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9月29日(土)

Antony and the Johnsons "I Am a Bird Now" (2005) / CD (RTADCD223)
  1. Hope There's Someone
  2. My Lady Story
  3. For Today I Am a Boy
  4. Man Is the Baby
  5. You Are My Sister (w/Boy George)
  6. What Can I Do? (w/Rufus Wainwright)
  7. Fistful of Love (w/Lou Reed)
  8. Spiralling (w/Devendra Banhart)
  9. Free at Last (w/Julia Yasuda)
  10. Bird Guhl
Hope there's someone
Who'll take care of me
When I die, will I go
なんという声だろう。 なんと美しく、かなしい歌声だろうか。

アルバムジャケットはベッドに横たわるキャンディ・ダーリング(1947-1977)、"Candy Darling on her Deathbed" by Peter Hujar 長期にわたるホルモン投与が引き起こしたといわれる白血病の床にて。
Antonyはボブ・ディランの伝記映画(11月公開予定)"I'm Not Here"(Todd Haynes監督) で "Knocking on Heaven's Door"を Kevin Barker と共にカヴァーしているという。

9月27日(木)

朝NHK「おはよう日本」海外ニュース。 フランスで鰯の缶詰の普及活動をしている人を紹介していた。忙しい時間帯で断片的にしか見られなかったが、鰯のサンドイッチの試食や鰯の缶詰の歴史、缶のラベルのデザインなどおもしろそうな特集だったのに!

映画も大好きなルイ・ペルゴー「ボタン戦争(わんぱく戦争)」でも、子どもたちが秘密基地で開いた宴会で鰯の缶詰を分け合って食べるのだ。鰯の数が足りないと、鰯を漬けている油でいいという子がいたりしてたいへん楽しい。 缶詰の歴史はナポレオンの時代に遡り、もともと兵士の携帯食料として開発されたものだそうだ。ちなみにわが国の缶詰第一号も鰯、発祥の地は日銀の長崎支店横にあったという。

今読んでいる小説がフィリップ・キュルヴァルの「愛しき人類」、欧州共同体(ECのこと?作中でマルシェ・コマン)が鎖国政策を敷く謎の閉鎖社会マルコムとなり、かつての観光国スイスは孤立しすっかり寂れてしまっているという近未来。そのマルコムで「時間流減速機」製造会社取締役にのしあがったシモンの蒐集物のひとつが、鰯でなく世界中のありとあらゆるグリーンピースの缶詰なのだ。
マッチのラベルや切手とちがい、缶詰は保管場所をとるよね。でも缶切りさえあればいざという時にはひと缶ずつ開けて食べれば……飽きるって?

9月22日

久生十蘭『日本探偵小説全集8 久生十蘭集』より短編「湖畔」を読む。 とにかく漢字が難しい。 秘書を雇わず、口述筆記させられていた奥様のご苦労がしのばれる(いや読めないのは自分だけかも)。 でもこの作品なら、仕事を手伝わされた奥様もまんざら悪い気はしなかったかもしれない。 それにしても息子への呼びかけが「貴様」。
この度、拠処ない事情があって、箱根蘆ノ湖畔三ツ石の別荘で貴様の母を手にかけ、即日、東京検事局に自訴して出た
この書き出しで怒涛の一気読み。 これから失踪するがそれまでの事情を「子に対する父の礼儀として」書きつけておく……、礼儀もなにもあったもんじゃない仕打ち、巧みに隠蔽された事実、にもかかわらずほのぼのとした読後感。 「語り」と「騙り」の小説。

9月20日

今日の冊子小包にも記念切手が使われていた。嬉しい。 第61回ライオンズ国際大会記念、千鳥ヶ淵の桜(東京都)、赤坂迎賓館とバラ(東京都)、それに2枚組 歌川国芳の相撲絵。

9月19日

読んだ長編:
  • ピエール・プロ「この狂乱するサーカス」
    星空、星空。胡蝶の夢……酷い。読みにくいがストーリーはとてもおもしろかった。私もこういう可能性を考えてみたことがある。もちろん私だけでなくきっと、多くの人が。

    読み始めた長編:
  • フィリップ・キュルヴァル「愛しき人類」

    電車の中でオチに笑った短編:
  • ロバート・シェクリイ「肉体」
    その天才的な頭脳を救うため自ら望んで犬の身体に移植された博士。がしかし……。は、博士〜〜〜〜!

    9月17日(月)

    パフューム ― ある人殺しの物語 / トム・ティクヴァ監督 (独・仏・スペイン2006年)
    "Perfume: The Story of a Murderer"
    原作:パトリック・ジュースキント『香水 ある人殺しの物語』(文藝春秋社)
    18世紀のパリ。孤児のグルヌイユは生まれながらに図抜けた嗅覚を与えられていた。 真の闇夜でさえ匂いで自在に歩める。異才はやがて香水調合師としてパリ中を陶然とさせる。 さらなる芳香を求めた男は、ある日、処女の体臭に我を忘れる。この匂いをわがものに……欲望のほむらが燃えあがる。稀代の“匂いの魔術師”をめぐる大奇譚。 (文藝春秋社 内容紹介より)
    私が原作を先に読んでいることは珍しいが、この作品のおかしさと奇妙な味わいを生かした池内紀氏の訳がとてもよく、しかも原作ではもちろん映画より丁寧に「鼻男」の生涯をたどることができるため読んでいてよかった。
    「Winterschläfer(Winter Sleepers)」「ラン・ローラ・ラン」のトム・ティクヴァ監督作品。 グルヌィユがその驚異的な鼻でローラの行方をたどるカメラの飛行感覚、見覚えのある特徴的なカメラワークが気になり調べてみると、撮影監督はやっぱり「Winter Sleepers」「ラン・ローラ・ラン」でもティクヴァ監督と組んでいるFrank Griebeだった。

    グルヌィユと関わる(利用する、または覚えている)人間はみな役目を終えるとあっさり死んでいく。 驚異的な嗅覚の持ち主でありながら皮肉にも自らの体臭がなく、気配すら知られず、人の記憶にも残らないグルヌィユ。 彼自身が求める匂いは生きた処女からしか得られず、グラースで匂いの保存方法を習得した彼は花を摘むように娘たちから匂いを「摘み取り」または「刈り取り」、ひたすら匂いの蒐集にいそしむ。 もっとも執着していた最高の材料を得た彼は究極の匂い、人々が自分の体臭から逃れるため香水を使うのとは逆に、それをまとえば人々を思いのままに操れる「彼自身の体臭」を作り出した。

    ベン・ウィショーの獣性をおびた面構えは主人公ジャン=バチスト・グルヌィユにぴったりだ。 (グルヌィユとその「究極の香り」に魅了された人々の様子にはサラリーマンNEO「セクスィー部長」をちょっと連想してしまったよ)
    原作のグルヌイユは醜く、徹頭徹尾人でなしで、映画のように最初に手をかけた娘との美しい幻想シーンやセンチメンタリズムとは無縁な男なんだけどな。

    9月16日(日)

    TBSドラマ『ひまわり〜夏目雅子27年の生涯と母の愛〜』を観る。

    9月13日(木)

    コレクターではないが切手が好きなので、手紙や小包をいただく時の楽しみのひとつ。 たまに珍しい切手が貼られていたりすると嬉しくなり、つい調べてしまう。 最近もUさんからの小包に初めて見るデザインの80円切手と可翁「寒山図」、福田平八郎「筍」。 また航空便にはレコードジャケット柄、3枚の切手が重なるようなデザインのビートルズ記念切手が! ヤフオク出品者の方からの冊子小包には玉虫厨子、「第6回喫煙と健康世界会議記念切手」、青木義照「荒海」の切手。

    9月10日(月)

    雨上がりの東の夕空に虹。 虹は二重に架かっているはずなんだけど、肉眼ではひとつしか見えなかった。 空のずっと高いところに飛んでいる鳥も一緒にパチリ。 携帯電話は「ただ携帯するだけ」のことがほとんどだがカメラ機能だけは十分活用させてもらっている。

    ただいま読みかけの本:ピエール・プロ「この狂乱するサーカス」

    9月9日(日)

    テレ朝・黒澤明ドラマスペシャル「生きる」
    ……。北村一輝はよかった。

    息子が猫を置いて下宿へ戻る。 サークルの合宿(小豆島にて)で数日家をあけるため暫く預かることになった。

    9月8日(土)

    テレ朝・黒澤明ドラマスペシャル「天国と地獄」
    ……。佐藤浩市と平田満はよかった。 阿部ちゃんはあんなに下手だったっけ?

    息子が猫とともに帰宅。

    9月6日(木)

    Marc & The Mambas / Untitled +1 / CD (UICY-3381)
    1. Untitled - Almond , Matt Johnson
    2. Empty Eyes - Annie Hogan , Almond
    3. Angels - Almond , Matt Johnson
    4. Big Louise - Scott Engel
    5. Caroline Says - Lou Reed
    6. Margaret - Annie Hogan
    7. If You Go Away - Jacques Brel
    8. Terrapin - Syd Barrett
    9. Twilights & Lowlifes
    10. Twilights & Lowlifes (Street Walking Soundtrack)
    11. Discipline (bonus track) - Throbbing Gristle
    Marc & The MambasはMarc Almondのサイドプロジェクトだが、1982年の"Untitled"と1983年の"Torment & Toreros"の2枚しかアルバムを出さずに活動を停止したのがもったいないような上質の音楽だった。 このアルバムがようやく日本盤で紹介されたのは22年後の2004年。 呪術的なヴォーカルのThrobbing Gristleのカヴァー、"Discipline"がボーナストラック。

    Soft Cellのアルバムは3枚聴いていたがそれほど気持ちが動かず、このMambas名義の活動についてはほとんど知らなかったけれど、Mambas名義のダークなアルバムが気に入りすぎて、とうとう他のソロアルバムを拾い始める今日この頃。 よーく探せば1枚500円くらいで見つかるんだもの。

    アートワークはVal Denham

    9月3日(月)

    金曜日から3日間点滴に通っている猫の症状がようやく落ち着き、一週間分の薬をもらって帰宅。 尿検査ではpHは弱酸性、結晶は見当たらず。 白血球の数値が高く膀胱炎という診断だった。 リンゲル点滴で水分補給をしながら抗生物質の注射をされる間診察台でぴくりとも動かずまさに「借りてきた猫」状態でビビる猫。 抗生物質のせいで下痢気味なのでトイレ掃除もたいへんだが、遊ぶ元気はあるのでひと安心だ。

    9月2日(日)

    マイクル・コニイ『ブロントメク!』読了。

    Tom Verlaine / Kaleidescopin' (1990) / CDS(VLACD6)
    1. Kaleidescopin'
      (produced & mixed by Julian Mendelsohn)
    2. Sixteen Tulips
    3. Vanity Fair
      (produced by Tom Verlaine & Dave Bascombe)
    キモになる背のタイトルがKALEIBESCOPIN'と印刷されているが意図的なのかミスなのか、売る気があるのかないのか……。
    白鳥の首をもつ男Tom VerlaineがFONTANAから1990年に発表したアルバム "The Wonder"からのシングル。 "Sixteen Tulips"と"Vanity Fair"はアルバム未収録曲のようだ。Television時代の"Marquee Moon"はレコード時代に聴いていたのだけど、ソロになってからの活動は1985年から10年くらい音楽面では完全に取り残され、全然知らなかった。なんだかエレクトロポップな方面に転向しているようだが、"Vanity Fair"で聴けるギターワークがやはり嬉しい。

    ロバート・メイプルソープの伝記にパティ・スミスが大きく関わってくるのでその関係で彼の名前もちらほら登場するのだけどね。

    9月1日(土)

      古書会館倉庫市300円均一本コーナーにて:
    • ビオイ=カサーレス『日向で眠れ 豚の戦記』(集英社)
    • カルペンティエール『失われた足跡 時との戦い』(集英社)
    ビオイ=カサーレスはボルヘスとの共作(変名で)『ドン・イシドロ・パロディ六つの難事件』が積読中だ。

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