断腸亭日常日記 2002年 その16

−−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−

por 斎藤祐司


過去の、断腸亭日常日記。  −−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−

太い斜字で書いてある所は99年、2000年、2001年、2002年のスペイン滞在日記です。

99年1月13日〜2月16日 2月19日〜4月14日 4月15日〜5月11日 5月12日〜6月4日
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9月12日〜10月7日 10月10日〜11月10日 11月14日〜11月28日 12月12日〜12月31日
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10月16日〜10月31日

 11月1日(金)

 千代田区が制定した日本最悪最低の悪法、生活環境条例で、今日から喫煙者に2000円の罰金を徴収しだした。住所、氏名などを書類に書いて後日過料金を納めると言うことらしいが、しかし、強制的に徴収できない。当たり前だ。そんなことをやる国はファシストの国家だ。勿論、住所、氏名を言う必要もない。言わなかったからと言って、刑務所に入れることもできない。良くもまぁ、こんなくだらない世の中のためにならない条例を作ったものだ。自分たちの考え方を押しつけるというのは、レベルから言ったらファシストと同じ。払うヤツも払うヤツ。会社に遅刻すると言って3万円投げて言った若い女性は、見事だった。後から千代田区の職員が追いかけてきて全額返還した。理由は、「お釣りがないから」だって。

 この前、床屋に行ったとき、おっちゃんが言っていた。「タバコを道ばたに捨てるなとか言うでしょう。でも、煙草は昔から道に捨てるもんと決まっているわけ。みんな捨てていたのよ。最近煙草を捨てちゃダメとか言ってるけど、あれは可笑しいね。煙草は道で吸って良いのよ」、と。これは落語の話じゃない。それを聞きながら何て正しい意見なんだろうと、思った。人が何と言おうと、時代の気分がどうであろうと、正しいことは正しいのだ。

 千代田区長は、条例の効果を口にして喜んでいたが、そのうち、千代田区職員は怪我をする人が出るかも知れない。怪我で済めばいいが・・・。やり方がファシスト的だから喫煙者の反発は強烈だと思う。覚悟しておいた方が良いだろう。じゃー、どうしたらいいか。それは新宿区がやっているように区の意見なり考え方をポイ捨て条例というのに明記し町中では一切取り締まらない。これが実に日本的な曖昧な対処方法。

 もし、歌舞伎町で取り締まりをやったら、やくざやちんぴらにからまれるだろう。からまれるだけじゃなくて、身の危険を感じ、取り締まりは出来なくなるだろう。それでもやるなら、そういう人間たちが組織的に職員を襲いかねないだろう。強制力がないのに体を張って職員は絶対守りなさい、とは言えないだろう。千代田区もそんなことは薄々感じているだろう。何故なら、取り締まり対象地区の中には霞ヶ関の官庁街は入ってないものね。

 ノーム・チョムスキー『9.11』を読む。非常に面白い。アメリカをテロ国家とチョムスキーが規定している論拠は非常に明確だ。


 11月2日(土)

 昨日の雨が上がったら寒波が来て寒い。

 『別冊新評』山田風太郎の世界 から、高取英「「甲賀忍法帖」もう一つの系譜」、橋本治「天の川紅蓮考」を読む。何というか、時代なんだろうなぁ、書き方や内容が。高取は、横山光輝『伊賀の影丸』と白戸三平『サスケ』を対比させ風太郎の忍法帖を語る。エロについても。この辺は高取の分野だ。が、滝田修が白戸三平の『カムイ伝』のファンであったことが書かれ、「甲賀対伊賀の悲惨な消耗戦が、“内ゲバ”として現実に登場する中で滝田忍法だけが、少年の夢を・・・」とある。この辺があの時代だったのだろうと思うところだ。

 橋本治の文章の書き方が時代を感じる。理屈っぽい。タイトルを書けばその一端が解るだろう。(一)欲望としての正義ーー柳生十兵衛 (二)論理としての正義ーー潘金連 (三)社会意志としての正義ーー本多佐渡守 である。この頃の橋本治は文章が下手。


 11月3日(日)

 今日もまた岡部だった。向正面で押さえていたときはちょっと乗り方に不安を感じたが、3コーナー過ぎにゴーサインを出すとスムーズに上がっていき直線で鞭が入ると物凄い伸びで圧勝。ダイユウサクの2.30.6秒のレコードタイムタイで2着コイントスに3馬身差をつけた。勝利騎手インタビューを受けていた岡部の頭に白髪が増えていたのを見て、そろそろそういう時期が来ることを感じた。もう何年も前からゴール過ぎると膝が笑っているものなぁ。上がり馬が優勝したことで次走は何処を使うのだろう。有馬?

 京都では2歳牝馬の重賞ファンタジーSが行われ、圧倒的1番人気福永のピースオブワールドが1.22.2秒で2着シーイズトウショウに1馬身1/4差をつけて圧勝。2歳牝馬チャンピオンへ最短距離にいることを感じさせた。が、どうもレースぶりが気にくわない。わりあいハイペースになってかかることなく好位の外側を進んだこと、どうも未だ若さを感じる。それほどの大物感を感じない。直線の反応は抜群だったが。それでも2歳牝馬チャンピオンは最有力だ。

 それにしてももう1頭の注目馬、ワナは武豊が苦労していた。この馬は物凄い癖馬なのだろう。才能を感じるが上手く育てないと種馬でしか使えない。テンノリの武は最内枠で窮屈な競馬になっていたし、2ヶ月の休養明けだったし、気性的にも問題がある。もう本当に2歳牝馬って感じの馬だ。当てに出来ない馬。所で武豊は今日で今年100勝目をあげた。骨折休養、ヨーロッパを主戦場にしている状況でも100勝するのはまさに驚異的だ。1,2番人気の馬にばかり乗っているとは言え、連帯率が4割5分を越えているののも驚異的。2回に1回は武が来ることになる。

 来週は、牝馬チャンピオン決定戦、エリザベス女王杯。勝のはファインモーションに決まっている。3歳馬だが、古馬でも相手にならないだろう。大物とはこうゆう馬のことだ。はっきり言って2着探し。今年のオークス馬、スマイルトゥモローが5ヶ月半の休養明けなので?。去年のオークス1,2着馬レディパステル、ローズバドも前走完敗している。その2頭を負かしたダイヤモンドビコーが有力だ。気分的にはこの1点。


 11月4日(月)

 小野が素晴らしいゴールを決めチームも勝った。他はそれぞれ活躍したがチームは負けた。俊輔は1番惨めだった。退場者が出て、守備固めで交替させられた。

 93年にオートバイの世界選手権シリーズ(WGP)250CCクラスで総合優勝を果たし、日本のトップライダーとして活躍してきた原田哲也が2日、WGPの今シーズン最終戦を最後に現役引退を表明した。日本じゃ殆どTV中継しないけどスペインじゃいつもTVEで毎週レースを中継する。原田で思い出すのは、97年だ。その年半年スペインにいたが骨折中に部屋でTVばかり観ていたときレースをやっていた。残り後2周でチャンピオンと原田が大バトルを演じた。抜きつ抜かれつで5,6回先頭が入れ替わり、息をつかせぬような、コーナーでは目の離せない展開の中で優勝したのを見たからだ。世界に出て活躍している日本人で、こんな凄いヤツがいるんだ!と、感嘆したのが原田だった。

 セナが死んでからモータースポーツは見なくなっていたが、セナ以上に興奮したのを覚えている。そういえば今年原田は上位でレースをしていなかったものなぁ。でも、あの感動は忘れない。今でも覚えている。スゲーヤツは、世界に出て活躍する。そして、世界のトップレベルの技術を持っている。


 11月5日(火)

 神田古本屋街をくわえタバコで歩く。欲しい本を注文してそれを取りに行った。『追悼 山田風太郎展』 世田谷美術館 5000円。高い。今年の6月世田谷美術館で風太郎展が開催されていたが、スペインに行っていたために見に行けず、また、カタログも買えなかった。これは、2000円しないで売っていたはずだから、物凄く高い。が、手に入らないので仕方ない。もう一つ取りに行ったが、店が閉まっていた。神田古本祭りがあってその間ずっと開店していたので臨時休業だという。それならそれとメールに書いておいて欲しいのに、始めのメールには土、日休みとしか書いていない。殿様商売か。

 折角行ったのに買えなかった。スペインじゃあるまいしどうなってるんだ。頭に来る。

 ノーム・チョムスキー『9.11』 読了。


 11月6日(水)

 渋谷に久々に映画を観に行く。『チョムスキー9・11』 をユーロスペースにて観た。非常に明快な語り口で、ただ語るだけの映画なのに飽きることがない。『9・11』の本を読んでいたので余計分かり易かった。公式カタログ、『ノーム・チョムスキー』も買ってきた。それから、神田神保町に行ってくわえタバコで古本屋街を散策する。千代田区の生活条例をまったく無視した行動だが、タバコを吸っているのは俺だけじゃない。

 昨日臨時休業していた古本屋で本を買った。これも高い。それから新宿に出て、ディスク・ユニオンでCDを探す。Las Ketchup の Hijas de Tomate を探すが在庫なし。いくらで売っているのか店員に聞くと、二千五百・・・円、と言う。それが八十円なのか九十円なのか五十円なのかはどうでもいい。もう高いのなんの。スペインなら14ユーロしなだろう。バーゲンなら12ユーロくらだろうに二千五百・・・円とは・・・。呆れてしまった。

 何か体の調子がおかしいので横になったら寝てしまって、寝る前からの頭痛がもっと非道くなっていた。風邪だろう。寒気がする。目の上が凝っているように痛い。


 11月7日(木)

 寒気がして頭痛がして昨日は風呂に入らなかった。これは気分の問題じゃなくて肉体が拒否したのだ。今日は体調が戻ったので風呂に入った。そしたら気分が良い。寒くなったらこんな事もあるが、薬は一切飲まなかった。酒でも飲めば良かったがそういう気分でもなかった。飲んで悪化したら嫌だからだ。どっちにしろ土曜日の闘牛の会の時に飲むのだからいいのだ。

 NHK、にんげんドキュメントが面白かった。山一証券最後の社長、野沢正平さんの今をやっていた。退職金を返上し財務整理をして7700人の社員全員の解雇通知に印鑑を押し、知人の紹介でベンチャー企業の社長になる。子供ほどの年の若手社員に営業を基礎から教える。良い商品を、自信を持って営業する。何度もこまめに通い続けその商品の方を向いて貰う、そうすれば売れるようになる。そして、会社が終わると、元山一証券社員の就職の世話をしている。

 破綻記者会見で、涙ながらに「社員が悪いんじゃありません。私たちが悪いんです。」と言った有名な台詞。野沢元社長の所には、あの一言で、いくつもの会社の社長から、野沢さんの紹介なら社員を雇用しますと言う社長から連絡があったそうだ。破綻から5年。元山一証券社員の再就職を世話したそうだ。

 野沢氏は言う。もう何年も前の話だから知らないとは、私の性格から言えないんです。出来ることはそういうこと。生真面目な人だ。だからといって、自分が会社社長になったときどうにもならないところまで来ていた会社の不正経理の責任者を追求する方にはベクトルが行かないところが実に日本的だ。そして、だからこそこういう番組を見て日本人はジーンと来るのだ。紹介する元社員も生真面目だ。倒産で離婚した元課長は、絶望の淵から仕事に社会貢献という希望を見いだす。他の人も、押しつけの営業は絶対しない。顧客に、「山一なんて会社で買っていた分けじゃないんだ。あなたが信用できるから買っていたんです。」と言わしめる。感動的な言葉だ。

 目先の利益やお金だけの関係だけなら、信頼や信用は得られない。生真面目な野沢さんの所には、生真面目な元社員が集まる。と、言うより、そう言う人には、そう言う人が惹きつけられるのだろう。良い番組だった。「どんなにくらい夜にも、朝が来る」どんなに苦しいことがあっても、小さな希望でも良いから見つけていけば光が見えてくるのだろう。

 社会人ラグビーで、クラブチームとして再出発した釜石が快進撃をしているのだという。あと4勝で1部復帰できる。マコーミックが選手として加わったり桜庭監督が工夫してチームを活性化したようだ。何だかワクワクする。胸が躍る。また、秩父宮で釜石が観れるのだろうか。


 11月8日(金)

 アメリカの中間選挙が行われブッシュ共和党が圧勝した。これも国民の意思が9・11でまとまっているからだ。選挙結果を受けてイラク攻撃の本格的地均しが始まった。戦争したくてウズウズしている。戦争の親玉の本領発揮だ。経済問題など景気のことを国民の多くは気にしているのに、大統領は戦意を高揚させて票に結びつけた。また始まるのか。信じられないくらい戦争好きだ。


 11月10日(日)

 昨日闘牛の会があった。東京以外の所からまた来た人がいる。愛知から。これで、仙台、三重、愛知と遠いところから通う人が増えた。上家さんも来たので、茨城の奥からも通う人もいる。闘牛の会が発足して今度の12月で7年目になる。こんなに遠くから通う人が出てきた。毎回面白いプログラムを提供できるのかどうか解らないが、会長の荻内先生とかと話してそういう物を提供できるように考えていかなければならないと思う。

 荻内先生の到着が遅れて、短いビデオを流した。コヒーダシーンのもの。ジージョが死んだ時の角が心臓を一突きしたものが最後だった。ビデオが終わる頃に、荻内先生が到着。それから、座談会的な物が始まったが。今日は時間がないので、また後で書くことにする。


 11月11日(月)

 エリザベス女王杯は、予想通りファインモーションが楽勝した。2着、ダイヤモンドビコー、3着、レディパステル。スタート直後、かかり気味だったのでタズナを押さえるために、タズナの位置はキコウから20cm位と高かったが、向正面では折り合ってタズナの位置は良い位置になっていた。ダイヤモンドビコーのペリエはスタート直後から武豊のファインモーションをマークしていたが、4コーナーでファインモーションがスパートすると着いていけなかった。あの瞬発力の違いが決定的だった。直線で武が鞭を1発入れたが、これは柴田政人が言うように、追ってどれだけ走れるのかを試して今後のことを考えてのことだろう。

 物が違いすぎる。ダイヤモンドビコーのペリエ騎手は、「ずっと勝った馬をマークするかたちで競馬できたけど、直線入り口で彼女のスピードについていけなかった。あの馬は強い」と言い藤沢調教師は、「初のGIでも上手に競馬できたけど…。伊藤雄二先生いわく、あの馬はエアグルーヴ以上らしいから、ウチのはエアグルーヴくらいかな」と冗談を言ったという。高橋源一郎は予想の中で、「生まれ落ちたばかりのウイニングチケットを見て「この子はダービー馬になります」といったという名伯楽が「自分が扱ったすべての名牝を全部合わせたような馬」といっているんですよね。」と書いている。

 強すぎる牝馬に、敵陣は呆れ賞賛し、武は「この馬に巡り会えて幸せです」と言った。伊藤雄二調教師は、「ホッとしました。今回は初めて(ファインを)仕上げたので少しぐらい掛かるのは分かっていた。どこまで強くなるのか分からないね」。「今回は9分ぐらいの仕上げだったが本当に強かった。今後は牡馬との対戦は避けて通れない。有馬記念? 今後の馬の様子と中山の馬場状態を見ながら考える」と語り有馬記念で牡馬そして古馬の対戦を匂わせた。

 今年の8月に復帰してから5戦。異例のローテーションでG1、2勝。伊藤雄二にしては珍しい。馬を酷使しないからだ。でも、今回初めて仕上げたとか、9分の仕上げ、などという言葉を聞くとそれまでのレースがまるで調教のような気さえしてくる。だとしたら、有馬が3戦目って計算になるってことか。JCでエアシャカールが勝ったら武はどっちに乗るのだろう。JCの結果次第で鞍上も変わるかも知れない。ただその可能性は非常に少ないだろう。

 JCの結果では、有馬に行く馬が変わってくるだろう。シンボリクリスエスが勝って日本勢が上位独占し、有馬に駒を進めればファインとの対決も面白くなる。僕は今年の皐月賞を観た時点で今年の3歳馬は史上最高レベルにあるという思いを感じた。古馬混合G1戦で3歳馬がそういう結果を出している。少なくても中距離戦は3歳馬が強い。さてどうなる。

 17日はマイルチャンピオンシップ。これは混戦模様。何を買うかは、データと調子、調教、状態を考えて今週の新聞に注目して検討しよう。今回のように1点予想で取れるようなレースではないのだから。


 11月12日(火)

 土曜日の闘牛の会は、コヒーダのビデオを流したあと、荻内先生が自身の闘牛との出会いを語った。3分と言って話した話は20分あったが雑誌、『ガリバー』 創刊号でホセリートの特集をやったときの取材のことを話した。その為に本を買って読んだことなど。ヘミングウェイなどの日本語の本が参考にならなくて、スペイン語でアルバロ・ドメクの本を読んで闘牛の牛に興味をもって入っていたと話していた。コーディネートしたスペイン人はホセリートのファンで、色々教えてくれたが、本人はホセリートの前に行くと殆どしゃべれずいるほど緊張していたそうだ。そのスペイン人にとってホセリートは偉大すぎる闘牛士なのだ。勿論偉大な闘牛士だけど、面白い話だった。

 アルバロ・ドメクと会って話したときの話も面白かった。本を読んでいったら、「お前ほど、牛を勉強している人間はいない。今からでも牧場主になれる」と言ったそうだ。スペイン人って褒め上手だ。そういう風に言った方が興味の対象に入って行きやすいのだ。それから、全員の闘牛のと出会いを話したがそれはまたあとにしよう。


 11月13日(水)

 高橋尚子が鎖骨を疲労骨折して、東京女子マラソンに出場するかどうか色々言われている。競馬なら間違いなく出走回避だ。出る方が間違っている。今日のニュースで、子供たちの骨折についてやっていた。骨粗鬆症気味に骨がスカスカになってちょっとした拍子に骨折するタイプと、運動能力が低下して骨折するタイプがあるのだという。

 では何故、骨粗鬆症になるかと言えば、ダイエットだという。小学生で絶食をしてダイエットする。太ったときにやるのだそうだ。他人に良く見られたいからそういうことをやるのだろうが、非常に抽象的な観念だ。こういう、ダイエットは精神病ではないかと僕は思う。まさに病んでいる。ダイエットによって受ける大きなダメージを知識として知らないと言うより、そういうことによってしか、自分を人に良く見せようと思うことが異常だ。そのくせおそらく、物凄く我が儘なくせに。

 運動能力低下は、外に出て遊ばないからだという。家でTVゲームばかりやっているから、と兄弟が減っていることや、家の近くで友達と遊ばないからだろう。体を動かさないから運動能力が低下する。転んでも受け身が出来ず、変な手の着き方をして骨折する。もっと凄い子になると、手を着くなどの受け身を一切しないで顔から落ちたりして、鎖骨などを骨折するのだという。ここまで来ると運動能力というものじゃない。ロボットだ。勉強しなくて良いから、外で友達を遊ばないとダメだ。そうじゃないと生きていけないぞ。

 NHK「ためしてガッテン」では、体のむくみについてだった。むくみの原因は、アルブミンと言うタンパク質が溜まるからだという。何処に溜まるかと言えば毛細血管とリンパ管の間の部分に。アルブミンという物質は、栄養を体中に運ぶ働きをする。カルシウム、カリウムなどのミネラルや、ビタミンなどをくっつけて血液と一緒に血管の中を通って体中の細胞に届けられる。毛細血管から細胞へ行き、今度は、活性酸素や細胞のかすや、ゴミなどをくっつけてリンパ管から回収されリンパ腺を通り静脈に戻る。非常に重要な役割を果たしている。

 体のむくみは、何故起きるかというと、血管を通り毛細血管から細胞に運ばれたアルブミンが回収されずに溜まっていくことによって起こるのだという。対策は、ずっと座っている人は、1時間に1回10分間歩く事を続けるとむくみは解消される。ずっと立ち仕事をしている人は、靴の下敷きにつぼを刺激する物を使用し、むくみ解消用の靴下をはくと解消する。

 そういう物がない人は、つぼを刺激してリンパ管を刺激して活性化させる方法や、第2の心臓と言われる、ふくらはぎを活性化させる運動をして血液とリンパ管を刺激してアルブミンを回収させる方法があるのだそうだ。

 人間の快適な生活を支えるものは、健康な肉体だ。それをダイエットや運動不足でみすみすふいにするような生活は、健全ではないのだ。


 11月14日(木)

 この前夜中にTVをつけたら女がフランス語で喋っていた。「像に乳首や陰毛を書くなんて、何て人間的なんでしょう」。「胸の大きな女の子は誇らしげに歩き、胸の小さな女の子はどこか申し訳なさそうにしている。わたしは胸が小さいから・・・」という言葉を聞いて、僕はジェーン・バーキンを思い出した。確か、「ジュ・テーム・モア・ノン・ブリュ」と言う映画だったと思うけど、セルジュ・ゲンズブールと競演した中で、ホモ役のセルジュ・ゲンズブールがジェーン・バーキンを抱くシーンで彼女の小学生並の小さな胸を観て、こんなに小さな胸の白人もいるんだと思ったものだ。その映画では、それでも正常位では性交が出来ず(勃起しない)、背中を見せた女に男を想像して勃起して性交に至るシーンを観て思わず笑ってしまった。

 当時2人は、もう結婚していたのか、それとも未だ同棲していたのかは知らないが・・・。そして、そのTVを観ていたら、セルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキンがレコーディングしているところが映っていた。胸の小さいと、言う所からの想像からジェーン・バーキンを思い出したら何とフランス語で喋っているのがその本人だったとはビックリした。

 そしてこれも今週夜中のTVにレニ・リーフェンシュタールの事をやっていた。女優にして映画監督。ナチスドイツ時代、宣伝相ゲッペルスなどの要請でナチス党の宣伝映画を作って活躍する。33年『信念の勝利』に始まり。34年『意志の勝利』、35年『自由の日』。そして有名な38年『オリンピック』(第1部は民族の祭典)と言う映画史に残る肉体美を強調した映画を作り、絶賛される。戦後、ナチス協力者として散々叩かれたときに彼女は、「美しい物にしか興味はない」と言ってナチス協力の映画であると言うことを否定した。が、実際には彼女の意志とは関係なく映画がどれだけナチス、ヒットラーを賛美し、絶大な宣伝効果を発揮したのは、歴史的な事実として確認されていることだ。

 例えば、ゲッペルスを参考にして角川春樹は本と映画を結びつけ、角川映画を次々にヒットさせたことは有名な話だ。人間の感情の動きを巧みに利用してヒットラー総統賛美に結びつけていった。演説は薄暮の頃から始め、薪の火がゆらゆら揺れる中、ヒットラーの演説に聴衆が熱狂して感涙を流すように演出されていた。ナチスにとって火は重要な象徴だった。ベルリンオリンピックで初めて聖火が登場したこともそういうことと結びついているのだ。

 彼女は戦後、映画界から追走されたと言っていたが、映画関係者の証言からは、映画製作に関するコスト感覚のなさを指摘していた。1年間アフリカで映画制作準備で1mのフィルムも撮らなくてプロデューサーが降りてしまった。そういう映画製作現場の呑気なお金を浪費するやり方は、ナチスドイツの援助で映画を作っていたときに莫大な資金をかけていた名残だという指摘があった。こういう意見には説得力がある。

 それにしても、レニ・リーフェンシュタールは100歳近いのに化け物のように元気だった。

 イラク国連大使が、国連安保理決議受諾を表明した。拒否した場合のアメリカの戦争工程表は、12月8日開戦だった。真珠湾攻撃の日と同じように思うがアメリカ時間で言えばあれは、12月7日だった。


 11月15日(金)

 イラクが安保理決議受諾を表明したかと思うと、ビンラディンがテープで声明を読んだり、イスラエルが、5人のイスラエル人をテロで殺されたことに対する報復として、パレスチナ自治区に戦車で侵攻したり、やりたい放題のことを始めている。アメリカ=イスラエルの国家テロは絶えることがない。民主主義って言葉は、アメリカ=イスラエルのような国家テロをやる国にとって国民をまとめるのに必要なキーワードになっているのだろう。間違った使われ方だ。


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