断腸亭日常日記 2002年 その3

−−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−

por 斎藤祐司


過去の、断腸亭日常日記。  −−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−

太い斜字で書いてある所は99年、2000年、2001年、のスペイン滞在日記です。

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 2月18日(月)

 闘牛についてメールで質問してくるのは非常に良いこと。でも、僕の所じゃないところにメールした方が良いメールを、何度も送ってこられるのにはちょっとうんざり。しかも、僕のあまり好きじゃないTV製作会社の人。TV製作会社の人をひとまとめにして嫌いというわけではないけれど、どうも体質的に合わない気がする。それでも、しっかり調べて質問する人は好き嫌いの問題ではなく、礼儀としてちゃんと答えたいと思っている。

 そうじゃない、闘牛初心者とか言って、質問する人は可愛い。こういう人は大事にしてちゃんとした闘牛ファンにしたいと思ってしまう。そういえば、牛について質問してきたTV製作会社の人にメールを書かないといけないなぁ。あの人は闘牛の本を2,3冊読んで質問してきているようだし・・・。ちょっと感覚が違う気はするけど・・・。それは向こうの仕事。

 遂に、封印していた山田風太郎のミステリーを読み始めた。これがまた面白い。バラバラ殺人された遊郭「恋ぐるま」のマダム、車戸旗江。調べたら人に恨まれるようなことがない実に魅力的な女性だった。取り調べをした警察は、「マダムは慈善事業をやっていたんじゃないか」と言う始末。始めの第1章でこの事が判る。小説の全容、テーマがはっきり判って読者の気持ちを掴んでしまうこの上手さは何と言っていいんだろう。こういう所が風太郎の凄さだ。忍法帖シリーズで人気が爆発するけど、ミステリーを書いていた時代からやっぱり凄い。

 風太郎のミステリーは戦争物を読んでいたが、これも、『太陽黒点』 を読む準備のようなもの。

 古今亭志ん生 『締め込み』 山田風太郎 『天明の隠密』 読了。山田風太郎 『十三角関係』 を読む。

 16日の結果。 メデジン(コロンビア)。カバジェーロ、耳2枚。ディナスティア、ビクトル・プエルト、耳1枚。

 17日の結果。 アルメリア。フェスティバル闘牛。エスプラ、オルドニェス、耳1枚。ルイス・マヌエル、アベジャン、耳2枚。アルフォンソ・ロメロ、耳1枚。エル・ファンディ、耳2枚と尻尾1つ。 アスナリコジャール(セビージャ)。フェスティバル闘牛。騎馬闘牛士、フェルミン・ボオルケス、耳2枚。闘牛士、リトリ、耳2枚と尻尾1つ。アパリシオ、耳2枚。フィニート、エル・コルドベス、耳2枚と尻尾1つ。チキリン、耳2枚。モランテ、耳なし。ホセ・ボレロ、耳2枚。

 メキシコ。騎馬闘牛士、ロドリゴ・サントス、耳なし。闘牛士、マノロ・メヒア、耳1枚。ハビエル・コンデ、耳なし。 ボゴタ(コロンビア)。ポンセ、耳1枚、耳2枚。ディナスティア、罵声。ラファエル・デ・フリア、耳なし。


 2月19日(火)

 「あっ、帰るか?」
 「えっ。ちょっと俺、払い戻ししてきます」   間があって、人が引いた観客席に2人が写される。
 「馬券はすれても、何かを取ってるんだよ。・・・・・・・・・・・・・じゃ、俺も替えて来るわ。」

 げっ、笑ってしまったぜ、JRAのCM。沈黙の時の小林薫の背中が何故か寺山修司を感じてしまったのは単なる錯覚なのだろうか?日曜日の、フェブラリーSの予想は当たっていた。アグネスデジタルが勝ってことは。でも、あのオッズじゃ馬連を買いたくなるよなぁ。結果は買っていない、トーシンブリザードとノボトゥルーが2着3着。俺は一体何を取ったんだろう?「予想上手の馬券下手」 いつも自分自身に繰り返される呟きを、また呟いた。タラレバは、ニラレバより食えない。寺山は、「馬券を買うのではない。自分を買うのだ」と、言ったけど。それは、当てようと思って買うのでなく、知りたい、知りたいと思っているからだ、と言っていた。本来その通り。

 しかし、この結果はドバイ・ワールド・カップに向けて楽しみが増えた。4着のトゥザヴィクトリーも1600mより2000mの方が良いだろうし、アグネスデジタルと併せて益々楽しみになってきた。サッカーのワールド・カップよりドバイの方に行ってみたい。でも、イスラム教の国なので馬券は売ってないわけよね。

 日曜に競馬中継のままのチャンネルにいていたラジオをまたかけたら、「フォーク・ソング何とか」言う番組で、エレック・レコードの特集をやっていた。始めに出したレコードが糸居五郎だったというのにはビックリした。その後が広島フォーク村のアルバム。個人アーティストで最初が吉田拓郎の、『イメージの唄』。拓郎のバックは広島フォーク村の連中だという。サウンドはもうボブ・ディランそのもの。バックやっていたのは、愛奴なんかだろう。愛奴は、『花の西武新宿線』 と言うヒットを出したグループだけど殆どの人は知らないだろう。拓郎のバック・バンドをやっていた。それより、愛奴から浜田省吾が出たと言った方が分かり易いだろう。俺にとっては、『路地裏の少年』 に尽きるけど。売れてからは全然興味なくなった。拓郎もそうだけどハーモニカが何とも言えず好きだった。今、ハーモニカ入れた曲なんて、はやらねぇよな。

 『泉谷しげる登場』 の中から、『プロフィール』 をかけていたが、やっぱり、『白雪姫の毒リンゴ』 とか、『うられうられて』 とかを流して欲しかった。古井戸やケメ何かも流していたが、『さなえちゃん』 が聞きたかったなぁ。

 ♪大学ノ−トの裏表紙に さなえちゃんを描いたの 一日中かかって いっしょうけんめい描いたの でも鉛筆で描いたから いつのまにか消えたの 大学ノ−トの裏表紙の さなえちゃんが消えたの もう会えないの もう会えないの 二度と会えないの♪

 何だか一緒にバンド組んでいたあいつに会って歌いたくなった。友部の、『一本道』や、西岡恭蔵の作った、『プカプカ』 とか歌いたくなった。今、Yahooで検索したら西岡恭蔵は99年に死んでいた。そういえばそんな記事読んだ気がする。シンガーとしても、ライターとしても好きだったなぁ。


 2月20日(水)

 ずーと、モヤモヤしていたことが解決した。落語で、近所の御隠居の所に行って歌の意味を聞いたら、知ったかぶりをした御隠居が滅茶苦茶な意味を言って解釈して行って最後の「とは」ってのは?って言う落ちの話があるが、これが誰の何という歌で、何という落語の話かというのがガキの頃からの疑問だった。それが解決した。

 歌は、百人一首、十七番目の  ちはやぶる  神世もきかず  竜田川  からくれなゐに  水くくるとは   在原業平の歌だった。

 ちはやぶるは神にかかる枕詞。意味は遠い神代の時代でさえこのような不思議なことがあったとは聞いていません。流れる紅葉で竜田川の水をこんなにも美しく紅色に絞り染めしてしまうなんて。

 落語の題名は、『千早ぶる』。しかし、業平の歌がどうして花魁、千早と相撲取り、竜田川の恋の話にすり替わるのだろう。これは当然本歌を知っていて落語を聞くという江戸の庶民が前提で話されたものだろう。教養があるな、江戸っ子は。判ったのはネット検索。「落語検索エンジンご隠居」というのがあってそれで判った。

 今日の国会の参考人招致で田中真紀子と鈴木宗男が証言した。歯切れの良さ、度胸の良さ、ユーモア?で真紀子節が炸裂。小泉首相批判も飛び出した。TVの印象では真紀子は本当のことを言っていると、思う人が多いだろう。鈴木宗男の方はは切れが悪くどうしても誤魔化している印象がさらに強くなった。涙まで見せたそうだ。北方四島人道支援事業「友好の家」建設工事の入札をめぐり、外務省職員に対し、入札参加資格を地元根室管内の業者に限定するよう働きかけていたことが佐々木憲昭(共産)の質問で明らかになった。これが本当なら(資料を基に質問したのでおそらく本当だろう)犯罪だ。NGOに対して、「あなた達がボランティアで使っているのは国民の税金が使われていることを判って欲しい」と言ったが、「友好の家」入札で使っているのも税金じゃないんですか?と言いたくなった。

 鈴木宗男への質問をやった社民党の辻元清美は格好良かった。はきはきして元気がいい。この関西弁で捲し立てる生一本なところが。真紀子もそうだけど辻元清美も正義とか真実とかは、日本の政治では女の特権のような印象を与える。男が政治をやっても日本の政治は変わらないのかも知れないとさえ思わせる迫力がこの2人にはある。

 志ん生の、『井戸の茶碗』 は珍しく武士の人情話。これがまた生粋の正直者。こんな言葉があるのか?紙屑屋が娘に声を掛けられ浪人宅へ。ほこりをかぶった仏像を無理矢理売りつけられる。この紙屑屋は物品を扱わない。「じゃ、儲けは半分に」と言って200文で買う。武家屋敷を通りかかって、「その仏像を売れ」と言って300文で売る。武士が仏像を中間に表せていると台座の下の上が破けて50両が出てくる。これを売った浪人が苦労しているだろう。仏像は買ったが50両は買っていないからこの50両を紙屑屋を探して届けさせる。浪人は50両を届けてきた紙屑屋に、仏像を売ったと言うことはその中に入っていた50両も売ったこと、出ていかないと叩き切ると言って追い返す。

 困った紙屑屋は大家の相談する。大家は20両ずつ分けて後10両はこの紙屑屋にやってはと話を付ける。浪人は不満だが承諾する。その替わりに我が家に代々伝わる茶碗を20両で買うと言うことにして20両を受け取る。こういう正直者の話を聞いた細川の殿様がその茶碗を見せよと言うことで武士が茶碗を持っていくと殿様が、良く分からないがなにか味があると、鑑定師(めききし)に見せると、「これは日本に二つとない名器、『井戸の茶碗』 だという。殿様が300両で求めつかわすと、言うことでこの300両をまた紙屑屋を通して半分の150両を浪人に渡される。

 浪人はそれではいただこう。と言う。その後紙屑屋に武士の所に届けてもらいたいものがあると言い出す。あのお武家は実に潔白なお人だ。そういう方なら娘を嫁にやりたい。この150両は持参金の代わりに先方へ差し上げたいと言う。紙屑屋は武士の所に行く。これこれどうでしょうと聞くと、武士は、あの方は・・・実にどうも天晴れな武士!実に潔白な・・・いや・・・儂も心から敬意を表しておる。・・・その方の娘御・・・儂の妻にいたそうと、話をまとめる。

 落ちは、紙屑屋が、磨いてごらんなさい!大した美人になりますよっ。いや、磨くのはよそう・・・また小判が出るといけない。

 昨今フェミニスト、女性解放運動家なるものたち、娘の同意得ざる婚姻を、女性差別、女性蔑視と言いなるであろうが、この人情話、江戸時代の話なり。この人情を読み得ぬ思想、その脳細胞に死相出しことなりと思いける。この潔白さ、今の政治家、社会に必要なり。今、嘘偽り、誤魔化し、もみ消し、なるを行うを、「頭が雪印」 「宗男ちゃん」 と揶揄せしは、ただしき言葉遊びなり。世相本日の鈴木宗男がその代表なり。宗男ちゃん、あくまで、宗男ちゃんなり。「涙は女性の最大の武器」と首相言いしも、涙は男の敗北なり。宗男なる男の言葉信頼できざるものなり。ただ、哀れなり。

 古今亭志ん生 『井戸の茶碗』 読了。山田風太郎 『十三角関係』 を読む。


 2月21日(木)

 山田風太郎 『十三角関係』 の中で、バラバラ殺人された旗江の息子が書いた小説を女たちが持ってきて荊木歓喜(医者で探偵役)に読ませるシーンがある。何でこんなくだらない小説を・・・と思っていたらなるほどと思った。こんな記述がある。

 「   母はぼくを溺愛している。世のひとは、溺愛とは無責任だというけれど、ぼくはほんとの愛はきっと溺愛だと思っている。そのとき薄情にしておいて、あとになってから、いや、あれは本人の身のためを思う大愛だったなどというのは、かならずまやかしものだ。ぼくの父なんかそうだ。ーーーそして、ほんとの責任感は、その溺愛に対してこそおこるのだ。ぼくは、母の愛に、文字どおり溺れつつ誓う。世のひとはなんとでもいえ、ぼくはこの母を溺愛しよう!と。
 けれどーーーその母に、ぼくはどうしてもわからないことがある。いや、ふしぎな女だ、とは息子のぼくでさえなんどかきいた言葉だし、だいいち、父がしょっちゅう口にするけれど、ぼくにとっては、陽光のみなぎりわたった大空みたいに、なんの翳りもないはずの母に、ただ一点わからないことがあるのだ。一点、というより、その天空海濶(かいかつ)そのものが神秘的だといえるだろう。母はよく笑う。母はよく涙をする。母はあけっぱなしだ。愛すべきぬけさくだ。   」

 こういう記述を読むと幼い頃、父が5歳で死に、母と共に過ごした心情がこの文章に出ているのではないかと思った。風太郎はおそらく、溺愛を感じたことはあまりなかったのだろうと思う。溺愛どうのと言うのは、母が死んだ後から思ったこと、感じたことだったのではないかと僕などは思うのだ。目の前にいなくなってから、母の溺愛を感じたのではないかと・・・。そして、母に思いっきり甘えたことがないのではないかとも・・・。


 2月22日(金)

 ショートトラックで韓国の選手1着でゴールしたのに失格した問題で、韓国内では反米感情が盛り上がっているそうだ。自国の選手を英雄にしたがっていると、アメリカを非難。「国力が弱いからこういうことになるのか。プロでない競技でこういうことがあって良いのか」 とか、「看板スターの金東聖は金メダルを強奪された。彼はオーノを英雄に仕立て上げようとする米国のスケープゴートになった」 と激怒している。アメリカ国籍の日系人だったことも火に油なのだろうか。判定自体は、イタリア選手が、「オーノは単にグッド・アクター(良い俳優)。韓国選手の失格はおかしい」と言った様におかしいようだ。

 ロシア選手団も激怒している。オリンピックの判定を巡って不信感を募らせている。大会ボイコットまで辞さないと一時ロシアは発表したが、このまま参加することになった。全然関係ないけどブッシュ大統領に対して北朝鮮が、「北朝鮮征服に熱心な“政治的な知能障害児”」 と呼んで批判しているそうだが、アメリカ自体がテロ以降、“知能障害児”になったような感じさえする。こんなこと言ったら知的障害者に申し訳ない。だって彼らはある意味で美しいもの。しかし、今のアメリカは、醜いもの。良く言った北朝鮮と思うがあなた達がやっていることは、頭が雪印だ。

 「こんなオリンピックは要らない」と韓国の監督かなんかが言っていた。大会の運営がIOCの会長が替わっておかしくなったのか、やっぱり開催地のアメリカに問題があるのか。納得できない判定が多い。特にアングロサクソンがらみで。ショットトラックの判定を下した審判員はオーストラリア人。フィギア・スケートの後から金をもらったペアもカナダ人。アイスホッケーや他にも色々あるようだ。

 所で雪印食品が、4月に解散する。会社存続が出来ないため。

 古今亭志ん生 『お茶汲み』 読了。山田風太郎 『十三角関係』 を読む。


 2月23日(土)

 内閣支持率が遂に50%を切って逆に不支持の方が支持より多くなったそうだ。「遂に俺も抵抗勢力になったよ」と、あの日の夜首相は言ったそうだが・・・。誠実さを欠いた更迭劇に民心が離れていって、政府・自民党のダメさ加減が目につくようになった。田中真紀子は絶大な人気だ。彼女がやったこと、外相としての能力があるかどうかと言うことはどうでも良いことになったのはすべて更迭劇の不誠実が招いたことだ。

 志ん生 『お茶汲み』 は郭での遊女と客の化かし合いを描いたもの。そっちもどっちと思うが、昔、小沢昭一が、「ああ言うところへ言ったらひたすら話するのね。もう嘘の話をして女の同情を買わないと。向こうだって本当のこと言ってとは思ってないから・・・。嘘言って女が涙流したりしてね。そういう話をして楽しむところなわけよ、あそこは。」と、言うようなことを言っていたと思う。それが本当なら、まるで日本の政界のような所である。こう言うところには、宗男ちゃんが一杯いる。そういうのを相手にして筋を通そうとする真紀子が人気が出るのだ。

 僕はそう言うところに行ってそういう話をしたことがない。勉強不足だな。


 2月24日(日)

 昨日、阪神で行われたアーリントンCで、1番人気のタニノギムレットが2着に3馬身半の着差を付けて1.33.9秒で圧勝した。レース後、騎乗した武豊が、「レースぶりもグンと良化。1,2,3冠を意識させるほどの器」 と絶賛した。距離を心配していた調教師は次走をスプリングSに決めた。さて、来週からいよいよ3歳クラシックのトライアルが始まる。牝馬は、チューリップ賞。牡馬は、弥生賞。そしてこの弥生賞はG1級の注目が集まる。前走圧勝の無敗馬、モノポライザー、京成杯同着のヤマニンセラフィム、ローマンエンパイアのこれも無敗馬。アドマイヤマックスが故障を発症して回避することになったが、迎え撃つ関東馬は、朝日杯FSでアドマイヤドンの2着になったヤマノブリザードや、ホーポフルSを勝ったタイガーカフェ、若竹賞のモンテブライアン。どうしても関東馬の方が小粒だ。

 おそらく1番人気になるのは、モノポライザー。今日の東京3Rで武豊が落馬、尾骨の上を骨折したので騎乗できないだろう。ヤマニンセラフィム、ローマンエンパイアも相当強そうだ。この3頭が注目だ。競馬は淘汰の世界。無敗馬の内どの馬が残るか、あるいは無敗馬を負かしてクラシックに名乗りを上げる馬が出るか、中山にはファンが集まるだろう。俺も行きたいが行けないなぁ。

 この後には、若葉Sに出る2歳チャンピオン、アドマイヤドンが控えているし、スプリングSに出るタニノギムレットもいる。去年は史上最強の3歳世代と言われたが、今年もどうして、相当に強い世代だ。抜けたのが未だ見あたらないがトライアルでそれが判るだろうが、とにかく、かなり強い世代だ。ひょっとしたらこっちが史上最強の世代かも知れない。今年の男馬は面白い!

 今日の中山のメイン、中山記念は60キロを背負った1番人気、海外G1馬、エイシンプレストンが惨敗。やっぱり、60キロがこたえた。同じ60キロを背負ってトップロードは勝ったが、こっちは距離が2200m。中山記念は、1800m。距離が短いとレースのペースが速くなるので斤量が重いとこたえるのだ。僕の予想は、エイシンプレストンは斤量に泣くだろうから岡部のトウカイポイントが本命だった。結果は、その通り岡部の好騎乗でトウカイポイントが勝った。2着がトラストファイヤー。馬券買うなら2点と思って3点目に考えていた馬だったのでほぼ予想が当たっていた。と、言っても馬券は買ってなかったけど。馬券買わないと予想が当たるのは何故だろう。それにしても岡部はまた武豊を抜いてJRA重賞記録を更新した。復帰してから凄い活躍だ。

 所で所で。昨日(コロンビア時間の23日)、メデジンで行われたフェリア・デ・マカレナの闘牛でセサル・リンコンのラス・ベンタス・デル・エスピリトゥ・サント牧場の牛2頭がインドゥルトした。1頭目のセサル・カマチョが相手にした牛と、6頭目のアントニオ・フェレーラが相手にした牛。ビクトル・プエルトも、耳1枚が2回で、3人の闘牛士と牧場主のセサル・リンコンが一緒に肩車でプエルタ・グランデした。長いこと闘牛を観、資料なども観てきたが、1日の闘牛で2頭の牛がインドゥルトしたという記憶は皆無だ。しかも、それが、同じ牧場だったというのも異例だ。これは闘牛史に残るような偉大な記録だろう。神懸かり的なセサル・リンコンの牧場だ。闘牛士を引退しても闘牛ファンを楽しませてくれる。

 あんまり嬉しかったもんだから、セサルにメールした。そしたら、2000年に会って聞いたアドレスはもう使用されていなかったようで戻ってきた。でも、セサルの秘書のアドレスを知っているのでそっちはちゃんと送信できた。

 古今亭志ん生 『搗屋幸兵衛』 山田風太郎 『十三角関係』 永井荷風 『勲章』 『女中のはなし』 読了。永井荷風 『来訪者』 を読む。

 23日の結果。 メデジン(コロンビア)。セサル・カマチョ、耳2枚と尻尾1つ。ビクトル・プエルト、耳1枚が2回。フェレーラ、耳1枚、耳2枚と尻尾1つ。 ベラ(アルメリア)。エル・コルドベス、耳1枚。ペピン・リリア、耳1枚が2回。エル・カリファ、耳1枚。


 2月25日(月)

 新しいHPのソフトをインストールして使おうとしたら使い方が良く分からなかったのでアンインストールして元のソフトをインストールし直した。バージョンが3つ以上上がっているので使用法を良く読まないと使えない。幸いコンピュータが2つあるので1つにインストールして少しずつ覚えていかないとダメだ。色々機能が上がったのは良いのだけれど肝心の使い方が判らないんじゃダメだ。書かなきゃならないメールが何通かあってそれも書いたし、割合時間がない。

 昨日の武豊の落馬シーンをTVで観たが乗っていた馬が骨折して前方に落馬してそこに後続の馬が接触した。TVでは骨盤骨折で3〜6ヶ月の重傷だという。ああ言う落馬事故は防ぎようがない。馬がラチ沿いのインにいたので余計に後続の接触が起こったようだ。武豊騎手人生で初めての大怪我。あれで頭でも蹄鉄で踏まれていたら死んでいただろう。3頭が落馬したらしいがインにいて最初落馬した武だけが大怪我をした。あれが乗っていた有力馬が誰に乗り替わるのか、クラシック戦線に大きな影響が出てくるだろう。


 2月26日(火)

 俺は腹が立っている。怒っている。武豊の病状が発表されたのが25日。事故が起こってから1日時間がかかっている。新聞に載ったのが今日。何故こんなことが起こったか。日曜日は病院で精密検査が行われないからだという。JRAは開催日に競馬場に獣医を常駐させているが、医師を常駐させていない。用意しているのは、救急車だけだ。救急医療などには興味がないのだ。人の命などどうでも良いと思っているのだ。

 信じられないことだが過去にJRAが事故後の対応を怠って一体何人の騎手が死んだろう。町田騎手なのは救急車で病院をたらい回しにされたあげく手当が遅れて死亡した。飛越障害レースではよく落馬する。JRA職員の中には、「コロコロ、コロコロ落ちあがって」 と言って騎手たちの猛反発を食らったりしているという。重傷や半身不随などは、年に何回もある。

 岡潤一郎が死んだ時も騎乗馬が骨折し落馬。後続馬の蹄鉄が岡の後頭部を直撃し脳内出血、脳挫傷。確か1ヶ月後に死亡した。才能のある若手騎手だった。彼が今生きていたらリーディング争いをするような騎手になっていただろう。これはJRAの対応どうのと言う問題ではない事故だったが、開催されている競馬場に医師を常駐させていないと言うことはそれ以前の問題意識の欠如だ。考え方が百年遅れている。

 何度も書くけど、武豊は大嫌いな騎手だ。大嫌いだけれど、そう言うことは関係なく、騎手が事故にあってその騎手が速やかに救急医療を受けれない今のシステムが異常なのだ。精密検査が事故当日受けられるように病院と提携するとか、契約するとかしないと、命が粗末にされている。競馬法はそう言うことをおそらく明記していないのだろうなぁ。ラス・ベンタス闘牛場が何故世界一の闘牛場か。それは、世界一のアフィショナードが集まり、世界一のプレシデンテがいて、世界一の牧場が出、世界一の闘牛士が集結することだけではない。世界一の医療スタッフが常駐しているからなのだ。外科医、麻酔医、止血師など11人の医師団が万が一の事故にそなえて待機している。

 JRAさん、せめて医者1人常駐させ、搬送病院と提携してその日の内に精密検査が出来るようにしたらどうなの。あんたたちの考え方って、馬の命より、人の命の方が軽いってことじゃない。馬鹿じゃないの。去年か一昨年、飛越障害レースで落馬、脳挫傷を起こした、(確か)白井騎手はその後どうなったのだろう。そう言う情報も流してないのか、それとも競馬マスコミが流さないのか。変だよな日本は。そう言う人の救済がどのように行われているのかきちんと対応し情報を流さないと、非常にまずいものになると思う。日本の競馬は、こんな危ういところで運営されているのだ。闘牛に比べるまでもない、レベルの低さだ。ノー・ティエネ・クラッセ!

 古今亭志ん生 『首ったけ』 読了。永井荷風 『来訪者』 を読む。

 ボゴタ(コロンビア)でまた、インドゥルトがあった。ラミロ・カデナがエル・パライソ牧場の牛でやった。ビデオでコロンビアのを観たとき、スペインと全然違う雰囲気のファンの反応にビックリした。両腕を広げて立ち上がってのオーレの絶叫。満員でないが地響きがするようなオーレの声がこだましていた。コロンビアの闘牛ファンは熱狂的だからインドゥルトが多いようだ。

 22日の結果。 ニーム(フランス)。ミックス闘牛。闘牛士、ダビ・ルギジャーノ、耳1枚。ファン・バウティスタ、耳1枚。見習い闘牛士、ホセ・マリア・マンサナレス(息子)、耳1枚。

 24日の結果。 メキシコ。フェデリコ・ピサロ、口笛。フェルナンド・オチョア、耳1枚。アルベルト・ラミレス、場内1周。 ボゴタ(コロンビア)。フィニート、耳1枚。エル・フリ、耳2枚。ラミロ・カデナ、場内1周、耳2枚と尻尾1つ。

 ニーム(フランス)。ミックス闘牛。闘牛士、アルフォンソ・ロメロ、ラファエル・デ・フリア、耳なし。見習い闘牛士、ホセ・マリア・マンサナレス(息子)、耳なし。 ハエン。フェスティバル闘牛。騎馬闘牛士、アルバロ・モンテス、耳2枚。闘牛士、パコ・オヘダ、耳なし。ポンセ、耳2枚。ファン・カルロス・ガルシア、ハビエル・コンデ、アベジャン、耳1枚。見習い闘牛士、ホルヘ・イバニェス、耳2枚。 ムルシア。フェスティバル闘牛。騎馬闘牛士、アンディー・カルタヘナ、耳2枚。闘牛士、ダマソ・ゴンサレス、耳2枚と尻尾1つ。エル・コルドベス、耳2枚。ペピン・リリア、耳2枚と尻尾1つ。オルドニェス、耳1枚。モランテ、耳2枚。見習い闘牛士、エル・ルビオ、耳1枚。


 2月27日(水)

 4月から6月までスペインに行くつもりだ。休みは取れそうで後は飛行機の方だ。フェリア・デ・アブリルの後半と、サン・イシドロ、コルドバ、グラナダなどを観る予定。闘牛サイトに出ているアベジャンの血だるまの顔の写真がなかなか良い。アベジャンらしい写真だ。

 人間のゲノムの全解明の研究があるというのを知ったのは立花隆の本を読んだときだった。アメリカの会社が全ゲノムを解明してそれを当時のクリントン大統領が発表し、データを世界の研究者に、このデータを基に色々な研究を進めるためにという名目で公開したのが、2000年6月だった。あれから1年半以上たったが、今、ポストゲノム研究が行われている。生命現象の解明や医薬品開発に役立つ研究だそうだ。

 大阪大学の月原富武教授と、姫路工業大学の吉川信也教授の共同研究論文は、タンパク質の機能や構造を解明するもの。吉川信也教授が牛の肝臓から細胞中のミトコンドリア器官のタンパク質の膜を取り出し、月原富武教授が、取り出したミトコンドリア器官のタンパク質の膜に放射線をあてチトクロム酸化酵素を解明した。

 チトクロム酸化酵素は、好積類のタンパク質が26個集まって出来た巨大なタンパク質。ミトコンドリアの器官の膜に投げ込まれている。細胞が生きていく上で必要なエネルギーを生み出す役割を担っている。

 こういう研究の積み重ねが人間の肉体の解明になっていくのだ。ちなみに、細胞の中にDNAは2つある。それは細胞核にあるDNAとミトコンドリアである。細胞核のDNAは父と母のDNAを半分ずつ受け継いでいるが、ミトコンドリアのDNAは母系遺伝だ。簡単にいえば先祖を知りたかったらミトコンドリアのDNAを調べれば各民族の違いや先祖解明の役立つはずだ。

 何だか知らないが昨日HPのデータをアップしようとしたらプロバイダーがメンテナンスか何かで接続できなかった。遅くなったが28日にアップする。


 2月28日(木)

 今日4月からの休みについて話してきた。なるようになりそうだ。飛行機の方も予約を入れないとと思ってTELで聞いたりしたが空席が結構あるようで大丈夫だ。後は値段と重量オーバーになったとき、何とかなりそうな航空会社がないか探している。

 突然、思いついた小説の書き出しを書き留めたのにそれを何処にやったのか判らなくなった。ああ言う感じで書き出せば結末も面白くなるんじゃないかと思っている。僕は原稿用紙に向かうと書けない人間なので、まっさらな紙かレポート用紙のようにわりかし自由に乱筆を書き殴れないと頭が回らない。今は、コンピューターがあるので、ワープロ・ソフトで代用できるが。

 永井荷風 『墨東綺譚』(墨の字はさんずいが付くが表記できない) 『来訪者』 読了。古今亭志ん生は、何を読んだか忘れた。


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