7月31日(土)
http://www.ministryofsound.com/Music/AudioVideo/AudioVideoList.htm?a=Aphex%20Twin
怖いと折り紙つきの Aphex Twin 「Window Licker」「Come To Daddy」を見た。
監督はChris Cunningham、"The Exorcist of Music Videos" (NME) ううむ。
笑った顔がいちばん怖い、と言われるのはどんな気分だろう。
叫び声入りディレクターズ・カットまで探して見る勇気はなくこれで十分。
7月30日(金)
Sさんからのメールに今日放送日、と書かれていたのでラース・フォン・トリアー『キングダムII』の7話と8話を見逃さずに済んだ。
トリアー作品の常連でドラキュラ伯爵から歌うセールスマンまで幅広いウド・キアー演じる赤ちゃんの、なんと健気なこと。
母親との「なりきり遊び」、吊るされた窓辺で夕陽に照らされた外の景色を眺める穏やかな表情、点滴パックの水で母親から受けた臨終洗礼が泣ける(彼は「ローズマリーの赤ちゃん」なのだ)。
「名前はフレデリックだよ。赤ちゃんの時に死ぬ人は王族の名前をもらうんだ」
7月29日(木)
下の子が読書感想文を書くための本を探していたので、本棚の奥にしまいっぱなしだったアゴタ・クリストフ『悪童日記』を渡したらおもしろかったらしく、続きも読むと言って次の日に『ふたりの証拠』『第三の嘘』も持っていった。
今月はいろいろamazonマーケットプレイスで嬉しい収獲。
ムアコックは短篇の「凍りついた枢機卿」があまりに変で、つい集めてしまった。
エルリック・サーガやエレコーゼ・サーガ、紅衣の皇子コルムのシリーズは、昔親子でお世話になったFFシリーズでキャラクターデザインを手がけた天野喜孝が表紙と挿絵を描いていてなかなかきれいなのだ。
このムアコック、Hawkwindの何曲かで作詞作曲、Michael Moorcock & the Deep Fix というバンドでリーダーをつとめていたらしいが、さすがにそこまではちょっと…
『溺れた巨人』は浅倉久志訳驚きだが、「大谷圭二」=浅倉久志らしいの新装版が全然見つからず、結局1971年の初版に落ち着く。
毛色の違う1冊は上の子用で、出品者から直接下宿に送ってもらった。
7月23日(金)
数日来家人が腕のできもの(毛根が塞がり腫れている)を気にしていた様子だったが、何軒か薬局をまわってようやく手に入れたという「たこの吸出し」を持ち帰り、有名な薬らしいのに「知らない」と言って驚かれた。
平たい丸いケースに詰まった軟膏の凄い緑色(硫酸銅)に引いた。
アマエビの腹に持っている卵がこういう色だ。
患部に塗りガーゼで押さえておくと皮膚が破れて膿が出る、とまことに力技な薬だが、パッケージに描かれたタコの絵がなんともいい味。
「砂の檻」こういう作品はやっぱり読み返してしまうよ。
主人公の万感の思いがこもる最後の言葉はやっぱりいい。
7月22日(木)
こう暑い日が続くとぐったり。
バラード「砂の檻」を読んだ。
火星にとり憑かれた3人の中年男女が赤い砂丘をさまよいながら無為の日々を送るわけだが、砂丘の彼方には柵が建てられ、彼らの周りに着々と築かれていく「砂の檻」。
バラードが描いているのは人類が安直に運び込んだ火星の土の中に含まれていたウィルスに蝕まれ、砂漠化しつつある地球の絵なのだ。
砂漠と廃墟と破滅をペンで描きたい作家のようだから、人間は添え物に過ぎない(言い過ぎか)。
作品集『永遠へのパスポート』収録の「監視塔」は、少女コミック誌上だったか、リアルタイムで初めて読んだ萩尾望都の短篇「ポーチで少女が子犬と」を思い出す。
いや、女の子が雨の中、庭で遊んでいるだけだが、最後から2ページ目の最後のコマからがらりと雰囲気が変わり、ああ怖い怖い。
いまだにあれを読み返したくなくて作品集も買えないまま(そういえば某ヴォーカリストの顔が怖くてその作品を買えない、という人の気持ちがよくわかる)。
「犬は」
「犬はいい」
7月19日(月)
WOWOWで『ニュルンベルグ軍事裁判(Nuremberg)』(2000年米・TVミニシリーズ)を見る。
10分に満たなかったかもしれないが、フランスのユダヤ人証人をシャルロット・ゲンズブールが演じていた。
有名な父親セルジュは戦時中実際にダビデの星の識別章を胸につけるよう義務づけられていたロシア系ユダヤ人だったから的を射たキャスティングだと思う。少し突き出た生意気そうな顎の感じがローティーンの頃の面影のまま。
子どもの頃に読んだ「アンネの日記」などで絶滅収容所のことは知っていたが、その頃断種法の存在までは知らず、映画版を見た時にモンゴメリー・クリフト(演技と思えない)に釘付けになった。
このテレビ版はユダヤ人大量虐殺のみに焦点を絞りマキシミリアン・シェル(ドイツ側被告の弁護士)のような凄腕は登場せず、ヘルマン・ゲーリングが孤軍奮闘、そのぶん彼のキャラクターに豊かな肉付けがされたのかもしれないな。
ゲーリングを演じたブライアン・コックスには圧倒的な存在感があった。
筋と関係ない話だが日頃一体どこで何をしているのかクリストファー・プラマーがものすごく日焼けしていて、どうにも違和感が拭えなかった。
ぱっと見モーガン・フリーマンみたいになっていたんだから。
7月17日(土)
『マウス』きのう2冊を一気に読んでしまった。
ホロコーストを生き抜いた両親から生まれたアーティ(アート・スピーゲルマン自身)が父親の拝金主義と吝嗇ぶりにあきれる様子がおかしさをまじえて何度も登場するが、物のないアウシュヴィッツではトイレでも衣類の切れ端や手を使うしかなく、カポー(収容所で比較的いい待遇を受けていたナチ協力者)の食べたチーズの包み紙をもらって便箋用に大切にとっておいたという父親が、戦後アメリカで何不自由ない暮らしを送れるにもかかわらず「乞食のような」生活、店のトイレに備え付けのペーパータオルを何枚も失敬してきたり、落ちている電話線を「ものをしばるのにいい」と拾ってくるのを笑える人はいない。
「ただで見つかるのに、なぜおまえはいつも買いたがるんだ?」
「やあね。わたし、あんなふうに生きていくくらいなら、死んだほうがましだわ。」
「え?食べ物を返品すること?」
「ヴラデックの体験したすべてがよ。彼が生きのびたのは奇跡だわ。」
「うーん。でも、ある面では彼は生きのびなかったんだ。」(マウスII p90)
Brace Yourself! a tribute to Otis Blackwell / V.A. / CD (Shanachie 5702)
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- Paralyzed - Graham Parker
- Hey Little Girl - Chrissie Hynde & Chris Spedding
- Home in Your Heart - Paul Rodgers
- Breathless - Frank Black & The Stax Pistols
- Let's Talk About Us - The Smithereens
- Fever - Tom Verlaine
- On That Powerline - Joe Louis Walker
- Don't Be Cruel - Debbie Harry
- All Shook Up - Jon Spencer
- Handy Man - Frank Black
- Great Balls of Fire - Joe Ely
- Brace Yourself - Ronnie Spector
- Daddy Rollin' Stone - Willy DeVille
- Return to Sender - Dave Edmunds
- All Shook Up - Kris Kristofferson
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Otis BlackwellはElvis Presley「冷たくしないで」、Jerry Lee Lewis「火の玉ロック」など大ヒット曲も多いソングライターで、このトリビュートアルバムが製作された1994年には卒中の後遺症で寝たきりの闘病生活を送っていたそうだ。2002年没(享年70歳)。
Jon Tivenがプロデュースし、企画にはTony Viscontiも深く関わっている。
曲の持ち味を大切にするためか、デジタルテクノロジーを使用しない(no samples, no synthesizers, no sequencers)とのことで、Queenの5枚目くらいまでのアルバムクレジット(いつまでシンセサイザーなしにこだわり続けたのか不知)を思い出した。
ほとんどの曲にChris Speddingが参加し、その大部分でギターソロも披露すると大活躍のアルバム。
レコーディングの際はリーゼントできめていたに違いないそんな音。
「Fever」ではギターの1stソロをVerlaine、2ndソロをSpedding。
Verlaineのヴォーカルの力の抜け具合が絶妙だった。
ソロアルバム以外で知らなかったSpeddingの低音は、Chrissie Hyndeとのデュエットで聴ける。
某所ではデブ、のひと言で片付けられたFrank Blackが2曲でリードヴォーカルをとっているのも、さすがに声量あるなと思うPaul Rodgersを聴けるのも自分には嬉しい。
毎度「嬉しい」のワンパターンだが、そういうアルバムが手元にたくさんあるだけで嬉しいものだし(ああ、また)。
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7月16日(金)
アート・スピーゲルマンによる2001年9月24日号「ニューヨーカー」誌のRe: Cover. How It Came to Be
- アート・スピーゲルマン『マウス (A Survivor's Tale)』(晶文社)
My Father Bleeds History (mid 1930s to winter 1944)
- アート・スピーゲルマン『マウスII (And Here My Troubles Began)』(晶文社)
From Mauschwitz to the Catskills and Beyond
"Maus is a book that cannot be put down, truly, even to sleep. When two of the mice speak of love, you are moved, when they suffer, you weep. Slowly through this little tale comprised of suffering, humor and life's daily trials, you are captivated by the language of an old Eastern European family, and drawn into the gentle and mesmerizing rhythm, and when you finish Maus, you are unhappy to have left that magical world."--Umberto Eco
7月13日(火)
通勤のお供はJ.G.バラードの短篇集『永遠へのパスポート』。
ひんやりした作風が暑気払いにいい。
「アルファ・ケンタウリへの13人」はシリトーの「雪の降らぬうちに」と似て結びの文が冒頭に繋がり円環状の構造になっているから、結局読み返してしまうではないか。
7月11日(日)
件名:生存確認(PCから)「生きてるか?」
息子(携帯から)「ギリギリ」
7月10日(土)
Black Francis solo / November 2, 1990 / Borderline, London
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- Tame
- Cactus / Tony's Theme
- Holiday Song
- Gouge Away
- Monkey Gone To Heaven
- Weird At My School
- Hangwire
- No.13 Baby
- Dead
- Wave Of Mutilation
- Broken Face
- Into The White
- I'm Amazed
- The Happening
- Manta Ray
- I Bleed
- Blown Away
- Crackity Jones
- Is She Weird?
- Nimrod's Son
- Ed Is Dead
- Levitate Me
- River Euphrates
- Dancing the Manta Ray
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3日間のソロ最終日。
アコースティックかと思いきやエレクトリックギターのソロパフォーマンスで、one of the Pixiesの筈なのに、バンドの曲をほぼひとりで書いている当人だからかしっかりPixiesの演奏になっている。
一人でやりやすそうな「Where Is My Mind?」「Hey」をセットリストに入れず、Kim Dealとの掛け合いが聴きどころの「Tame」「Lavitate Me」まで強引に演奏し(で、案の定途中でやめる曲も…)、「Into The White」まで自分で歌ってしまうところが天邪鬼か。
バンドの時とまったく変わらないテンションの「Crackity Jones」あたりから演奏がさらに熱を帯び、「Nimrod's Son」では客席から余裕の"one, two, three, four"大合唱まで。
今年Pixiesが再結成し、4月の全米ウォーミングアップツアー、5/1のCoachella festival、ロンドン4日間とパリ公演など既にインターネット上にアップされ、遅まきながらいくつか(大部分、と正直に言え)を聴けたが、紙ジャケで再発されたアルバムのCoachella レヴューの「はげたおっさん3人と明らかに中年太りのおばさん」たちの演奏は凄い(でもベースはツアーの最初の頃結構イントロでコケていたそうだ)よ。
著作権的に限りなく黒に近いグレーの音源を聴いたせめてもの罪滅ぼしに、バンドに利益をもたらさない中古盤でなく、アルバムをきちんと新品で購入した。
オリジナルの曲順で聴くとやっぱりいい。
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7月9日(金)
One Plus One Is One / Badly Drawn Boy / CD (TNXLCD179)
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- One Plus One Is One
- Easy Love
- Summertime In Wintertime
- This Is That New Song
- Another Devil Dies
- The Blossomes
- Year Of The Rat
- Four Leaf Clover
- fewer Words
- Logic If A Friend
- Stockport
- Life Turned Upside Down
- Takes The Glory
- Holy Grail
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ボーナストラックつきCCCDとTWISTED NERVEから出ている通常のCDふたつとも店頭にあり、少し心が揺れたが本人自前のレーベルから出ているほうにした(7/27にUS盤(ボーナストラックつき)も発売されるらしい)。
スタジオ内の物音や演奏のあとで誰かが拍手する音もそのまま入っており、何種類かのベルやヴァイオリン、フルートが地味なDamon Goughのヴォーカルをちょうどよく引き立てる。
垢抜けた「Once Around The Block」(これしか知らない)から予想した音作りとはだいぶ違っていたが、ブックレット写真のドールハウス、棚いっぱいに飾られたミニチュアの人形、ステンドグラスの窓辺が似合う。
This record is dedicted to Matthew Lanyon, Elliott Smith, Joe Strummer and William H. Gough.
Matthew Lanyonは彼の親友、William H. Goughは第二次世界大戦中に34歳で亡くなった父方の祖父。
空に放した33個(親友の享年か)の白い風船を風が彼の部屋とお気に入りのパブのある方向へ運んでいくのを皆で見送った、とその情景が目に浮かぶような文章が載っているが、まさにアルバム全体がそういう感じだった。
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7月4日(日)
BITCHとでかでかと書かれたTシャツ姿の女の子にはぎょっとするが(WITCHでも勘弁)、外国人の「漢字好き」にもいろいろあるようで、イルハンのうなじに入った「永」とか、JJバーネルの「空手」Tシャツ(もう20年以上昔の写真)はまだしも、意味もわからず純粋にそのフォルムが気に入ったというので額装したのが「虫歯」とあったひにゃ……家族から聞いた話。
7月3日(土)
Free The Bees / The Bees / CD (CDV2983)
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- These Are The Ghosts
- Wash In The Rain
- No Atmosphere
- Horseman
- Chicken Payback
- The Russian
- I Love You
- The Start
- Hourglass
- Go Karts
- One Glass Of Water
- This Is The Land
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凝っていて酔いそうな公式サイト:The Bees
前作の『Sunshine Hit Me』はレーベルと型番が洒落ていて「WE LOVE YOU AMOUR6CD」スリーヴのコンセプトが「覆面レスラー」。
涼しい部屋で少し音量絞って聴きたいアルバムだったが、新作は6人の大所帯でいきなり30年以上タイムスリップしたかのような懐かしいオルガンも入り、野外が似合うアルバムになった。
シングルカットされた「Wash In The Rain」は本当に雨の中上向いて聴いたらよさそうだ。
今年苗場で演奏する予定だが、先日のGlastonbury Festivalにも出演して好評だったらしい。
「Chicken Payback」はラジオから流れてきたら絶対60年代のリクエスト曲だと思うな。
あ、日本盤はCCCDだ、念のため。
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7月2日(金)
80年代の音楽雑誌が大量に入荷した中古屋に、例のディスコグラフィ補完材料を探しに行く。
既に入手済みのリストを見ながらなので無駄な作業は省けるものの、小一時間座り込んだまま雑誌をめくり(読み、ではない)続け、本人はいたって平気だが傍から見ればかなり変な奴だったかと。
大都会の夜、今日もまた心はさみしい男や女たちが華やかに着飾って、ディスコに集う。
シャンペインとファイアクラッカーのさんざめく中、ついに待ちかねた○○○ー・○○ー○ッ○のダンディたちと再会。
これは今日探していたものと関係ない広告だが、今○○二のコピー。
PARCOブックセンターで洋書バーゲンをやっていた。
3キロで(はどうでもいいが値段が!定価£30なんだよ)2,500円だからもちろん買って帰った。
マリリン・マンソン自伝700円とかYESのパペチュアル・チェンジ(あははは)1,000円というものもあったがとてもじゃないけど体力も読む力も時間もなくて断念。
先に買っていた雑誌とあいまって腕ちぎれそう。でも幸せ。
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