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3月31日(月)

観る時間がなく「被取締役(とりしまられやく)新入社員」録画。
    到着便:
  • G・H・コックス編『アメリカ探偵作家クラブ傑作選(2)』(東京創元社)

3月30日(日)

観た映画:
  • スティーヴン・フリアーズ『クイーン(The Queen)』
    ブレア役、そっくり。 でももちろん実在の、しかも存命のエリザベス女王を美化することなく、しかも魅力的に演じきったヘレン・ミレンのひとり勝ち。 何事もてきぱきとした女王の命令に犬たちも絶対服従なのにはちょっと笑ってしまった。

    3月29日(土)

    「ちりとてちん」最終回。 喜代美の軌跡そのままのオープニングは、お母ちゃんとの伏線回収で今日はなし。 その代わり、産気づいた喜代美へ絶妙のタイミングで「ようこそのお運びで、厚く御礼申し上げます」の粋なこと!

    3月28日(金)

    観た映画(再見):
  • アラン・J・パクラ監督『ソフィーの選択 (Sophie's Choice)』(1982)
    Ample make this bed.
    Make this bed with awe;
    In it wait till judgment break
    Excellent and fair.

    Be its mattress straight,
    Be its pillow round;
    Let no sunrise' yellow noise
    Interrupt this ground.
    残念ながらまだDVD化されず、レンタル落ちビデオで。
    ニューヨークで寄る辺のないソフィーを助けた魅力的なユダヤ人「生化学者」ネイサン。 彼の「聖所=神殿」を埋めつくす膨大なナチ関係の資料。 絶賛されたメリル・ストリープの演技はもちろん、今回はネイサンを演じたケヴィン・クラインにも注目した。 むかし美術の授業で石膏デッサンをした時に「(見える部分だけでなく)向こう側も常に意識するように」と言われたのだけど、 ケヴィン・クラインのネイサンから通奏低音のように感じ取れる底知れぬ絶望(または孤独)、そこには自らの狂気に対する恐れもあったのかもしれない。
    「ソフィー、わかるか。おれたち死ぬんだ」

    ソフィーがネイサンと知り合うきっかけをつくり、 彼女の(有名なあの「選択(選別)」ではない)もう一方の選択にも重要な意味をもつ、エミリー・ディキンスンの静謐な詩。 運命を切りひらくことより、運命に従うことを自ら選んだソフィー。 おそらくネイサンはほんのわずかの間、愛情に満ち、あの美しいピアノを聴かせてくれたネイサンに戻ったのだろう。 寄り添う二人の、この世の苦しみから解放された安らかな表情にスティンゴの「審判の日ではない。ただの朝だった。美しく晴れあがった朝だった」という言葉が心にしみた。

    後半はソフィーの回想が中心で色調も抑えられ重いのだが、スティンゴ、ソフィー、ネイサンが親交を深める前半部分のブルックリンのアパートやコニー・アイランドでの映像は暖かい。 スティンゴの上着(夏生地のシアサッカーseersucker)を誉めたソフィーが、まだ拙い英語で"cocksucker"と言い間違えたのにはぎょっとした(字幕では「ストライプ」のつもりで「ストリップ」と言ったことになっている)。 そういうボキャブラリーを増やすところが、さすが下町ならではかもしれないけれど。 ブルックリンの長い吊橋を渡り故郷へ戻るスティンゴと一緒に、映画を観る私たちもブルックリンとソフィーとネイサン、その物語に別れを告げる。

    3月27日(木)

    大阪の骨董市で見つかった日本最古のアニメ「なまくら刀」が、修復され東京国立近代美術館フィルムセンター「発掘された映画たち2008」で4月24日から公開される。 初上映は大正6年、杖をついた按摩さんに人相の悪いお侍が斬りつけようとしてしっぺ返しを食らうシーンが朝のニュースで紹介されていた。 キャラクターの表情もなんともとぼけたいい感じ。 按摩さんといえば今夜の「とことん!石ノ森章太郎」で放映された「佐武と市捕物控」の市やんと同じ。 楽しい偶然が重なるものだ。

    原作を実際に見せながらコマ割りや効果音(文字)による斬新な表現について熱弁をふるっていたのは、(弟が昔『炎の転校生』を愛読していたっけ)島本和彦。 私も子供時代に観たアニメと初期の仮面ライダーシリーズ(V3まで)、「ホテル」「馬がゆく!」などの青年誌作品しか知らないので、なにもかもが新鮮。 いっぽう今夜の女性アシスタントは気のない相槌で、道路予算がマッサージ機に化けるような出演料の無駄遣いだなぁ。 男性アナウンサーひとりで進行すればよかったのに。
      職場そばの古書店にて:
    • トム・デミジョン『黒いアリス』(角川文庫)

    3月25日(火)

    吹田市にある大阪府立国際児童文学館。 橋下府知事、残して下さいね。
    『ホモ・ウォラント』という作品をリアルタイムで読んだ人はごく限られた年齢層のはずだが 連載されていた学研の「5年の科学」掲載号10冊のうち8冊ここに所蔵され、ネット申込でコピーしてもらえるそうだ。 「リリエンタール」の名前を初めて知った、当時5年生の私である。
    読んでいる漫画:
  • 真崎・守「はみだし野郎の伝説(1)(2)(3)」(小学館文庫)

    3月23日(日)

    週末帰ってきていた息子(山椒大夫)が猫を連れて下宿に戻った。 年末から預かっていた猫もすっかりなついてくれていたのだが。

    録画した番組:
  • NHK-BS2「とことん!石ノ森章太郎 仮面ライダー誕生」
  • NHKアーカイブス ETV8「世紀末・日仏美の交流〜エミール・ガレと加賀工芸〜」1990年2月15日放送
  • NHKアーカイブス「名画復元 〜表具師執念の技〜」1983年11月23日放送
    与謝蕪村の絵には、国宝、重要文化財に指定される作品が17点もあります。 その中に昭和44年、油性のフェルトペンで落書きされてしまった作品がありました。 番組は不可能と言われた「蘇鉄図」の修復作業に挑んだ、名古屋の表具師・武智光春さんの匠の技に迫ります。

    3月22日(土)

      到着便:
    • Van der Graaf Generator "Trisector" CD (CDV 3046)
    trisect /角の三等分
    trisector/角の三等分家
    コンパスと定規だけを使って、任意に与えられた角を三等分せよ。古代ギリシア以来有名なこの作図問題に、多くのアマチュア数学者が魅了され、あたら人生を棒に振った。なんと、数学的にきちんと解決されたのは、ギリシアから二千数百年も後のことで、しかも答えは「不可能」だった。その「不可能」を証明するためには、幾何学にとどまらない、一歩高い次元の数学が必要だったのだ。
    「BOOK」データベースより『角の三等分』 (ちくま学芸文庫)
    挑戦者たち。音楽は、またバンドという融合体はコンパスや定規、メトロノームで分割したり測ったりできるものじゃないからね。

    3月20日(木)

    観た番組:
  • 「家政婦は見た!有名進学塾マドンナ教師の妖しい秘密・年商1兆3000億受験産業を覗く」
    うっ、秋子さん(市原悦子)初恋の人は、前田吟……

    3月19日(水)

    仕事は休み。
    「佐武と市捕物控」特典映像のパイロット版(試写用に製作された映像)を観る。 なんだか佐武の顔が「サイボーグ009」のような丸っこい表情、等身なのだ。 (ロウソクの立っていない)アセチレン・ランプ似のキャラクターもいたり、ジャイアンやスネオがいつ出てきても違和感ない、なんだか別の作家のアニメみたいだ。 パイロット版のコミカルな持ち味と絵柄は幅広い年齢層を対象に製作されたものかもしれないが、好みでないためすかさず放映されたほうのオープニング映像で口なおし。

    3月19日(火)

    読んだ作品集:
  • 坂田靖子『パエトーン』(ハヤカワ文庫JA567)
    中編3編いずれも絵や絵描きを扱った作品で、とくに先日ミレーの「オフィーリア」を調べた直後だったので、冒頭からエリザベス・シダルの名前が出て「うわあっ、シンクロニシティだ」と感激。
    この作品集のお目当ては巻末に収録の「孔雀の庭」。 (阿片の影響で)微妙にゆがんだ世界、空中楼閣の葉陰にうずくまる(たぶん羊歯やワラビの柄の)ガレのガラス、というイメージはいい。
    照ると曇るとで、雨にじめつく林の中のようすが間断なく移り変った。あるいはそこにありとある物すべて一時に微笑したように、隈なくあかみわたって、さのみ繁くもない樺のほそぼそとした幹は思いがけずも白絹めく、やさしい光沢を帯び、地上に散り布いた、細かな、落ち葉はにわかに日に映じてまばゆきまでに金色を放ち、頭をかきむしったようなパアポロトニク(蕨の類い)のみごとな茎、しかも熟えすぎた葡萄めく色を帯びたのが、際限もなくもつれつからみつして、目前に透かして見られた。(二葉亭四迷訳 ツルゲーネフ「あひびき」より)
    ワラビといえばこの「パアポロトニク」の語感が大好きだった。 そういえば「孔雀の庭」、孔雀の餌にまいていたトウモロコシの粒を主人公がつまみ食いした時の「クシクシ」という擬音がぴったりだ。

    3月18日(火)

      到着便:
    • 『佐武と市捕物控』DVD全13巻(ビーム・エンタティンメント)
    2006年の10枚組DVD-BOXセット中古は軒並み在庫切れか高いので、結局2001年に単品で発売されたものをセット購入。 枚数が多い分、また箱がない分収納スペースをとるが、BOXセットになぜか収録されなかったパイロット版がなんと13巻の特典映像についていた。 残りものには福がある。 それにしても真崎・守が絵コンテを切った回はさすがだ。

    3月16日(日)

    BGM : Peter Hammill "Ophelia"
    「フランス軍中尉の女」を読みながら、ネットで寄り道を。 ラファエル前派の画家ジョン・エヴァレット・ミレー(1829-1896)がエリザベス・シダルをモデルに描いた「オフィーリア」はテート・ブリテン(テート・ギャラリー)収蔵、実物を拝むには残念ながら遠すぎる。

    3月15日(土)

    • ヒルダ・ルイス『とぶ船 (The Ship That Flew)』(岩波書店)
    • アラン・J・パクラ監督『ソフィーの選択』VHS
    • カレル・ライス監督『フランス軍中尉の女』VHS
    未DVD化作品『ソフィーの選択』を探していたところ、いいタイミングで『フランス軍中尉の女』とセットの中古ビデオを見つけた。 『とぶ船』300円、ビデオ2本で1500円。

    3月14日(金)

    佐武と市捕物控のDVDは「店舗併売につき売切れ」残念でした。 業者からの出品でスカを引いたのは二度目か。
      到着便:
    • キングズリイ・エイミス『去勢』(サンリオSF文庫)
    • ケイト・ウィルヘルム『カインの市』(サンリオSF文庫)
    観た映画:
  • ニール・ジョーダン監督『狼の血族 (The Company of Wolves)』(1984)
    再見だが細かいところを忘れていたのでほとんど初見に近い。 「眉毛つながりに気をおつけ!」

    3月13日(木)

    仕事は休み。 うっかり更新してしまったIE7.0が気に入らないのと、なぜか映像の出なくなったWMPを元に戻すためシステムの復元を。 これが効いたのかどうかはわからないが画面の不具合はなんとか落ち着いている。 昨日に続き4月上旬並みの陽気とのことで、寝転んで猫をはべらせ本を読みながらトロトロと至福のひとときをすごす。

    夜テレビで知ったのだが今月NHK-BS2で石ノ森章太郎特集があるらしい。 放送当時親と一緒に、というか親も好きで観ていた「佐武と市捕物控」からも一話放送されるようだ。 つい調べてDVDを見つけてしまったのが運のつき、格安の中古を注文する。 画質はよくないが台詞の音声消去などの改変はないとのこと。 渋いナレーションと、オープニングテーマよもう一度。
    罪は憎いが憎まぬ人を、切るも切らぬも人の為。
    闇にきらめく男意気、おぼろ月夜の佐武と市

    3月12日(水)

    突然画面が真っ暗になったり、PCの調子がいまひとつ。
    読み始めた本:
  • ジョン・ファウルズ「フランス軍中尉の女(The French Lieutenant's Woman)」
    映画のほうも未見のままなのが幸いか。 表紙のメリル・ストリープの表情からうっとうしそうな物語だと勝手に決めつけて、それが今まで読まずにいた理由なのだが、人物の描写にウォーやアンガス・ウィルソンのようなじわじわっとしたおもしろみ(滋味)がある。 もったいない積読にようやく読むきっかけを作って下さったNさんには感謝である。 Nさんおっしゃるところのジョン・ラスキンはオックスフォードであのルイス・キャロルと交友があったというから(ぼそぼそ)。

    3月11日(火)

    VdGG日本公演のチケットが届いた。
    桂米朝「不動坊」「たちぎれ線香」を観るも、途中で眠ってしまう。 お子は横でPC使いながら「小糸、小糸」のくだりも聞いていたそうだ。

    3月10日(月)

    読んだ短編:
  • アルベルト・モラヴィア「金星の住人」
    アンソロジー『イタリア式恋愛』(角川文庫)所収。 SFじゃないよ。

    3月9日(日)

    久しぶりにブックオフへ連れて行ってもらい、しかも2軒ハシゴするも何も買わず。 新刊で出たばかりのマシスンの『奇術師の密室』も見かけたのに(あとがきも読んだのに)、なぜか手が伸びなかったな。

    観た映画:
  • シドニー・ルメット監督『デストラップ 死の罠 (Deathtrap)』
    地上波で深夜に放送されたもの。ケイン出演作だから何度も観ているが吹替え版は初めて。

    観た落語:
  • 桂米朝「地獄八景亡者戯」(平成2年4月22日 京都府立文化芸術会館)
    DVD「米朝落語全集」第十集より。 「ちりとてちん」の「地獄八景…」かんざしの振り方など四草の振り付けは、この時の米朝師匠の映像で練習したんだなぁ。

    3月8日(土)

    NHK朝の連ドラ「ちりとてちん」で紹介される落語の実際の高座を五夜連続で放送していたので、(深夜なので起きてはいられないが)予約録画していた。 それをちびちびと観ている。
  • 「愛宕山」 桂文枝
  • 「辻占茶屋」 林家染丸
  • 「ちりとてちん」 桂南光
  • 「たちぎれ線香」 桂文枝
  • 「はてなの茶碗」 桂米朝

    先日モンティパイソン吹替え版で久しぶりに声を聞いた広川太一郎さんの訃報を知る。 いろいろな映画やテレビ番組で親しんでいた声優さんなので寂しい。 安らかに。 ジーン・ワイルダーの声を吹替えた『ヤング・フランケンシュタイン』は、熊倉一雄など他の声優陣もすばらしく爆笑モノだった。

    3月7日(金)

    Anton CorbijnのDVDを観たり、録りだめた映画を観たり。
  • イングマール・ベルイマン監督『処女の泉 (Jungfrukallan)』(1960)
  • ベネット・ミラー監督『カポーティ (Capote)』(2005)
    『冷血』積読だ。

    3月6日(木)

    読んだ長編:
  • フレデリック・ダール「甦る旋律」
    フランス冒険小説大賞受賞作。情熱的な冒険譚はやっぱりラテン系の土地でなければ。 さくさく読め、さすがフランス恋愛サスペンスものだと感心しながら往復の車中で読了。 バルセロナ、若い画家、ヴァイオリンを持っていた記憶喪失の女性。 一気に読めたが「!」ばかりのテンションの高い会話はくたびれる。 女性はヴァイオリンを弾くうち失われた記憶を取り戻しかけるのだが、 画家が本人以上に過去に固執し(忘れてしまったほうがいい記憶だってあるだろうに)、単独でフランスへ戻りついに彼女の過去に辿り着く。 追っ手に彼女を渡すくらいならいっそ、と画家は思い切った行動に出て、あげく読者に残されたのは深い無力感。

    ちょうど読み終えたところで電車が駅に着き、あたふたと下車したため本を座席に(たぶんね)置き忘れてきた。 かけていた文庫カバーを失くしたことのほうが惜しい。 駅に問い合わせたのだが、夜11時を過ぎた頃改めて「駅・車輌・遺失物預かり所にも文庫本の登録はありませんでした」と電話をいただいた。 翌日登録される場合もあるため、もし届けられたら連絡して下さるとのこと。お忙しいところ申し訳ない。

    読んだ短編:
  • 「Calling You」
  • 「失はれる物語」
  • 「傷」
    遊びに来ていた隣の子(うちの子と同い年)が「読んで鬱になったからもういい」と置いていった乙一の短編集『失はれる物語』から拾い読み。 基本はホラーになるのだろうが、どの話も『バグダッド・カフェ』に流れた物憂げな歌声のようにたんたんと優しい。 ただどれも「どこかで読んだことがある」ような気がして心をあまり動かされないのだ。

    3月5日(水)

    読みおえた長編:
  • パトリック・クエンティン「わが子は殺人者 (My Son, the Murderer)」(1954)
    こんどのことは、ビルの試練であると同時に、私の試練でもあるのだ。 私の生涯は、これまでのところ、みじめな失敗の連続だった。 私は夫として失敗だった。 父親としても失敗だった。 ある意味では、ロニイ・シェルドンの友人としても失敗だったのだ。 こんどこそ、もう二度と失敗をくりかえすことはできない。(p186)
    時に暴走するダイハードな父性愛。 「パズル」シリーズの主役であるピーター&アイリスのダルース夫婦とトラント警部は脇役にまわり、この作品はピーターの兄で出版会社の副社長をしているジェークと息子との関係を中心に展開する物語。 明るいダルース夫婦も僧侶のようなトラント警部も好きなキャラクターである上に、この話にはもうひとつ「イギリス人作家と糟糠の妻、美しい娘、作家のパトロンの伯爵令嬢」という味つけが効いている。 イギリスの糟糠の妻は、鶏小屋の世話をして卵を売り家計を支えていたのだけど。

    3月4日(火)

    観た映画:
  • ロバート・マリガン監督『アラバマ物語 (To Kill a Mockingbird)』(1962)
    アカデミー主演男優賞(グレゴリー・ペック)、脚色賞、モノクロ美術賞
    原作:ハーパー・リー(Harper Lee)「アラバマ物語/ものまね鳥を殺すには」
    きれいな声で歌うだけで畑を荒らすこともないマネシツグミを撃ってはいけない、と弁護士の父親は子どもたちに言い聞かせる。 偏見に晒された社会的な弱者と重ねあわされる、自分自身の声を持たないマネシツグミ。それは白人の娘を強姦したという無実の罪をきせられたトムであり、また極度に内気な(おそらくなんらかの問題を抱えていると思われる)隣人「ブー」ことアーサー・ラドリーであり。 モノクロの画面は、南部に根強かった激しい人種差別を無言で伝えていたように思う。 そうそう、劇中"crime""guilt""sin"の三つの「罪」が使い分けられていた。

    語り手である女の子スカウトのきりっとした眉とまなざしが心に残った。 それから、先日読んだ短編に出てきたツリーハウスの実物を、映画の中で見られたのは幸運か。

    3月3日(月)

    読み終えた長編:
  • ロザリンド・アッシュ「蛾」
    幽霊譚というより運命の女の話か。 それにひきよせられる男たちも蛾、うすぎぬをまとった女も蛾、 文中にも「繭」とか「虫」とか……
    おもしろかったが「家」そのものにもっと魔性を感じられたらよかったのに。
    まるい円を描きながら、恐らく私は一年の出来事を魔法の輪で囲み、絶縁して無害なものにしたかったのである。 それから私はそうした出来事を一つ一つ、異国の蛾かなんぞのようにページにピンでとめるつもりだった。 しかし出発点にはもちろん戻れない。 中心が変って、くるりとまわしてもってきた線がすれ違いになる。(p8)

    3月2日(日)

    観た番組:
  • NHKスペシャル『激流中国 上海から先生がやってきた』
    経済成長のかげで、およそ6000万人の貧困人口を抱える中国農村部。貧しさの原因とは何なのか。彼らを救う手だてはあるのか。貧困地区を助けようと都会からやってきた若者たちの苦闘と農村の現実を半年間にわたって取材した。

    これまでに10万人が参加したという都会の若者が貧困を助ける支援プロジェクト。今年、黄土高原の最貧困地域、寧夏回族自治区西吉県に13人の若者が派遣された。メンバーの一人、上海の名門、復旦大学に通う梁佩思(りょうはいし)さん(22)は、外資系企業からの就職の誘いを断り、貧しい農村の高校で一年間のボランティア教師となることを決意した。
    しかし、苦労知らずの都会暮らしの梁さんを、想像を絶する日々が待ち受けていた。零下15度に冷え込む厳しい自然。具のない饅頭だけが、毎朝毎晩続く食事。あたりには故郷を捨てて移住した農家の跡が点在していた。 それでも子どもたちは、貧しさから抜け出すために、一心不乱に進学を目指す。梁さんは、生徒たちの家に通い、親身になって相談に乗り始めた。しかし、親の病気を治すにも借金が必要で、返済のために子どもは進学の道を断たれる悪循環。非情な経済の論理が急速に農村を蝕んでいる実態に、途方に暮れるばかりだった。

    若者たちの悪戦苦闘を通して、貧困の現実と彼女たちの心の葛藤を大自然をバックに描き出していく。(番組紹介より)

    3月1日(土)

    録画した映画:
  • スティーヴン・フリアーズ監督『クイーン (The Queen)』(2006)
    フリアーズ監督作品には初期4作(グリフターズ、プリック・アップ、マイ・ビューティフル・ランドレット、危険な関係)以降縁がなかったっけ。 好きな女優のひとりヘレン・ミレンは、お色気ぬきでもすごいらしい。

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