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11月30日(金)

    古書会館倉庫市(これだからやめられない)&到着便:
  • 日本推理小説大系16『現代十人集』(東都書房)
  • 江戸川乱歩・松本清張共編『推理小説作法 あなたもきっと書きたくなる』(光文社)
  • 別冊宝石93号『クェンティン&異色6人集』……パトQ「癲狂院殺人事件 (A Puzzle for Fools)」収録
  • 別冊宝石116号『アメリカ作家傑作集』……クレイグ・ライス変名(ジプシー・ローズ・リー)作品"The G-String Murders"収録
『現代十人集』はなんと3段組み。

11月29日(木)

    職場そばの中古盤専門店にて:
  • Motorpsycho "Angels and Daemons at Play" CD (PSYCHOBUBBLE 007)
  • Farmers Market "Farmers Market" CD (910 056-2)
  • Judee Sill "Live in London - The BBC Recordings 1972-1973" CD
Motorpsycho / Angels and Daemons at Play / CD (PSYCHOBUBBLE 007)
  1. Sideway Spiral
  2. Walking on the Water
  3. Heartattack Mac
  4. Pills, Powders Passion Plays
  5. In the Family
  6. Un Chien d'espace
  7. Sideway Spiral II
  8. Like Always
  9. Stalemate
  10. Starmelt, Lovelight
  11. Timothy's Monster
Motorpsycho 1997年のアルバム。 これはドイツ盤の通常版だが、3枚組EpセットやらボーナスCDつき二枚組もあるらしい。 再生開始より巻き戻すと隠しトラック。あはは、マレーネ・ディートリッヒも弾いたノコギリだ!
0. Ohm's Concerto for Alto and Sporano Saw

たまに大音量でかけたくなるノルウェーのバンド。 ここ数年リリースされたアルバムとJaga Jazzist hornsとのコラボくらいしか聴いていないというなんちゃってファンなので、メンバーの名前の読み方もわからなかったりするのだが、腹にずんとくる大曲の "Un Chien d'espace" なんかもう大好き。

"Pills, Powders and Passion Plays" はMotorpsycho + Jaga Jazzist hornsの"in the fishtank"でも聴けるね。

11月28日(水)

仕事は休み。

観た映画:
  • 『死刑台のエレベーター』
  • 『冒険者たち』
    どちらも音楽がすばらしく、リノ・ヴェンチュラ出演作だ。 『冒険者たち』では完全にドロンを食っている。ロケに使われたFort Boyard(ナポレオンが作らせたという要塞島)にも一度行ってみたい。 だいたい自分で見てみたいと思うのは『袋小路』の Lindisfarne (Holy Island)とか、"Monty Python and the Holy Grail" のドゥーン城とか、なんだか寂れたようなところばかりだ。

    11月27日(火)

      到着便:
    • F・W・クロフツ『スターヴェルの悲劇』(創元推理文庫)
    • ボアロー、ナルスジャック『死はいった、おそらく…』(HPB1140)
    • トマス・フラナガン『アデスタを吹く冷たい風』(HPB646)
    • J・P・マンシェット『狼が来た、城へ逃げろ (O Dingos, O Chateaux!)』(HPB1231)
    「死骸なんか日干しにしとけ」 「死体置場はいっぱい」 「方法に取り憑かれた男」などマンシェットの作品タイトルにはそそられるなぁ。 ところで「狼が来た、城へ逃げろ」を忠実に映画化したという"Folle à tuer"(1975)には、トーマス・ミリアンが胃潰瘍持ちの殺し屋トンプソン役で出演しているみたい。

    11月26日(月)

    読み終えた長編:
  • F・W・クロフツ「蜘蛛と蝿」
    う〜ん、この前に「フレンチ警部と賭博船(フレンチ警部の多忙な休暇)」の事件があったんだな。 とすればやっぱりそれも読まなきゃだな、と芋づる。 それにしてもテムズ川に面した庭から、橋を使わず自家用ボートで対岸と行き来できる家“River View(眺めの家)”、憧れるなぁ。

    11月25日(日)

    「点と線」後編を観る。 高橋克典(サラリーマン金太郎しか知らなかった)は拾い物、市原悦子は期待どおり! 鉄道ファンの目には小さなアラが目立ったかもしれないが、ドラマ全体は抑えた色調で当時の雰囲気をよく出していたと思う。

    F・W・クロフツ「蜘蛛と蝿 (A Losing Game)」を読み始める。原題は「勝ち目のない勝負」というところ?
    高利貸しアルバート・リーヴは、表向きの商売のかげで、じつはゆすり稼業を兼ねていた。他人の秘密をかぎつけると冷酷無惨、断じて妥協を許さぬ強硬な態度で“お客さん”をゆするのである。彼は蜘蛛、お客さんはその網にひっかかった蝿で、目下、37匹の蝿が、彼の手もとでカード式に分類整理されていた。 がそのうちの2件が焦げつきそうだった……
    「山師タラント」の時の苦い経験を思い起こすフレンチ。

    11月24日(土)

    テレビ朝日開局50周年記念ドラマスペシャル(そうですか)、松本清張原作「点と線」前編を観る。
    読み終えた長編:
  • パトリック・クェンティン「愚かものの失楽園 (Shadow of Guilt)」
    いったい、この女蕩しを殺した犯人は、だれなのか? 動機も機会もありすぎる。しかも、どの容疑者もみなシロと信じていい理由がある。 信じられないのは、女ごころの奥底にひそむ悪である。(文庫あらすじより)

    いったん、愚かものの楽園から蹴りだされたとなると、せめて、なぜ蹴りだされたか、理解するということは、ひとつの慰めだわ。(p220)
      ブックオフにて:
    • おおやちき『おじゃまさんリュリュ』(小学館文庫)
    • F・W・クロフツ『死の鉄路』(創元推理文庫)
    • F・W・クロフツ『製材所の秘密』(創元推理文庫)

    11月23日(金)

    松本清張ドラマ「張込み」(再放送)を観る。さだ子の一張羅の演出、いいね。後妻に入った家では寝たきりの舅と育ち盛りの子供たち。夫に家計を握られ精一杯家事をこなし節約をかさねて週に一度喫茶店で一杯のコーヒーを頼み煙草を吸うだけが息抜き。たけしも緒方直人もよかったけれど、買物の足をとめては高架から東京へ伸びる線路を見下ろす鶴田真由の疲れた後姿と、恋人と再会した時の表情の対比もよかった。

    11月22日(木)

    帰宅後のBGMは"Torment and Torreros" 時間の都合でdisc-2だけ。 『猿の惑星 征服』を観る。 コーネリアスに引き続き息子シーザー役も演じているロディ・マクドウォールの「眼」の演技!
      ヤフオクにて:
    • A・D・G『病める巨犬たちの夜 (la Nuit des grands chiens malades)』(HPB)
    昔の作品を追うあまり、最近の作家のことはとんと疎くなり。

    11月21日(水)

    読み終えた長編:
  • パトリック・クェンティン「悪女パズル」
    発表は1945年、物語の時代はもちろん第二次世界大戦中。 大富豪とはいえそのご時勢にリゾートだ。カジノに温水プール、こんな豊かな国と戦争したってとうてい勝ちめはなかったよ、日本。 ピーターとアイリスは今回もおしどり夫婦満開。 パズルシリーズはまだおっとりした感じだが、パトリック・クェンティン作品は後期になるほどサスペンス色が強くなるという。
    次もパトQ「愚か者の失楽園」。どんなアダムとイヴが登場するのやら……

    11月18日(日)

    読み終えた長編:
  • ボアロー、ナルスジャック「私のすべては一人の男」
    事故で損傷した身体の一部を移植された7人の男女に少しずつ異変が起こり始める。 移植された手足や臓器がもとの持ち主の特徴を示し出したのだ。

    「リュリュ」と彫られた刺青を(十字を切る)右腕に見つけ当惑する司祭。 新しい足が気に入り、もう片方の足を移植された女性に求婚する男。 別人のような画風で注目を浴び始めた左利きの画家。
    異変は徐々に彼らのも精神を蝕み始め……

    語り手の「どんな些細なことも疎かにせず」記録したという報告書を注意深く読んでいれば、とても手の込んだミステリとしても楽しめる風変わりな作品。 政府ぐるみのある計画に基づく人体実験に選ばれた7人の運命はともかく、1965年度黒いユーモア賞受賞作ということだけど、ユーモアの方はそれほど伝わらなかった。 おかしいことをまじめに書いていっそうおもしろい、という作品もあるので、訳者の方の資質にもよるのかな。
    お次はパトリック・クェンティン「悪女パズル」。

    11月17日(土)

    NHK-BS2で『猿の惑星』を観る。 まだ実家にいた頃テレビの洋画劇場でシリーズ全部観たなぁ。 三匹の猿の「見ざる・聞かざる・言わざる」を久々に。そういえば、原作者ピエール・ブールは第二次世界大戦中日本軍の捕虜だったんだよ……。 あのオランウータンはきっと日本人なんだよね、などと深読み。

    11月15日(木)

    ・ボアロ&ナルスジャック『仮面の男』(創元推理文庫)読み終える。
    仮面をかぶっていて、ひとはきまって、その仮面を真実の顔とうけとる。見当ちがいをして、そこに悲劇がはじまる。あらゆる我慢できないもののなかで、いちばん堪えがたい誤解の悲劇が。(p6)
    じわじわ。やみつきになりそうだ。 次は『私のすべては一人の男』を読もう。

    11月12日(月)

      到着便:
    • F・W・クロフツ『フレンチ警部と賭博船』(創元推理文庫)
    • J・J・マリック『ギデオン警視の危ない橋』(創元推理文庫)
    『フレンチ警部と賭博船』は新訳で出ているが、松原正訳で読んでみたかったのだ。 ギデオンものはこれでマジック1だ。うう、嬉しい。

    11月11日(日)

    新宿 (Peter Hammill 来日公演)− 東京 − 名古屋 − 帰宅

    さんざん夜遅くまで騒いだあげく、あつかましく昼食(うどんだ!)までお世話になることにして、紀伊国屋への買出しについて行く。 きのう降っていた雨も一応あがっているが、傘は手放せない一日になりそうだ。 閑静な住宅街、成熟した街並みならではの静けさ。 なんといっても駐車場の車からして違うんだもんね。 終日静かなのかと思いきや、ごく近所に学校があるため授業のある日はサル山(どんなだ)のような賑わいをみせているらしい。 うちの近所の小学校からもプールや運動会の日は先生がたの声が風に乗って届くけれど、季節の風物詩のようなものでそれなりの味わいがあるのだが。

    ミシェル・ダルベルトによる「きらきら星変奏曲」や、彼のピアノレッスン番組(フランス・ルーヴシエンヌにある、バリー伯爵夫人の音楽堂で収録したもの。インテリアがすばらしく、ずっしりとしたカーテンのタッセルを見るだけでうっとり。でもなぜかピアノは○A○A○A製)の録画を見せてもらう。 Tさんの傍らで相当耳が鍛えられたという奥さま、そのように影響し合えるご夫妻がうらやましい。 昼食のうどんもおいしく、健康は、まず手間を惜しまぬていねいな食からだね。 私も見習って肝に銘じたいものだ。暖かいもてなしを本当にありがとう。

    さて来た道を引き返し新宿へ。コインロッカーが全部ふさがり、仕方ないなー。 きのうは南口から出て往生したので、今日は東口から出てみる。 また迷う。 歌舞伎町交番で、新宿五丁目東交番で道を聞き、またも開場5分前にすべりこみセーフである。 実はこの間Niさんが2回もメールを送ってくれていたのだが、上記の状況でまったく携帯のチェックもしていなかった。 当日券が取れた、と知らせていてくれたのに! 高田馬場のパイソン関係上映会以来の再会が果たせたのに!

    Peter Hammill / live at Pit-inn / 11th Nov. 2007
    1. Don't Tell Me
    2. Just Good Friends
    3. This Side of Looking-Glass
    4. Confidence
    5. Friday Afternoon
    6. After the Show
    7. The Mousetrap
    8. Here Comes the Talkies
    9. The Lie
    10. Meanwhile My Mother
    11. Tenderness
    12. Faculty X
    13. In the End
    14. A Way Out
    15. Traintime
    16. Refugees (encore)
    生きている。
    たとえどれほど記録技術が進化しようとも、この生の迫力を超えることはできないと思い知る。
    この人自身のステージ (live)を五感で体験することが一番と思い知る。
    歌詞は印刷されたカードでなく、音楽は譜面でなく、彼自身の現在だ。
    voices projected, spears in mid-flight
    frozen forever.... oh let there be light!
    ライヴのしめくくりをこの曲で。 最高の"Traintime"だった。

    光あれ。


    会場でのCDの売れゆきも好調のようで、なにより。 3日間の楽しい東京滞在も終わろうとしている。 なんだか荷物が急に重く感じられだした。 後で聞いた話ではNiさんもライヴの後しばらく会場外のベンチで放心、月曜の便で旅立つUさんもPHファンの旧友の方と食事をするため会場のすぐそばまで来ていたそうだ。 ああ惜しい!ニアミスだ。

    新宿三丁目から地下鉄で移動し、かなり時間の余裕をみて東京駅へ。 一旦改札を出て、初めて東京駅を外から眺めてみる。 丸ビル地下のフードコートでタピオカミルクとパンで軽く済ませ、荷物の中を少し整理し、19時すぎの新幹線で帰る。 今回もいい思い出ばかりだった。

    11月10日(土)

    チェックアウト− 渋谷 − 神保町 − お茶の水 − 新宿 (Peter Hammill 来日公演)− 等々力

    ここは充実した朝食バイキングが売りで、看板に偽りなし。 きのうに引き続きの神保町詣で。 「雨の日一割引」という貼紙の古本屋では嬉しい買物だ。 古書店頭の均一本ワゴンにもビニールシートがかけられ、見づらいのは我慢しよう。 必ずしも安くはないが、実物を手にとって買おうかどうしようか悩むのも店頭での楽しみのひとつだ。

    先月名古屋でお会いしたNさんと、ライヴ会場Pit-innのある新宿へアクセスのいいお茶の水で待ち合わせ。 楽器屋やCDショップ(全部ディスクユニオンだけどさ)が多いね。神保町からてれてれ歩いても10分くらいか。 持ち寄ったダブリCDを交換し、Apples in Stereoのシングル集をいただく。わー。 Robert Schneiderと御大が共作した曲、どこのお蔵に入っているんだかね。 大学が近く場所がロッテリアだけに右も左も学生っぽい子ばっかりの中、山田風太郎、阿佐田哲也、高野文子などの話を。 「マヨネーズ」を深読みして顰蹙を買う困ったファンがいるという話。

    中央線に乗り込む。通過列車待ちか?なかなか発車しない。 周囲が急にそわそわし始め携帯で電話かけ始める人、席を立ちホームに下りる人。 「中央線で人身事故のため前の電車が詰まっております。新宿へお急ぎの方は総武線をご利用下さい」と何度も何度もアナウンスしているのにようやく気づく。飛び込みかい!総武線ってどこ!
    ホームの反対側でしたがな。

    新宿駅は出口ひとつ違えば別の顔をもつ。 道は入り組み、人は多く、目印の建物は見当たらず。 駅から会場までの手描きの地図を見せ「今どのへんでしょう?」と無理難題な道の訊き方に応じて下さった方々、特に店から地図まで出してきてくれた元気餃子 弄堂の女の子、ありがとう。Pit-innは横でした。 開場5分前に到着、前回PHのライヴでもご一緒させていただいたbさんと再会。 お子さんの試合と重なったがこの雨で順延になったというメールは、行き違いで読めなかったのだ。開演前に会えてよかった! 一日雨だが悪いことばかりじゃない、雨さまさまである。

    Peter Hammill / live at Pit-inn / 10th Nov. 2007
    1. My Room
    2. Too Many of My Yesterdays
    3. Time to Burn
    4. Empire of Delight
    5. Labour of Love
    6. Silver
    7. Bubble
    8. Your Tall Ship
    9. Gone Ahead
    10. (In the) Black Room
    11. Autumn
    12. Sleep Now
    13. Meanwhile My Mother
    14. Shell
    15. A Better Time
    16. Stranger Still
    17. The Birds (encore)
    前売チケットは完売。立ち見もびっしり並ぶなか、静まりかえった会場に懐かしい歌声が。
    Searching for diamonds in the sulphur mine ...

    "Your Tall Ship"では波さかまく大海原。アルバムタイトルにもなった「吠える40度線」。
    Roaring Fourties, Furious Fifties, そして、Shrieking Sixties.
    叫ぶ60代。 帆船の舳先に立ち、遠ざかる過去も目の前に広がる未来もすべて視界におさめ、かけがえのない「今」を歌うPeter Hammillの姿。

    歌を聴いているうち、ボルヘスを読みたくなる。エッシャーの絵を見たくなる。

    ああ、いつのまにか曲目は"A Better Time"になっていたんだ。
    演奏曲の最後に"Stranger Still" 、ステージ上の彼の旅はまだ続く。 枯れていない。 目的地はかなり先のようだ。
    まったく頼もしいかぎりである。


    終演後ファンとの交流会では今日飛行機で上京したHさんや日帰り予定のwさんともお話し。 PHには"Singularity" にサインを。大好きな"The Birds"を歌ってくれて嬉しい、と伝えると「The Birds?アリガトウ」と握手をしてくれた。 こんな感想では幼稚園児なみですな。

    明日どうしても都合がつかないbさんも日帰りだそうだ。 どしゃ降りのなか新宿駅に戻り、今日お世話になるTさんご夫妻宅へ。

    前回PH東京公演の初日にお店を訪問して以来3年ぶりだ。 分担しての台所仕事の合間に掛け合い漫才のような会話が入り、聞いているだけで楽しい。 酢豚に関しては揚げるのはTさん、細かい調整は奥さまの担当のようだ。 あまりのおいしさにお代わりをしてしまった。 なにしろ酢豚は、つくってもらいたいものの三本の指に入る料理なのだ。 食事の時は食事の話でもりあがるもので、あのヴェジタリアンCaptain Sensibleはなめこそばが好物だとか、 お寿司屋では魚の代わりに味つけしたお麩をネタに握りをつくってもらったとか、 キャプテン的に魚にはそれほど愛情はないんじゃないかとか(ウサギ第一)、 それはもう楽しかった。
    実は一週間後に書いているので相当記憶ちがいがあったことを、Tさんの指摘で発見:
    まずお寿司屋→○豆腐懐石料理屋のお寿司、 また肉と違い、(だしの成分は魚とわかりづらい)蕎麦つゆには抵抗がないのでは、とのこと。 あと好物は「月見蕎麦」(なめこそばは自分の好物だった)。 魚に愛がないなんて言っちゃってごめんなさいキャプテン〜
    おっとりした見かけからは想像もつかない少林寺拳法黒帯の奥さま、朝練、授業、部活、バイト、映画館と忙しい高校生活を送っていたそうで 古い洋画のパンフをどっさり見せてくれた。 「シベールの日曜日」「ミツバチのささやき」「マジック」「カッコーの巣の上で」それにポーランドとソビエト映画の数々。 あうあう。 ミツバチのささやきといえばアナ・トレント、アナ・トレントといえばカラスの飼育、といえばPorque te vas……キャプテンも大好きなJeanetteだ。

    食後は音楽を聴かせてもらったりMarc AlmondのライヴDVDを鑑賞したり。 12 YEARS OF TEARS - LIVE AT THE ROYAL ALBERT HALL 、"Vision"も歌っている。ショーとしては最高だ。 気持ちの入り方も最高だ。 これでもかと名曲やカヴァーの数々。シャンソンとスパニッシュはやっぱりお似合いだ。 衣装のファスナーは下げるもの(ジャンプスーツではたまにさりげなく上げ直していたりする)ですな。
    「気持ちは伝わるんだけどねー」Tさんの至言である。 「すてき!」といいつつ笑い転げる奥さま。 何か間違っているだろうか?見ればわかる。これでいいのだ。
      神保町&いただきもの:
    • F・W・クロフツ『ポンスン事件』(創元推理文庫)
    • マルセル・エイメ『第二の顔』(角川文庫)
    • C・M・コーンブルース『クリスマス・イヴ』(HPB3007)
    • The Apples in stereo "Science Faire" CD (PSCR 6072) ……Nさんより
    • CD-R×12枚 ……Tさんより

    11月9日(金)

    出発 − 名古屋 − 品川 − 六本木(アムステルダム国立美術館所蔵 フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展)− 神保町 − 日本橋(NEC U-Gallery / espressamente illy)− 五反田 (Tully's) − チェックイン − 渋谷近辺

    今秋亡くなった黒川紀章氏設計の国立新美術館。 順路としては17世紀オランダの風俗画から今回の目玉であるフェルメール「牛乳を注ぐ女」、蜀台やデルフト焼の食器などの工芸品や古楽器の展示、版画と素描の展示を経て、針仕事や拭き掃除、台所仕事など働く女性を主に描いた19世紀後半リアリズムの風俗画の展示と続く。 「牛乳を注ぐ女」すばらしい。 じっくり鑑賞した後はロビーの椅子でくつろぐ。 木製の三本脚、革張りの背もたれと座面のカーブが身体の線に沿い、深々と掛けたらそのまま天を仰いで眠ってしまいそうだ。 とにかくすわり心地が最高。
    ハンス・ウェグナーデザインのThree legged shellchair だった……。 モノを知らないということは恥ずかしい。
    神保町へ。途中利用した都営地下鉄三田線のホームゲートが珍しい。 目的地の神保町はもちろん右も左も前も後ろも新刊書店、出版社、古書店だらけ。 嬉しさのあまりアダルトもので有名な芳賀書店の写真まで撮った自分って一体……。

    食事する時間ももったいないと散策中、朝上京を知らせるメールを送っていた元上司より返信が。 シフト勤務だが今日は出勤日とのこと、急遽日本橋へ移動。 東京メトロ1日乗車券を買っているのさ。 店のコンセプトによりネクタイ禁止、ジーンズに白いポロシャツの元上司と実に十数年ぶりの再会(15年はたっているはず)、顔をみるなり「ちゃん」づけはこの年になるとかなり気恥ずかしいものがある。 おいしいエスプレッソと共にひとしきり古巣のおもろい懐かしい人たちの近況を情報交換。 この仕事に就いてから平日の休みが取れ、ゴルフが安くできると喜んでいた。 健康的に日焼けをし、腹も出ず。 もちろん還暦を過ぎてからのシフト勤務は生活のリズムに慣れるまで大変だったろうが、なんにせよ前向きな人だ。

    1時間半くらい居ついてしまっただろうか、Peter Hammill来日公演スタッフとして今回も活躍中のMさんが夕方少し時間が取れそうなのでこちらから移動。ブラッドオレンジジュース(エスプレッソのあとでまたコーヒーはきついね)飲みながら、前日の楽屋(らくや)公演の感想などを聞く。 いや、毎回すごいのはわかっているんですけれども。 セットリストを見せてもらい「何か違和感感じなかった?」と聞かれるも、はて? なんと今回ギターなし!休憩なし!メドレー!全編グランドピアノ。ほぼ身ひとつでやってきたとのこと。 このために来たんだからね。期待が高まりつつ、明日を待て。

    宿泊先へと向う。 ホテルは駅前徒歩0分、フロントの感じもよくきれいで禁煙ルームで好印象。 首都高速の車の音が気になる人にはおすすめしないが、私は平気。 夜は外食、もりそばと鯨の竜田揚げ、長芋のポン酢和えなどあっさりと。 NHK教育テレビで谷啓の「美の壺 FILE 69」を観ながら身体を伸ばそうと横になったとたん右足のむこうずねと足の甲がつる。 イカの背骨(なんというのか)のような筋がむこうずねを対角線に走っているのをみて鳥肌がたつ。 この痛みと腹立ちをぶつける相手もいず、諦めて就寝。
      神保町&いただきもの
    • マイクル・バタワース『アルバート公売ります』(HM137-1)
    • 『ユーモア・スケッチ抱腹編 エンサイクロペディア国の恋』(NV638)
    • シリル・M・コーンブルース『シンディック』(サンリオSF文庫)
    • 『千の脚をもつ男』(創元推理文庫)……Mさんより

    11月6日(火)

    読み終えた本:
  • F・W・クロフツ『山師タラント』
    天気のいい日曜日の朝、庭の手入れのまねごとをするのは、英国の典型的な世帯のあるじにとっては罪のない手すさびと思われるだろうが(p194)
    反対する夫人に無断で庭に小道をつけようと芝生を掘り起こしたとたん、仕事が入ってしまったフレンチ。夫人は外出中。 この庭仕事道具などの入った納屋が男の城、いわゆる"shed"ですね。

    アンナ・カヴァン『ジュリアとバズーカ』を読み始める。 現実と非現実の境目を揺れ動きながら、今自分がどちらに足を踏み込んでいるのかを分析しながら、そんな状態をむしろおもしろがっているようなカヴァン。
    「背骨の疾患からくる痛みにさいなまれながらも」
    ライス・ディヴィースによる「はじめに」を読む。交通事故で損傷した背骨の痛みから重度のヘロイン常用者になり、カヴァンと同じように過剰摂取で亡くなったソングライター、Judee Sillを連想する。

    11月4日(日)

      ブックオフにて:
    • イーヴリン・ウォー『囁きの霊園』(早川書房)……とてもきれいな新装版。

    11月3日(土)

    名古屋市交通局発行のドニチエコきっぷは土日、休日、毎月8日は600円で市営地下鉄・バス乗り放題の一日乗車券である。 今日は仕事でラグビー観戦(なんだそりゃ)の家人の車に同乗し、途中で降ろしてもらってドニチエコきっぷで古書店めぐり。 桜山で3軒、荒畑で1軒(臨時休業)、杁中で2軒(猫又文庫の店内はすごい事になっていた)、そして鶴舞の古書会館倉庫市へ。
    • Ngaio Marsh "Death of a Peer" (1940) Little, Brown And Company
      ナイオ・マーシュの『ランプリイ家の殺人』は10年前に国書刊行会から訳されているが、この本には1946年9月10日名古屋で買った旨の書き込みと持ち主の記名あり。 敗戦の翌年名古屋でミステリの原書の初版を買って読んでいた(のかな?)人がいるんだなぁ。
    • パトリック・ズュースキント『鳩』(同学社)
    • アンナ・カヴァン『ジュリアとバズーカ』(サンリオSF文庫)ほぼ新品の到着便。
    今日はお天気もよく、たくさん歩いた。 行きがけの車窓から見た満開のひまわり畑に目を疑った。もう11月だし、ふつうのより花が小ぶりだしあれは観賞用でなく何か収穫するんだよね、きっと。 遊佐未森の「ひまわり」という歌を思い出した。

    11月2日(金)

    • ルイ・C・トーマ『共犯の女』(HPB1022)
      民放で昭和59年にドラマ化されているようだ。脚本=佐藤繁子、出演=桃井かおり、篠田三郎、朝比奈順子、高田美和
    • F・W・クロフツ『蜘蛛と蝿』(創元推理文庫)
    • F・W・クロフツ『見えない敵』(創元推理文庫)ただいま通勤の供は「山師タラント」、クロフツのフレンチものが安く見つかったのは運がいい。
    • ナターリヤ・ソコローワ『旅に出る時ほほえみを』(サンリオSF文庫)
    • ロバート・F・ヤング『ピーナツバター作戦』(青心社)
    • 木原伸朗『鬱虫』(新潮社)ひょっとして奇書か!
      昆虫図鑑にも載っていない鬱虫とは一体何か。 長年人類の精神の排泄物を食って生きてきた黒い虫。 その虫が主人公の体内に住みつき、ある日「ゲエーッ!」という異様な音とともに口から飛び出し、悪臭を放ちながら課長の顔に飛びついたことから話ははじまる。

    11月1日(木)

    ヤフ○クで『女郎ぐも』があんなお値段で出品中。喉から手が出そうだ、出る、いや出せない。
    Nさんに間違った携帯番号を教えていたという新事実。そしていまだに自分の番号を覚えていないという旧事実。こんな状態で来週移動できるのか自分。東京駅ですでに途方に暮れそうなヤな予感のする自分。いやとにもかくにも、ライヴ会場へさえ辿り着ければ。駅の近くでよかったよ。
    ただいまの予習枚数 2枚。
    • ボアロー&ナルスジャック『ひそむ罠』(HPB1399)
    • ボアロー&ナルスジャック『影の顔』(HPB435)
    • ボアロー&ナルスジャック『私のすべては一人の男』(早川書房)

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