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4月30日(土)

家人が『理由』と『お父さんのバックドロップ』を借りてきた。『理由』は丁寧に撮っていたのにあの初期のポリゴンのようなCGで帳消し。

『お父さんのバックドロップ』プロレスラーのお父さん(宇梶剛士)の名前が下田牛之助(もちろん金髪の上田馬之助を連想させる)だったり、電信柱に貼られたボクシングジムのチラシに「会長 丹下段平」と書かれていたり、焼肉屋のママ(南果歩)が流しでざぶざぶ洗っているのがいわゆる「ホルモン」だったり、ちょい役で原作者の故・中島らもが出演したり。 「社長」と「哲夫」が「正月と同じくらいめでたくて、赤飯も食べられるらしい」女子の特権を訳知り顔で「一雄」に教え、そのうち3人で「ええなあ、ゲッケー」と声を揃えて羨ましがるところが、いかにもコドモらしくておかしい。

チャンバラトリオのリーダー扮するすっとぼけた爺ちゃんが孫に喧嘩の極意を伝授する場面もいい味出しているが、死んだお母さんの映っているビデオの上からお父さんの試合ダビングしちゃいかんよ……あの時は(まだ)一雄のたったひとつの拠りどころだったんだから。あれ、と気がついたが、物語の設定は1980年。 この当時ビデオデッキはまだ一般家庭に普及していなかったのでは?

お父さんは見事にバックドロップをきめたものの、教室でのいじめについては宙ぶらりんのままだが、いじめも差別も撥ねかえす強さをこの子たちの姿に見ることができたから「それもまた良しや(ジョゼの台詞だ)」。 「哲夫」の逞しさが頼もしい。

4月28日(木)

オースン・スコット・カード『死者の代弁者(上下)』とサラ・ウォルターズ『荊の城(上下)』を立て続けに読む。 おかげさまで目がくらくら。 まったく関係なく読んだふたつの作品に、ちょっとした共通点が……。

4月26日(火)

『戸田ヒロコ本の仕事』(沖積舎)が届く。
確かに私の装釘には今様になりきれない部分がある。 居直るわけでは決してないが、そういう部分も私であって、そこから逃げる、変わるというより、いかに私自身の完成度を高める……ということが大切なのだと思う。(私の原点 あとがきにかえて)

4月25日(月)

JRの脱線事故で50名死亡、というニュースを帰宅して初めて知った。 4/30追記:107名にのぼった 沿線が違うため最初心配はしていなかったが、念のため実家に電話してみると夜の7時だというのに誰も出ない。 隣の市に住む弟夫婦の家にも来ていないという。 となると狭心症と高血圧の持病があるのでもしや家の中で倒れているのか、と別な心配が出てくるのだが、ようやく電話に出た母親によるとかかりつけの医院に薬をもらいに行っていたとのこと。 携帯電話が本当に必要なのは、この人のような持病をもつ高齢者だな…。 関西に土地勘のない身内から安否を気づかう電話が何件もあったそうで、当の本人は「市のボランティアであの近くでチューリップの球根を植えたことがある」程度らしい。

ライトバンを出せる人たちで手分けをして負傷者を病院へ搬送した、という事故現場近くの会社の人が「こんな事故は生きている間に二度と起こしてほしくない」と涙を流していた。 事故で亡くなった方も、こういう事故で突然家族をもぎ取られてしまった方も本当にお気の毒でならない。

4月23日(土)

『房総文芸選集 天沢退二郎集』(あさひふれんど千葉)
ひらがなと蓮っ葉な女言葉と音のくりかえしがとてもよく合う(あかんあかん)。 しっとりとした真珠の粉をまぶしたような表紙も、カバーをはずした状態も、隅ずみまで神経がゆきとどいた装幀は戸田ヒロコという人によるもの。 『戸田ヒロコ 本の仕事』という本をマーケットプレイスで注文してみる。

4月22日(金)

サン・ジョルディの日にちなみ今日明日と古本市が開かれるオアシス21に行ったら、まだ会場設営中で今日は17時からとのこと。 時間の確認をしなかった自分がうっかりしていたが、今週はへとへとで昨夜も22時半には寝てしまったほど。 夕方まで待つ体力と気力がなく、それでもせっかく出てきたのだからと明治屋でレモンカードとクロテッドクリームを買って帰る。

『エンダーのゲーム』を一気に読み終えてしまった。 続く『死者の代弁者』を見つける(新刊という選択肢がないのか)までの繋ぎに、アンソロジーの中から一冊通勤のお供にしよう。 どれもこれも怖そうだ。

This World's For Everyone (1992) / The Korgis / CD (ALCB-671)
  1. This World's For Everyone
  2. Hold On
  3. Work Together
  4. Hunger
  5. Show Me
  6. Who Are These Tears For Anyway
  7. No Love In The World
  8. One Life
  9. Love Turned Me Around
  10. Wreckage Of A Broken Heart
  11. All The Love In The World
  12. Third Time Around
  13. Everybody's Got To Learn Sometime
Andy Davis - keyboards, guitars, backing vocals
John Baker - vocals, guitars, keyboards
James Warren - vocals, guitars, bass guitar

レコーディングしたスタジオのひとつがTerra Incognita(エンジニアリングとコンパイルとマスタリングがDavid Lord)だとか、Andy Davisのソロアルバム『Clevedon Pier』の「Hunger」をJohn Bakerのヴォーカルで再録とかまあいろいろあるのだけど、新録の「Everybody's Got To Learn Sometime」(ヴァイオリンソロもSGが録り直している)を聴けるのが一番かな。

4月20日(水)

あまりの忙しさに給料日だということも忘れていた。
  • ジョナサン・キャロル『われらが影の声』(創元推理文庫)
  • E.F.ベンスン/A.ブラックウッド他『怪奇礼讃』(創元推理文庫)
  • スティーヴン・キング『トウモロコシ畑の子供たち』(サンケイ文庫)
  • ウィリアム・ゴールドマン『マラソン・マン』(ハヤカワ文庫NV 328)
  • サミュエル.R.ディレイニー『ノヴァ』(ハヤカワ文庫SF 753)
  • ジョイス・ポーター『ドーヴァー 1 (Dover One)』(H.P.B 967)
  • ジョイス・ポーター『ドーヴァー 8 人質 (Dover And The Claret Tappers)』(H.P.B 1305)
  • ジョイス・ポーター『ドーヴァー 4 切断 (Dover And The Unkindest Cut Of All)』(HM 32-1)
覚え書き:2冊は市のリサイクルセンター「ご自由にお持ち下さい」、3冊はブックオフ、3冊はオークション。 8冊で1300円。 先の出品者の方と"King & Country"(ダーク・ボガードとトム・コートネイ共演。なかなか観ている人がいないので嬉しい)の話題をメールで少し。 塹壕戦を描いた映画では『突撃』を薦めていただいた。

4月19日(火)

『ハイ−ライズ』が到着。 通勤のお供は「敵のゲートは下だ」

4月17日(日)

上の子から久しぶりに電話があった。 今年度から授業料が値上がりしたとのこと。 去年入学手続の受付で職員が着ていたのが例の「制服」だったのかな、と電話のあとでふと思う。

4月16日(土)

紛失してしまった本のことを覚えていてくれたSさんから「ヤ○オクに安く出品中」との情報。 出品者は昔(オークションではないが)取引をしたことのある相手で、幸い他に入札もなく、終了時刻が1時間違いの別の本も一緒に落札。 2冊分の本代と送料手数料込みでも、マーケットプレイスより安く手に入れることができた。ありがたや。 この方も読みかけの本を置き忘れた経験があり「買い直すのも癪で立ち読みしたこともあります」あはははは。

4月15日(金)

『Half Alive In Hollywood』などのライヴ音源でギターとキーボードを同時に演奏しているように聴こえるMike Keneally、久しぶりに覗いたkeneally.com(公式サイト)にアップされていた「My Dilemma」のライヴクリップ(Quicktimeで視聴可)で、彼が動く姿も初めてだが、左手でギター、右手でキーボードを操り本当に同時に演奏しているのを見た。 右手と左手を別々に動かすなど(右手で△を書きながら左手で□を書くことさえ)とても自分にはできない。

去年12月15日のステージにはKeneallyの向かって左にBryan Beller、右にもうひとりベーシストがいて、弾き方がとてもきれいだと思って見ていたが、クリップは1月30日に33歳で亡くなったこのWes Wehmillerを偲んで、とのこと。

4月13日(水)

John Renbourn / April 6th, 1991 / Bethlehem, PA
  1. Anji
  2. Blues Run the Game
  3. Watch the Stars
  4. The Cannonball Rag
  5. The South Wind
    /The Blarney Pilgrim
  6. So Early In the Spring
  7. Bunyan's Hymn/I Saw Three Ships
    /Estompee
  8. The Lament for Owen Row O’Neill
    /Mist Covered Mountains of Home
  9. Lindsay
  10. The Banks of Sweet Primroses
  11. Little Niles
  12. The White House Blues
Godfrey Daniels Coffeehouse
(second set)

疲れた頭に「Little Niles」(Randy Weston)がしみる。 早く週末にならないかな。あと1日。

4月12日(火)

復刊リクエストただいま90票。
I was about to say, isn't it enough that I would die for you? But of course that's nonsense, because I'm not I'm not I'm not alive. Just porcelain.

4月11日(月)

カードといえば『無伴奏ソナタ』も「猿たちはすべてが冗談なんだと思いこんでいた」まで読んでしまった。 あと2編しか残っていないと思うと(そのうちひとつは「無伴奏ソナタ」だから)読むのが惜しい。
「王の食肉」を読んでいる間ずっと引っかかっていたことを、今頃ようやく思い出した。
わたしはよい羊飼いである。 わたしは自分の羊を知っており、羊もわたしを知っている。それは、父がわたしを知っておられ、わたしが父を知っているのと同じである。わたしは羊のために命を捨てる。(ヨハネによる福音書 10章11節)
クリスチャンである読者ならすぐこれを連想したんだろうな(カードはモルモン教徒だそうだ)。
「よりによって、羊飼いだとさ」
前に住んでいたところで布教している信者からもらったモルモン経が引越しのどさくさでどこかに紛れこんでしまったのか、見当たらない。

4月10日(日)

『20世紀少年』の抜けた部分を18巻まで読んでくる。 図書室にある大魔王の『図書館警察』、ここは小学校だが…。 キングを読みふける小学生の姿はあまり想像したくないなぁ。 貸出しカードがホラー小説で埋まっていたり。

4月9日(土)

浦沢直樹『20世紀少年(20th Century Boy)』の3,4,6,7,8,11,12巻(うちにある分だけ)を読む。 こういう作品があったんだ。 脱獄もの映画を下敷きにしたネタが多くパピヨンありのショーシャンクの空ありの。 友民(ユーミン)党の『手をとりあってこのまま行こう 愛する友よ(8巻)』うわっ、この歌詞、多分大丈夫なんだろうけど(セリフだからいいのか)、大丈夫ですか。

4月8日(金)

6日に書いたのは自主制作盤だし(そうでなくても廃盤になったレコード聴いたりしているくせに)、自分の趣味全開。
この陽気でベランダから見える近所の山がぱっと明るくなり、小学校のぐるりをとりまく桜もきれい。 家で花見ができるのはイナカ暮らしならではの贅沢だ。

またCDやLPが増えて場所をとりだしたので、手持ちの取捨選択をして中古屋さんに持ち込む。 今回はDVDもあり枚数のわりに査定がよく、端数を繰り上げてきりのいい金額にしてくれたので「こんなにいただいていいんですか?」と言ってしまいそう(もちろん言わない)。 店は金山のS。

The Light Programme (2004) / Martin Newell / CD (CDB RED 257)
  1. Blackout
  2. Trinity Square
  3. Jacqui
  4. My Lost Weekend
  5. The Sun Over The Yardarm
  6. Grenadine And Blue
  7. Wait For The Rain
  8. Sparkletown
  9. After The Boy Gets In
  10. Venus Of The Essoldo
  11. Rosebay Railway
  12. Synergy
  13. Little Trinity
数ヶ月のあいだ取り寄せに手数のかかるものにエネルギーを注いでいて、新作が去年の11月に出ていたことにも気づかなかった。 ボケたかしらん。 魔女がかった風貌をどう修正したのか、実際より20歳は若く見えるやたらダンディなジャケット、味のある顔だがあの顔から想像できないユニークな声の持ち主だから、とにかく「笑っても怖くない顔」にして大正解だと思う。 5曲目はチャリティアルバム『The Wish List』に提供した「The Sun Over The Yardarm」で、この季節に聴くとちょうどいいんだ。

25年間彼の作品をリリース・リイシューし続けてくれたJARMUSICが商売をたたむとのこと。 運営者のJoachim Reinboldさんは自分のところで扱うアーティストに惚れ込んでいて、たまにしか注文しないわたしのような客にも「おまけ」と称してシングルをつけてくれたりしたのだった。 SFさんの話では日本から注文する人は少ないから覚えてくれているそうだ。 メールでの対応も細やかな人だった。 ありがとうございました。

4月6日(水)

Life By The Scenic Route (2001) / Keith Warmington / CD (BAGS 1)
  1. It's Not Easy
  2. The Speed of The Sound of Loneliness(John Prine)
  3. Scary Encounters of the Emotional Kind
  4. Celebration
  5. Driving Wheel(David Whiffen)
  6. What's Going On
  7. I Can't Go
  8. Evening Song
  9. Sentimental
  10. Train Blues
Keith Warmington - Acoustic guitar, vocals and harmonica
Stuart Gordon - Violin & string instruments, backing vocals & inspiration
Kit Morgan - Electric guitar & Spanish guitar
Rick Payne - Slide Guitar
Andy Hay - Mandocello & backing vocals
Tricia Warmington & Steve Webb - Backing vocals
Andy Sheppard - Soprano & Tenor saxes

Engineered by John Waterhouse
Produced by Stuart Gordon


4月5日(火)

閉鎖されても、たまに懐かしくなって訪れてはゆっくり散策するサイトがある。 今日、更新の止まっていたトップページに"2005"の文字を見つけた。

おかえり、おかえり。

4月4日(月)

オースン・スコット・カード「王の食肉 (Kingsmeat)」を読む。 これもまたハッピーエンドのひとつなんだな。

4月3日(日)

ポーランド館の女性職員がローマ法王ヨハネ・パウロ二世の訃報に涙を流しているのをテレビで見た。 上映する映像の華やかな部分をカットしてBGMも追悼曲に変更したそうだが、今日は追悼ミサを捧げていたいだろうに、仕事とはいえ接客はつらいだろうな(館内に再現した岩塩抗に礼拝堂がある)。

4月2日(土)

万博に行ってきた。

運転するモリゾー 家から長久手会場東ゲートまでドアツードア30分だが、ゲート入場から実際の会場までリニモひと駅分(陶磁資料館南−万博会場)歩く、結構長い。 北ゲート前には企業パビリオンが集中していて、到着した時点(10時)ですでにトヨタ館の午前中の整理券は配布終了、次回は14時半とのこと。みんな気合が入ってるね。 企業パビリオンゾーンを横目に、自動運転で隊列走行する無人バスIMTS(Inteligent Multimode Transit System)で終点のEXPOドームまで。 運転席には万博マスコットのモリゾー(三白眼の森の精)の縫いぐるみが座っていた。

予約していたイベント(16時)のエリア指定券を受け取る。 EXPOドームは会場の南端にあるグローバル・コモン4(北欧・東欧パビリオンゾーン)のはずれにあり、朝一番にここまで来ている人もまだ少ない。
ポーランド、イギリス、アイルランド、オーストリア、ルーマニア、ポルトガル、ベルギー、オランダ、北欧共同(スウェーデン・ノルウェー・デンマーク・フィンランド・アイスランド)、ウクライナ館。 アイルランド館はほとんど展示のみだが、ケルト音楽のコーナーでハープやアイリッシュダンスの紹介、The Chieftains、Van Morrison、U2のライヴ映像を少し見ることができた。 ルーマニア館は別に書くが、一番の穴場。国によってはただの物産展のようなところも、ね。

15分から20分の映像作品:
壁面三面をスクリーンにしてカメラ(『バーディ』だ)が鳥や紙飛行機、蝶、枯葉、馬の視点で自由に移動するポーランド館(締めくくりはもちろんワジェンキ公園にあるショパンの銅像)と、床の中央の「池」に水の国をアピールした作品を投射するオランダ館。

グローバル・コモン3(ヨーロッパ・地中海周辺諸国パビリオンゾーン)に移動。
ギリシャ、クロアチア、ボスニア・ヘルツェコビナ、トルコ、チュニジア、イタリア、スペイン、フランス館。 フランス館の日本人アテンダントはナイロンコート(agnis b.)からパンツ、スニーカーまで白で統一しておしゃれだが、ラフな格好そのままの応対は学生バイトですか? スペイン館は…会場入口で見せられるザビエル(ポルトガル館にもザビエルの展示あり)来日のアニメが…。 そしてピカソもダリもドン・キホーテにはかなわないのね。

イタリア館の展示最大の呼び物は、1998年にシチリア沖から引き揚げられ、4年かけて修復されたブロンズ彫刻「踊るサテュロス像」。 両手と片足はないが背中や臀部がきれい!耐震構造の台座(使わない時は分解できる)も展示。 イタリア政府はこんな地震国によく貸し出してくれたものだ。

映像作品:
フランス館(環境破壊に関する非常に問題提起の多い映像作品)

ルーマニア館
午前中はアコーディオン・フィドル・ベースによる伝統音楽の生演奏で、途中から女性歌手や民族衣装の男性4人が加わり歌やルーマニア伝統の「杖踊り」を披露した。 ステージの前にけっこう急な傾斜のスロープ(ダンスフロアにもなるらしい)があり、聴きたい人はここで体操座りをすることになるのだが、人によっては滑り落ちてしまう。リタイアした人も多い。 アコーディオンにフィドルの生演奏を聴ける機会などそうそうない、とLaurie Andersonのイベントの後再び行くと相当数の行列ができている。 もっとも企業パビリオンやマンモスを見た人が、昼過ぎからようやく他のパビリオンに流れたという事情もあるようだ。 全然力の入ってないUK館にも並んでいるもんね。

2度目に見たのは燕尾服の弦楽四重奏で昼間とはうってかわってクラシック。正装した男性歌手が途中から加わりテノールを披露。

並んでいる時にはドラムソロが聴こえていたが弦楽四重奏では登場しなかった。 もう1回待てばそれかもしれない、と欲張って居残る。 三度目は同じ弦楽四重奏だが今度は演奏曲が違う! ドラマーがソロを披露し、アルトサックス奏者も合流し、おまけに妖精のような(ホントにこの世のものとは思えないほど顔も髪もプロポーションも美しい)トリオが弦楽四重奏に合わせまず燕尾服の裾ひるがえして踊り、Tシャツとスパッツでも再登場。 さすが体操、新体操の盛んな国なだけあって、見せ所のツボをよく心得ている。

Laurie Anderson Live / "Ten Postcard" 10枚のポストカード / EXPO DOME
Written and Directed by Laurie Anderson
Original Score : Laurie Anderson
Bassist : Skuli Sverrison
Percussion : Jim Black
Front of House/Engineer : Jody Elff
Production Manager/Lighting Design : Aaron Copp
Producer : Cheryl Kaplan
Executive Producer : Linda Brumbach
Administrative Producer : Laura Aswad
「10枚のポストカード」は、物語と音楽のライブ・パフォーマンスで、プロジェクションによるイメージ映像と言葉、そして電子楽器をフィーチャーしています。 ローリー・アンダーソンはこの"LIVE"において、手製のオリジナル電子楽器と、ヴィジュアル・フィルター[濾光器/濾波器]を数種披露します。
黒に赤のラインの入ったジャージーの上下、赤のソックス、黒の靴で登場した白髪のLaurie Andersonはとてもきゃしゃで小柄な人だ。 何をする時も最小限の動きでしなやか、身のこなしからパフォーマンスの一部のようだった。 科学者風に論説する時にはユーモラスな黒縁眼鏡つきヴォイスチェンジャーを使い、手製の電子楽器がどういう装置なのかわからないが、頭を叩いたり舌打ちしたりするとそれがパーカッションの音に変換されたりする。

鏡に映った自分自身の頭に手を伸ばして大きさを測ってみるといい。 あなたは半分に縮小された自分の顔を見ながら髭を剃っているのだ、なんと器用なことだろう。

超小型カメラを自分の顔に向け大型プロジェクターにモノクロ・逆さまに映し出された自分に向かって「私は今、どこにいるのですか?」と呟き、次にそのカメラを弓の手元に固定すると、弦の上をゆるやかに往復する弓の視界が真ん中に鏡を立てた状態のように左右対称で大きく映し出される。 Sverrisonはギターとベースを計3本弾いていたが、ほとんどギターだったと思う。 腰かけたままAndersonの方を向いて弾く静かなたたずまいが印象的だった。 英語が聞き取れない人用に左右のプロジェクターに日本語訳が出るが、ステージも見逃したくないし、字幕の助けを借りずに聴きたいものだ。

ステージに置かれた白い肘掛椅子に座っての朗読(だいたいこんな内容):
「燃えている火を消しに来てやっているのにアメリカはなぜ憎まれるのか? 金持ちで自由な国だからだ」− 「私がきれいだからよ」とはまるで女子高生並の論理、あなたの美しさとあなたが嫌われることとは何の関係もない。嫌われるのはあなたが馬鹿だからだ。
愛犬を連れて山に滞在していたある日。 いつも頭上を旋回している禿鷹が急降下し、空中から襲われたことに驚いた犬はそれ以来地面だけでなく、危険がないかどうか確かめるために鼻を空にも向けるようになった。 禿鷹に襲われた時の犬と同じ表情を、9.11の人々の顔にも見た。


EXPOドームは屋根があるだけで野外同然、とにかく寒い。



ルーマニア館にずるずると入り浸っていたおかげでとうとうグローバル・コモンの3と4のほかはまったくどこも見ないまま19:40のバスで帰途についたのだが、なんの不満もございません。 場内より会場とゲートの往復で足が疲れたなぁ。

4月1日(金)

ジャン=ガブリエル・アルビコッコ監督『別れの朝』(1971年仏)を観る。 映像(光線やフォーカス)に凝り、一度観終わってもすぐ観返したくなった。 ヒロインのテーマカラー(ドイツ人の恋人、の意思表示にさっさと髪を切ってしまう気性など)は絶対に赤ではなく白以外に考えられないし、従兄ジャンの「お人形遊び友達」の容姿のほうがずっと好きだが、マチュー・カリエールの不吉さ漂う端整な顔に目が釘づけに。 しかも美男美女が思いきり不幸になり、馬と銃が出てくる欧州恋愛映画。 さすが蔵臼さん……。

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