8月31日(日)いつもは長く感じる夏休みも今年はあっという間に過ぎていった。手元にある本をまた何冊かもらっていただくことにした(どう書いても「送りつける」というニュアンスは拭えないなぁ)。 今度は長男くんも視野に入れ、とても健全な、白さとハーブのラインナップだ。 8月30日(土)帰省先で買ったSFマガジンのバックナンバー掲載、ハリィ・ハリスンのインタヴューより抜粋。『宇宙兵ブルース』は反戦小説だが、あれを書いたころ『キャッチ=22』を読んでね、本当に恐しい状況を書けるのはブラックユーモアだと思った。同じバックナンバーに掲載のジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「たったひとつの冴えたやりかた(The Only Neat Thing To Do)」を読む。 いくら主人公が女の子でも、この作品に一切挿絵はいらない。 物語を「読みたい」読者の邪魔になるばかり。 8月29日(金)今日はお休み。 DVDはこういう日に便利で、『国際諜報局(The Ipcress File)』『パーマーの危機脱出(Funeral In Berlin)』を久しぶりに、しかも続けてみた。 二本立て4時間だ。 2個の卵を片手で一度に割れる「手タレ(ホントよ)」レン・デイトン恐るべし。 『10億ドルの頭脳(Billion-dollar Brain)』がDVD化するのを待たず『危機脱出』が廃盤になってしまったのは痛いな。8月28日(木)ディヴィッド・グーディス『狼は天使の匂いBlack Friday』(ハヤカワ・ミステリ1735)を見つけた。ポケミス50周年記念出版「ポケミス名画座」 7月刊行、本邦初訳。この映画を教えてくれた○村さんもとうにご存じだろうなぁ。 ジャン・ルイ・トランティニャンとロバート・ライアン主演の大好きな作品の原作にあたるが、セバスチャン・ジャプリゾがビー玉とチェシャ猫で二つの物語を繋ぎとめた、リリカルな(映画のための"Black Friday"の脚色)『ウサギは野を駆ける』(ハヤカワ・ミステリ1212/絶版)があまりによすぎて、かえって原作に幻滅したりしないだろうか、という心配もしている。 なんといってもジャプリゾ版にはリッツィオのお祈り「おやすみなさあい!」があるのだから。 8月27日(水)夜8時頃ベランダで火星をみる。 多分あれが火星だと思うんだけど(オレンジだし、他に星見えないし)…「トリビアの泉」途中で眠くなり、内容だけあとで教えてもらう。 夜中もう一度火星をみようとベランダに出たが、空はすっかり曇ってしまっていた。 同僚が無理やり貸してくれたさくらももこ「またたび」を電車の中で読む。 スリランカの章で本を叩きつけたくなった(実際には決してそんなことはしないが)。 8月24日(日)ヴァーミリオン・サンズの「プリマ・ベラドンナ」「スクリーン・ゲーム」を読む。 しかし昔『クラッシュ』しか読んでいなかった頃、てっきり"Vermilion Suns"(「辰砂の太陽」かい)と思いこんでいたお恥ずかしい過去は内緒。 とにかくこの作品集が夏に間に合い本当によかった。 実は当時「ベテルギウスとアンタレスのような赤い太陽がふたつもあったら暑苦しい(どころじゃない)し絵的にイヤだ」ということで読む気が失せていたというおまけつき。 勘違いもはなはだしい。8月22日(金)帰りの車中で念願の『ヴァーミリオン・サンズ』を丁寧に読み始める。 「コーラルDの雲の彫刻師」「歌う彫刻」2時間たっぷり幸福感に浸っていた。8月20日(水)〜21日(木)朝は掃除、昼は古書店めぐり、夜は実家へ顔出し。 母の話では21日の未明に何度も家の中で不審な物音が聞こえ泥棒が侵入したかと怖い思いをしたそうで、犯人は夕方開け放していた2階の窓から入り込んだまま出られなくなったコウモリ。 何度も脱出を試みた末(物音はこれだったらしい)、諦めてカーテンに張り付いていたそうだ。 近所には小さいながら城址の森もあるというのに、何だってまた。
8月19日(火)同僚の家のPCがブラスターにやられたそうだ。 ウィルス対策ソフトを何も入れていなかったらしい。15日から夏休みを取っている摂津守に留守を預かってもらい、別荘の掃除と実家への顔出し「という名目で」職場から直接帰省し、戻りは金曜の予定。 母も市のボランティアに登録して何かと忙しそうだが、仕事を辞め「毎日が日曜日」だった頃より生活に弾みがついていいかもしれない。 8月17日(日)午後からブックオフに連れて行ってもらう。 作品をひとつでも気に入った作家の本があると、100円という値段に負けてしまうんだな。
8月16日(土)しばらくWindowsの更新をしていなかったのできのう深く考えずにアップデートしたら、DVD再生時に音声が出ないという事態に見舞われた。 Jet-Audio PlayerもRealOne PlayerもPC Friendlyも全滅だが、Jet-Audio Playerサイトの「購入後のFAQ」にそれらしき項目が載っている。Q. DirecX9をインストールすると、DVD再生すると音声が出力されない。
8月15日(金)NHKスペシャル「テレビ放送50年特集 核の時代に生きる人間の記録・ヒロシマ、ナガサキの映像は問いかける」をみる。 峠三吉の「序」を吉永小百合が朗読。8月13日(水)ほんとに偶然の話で驚いたが『消えた少年たち』をさしあげようと思っていた相手が、もう読み始めているではないか。 文庫といっても今は上下巻で買うと安くないから、読み終わったときにひとこと連絡しておけばよかった。 「要らなくなったから処分する」つもりじゃなく、読んでもらえるなら送料払っても惜しくない本だと思ったからなんだけど、昔この知人に、あげる本と一緒にやたらくだらない本を何冊も一緒に押しつけた前科があるのを、たった今忘却の彼方から思い出した。なんて迷惑な奴だ。 8月12日(火)急にモンティパイソンが見たくなり、"Kilimanjaro Expedition (Double Vision)"に笑う。 自分も乱視持ちだがここまでヒドくないぞ。8月9日(土)'Teardrop'のオリジナル目当てで聴いたMassive Attack"Mezzanine"(「中二階」か)だが、Horace Andyというジャマイカ出身ヴォーカリストが歌う、John Holtの'Man Next Door'別名 'A Quiet Place('Got to Get Away')'カヴァーに釘付け。 タールのような低音にこのヴォーカルがとても合う。 中尾隆聖(ポロリ、フリーザ、バイキンマン)が歌っているのかと思った、とお子は言う。Elizabeth Fraserにはループ状に自由に歌ってもらったあと編集しただけで、彼女の持ち味(classically angelic voice) に手を加えてはいないそうだ。 「'Teardrop'の歌詞はひとことも聞き取れないが別に構わない、我々と同じくLiz(Elizabeth Fraser)も声をひとつの楽器として使っているんでね」と笑うDaddy G(Grant Marshall)の談話を読んでなるほどなぁと思った。 8月7日(木)Fuzzy Warbles 1と2は国内盤を買ったが、企画「アンディに訊け!」応募ハガキもとうとう送らずじまい。3と4で発表されるという話も忘れていたし、Ape(Andy Partridge個人レーベルのサイト)から英盤を直接購入したし、国内盤の発売日もなんとなく過ぎてしまったが、「アンディに訊け!」企画そのものが(応募が6通しかなく)打ち切りになったそうだ。 その「6通」を大事にするか、「6通しかない」から切り捨てるか。 プライヴァシーにかかわる質問やふざけた内容なら仕方ないとして、この先継続が見込めないと判断するのは企画した側の勝手だが、応募した人(しかも一桁だ)は当然発表を楽しみにしている筈だから、レコード会社は個別に連絡くらいしたんだろうな。 それとももしかして、してないの? いや、「企画中止のお知らせ」がCDには載ってないそうなので。 8月6日(水)今晩の「世界の車窓から」はニューカッスルへ向かう途中。 BGMは'Don't Let Me Wait Too Long' (George Harrison)だった。8月5日(火)『見張り塔から ずっと』資産価値の下がった住宅のローンを延々返済している人、外から聞こえる子どもの声に耳をふさぎたくなる人、できちゃった婚を密かに後悔している人は、傷口に塩をすり込まれたくなければ絶対に読まないほうがいい。 消耗する。 それでも、そっと自分のかさぶたを剥がしてみたい人間もいるわけで。 重松清という名前は知らなかったが、長塚京三、藤村俊二、秋野大作らが出演したNHKドラマ「定年ゴジラ」の原作者だった(これがまた身につまされる話で……)。 8月3日(日)用事までの時間つぶしに入った書店でなんとなく手に取りそのままレジに持っていった文庫、重松清『見張り塔から ずっと』(新潮文庫)。 それに惹かれたとはいえ、この題名ではあまり楽しい内容ではなさそうだ。 先日は燈台守、今日は塔守リュンコイス。8月2日(土)ブライアン・シンガー監督『ゴールデンボーイ(Apt Pupil)』再見。「焦げ臭い」「ちょっと冷凍ディナーを焦がしてね」うわぁぁネコちゃん、合掌。 シンガー監督のインタヴュー記事を読んだ。 彼はユダヤ人だが、親戚に600万人もの同胞が第二次世界大戦で殺されたという話を聞いても他人事のようで、8歳の時ナチの腕章を巻いて学校で見せびらかしてやろうとクレヨンで鉤十字を書いた紙を台所にいる母親に見せに行った。 ところが彼女が激しく動揺するのを見て、このマークがユダヤ人にどれほど強く、深く、個人的な意味を持つかということを思い知り、以来この経験が最高の教育になったという。 ドゥサンダーの正体を見破った隣のベッドの患者(腕の入墨で強制収容所から生還したユダヤ人とわかる)が泣きながら看護婦にしがみつく場面はシンガー監督自身の母親の姿とだぶらせているのかもしれないが、監督は映画化権を取った時に「おもしろくて怖い映画」にしようと決めたそうで、『シンドラーのリスト』のような作品でなくても、コメディであれどういうジャンルであれ人々に映画を見てもらって少なくとも「思い出す」機会をつくることに意義がある、とのこと。 風化させてはいけない民族の歴史をこの人なりの方法で記録したのがこの映画なのかもしれない。 娯楽性といったら何だがブラッド・レンフロのシャワーシーンなど必要以上に色っぽく撮ってはいないか。自分の趣味ではないから別にいいか。 8月1日(金)学校が夏休みなので、こちらも比較的楽になる金曜は休むよう調整中。"Quiet American"3回目を、今回はオーディオコメンタリーを聞きながら見る(飽きないのよこれが)。 旧サイゴン(今はホーチミン市か)の古い建物は植民地時代のもので、窓も上げ下げでないフランス式両開き。 監督と脚本家(クリストファー・ハンプトンは、以前同じグリーン原作ケイン主演の『名誉領事』の脚本も担当した)によるとファウラアは「愛するもの(恋人とヴェトナム)のために初めて'react'した」のだと。 ケインは演技者としてこう説明する。 「人は、特に我々イギリス人は、(怒りや悲しみなどを)努めて人前では見せまいとするものだ」……市民を巻き込んだ爆破テロとその惨状、現れたパイルがヴェトナム語を「ネイティヴのように」話している姿を目撃したファウラアが事務所に戻り、ヴェトナム人の部下と言葉をかわす場面。 配役については、70近いケイン(朝鮮戦争に行った時実際にインドシナに向かうフランス軍と遭遇したことがあるそうだ)の年齢だからこそファウラアの行動の動機が単なる三角関係によるものではないというリアリティがあることと、『サイダー・ハウス・ルール』でのアカデミー助演男優賞のヒューマニズムに溢れた受賞スピーチから彼に決めたという。 監督は1950年生まれ、オーストラリア出身。少年の頃自分も「ヴェトナムに行って共産主義者をやっつけるんだ」と思いこんでいた罪滅ぼしもこめたそうだ。 だからあんなにカッコいいのか(他の点では原作にかなり忠実な映画化だしケインはもちろん好きだが、これだけは納得がいかない)。 原作を読んでいなければ素直に見られたんだけどなぁ。 逆のパターンになるのが"Last Orders"で、昼から出かけた古書店(ブックオフじゃないちゃんとしたとこ)で原作を見つけてしまったのだ。 最後の頼み(last order)がいくつも出てくるから複数形になっているのに、邦題は単数。 2冊で300円なり。
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