断腸亭日常日記 2011年

−−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−

por 斎藤祐司


過去の、断腸亭日常日記。  −−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−

太い斜字で書いてある所は99年、2000年、2001年、2002年、2003年、2004年、2005年、2006年、2007年、2008年、2009年、2010年のスペイン滞在日記です。

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12月17日〜12月31日

 2011年1月1日(土) 雪 1369 盛岡にて

 「企業とは何かを決めるのは顧客である。なぜなら顧客だけが、財やサービスに対する支払いの意志を持ち、経済資源を富に、モノを財貨に変えるからである。しかも顧客が価値を認め購入するものは、財やサービスそのものではない。財やサービスを提供するもの、すなわち効用である。
 企業目的は、顧客の創造である。したがって、企業は二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。それがマーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす。」 ーー 『マネジメント』 P・Fドラッカーより ーー

 『もしドラ』じゃないがドラッカーの、『マネジメント』から始めようと思う。


 ベンサムのいう、効用とは、苦痛より快楽、不幸より幸福、喜び。というバランスを意味している。  満足した愚者より、不満をもつソクラテスの方が良い。 ジョン・スチアート・ミル ーー『ハーバード白熱教室』マイケル・サンデルよりーー


 1月2日(日) 曇 5242 東京にて

 何もなくタダ一緒に両親といただけの正月。良いのか悪いのか判らないがそうした。一緒にいて食事をし、お茶を飲み、話をした。

 東京に戻ってきた。東京駅ではなく、上野駅で降りた。そして、直ぐに喫煙室へ。それから構内でラーメンを食べて帰ってきた。キャリーバッグにはプレステが入っている。弟がブルーレイが観れるからとくれたのだ。

 NHK『ハーバード白熱教室』を観ていると引き込まれてしまう。これが本でも出ているがTVの方がいい。これは字幕ではなく、吹き替えで行われている事から来ているのかも知れない。


 1月3日(月) 晴 4327

 『ハーバード白熱教室』で、マイケル・サンデルがいっていることは、自分と他者や社会との関わり合いの中で、事象について考えよ!といっている。その時の手がかりになる、「正義」や「道徳」を色々な哲学者の著者から紹介し、身近な事象を例にとって学生たちに提出して授業を進めている。実際の事象が出会ったときに、自分の考えと全く違った考えと持った人や、全く違った考え方と、どう対峙するかということを提示したり、どう対すればいいかということを説いているのではない。自分の生き方をこういう授業で考えいって欲しいという形で、提出しているのだと思う。

 考えるということを自己のみの中で帰結させるのではなく、自己と他者や社会の関わり合いの中で考え、変化させて行こうと言っている。その時に、自分の考えと全く違った考え方もあるのだという事を頭に入れて、他者や社会を意識して対峙する準備をすべきだと、注意喚起をしているようだ。こういう考え方は正しいと思う。こういう風になかなか辿り着けない。


 1月4日(火) 晴 27756

 『脳と日本人』松岡正剛 茂木健一郎の対談本の中で、松岡正剛が 「もともとわれわれには「物語の母型」のようなものが芽生えていたんだと思う。そこに記憶を保存する様式とか、言語のつながりぐあいとかのほうに過去と未来のわずかな差についての案出があって、その工夫が脳を刺激し、言語を活性化させたのではないか。そういう物語の母型をもった情報の保存様式によって、われわれは過去を語る人間になったのではないかという気がします。」 といっていた。

 神話などのその前、その前、とさかのぼっていくことについてのくだり P33−34の所だ。こういう考え方には、ある説得力があると思った。


 1月6日(木) 晴 48117/2

 今年初めての競馬は、東西の金杯。しかし、どちらも3着を外してしまった。それでもマイナスにならなかったのは、京都10レースでモンテクリスエスから流して当てたからだ。今週は土日月にも競馬があるので忙しい。月曜日中山の重賞、フェアリーステークスには、ダンスファンタジアが出走する。日曜日は、中山に行って観てこようと思っている。藤沢厩舎がわざわざこの時期に出走させるわけだからそれなりの意味があると思った方が良い。日曜日は、京都でシンザン記念がある。

 正月に録画した『メジャー 5』をまとめて観ていたらやっぱり泣いていた。どうして、主人公の茂野吾郎にシンパシーを感じてしまう。熱中して観ていたら時間を忘れて観ていた。燃える。そして、最後は燃え尽き症候群になってしまう。これからメジャー挑戦のシーズンが始まるのだが…。


 1月9日(日) 晴 42648/3

 寒い日が続いている。部屋が寒すぎてうんざりする。最近さつまいもを食べているせいか、お腹が張る。内閣を改造するらしい。官房長官を変えないと話にならないが、それすら未だにはっきりしない状態。非道い話だ。小沢一郎の国会での説明にしても何をやっているのかと思ってしまう。どっちもどっちという気がする。シンザン記念は、ドナウブルーが勝だろう。


 1月10日(月) 晴 30532

 伊達直人を名乗る人が福祉施設にランドセルと送ったのが、クリスマスの頃だったと思う。それから各地で、伊達直人を名乗る人たちがランドセルなどの複数のモノを福祉施設などに贈り物を届けている。これを最近では、タイガーマスク運動といっているそうだ。マンガ『タイガーマスク』の主人公伊達直人は、孤児で施設で育った。だからプロレスラーになってから、匿名で贈り物を贈っていた。今回の出来事は、それを真似た事から、こう呼ばれ出しているのだ。今日も伊達直人を名乗る人からの贈り物があった。

 ジャパン・シンドローム。高齢化社会で人口減少と経済低迷。そのことによって、人口減少に拍車がかかり、経済ももっと低迷する。このことを世界は注目しているという。こういう現象は世界で始めて日本で起こる。どう対応するのか、世界が学ぼうとしているのだという。しかし、この問題を解決する方法を見いだしていないのだ。もう地方では、問題が深刻化しだしているという。

 寒い中、中山競馬場へ行ってきた。フェアリーステークスに、ダンスファンタジアが出走したからだ。パドックを観ているとまだ子供だが、レースは完勝だった。センスが違った。能力とスピードが違った。これで再び、桜花賞への有力候補に復活した。シンザン記念では、1番人気のドナウブルーは、かかって勝負にならず5着に惨敗した。この時期の牝馬は特に難しいところがあるので、ダンスがそういう風にならなくて良かったとホッと胸を撫で下ろした。希望が膨らむ春が待っている。


 1月11日(火) 晴 11267

 ザック・ジャパンは、中東の地でアジアの洗礼を受けた。そう簡単にいかない。今回は、守りを固めてプレスをかけてボールを奪えばカウンター。それで先制されて苦しくなった。ロスタイムに吉田のヘッドで追いついたが負けるかと思った試合だった。アジアで勝たなければ、世界はない。

 突然尋ね来た人に、殺してやると、言われ、刺された老夫婦の老人が今朝死んだ。こういう事件が増えている気がする。恐ろしいことだ。


 1月12日(水) 晴 29579

 昨日から今日にかけて、全国各地に230件(箇所)の送りもが、伊達直人(タイガーマスク)などによって施設などに届けられた。星飛雄馬、矢吹丈などの名前もあったという。伊達直人と矢吹丈の2人は施設で育っている。星飛雄馬の父親の思いを押しつけられて少年時代を過ごしているので、決して恵まれているとは言えない。原作はいずれも梶原一騎。伊達直人をスカウトするのは、悪役レスラー養成機関「虎の穴」。矢吹丈をスカウトするのは、片目の丹下 段平。星一徹にして健全な精神の持ち主でない。丹下段平に至っては片目という身体的なハンデを持っている。そういう人でなければ、伊達直人、矢吹丈、星飛雄馬のような個性的な主人公の気持ちを動かすことが出来ないという、設定になっている。こういう物語の骨格を梶原一騎は考えてドラマが進むのだ。強烈なキャラクターには、強烈なキャラクターで対抗している。登場するライバルもまたそうである。

 こういうキャラクター同士のぶつかり合いだからこそ、面白い物語になっている。この当時、山田風太郎も、強烈なキャラクター同士のぶつかり合いで読者を獲得した。マンガ創世記のサンデーとマガジンの対抗意識も作者と読者を巻き込んで面白いマンガを連発した。


 1月13日(木) 晴 5568

 ホセ・トマスは、毎日40キロ自転車をこいでいるという。今年のことはまだ何も決まっていないが、これから動き出して行くのだろう。TVEの闘牛中継放送中止という暗いニュースもあるが、ホセ・トマスの近況を伝えるニュースを聞くと嬉しくなる。


 1月14日(金) 晴 29962

 ザック・ジャパンは、もうダメかと言うところで踏ん張って2−1で勝った。退場者を出して1人少ない状況での決勝点をあげたところに意味がある。ザッケローニ監督は、川島の退場シーンを、バックパスだと聞いている。ビデオで確認すると言い、審判については話したくないと不信感を語らなかった。それよりこういう状況で勝ったチームについて話した。さわやかな記者会見になったと思う。

 寒い。全国観測点の80%以上の所で氷点下を記録した。明日明後日の大学センター試験の日には荒れた天気になるそうだ。 『脳と日本人』を、読んでいたら、東大寺のお水取りを見に行きたくなった。3月13日未明に行われるという。近日中に調べて決定しようと思う。菅改造内閣が発表された。たちあがれ日本を離党した与謝野肇を経済財政担当相の起用した。消費税増税やTPP導入への布石にしたいようだ。

 夕方、床屋に行く。懐かしいカントリーソングが一杯かかっていた。久々に聴いた曲が多かった。映画『俺たちに明日はない』の導入曲。『 Foggy Mountain Breakdown 』Earl Scruggs And Friends もその一つ。映画の原題は、ボニー・アンド・クライド。大恐慌時代の銀行強盗の映画だ。アーサー・ベン監督のアメリカ・ニューシネマ。フェイ・ダナウェイとウォーレン・ビーティの出世作。銀行強盗をやって逃げるシーンで、曲がかかる。映画でもっと有名なシーンは、警官隊からの一斉射撃で蜂の巣状態で死ぬ残虐シーンは、死のバレイといわれ大反響を呼び、のちの映画制作に影響を与えた。何と言っても、バンジョーとフィドル(バイオリン)が印象に残る曲だ。東大全共闘議長だった山本義隆は当時、最近観た好きな映画はと問われて、『俺たちに明日はない』と何かのインタビューに応えている。『明日に向かって撃て』とは、言わなかった。


 1月15日(土) 晴のち曇 3564

 人心を得ているのは、菅直人では、伊達直人の方だ。内閣が改造されたからといって支持率がV字回復するとは思えない。ザック・ジャパンは、練習を再開したが、本田と松井が怪我のためにホテルでの調整となっている。明後日の試合には間に合うようにするのだろう。


 1月16日(日) 曇 26558

 NHK大河ドラマ『江』を観る。主演の上野樹里は、『のだめカンタービレ』で、主演のだめこと野田恵を演じた女優。のだめをちゃんと観てはいないが、どうも観る気にならなかった。しかし、『江』では、素晴らしい。これから1年観ていこうという気にさせられる。信長も存在感がある。秀吉の配役も面白い。家康も。

 今日の日経新春杯は、ルーラシップが圧勝。2着はヒルノダムール。3着がローズキングダム。武豊は、直線で外に出そうとして出せなく内を突いて僅差の3着になった。あそこで迷わずに乗っていたら2着になっていただろう。


 1月18日(火) 晴 33632/2

 久々に会った人間が、相変わらずの状況を抱えて、相変わらずの状態で暮らしていた。テンションなんかも変わらない。そうなると、すっと話が入っていける。そうすると笑って話が出来る。昔の知人の子供が著名な文学賞を受賞した。写真を観たが、目が親に似ている。注目の新人らしい。

 ザック・ジャパンは、サウジアラビアに、5−0で快勝。本田、松井を外しての完勝に未来を見据えた采配と賞賛する記事もある。


 1月20日(木) 晴 38211/2

 ABCにホセ・トマスの父親のインタビューが載っていた。それによると、復帰はシーズン半ばになるという。6月から復帰出来ればといっている。インタビュアーがバルセロナからというと、そう希望すると応えている。この中で使われている写真は、ラス・ベンタス闘牛場の入場行進後ブルラデロで喝采を浴びて挨拶にしに出てきたホセ・トマス。復帰後始めて出場した2008年6月5日のもの。それなのにインタビューではラス・ベンタス闘牛場のことは一言も出てこない。記事は最新情報に載せたが、印象としては今年ラス・ベンタス闘牛場には出場しないのかなと思った。

 ただし、ラス・ベンタス闘牛場の興行主タウロデルタは、是非とも出場して欲しいと思っているだろうから、サン・イシドロやアニベルサリオが終わった後の、観光客目当ての日曜日に呼ぼうとするのではないかと思う。それは、去年事故後、7月に復帰が一旦発表され時に、タウロデルタが、いつ開催しても良いので、是非来て欲しいとコメントを出している。これが参考になるだろう。さあ、どうなる。ホセ・トマス。まだ、リハビリをしている段階で、牧場へ行ってテンタデロを始めたわけではない。それを始めたいうニュースが入ってから出場交渉が始まるのだと思う。


 1月21日(金) 晴 3182

 今年の花粉の量は、多いところで去年の10倍飛ぶという。去年の猛暑が花粉量を増やしたという。こういう風になると今年から花粉症になる人が増えるような気がする。余りにも落差が激しいからだ。実際どうなるかは知らない。こういう研究をしている人っていないのかなぁ。誰かがやっていてもおかしくないデータ取りだ。東京ではクリスマスから雨が降っていない。しかし、各地では冬将軍の影響で大雪などで道路や鉄道に影響が出ている。水道管破裂で水が使えない所もある。

 ホセ・トマスがシーズン半ばまで出場しない事が判ったら、バレンシアのカルテルが決まり、そして、ベネフィセンシアのカルテルも決まった。ビクトリアーノ・デル・リオ牧場の牛で、ファン・モラ、モランテ・デ・ラ・プエブラ、エル・フリ。


 1月22日(土) 晴 23994

 昨日のアジアカップ決勝トーナメントの日本対カタール戦は、凄かった。先制され香川が同点に追いつき後半へ。吉田が2枚目のイエロー・カードを貰い退場。そのフリーキックを直接ゴールされ1−2。しかも1人少ない状況。それでも攻めた。そして、香川が同点ゴール。終了前には、長谷部のパスからゴール前にまた香川がドリブルで抜け出し倒される。本来ならPKだが、審判は流し横にいた伊野波が決めて逆転。ザッケローニのガッツ・ポーズには気持ちがこもっていた。強くなったよなぁ日本は。

 「カタール戦後 ザッケローニ監督会見 AFCアジアカップ2011
■彼らはこれ以上の戦いはできなかったと思う
 難しい試合になることは試合前から分かっていたが、非常に厳しい試合になった。常に(日本にとって)上り坂のゲームだった。相手の方がフィジカルが強く、それを前面に押し出すサッカーをやっていた。日本次第だったところは、いかにテンポを上げて、いかにスペースのあるところでプレーをするか。本音を言えば、やりたいようにやれたわけではないが、比較的狙い通りにできたとは思う。特に、狭いところへ狭いところへと行ってしまうと、相手のフィジカルに押しつぶされてしまうので、もっと広いところでやろうという話はしたが、それもまあまあできたと思う。最後は10人になってしまったが、結果的にウチの方がボールポゼッションが多かったし、データにもそのように出ている。また技術面だけでなく、10人になってから試合をひっくり返したということで、気持ちの面でも評価している。最後のゴールに関しても、DFの選手が点を決めたところに、日本の良さが出ていたと思う。

――ハーフタイムでの指示は? 後半の入りで選手が集中していないように見えたが(大住良之/フリーランス)

 前半の良くなかったところの修正を選手たちに伝えた。具体的には1つ目として、ペナルティーエリア外のこぼれ球を向こうは23番(セバスチャン)に当てて、そこからセカンドボールを早く詰めてくるので、ウチのDFとMFに「セカンドボールを先に触るぞ」と伝えた。2つ目に、スペースの狭いところにどうしても行ってしまうので「スペースを作って広いところでウチのサッカーをしよう」と話した。前後半の相手の立ち上がりの良さは分かっていたことなので、テクニカルミーティングで選手に話していたのだが、これは相手を褒めたたえるべきだと思う。正直、彼らはこれ以上の戦いはできなかったと思う。ウチが向こうの嫌なところを突いて、向こうも特長を前面に出してきて、これ以上の戦い方はできなかっただろう。しかしウチのミスから点を取られていたので、そのあたりのケアも必要だと思う。

■勇気をもって攻めたことがこの勝利に結びついた
――2点目を取られた後、どのように選手を鼓舞したのか? また10人になってから、何をどう変えたのか?(外国人記者)

 特に細かい指示を出したわけではないが、チームにバランスの良い戦い方をさせることを念頭に置いてフォーメーションを組んだ。前田の代わりにセンターバックの岩政を入れて、4人のディフェンスラインをそのままにして、2人のボランチに3人の攻撃的なMFを配置した。岡崎、本田圭、香川だ。さらに長谷部や伊野波、もしくは長友のどちらかが上がってくる攻撃的なサッカー。10人になったところで、普通のチームであれば守備重視になると思うが、やはり勇気をもって攻めていった。それが、この勝利に結びついたと思っている。
 ウチは10人になって選手が疲れていて、香川、岡崎、そして伊野波もいつもとは違う右サイドのポジションゆえの疲れもあった中、よくやってくれたと思う。(相手は日本より)数的優位になった中でも、攻撃の形は変えずに23番に当ててこぼれ球を狙ってきた。その意味でも、ウチにチャンスをくれたのかもしれないとも思っている。

――カタールのメツ監督が日本がカタールを怖がっていた(※)と話していたが、満足できなかった点を教えてほしい(外国人記者)

 相手には敬意を払わねばならない。カタールは開催国だし、勢いはあった。だからウチがやってはいけなかったのは、相手の土俵に上がってしまうこと。フィジカルのつぶし合いなったら、ウチが不利になるということを伝えた。狭いスペースではなく、広いところでウチのサッカーをやらないといけないと思っていた。
 先ほども言ったが、ウチが常にそれができていたわけではない。今後の課題というか気なったところは、状況によってもっとスピードを上げていなかいといけない。今日の試合でも、ウチのDF間でのパスが多く、なかなか前に進めない状況もあった。ただ、カタールもいい出来だったし、相手もいることなので仕方がないとは思っている。もうひとつの課題として(相手の)2点目。そんなに強いシュートでもなかったし、あれがゴールになってしまったのは、ウチに反省すべきところがあったからだと思う。

■次の試合は11人で終われればいい
――10人になってからの3−2の勝利、しかも終了間際に開催国を相手に逆転勝利を収めたことについて、自身のさい配に満足しているか? またイタリアのさい配術は、世界でもトップレベルにあると思うか?(外国人記者)

 2つある。1つは、世界的に見てイタリアの指導者は守備重視で、自分たちの良さを出すよりも、相手の良いところをつぶしていくというイメージが一般的だと思うが、今日はそうではないイタリア人もいることを発信できたことはうれしく思う。もう1つ。わたしは日本代表監督になった時から、このチームには勇気とバランスをもって戦ってくれと(選手に)伝えてきたし、そのコンセプトをもってやっている。今後も相手がどこであれ、相手の力に左右されることなく、勇気をもって日本のサッカーをやっていくのが、このチームの目標である。

――香川について、今日の彼は2000万ユーロ(約22億5000万円)の価値のあるプレーをしたと思うか?(外国人記者)

 わたしは強化部長ではないので、選手の値段を付けることはできない。監督なので彼がピッチ上でどれだけできるのか、またチームに何を与えるか、ということは分かっている。このチームでは、前のポジションで代え(の選手)が多くない中で、サイドから中央へ切り込むアタッカーとしての役割を担っている。それに関して、彼のプレーには満足している。今日の試合に関しては、前半は中盤に戻って(ボールを)もらいすぎていて、彼の良さを生かしていなかったが、後半はかなりワイドに開いて、彼らしいプレーができた時には、非常にいい動きができたと思う。とにかく、チームのために貢献してくれる、いい選手だと思う。

――この後、韓国とイランの勝者と試合をするが、どちらがやりやすいと考えるか?(韓国人記者)

 まず、この場を借りて岡崎選手の2人目のお子さんが生まれたことについて、おめでとうと言いたい。ここまで来たら強いチームしか残っていないので、特色こそ違えど、どこが来ても大差はないと考えている。それよりも、われわれがどれだけ「最後まで残りたい」という気持ちを持つか。また、どこが来てもわれわれが、相手よりもいい部分を出せるか、ということを考えたいと思う。次の試合は、11人で終われればいいのだが(苦笑)。

(ザッケローニ監督囲み)
 試合前に選手たちにアウエーでも勝ちにいく姿勢を見せないといけない、アウエーでも勝ち切らなければいけない、このチームはそうでなければいけないと言った。日本でやる時だけ勝つのではなく、外に出ても勝てるようなチームにしていきたい。
 今日の試合では10人になってもウチの選手たちは力があるから、引かないで戦えたことが良かった。怖かったのは相手が1人多くなってボールを回してくることだった。相手のスタイルは変わらず、23番に当ててきたので、ウチにとっては有利だった。
 香川のゴールも大切だが、彼にはゴールだけを望んでいるわけではない。チームのためにやってくれと話している。時に、彼はチームのことを考え過ぎて、今日の前半のように引き過ぎてしまったりする。だが、チームにとって大切な選手だと選手自身が自負しているから、やはり犠牲心を持ってやってくれているのではないか。

■カタール代表メツ監督
「われわれは日本を恐れさせた」
 テクニカルな面でもスキルの面でも、いい試合だったと思う。日本というビッグチームに対して、われわれカタールはフィジカルでもタクティクスでも優位に戦っていた。その点でわれわれは賞賛されるべきだと思う。カタールはその強さを全世界に披露することができたし、われわれは日本を恐れさせた。ただし非常にハイレベルな試合だったため、選手たちは肉体的に疲弊してしまった。3つの失点は、いずれもわれわれのミスによるものだ。だが、われわれは敗れこそしたが、誇るべき敗北であった。(それくらい)今日の試合のパフォーマンスについては非常に満足している。」 ーースポーツナビよりーー

 ドイツ人を魅了した香川真司。ドルトムント・ファンは、「カーガワ・シンジ」を何度も繰り返して歌って応援する。今日の朝は、同じように「カーガワ・シンジ」と何度も歌っていた。ザッケローニは、監督しての運を持っているが、スター性も持っていると思った。


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