断腸亭日常日記 2017年 10月

--バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で--

por 斎藤祐司


過去の、断腸亭日常日記。  --バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で--

太い斜字で書いてある所は99年、2000年、2001年、2002年、2003年、2004年、2005年、2006年、2007年、2008年、2009年、2010年、2011年、2013年、2014年、2016年、2017年のスペイン滞在日記です。
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 10月3日(火) 雨のち曇 14418

 雨が上がりちょうどいい気温。ゆっくり歩きながら散歩した。近くのお寺でお参り。ついでに買い物もしてきた。最近は肉を買わない。豆腐や納豆、練り物が多い。焼きそばならぬ、焼きしらたきを作って食べた。炭水化物を出来るだけ取らないようにしているが、まったく食べなとダメなので、ご飯は2口くらい食べた。

 NHKスペシャル『人体』が、始まった。8回シリーズで、土曜日プロローグ「神秘の巨大ネットワーク」。司会は、タモリと山中伸弥(ノーベル賞)のダブル司会。ゲストは、石原ひとみ、博多大吉。久保田祐佳アナウンサー。「今、医学の世界で、これまでの「人体観」を覆す、巨大なパラダイムシフトが起こりつつある。今までは、人体のイメージと言えば、「脳が全体の司令塔となり、他の臓器はそれに従う」というものだった。ところが最新科学は、その常識を覆した。なんと、「体中の臓器が互いに直接情報をやりとりすることで、私たちの体は成り立っている」そんな驚きの事実が明らかになってきた。このいわば「臓器同士の会話」を知ることで、いま医療の世界に大革命が起きている。例えば、がんや認知症、メタボなどの悩ましい病気を克服する画期的な方法が成果をあげ始めているのだ。新たな医学の潮流の全貌を全8回にわたってご紹介する大型シリーズ「人体」。プロローグでは、最先端の顕微鏡技術でとらえられた驚異の体内映像と、がんを早期に発見する画期的な検診方法や、がんの再発を防ぐ新たな治療方法などの最前線を紹介しながら、シリーズの見どころを伝える。」 --NHK、HPより--

 番組の最後の部分はこうなっている。

 「山中伸弥 これだけ分かっても、研究者からすると、まだたぶん、全部が100とすると、10くらいしか分かっていない。ですから、これからやることが、まだまだ一杯あります。 石原ひとみ 最近私、友達との会話で、体の全身の中で、どこに心があるのかという話で、盛り上がったですけど。みんなは、心臓と言ったり、脳と言ったりとかいうんですけど、私その時、漠然と、「細胞」って言ったんですね。でも、今日の映像を観て、脳が指令出しているだけじゃなくて、それぞれの臓器が血管が細胞が、感情や意志をもって、メッセージを送ってるってことは、それで、自分の感情が出来て、心が出来るのかなと、思うと、私の考えは間違ってなかったのかなと、なんとなく・・・。 タモリ これ見ていると何となく、そうだよね。 石原 そう思いました。 山中 元々生物は、一個の細胞から出来てます。これだけ何十兆の細胞から出来るようになっても、やっぱり昔の記憶って言いますか、一個一個の細胞がある意味考えながら、色々なメッセージを出しているんだなぁというのが、僕もそう思います。 タモリ あの、凄いくだらない話なんですが。ずいぶん前に、何十年も前に、結局やらなかったネタがある。大腸が出てきてじゃべるんです。自分は臓器の中で、凄い低い位置に見なされている!と、言って切々とみんなに訴えるんです。どうも、肛門と直結しているから、他の臓器から馬鹿にされている。一番馬鹿にしているのは、脳だ。あの野郎は、脳は高い位置にいあがって、しかもクリエイティブなことは全部やる。お前たちは、やってりゃー良いてなことを言って、上から目線で、ずーとしゃべるんだよね。講演会で。で、ずーとカメラがと引くと、講演会のタイトルがある。「大腸語る」と書いてある。 山中 それタモリさん、それはまさに、僕が30年前に受けた医学教育は、ある意味それに近いものがあったんですね。脳とかごく少数の臓器が、メッセージを出して他の細胞は全部それに従うと。それが今は、全部の臓器が対等で。それ今からでも使えますよ。 みんな 笑う。 タモリ やっときゃ良かったよね。あまりにもくだらないんでやめたんだよね。」 --NHK『人体 プロローグ神秘の巨大ネットワーク』より--

 山中教授は、NHK『人体』を初めて放送した28年前に、タモリが出演していた番組を観ていたという。ちょうどその頃、研究者になろうと決めたころだったという。そして、今回タモリと一緒に番組で出演できることを喜んでいた。ノーベル賞ウィークに、始まった、『人体 神秘の巨大ネットワーク』。3月まで月1回の放送がすごく楽しみになった。


 10月4日(水) 曇 6548

 今週になり『ひよっこ』が終わり、『わろてんか』が始まった。京都の商家に生まれた、「てん」という名の、笑うのが好きな女の子の話だ。タイトルに、名前が入っている。そうじていえば、関東で作るNHKの朝ドラより、関西で作る朝ドラの方が、面白い。今日は満月。中秋の名月である。この前、放送された、『月の夜』がBSで形を変えて再放送している。橋本マナミが案内人をやっている。

 衆議院が解散して、総選挙に向けて政局が動いている。森友学園・加計問題を国会が開催されていない時期に、閉会中審査まで行った。国会が開催されれば、また野党に追及される。それを交わす為に、民進党の不倫スキャンダルに乗じて解散した。民進党の前原代表は、小池百合子の希望の党への合流し民進党の議員全員が立候補して当選を目指そうとした。イギリスのタイムズ紙は、政治的ハラキリと表現した。希望の党の小池百合子代表、リベラ主派議員は、公認しないことを明言した。そこで、代表選に出て前原と争った枝野幸男は、リベラル派の結党を模索し、連合と話し合ったりして、立憲民主党を結党した。それに共産党や社民党がくっつく構図で、3極に分かれた選挙戦になった。

 民進党が希望の党へ合流し、選別がされたとき、話が違うと民進党の議員たちなどは思っただろう。「名を捨て実を取る」と前原代表は言ったが、実も取れない現状だ。都民ファーストは、「身内ファースト」と安倍首相を批判したが、希望の党も同じように、「身内ファースト」になってリベラルを排除した。細川元総理が、そういう小池を、「こざかしい」と、表現した。

 「小池氏は日本新党結党以来、折に触れ、細川氏からアドバイスを受けてきた。希望の党の公認を巡り、リベラル勢力や首相経験者を選別することに「同志として小池氏を手助けしたいと考えてきたが、排除の論理を振り回し、戸惑っている。公認するのに踏み絵を踏ませるというのはなんともこざかしいやり方で『寛容な保守』の看板が泣く」と強く批判した。

 同じく日本新党出身の前原誠司民進党代表については「名を捨て実を取ると言ったが、状況をみていると、名も実も魂も取られてしまうのではないかと心配になる」と述べた。

 さらに自身が日本新党を結成したことを振り返り「政権交代という大目標に立ち向かうときは怒濤(どとう)のように攻め立てなければ成功しない」と、候補者擁立などで混迷する「小池の乱」に苦言を呈した。ただ、「首相を目指すのであれば、保守やリベラルにこだわらず、器量の大きい人でいてもらいたい」と、門下生への思いやりもにじませた。」 --毎日新聞より--

 細川元総理のような考え方なら、2大政党は、必要ないだろう。小沢一郎とは、根本的に感覚が違う。本来2大政党とは、アメリカのように、保守とリベラルに分かれる。しかし、細川の考えるのは、小政党の連立政権である。たぶん、小沢一郎の考えからは、古い。時代に合っていない考え方だろう。小池百合子も、細川風に言えば、度量の狭い政治家だろう。都民ファーストから2人の離党者が昨日出た。幹部に対する不満だという。いくら自分が看板でも、押さえつけると、こういうことになる。調和することを考えないといけないのに・・・。それにしても、みんな自分のことしか考えていない、政治家ばかりのような気がする。

 「私が西洋音楽、いわゆる西洋の近代音楽をやろうと思ったのは、西洋音楽にはアンサンブルというものがあったからです。いろんな違った生活をしている人たちがいて、例えばベートーヴェンならベートーヴェンという作曲家が書いた音楽を通して、異なったひとびとがひとつに調和する世界をつくりだす。そうした社会的な意味でのアンサンブルということに私はたいへん魅かれたのです。」 --『私たちの耳は聞こえているか』武満徹 著より--


 10月5日(木) 曇 13866

 昨日、札幌ドームでは、大谷翔平が先発し、4番を打った。2安打完封で10三振を取った。名月の夜に吠えていた。北海道で視聴率は、31%あったという。日本最後の登板で、4番を打ち完封。なんて男だ。来年から大リーグだ。夢が膨らむ中秋の名月だ。

 昨日、MEGUさん夫婦とシーラさんと飲んだ。美味しい料理だった。高野豆腐、いんげんの胡麻和え。当たり前の料理が美味しい。しめ鯖はまるで臭みがない。クジラの唐揚げも癖がない。そして、トイレに行って驚いた。扉を閉めたら気づいたのだ。この香りは。直ぐに分かった。ほうじ茶の香り。便器の横に、小皿の上にほうじ茶が乗っていた。妙に感動した。女将に訊いたら、ほうじ茶の出がらしを干したものを置いているのだという。それでも、これだけ香るとうのは、なかなかいいもんだと思った。昔は町を歩いていると、お茶屋さんの前では、ほうじ茶を煎っていて香りがしていた。うなぎ屋が、うなぎを焼く匂いと同じ効果だ。今の芳香剤よりもずっと風情がある。

 昨日は、カタルーニャ独立の話から始まった。一人で4票も5票も投票している。それで90%賛成と言っている。フェイクニュースで、流血している人や、流血している子供が写っている写真をネット上に乗せて、警官隊からの暴行でこうなったというようなやり方を、独立賛成派がやっていたようだ。それで、スペイン以外の国からの同情を得て、独立の方向に向かおうとしている。3日後に独立宣言をするらしい。

 そんな話やら近況報告などそれぞれして、そういえば今日は、中秋の名月なんだよねという話になったので、BSで観た、『月の夜』の中に出てきた話をした。「文豪・夏目漱石は、I LOVE YOU. を、なんと訳したか。」と、言ったら、旦那さんは、「愛してます」と言い、MEGUさんは、「好きです」と言った。シーラさんも同じようなことを言った。では、なんと訳したか。

 「月がキレイですね。」

 と、いうと、MEGUさんも、シーラさんも、「素敵~!」と、言ったので、思わず笑ってしまった。女の人の反応は面白いと思った。

 「橋本マナミ すごく正剛さんは、月がものすごくお好きって伺ったんですが。 松岡正剛 ええ、ええ、ええ。元々何か、自分が夜更かしとか、学校行くのが朝が嫌だとか、怪しいとか、変とか、おかしいとか、裏があるとか、大体そういう物が好きなんです。ところが、月を見たとき、あっ、これかと。地球とは別にもう一つのアナザー・ワールドがある。誰だってもう一人の自分がいるとか、もう一つ世界があるとか、アリスのような国があるとか、これをルナティックセンスというんですけどね。 橋本 ルネティックセンス。 松岡 月ぽいことルナティックというんですが。 橋本 ちょっと怪しいこと。 松岡 怪しい、怪しい。普通英語でルネティックっていうと、変じゃないとか、お前、ルネティックとかクレージーとかいう意味なんです。 橋本 太陽ってすごく光り輝いていて素敵なものだと思うんですけど。 松岡 太陽が嫌いなんです。 橋本 ハハハ。(笑う)太陽が嫌いなんですか。 松岡 ようするに、健康とか、それから正しいとか、健全とかが、嫌いなんですね。嫌いというか、野暮なんですね。粋じゃない。 橋本 粋じゃない。 松岡 リフレクションといいますよね、反射する。月は太陽の光で輝いているわけですよね。で、自分で輝くには、おそらく、場合によっては芸能界もそうかもしれませんが、作家も、スポーツ選手も、相手がいないと、輝かないですよね。一人でやるだけでは。そうするとリフレクティブな美しさとか、存在感とか、みんなの何かの輝き、みんなに光ってもらっているものによって、輝いていく。つまり、何か月には自分だけでいいやってものがないんですよ。太陽は自分だけあればすべて生命が作れたし、地球も作れた。それもないとダメなんですよ。ないとダメなんだけれども、それを、輝きをもらっている月の方が、ちょっとおしゃれで、粋で、野暮ったくないと。 橋本 なるほど。 松岡 とかなんとかで、こりゃ月だよな。月男にならないと。 ・・・

 松岡 ・・・日本の美意識の中には、少ないとか、無いとか、とっても大事なんですよね。何もないところなのに、ここに何かがあるかもしれないと、思うことが日本の造形とか美とか、形を作る。 橋本 うーん。想像力みたいなものですか。 松岡 そうイマジネーションですね。だから、マイナスの想像力を持つことによって、プラスを頭の中と、お互いに持つ。それは引き算の美ですね。日本は長らく江戸時代まで、明治維新まで、ずっと太陰暦っていいますけど、月齢とか、二日とか二日月とか満月だとか、そういう月の満ち欠けがカレンダーになってて、そういうものが体の中まで、お月さんが入ってるかもしれない。月が好きになるかもしれないということは、ある意味、私たちが表ざたになっているものではない。まだ、秘められた記憶を月が持っていのかなと、だんだん勝手に思いはじめて・・・。」 --NHKBS『絶景にっぽん月の夜』より--

 漱石は、頭が柔らかいのかなと思った。同じように当時、鴎外や荷風も外国で暮らし帰国した。鴎外は、ドイツだからというわけでなく、軍医になって毎日同じ場所を同じ時間に通っていたわけで、「I LOVE YOU. 」を漱石の様には、訳さないだろう。荷風は、元幕臣の家の女を相手に浮名を流したが、だからと言って、「I LOVE YOU. 」を、「月がキレイですね。」とは、訳さないだろう。漱石の訳は、江戸から明治に変わって行く日本の中で、滅びゆく日本を感じさせる訳になっているような気がする。3人の中で、1番ロマンティストだったのだろう。鴎外も荷風の様に、ドイツから女が追って来たりとかいう事件を起こしているので、現実的だったのだろう。そして、文学作品でいえばやっぱり、鴎外より、荷風の方が面白いし、それより、漱石の方が100年後の今でも多くの人に読まれている。これから100年経っても残るのは、この3人の中では、漱石だろう。荷風は少なくても日記は残ると思うけど・・・。

 2軒目の前、深川不動尊へ向かった。そこで4人で、中秋の名月観る。お参りして写真を撮る。月を見上げていたら、通った人が月を見上げて、「あっ」を言って月を見ていた。雲に微妙に隠れているような感じの月。日本人は古来から、快晴の中で観る月より、雲から顔を出した月を愛でたり、盃に写った月を見て飲み干したり、水に写った月を眺めたりした。月が見れない昼でも、卵を月に見立てて、月見そばと言って食べた。今なら、ビルのガラスに映る月を見たりするのだろう。そして、漱石のように言う。「月がキレイですね。」、と。

 ビクトリーノ・マルティン・アンドレスが死亡した。葬式も行われた。偉大な牧場主だった。多くの闘牛関係者が参列した。僕がサン・イシドロを見始めた頃は、最終日はミウラ牧場だったが、いつの間にかビクトリーノ・マルティン牧場になっていた。マヌエル・カバジョーロやエル・シドが、ビクトリーノ・マルティン牧場の牛でプエルタ・グランデ通過したのが、印象に残る。そして、昨日からホセ・トマスがテンタデロを始めた様だ。本当なら嬉しい。これも月の仕業?


 10月6日(金) 曇のち雨 10260

 切符を持っているのに、西武対日本ハム戦に行かなかった。大谷は登板の後なので、出ないのが分かっていたし、菊池雄星の先発もないことは、ローテーションで分かる。だから、観るモノがないのだ。買ってあった切符は無駄になった。それも、しょうがない。年頭に、大谷を見ようと思って、球場に通おうと思っていたが、思うように観れなかった。でも、かえって大リーグに行った方が、BSで中継をやってくれるから、一杯観れるのかもしれないと思っている。

 シーラさんが持ってきた袋から出して見せたのは、藤井聡太四段の本だった。新幹線の移動で読んできたと言っていた。藤井四段の地元愛知では、老いも若きも男女の区別なく、将棋ブームのようだ。7日(土)に、NHKの総合で、藤井四段の密着ドキュメントを放送することを言ったら、録画しようと言っていた。

 下山さんが帰国した時、葛飾・両国を一緒に歩いた。その時、両国で甘味屋に入った時に、幾代餅を言うのを食べた。花魁幾代太夫と所帯を持った搗き米屋奉公人、清蔵が、開いた店で売り出したのが、幾代餅。その噺が落語になっていることを、昨日の『落語THE MOVIE』を観ていて知った。なるほど、落語になるような有名な噺だったんだと感心した。幾代太夫が、年季が明け清蔵に嫁ぐのが三月十五日。つまり満月の日だ。日本人の美学にはこういう物があるのだと、改めて思った。そういえば今日は満月。中秋の名月と満月がずれることがあるのだ。

 ノーベル文学賞は、長崎生まれで5歳まで日本に住んでいたイギリス人作家、カズオ・イシグロが受賞した。日本人作家からの影響よりも、小津安二郎や成瀬巳喜男などの1950年代の日本映画により強い影響を受けたという。「多くのイシグロ作品を翻訳した土屋政雄はイシグロを非常に穏やかな人と述べた上で、いつかするだろうがノーベル文学賞の受賞はもう少し時間がかかると思っていたので今回の受賞には驚いたと語っている」(日本経済新聞)「イシグロ原作のドラマで主演だった綾瀬はるかは「主人公を演じさせて頂いた「わたしを離さないで」は私にとっても宝物です。」と撮影の前に東京とイギリスで主人公を演じるために直接会って、様々な話を聞かせて貰ったことは思い出として心に残っていると述べた。綾瀬自身はドラマ出演をきっかけにイシグロさんの作品を読むようになったが、更に多くの人たちが今回の受賞をきっかけに作品を読んで心に響くことを願いながら「本当にうれしいです」とイシグロのノーベル文学賞の受賞を喜んだ」(ライブドアニュース)


 10月7日(土) 雨のち曇 18237

 昨日の夜は雨が降っていて、寒かった。長袖でないと震えるくらい寒くなってきた。盛岡は、10度を切って秋本番に入っているようだ。ワールドカップ南米予選で、ブラジルもアルゼンチンもスコアレスドロー。あとは最終戦だけ。メッシのアルゼンチンは、6位に低迷している。最終戦勝たなければ、本選に出れなくなるかもしれない危機的な状況だ。スペインは、3-0で勝って本選出場を決めた。ピケも先発で出場した。セルヒオ・ラモスは、ピケとの関係を問われて、最高のビジネスパートナーと言ったという。セビージャ出身でレアル・マドリードのラモスは、リーガでは、クラシコで激闘を演じるが、ピケとは、スペイン代表で一緒だし、仲が良いことをメディアでは言っているようだ。実際二人は一緒に商売を始めるようだ。

 仲が良いというのは良いことだ。スペインとカタルーニャの関係もそうなって欲しいものだ。PP以外にも社会党なども独立反対の立場を取っているが、政府の対応については、批判している。違憲でも、警察隊を使わなくてもいいではないかということらしい。憲法裁判所の違憲判決が出ているのだから、投票を見守っていても良かったかもしれない。エル・パイスの世論調査の通りなら、独立反対票が多くなっていたはずだ。10日か11日に独立宣言をするかもという話も出ている。どうなるか?


 10月8日(日) 晴 15386

 天高く馬肥える秋。実りの秋。そして、芸術の秋。国立博物館は、東京では、『運慶』。京都は、『国宝』と目玉があり、国立西洋美術館では、『北斎とジャポニズム』。東京都美術館では、『ゴッホ展』と目白押し。どれから見ようかと迷ってしまう。北斎関連では、太田美術館、すみだ北斎美術館など。

 国宝を200点展示する京都国立博物館は、一期13日が4回。展示品が入れ替わっていつ観に行くのという感じで、迷うところ。雪舟を観るなら前半の10月29日まで。六道絵を観るならやはり同じ。長谷川等伯、久蔵を観るのも同じだ。しかし、1番観たいのは、神護寺に伝わる、『伝源頼朝』『伝平重盛』『伝源光能』の肖像画だ。山本健吉の『いのちとかたち』の中の初めの部分に出てくるからだ。この3点がそろうのは23年ぶりとからしい。これは後半の10月31日から11月26日まで。もし行くならこの時期になるだろう。

 東京だけでも凄いものが観れる。どれから行こうかと、考えるだけでも楽しい。


 10月9日(月) 曇 18688

 体操の世界選手権で、内村航平が跳馬の着地を決めたときに、怪我をして個人総合を棄権。連覇記録は途絶えた。白井健三が3位。種目別では、床と跳馬で、金メダル。そしてなんと、女子床で、村上茉愛も金メダルを取った。63年ぶりの快挙だという。

 体育の日の今日、大谷は最終戦で3番で出場したが、4打数無安打だった。崖っぷちのヤンキースは、田中将大が快投し中継ぎもそれに続いて1-0で勝ち、望みを繋いだ。明日、ポストシーズン先発予定のダルビッシュは、記者会見で、あんまりそういうことは考えずにいつも通り、シーズンと同じでちゃんと準備をしてなるべく長いイニングを投げて勝つチャンスを与えられるようなピッチングをしたいと思います」と言った。「ドジャース移籍後は投球フォームや配球など、球団の助言を受けて改良を重ねてきた。米メディアから「逆に変えなくていいと言われたことは?」との質問にダルビッシュは「ファーハン(・ザイディGM)と(アンドリュー・)フリードマン(編成本部長)の2人から言われたことなんですけど」と前置きした後、「『そのカッコいい顔だけは変えないで』と」と言って日米報道陣の爆笑を誘った。さらに会見場を出る間際に「JUST JOKING(ただの冗談)」との言葉を残し、再び、笑いを取った。」(デイリースポーツ)

 NHKの藤井聡太四段のドキュメントを観た。プロ初戦に竜王や元名人などが見守っていた。その指し手に驚いていた。29連勝を記録したが、その中で敗戦濃厚の状態。彼は子供の頃、将棋教室で、大会直前にいつも見せられていた映画があった。『燃えよドラゴン』。ブルース・リーの映画だ。

 文本力雄、将棋教室の先生 「将棋は頭脳の格闘技なんですよ。勝負の気迫を、より持っているほうが、おそらく勝ちに近いと思いますね。99.9パーセント負けている将棋でも、最後に相手が反則したら、勝ちがきますからね。」

 「そうだ。何か感じたか?考えずに感じるんだ。月を指差すのと似たようなものだ。指先に全神経を集めろ。さもないと栄光は得られん。」 ——『燃えよドラゴン』ブルース・リーの有名なセリフから——

 そして、指先に全神経を集中して指す。究極の選択を迫る一手。相手は、1分で十手先を読めず、指した手が形勢逆転に一手になった。勝負の分かれ目になった。中学生にして勝負師だよなぁ。面白いドキュメントだ。


 10月10日(火) 晴 14926

 8日バルセロナでは、35万人とも95万人とも言われる独立反対派のデモがあった。参加人数が違うのは、警察発表と、主催者発表が違うからだ。10日には、州議会で独立宣言をするとも言われている。銀行などが本社をバルセロナから、バレンシアへの移すことを決定した。顧客と株主の利益を守るためだという。現地企業にしてみれば、ユーロ圏離脱リスク回避したいからだ。そしてそのリスクから銀行株が下落している。

 武満徹の『音、沈黙と測りあえるほどに』を読み始めた。この本は読んでいると不思議な気分になる。ちょっと他の本とは違う。今まで感じたことがないような気持ちというか、感覚が生まれる。何故なのか解らない。解らないが・・・。

 「いわゆる<表現>がもつ虚構についての疑いをその蓋にしてはなるまい。それはけっして明らかにされるものではないが、作家がそれとむかいあうことが、表現といういわば足萎えの行為を生命的なものとする。表現のはじめは、まず、表現することに耐えられない自分を確認することなのではないか————。表現とは、世界が自分を意味づけるのではなくて、自分が世界に意味づけを行うことだ。そうすることで、世界のなかにある自分を確かめてみる。」

 「表現することは、けっして、自分と他を区別することではない。
 世界はいつまでも自分の傍(そば)にありながら、気附く時には遠くにある。だから世界を喚ぶには、自分に呼びかける他にはない。感覚のあざむきがちな働きかけを避けて自分の行動を降りることだ。その道だけが世界の豊かさに通じるものなのだから。
 芸術はすべて人為的な結末におわり、その点では虚偽なのだが、それを真実たらしめるものは何か?私は、その、眼にとらえられないものについてだけは架空のものとしたくない。」

 「私にとって世界は音であり、音は私をつらぬいて世界に環のようにつづいている。私は音にたいして積極的な意味づけをする。そうすることで音のなかにある自分を確かめてみる。これは私にとって、もっとも現実的なおこないなのだ。形づくるというのではなく、私は世界へつらなりたいと思う。」 --『音、沈黙と測りあえるほどに』武満徹より--


 10月11日(水) 晴/曇 12126

 昨日は29度あって、暑かった。今日はまだ過ごしやすい。今日は目覚ましを早目かけて何処行こうか考えようと思っていた。昨日寝る前じゃなくて、起きてから飯食いながら考えようと。結局行ったのは、国立博物館。でも『運慶展』ではなく、『フランス人間国宝展』の方だ。中に入ると、『運慶展』をやっている平成館前は列が出来ている。途中煙草を吸っていたら、平成館から出てきた人が隣に座ったので、訊くと、並んでいるけど、直ぐ入れること、でも中は混んでいることを言っていた。

 『フランス人間国宝展』は、ジャン・ジレルの曜変天目茶碗が観たかったからだ。会場入口前には、15人の匠たちの制作の映像が流れていた。天目茶碗が凄い数展示されていた。白い天目模様や、青い天目、そして、紫色の天目。凄いなと思った。40年間研究した成果がここにある。最年少38歳で人間国宝になったルヴァン・ル・グエンの扇子などは、折り紙のような感じだ。意外と面白いと思ったのは、銅板彫刻となっているが、銅板印刷。銅板に感光性ゼラチンで印刷する19世紀の技術のファニー・ブーシェ。

 「ノーベル平和賞受賞が決まった国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のメンバーが9日、ニューヨークの国連本部で記者会見を開き、核兵器を非合法化する「核兵器禁止条約」に参加しない米国や日本などの対応を批判し、改めて参加を呼びかけた。ICANのアジア太平洋地区を統括するティム・ライト氏は、日本政府が条約に署名・批准しない場合、「70年以上にわたって休むことなく核廃絶に取り組んできた被爆者への裏切りになる」と批判した。 また、ベアトリス・フィン事務局長は、トランプ米政権が禁止条約に参加しない方針を改めて明らかにしたことに、「予想できていた」と指摘。ノーベル賞受賞について「トランプ氏に核を放棄させることにはならないが、核兵器は容認できないという国民の声を受けて、政府は動かざるを得なくなる。ノーベル賞はより大きな機運となる」と意義を語った。」 --産経新聞より--

 カタルーニャ州政府は、独立宣言を数週間見送ると発表した。中央政府との対話を模索するという。中央政府は、緊急で閣議を招集した。自治権を剥奪して、直轄統治も辞さない構えで、対話になるかどうかは不明。


 10月12日(木) 晴/曇 11971

 六本木ミッドタウンにあるサントリー美術館へ行って、『狩野元信』を観てきた。観に行く気がなかったが、『日曜美術館』で、やっているのを観て、行きたくなった。狩野派の祖・正信の子で、中国の水墨画を書体になぞらえて、「真」「行」「草」の3種類に分類し、弟子たちに学ばせ、注文主の要求に応えた。扇子などの小物から屏風絵、障壁画を絵師集団で制作する体制を確立したという。また、土佐派の娘と政略結婚して、やまと絵の色彩や技法を取り入れて、狩野派の礎を確立したのだという。あの金箔を貼った金碧画も積極的に取り入れて、のちに狩野派の特徴にもなっていったようだ。絵師にして、プロデューサー的な存在だったという。そこに焦点を当てて元信関連絵などが展示がされていたことが素晴らしいと思った。狩野派って何者という今まであった疑問が解けた気がする。

 ずっと読みたいと思っていた、『吃音宣言』は、本ではなく、『音、沈黙と測りあえるほどに』という武満徹の本の中にある章のタイトルだった。ようやくそこまで進んできた。そして、吃音宣言は、どもりのマニフェストという副題がついていて、その横には、「親しい友人であるすばらしい二人の吃音家、羽仁進・大江健三郎に心からの敬意をもって」と添えられている。

 「ぼくは子供に訊いてみた。——きょう一日で何がいちばん楽しかった——
<たくさん遊んだことさ・・・・・・>
 ——何がいちばんつまらなかった——
<あんまりたくさん遊ばなかったこと・・・・・>
 子供の言葉は、大人の論理では解剖できない不思議な実態に漲(みなぎ)っている。それが言葉を生き生きと美しいものにする。子供がみせる突然の感情飛躍は、肉体の生理と精神の生理とが不可分だから、というより、それは肉体とか精神を超えた生命そのものの表れなのだ。太陽のように率直でかげりがない。衰弱した肉体と虚大な精神が、大人の言葉を貧しいものにしている。ぼくのように、子供の言葉は美しいなどというのが本来どうかしている証拠ではないか。   ・・・・・・

 ところで、自分を明確に人に伝える一つの方法として、ものをいう時に吃ってみてはどうだろうか。ベートーヴェンの第五が感動的なのは、運命が扉をたたくあの主題が、素晴らしく吃っているからだ。
 ダ・ダ・ダ・ダーン。
 ・・・・・・ダ・ダ・ダ・ダーン。
 吃ることで自分の言葉を、もういちどここで噛みしめてみる。内容が空転して吃るのでなければ、まあ、話し方は我慢できるというものだ。」 --『音、沈黙と測りあえるほどに』武満徹より--


 10月13日(金) 雨 13113

 昨日から降っている雨のせいだろう、寒い。一気に冬になったような天気だ。天気予報では、東京は11月下旬の陽気だという。吐く息が白くなりそうな寒さで、上着を着ていても寒いくらいだ。

 『わろてんか』は、店が傾き、新一が余命宣告をされ、結納も取り消され、すっかり家の中が暗くなる。

「新一 てんの笑顔みてたら、なんや調子がええわ。お父さん、どないしてる? てん いつも通り黙ってはって、背中丸めて座ってはる。 新一 この店を大きゅうして、お父はんを笑わせてやりたかったんやけどな。 てん あの仏頂面を笑わせるやなんて、出来ひんわ。 新一 笑う。これからは、お前がお父はんを笑わせるんやでぇ。 てん うちが。 新一 笑うということは、人間だけの特権なんや。 てん 特権? 新一 そうや。虫も動物も笑わへん。人間だけが笑える。なんでやと思う? てん さぁー。 新一 人間は、お金や地位や名誉を競い合い、はては戦争もする。アホな生き物や。人生いうんは、思い通りにならん。つらいことだらけだ。そやからこそ、笑いが必要になったんやと、僕は思う。 てん うなずく。 新一 つらい時こそ、笑うんや。みんなで笑うんや。 てん へえ。 新一 頼んだでぇ。 兄妹は笑顔で指切りをする。」 --NHK朝の連続テレビ小説『てん』より--


 10月14日(土) 雨/曇 10613

 寒くなった。雨もその一因。田中将大は、リーグ優勝決定戦の初戦で先発して好投したが、2点を失い、1-2で負けた。甘く入ったスライダーを打たれた。相手ピッチャーが良すぎた。こういう日もあるのがスポーツだ。

 カタルーニャ州政府は、独立宣言をした後に、その独立のプロセスを停止した発表したという。よく分からない内容だが、独立を期待していた、市民は顔をしかめて、州知事に罵声を浴びせたという。中央政府は、はっきりするように要請した。また、住民投票で、カタルーニャ警察が、投票阻止の行動していた治安警備隊や国家警察のスパイ活動していた事が明らかになった。なんだかよく分からない状況だ。


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