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6月29日(日)

思いついてXTCの"Drums & Wires"以降の全アルバムからラストナンバーだけを拾い出しHDDに順番に入れて聴く。 うわぁ。あまりに凄いベストアルバムができたのでCD-Rにして通勤のお伴にすることにした。 "Complicated Game""Travels In Nihilon"はいつ聴いても衝撃。 XTCといえば「ねじれた」「ひねくれた」ポップ、という手垢のついた形容しかできない奴にはきっとこのバシャバシャした暗黒が届いていないんだ。

6月28日(土)

リマスターされて臨場感がぐんと増したBe Bop Deluxe"Tremulous Antenna"("Radioland"と同内容)を流しながら仕事に関係する書類の調べものをする。ショッケンショージョとかカイセーゲンとかコセキフヒョーといった類の……

6月27日(金)

上の子が登校したら、クラスの半数がカメルーンのプレーヤーFoeの訃報を知っていたという。

サイモン・ウィンチェスター『博士と狂人(The Professor And The Madman)』(早川書房)を読む。 オックスフォード英語大辞典(OED)第一版の編集主幹であるジェームズ・マレーが独学で語学を身につけた(家が貧しく、教育は14歳までしか受けていない)という経歴もこの仕事と取り組む人としては異例だと思うが、編纂作業に長年協力した重要人物であるウィリアム・マイナーがロンドンでゆきずりの男を射殺したアメリカ人終身犯で、さらに死ぬまで妄想に取り憑かれていた狂人だったという事実はまさに「小説より奇なり」。
わたしは辞書を引くことより辞書そのものが好きで、数年前(同じ辞書の)最新版に買い換えるまでは、手になじんだ筆記用具を大切にするのと同じ感覚で高校生の頃書店で何冊も何冊も見比べて選んだ研究社のリーダーズ英和辞典を使い続けていたのだけど、いつも「辞書に載っている単語や用例はどのようにして選ばれたのだろう」と疑問に思っていて、マレーが編み出した辞書編纂の手順や技術面における説明が書かれた箇所で知りたかった答の一部が得られ、少しすっきりした。

6月26日(木)

国会議事堂→ディズニーランド→講談社→ジブリの森→ランドマークタワー→お台場。
ジブリの森の入場券が「ムスカ」のフィルムでちょっとがっかりだった下の子が山ほどの土産を抱えて帰ってきた。 三鷹から横浜に向かう際急行と普通を乗り間違え、宿への到着が30分遅れたおのぼりさんはウチの子の班だ……。 ところで海洋亭では生まれて初めてフルコースを食べたという。 いまどきの修学旅行は豪勢だなぁ。

6月24日(火)

Last Orders / Fred Schepisi / 2001年英 / 109min. / DVD
引退したら海辺のバンガロウで過ごそう、という歌があったっけ(XTC-'Bungalow')……庶民のささやかな夢。

日本未公開。 コクニーの肉屋ジャック(マイケル・ケイン)の遺灰を遺言に従いMargate Pierから海に撒くために出かける親友たち(ボブ・ホスキンス、トム・コートネイ・デヴィッド・ヘミングス)と息子(レイ・ウィンストン)の、車での道中。 それだけの話だが、施設にいる娘ジューンを最期まで受け入れることができず「息子」だけを愛していた(と妻は思っていた)ジャックをめぐる、それぞれの回想と秘密が交錯し、50年の歳月の重みが徐々に明らかになる。 息苦しくなりそうな話だが、だてに年をくっていない親父の集団だから(遺灰の)ジャックを交替で抱えて軽口を叩きあい、老体に鞭打ちながら登る坂道では太った男たちがあやうく脱落しかかるなど楽しい場面も。 "Bloody army!""Bloody navy!" "Bloody tourist!"

立ち寄ったカンタベリー大聖堂でトマス・ベケットのステンドグラスを見上げるボブ・ホスキンスの姿、ジャックとエイミー(ヘレン・ミレン)が出逢い、ジューンが宿り、自分の出生の秘密を知った農場に遺灰の一部を撒く「息子」(レイ・ウィンストン)、霧雨にけぶる堤防で遺灰の散った先を見つめる男たち、どの場面も印象的だが、せっかく起用したトム・コートネイ(葬儀屋-Mr. Rest In Peace)の見せ場がなくてコートネイのファンでもあるわたしにはとてももったいなく感じた。

ヘレン・ミレン姐さん登場の場面。赤いペンキで塗られた店から真っ赤なコートで登場し、(同色の)二階建バスに乗り込む場面で既に、ただのおばさんではないという激しさが暗示される。 そしてジャックの一番古い親友であるレイ("Lucky"、エイミーにとっては"A little ray of sunshine")を演じたボブ・ホスキンスが『モナリザ』級(最大級ということ)! 影の主役は彼かもしれない。 そういえばホスキンスとミレンは"Long Good Friday"でも息の合ったコンビだったなぁ。

ケインの「いつか自分の父親を演じる時が来ると思っていた」との言葉どおり、"Last Orders"は彼の父親が癌で亡くなった病院で撮影され、彼自身にも長年生き別れになっていた(重度の障害のある)兄がいる。 Peckhamにはケインの通ったWilson's Grammar Schoolがあり、イーストロンドンで育ったレイ・ウィンストンは『アルフィー』『長距離ランナーの孤独』で見た憧れの映画スターたちとの共演に興奮したと言う。

6月22日(日)

E-Bowの公式サイトにE-Bowを使って演奏したバンド(と曲)一覧があり、1992年の「フレディ・マーキュリー・トリビュート」の'Heroes'でのMick Ronson、 『オペラ座の夜』'Good Company'のBrian May(のギター)、と具体的。 ついでにDave Gregoryあたりが自分の聴ける曲で使っていないか彼のサイトで調べたら、Aliceの"Il Sole Nella Pioggia"にギターで参加した曲'Anin A Gris'でE-Bow acoustic guitar、1989年6月18〜20日レコーディング、と日付まで。

それよりAndy Partridge"Fuzzy Warbles" vol.3のジャケットではタイトルがそのものずばり『朦朧鳥聲 参集』。

6月20日(金)

今日は休み。
摂津守のかけているCDが'Alfie''Blue Moon'と続き、おお好きな曲ばかりと「それ誰?」と聞くと、「吉田美奈子」へぇぇ。 前回『Gazer』を聞かせたら気に入ったらしくPonta Box を向こうで買ったとは聞いていたが、中身は知らなかった。カヴァー集だったのか。
Ponta Box with YOSHIDA MINAKO 『Gosh』(VICJ-60830)

(とっくに過ぎている)父の日と自分の誕生祝を兼ね2時間かけて広東料理に舌鼓。 海鮮、特に海老はもうしばらく食べなくていいほど堪能。 「ボーナス出たんだから」の免罪符をもらい、店頭で迷っていたCDも遠慮なくまとめ買いした。
  • RADIOHEAD "the bends"(英CDPCS 7372)
  • RADIOHEAD "I Might Be Wrong" (英CDFHEIT 45104)
  • heatmiser "yellow no.5" (米frontier 31062-2)
  • heatmiser "dead air" (米frontier 01866-31057-2)
ヴィレッジ・ヴァンガードで単行本になったのをつい最近知った(装丁のチェックができるくらい回復したそうだ)岡崎京子『ヘルタースケルター』(祥伝社)くらもちふさこ『α(上・下)』(集英社)をみつけ、半日がかりで全部読む (りりこの崩壊の仕方がベテイ・ブルーっていうのはあの行為も……)。 りりこを表現するのに「タイガー・リリー*」という呼び名が出てくるが、岡崎京子だからJohn FoxxのUltravox!だって聴いていて不思議はないかもしれない。* Tiger Lily = John FoxxがUltravox!を結成する前にやっていたバンド

6月19日(木)

タニス・リーの短編『雨にうたれて(Crying in the Rain)』(ハヤカワ文庫SF827 『アザー・エデン』収録)を読む。 まるで "This World Over" 版「(魚心あれば水心)あしながおじさん」だ。
「お聞き、グリーナ。わたしは先週で三十になった」 グリーナ、デイジー、エンジェル。 この地上で短い一生を終える娘たちにせめて名前だけでも美しく、という母の思いが哀切。

6月17日(火)

産地からサニーレタスの葉の合わせ目に潜んでわが家にやってきたアマガエルをベランダのプランダー群(樽を縦真っ二つに割り横にした形の大型が3個並び、ジャスミンだのイチゴだの山椒だのスミレだのオダマキだの、とにかくカエルの大きさに比べるとうっそうと茂ったジャングルのよう)のじめじめした土の上に放してやった。 冷蔵庫の野菜室でひんやりと瞑想中のところ我に返ったか、いきなりジャンプしてこともあろうに強化ガラスのパネルで覆われているベランダの柵の、ほんの10センチほどの隙間から外に飛び出してしまった。わが家は6階。 お子たちと沈黙。 面倒がらずに地面に逃がしてやればよかった、と心の中で手を合わせ、それはそれ、これはこれ、サニーレタスは(普段より)念を入れて洗いもちろん食卓へ。

アマガエルの体表に微量ながら毒がある、と知ったのは今日のこと。 もちろん家族には黙っている。

6月14日(土)

上の写真はDungenessの海岸。原発、デレク・ジャーマンの「ガーデン」、"Ether Song"のジャケットに使われた巨大なSound Mirror(集音壁)のあるところ。

6月13日(金)

Waltz In Stockholm / Elliott Smith / CD (LOOSE018)
  1. Angeles
  2. Division Day
  3. Clementine
  4. Alameda
  5. Between The Bars
  6. Waltz no.2 (XO)
  7. Rose Parade
  8. Same Song
  9. Say Yes
  10. Needle in the Hay
  11. Roman Candle
  12. Independence Day
  13. 2:45 AM
  14. No Name #2
  15. Thirteen
98年6月2日の演奏で、ソースはFMらしいイントロが始まると同時に野太い歓声があがる'Angeles'。 何を隠そう自分もラジオで流れたこのイントロで「これ、Elliott Smithっていったっけ?」と、知らないアーティストなのに思わず曲名を調べたくらい印象的なのだ。 ほとんど喋りを入れずカウントもせず黙々と曲を繋いでいくが、たまに演奏が途切れると待ちきれないように客席から矢のようなリクエストがとぶのは聞いていても楽しい。

"Figure 8"の'LA''Happiness'など音がゴージャスになっているが、バックにもうひとりギターをつけて弾き語るシンプルな演奏がよく似合う。
ところで'Happiness'シングルはデジパックで、見開きの右側に収まったCDをとると、倒れた木の下敷きになり血を流している男(の膝から下)の絵が現れる、というユーモラスだが笑っちゃいけないアートワークである。 カップリングがあの「サムの息子(Son of Sam)」だからなぁ。

6月12日(木)

清水の舞台から飛び降りしばらくおとなしくしているが、予約していたCDがぱらぱらと届く。 "Hail to the Thief"限定盤は£12.95、送料込で£16.95だから3200円くらいになるのかな。高い。 折りたたみ式の薄っぺらい道路地図のようなつくりだ。 電車では今更ながら"OK Computer"を聴いているのでまだお預け。 ♪もし自分が王様ならお前は一番に(自粛)2曲目で繊細な声のわりにドス黒いことを歌っているような気がするが……

大阪の古書店で100円だったピエール・ルイス『私の体に悪魔がいる』(角川文庫1476)を読んだ。 ブニュエルの『欲望のあいまいな対象』原作で、主人公の年齢や時代(19世紀の作品なのでな)は違うが、さすがこの監督が目をつけた小説だけあって、いやもうなんというか。 映画にしか出てこないが、無表情なくせになにげない一言がめちゃくちゃおもしろい執事がいるのだ。

6月9日(月)

『冬の夜ひとりの旅人が』ようやく読了。 どうオチをつけるのかと思ったらこうきましたか。 次は何を読もうかな、ブックオフや古書店で買い込んだ本が30冊(←バカ)は下らないのに、お子の友達にまた(以前読んだがドラマ化されてまた読みたくなった)借りてきてもらった『動物のお医者さん』7〜12巻もあるんだなぁ。 「オレはやるぜ」お祭り野郎シーザーがいい味出しているんだ。

ロキソプロフェンナトリウムの副作用で腸などに穴が開き3人が死亡、って、これ、わたしには馴染みの深いロキソニン(今はロキソートだが)のことではないか。

6月8日(日)

渋滞に巻き込まれ、ぼんやりと前のスカイラインを眺めていたら丸いランプ(目)の離れ具合が「ダメおやじ」にそっくり。

6月6日(金)

さて今週も何をしていたんだか。
Uさんが荷物と一緒に音楽・映画関係の新聞記事をたくさん送ってくれたので、ローワン・アトキンソン新作映画にPGの大掛かりなステージ、The Folk Implosion(ツアーするのか)の記事など少しずつ読んでいる。 ケイン関係の記事は全部違う出演作、というのがすごいところだが日本未公開の"Last Orders"のレヴューもあり Michael Caine, Tom Courtenay, Bob Hoskins…と並ぶスクリーンショットを順に辿っていくと、4人目のでっぷり太った白髪の横顔だけ誰かわからない。 下のクレジットでDavid Hemmingsとあってびっくり。 Uさんに『欲望』の頃はロジャー・テイラーばりの美青年(好みかどうかは別問題として)だったのに、と書いたら 「ロジャーテイラーも最近はあれじゃないですか(笑)」そ、そうなのか。 で、ブッカー賞をとった作品を映画化したとのことで、ストーリーはだいたい紹介され日本で公開されたら見てみようかと思っていたが、ここを読んで「こりゃ早く見たい!」に変わってしまったのだった。

The Closing scenes on a gray, rainy pier feed off the English weather...

US盤のDVDは既にリリースされ、amazon.comに寄せられたレヴューも概ね好意的で、笑えたのがトロント映画祭のプレミア上映でこの作品をみたという人による、 「レイ・ウィンストンは虐待亭主だろうかと大画面で見るのがスリリング」 と、意訳だがこういう感想。 『素肌の涙』未見だが……

6月5日(木)

うちの前に今月オープン予定の産業振興施設(平たく言えば子ども陶芸館か)が工事の追い込みに入った。 毎日昼間は"Wot!"状態らしい。 閉鎖され買い手がつかないまま数年来放置されていたある会社を土地・建物ごと市が買い上げたそうで、駐車場に住みついた猫の親子が日向ぼっこする様子も結構目の保養になっていたのに、今年からはもう見られないと思うと残念。 どこか近所にいい空き地でも見つけておくれ。

6月2日(月)

10日ほど前に発送通知を受け取った荷物が届いた。 白地に赤のFRAGILEが連続した剥がしにくい梱包用テープがべたべたと貼られて開封に手間どる。
『冬の夜ひとりの旅人が』もう少しだ。 とうとう日本の作家タカクミ・イコカ(じつに適当な名前だなぁ)による小説「月光に輝く散り敷ける落葉の上に」の冒頭を読むはめになった。

6月1日(日)

この土日は摂津守は別荘だし、下の子は両日とも剣道、特に今朝は大会で弁当持ち7:30出、上の子は模試で7:20出、自分は町内草むしりと清掃日で7:00出、と朝から忙しいかわりに日中はひとり。
でHDDのあちこちに入っているDream Ticketの録音分を1枚のCD-Rにまとめたが、シングルを何枚か聴いただけのBell & Sebastianは曲の合間に何か喋ってはいるものの、もし曲名の紹介をしているとしてもTrainspotting級に聞き取れない。 この知らない曲のタイトルを調べるの、時間と気持ちに余裕のある時にしかできないが実は結構好きな作業。 ウェブ上にごまんとあるBBC音源の放送リストやブートレグ、またはトレード用テープリストを検索して該当日のセットリストを調べ、曲名から検索して歌詞(オフィシャル以外でも無断で載せているところが結構あるんだな)を照会する、なんだか仕事の延長のようなことをしているんだな。
この方法、もちろん英語で歌われる曲に限るし歌詞のない曲は当然お手上げだが、やはり聴く側、つくる側のいずれにとっても歌い出しとサビの歌詞は大事だ。 とにかくベルセバをクリアすれば曲を知っているCurved Airは楽勝だ。

ま、もちろん気に入ったライヴだから1曲ずつ聴きながらやってる間楽しくて仕方ないんだけどね(別に録音マニアってわけじゃないよ)。

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