断腸亭日常日記 2002年 その4

−−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−

por 斎藤祐司


過去の、断腸亭日常日記。  −−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−

太い斜字で書いてある所は99年、2000年、2001年、のスペイン滞在日記です。

99年1月13日〜2月16日 2月19日〜4月14日 4月15日〜5月11日 5月12日〜6月4日
6月7日〜6月10日 6月13日〜7月9日 7月11日〜8月8日 8月9日〜9月9日
9月12日〜10月7日 10月10日〜11月10日 11月14日〜11月28日 12月12日〜12月31日
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2月18日〜2月28日

 3月1日(金)

 28日カブラ(コルドバ)で行われた闘牛を、カナル・スールが中継。それをネットで見ていたら眠くなった。日本時間2時から始まったからだ。フィニートのファエナにオーレがなり喝采が鳴った。剣は一回で刺さったがその後がデスカベジョ4回。耳は貰えなかったが後半は良いファエナだった。これで寝よう、コルドベスなんか観たって、と思っていたらエンベスギールする良い牛。おいおい寝れないじゃないか。牛がよくて耳1枚。やっぱり君はクルサードが足りないなぁ。

 ともあれ、数年前までは考えられなかったネットで闘牛のTVを観ることが出来、今年のテンポラーダの開幕を感じれたのは非常に嬉しい。えっ、もう1人出ていたオルドニェスはって、そんなの観る分けないじゃん。あいつのファエナよりこっちの睡眠の方が重要だもの。去年までオルドニェスに付いていたバンデリジェーロのクーロ・モリーナが今年からフィニートに付いているが、良い仕事をしていた。彼はとても腕の良いバンデリジェーロだからオルドニェスじゃ勿体なかった。フィニートなら文句はない。

 3月になってHPのトップに過去の観戦記から感動した闘牛を抜粋して載せ、新たに闘牛のビデオが観れるようにした。勝手にスペインのサイトにリンクして、闘牛ファンに見せようと思った。これは、日本の闘牛ファンのために必ず良い結果をもたらすと思うのだが、さてどうなるか。

 イチローはオープン戦第一戦の第2打席でホームランを打った。初ヒットがホームラン。今年もやりそうだ。


 3月2日(土)

 胃ガンや白血病の発症に関わる遺伝子研究で世界をリードする京都大学の伊藤嘉明教授が63歳で定年にともない、伊藤研究室チームが丸ごとシンガポール国立大学分子細胞生物学研究所に移籍することになった。伊藤研究室に在籍する助手などの研究員が今以上の待遇で同じ研究を続けることが出来るようになったのだ。これは、日本の既存制度では伊藤研究室チームの研究が続けられないために選択したものらしい。この移籍話を聞いた専門家は、ショックを隠せない模様だ。

 しかし、非常に重要な遺伝子研究が定年で続けられない日本の制度自体に問題があるのだ。森首相の時に、将来ノーベル賞を何人も出せるような研究者を育てるとか抽象的な目標を政府レベルでは言っているが、なんの具体的な支援や資金の援助、研究を続ける場すら提供できないのが今の日本の現状なのだ。こういう風に人材が海外に流出していけば空洞化は避けられないと、専門家は危機感を募らせているが、もうどうしようもなくそう言うことが進行している。

 佐藤工業が自主再建を断念した。主力銀行のみずほフィナンシャルグループからの金融支援の継続が困難となったため。また、飛島建設は、みずほフィナンシャルグループに金融支援を要請した。竹中工務店は戦後初の赤字を計上する。三井・住友建設、フジタの統合発表など、ゼネコンの状況は深刻に動いている。就労者が日本全体で10%あると言われる建設業界。それを不良債権を抱えた銀行が支えきれない状況になってきている。準大手ゼネコンが倒産すると下請けなど関連企業など大きな影響があるだろうから、新宿や横浜などには今以上にホームレスが増えるだろう。

 折角、『Gallop』 と、『競馬ブック』 を読んで弥生賞の検討をしたのに今日は発売されていなかった。最も最終的な判断が出来ないのだ。本命の考えていたモノポライザーが熱発で回避したからだ。『Gallop』 と、『競馬ブック』 に載っている写真を観て、き甲と腰の高さを比べると、今の時期、腰の方が高い方がより成長するはずだから、ヤマノブリザード、ヤマニンセラフィム、ローマンエンパイア、モンテブライアンなどが良い。体型的には、脚の長いヤマノブリザードが好きだ。ただ、思うけどモノポライザーの体って良い体だ。走りそうな体している。バランスが良い。これで歩様を観たらまた考えも変わるだろうけど歩様と走る姿が重要だからこれを競馬場で見れないのが本当に残念だ。

 TVで調教を観たら、上記の馬は良かった。ヤマニンがちょっと疑問を持ったが・・・。逆にビックリしたのはタイガーカフェ。物凄い反応で直線併走馬を突き放した。データなどでこれはどうかなと、思っていたが、ここ1ヶ月で凄い成長をしたようだ。

 古今亭志ん生 『宮戸川』 読了。原田俊治 『馬のすべてがわかる本』 を読む。

 28日の結果。 カブラ(コルドバ)。フィニート、耳1枚。エル・コルドベス、耳1枚、耳2枚。オルドニェス、耳1枚が2回。 カサジャ・デ・・ラ・シエラ(セビージャ)。ペペ・ルイス・バスケス、ビクトル・プエルト、耳なし。ルイス・ビチェス、耳2枚、耳1枚。 エル・プエルト・デ・サンタ・マリア。フェスティバル闘牛。騎馬闘牛士、フェルミン・ボオルケス、耳2枚。闘牛士、オルテガ・カノ、ポンセ、耳2枚。バレラ、ハビエル・コンデ、モランテ、耳なし。アベジャン、耳2枚と尻尾1つ。


 3月3日(日)

 『馬のすべてがわかる本』 を読んでいてへぇーと思ったのは、家畜として人間に飼われている動物は年中発情して出産するようになる中で、馬だけが発情時期が3月から6月であるとことが変わらないというもの。ここに競馬の原点がある。じゃなかったら3歳クラシックとか年齢が限定されたレースが存在しないからだ。これがなくなったら競馬がつまらなくなる。他の考え方をすれば、牛というのはいかに人間に改良させられて来たか。闘牛の牛は殆ど野生の状態で育てられているにも関われず、野生時代の発情期が崩れたのだ。年中発情し出産する。勿論そうでなければ牛乳の安定供給は出来ないしチーズなどもこれほど食べれない。

 ともあれ、2日から日本の競馬はクラシックのトライアルが、スペインでは闘牛の本格的なシーズンが始まった。

 2日、アルヘシラスのフェスティバル闘牛で、オルテガ・カノがイエルバブエナ牧場の牛をインドゥルトした。その他では、カラバカ・デ・ラ・クルスで、耳10枚と尻尾2つが出て、モウラ、エウヘニオ、アルフォンソ・ロメロがプエルタ・グランデした。カラオラでは、アンディー・カルタヘナが耳3枚でプエルタ・グランデ。レガネスでは、エル・コルドベスとアベジャンがプエルタ・グランデした。

 1日の結果。 コルドバ。フェスティバル闘牛。闘牛士、ファン・カルロス・ガルシア、耳1枚。アニバル・ルイス、耳2枚。カナレス・リベラ、耳なし。モレノ、耳1枚。ミウラ、耳なし。見習い闘牛士、アンドレス・ルイス・ドラド、耳なし。マノロ・マルティネス、耳1枚。


 3月4日(月)

 昨日は寒かったけど、今日は、何だか春の匂いがしてきそうな日和だ。日向に繋がれた犬が居眠りしているのを観ると、その優しい表情が幸せそうで微笑ましい。

 弥生賞は、スローで流れて、展開を利してバランスオブゲームが逃げ切った。ローマンエンパイアは後方から大外を追い込んで2着。ヤマニンセラフィムはかかって直線伸びず良いところなし。ヤマノブリザードはローマンと一緒に4コーナーで上がっていったが、前の馬が壁になり、ローマンに見事に押さえられて馬群なの中でもまれて終わり。ペリエが珍しくチョンボをした。あれじゃどうしようもない。

 勝ったバランスオブゲームは展開が向いたとは言え、2歳新潟Sをレコードで勝った馬。フロックとばかりは言えないだろう。皐月賞に向けて判らなくなった。この馬は気性に問題があるようであてにならない。ローマンはスローを後方から言って上がり3F、33.7で上がった脚は凄いけど注文付きそうだ。

 所でトライアルが後二つ、毎日杯もあるのに、1750万のモノポライザーが賞金上位18頭に入っていない。つまり回避待ち。例年ならこれだけ稼いでいたら楽に皐月賞に出走できるのに今年はそれが難しい。2000万越しても出走できない馬が出そうだ。驚きだ。そして、弥生賞の結果で今年のクラシックは分からなくなった。抜けた奴がいない。

 弥生賞の当日、中山競馬場で岡部幸雄騎手が前人未踏のJRA、通算2800勝を達成した。35年の騎手生活で積み重ねた偉大な記録だ。記録達成したとき4コーナーで進路が狭くなる不利を克服し、立て直しての勝利だった。「体に余裕があるが凄いセンスの持ち主。今日はそれを最大限に生かせた」 レースぶりもさることながら、このコメント聞くとこの馬の将来性が手に取るように判る。この馬は重賞、G1戦線でも活躍しそうな馬だ。次のレースでも勝ち2801勝。「丁寧にけいこされて乗り込まれていると言うことがよくわかる。センスも良かった。でもまさか初戦で勝てるとは・・・」 このコメントだと1600万条件くらいかな。ただ調教師を褒めているから、そう言う愛情で接していればオープンや重賞まで行くかも。

 とにかく岡部は、調教からレース。乗った感覚で長期的なレース設定と将来を見つめて馬を作っていくことの出来る唯一に近い騎手だ。武じゃそう言うところが今一物足りない。彼のコメント聞いてるだけで競馬が面白くなる。53歳。そろそろと思う。でもその時まで良い競馬見せて欲しい。「おかべぇー」

 山田風太郎 『忍者死籤(しにくじ)』 『妖僧』 永井荷風 『ひかげの女』 読了。

 いよいよ、闘牛シーズンが始まりフィグラたちが始動した。3日、オリベンサにホセ・トマスとモランテが出た。記事には、「ホセ・トマスは観客の驚きの中、物凄いファエナを2回見せた。始めがピンチャソで耳1枚だったが、2回目が耳2枚を取った。モランテは、センセーショナルで芸術的なファエナをして観客を熱狂させた。」と、ある。何だか判ったようなわかんないような。文章にすると抽象的になるからこうなる。

 新聞や闘牛のHPだとどうしても記事がこういう抽象的な文章になるのが、僕が観戦記を書くときに気を付けているのは出来るだけ具体的に書こうとしていることだ。抽象的に書いたら、スペインの闘牛記事と同じになるからだ。それじゃつまらない。そこで観たことを出来るだけ忠実に書ければ見ていない人が読んでも、その情景が目に浮かんでくるのではないかと、思うからだ。また、自分が後から読んでその時の闘牛を思い出せるように書きたいと思っている。それが出来ているかどうかは疑問だが、何せ時間的な制約もあり、なかなか上手い具合には行かないが何とかそう言う風に書きたいと思っている。

 2日の結果。 レガネス。慈善闘牛。エル・コルドベス、耳2枚と尻尾1つ。おる土入素、耳なし。アベジャン、耳2枚。 オリベンサ。パコ・オヘダ、耳なし。フィニート、フリ、耳1枚。 サン・ルイス・ポトシ(メキシコ)。ミックス闘牛。騎馬闘牛士、モニカ・セラノ、耳なし。パブロ・エルモソ・デ・メンドーサ、耳1枚、耳2枚。闘牛士、フェルナンド・オチョア、耳なし。レオポルド・カサソラ、耳1枚。 カラバカ・デ・ラ・クルス(ムルシア)。ミックス闘牛。騎馬闘牛士、ジョアオ・モウラ、耳4枚。闘牛士、エウヘニオ、耳2枚と尻尾1つ。アルフォンソ・ロメロ、耳2枚、耳2枚と尻尾1つ。 アルヘシラス。フェスティバル闘牛。騎馬闘牛士、アルバロ・モンテス、耳1枚。闘牛士、マヌエル・ベニティス“エル・コルドベス”、ルイス・ミゲル、耳1枚。オルテガ・カノ、耳2枚と尻尾1つ。イエルバブエナ牧場の牛、インドゥルト。エミリオ・ムニョス、ハビエル・コンデ、耳なし。モランテ、耳1枚。見習い闘牛士、ファン・ミゲル・モントジャ、耳2枚。

 3日の結果。 カステジョン。ビクトル・プエルト、エウヘニオ、口笛。アベジャン、耳なし。 カラオラ。フィニート、カバジェーロ、耳なし。オルドニェス、耳1枚。 オリベンサ。ホセリート、耳1枚。ホセ・トマス、耳1枚、耳2枚。モランテ、耳2枚。


 3月5日(火)

 「悔しくて悔しくてなりません」 「身に覚えがなく改めてそういう事実が一切ない」 「全く心外だ」 とか言うことを徳島県の円藤寿穂(としお)知事は県議会で言っていたが、東京地検特捜部は収賄容疑で逮捕した。政治家の言語感覚とは一般市民には理解不能である。これも“宗男ちゃん”らしい。

 山田風太郎の、『妖僧』 は、徹頭徹尾インチキで貫き通し、人心を惑わす無辺と言う坊主を、信長がそのインチキ出鱈目を暴き焼き殺す話だ。「御慈悲っ、御慈悲っ、」と言っていた無辺は、火焔の中、「信長っ」と絶叫した後、「無辺悪魔と化して、なんじを無間地獄にひき堕し、三界三世にわたってたたるであろうぞ。・・・・」とか、「わが魂魄、阿修羅となって・・・」 とか言って恨み辛みを語って死ぬ。

 往生際の悪い奴はとことん非道いものだ。信長その2年後、本能寺の変にあう。

 4日の結果。 カステジョン。エンカボ、ミウラ、耳なし。ヘスス・ミジャン、場内1周。


 3月6日(水)

 広島の平和記念公園の記念碑に赤いペンキを掛けられていたのが発見された。呆れた話してコメントのしようもない。もっと、世の中が雪印のように不誠実がまかり通っている現状で、しかも、金儲けや物欲を煽る状態ではこういうことにもなってくるのかも知れない。NHKでやっていた番組で、ロシアの親が子供に、「この子たちが可哀想でなりません。今は、TVゲームもあるし、コンピューターもあります。でも、友達と一緒に遊ぶこともしません。人とのコミュニケーションが上手く取れるのがどうか。あたしたちが子供の頃は何も食べ物も、玩具もありませんでしたが楽しく友達と遊んだものです」 と、言っていることを聞いて感心した。日本の親はこのような考え方をしないだろう。ロシアの親の方の感覚の方が正しいと思う。

 物質が溢れ、物が豊かになったと思っている親が日本に多いからだ。人間は動物だ。幼稚園生の1日に歩く歩数が過去何十年に渡って記録していた幼稚園があり、その記録によると、20年くらい前は、1日、15000歩だった。最近は、1日、10000歩だと言う。大人は1日、10000歩を目安にするのだが、幼稚園生の場合は1日、15000歩必要だという。この頃にそれくらい運動をしないと体の成長が正常に発達しなくなるのだそうだ。

 では、何故、5000歩が減ったのか?幼稚園で遊んだりしているので園内では20年前と殆ど変わらないと言う。つまり、家に帰ってからの体を動かして遊ぶ時間が極端に減っているのだという。TVゲームなどがそれだろう。あんな物何処が面白いのか判らないが、面白いと思う子供が多いようだ。

 話を元に戻せば、こういう子供の環境変化が起こっているのに、日本の親はそれが良いと思っているところに日本社会のゆがみの初期症状があるのではないかと思う。TVゲームで遊んだ子供たちは、大人になって、僕の子供の頃の思い出はドラクエです。何て言うとしたら世の中終わりだと思うのだが。やはり、友達一緒に遊んだことや、トンボ取り、魚釣り、野球、サッカー、とか缶蹴りした神社や、川、田んぼなんかが出てこないと季節も肉体も存在しないような気がする。

 おばあちゃんが料理の用意をしているのを観て、手伝ったり、家族で餅つきをしたりしたことが風景として出てこなくなると言うのは家族自体が存在しないのと同じことではないか。勉強だけして過ごしたと言うのも悲しい子供時代だ。

 NHK、「ためしてガッテン」 はヨーグルトの特集。加熱して乳酸菌が死んでも整腸効果は、変わらないそうだ。タダ、ヨーグルトを食べるだけではなく、料理に使うと美味しくなる。インド料理などは勿論日本料理にも活用できる。例えばみそ汁に入れるとだしを取っていなくても味噌と交わってアミノ酸が増えてコクが出て美味しくなると言う。料理に使いたくなるよなぁ。味噌80gにヨーグルト20gを混ぜてその中にキュウリなどをぬか漬け庸に入れると、3,4時間で漬け物が出来るという。

 山田風太郎 『宗俊烏鷺合戦』 読了。原田俊治 『馬のすべてがわかる本』 を読む。

 カステジョンのフェリアで、マンサナレスの息子がプエルタ・グランデした。いきなりサン・イシドロには出ないだろうけど・・・。


 3月7日(木)

 旅行会社に聞いたら9月11日のアメリカ同時多発テロ以降、飛行機の荷物の重量がうるさくなったという。だから、今は20キロを超えると超過料金を取られると言うようなことを言っていた。つまり、何処を利用しても一緒ってことらしい。もう、決めよう。行く日は決めたんだから、帰りを決めて来週予約だ。

 闘牛の会への原稿が遅れているのはいつものことだが、井戸さんにTELしたら土曜日の16時までに送って、それまで忙しくて出来ないから。と言うこと。俺の方も泊まり込みで仕事だから土曜日ちょっと忙しいけど仕方ない。

 6日のカステジョンは、騎馬闘牛でセルヒオ・ガラン、ディエゴ・ベントゥラが耳2枚を取ってプエルタ・グランデした。


 3月10日(日)

 昨日の闘牛の会は、石井さんが、『ロデオ 馬』 をやってくれた。荒牛に8秒間乗る競技や、仔牛を2頭の馬に乗ったカウボーイが投げ縄で前脚と後ろ脚1本に通して両脚を縛り上げる競技など、全部で7つの競技があるそうだが、1番人気があり賞金が出るのが、荒牛乗り。革手袋をしたカウボーイが左手だけで荒牛に乗る。右手が牛に接触すれば失格。8秒間乗った姿を審査員が採点して優勝を決めるようだ。

 僕の感覚だと、荒馬を乗りこなす競技より、荒牛に乗る競技の方が人気があるというのは何か変な気がした。それより、当然投げ縄で仔牛を捕まえる競技の方が実用的なはずなのにそういう物がロデオ大会で重視されないこと事態がカウボーイの衰退を意味しているのだろう。ロデオ大会で最も重視されるのが男の勇気。おそらくそれに尽きるのだろう。石井さんはアメリカでカウボーイをやっていたので馬のことを詳しく話を聞きたい。それは次の機会にやって欲しい。今年ヘレスに行って馬祭りと騎馬闘牛を観てくるそうだから、その後に面白い話が聞けると思う。

 その後は、映画、『カルメン』 からみんなで歌い踊って騒ぎ、闘牛の真似事をするシーンを流した。これは、映画の中の闘牛をやろうと言う話が会員から出たので第一弾としてやった。アントニオ・ガディス、クリスティーナ・オヨス、パコ・デ・ルシアが出たカルロス・サウラの映画から。

 そして、足立さんが来てやる予定だった、闘牛の進行についてを僕がやった。テルシオ・デ・バラス、テルシオ・デ・バンデリージャ、テルシオ・デ・ムレタ(ムエルテ)とテルシオごとに何をやるのかを簡単に説明して、その役割は牛の特性を把握するためにやり、ムレタで牛の動きを引き出すための物だと言うことを言った。

 最後は、実際の闘牛でそれを確かめてもらうために、2000年6月2日、サン・イシドロ祭のミゲル・アベジャンのとてもドラマチックな命懸けの闘牛のビデオを流した。初めて見た人も多かった。井戸さんは、声を上げながら観ていたし、春ちゃんもビックリしたようだった。初めて闘牛の会に来た人がいたが、闘牛にはまりそうですと言っていた。春ちゃんのお母さんは、「アベジャンは、何回も観てるけど今日観たようなアベジャンは初めて。あんな闘牛だったら凄い」と、言うようなことを言っていた。アントニオは、このビデオを流すたびに涙を流す。アントニオに終わった後、「アントニオはアベジャンのビデオ流すといつもウルウルするね」と言ったら「だって・・・もう・・・」と言って言葉にならないが、アントニオの中で、感動の波が押し寄せていることは良く分かる。

 今日は、競馬に行かずに片づけをした。

 山田風太郎 『山童伝』 読了。原田俊治 『馬のすべてがわかる本』 を読む。

 9日カステジョンでホセ・トマスはピンチャソで耳を取れなかったが、ABCの記事のタイトルは、「ホセ・トマス、左手の催眠術」となっている。左手とは勿論、ナトゥラルのことだ。

 7日の結果。 カステジョン。パコ・オヘダ、耳なし。フリ、アルフォンソ・ロメロ、耳1枚。

 8日の結果。 カステジョン。ホセリート、耳なし。ポンセ、耳要求。ファン・バウティスタ、耳なし。

 9日の結果。 カステジョン。フィニート、耳1枚、口笛。ホセ・トマス、耳なし。アルベルト・ラミレス、口笛。 マドリード。フェスティバル闘牛。騎馬闘牛士、ジョアオ・モウラ、場内1周。レオナルド・エルナンデス、耳なし。闘牛士、ルイス・ミゲル、場内1周。クーロ・バスケス、ペペ・ルイス・バスケス、耳なし。フリオ・アパリシオ、耳1枚。 モロン・デ・フロンテラ(セビージャ)。パコ・オヘダ、耳1枚が2回。エル・コルドベス、耳2枚。フリ、耳2枚と尻尾1つ。 サラメア・ラ・レアル、ラファエル・カミノ、耳なし。ビクトル・プエルト、耳1枚、耳2枚。カナレス・リベラ、耳なし。 


 3月11日(月)

 日曜日の夜中、NHKで、アーカイブス、今月は日本の文化芸能について昔放送した番組をやっていて、「絵馬」 について扱った番組の冒頭で彫刻刀で板を削っている棟方志功が写り、ぼそぼそと津軽弁で語るシーンから始まった。絵馬が結婚できずに死んだ娘のために絵馬職人の所に、死んだ娘の結婚式を書いて欲しいと来る話や、その絵馬を頼んだ山形に行って戦前戦中に集団で中国大陸へ行く18歳の若者たちの為に描かれた架空の花嫁と絵馬、人形などの話があった。

 もう一つは、高橋竹山。言わずと知れた津軽三味線の第一人者。もう死んでしまったが、番組は71年頃の物。津軽弁は殆ど判る。勿論、竹山も人に聞かせようとして話しているから訛っているが聞き易いというのがある。津軽じょんがら節を弾く竹山は、三味線は叩くものではなく弾くものだ、と言う。あれほど美しい音色は他の楽器では出せない。音だけで背筋がゾクゾクしたのは竹山の三味線だけだ。番組中当時のヒット曲、『希望』 が流れたり、『弥三郎節』 を津軽の女が太鼓と三味線を弾いて歌っていたりした。

 「絵馬」の方では、傷痍軍人がアコーデオンを弾いている所も写っていてし、竹山の方では、盲目の女がイタコの様に歌うように祈っているシーンも写っていた。恐山のイタコの死者の魂を呼び出す、くちうつしなど、寺山修司の映画、『田園に死す』 を思い出した。東京に出てきても訛を隠すことなく、むしろ堂々と競馬予想など話していた寺山に今更ながら羨望する。俺も訛って話していたいなぁ。寺山の、『馬敗れて草原あり』 は名書だ。馬と人間の物語を、競馬を知らない人にもあれほど分かり易く、面白く書いた物は当時なかっただろう。

 身障者の祭典、パラリンピックが始まった。

 10日の結果。 バレンシア。騎馬闘牛士、マルティン・ゴンサレス・ポラス、耳1枚。闘牛士、アンヘル・デ・ラ・ロサ、場内1周。ラウル・ブラスケス、耳1枚。アルベルト・ラミレス、耳なし。 カステジョン。カバジェーロ、耳1枚。パディージャ、場内1周。フェレーラ、耳1枚が2回。プエルタ・グランデ。


 3月12日(火)

 土曜日の闘牛の会で、石井さんが発表じゃないときに面白いことを言っていた。「南部藩では、蹄鉄を打って馬に乗っていた」 これは、原田俊治 『馬のすべてがわかる本』 に書いていることとは異なることだ。日本に蹄鉄が入ってきたのは明治になってからと書いていたが、それ以前に南部藩では蹄鉄を使用していたようだ。石井さんは岩手県の山形村で闘牛をやっている人たちと親しいので、そういう畜産関係者から話を聞いたのだろうから間違いがないことだろう。想像するに、南部藩だけが蹄鉄を使っていたわけではないだろう。江戸時代に日本で蹄鉄を使用していたと言うことが重要だろう。

 闘牛の会が終わって飲み会の場で、安達さんがこのHPから行ける闘牛のビデオを観て、エウヘニオ・デ・モラが良いと言っていた。掲示板に書かなくてもちゃんと見ている人がいるのだと言うことを確認したと共に、あの程度のエウヘニオで好きになるならサン・イシドロでプエルタ・グランデした時のビデオを観たら驚くだろうと思った。ロディージャで1回転半回すパセ、体ギリギリを通し、物凄い角度で牛をパセするパセ・デ・ペチョは絶品。須美さんはあのパセ・デ・ペチョを観て、360度回すと絶賛した。それはちょっと言いすぎだが、とにかく凄い角度で牛が通過する。他の闘牛士では観れないものだ。

 安達さんがもう一つ言っていたのは、このHPの、「闘牛色々」 にあるタイトルが全然更新されない。タイトルで読みたいのに・・・。というものだった。もう2年も前に書こうと思って開いたコンテンツだが忙しくなったり色々あって書いていない。ちょっと調べないと正確に書けないことなどもあるのでそのままになっている。どうせ、本にするときまでに書けばいいやと思っていたので今までそのままになっている。「闘牛、秘数3 」 や 「タバコ、葉巻 」 などは闘牛が判ってくればある程度想像がつくことだと思う。他の 「闘牛士の1日」 「携帯電話」 「女達」 「アフィショナード(闘牛ファン)」 「タバコ、葉巻」 「怪我、あるいは死」 「担ぎ屋」 など確かに読みたくなるようなタイトルが並んでいる。でも、なかなか時間がない。また、この気にならないと書けないのでずーっとそのまま書かないかも知れないしそれは判らない。

 宗男ちゃんの国会での証人喚問は消化不良だった。国会とは魔界のような所だ。政治家は妖怪や魑魅魍魎のように生息する。インチキも堂々と言えば真実になるとでも思っているのだろうか。筋の通らないことでも・・・。

 古今亭志ん生 『坊主遊び』 永井荷風 『踊子』 読了。

 モレリア(メキシコ)でフェルナンド・オチョアが、フェルナンド・デ・ラ・モラ牧場の牛をインドゥルトした。ラス・ベンタスやバレンシア、ダックス(フランス)などで見習い闘牛やミックス闘牛があったが結果としては書かない。こんなのまで書いていたら時間がいくらあっても足りない。ただバレンシアでは、マティアス・テヘラ(耳2枚)と、セサル・ヒメネス(耳1枚が2回)がプエルタ・グランデした。

 10日の結果。 マラカイ(ベネズエラ)。レオナルド・コロナド、場内1周。マリ・パス・ベガ、耳1枚ともう1枚要求、耳2枚。ヘロニモ・ラミレス、耳なし。 モレリア(メキシコ)。ソトルコ、耳1枚、場内1周。フェルナンド・オチョア、耳1枚、耳2枚と尻尾1つ(インドゥルト)、耳1枚。


 3月13日(水)

 暖かくなったとは言え、未だ朝は寒い。後1週間もすれば桜は満開になる予報。

 永井荷風 『踊子』 を山田風太郎が読んで泣いた。「こんなものが好きなのかと自分で驚いた」と言っていた。この本を読むために荷風を読んできたと言っていいが、涙などは流れなかった。姉妹との三角関係を書いている。ズルズルズルズル関係が続いたり、言わなきゃならないことを言えず、何も言わずに何となく過ごしていく話だ。日本的と言えばそうだが、そういうことに、主体的でないイライラを感じる。でも、風太郎は若いときこれを読んで涙した。若かったんだなぁ風太郎と思った。

 飛行機の切符を頼もうと思っていたのに忘れて未だ頼んでいない。今週中に決めたい。 


 3月14日(木)

 理想を言えば死刑はない方が良い。人が人を裁くことは難しいからだ。にもかかわらず今日の広島高裁の、重吉孝一郎裁判長は一審判決を支持し、死刑を求めた検察側の控訴を棄却した、判決を何だか嫌な気分で聞いた。

 犯行は、「山口県光市の会社員本村洋さん(25)方に、当時18歳だった同市の元会社員(20)が水質検査を装って上がり込み、会社員の妻=当時(23)=に乱暴しようとしたが抵抗され、首を絞めて殺害。傍らで泣き叫ぶ長女=当時11カ月=も首を絞めるなどして殺害し、妻の財布を盗んだ。元会社員は妻の遺体を押し入れに、長女の遺体を天袋に隠して逃げ、4日後に逮捕された。」

 「一審判決は「残忍で非人間的。被害者の無念さは筆舌に尽くし難く、遺族の悲嘆、怒りは察するに余りある」と断罪。一方で「殺害は周到に計画されたものではない」とし、不遇な家庭環境、被害者や遺族への謝罪などを重視、「人間性の一端が残っており、更生の可能性がないとはいい難い」として死刑を回避。検察側は「量刑不当」として控訴した。」

 妻を犯され11ヶ月の娘と共に殺された、夫の本村洋さんは、「計画性があるのかないのかとか、反省しているかしていないか、更生の可能性があるとかないとか、そういう法律のことは判りません。しかし、犯行を行った犯人に対して国家が極刑をもって断罪すべきだと思っています。」と言うようなことを言って、判決に対して静かではあるが、強い抗議の意志を表した。法律が遺族の仇をうってくれないのならなんのための法律なのだろう。残された家族の怒りは何にぶつければいいのだろう。

 事件後、本村洋さんは、「犯人の人権は保護されているのに、被害者の人権は無視されている」 と言って被害者とその家族の人権を守る活動を続けてきた。彼は、この裁判の公判すべてを傍聴し妻と子供にどのような犯行が行われたかという現実から目をそむけることなく通った。少年法の改正の活動もやっている。

 本村洋さんのことを思えば、死刑が妥当のような気がしてくる。もしこの事件後、本村洋さんの行動がこのように徹底して行われていなかったとしたら、この事件は単なる少年の犯した殺人事件になっていただろう。本村洋さんは、おそらく生涯をかけてこの活動を続けていくことだろう。僕は影ながら応援していきたいと思う。

 北朝鮮からの難民が北京のスペイン大使館に逃げ込んだ。これはどうなるのだろう。

 下山さんが一時帰国する。

 古今亭志ん生 『もう半分』 山田風太郎 『起きろ一心斎』 読了。

 13日の結果。 バレンシア。エスプラ、耳1枚。エル・コルドベス、ハビエル・カスターニョ、耳なし。


 3月15日(金)

 ニュースでやっていた氷の結晶がついたシャボン玉が綺麗だった。シャボン玉が出来た瞬間に氷の結晶が出来、段々広がってそして消える。割れた瞬間、結晶が漂う。これを見に来ていた観光客の男性が、「綺麗ですねぇー。でも、割れた瞬間がもっと綺麗ですねぇ。」と言っていた。女性は、「綺麗、綺麗」とばかり言うがそういう分析は口にしないものらしい。

 ネットで気になる記事があった。

 「  <ウイルス>日本語のタイトルで送付 日本発?

 「重要」「こんにちは」「資料」などと日本語のタイトルで送られてくるウイルスメールの被害が、14日から急速に広がっているとして、ウイルス対策ソフト各社が警告を出した。日本語があらかじめセットされたウイルスメールは珍しく、各社は「日本市場を狙った日本発のウイルスでは」と話している。

 このウイルスは「W32・Dotjaypee@mm」、「ワーム・エフバウンド・C」などと呼ばれている。電子メールの添付ファイルを開くと、アドレス帳の登録先に自分自身をコピーして勝手に送信する。知人のメールアドレスから「重要なお知らせ」などのタイトルで届くため、開封して感染しやすい。

 ウイルス対策ソフトのトレンドマイクロ(東京都渋谷区)には、14日午後7時までに184件の感染届け出があり「国内の1日分としては過去最高の件数」という。 【太田阿利佐】(毎日新聞)  」  ーーYahooよりーー

 困ったもんだ。

 下山さんはメールでパラリンピックに登録して希望に満ちています、と書いてあった。半身不随の体でそういう風に思えるというのが物凄いことだ。

 14日の結果。 バレンシア。カバジェーロ、耳なし。ハビエル・コンデ、罵声、口笛。オルドニェス、耳1枚。


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