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11月30日(火)

今月は30日まで、いや31日までだったっけ?という時に唱えるのが「西向く侍(2、4、6、9、11は『士』)」。
『ペット・セマタリー』を読み終える。 視覚より嗅覚を刺激され気持ちが悪くなりかけた箇所が多かった。 読んでいる間これだけ苦しく切ない上に、暗闇の先にひとすじでも光が見えてくればまだしも、これではあまりにも救いがないではないか。

11月28日(日)

いつもびっくりするものを送って下さるIさん。荷物の本体は蔵臼金助氏監修の折り紙つき。
おまけは、1945年から1955年まで北米各地に滞在したジョルジュ・シムノンの『Simenon In America』の広告(「フライヤー」と書けばよかったのか)。 2002年製作1時間のドキュメンタリーらしい。 その解説に、当時彼の小説のひとつが赤狩りの対象となり姿を消したと書かれている。 作品は多いが翻訳は軒並み絶版という悪条件ゆえ年に数作読めれば御の字のシムノン、どの作品が赤狩りに遭ったのか調べてみると意外に簡単に見つかった。 性描写が問題になったという『The Girl In His Past 』だそうだ。 当時ヘンリー・ミラーとアナイス・ニンのカップルが彼の才能とヒューマニズムを高く評価し贔屓にしていた、ともあり『アナイスのために』はこのアナイスかとようやく思い当たった。

11月27日(土)

午前中は各戸で実施する消防設備点検の立会いで待機。 昼食に出かけた帰りに寄ったブックオフで、もう見つからないだろうとあきらめていたものがあっさり見つかる。
  • Badly Drawn Boy 『Have You Fed The Fish?』(TOCP-66125-26)
    初回限定Glastonbury Festival(2000年6月30日)ライヴCDつき2枚組で、Badly Drawn Boyはライヴアルバムを出していず、フェスで沸きかえった会場の雰囲気をそのままパッケージした特典CDが嬉しい。amazonマーケットプレイス出品のものは少し高いので見送っていたところ。 このへんの、腹筋の弱そうな(本当に弱いかどうか確かめたわけではないが)SSWのアルバム解説に定番の「彼女」が、好きなのは十分承知だがこれにもElliott Smithの談話を持ち出しているのには辟易する。

11月25日(木)

『ペット・セマタリー』上巻読み終える。 飼い猫の話は前哨戦に過ぎず、これからもっと怖くなるらしい。

クック様司会の音楽番組「Revolver」4回分を見て、Cars(NHK Young Music Show)ヒューストンのライヴを保存。 Kevin Ayersの九段会館のテープで見られるOllie Halsall(らしきもの)同様、左利きのギタリストが弾く姿はいつみても不思議な感じだ。

「黒革の手帳」の後、お子と「Angry Kid」DVDを見る。 英語字幕も出し、台詞が簡単なので読んでさらに笑っていた。 シーズン1には25のエピソードが収録されているが、一番おかしいのは、国は違えどいかにもありそうな車の中での父子バトル。

11月24日(水)

Uさんよりクック様関連DVD2枚と別口DVDが二つ同時に到着。 ミレニアム記念切手、ノーベル賞ホログラム切手もおもしろかったが、今回は季節柄「さむがりやのサンタ(Raymond Briggs)」シリーズを貼ってくれている。 1枚にはPeter Cook追悼番組が入っていて、トークショー?に出演した晩年の(そわそわした様子でじっと座っていられないようだ)姿が哀しい。 別口DVDは「Angry Kid - season 1」、主人公の少年は大昔の「忍者ハットリくん」のように実写の身体にプラスチック(ラバーか)成型のマスク(顔)がついているが、ひとつのエピソードに400種類ものマスクを付け替えてコマ撮りするという手のかかったアニメーション (もし知っていたら、これを持参したのにな、と独り言)。生身の俳優は忍耐以外のなにものでもない。 英語字幕も出せ、それっぽい音楽つきの怪しい西班牙・仏・日本語(風)ヴァージョンも特典に収録されている。 これは明日ゆっくり見ようっと。

11月23日(火)

勤労感謝の日。 Sさんからお借りしたVHSテープ2本目はMTVからの録音その他。 ストーンズ東京公演ドキュメント(1990)に登場した巨大な風船人形アンジーちゃんにびっくり。 Captain Sensibleが出演しているDoctor & The Medics「Waterloo」が目当てだったが、最後に3曲入っているユニコーンPVなどDVDつきBOXセットを持っているほど好きだからやっぱり見てしまう。 二郎さんの「デーゲーム」はいつ見てもいいなぁ。

11月22日(月)

半年放置していた『Fragments Out Of Time』『In Still Life』その他からのコンパイル12枚組『Pilgrimage』後半6枚分のジャケットを簡単に作成する。 カタチから入る性格のせいで(我ながらよくないと思うがどうにもならない)、きちんとジャケットを作り収録曲を印刷するまで中身を聴く気にならなかった。 聴いた後で慌てて、今までまともに読んだことがなかったPawn Hearts Societyの成り立ちに目を通す。 今更になるが、これらすべての演奏が、ファンにより大切に受け継がれてきたテープからのフラグメンツだということがわかる。

Boy From The Moon / The Milk and Honey Band / promoCD (APECD009)
  1. Boy From The Moon
  2. Way Too Long
エアプレイ用に再録音(Andy Partridgeがバッキングヴォーカルとギターパートを追加)したシングル。 送料の方が高くついたという代物。 「Boy From The Moon」はM&HBを初めて聴いた曲で、一度で気に入り、好きな曲だからと気軽に注文したら(購入画面をよく読んでいなかった)サイン入りだったのは嬉しいサプライズ。

11月21日(日)

Sさんからお借りしたVHSテープ3本が到着。 wowowで放送されたFuji Rock Festival(2000)の録画以外にも見逃(録り逃)した洋楽番組がいくつも入っている。 動くElliott Smith、裸足の女性ベーシストがりりしいAnimalhouse、巨体が揺れるYo La Tengo、汗臭そうなRammsteinからマイク鷲づかみのBobby Gillespieまで。 その後で『狼は天使の匂い』の録画テープを保存しておこうと再生を始めたら、好きな作品だから結局そのまま最後まで見てしまう。

11月20日(土)

5夜連続の『弟』第4夜を途中から見る(家人が欠かさず見ているので)。
裕次郎が解離性大動脈瘤で倒れた時、兄の慎太郎はヨットレースがあり小笠原諸島にいた。 ドラマでは触れていないが、ニュースにもなったもんね。 彼は自衛隊機で帰京し弟のもとに駆けつけ、当時「公私混同」がかなり取りざたされたのだった。 それはさておき、宇野重吉と裕次郎による「喜びとは?」「酒を飲むことよ」の問答がとぼけた松竹梅の昔のCMを見ることができ懐かしい。

11月19日(金)

かさばるハードカバーを後回しにしていたから『Elliott Smith And The Big Nothing』をまだ読んでいなかった。 大魔王の『ペット・セマタリー』とずいぶん前に大阪で買った『ソングマスター』が控えているのに。

スキャナを久しぶりに出していくつか画像を取り込んでみる。 ひとつを5MBに抑えないと送れないか……

11月18日(木)

『パイド・パイパー』読み終える。 いやにアメリカ賛美が目につくのは執筆当時(発表は1942年)まだアメリカが参戦していなかったからか。 戦争のない中立国って……。 1990年にCrossing To Freedomという題名でTV映画化されているそうだが、痩身でハリスツイードの背広を着こなす(状況に応じてボケたふりもする)Peter O'Tooleの「ミスター・イギリス紳士」も見てみたい。

11月17日(水)

通勤のお供にしている『パイド・パイパー』がおもしろい。 主人公はハシバミの枝で笛をこしらえるのが得意な70歳の老人で、道中次々と連れて行く子供が増えていく。 先日みた「ハーメルンの笛吹きDJ」からの連想で、つい老人にDJの姿を重ねてしまうのだ(失礼な)。

11月13日(土)

南側ベランダの防水作業が完了し、室内に閉じ込められていた植物たちを出してやった。 葉っぱの色素が抜け、外観も弱々しくなってしまっている。 かわいそうに。

11月10日(水)

日テレ系朝の情報番組「情報ツウ!」にTさんと10年来の付き合いのギタリストが出演し、行きつけとしてTさんのお店が紹介されると聞いていたので録画しておく。 数日前にお邪魔したばかりの店内が画面に映し出されると、横で見ていたお子(「Wot!」は刷り込まれている) に「ここに船長のCDがいっぱいあってね」とぎっしりCDが並んだラックを指して説明してしまった。

11月7日(日)

Jさんの小さなピルケースは8つに仕切られ一週間分の薬が入るという。「日、月、火、…extra day。イギリスの一週間は8日だからね」 隣で「ウソだよ」と合図するHさんの目も笑っている。 今回ずっと被っている革製の黒いキャノチェを褒めたら「これを買ったのはNYで、ツインタワー(あのWTC)の展望台であやうく風に飛ばされそうになった」と身ぶり手ぶりを交えとても表情豊か、それにゆっくり話してくれるのでわかりやすい。 公式サイトに載せる写真へのサインに快く応じたHさんがPHモードに切り替ったので、今ならいいかな、とお二人にサインをお願いする。 bさんは『The Thin Man Sings Ballads』スリーヴを指してこの坊やはあなたですか、と聞いていた。本人だそうだ。 DJには彼が誇りにしているという『Beams & Bells : Live at the QEH (produced by Guy Evans)』にサインしてもらった。

休日は混むので近場で早目の昼食を取ることにする。 パスタと蕎麦の話はよそで読めるかもしれないから割愛。 明太子イカのイカに火が通っててしかもリング状だったら悲しいね、という話はしたけれど。

日のあるうちに車で帰らないと、というbさんと別れ、Mさんと会場へ。 竹下通りをぶらつく女の子たちの奇抜な化粧と衣装に目を覆う奪われてしまう。

DJの公演は「Tonewall Stands」演奏時など後ろに下がって立ち見の方がリズムに乗りやすかったなぁ。 着席してから「しまった」と思った。 周りの人の手拍子が表打ちでキモチ悪かった バスクラリネットの鈴木生子さんとDJの競演もよかったし、「Mission」は静かな日本人にしては声が出ていたと思う。 結構目がうるうるしてしまった。 「Corpus Christi Carol(聖体拝領のキャロル)」はJeff Buckleyのカヴァーヴァージョンが『Grace』に入っていたっけ。 アンコールで披露したのがDJいわく「テーマ・いち」始まるとひときわ大きな歓声があがった。 ところでDJが両手にサックス掲げて「YAMAHA!」と言いながら登場したのは、彼のサックスが3本ともYAMAHA製だからなのだ。

DJの公演が終わるとすぐステージ上はPHのサウンドチェックが始まる。 夜は「Your Tall Ship」演るんだなぁ……と後ろ髪を引かれつつ、帰りの新幹線に乗る。 寝過ごすと京都まで行ってしまうので、プリントアウトした経路図の裏に幸せな記憶の断片をランダムに書き留めていく。 東の十七、"Thomas Keneally"、エビスビール、マスクマン、ダックスフンドの"Tom"、"Obaiwa"、"Petter Hammill" その他いろいろ。

incoherence の歌詞シートに3人のサインが仲良く入った。

もっとも筆圧の強いのはPH、線がすっきりしているのはSG、ぐるんぐるんと丸っぽいのはDJ。 東急ハンズでサイン用のゴールドとシルバーのペンを1本ずつ購入したのだが、オフで寛いでいる人たちにサインを貰うのは相当気がひけたし、日本語ならともかく不自由な英語である。 が、最終日の朝、自分が下りようとしたエレベータにたまたまHさんが乗り込んできた時に乗降客は他にいず、そのまま上昇するエレベータの中でサインをしてもらったのだった。 一体何と言ってお願いしたのやら。 今だから言えるが、嬉しい反面、「こういう愚はおかしたくない」と常々思っていたことをついに自分がしでかしてしまったという反省は大きく、後からやってくる。他にも尾を引いていることが2、3あったりするが。

11月6日(土)

今日はライヴの後にファン・パーティーがあり17:30からの開演。 滞在中ライヴ2本(後に3本になる)が入っているので家族への土産など買うには今日しかない、と団体で東急ハンズへ出かける(自分の職場がハンズの裏にあり、毎日横を通り過ぎるという事実には目をつぶっておく)。 んでもこっちは渋谷だ、本店だ! 1台の大人定員は7人か?これもとりあえず考えないようにしておく。 自分はここでいいから、と荷台に乗ったGさんが「きもちわるいよう、おしっこもれちゃうようAngry Kidのエピソードのひとつに「Car Sick」というのがある」と子供の泣き真似をする。
ハンズでは1時間後に集合と決めて自由行動。 友人の新築祝いを、というbさん。 わたしはお子に携帯のストラップでも買って帰ろうと売り場を探す。 1B、地下1階ね、とフロアガイドを見て階段を下りるもなんだか違うような。 携帯ストラップはどこ、とうろうろしているところをMさんが見かねて「それは、1階のBフロア」……。

お子の好きな勾玉つきストラップが何種類かあったが、思うところあり別の売り場へ。 残りの時間は一人で放送中の渋谷スペイン坂スタジオを見たり周辺を歩いたり。 昼食はマーガレットハウエル・ライフスタイルショップ、うわー、初めて来た。 そういえばこの冬のカタログもブルース・ウェバーが撮ったんだろうか?
食事しながら各々こういうものを買った、という自慢大会を見るのは楽しい。 どこかを押すと音楽が流れるクリスマスカード、おそらくカード類を吊るすためのクリップ2種、キーリング、ガムテープ(黒)、金床(赤)、キッチンナイフ。あ、怪しい。
深夜テレビでいろいろな熊が出てくる番組を見た、とJさんが言う。 黒いの、白いの、茶色いの、白地に目の周りが黒いの(それはパンダだろう)、一体何の番組だったのか。 民家に入り込んだ熊のニュースも見ていたらしい。 「今年は日本に台風が10個も上陸して木の実や果物がたくさん落ちてしまい、腹を空かせた熊が餌を求めて里に下りてきたのだ」とOさんが説明する。 日本に熊は何頭ぐらいいるのか?とさらに突っ込まれる。 その手つきを見るにおそらく竜巻を連想しているであろうJさんに、台風はハリケーンと同じだ、とHさんは説明していた。
金床の「試奏」をテーブルの上でしてみせたJさんが「金属探知機に引っかかるから手荷物に入れておかないように」と釘を刺された。 実は自分もこういうものをね、とばかりにHさんが出してきたものはお土産のキッチンナイフ。 なおさらいけない。 テーブルで向かい合ってかたやキッチンナイフを、かたやメリケンサックに見立てた金床を握り締めた二人がチンピラ同士の喧嘩の真似をする。

そのままアストロホールに向かうも、なにぶん早すぎた。開いてない。 Mさん、bさんと一緒に(サイン用のCDなど部屋に置いたまま出てきたので)一旦宿に戻る。

ところで宴会やパーティーに縁のない生活を送っているから「かわきもの」といってもピンとこなかったが、ナッツやチョコ、チップス類のことだったんだな。 買出しの荷物運びの手伝いくらい…手伝いくらい…結構甘かった。 重くはないが嵩張る「かわきもの」に容量イコール重量のペットボトルや紙パック入り飲料、特注ケーキに参加者人数分の特製お土産その他の入った袋を両手に提げ、再びアストロホールに到着。 10センチヒール(スタンディングの場合、小柄な者は分が悪い)の拷問に黙って耐えているbさんもほっとした表情をみせた。 荷物は主にパーティーで使うものだがいくつかは差し入れなので楽屋に運び込まなくてはいけない。 スタッフの人が忙しそうに出入りするたびに開閉する重そうな扉の向こうから流れてきたのは、フルートの調べだった。
フルート

Peter Hammill / November 6, 2004 / 原宿アストロホール
  1. Shell
  2. Curtains
  3. Wendy & The Lost Boy
  4. Touch And Go
  5. Amnesiac
  6. Driven
  7. Like Veronica
  8. Primo On The Parapet
  9. I Will Find You
  10. Out Of My Book
  11. Central Hotel
  12. Four Pails
  13. Autumn
  14. Labour Of Love
  15. Refugees

    encore
  16. Traintime
Peter Hammill
Stuart Gordon
David Jackson (9-16)

初日、2日目と重複しないのに、最初から決まっていたかのようなピアノ曲の美しい繋がり。 直前まで共演者にすらセットリストを明かさないPHだが比較的新しい曲を前半に集中させたのは、合流したDJとトリオで演奏するためのとっておきが控えていたからだろう。
時期を同じくしてDJが来日しパーティーにも参加すると知り、DJがステージに合流するとしたら、彼もライヴで演奏する「Traintime」になる可能性が高いと勝手に思っていたがまさか8曲も、しかもあの「Refugees」が入っていたとは。

わたしは今世紀に入ってからVdGGもPHソロも聴き始めた程度だが、それでも多くのファンがステージで聴く「Refugees」を切望していることは知っているので、DJのフルートによるイントロが流れた瞬間、ホール全体の空気が大きく揺れたことの方に、より心をうたれた。
緩急自在なヴォーカルの、初めて聴くような「Traintime」。webcastでぜひもう一度経験したい。 と思ったらwebcastは5日の演奏から抜粋されるんでした


今日のステージに合わせて上京するwさんにお渡しする約束のものがあり、家を出る前にメールで番号をお知らせしておいた。 宿でチケットを確認すると、間違えて5日の番号を書き送ったのでは(実際そうだった)! さてどうしたものか。 wさんの方からライヴ終了後パーティーの設営中に本名で呼び出してくれ、初対面の挨拶を済ませ、品物もお渡しすることができた。 Mさんもwさんとはメールの交流があるものの同じく初対面。 パーティーは諸事情で参加できないとのこと、ゆっくりお話しできないのは残念だが、地域的にはお会いする機会を作りやすいので、またのお楽しみにとっておく。

今回無理と諦めていたDJの11/7の公演は家人に了解をとり、前日ながら自由席チケットを購入する。 Mさんは全公演自由席チケットを購入しているが、見る限りどの公演も会場後方でCD販売の店番。 DJのライヴCD『Batteries Included』が会場のBGMで繰り返し流され(コレですよ、と教えてもらった)帰ってからも聴きたいので購入。 明日の本番を待たずに完売してしまいそうな勢いだが、パーティーでのサイン用に購入する人が多かったのかもしれない。

バースデーケーキのチョコレート製「おめでとうプレート」にちょっとした手違いがあったが、そういう時のために予備のプレートも持ってきたMさんの周到さには驚いた。 備えあれば憂いなし、だね。 楽屋にいたのでパーティーの出だしも見そびれ、サインに並ぶ長蛇の列をひと目見て無理だ!と諦める。 ファンが手にした年季の入った黒い本、色違いのアルバムなど「お宝に違いない」。 切り分けたバースデーケーキを分けてもらい、ようやくbさんと着席。談笑するPHたちとファンの姿を眺めていた。 PHがサインの合間にケーキにかぶりつくひとコマもあったらしく、小食のイメージが強い人だが甘いものは好きなのかな。 bさんは記念撮影用にカメラも持参したが、1枚も撮っていない。 サイン入りアルバムを手に入れたいのではなく、会えたという記憶にピンを打つ感覚でサインを残したいのだがなぁ。

宴お開きを告げ、参加した皆さんに特製おみやげがあります、のアナウンス。 今日のオープニングに演奏された「shell」型マドレーヌにPHのロゴをあしらった3種類のシールが。 のけぞりながら「こんなのもったいなくて食べられねえ!」と言った方が印象的だった。 Mさんがこの日の演奏は「ギフト・オブ・ラブ」と表現していたが、なんのなんの、そちらもすごいものだ。

大テーブルのある居酒屋で食事をして宿へ戻る。 その居酒屋の近所には「毎回店主の決めたテーマで選ばれたレコードから選曲されるロック喫茶」があるという。 今年亡くなった人特集とか髭面特集とか。 興味津々。 宿に着いたら夜半をとうに過ぎていたが「ひみつ会議」を開くというので(懸案の議題はいつの間にか放置されてしまったが)集合。 部屋に引き揚げたのが3:40。 「Sleepwalkers」を吹きながら子供たちを先導するハーメルンの笛吹きDJなど見た記憶があるかもしれないしないかもしれない。 偶然だが旅のお供はネヴィル・シュートの『パイド・パイパー』だ。 3時をまわると朦朧としてきたが、かなり大声で笑ったような気がする。 素面だったのに何で笑っていたんだろう、多分誰かを肴にしていたんだと思うがどうしても思い出せない。忘れたー。

11月5日(金)

のぞみで東京へ。 昼はDamned、というよりCaptain Sensible繋がりで知り合ったギター職人Tさんご夫妻のお店でかれこれ3時間以上長居をしただろうか、あまりにご夫婦のお人柄と居心地とBGMがいいのでついご好意に甘えてしまった。 Tさんは本当にお仕事中でエプロン(「前掛け」というほうが職人さんらしくていい)姿で出迎えて下さった。 メンバーとして参加しているバンドでは当然ギターかと思いきや、ドラムス担当だというのが不思議。 『サンタ・サングレ』の話でもちょっと触れていたが、わたしがダムドのギグレポートが載った雑誌があるからお送りしましょうか、と言ったら「音楽が聴ければそれでいいので」ときっぱり。 わたしもそう思いきりたいと思いながら、なかなかミーハー気分が抜けなくて困っている。 メインは入墨やヤンママの記事だがヨメに貰ってもいい、という人が見つかるまでとっておくか。
後ろに置かれた完成間近のギターはわたしでも知っているギタリストから注文されたものだそうで、それに施されたインレイ(象嵌、螺鈿といった方が馴染みがある)の話から『A Guitarmaker's Canvas (The Inlay Art of Grit Laskin) 』という本を見せてもらったが、シュールな騙し絵デザインがネックに施された(フレットを梯子の段に見立てて童話「ラプンツェル」のひとコマを描いてみせたり)ギターが写真つきでいくつも紹介され、見ていて飽きない!

あまりの楽しさに時間を忘れ、bさんと待ち合わせている宿のチェックイン予定時刻をかなり過ぎてしまい、しかも地図を忘れてきた。 旅の窓口で予約したので内容をプリントアウトした紙は手元にあるのだが、駅からどう行けばいいやら見当もつかない。 恥をしのんで「今駅ですがこれからどう行けば」と問合せるとフロントも慣れているらしく回答も立て板に水。 チェックインを済ませロビーで待っているとbさんが到着。 原宿アストロホールには開場の1時間も前に着いてしまう。 まだ外にはスタッフもいない。 入口の扉が開くので会場のある地下へ下りる階段の途中で待っていると、扉の隙間から迫力のある聴き慣れた声が! サウンドチェック中だったらしい(←文字にすると平板だがちょっと冷静ではいられなかった)。 PHのロゴがデザインされたバックステージパスをつけたMさんがそろそろ来ているかな、という感じで上がってきたMさんによると、階段を下りてきたらわたしたちに出くわしたそうで、自分の記憶のなんていい加減なことのでなんとも中途半端な場所で挨拶をする。2年半ぶりだろうか? 公演を見に来た人たちは会場の入口前でなく、建物横の路地に並んでいた。 平均年齢はさておき、座高もかなり高そ(自粛) 並ばなきゃ、と列に入って開場を待つ。

(自分は)この曲を聴けたら何も言うことはありませんという嬉しいセットリスト。 初日を見た人が一様に感じたという異様な緊張感より、なんだか笑顔が多いぞ。 大好きな「The Comet, The Course, The Tail」も聴け、ギターの弦が切れるというアクシデントが「Time Heals」を演奏するきっかけを作ってくれ、アンコールの「Modern」が物凄かった。 初日より曲数が少なかったことを後で知ったが、曲数や演奏時間を気にする余地もないほど濃い内容だったんだと納得。

会場近くの「店の好意でオープンカフェ状態の居酒屋」で犬連れて散歩する通行人を背にビールケースをテーブルと椅子代わりにして魚料理、というとふざけているようだが本当。「11月に外で食事ができるなんて(イギリスでは)考えられない!」 Hさんの音頭でJohn Peelに杯を掲げ、「(今ヒマラヤに行っている)マイケル(Michael Palin)はいい奴だ」で意見が一致していた。 宿までタクシー。 車中で聞いたGさんの"difficult"には(「Here Come The Talkies」を演奏する前にPHも譜面を指してこう前置きしていたが、こちらはまた違う意味)、この日一番ずしっと響いた。

6日は「Lost in Tokyu Hands(←地図を読めない女)」の巻。

11月4日(木)

普通に生活をしていたつもりなのにどうもそわそわしていたらしく、何をしたかよく覚えていない。 読みかけている本はネヴィル・シュート『パイド・パイパー』。 明日から東京入り。

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