今一つ。それと、目立たなかったが、タンダの後の距離の取り方が足りなかったと感じた。

 最後の牛では、ベロニカを繋ぎ、メディア・ベロニカ。彼のメディア・ベロニカは良い。こんな感覚は何なんだろう。ファン・オルテガのカポーテを思い出した。昔セサルが、クーロ・バスケスのメディア・ベロニカが良いといっていたが、あの時は、意味が判らなかったが、今は判るような気がする。モランテが出てきてキーテ。ガジョシーナというのだろうか、背中にカポーテを背負って、左右に牛をパセして闘牛場が沸いた。パブロ・アグアドのキーテはチクエリナで沸いた。ファエナは、デレチャッソから始めるとオーレが鳴り手を変えてパセ・デ・ペチョ。ゆっくりした長いナトゥラルが繋がるとオーレの声は大きく叫ばれた。もう観客は耳2枚モードになっている。しかし、1流のアスリートがそうであるように、その渦中にある本人は冷静だ。ただ目の前のことに集中するだけだ。照明ライトの中で、ナトゥラルのゆっくりした長いパセが繋がる。タンダのレマテが決まると観客は総立ち状態になって喝采を送る。今度も剣が決まって、観客からは「トレロ」コールが沸き起こった。歴史的な闘牛だ。プエルタ・デル・プリンシペは、3枚以上取らなければ出来ないが、ほとんどがそれ。しかし、4枚切ってプエルタ・デル・プリンシペは、非常に珍しい。耳2枚を受け取り笑顔になった。それから牧場主の処に行き抱擁した。笑顔の場内一周。モランテ、ロカ・レイが退場時喝采を受け、いよいよ肩車が始まった。また、「トレロ」コールが起きた。場内一周のあと、プエルタ・デル・プリンシペを通る。「トレロ」コール。群衆で埋まった中をパブロ・アグアドはもみくちゃになりながら進んで、車に着いた。

 物凄い熱狂に包まれたセビージャのスター誕生の瞬間だった。こういうクラシックなスタイルの闘牛士を、セビージャは輩出してきた。その伝統が引き継がれた瞬間でもある。それを後押しした観客。途中、浮かれることなく、集中してやり切ったパブロ・アグアドにおめでとうをいいたい。次はサン・イシドロ。5月18日と6月16日最終日のプレンサ。マドリードの観客が待っている。


 5月12日(日) 曇 9761

 早く起きれない。朝方まで起きているのでしょうがない。

 NHKBSで、『シルクロード・美の回廊U「“微笑み”がきた道」』を観た。映画にもなった『テルマエ・ロマエ』の漫画家ヤマザキマリが、シルクロードの仏像を訪ねて旅する番組だった。弥勒(みろく)菩薩の口元にある微笑みは何処から来るのかを、ユーラシア大陸をイタリアまで遡る。ヤマザキマリが相当な人だという事は、松岡正剛との本の話を訊いて判っていたが、この番組でもやっぱりそう思った。黄河、敦煌、バーミアンなどの山の壁に彫られた石仏などをめぐる。

 イタリアで絵を学び、漫画家になったから、造形には敏感だし、仏像の表情だけでなく、違う処も見えている。奈良・飛鳥時代の中宮寺の仏像の口元の微笑みがある。それを辿る旅。東洋と西洋の共通点を見つけてきたヤマザキマリが、東西の文化を繋いだシルクロード。微笑みの共通点を探す。初めは中国・天水の麦積山石窟。5世紀に開山。6世紀に出来た千仏もある。釈迦とその息子の像。釈迦の1番弟子の阿難。微笑みの像。30年麦積山で石仏を研究する案内人は、「この像は、若く見えますが、ある人は違う角度で見ると、年齢も違って見えるといいます。少女にも大人にも中年にも見えます。ヤマザキさんにはどう見えますか?」という、すると「あー、こっから見ると沢山生きてきた人の表情かもしれないね。ここのほうれい線が入って見えるから、ちょっと年を取って。なんか赤ちゃんにも見えますね。あとジェンダーがないですね。男の人か女の人かちょっと分からない感じだし。」すると案内人が「ヤマザキさんのほうが、私より発想が豊に見えます」と感心していた。「これは深いは。微笑みって神秘ですね、やっぱり。笑ってるって、短絡的にいえば幸せとか、嬉しいとか解釈されるけど。沢山いろんなものを抱え込んでなきゃ出てこない、笑みってある。そこがここに表現されている気がする。他の宗教では醸し出せない表情ですね、これは。」

 バーミアンでは、仏教とミトラ教が混じって、弥勒(みろく)菩薩が出来たようだ。ミトラ教などヨーロッパのアルカイックスマイルが弥勒菩薩の微笑みになっていったようだ。苦難を乗り越えて悟りを開いたときに、微笑みが出るのか?それとも、苦難に直面しても微笑みを絶やさないのか。たしかに、ヤマザキマリがいうように、微笑みって神秘的だ。

 セビージャは、フエンテ・インブロ牧場の牛で、アントニオ・フェレーラ、エル・ファンディ、ロペス・シモン。フェレーラの牛は悪かった。1頭目の牛の左角が良いのを見抜いて長いパセを繋いだところが良かった。カポーテでもいろいろ工夫してやっているのが判る。挨拶した。ファンディは、ファンディなりに丁寧にムレタを振った。彼の出来ることをちゃんとやった。2頭目の剣は半分より入っていたが、牛が倒れて耳1枚が出た。ロペス・シモンは、1頭目の牛で長いパセを繋いで剣も決まって、観客は耳を要求したがプレシデンテは耳を出さなかった。観客はプレシデンテに口笛を吹き罵声を浴びせた。厳しい判定だ。別に髪が長くなったせいではないと思う。場内一周。また、どうやら、12日今日バジャドリードには、ロカ・レイに代わって、パブロ・アグアドが出場するようだ。


 5月13日(月) 曇 12593

 曇っていて過ごしやすい。夕方、新宿で用事をすませ、ワンタンメンを食べる。いつもの味だ。それから帰ってきた。新宿は相変わらず、人が多い。外国人もやはり多い。

 『十八世紀京都画壇』の最終章蕭白に、冷泉為人(松尾勝彦)が、播州での蕭白の仕事について調査して、論文を書いていることが載っている。特に1回目の滞在についてらしい。名前をみて、あれっと思った。調べたら、京都御所の北、今の同志社との間、今出川通に藤原定家に繋がる冷泉家がある。最近は、10月に特別拝観で観ることが出来る。そこの蔵には、定家が書いた『明月記』など国宝や重要文化財が多数ある。そこに入り婿した人が冷泉為人だった。1度その蔵を開けるところをNHKのBSでやっていたが、その時出てきた人がそれ。当主しか蔵を開けられないといっていた。大学で美術史を学び、京都国立博物館で働いていたという。なるほどと思った。

 セビージャは、ミウラ牧場の牛で、セバスティアン・カステージャ、オクタビオ・チャコン、ペペ・モラル。思った通りというか、やっぱりというかそういう結果だった。昔から闘牛士や観客から恐れられてきたミウラの牛。でも、大きいだけでビクトリーノ・マルティン牧場の牛のように、動きが機敏な訳ではない。良い牛を観たという記憶がない牧場の代表だ。セバスティアン・カステージャは、やろうとしていたが、パセの後膝を着いたりファエナにならなかった。ペペ・モラルもそうだった。それにしても印象が悪い。その中で、トータル的に闘牛の構成力を感じたのが、オクタビオ・チャコン。彼だけが、唯一といって良い闘牛的なスペクタクルをみせた。ピカドールの前に牛を置く、置き方にしろ、ファエナにしろ牛の扱いが判っている感じがする。

 セバスティアン・カステージャに言いたい。何もミウラ牧場の牛を相手に闘牛をしなくても良いだろう。何のメリットも感じない。黙ってフィグラがやる牧場の牛で闘牛をやった方が面白い。コリーダ・ドゥーラに任せた方が良い。タラバンテのビクトリーノ・マルティン牧場とは、だいぶ違いを感じる。セビージャのフェリアの最後を飾るには、ちょっとお粗末な気がする。単なるミウラ牧場の牛という、ブランドって感じだ。

 蛇足を書けば、バジャドリードでは、パブロ・アグアドが、耳1枚が2回でプエルタ・グランデした。モランテ、マンサナレスが耳1枚だった。今年、パブロ・アグアドはブレイクしそうだ。サン・イシドロが楽しみだ。


 5月14日(火) 曇/雨 11687

 曇っていて肌寒い。上着は冬用にした方がよさそうな感じだ。ニューヨークの株価は下げ止まらない。617ドル下落。中国はアメリカへの報復を宣言した。日経平均も下がり、円高は進んでいる。政府は、景気後退を初めて認めた。百舌鳥(もず)・古市古墳群が世界遺産に登録される見通しになった。教科書に載っている仁徳天皇陵など大阪・堺市・羽曳野市・藤井寺市などに、4世紀から5世紀に造られた古墳群。大谷翔平が復帰6戦目にして今シーズン初ホームランを打った。3打数2安打2四球。2打点。

 セビージャのフェリアの影響で昼夜逆転現象状態になっている。そんなんで、カルテルを観ていたら6月16日マドリード、20日グラナダ、21日アリカンテにパブロ・アグアドが出場する。22日グラナダでホセ・トマス。21日にアリカンテに行って22日グラナダというのも辛いものがあるような気がする。グラナダに腰を据えて観た方が良いようだ。などと考えていたら、もう直ぐあっちへ行くのだ。準備をしないと思った。


 5月15日(水) 曇 12758

 昼過ぎ病院へ行った。去年手術したあと、診て貰っていなかったので、念のため。医者は特に問題ないということだった。中国の制裁に対してアメリカは、追加関税を宣言し、ほぼ全ての輸入品に25%の関税がかけられることになった。だが市場は下げ止まった。いったん値を上げている。アメリカと中国の貿易摩擦は、落ち着いたかに見えるが、何かのきっかけであっという間に、値下がりに転じるだろう。

 THさんから連絡があって、モランテのハンカチの件が記事になっているという。強い牛は泣かないという。それで、昔は闘牛士がハンカチを出して顔を拭いていたようだ。モランテはそれを真似したわけである。つまり牛に対して、敬意を表したのだ。徒歩闘牛が始まって直ぐの頃の、ゴヤの時代。闘牛の文献などを読んで知識としてあったものを、モランテが闘牛場で形にしたようだ。それを、闘牛メディアが取り上げて報道した。そのことによって、闘牛ファンに知れ渡ったようだ。

 後で最新情報に書くが、セビージャのフェリアの表彰が発表されて、トゥリウファドールは、パブロ・アグアド。文句なしだろう。メホール・ファエナもパブロ・アグアド。これも文句なし。モランテは、メホール・トレオ・デ・カポーテだった。

 スペインへ行っているたまさんからも連絡があり、グラナダにいるという。サン・イシドロが始まったからスペインにいると思ったようだ。マドリードからグラナダへのRENFEは、直通のタルゴが1本。あとは、AVEに乗って途中でバスに乗り換えていくのだという。たぶんその間がAVEの工事をしているのだろう。来年からはAVEで行けるという。オラリオを観ていて、なんか時間がかかるなぁとか、AVE BUS と書かれてあったので、なんか変だと思っていたが、そういう訳だったのかと、思った。


 5月16日(木) 曇 10108

 朝食を食べて、千葉へ向かう。1933年、「恋に落ちた」というピーター・F・ドラッカーがいうそれは、日本水墨画。オーストリア人のドラッカーがアメリカに来て、大戦中フリーア美術館へ行き、「正気を取り戻し、世界への視野を正すために日本美術を見る」といっていたという。『マネージメント』のドラッカーが講演で毎年のように日本に来て、買い集めたコレクション。死後、日本の企業が買い、その一部を展示したのが、『ピーター・ドラッカー・コレクション水墨画名品展』だ。それと、千葉美術館では、同時開催でこっちがメインの『メアリー・エインズワース浮世絵コレクション展』を観た。光琳の絵や山水画もある。白隠の達磨など、禅画もある。雪村から若冲まで。それから病院へ行って買い物をして帰ってきたら遅くなった。

 時間が無くなったので、取りあえず昨日のサン・イシドロを簡単に書いておく。フエンテ・インブロ牧場の牛で、フィニート・デ・コルドバ、ディエゴ・ウルディアレス、ミゲル・アンヘル・ペレラ。ペレラが1頭目で耳2枚切ってプエルタ・グランデした。場内一周出来るような非常に良い牛だった。ファエナの始めに、牛から20mくらい離れた処で牛を誘いタンダを始めた。こういう遠い距離を取って3回ほどタンダを始めた。その立ち位置を取ると、闘牛場がザワザワしていた。どうしたって、セサル・リンコンのファエナを思い出すファンがいるのは、当たり前だ。こういう距離を取ったファエナは非常に素晴らしい。ペレラがやるとは思わなかった。これに近いのは、ヒネス・マリンのプエルタ・グランデのファエナ。あれも遠目の距離からナトゥラルを繋いで観客が沸いた。後半は、距離を掴めていない感じだった。剣を代えたあとも、ほとんどパセがなかったので、剣が決まっても耳は1枚だと思っていたが、2枚出た。不満を感じる耳2枚だった。遠く距離を取って、ムレタを1回振って牛を動かすような魔法は、ペレラには出来ない。それを出来るは、セサル・リンコンだけのようだ。


 5月17日(金) 曇/晴 15523

 研修があって今帰ってきた。昨日に続き遅くなった。十何年ぶりに会ったやつがいて、研修の後、タバコを吸いながら話をした。顔を見て思い出したが、名前が出てこない。しかし、向こうは名前まで思えていた。そのTからすると、俺はスペインと結びついているのだという。Tの身の上話や、これまでの事も訊いた。こちらも話したが、訊いた話の方が多かった。ともあれ、元気で再会できたことをお互いに喜んだ。

 昨日のサン・イシドロは、バルデフレスノ牧場の牛で、ダビ・ガルバン、ファン・オルテガ、ホアキン・ガルドス。牛が悪いと一言で終わらせることも出来る様な闘牛だった。闘牛士3人が若く、やる気に満ちていた。それでもほぼ何も起こらなかった。それぞれ、オーレの声が客席から出ていた。ファン・オルテガのことについてだけ、書きたい。カポーテのベロニカは素晴らしい。2頭目の牛の時、風が強く吹いてまともに振れない状態だった。それでも、ちゃんとカポーテを振れるので、牛を交わすことが出来る。つまり、応用が利くのだ。ファエナになって、牛が止まらない。こういう牛に対する対処は、闘牛場で経験しなければなかなか対応できるものではない。タブラに向かってパセをするとか、距離を取るとか、いろいろあるはずだが、経験値がなければなかなか対応策自体を考えれない状態で、時間だけが過ぎていく。経験値がある闘牛士でも、対応出来ない闘牛士も多い。恥ずべきことではない。闘牛場で学べばいいのだ。

 それにしても、3人の若手闘牛士のやる気を感じることが出来たのは嬉しかった。次代を担う若手が出てこなければ、ダメだ。おそらく、トレオ・デ・サロンなど、闘牛学校などでいっぱい練習してきたと思う。テンタデロも出来だけやってきて、サン・イシドロに備えた思う。それでも、結果が出ないのも闘牛だ。意欲の継続と、頭を柔らかくして柔軟に対応できる適応力を身に付けないといけない。これからに期待しよう。


 5月18日(土) 曇 8734

 荷物の詰込みがすすまない。もう直ぐなのに。MEGUさんに言われた。もう荷物準備するの遅いから、また、何か忘れるよって言われた。その通りなんだけど・・・。

 サン・イシドロは、エル・タホ・イ・ラ・レイナ(ホセリート)牧場の牛で、ホセリート・アダメ、ロマン、アルバロ・ロレンソ。ホセリート・アダメは、プロレス風にいえば、空中殺法。カポーテの立体的なバリエーションを見せるメキシコ風。ベロニカで沸かせる、あとの二人とは違う。ロマンは、1頭目の牛で耳1枚を取り損ねた。右角が良い牛で、長いパセを繋いで観客を沸かせた。左角がブスカンドする。足を動かさずムレタを振ってよけたのは良かった。そういう気迫が、観客に伝わる。だから右手のパセでオーレが続いた。剣を代えて、マノレティーナ。2回3回4回と続けると、オーレが大きくなってパセ・デ・ペチョ。ロックバンド、サンタナのギタリスト、カルロス・サンタナは、強調したい時は、同じ音を2回3回と弾くと、観客に伝わるといっていたが、時にしつこくやると、伝わるのだ。剣は、レシビエンドで決まったが、カイーダだった。牛は倒れて、観客は強く耳を要求したが、プレシデンテは耳を出さなかった。THさんが、連絡をよこした。耳が出なかったのは、カイーダだから?と。カイーダのことが判ったのかと思った。去年は、カイーダとか全然わからないといっていた。そのうち、これを、闘牛場で観て判るようになるだろう。スペイン人の爺さんが、双眼鏡を持っているのは、このためだ。残念な場内一周だった。

 アルバロ・ロレンソは、最後の牛で、良いファエナをした。今日1番のファエナだった。彼はデレチャッソのゆっくりしたパセを繋いだ。タンダの後の距離の取り方が良い。そこがロマンと違う処。パセ・デ・ペチョも角度をつけて長い。ナトゥラルも良かった。落ち着いている。そういう雰囲気があるのが良い。剣を代えて、ベルナディーナからパセ・デ・ペチョ。剣がピンチャッソの後、決まった。挨拶に終わる。

 昨日に続き、若う闘牛士が意欲と気迫をみせたのが良かった。牛は、2頭交換になった。あれはインバリドって感じだった。ロマンが相手にしたトレアルタ牧場の牛と、最後のエル・タホ牧場の牛が良かった。今日は、パブロ・アグアド。さあ、どうなるか。


 5月19日(日) 曇/晴 13292

 牝馬三冠第二弾オークスは、1番人気のミルコ・デムーロのラヴズオンリーユーがオークスレコードで優勝した。やっぱり勝つのは、外国人騎手だ。これも仕方がない。良い馬に乗っている。デムーロは馬との呼吸がピッタリだ。直線大外からぐんぐん伸びてあっさり差し切った。無敗のオークス馬が誕生した。これでミルコ・デムーロ騎手はクラシック完全制覇。

 サン・イシドロは、モンタルボ牧場の牛で、ヒネス・マリン、ルイス・ダビ・アダメ、パブロ・アグアド。結果を先に書けば、ヒネス・マリン耳1枚。ルイス・ダビ・アダメ場内一周。パブロ・アグアドは、挨拶だった。しかし、内容を書けば、パブロ・アグアドが圧倒した。5月10日セビージャのレアル・マエストランサ・デ・カバジェリア闘牛場で震度7の地震があった。震源は、パブロ・アグアド。それから8日後、マドリードのラス・ベンタス闘牛場にも地殻変動が起きた。

 ベロニカで沸き、左右のゆっくりとしたムレタのパセは、目の肥えたラス・ベンタス闘牛場の観客を熱狂させた。緩やかなムレタの動きについて牛が動くさまは、観客の心を鷲掴みにした。1頭目の牛でコヒーダされ医務室に行った。2頭目の牛で、2回のタンダが終わると、喝采が鳴り立ち上がっている人も多かった。これは、耳がどうのという問題でないことを意味する。

 徒歩闘牛が出来て行った過程で、パラール(止める)、テンプラール(調和させる)、マンダール(命令する)といわれてきた闘牛の基本的な言葉。おそらく1980年代頃までは、マンダールが重要視されていたのだと思う。抽象的な概念であるマンダールが闘牛士の格や力量を規定してきた。そこからセサル・リンコンがみせたムレタを牛の方に出してやるやり方、ホセ・トマスのようにクルサードして動かない牛を動かしてしまう姿が、好まれた。そして今年、パブロ・アグアドによって、テンプラールが闘牛場を席巻し始めた。耳を取ったヒネス・マリンよりも、場内一周したルイス・ダビ・アダメよりも、大きなオーレが叫ばれ、喝采が鳴った。

 ムレタの動きと牛の動きがゆっくりと調和する。その動きに闘牛ファンは、闘牛の基本、土台の様な大切さを感じた。いや、思い出したといった方が良いのかもしない。闘牛を深く知っている人も、闘牛を始めて見た人でさえ、見て直ぐ判る、分かり易さがここにある。91年セサル・リンコンを発掘したラス・ベンタスが、97年ホセ・トマスに屈服したラス・ベンタスが、今2019年パブロ・アグアドのテンプラールに喜びを噛みしめている。パブロ・アグアドのテンプラールは、これから闘牛のスタンダードになって行く、先駆けになって行くだろう。

 人は良いものを見たり、感動したりすると、他の人に話そうとする。彼の闘牛はそういうものだった。だから、耳という結果を掲載するラス・ベンタス闘牛場のホームページ以外の闘牛ウエッブサイトや、新聞の見出しは、耳を取ったヒネス・マリンではないし、写真もない。パブロ・アグアドの見出しと写真が並ぶ。剣刺しが上手く行かず、耳が取れなかったが、この日の主役は、間違いなくパブロ・アグアドだった。

 セビージャで起きた、震度7の地震は、闘牛の聖地ラス・ベンタス闘牛場でも激震に震えた。いや感動に打ち震えていたようだ。闘牛を見始めて約30年。3度目の激震が闘牛場に起こっている。


 5月20日(月) 曇 9021

 取りあえず、荷物を詰め込んだ。飛行機の方もチェックインを済ませ、これから成田に向かう。あとは、ホテルで確認することにする。忘れ物はあるかもしれない。しかし、それはそれで良いだろう。というかしょうがないだろう。闘牛観戦には、たぶん支障はないだろうから。

 電車に乗って成田のホテルにチャックインした。電車の中で、あれを忘れた、これも忘れたと指折り数えていた。ホテルに着いて荷物を見たら、入れてなかったよなぁと思っていた、一脚が入っていて嬉しかった。これはグラナダでビデオを回す時に使うやつ。大事なものが入っていたので嬉しかった。これから一息ついて、夕食を取って明日に備えて休もうと思う。禅寺の坊さんが、ここの丸窓は、完全な円ではないのです。何故なら完全な円の形にしてしまえば、これ以上の物を望まなくなるからです。という。それと同じで、完全な荷造りなどしなくていいのだ。まっ、屁理屈みたいなもんだけど。


 5月21日(火) 雨 8015 成田のホテルにて

 朝から雨である。ホテルの朝食の混みようはビックリする。外国人が多くなったのが特徴だ。焼きシャケの切り身を20個くらい皿に盛っている人など、日本人では考えられないような取り方をする。バイキング方式だと、あんな風になるようだ。ハングルや東南アジアの方の言葉が多い気がする。

 ムンドトロに、パブロ・アグアドが記事が書いてあった。そこには、19日の日記で書いたようなことが記事になっていた。Facebook には、セビージャの始めのファエナの動画も載ってあった。18日の最後の牛の動画も載っていた。新しい風が吹き始めた。それはとてもさわやかな風だ。

 これからホテルを出て空港へ向かう。いつもだいたいホテルに忘れるのが、体を洗うタオル。干していてバスルームに忘れるのがつね。今日はそんなことがないように工夫したので大丈夫だ。さて、いよいよスペインへ向かう。空港での最後タバコが、長い禁煙状態の始まりになる。しかも今回は、直行便。乗り継ぎでの一服は出来ないので、バラッハスまで取っておく。くまさんが、客を迎えに来るらしい。会える気がする。


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