断腸亭日常日記 2002年 その5

−−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−

por 斎藤祐司


過去の、断腸亭日常日記。  −−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−

太い斜字で書いてある所は99年、2000年、2001年、のスペイン滞在日記です。

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9月12日〜10月7日 10月10日〜11月10日 11月14日〜11月28日 12月12日〜12月31日
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2月18日〜2月28日 3月1日〜3月15日

 3月16日(土)

 気象庁は今日、東京の桜開花宣言を出した。鈴木宗男が自民党を離党した翌日、史上最速の開花宣言だった。

 今日の競馬で、中山のメイン、フラワーCはコクトビューティーの子、スマイルトゥモローが圧勝した。唯一の2勝馬だったがそれほど人気があったわけではない。岡部は復帰後またしても牝馬で重賞を勝った。3歳牝馬のクラシックは大混戦。その中で3歳牝馬の重賞を勝った3頭に岡部が乗っていたことになる。本命なき桜花賞で、岡部が勝てば悲願の3歳クラシック完全制覇になる。多分俺は桜花賞は岡部の馬を本命にして買うだろう。

 牡馬クラシックのトライアル・レース、若葉Sで、2歳チャンピオン、アドマイヤドンが脚を余して負けた。中間、追い切り調教がちぐはぐだったり、色々なアクシデントがあって、心配していたが、その危惧は当たった。乗り方も悪かったが、直線の口向きの悪さはガッカリした。内に閉じこめられてフラフラ走っている感じだ。だから手前をしょっちゅう替える。この馬は未だ未完成すぎる。これじゃクラシックを勝のは難しい。今日も逃げ馬が勝った。それもスロー。本番の展開はどうなるのか?

 下山さんは昨日の夜日本について今日TELがあった。22日に会う予定。

 古今亭志ん生 落語一話読了。山田風太郎 『死に顔を見せるな』 を読む。

 バレンシアのファジャスの闘牛で昨日初めて切符が売り切れになった。

 15日に結果。 バレンシア。ポンセ、耳1枚。フリ、耳1枚が2回。プエルタ・グランデ。アントン・コルテス、耳なし。ノー・アイ・ビジェテ。


 3月17日(日)

 ジャングルポケットとナリタトップロード。どっちが勝つのか阪神大賞典。鉄砲、3000mで勝ったことがないジャングル。トップロード断然有利。それでも、ジャングルも万全の調教で出走体勢を整えてきた。本番の天皇賞へ向けて古馬戦線も春を迎えた。

 一方、3歳牡馬クラシックの最後のトライアル、スプリングSは、大本命タニノギムレットがどれだけ離して勝てるか、本番へ向けて目が離せない。そして2着に何が来るのか。関東馬も出走権を取るために調整してきた。2着以下はフルゲートなので混戦が予想される。

 16日の結果。 バレンシア。ホセリート、ホセ・トマス、耳なし。アベジャン、耳1枚。


 3月18日(月)

 牧ちゃんにTELしてちょっと相談。それから、旅行会社にTEL。そしたら、予定していた航空会社の4月15日出発便が満席。急遽違う航空会社の便を調べてもらいそちらで予約を入れ、なおかつ、予定していた方にはキャンセル待ちを入れてもらった。だから、どっちにしろ、4月15日出発、6月14日帰国になる。14日の便もありますと言ってたけど、皐月賞を観ずに行けるか。と言ってもそういうことをするからエウヘニオもホセリートもセビージャでは観れなくなった。13日に闘牛の会もあるし、仕方ない。

 今年も桜花賞、皐月賞を観て出発。だから、天皇賞、NHKマイルカップ、オークス、ダービー、安田記念のG1が観れない。去年もそう思ったけど今年の天皇賞での3強の激突が観たいなぁ。

 皐月賞の本命は昨日勝ったタニノギムレットになるだろう。確かに強いが絶対とは思わない。タイムはレースレコードを2秒も縮めているし大外から豪快に差しきった脚は見事だ。それでもちょっと疑問を感じる。その一番目にあるのがトライアルでこんな苦しいレースして本番でお釣りがあるのか、というのだ。本命で買うかも知れないが今後その辺が検討材料になってくる。

 天皇賞トライアル阪神大賞典は、トップロードが圧勝。かろうじてジャングルは2着を確保した。これで天皇賞が面白くなってきた。今週の日経賞には、マンハッタンカフェが出走。まず負けないだろう。この3強が本番の天皇賞でどういうレースをするのか、これが楽しみだ。

 山田風太郎 『死に顔を見せるな』 『売色奴刑』 『長脇差枯野抄』 読了。

 去年のサン・イシドロ最優秀見習い闘牛士になったハビエル・バルベルデが昨日ラス・ベンタスでプエルタ・グランデを逃した。1頭目で耳1枚。自身の2頭目で剣刺しを決め観客は非常に強い耳要求の意志を表したが、プレシデンテが耳を出さず、罵声を浴びた。場内1周になり2枚目の耳を取れなかった。サン・イシドロじゃない日曜日の闘牛なんだから耳出してやればいいのに。ハビエル・バルベルデは今年のサン・イシドロにも見習い闘牛士として出てくるだろう。その時は去年のように良い闘牛を見せてくれ。キエトな闘牛士だから応援する。剣も上手いなぁ。ハビエル・バルベルデならアレナ中央でのレシビエンドを見せてくれそうだ。

 17日の結果。 バレンシア。ホセリート、カバジェーロ、フリは、ダニエル・ルイス牧場の牛が悪かったため耳が出なかった。


 3月19日(火)

 北京のスペイン大使館に逃げ込んだ北朝鮮難民はフィリピンから韓国に入った。加藤紘一が自民党を離党。秘書問題にけじめを付けた形だが・・・。この問題良く分からない。この人は、宮沢喜一から派閥を引き継ぎドンドン小さくなっていった。本質的に不器用なのだろう。その辺が橋本一派とは違うのだろうか。

 ネットで調べていたら、今年はサッカーが観れそうだ。4月28日、アトレティコ。5月5日、レアル・マドリード。5月7日、レアルと日本の試合。でも、混戦で優勝争いしている最終戦前の試合。日本戦では当然メンバーが落ちるだろう。こういう日程を組めるのも闘牛がないから。10年ぶりのサッカー観戦か。

 18日の結果。 バレンシア。バレラ、ホセ・トマス、モランテ、耳なし。ホセ・トマス、醜いコヒーダだって。あんまり良くなかったのだろう。


 3月20日(水)

 22日に下山さんと会う予定だったが、下山さんの方に事情が出来て会えなくなった。TELで何度か色々と話したので良いのだが残念。去年のポンセ、フリ、ハビエル・カスターニョのビデオを一緒に観る予定だったがダビングして送ってくれるそうだ。フリの血だるまのシーンがようやく観れる。下山さんとはセビージャに行ったら一緒に闘牛を観る。今年は調子が良さそうで闘牛場に毎日行くと言っていた。TELの途中発作が起こって話が途中になったが、セビージャでは色々な話が出きるだろう。

 去年スペインから帰って来るとき下山さんが僕の読んでいた、成田真由美 『笑顔と涙をありがとう』 を読みたいから置いてってと言うので読みかけだけど置いていくことにした。今日のTELで、その本を読んでパラリンピックに興味を持ったそうだ。一概に身障者と言っても色々。目標を持って体を動かせば希望も沸く。下山さんに感謝されたが、もともとこの本は下山さんに読んでもらいたいなと思っていた本だった。そんなこともセビージャに行ったらゆっくり話できるだろう。ウーゴはまゆみさんが面倒観ているようで、未だ下山さんがいなくなったことに気付いてないようにおとなしくしているようだ。ウーゴも少しは大人になったのかな。ソファーに目を半分開けて寝ている写真は笑える。俺も君みたいに呑気に生きたいものだ。

 古今亭志ん生 『六尺棒』 読了。山田風太郎 『盗作忠臣蔵』 読む。

 19日昼に騎馬闘牛が行われレオナルド・エルナンデスが耳2枚。ルイス・ドメク、アンディー・カルタヘナが耳1枚を取った。ビセンテ・バレラがプエルタ・グランデした午後、ポンセの友人、ラウル・ゴンサレス(レアル・マドリードのサッカー選手)がバレラで嫁さんと観戦。紺のジャケットに青のTシャツという服装だからそんなに寒くないようだ。ポンセは勿論バレンシアファン。レアルのラウルと親しいのも変だけど何故か家族ぐるみの付き合いのようだ。ラス・ベンタスにはポンセの兄貴とカジェホンで観てるもんな。それでも、レアルとバレンシアは勝ち点が一緒で得失点差でレアルが首位。リーグ優勝して、チャンピオン・カップも優勝して、日本に来て欲しい。まさかスペインが優勝するとは思わないけど、ベスト4位にはなって欲しい。イングランドには絶対負けるなよ。

 ビセンテ・バレラは、1頭目の牛をクーロ・ロメロにブリンディースした。写真で見るメディア・ベロニカは絶品。ファエナはナトゥラルが良かったようだ。18日のホセ・トマスとモランテは耳を取れなかったけど良かったようだ。特にモランテは・・・。

 19日の結果。 ポンセ、耳なし。バレラ、耳1枚が2回。プエルタ・グランデ。エル・カリファ、耳なし。


 3月21日(木)

 NHK、「いま裸にしたい男たち」ー野村萬斎・35歳現代に舞うー は、面白かった。狂言の世界の東西の役者を出演させ演出した芥川の、『羅生門』 の制作過程を観ていてこの人はとんでもない巨人に化けるのではないかという予感を感じた。狂言役者としても凄いのだろうが演出家としての才能を物凄く感じた。近い将来、“狂言の猿之助”になるだろう。

 『羅生門』 を上演したのは渋谷文化村のシアターコクーンだろうけど、あの空間を上手く利用し現代と過去を、羅生門を通過することによってタイムトンネルのように交差させる。こんな芝居なら観たかった。今度彼が演出する芝居を是非みたい。狂言という過去の芝居形体と思われていたものを、今の時代に再び甦らせ、今という時代の中で生き生きと古い芝居形体の中だからこそ “型” によって逆に分かり易く観客と結びつけることが出来たような気がする。彼にとって狂言は、現在の芝居なのだ。

 マドリードの須美さんにメールを送ったら直ぐ返事が返ってきた。去年のサン・イシドロ報告をした闘牛の会以来会ってないが、連絡したら了解の返事。有り難いことだ。後は何とかなるだろう。マドリードの宿は焦らなくても大丈夫なはず。それでも、今週中にこっちも連絡をしよう。セビージャについては下山さんがいるから何の心配もない。

 秘書問題で記者会見した辻元清美議員の記者会見の終わり方が気にくわない。あれじゃ、もうこれ以上質問を受けつけませんと言っているのと同じじゃないか。ガッカリした。もっと誠実な態度の人だと思っていたのに。


 3月22日(金)

 いよいよサン・イシドロのカルテルが動き出した。ポンセは去年から1回しか出なくなったが今年も1回のみ。人気に直接関わる祭りがサン・イシドロ。フィグラにはある時期から負担になってくる。ポンセもそういう風になったのだろう。去年でなかったエル・カリファが今年は出るようでホッとした。あのナトゥラルがまた観れるのかと思うと嬉しい。ホセ・トマスが3回、いや、4回出るかも知れないと言うのは本当だろうか?こんな発表を聞くとやる気を感じる。フリは2回。

 下山さんからビデオが届いた。ポンセはいつものポンセ。フリのコヒーダは、左角の方をパセすると変な動きをする牛だった。つまり、ナトゥラルをするときである。コヒーダはナトゥラルの途中で牛が体の方に来て上に首を振ったら左角がフリの上唇を縦に切り裂いた。血が滴る。相当痛いのだろうが口に入る血を吐き出したりしながらファエナを続けた。あっという間に鼻の下から顎までが鮮血で染まった。パセの度に観客は、「オーレ」 を叫んだ。剣が決まり耳2枚。フリの父親はコヒーダの時は割と落ち着いていたが、剣刺しが終わってタブラに引き上げてきた息子の傷を観たら急に泣き出した。あれは睾丸が恐怖で固くなったのだろう。鼻の下から縦に唇の裂け、上唇は二つになっていた。アナウンサーのフェルナンドは、「He`roico!He`roico Juli!」(英雄的な、勇敢なフリ!) と叫んでいた。

 ハビエル・カスターニョは、怪我で左のこめかみのあたりに大きな絆創膏を貼っての闘牛。ファエナは、牛の直ぐ近くでクルサードしてムレタを振ってパセを繰り返した。足を止めたままパセを左右に通したりとにかく動かないでファエナをする。こういう闘牛は観客に緊張感を与える。フリが牛との距離を今一理解していない感じだするがカスターニョはそれを把握している。これで闘牛全体の構成力などが経験を積むことによって上手くなればホセ・トマスのようになる可能性を感じる。そうなれば地味さが逆にいようとも思える緊張感を観客に与え闘牛場は興奮に包まれるだろう。剣はちょっとずれていたが、牛が直ぐ倒れ耳1枚。緊張感のある良い闘牛だった。

 昨日のサッカーで俊輔がトルシエに酷評されたそうだ。「パスは繋がるが前に行かない」というのが理由だそうだ。三都主の評価の方が良かった。スピードある突破力が攻撃に幅を持たせたからだろう。小笠原満男の名前は、盛岡をそのまま感じさせる。小笠原と言う名字は盛岡なら必ずクラスに1人はいるし、満男と言う名前だってそうだ。その小笠原が司令塔に入って機能したことは代表チームにとって大きな収穫だった。

 昔、トルシエに、「もっと自己表現しなければ」と酷評されたが、昨日の結果にはトルシエも納得だろう。小笠原は、「何が自己表現なのかわからない。プレー(でみせること)が一番大事だと思う」 と言っていつも自然体でプレーしているようだ。三都主や俊輔のような気負いがない。それが本当の意味での代表の戦力になっていくような気がする。「けっぱれ!小笠原!」(けっぱれはがんばれと言う岩手弁) 僕は、がんばれと言う言葉は大嫌いだ。でも、意味としてではなく、音としてそう言いたい。そう言うのも言葉のあり方の一つだろう。

 日刊スポーツに載ったジーコのコメントは辛辣だ。タイトルは「戦術ない中途半端な攻守」 コメントは、「得点場面以外は、見るべきものはなかった。」 「後半は、中盤の選手が代わったことで、より攻撃的になった。スピードがあったし、試合の流れが良くなった。攻撃的オプション、守備的オプション、戦術的な選手起用はあるだろう。だが、間違ってもらっては困る。もう、テストの時期ではない。W杯まであとわずか、いかに戦術を浸透させるかが大事だ。もう少し固定したメンバーで戦っていくことが必要なのだ。」と書いている。新戦力の、 ◎小笠原満男 ついにチャンスを生かした。タイミングのいいシュート。高い位置での守備。後半に見せたプレーは、この日一番光っていた。スピード、闘志。攻撃陣を引っ張っていた。 ○中村俊輔 左に入ることで、生きてくる。クラブとは違うポジションでも、クラブでの仕事と同じことをしていた。何本もサイドを突破していたし、クロスボールも悪くはなかった。と、評価したが、三都主と市川にはトルシエと違って辛かった。

 ジーコがこれだけ辛辣なのも、日本が決勝トーナメントに進出することを前提にして話しているからだ。昨日の試合では失点は免れないだろうと言う判断からだ。

 その後やったNHKのピクシーの特集を観て泣いた。番組の中で柱谷が言っていたが、「中田や俊輔なんかがああ言うプレーをするようになったのもピクシーがいたからでしょう。彼が95年MVPを取ったときは手がつけられなかった。判っていても止められなかった。」 Jリーグが開幕したとき鹿島のジーコがいなかったらその後、大物外国人選手がこれほど来なかっただろう。もし、ピクシーがいなかったら本当の意味でのパスで組立相手を崩し得点を取る。そう言うサッカーの面白さをグランド上で具体的に日本人に教えたのはピクシーだったと思う。タイムリーなときにこの番組を放送したNHKも凄いものだ。今更ながら思うけど、何で俺はピクシーの試合をグランドで見なかったのだろう。馬鹿じゃないの本当に。

 番組でピクシーが何故日本で選手生活を終えようと思ったかが語られていた。制裁措置が解けて8年ぶりに出場したフランス、ワールド・カップで得点したときユーゴスラビアの応援席に多くの日本人を観て感激したことを語っていた。人生の岐路で選択、決断させるのは以外と偶然が多いものだ。そして、この決断をさせるものも、理屈や正論などといったものではなく、感情のようだ。日本に来てもヨーロッパの有力クラブから何度もオファーがあったのをすべて断り、日本で選手生活を終えたストイコビッチ。彼の選択に間違いがなかったことを、日本のサッカーが発展することによって、いくつかある内の一つの証明になるような気がする。「ありがとう!ピクシー!ありがとう!ドラガン・ストイコビッチ!」

 古今亭志ん生 『猫の皿』 山田風太郎 『盗作忠臣蔵』 『殿様』 『一、二、三!』 『三剣鬼』 読了。


 3月23日(土)

 この前朝にNHKで立花隆が語っていた。「僕は著作が後世に残る仕事をしようとか思わない」 と、いきなり言っていたのでビックリした。うる覚えでその時のことを書くと、「敗戦の時、5歳で中国にいて日本に帰ってきた。帰ってくるまでも大変だったし、帰ってきてからも何もなかった。そういう混乱の中が立花隆の出発点にあるという。大学を卒業して雑誌社に就職。自分の興味のあるものなら書けるがそうでないものだと書く気がしない。それを言うと、「あいつは生意気だ」と言うことになる。だから僕は組織の中で生きていける人間じゃないんです。だから会社を辞めて色んなことをやりました。

 今、フリーターと言う人たちがいるでしょう。仕方がなくてやっている人はそうじゃないですが、自分で好きでやっている人は組織からはみ出して生きている人たちなんですよ。そう言う人が多くなったというのは僕は当然だと思います。僕は敗戦の混乱が当たり前だと思っているから、不安定な生活の方が安定した会社員よりずっと良いんです。

 「仕事は生活のためにやっている」 今までの生活をすべて投げ出して新しい生活をするって言うことはあるんですか?と言う質問に対して、「そういうことは憧れですね。あるかも知れません」 と、言っていた。これを聞いていて風太郎を思いだした。戦後の人生を、全部余録と言った風太郎を。この2人の天才が、くしくも同じ様なことを言っている。世代は違うがどちらも戦前、戦後の混乱を生きてきた。

 立花隆が、「僕は著作が後世に残る仕事をしようとか思わない」 と言うが彼の著作の影響の大きさと言ったら今更言うまでもないことだ。風太郎だってそうだ。これもそんなこと言ってみたいが、俺が言えるのは、不安定な生活の方が安心できると言うことくらいだ。

「   「それで結局は斬首の刑を受けられたのですが、拙者たまたま土佐に滞在中にて、とくにたのんで、刑を受けるまえの岡田どのに面会させてもらったのです。あの御仁のなされた所業の是非はべつとして、何十人もの人を斬るということは用意ならぬ度胸です。その罪にくむべく、その人畏るべし。・・・・・・そもそもいかなる心境に達すれば、あれほどのことがしてのけられるかと」
 「・・・・・・」
 「以蔵どのの仰せには、おまえはまだ童貞だな、と問われ、拙者が左様です、と答えましたら、それはおまえの匂いでわかる。それでは話にならぬ、と一笑されました。女を知らずして、天下に何事のできることがあるか、とーーー」
 「・・・・・・」
 「なお、たずねましたら、ともかく京へいって縄手の廓にいるおえんという女を訪ねろ。どうせ童貞を破るなら、あれほどの名器をもった女に破ってもらうがよい。おまえが何をなそうと、何ができるかできぬか、わかるのはその後のことだ。・・・・・・」
 「・・・・・・」
 「ひとたびあの女と交わり、そのなさんとすることをなさなければ、ふたたびあの女とは交わらぬという誓いを心中にたてると、たいていのことはできる。・・・・・・ただし、わしは、そのことをなしたのち、ふたたびその女を訪ねると、もはやその夜はその女と交われなんだ、といわれましたが」
 「・・・・・・」
 「余人はしらず、この以蔵はそうであった。おまえいってためしてみろ。そうしてなさんとすることをなし終えてのち、なおその女と交わることができたらおまえはわしよりも上手だ。えらい奴だ、といわれました」
 「・・・・・・」
 若侍の眼はかがやいた。
 「何やらようわからぬふしもござりまするが、ともかくも以蔵どのにそのようなふしぎな力をあたえられた女人。・・・・・・是非、拙者にもためさせて下されい。力をあたえて下されい。・・・・・・」
 「あんた。・・・・・・人を殺すの?」
 「まさか」
 相手は笑った。
 「では何をしようというの?」
 「天下の大事です」
 颯爽として若侍は胸を張った。・・・・・人殺しには縁の遠い、美しい、清爽な姿であった。お円はそれを見ているうちに、全身が炎が燃え立って来た。
 「おいで、その力をあげる」
 と、彼女はしゃがれ声でいった。
 ーーーうすい月ののぼりはじめた鴨川の河原で、おえんは若侍の童貞を受け入れた。
 相手は実に活溌であったが、それにもかかわらず、このひとは童貞だということをおえんははっきり感じた。きよらかな水をゆたかに受けて、おえんの花は、いままでにいちどもなかったほど艶麗にひらき切った。
 「・・・・・・なるほど」
 と、若侍は叫んだ。感動の声であった。
 「以蔵どのの言葉が、よくわかりました!」 (中略)
 若侍が、また明夜、と言って颯爽と駆け去ったあと、おえんは河原の葦の中に両手をついて、なお残る嫋々たるむせび泣きとともにつぶやいた。
 「おまえさん、もう逢わないよ。・・・・・・せめてあたしに、一生にいちどだけ、男というものの美しい思い出だけを残させておくれ。・・・・・・いちどだけ、それがいいんだ。・・・・・・」  ーーー山田風太郎 『三剣鬼』 よりーーー

 幕末、京を舞台におえんと交合した、人斬り新兵衛こと、田中新兵衛、人斬り以蔵こと、岡田以蔵、人斬り彦斎こと、河上彦斎の話を、風太郎は 『三剣鬼』 として書いた。童貞では、なさんとすることができないということだ。男の童貞には価値がない。一方、処女には価値がある。そのなさんとすることをなす時もそうである。ジャンヌ・ダルクしかり、聖母マリアもキリストを出産後処女膜は再生されたと解釈するのがカトリック。これは科学ではなくオカルトの世界に近いが・・・。まっ、それはそれとしておいておいて、処女は捨てなくても、また捨てても価値があるのが女。男とは、基本的根本的に違う。

 それにしても風太郎、交合時の男の感情と女の感情の根本的な違い、ずれを、このように書いてしまうとは・・・。ガキの孤独感は、他者との接触を思って感じるものだが、大人の孤独感は、交合によって感じる孤独をいう。よって男は、そのなさんとすることをなさなければ、女と交わらなければならいと、いうことなのだろう。やっぱり、風太郎は凄いなぁ。

 他最近読んだ風太郎作品では、傑作だと思うのが、『売色奴刑』 『長脇差枯野抄』 だ。これはまた後で時間があったら書こう。こう書くと米ちゃんにいわれそうだ。いつ書くの?と。そんなの判らない。そのうち忘れて書かないのがパターンになっているようにも思うのだが。まっ、風太郎のことを面白がって読むのは女は少ないだろう。男でも少ないかも知れない。だから、いつ書くのとは言われないだろう。


 3月24日(日)

 水道橋の駅を降りると、「本日は野球もありますので帰りの乗車券を買っておいて下さい」と放送していた。野球など見に来る奴もいるもんだと思ったが、開幕直前の春休み。家族連れも多いのだろう。駅を出て直ぐのキオスクでは、内外タイムスは売ってなかった。WINSの中の売店に1部だけあったので買った。清水成駿が書いているかと思ったが書いてなかった。でも、土曜日にラジオでは久々に競馬評論家と言う肩書きで出演、予想を展開した。そのコメントにグッと引かれるものがあった。

 「高松宮記念はスプリント戦。スピード勝負。連勝できているショウナンカンプとアドマイヤコジーン。前走始めの3Fを32.0の猛スピードで押し切ったショウナンカンプがレースを作って行くでしょう。こっちを本命にしたいけど左回りだと内に刺さると言うことなので、対抗にして、本命はアドマイヤコジーンにします。2歳チャンピオンで長い間低迷してきましたけど厩舎の努力で立て直りました。東京新聞杯、阪急杯連勝は本物でしょう。」と、言うようなものだった。

 自分が考えていた事をまとめて貰ったようなコメントだった。だから今日はサンスポと内外タイムズの厩舎のコメントなどを頭でまとめればいいだけだった。馬券はそんなにお金を入れなかった。気分としては本命はショウナンカンプ。対抗は、アドマイヤコジーン。単穴は、トロットスター。そして、引退レースになる2歳牝馬チャンピオン、スティンガーが1200mは初めてだが、彼女のスピードで何とかならないものかと思ってこれも買った。馬券はワイド。3着までに来れば配当は低いが当たりになる馬券。そして、ショウナンカンプとアドマイヤコジーンの馬連を1点買った。

 馬券を買った後、WINSの下にある本屋に行った。いきなり目に入ってきたのが、高田文夫編集の、『笑芸人』 ーありがとう、名人芸 特集 古今亭志ん朝ー 値段を観ないでレジに持っていって1799円と言われたときはビックリした。帰りの電車でつらつらページをめくると、志ん生、馬生、志ん朝と親子の芸を観てきた、古今亭圓菊のコメントを読んでいたら目に玉のような涙がたまってきた。

 「強次のやつ、仙台まで行ったんだ。遠くまで行くもんだね、車ってのは」と志ん生は前座時代から外車に乗っている息子のことを圓菊に言ったそうだ。本名、美濃部強次。芸名、古今亭志ん朝。みんなで飲んでいて芸を褒めると、「勘弁してよ、ヨイショがすぎてダレるよ」と、言ったそうだ。本物の芸人は控えめで照れ屋で、洒落が利いている。名人志ん生の息子はボンボンだったが、彼も又、名人だった。スペインから帰ってきたらCDでも買おうかな。

 この前、お袋がTELで小三治が東屋と言う盛岡の有名なそば屋で落語会をやったと言っていた。小三治は毎年安比にスキーに来た帰りに落語会をやっているそうだ。小三治が死ぬ前に落語を聞きまくるのも名人落語を楽しむ最後の場かも知れない。片山先生と一緒に聞いたいな。他にも色々面白い芸人がいるのだろうけど最近聞いてないから判らない。

 高松宮杯は、ショウナンカンプの圧勝だった。芝の重賞経験もない、オープン馬がいきなりG1を勝つわけないだろうと言う常識を打ち破ったスピードの絶対値の違い。タキオン、ジャングルなどの最強の4歳世代。たまげた逃げ切り勝ち。左回りも何のその。これで右回りだったらどれだけ強いか。2着アドマイヤコジーン、3着スティンガー。いやー、久々の会心の馬券になった。てあんでぇー、べらぼーめ。強ぇーもんは強ぇーんだ!

 古今亭志ん生 『しじみ売り』 読了。落語を本で読むというのは邪道。が、このちくま文庫、『古典落語 志ん生集』 古今亭志ん生 飯島友治編 は、志ん生の話の前に、解説や用語の説明を4ページに渡ってひとつひとつ丁寧に書いているので勉強になった。荷風、漱石、風太郎の明治もの、江戸時代のものを読んでいるときに、参考になった。この本は昔筑摩から5巻か6巻のシリーズで出ていた志ん生集を一冊にまとめたものだろう。元本が欲しいなぁ。

 23日の結果。 カルタヘナ。アントニオ・モンデハル、耳1枚ともう1枚要求、耳2枚と尻尾要求。オルドニェス、耳1枚、耳2枚と尻尾1つ。フリ、耳2枚、耳2枚と尻尾1つ。 アルガル(カディス)。パコ・オヘダ、耳1枚、耳2枚と尻尾1つ。ペピン・リリア、耳2枚、耳2枚と尻尾1つ。ミウラ、耳1枚、耳2枚と尻尾1つ。 バエサ(ハエン)。フェルナンド・カマラ、耳1枚。マノロ・サンチェス、アニバル・ルイス、場内1周。

 カセレス。フェスティバル闘牛。騎馬闘牛士、ジョアオ・モウラ、耳なし。闘牛士、イガレス、耳1枚。ハビエル・バスケス、耳2枚。ペドゥリート・デ・ポルトゥガル、耳なし。カナレス・リベラ、耳2枚。ディエゴ・ウルディアレス、耳なし。 メディナ・デル・カンポ。フェスティバル闘牛。闘牛士、オルテガ・カノ、耳なし。エミリオ・ムニョス、耳1枚。フリオ・アパリシオ、耳なし。ミゲル・ロドリゲス、耳2枚。モランテ、耳なし。見習い闘牛士、マルティン・キンタナ、耳2枚。モレニト・デ・アランダ、場内1周。 ブルギジョス(セビージャ)。フェスティバル闘牛。ペペ・ルイス・バスケス、フェルナンド・セペダ、耳なし。ファン・ペドロ・ガラン、耳1枚。エル・シド、耳2枚。フランシスコ・ハビエル・コルパス、耳なし。エンリケ・ペニャ、耳1枚。ガブリエル・ルイス・カニト、耳1枚ともう1枚要求。


 3月25日(月)

 東京の桜はもう散り始めている。上野などでは、花見の場所取りで大変らしいが、桜花賞の頃は、葉桜か。

 ドバイであった競馬のワールド・カップは、期待のアグネスデジタル、トゥザヴィクトリーは、惨敗した。香港でのトランジットで9時間も待たされ、ドバイでは大雨が降りコースに砂を入れ替えるといるアクシデントが続き力を出すことが出来なかったようだ。

 高校生が、別れ話が縺れて相手を殺したらしい。桃井かおりが昔言った言葉を思い出した。「気を付けよう 別れ話と 逆恨み」

 クリスティーナ・サンチェスが、インタビューに応えて、闘牛がやりたくてウズウズしているそうだ。でも、闘牛士に復帰はしないそうだ。が、4月25,28日にマドリードの闘牛学校で闘牛をするそうだ。見に行こうかな。

 24日の結果。 マドリード。マノロ・サンチェス、ウセダ・レアル、アルフォンソ・ロメロ、耳なし。 サン・セバスティアン。ポンセ、フィニート、フリ、耳1枚。 ロス・バリオス(カディス)。オルテガ・カノ、耳なし。オヘダ、耳1枚ともう1枚要求。ハビエル・コンデ、場内1周。


 3月26日(火)

 これから辻元清美議員が辞職の記者会見をするようだ。国会での鈴木宗男議員の追求の急先鋒。「あなたは疑惑のデパートではなく、総合商社ですよ」 TVでキッパリと、啖呵を切る姿に清い政治家のイメージを持ったものだが、不正、嘘をついたことは彼女のイメージをすっかり傷つけた。色々ごねたことがこの人もやはり政治家だったのか、と思った人は多かったろう。これじゃ女の腐ったのになってなってしまう。早く辞めるべきだった。

 国会であのように目立ちすぎたことが、自民党のあの一派の激怒を買い、マスコミを使って暴露させて議員辞職に追い込んだのかも知れない。政治家の腹黒さはこのようなものかと、改めて、疑惑の巣窟、自民党の打たれ強さと、政治工作の汚さを感じる。一般人に近い辻元清美がそんな世界ではじき出されたのだ。政治という魔界に住むには無防備だったと言うことか。

 こう考えてくると、田中真紀子ってスゲーなぁ。親の七光りじゃすまなものがある。あれは天真爛漫に近い。あれじゃ自民党の黒幕たちもビビルだろう。こういう時代は、女たちが元気になるものだ。男なんかダメ。始めの会見で間違ったことを素直に謝った土井さんは立派。あれは男の政治家じゃなかなか出来ないことだ。土井さん、未だ元気そうだし、分けもなく元気なモーニング娘みたいなのもいる。女たちは元気だ。

 柳家小三治 『高砂や』 『芝浜』 読了。

 本を読んだら小三治のCDを聞きたくなった。『芝浜』 の女房がつく嘘は夫のためを思ってつく嘘。三年後の大晦日にそのことを告白する。この告白とこれを聞いた旦那の反応が感動的だ。人を立ち直らせるためにつく嘘は、夫婦の結びつきを固くする。人情話、『芝浜』 に出てくる女房は古典落語に出てくる人物の中でも最高のキャラクターだ。いやー、大した女房だ。こういう話を落語という形で残した庶民の文化に敬意を表したい。明治時代日本に来たモースなどの外国人たちが日本の男たちは何もしないで威張ってばかりいるが、女たちはそれに文句一つ言わず、しっかりしていて頭が下がる。と評したのを思い出した。


 3月27日(水)

 日本のマスコミは都合のいい記事ばかり書いている。ポーランドの監督が、「ワールドカップ(W杯)のダークホース」と日本を褒め上げている。と、書いている。それが一体なんだというのだろう。この前のウクライナ戦の後、三都主、市川、小笠原、と褒めていたけど、あの試合で褒めて良かったのは小笠原くらいだろう。ウクライナのサッカー雑誌の編集長かなんかがスポーツ新聞に書いていた記事は、「ガッカリした」というものだった。何にガッカリしたかと言えば、中盤を持たないサッカーをやっている日本にである。

 あの試合で日本がやったことは、ロングパスでゴールを狙うというサッカー。ウクライナ人ジャーナリストの意見は少なくとも日本のマスコミより的確だった。彼は、これじゃワールド・カップは全敗だろうと言ったがそういう予感を感じさせる内容だった。今度のポーランド戦では、中田、小野、稲本が帰ってくる。同じサッカーをしないだろうが、勝てるかどうかは判らない。内容を評価しないマスコミの眼しか持たない日本のファンは幼稚になる。

 辻元清美議員の辞職記者会見で、マスコミは、議員バッジを外すとき声を上げたり、最後の質問での発言などを聞いていて嫌気がした。その上、退場していく辻元清美議員に浴びせた捨て台詞的な無責任な言葉は何なんだろう。自分たちは正義の代弁者であるかのような高慢な言葉づかい。鈴木宗男に対してあんな事は言わない。何故なんだ。子供のような幼稚さだ。少なくともアメリカのマスコミならあんな事は言わないだろう。

 下調べや、事実究明のための取材をあの人たちは本気になってやっているとは思えない発言だ。ああ言う会見の場では、事実を究明する場ではないのだ。そのことすら判っていない。だから、宗男ちゃんを議員辞職させることすら出来ずにいるのだ。騒ぐだけで、ストーカーのように追いかけ回すだけで、問題解決できずにいるのはその体質になると思うのだが。

 筑紫哲也が言った言葉だけがマスコミの誠意を感じさせる。


 3月28日(木)

 やっぱり、中田と小野が入ると中盤がしっかりする。パスがスムーズに繋がってゲームを組み立てることが出来る。稲本はまるっきりダメだったが、市川はウクライナ戦よりずっと良かった。あんなに快勝するとは思わなかった。ただ未だ、ハイボールの競り合いには不安を覚える。ウクライナ戦では競りもしなかったが、ポーランド戦ではちゃんと競っていた。これで浮かれてちゃだめだ。

 TVチャンピオン、グルメマンガ王決定戦。マニアって凄いよな。良く読み込んでいるし良く知っている。ああ言うマンガを読んで料理を作ったら美味しいだろうな。でも食材にお金を掛けずに作ろうと思ってもアイディアをとって作れば上手に出来るだろう。番組の中で日本ぞばで焼きそばを作っていたが、あれと同じ様なことは夏やっている。それは、冷や麦で焼きそばを作っている。つゆでだけ食べていると飽きるので、そばつゆで具を炒めて食べるとなかなか美味しい。料理はやっぱりアイディアと工夫。最近やっているのはみそ汁でおじやを作るもの。馬鹿みたいなものでも美味しい。

 柳家小三治 『船徳』 読了。山田風太郎 『妖剣林田左文』 を読む。


 3月29日(金)

 下山さんはセビージャに帰ってセマナ・サンタを観てるのだろうか。昨日は1番盛り上がる木曜日だった。何年か前に観れる機会があったがそれを知らないで、闘牛に合わせて日曜日に行ってしまって、その話を聞いて一生観る機会がない様な気がしたことを思い出す。KKKの様なかぶりものを観ることもないのかと残念に思う。昔は貧乏人にお金を払って、セマナ・サンタの行列などに加えていたそうだが、今じゃ、金持ちが大金を払って参加する祭りになっているようだ。変われば変わるものだ。

 今週は寒い。風邪を引いた人も多いだろう。パレスチナの和平の進展は依然として思うように進まない。流血と憎悪が、あの土地に染みついているからだろうか。アメリカも頼りない。ここままだと大変なことになると思うのだが。


 3月30日(土)

 イスラエルが、パレスチナ自治区に侵攻し、PLOのアラファト議長を事実上軟禁状態にした。 「アメリカのパウエル国務長官は、「停戦プロセスを破壊したのがテロであることは明白だ」と述べ、パレスチナ過激派テロを非難。イスラエルに対しても、「軍事行動の結果を考慮すべきである」と言った。パウエル国務長官は、TELでイスラエルのシャロン首相との会談後会見し、「首相はアラファト議長を殺傷することはないと、我々に保証した」と語った。アラファト議長とも電話で連絡を取り、テロ組織を抑制するための断固たる措置を取るよう要求した。

 長官は会見で、「(テネット停戦案へ至る前提条件となる)ジニ調停案をイスラエルは受け入れ、パレスチナ側も受け入れる用意を整えつつあるところで自爆テロが起きた。我々は目標を見失ってはいけない」と語り、パレスチナ市民と国際社会に対し、テロを糾弾し、和平プロセス再開に協力するよう求めた。 」

 国連は、イスラエルのパレスチナ自治区への侵攻を非難。しかし、撤退を要求しているわけではない。過激派のテロに対抗して、イスラエルは国家テロ的な強行手段に訴えた。和平の道を模索しているときに自爆テロ。しかし、こういう状態を作ったのはもともとイギリス優柔不断な政策による。そこからユダヤ人とパレスチナ人の憎悪、戦争、流血、テロ、が繰り返されてきた。アメリカが、イスラエルの国家テロを容認したことは戦略として判らなくもないが、感情として怒りを感じる。こんなことで、停戦合意や、和平が来るとは思えない。アメリカは、公平ではない。それは明らかだ。イスラエルのような脅しだけで成り立っている国家が21世紀になっても存在していることが異常なのだ。

 この間、いきなり人の前に立って、「だー、だー」って顔を歪めながら言っている。吃音者のように一過性の言語障害。人間焦っていると、言いたいことが言葉にならないようだ。落語の八っさん、熊さんじゃあるまいし・・・。人間焦っていると、傍で見ている方は可笑しくなってしまう。こっちが、「XXXX」と言うと、「そう、そう」だって。その人がいなくなってから、腹を抱えて笑ってしまった。

 柳家小三治 『ろくろっ首』 山田風太郎 『妖剣林田左文』 読了。

 小三治の本は、講談社の+α文庫から出ている。本の後ろの方に、他の本の紹介が載っていてそれを読んでいたら軒並み欲しくなって、本屋に行って覗いてみた。そしたら、新たに欲しくなった本があったので買ってきた。伊藤玲子 『電子レンジ 新 レシピ200 春夏秋冬』(講談社の+α新書) 河合隼雄 『昔話の深層』 『ファンタジーを読む』 菅原正二 『ジャズ喫茶「ベイシー」の選択』ーぼくとジムランの酒とバラの日々ー 。

 ジャズ喫茶「ベイシー」の菅原正二(菅原とか小笠原とかは岩手に多い名字だ。こういう名字に憧れる)さんが、季刊「ステレオサウンド」に1988年から1992年に「ぼくとジムランの酒とバラの日々」と言うタイトルで書かれたものを中心になっている。単行本絶版後、去年文庫本になった。未だ、僕が盛岡にいた頃からジャズ喫茶「ベイシー」は有名だった。マスターがカウント・ベイシーを店に呼んでライブをさせたという話を聞いて驚いた。ギンギンの音が店内で響いていた。(今でも響いている)あとがきは、高橋克彦が書いている。ちょっと読んだが、感動ものの本だ。岩手から文化を発信する。羨ましすぎる。

 帰ってきて他の講談社の+α文庫を注文しに本屋に行ったら、注文していた、山田風太郎 『達磨峠の事件』 『人間魔界図巻』 神吉敬三 『プラドで見た夢』 G・ガルシア・マルケス 『物語の作り方』 が届いていた。『達磨峠の事件』 は、今まで単行本になっていない作品などを集めたもの。とても手に入れることが出来ないだろうと思っていた作品を収録したもので、これをおのおの雑誌などで集めようと思ったら物凄い時間と金がかかるだろう。編集をした日下三蔵さんには本当に頭が上がる気持ちだ。この本を出しただけでも涙もの。G・ガルシア・マルケス 『物語の作り方』 は、プロのシナリオライターとハバナで視聴者に訴えかけるストーリー作りの秘訣を語り合う。実践的な物語の作り方。

 29日の結果。 アルル(フランス)。ホセリート、耳なし。エウヘニオ、耳1枚。フリ、耳2枚。プエルタ・グランデ。 ベニドルム。ペピン・リリア、パディージャ、耳なし。エル・カリファ、耳1枚。 マドロニェラ(カセレス)。ラファエル・カミノ、耳1枚、耳2枚。エル・コルドベス、耳2枚が2回。ロベルト・コントゥレラス、耳2枚、耳2枚と尻尾1つ。


 3月31日(日)

 コーヒーのCMで、清志郎がギターを弾いて歌っていると、海岸の階段を昇ってきた黒木瞳が、「お上手ですね」といった後の清志郎のうつむき加減の表情がおかしい。

 サン・セバスティアンで見習い闘牛士、ハビエル・バルベルデが耳2枚切ってプエルタ・グランデした。

 30日の結果。 アルル(フランス)。アントニオ・ロサダ、アルフォンソ・ロメロ、耳なし。セバスティアン・カステージャ、耳1枚、耳2枚。プエルタ・グランデ。 アリカンテ、エスプラ、エル・カリファ、エンカボ、耳なし。 カブラ(コルドバ)。オルテガ・カノ、耳なし。カバジェーロ、耳1枚が2回。モランテ、耳なし。 マルベージャ。パコ・オヘダ、耳なし。フィニート、フリ、耳1枚。 マラガ。ホセリート、耳なし。ポンセ、耳1枚。ハビエル・コンデ、口笛が2回。 エジン。アンヘル・デ・ラ・ロサ。耳1枚、耳2枚。ビクトル・プエルト、耳1枚ともう1枚要求。オルドニェス、耳なし。


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