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9月29日(金)

『赤毛の男の妻』読了。 BGMは「港のヨーコ ヨコハマ ヨコスカ」 再見したくなる映画は『ミラーズ・クロッシング(ダニーボーイが聴きたい)』と『○の○○○○(ネタばれになるので書けない)』。 それにしても、小説に引用されるアイルランドの詩は「赤毛の男の妻」にしろエドナ・オブライエンの「ジョニー、あなたと知らずに」にしろ哀しいものだ。 5リンジャー5作目は『煙で描いた肖像画』の予定、これは来週のお楽しみ。それまでまた『ヒーザーン』のオーツカ老のところからゆるゆる読もう。この話、難しいよ〜。 ……そのまえに、今夜は(亡くなったのは昨年12月とのことだが、今日知ったので)シェクリイを偲んで『ジョーカーの死』を読むのだ。

9月28日(木)

ジャック・ウォマックの『ヒーザーン』が(他の本を読んでいるため)中断につぐ中断でまた内容を忘れてしまったので後戻りして読み返しているところ。 護衛に両脇をブックエンドのように支えられ、「貴族未亡人の亡骸のように手入れがゆき届いていた」オーツカ老人にノックアウトである。 いいなあ、こういう立ち枯れキャラ。
が、今日からまたバリンジャー『赤毛の男の妻』(創元推理文庫)によそ見。 次へ次へと読みたくなるのは、この作家の描く人間像が(全部ひっくるめて)好きだからなんだろうなぁ。 おかげでまた『ヒーザーン』が後回し。

9月27日(水)

Fuzzy Warbles Series Collectors Album (Andy Partridge)がAPEから届いた。 1〜6は手持ちがあるので7・8とアルバムのセット。 型番APEBOX001 、こんなのが002、003と続いたら財政破綻してしまう。
    ボーナスCD "Hinges"
  1. Gold
  2. Now We All Dead (It Doesn't Matter)
  3. Rain Of Blows (early version)
  4. Reign Of Blows
  5. Jump
  6. Shake You Donkey Up
  7. Happy Families
  8. Here Comes President Kill Again
  9. Beating Hearts

9月26日(火)

優秀な警察官がすべてを投げ出しても欲した女
ビル・S・バリンジャー『美しき罠 (Rafferty)』(HPB1791)読了。
愛の嵐、照柿、ソフィーの選択、ラストタンゴ・イン・パリ、離愁、さらば美(いと)しき人、愛のコリーダ
↑固有名詞的な感想だけど、ひとことではいえない間柄の男女ばかり。 女が望むたったひとつのことを叶えてやれないがゆえに、尽くして捧げて「このひとことを聞くために生きてきた」男ラファティの物語、と言うだけではとてもこの内容を伝えられない。 無機的・有機的いずれも独特な時間感覚にも日常を忘れました。甘露甘露。 私がシムノンの「ミステリでない作品」を読むのも、こういう作品を読める幸せに浸りたいからなんだなぁ。

ジョン・ル・カレの映画、といっても『ナイロビの蜂』でなく『寒い国から帰ってきたスパイ』でなく『リトル・ドラマー・ガール』でもない。 ル・カレ1962年発表、唯一の本格ミステリの映画化で脚本もル・カレ自身による『高貴なる殺人(1991)』の中古VHSを600円で見つけた。 監督は『ドリームチャイルド』のギャビン・ミラーだから期待度高し。 ヴェルヴェット・ゴールドマインよりもあの「雨合羽姿の殺人鬼」アメリカン・サイコくんが私の中では記憶に新しい(その後もっとえげつない役で出ているようだが、観てない)クリスチャン・ベール目当て……、もとい、コメディ『Noises Off』でヘベレケ老優を好演したデンホルム・エリオット目当て。 『Noises Off』には亡きクリストファー・リーヴもアホアホ俳優役で出演しているんだな。

9月25日(月)

マイクル・ピアス『警察長官と砂漠の掠奪者』読了。 舞台は20世紀初頭のエジプト。盗掘事件の調査中犬のミイラ、猫のミイラ、鰐のミイラがどっさり詰まった穴に(何者かに押され)落ちてしまった考古学者のミス・スキナー
爪先立ちになると、縁から外が見えました。でも、登れなかった。足がかりがなにもなくて。もちろん、ミイラはあったけど、乗ると崩れてしまうんです(p67)
ミイラを積んでよじのぼろうとしたのか、気丈な。 鰐のミイラが天井まで何千何百も互い違いにぎっしり積み重ねられた部屋まで出現、まるで鰐のミルフィーユだ。 村人たちは、ホテルを出入りする観光客に盗み出したミイラのかけらやその包帯の切れ端を振りかざし「ほんもののミイラでさ!」と口々に売りつけようとするのだった。 もちろん本筋で狙われるのは鰐のミイラではなく、もっと大物。
かる〜く読めたので、マムール・ザプトもの短篇(マムール・ザプトと鳩の家)が収録された『<クライム・クラブ創立60周年記念>13のダイヤモンド』を今日の通勤の供にして、すぐ読了。続くマイク・リプリーのエンジェルもの「消えたディーゼル」のほうが面白かった。 HM162-1~3の天使シリーズが「いつでも読めるよ、読んでいいよ〜」と三冊揃って本棚から手招き。

やれやれ密林から『美しき罠』発送通知がきたと思ったら、夕方もう届いたよ。密林どーゆータイミングで発送通知出してんの。

9月23日(土)

「早川から出ている新書版の、ポケミスとかポケットミステリというシリーズ」と説明しても、書店員が「ハァ?(あの顔文字を入れたいところだ)」という反応。 私の住む市で最も大きいと思われる書店でのひとコマ。
    密林到着分と古書店にて:
  • ランドル・ギャレット『魔術師を捜せ!』(ハヤカワ文庫HM52-2)
  • J・J・マリック『ギデオン警視と暗殺者』(HPB737)
  • ジョルジュ・シムノン『13の秘密 第1号水門』(創元推理文庫)
予約注文を密林から一方的にキャンセルされたバリンジャー『美しき罠』が入荷したので再注文したら即「もうすぐ発送されます」表示に。 気を揉ませたものだよ。 市の大型書店は出店してまだ数年、DVD・CDレンタル併設午前2時まで営業という広く浅い品揃えなので、レンタル利用客がついでに買っていく雑誌や実用書、コミック本のほうに比重を置いているようだ。 店員もアルバイトくんだったのかもね。 職場のそばに何軒かある昔ながらの古書店には、週明けなど店頭(それも歩道に面した、粉塵かかりまくりのところ)に週末には見かけなかったSFやミステリの古い文庫がちらほら増えている。 オールドファンが休日に持ち込んだものだろう。 そういうのを1冊1冊、わーこんなのが埋もれていた!と見つけるのが楽しみ。 ブックオフで滅多に見かけないポケミスがあった時は、きっと同じ人が手放したと思われるお宝が文庫コーナーで見つかったりもする。 安く買えるのに越したことはないが、小口を無神経に研磨され栞(スピン)が切れた文庫を見ると、ずらりと本の並んだブックオフが本の墓場のようにも思えるのだ。

9月22日(金)

ビル・S・バリンジャー『消された時間』 読了。 終りまで読むと、冒頭の美しい文がようやくわかる仕組み。また、すぐ2章から偶数章ばかり読み返したくなるので、複雑なクラインの壺のような小説だった。 歌う○○○が目に見えるよう。

「在庫あり」の魔術師ものだけ先に分割発送され留め置き状態のバリンジャー『美しき罠』がまだ読めないため、それまでのつなぎに鞄に入れていくのは『消された時間』とは砂漠繋がりの、また訳者ともカイロ繋がりの『警察長官と砂漠の掠奪者』(マイクル・ピアス)、1992年度英国推理作家協会賞ユーモア賞受賞作。 砂漠とかエジプトというと、XTCの"Homo Safari"の、ラクダの足音のようなとぼけた音楽が(アラビアの「オレンス」のモーリス・ジャールより)先に浮かんでしまうのだな。

9月20日(水)

予約注文と併せて発送される(発送された)某魔術師ものが届くまで、それではと奇術師が主人公のお話、ビル・S・バリンジャー『歯と爪』(創元推理文庫)1976年5版で読了。 旧装幀の(裏表紙側)カバーには、「あなたはこの先を読まずにいられますか?」つまり開封しなければ返金保証の封のされた原書写真が載っている。 表紙の絵(なんと、オマー)も大胆だなぁ。
まず第一に、ある殺人犯人に対して復讐をなしとげた。 第二に自分も殺人を犯した。 そして第三に彼は、その謀略工作のなかで自分も殺されたのである……
奇術師リュウの語りと法廷の訊問場面が交錯しながら、復讐する者とされる者それぞれの「死」というひとつの像を結ぶ。 たとえ命を奪われなくても、人は死ぬのだ。

植草甚一著『雨降りだからミステリーでも勉強しよう』
クライム・クラブも知らず、シムノンとデイトンの書評が充実しているという理由で4月の帰省時に買った本。 この本で取り上げられている作家の本を今「おもしろい、おもしろい」と読んでいるのだからなぁ。バリンジャーにも一章「エクセントリックでシリアスな暗黒作家」
さて次は同じバリンジャーの『消された時間』。 積読も 思わぬときに 役に立つ 『赤毛の男の妻』も読んでみたいし、近刊の『美しき罠"The Beautiful Trap"』も楽しみだし……、と思ったら、予約していた密林よりもう発送通知。

忘れっぽい(物覚えがわるい)のだが、人からお奨めされたおいしいものや本や音楽をだいぶ後になって入手することがある。 普段は忘れていても、店頭で見かけると「思い出せスイッチ」が入るのだな。 ポール・ギャリコ『猫語の教科書』もそんな一冊。 hさんからメールでお奨めいただいたものだ。 通っていた小学校でギャリコ原作の『トマシーナの三つの命』を観たのが多分最初のスクリーン体験なので(その次は子ども会で連れて行かれて市民会館で観た『ミクロの決死圏』)、ブックオフに行くたび『猫語の教科書』は探していたのだ。 先日やっと見つかり喜びの報告も済ませたところ。
文庫版『猫語の教科書』巻末に、大島弓子さんの見開き2ページのエッセイマンガが掲載。愛猫のサバを亡くして、サバの写真もつらくて見られなかった大島さんが、『猫語の教科書(単行本の頃)』表紙のツィツァとサバを重ね合わせ、だんだん元気が出て、サバの死も漫画で描けるようになったのだという。 第12章「じょうずな話し方」に「声を出さないニャーオ」の劇的な効果について書かれている。うちの猫はやってくれないのだが、『グーグーだって猫である(1)』によると、大島家の「ビー」は声のないニャオを頻繁にやるらしいのだ。ああ見てみたい見てみたい。うちの猫は「声を出さないガブ」はしょっちゅうなんだよ。いたたたた。 大島さんのあとがきマンガは、保坂和志『猫に時間の流れる』でも読めるらしい。 これでまた、探求本が一冊増えた。

9月18日(月)

私は吉野家の横を通りかかっただけだが、今日のみ100万食限定の牛丼を楽しみにしていた人があんなにいるとは思わなかった。 あの店に何食分割り当てられていたのかわからないけれど、30人は並んでいたね。
    帰りに、めったに行かない方面のブックオフにて:
  • J・G・バラード『コカイン・ナイト』(新潮文庫)
  • メアリ・ヒギンズ・クラーク編『ショウほど素敵な犯罪はない』(ハヤカワ文庫HM80-13)
  • ドリス・レッシング『生存者の回想』(サンリオ文庫)
  • マーシャ・マラー『タロットは死の匂い』(徳間文庫)
  • マーシャ・マラー『チェシャ猫は見ていた』(徳間文庫)
  • ポール・ギャリコ『猫語の教科書』(ちくま文庫)
  • 荒俣宏『ヨーロッパ・ホラー紀行ガイド』(講談社)……旅のテーマは「ヨーロッパの怪奇(グロテスク)の起源をめぐる」。1816年にバイロンやメアリー・シェリーが集まり怖い話に花を咲かせたレマン湖畔のディオダティ荘をバックに、別に見たくもない(失礼)長身のアラマタ氏が写っている。

9月17日(日)

即売市最終日の古書会館へ。 好きなシリーズもの2冊と、ランドル・ギャレットが自分の名前をアナグラムにしたペンネーム「ダレル・T・ランガート」名義で出したSFを見つけた。
  • ランドル・ギャレット『宇宙の間隙より』(ハヤカワ文庫SF373)
  • J・J・マリック『ギデオンの一日』(HPB407)
  • J・J・マリック『ギデオン警視と部下たち』(HPB661)
スコットランド・ヤード犯罪捜査課のギデオン警視はたたきあげ。 イギリス推理作家協会(CWA)の創設者の一人で初代会長をつとめたジョン・クリージィがこのシリーズのために使ったペンネームが「J・J・マリック」なのだ。 John Creaseyって、綴りは違うけれど誰かの名前にちょっと似ているね。 『魔術師が多すぎる』は梅田でも名古屋でも現物を見ているのだがとにかく高かった。 ヤフオクにちょうど出ていた本がすごく安くてそれで調達しようと思っていたら、世の中そうは甘くなかったなぁ。 まあ、スローターハウス5風に言えば「そういうものだ」。 娘の誕生祝いのケーキは本人の希望でストロベリーオンザショートケーキである。まだまだお子さまなんであるよ。
昨日メール便で出した、という『ヒーザーン』実家より到着。すごっ。

9月16日(土)

移動の供は『ヒーザーン』、近未来のディストピアもの。 最初全然話が掴めなかったが、70ページほど読んだところで思い切って最初から読み直してみると、今度は頭の中になんとか入ってきた。 今朝も読んでいたのだが、鞄に入れ忘れ実家に置いてきてしまい、母が気づいて郵送してくれることになった。失敗失敗。 母の読みかけの本は『鉄鼠の檻』再読、息子の読了本は『嗤う伊右衛門』どちらも京極夏彦作品だ。 私は漢字の多いものはちょっと勘弁。

9月15日(金)

家人が、連休を利用して帰ってくる息子&猫を明日下宿のある大阪までクルマで迎えに行くというので、私は一足先に今夕からゴー・ウエストである。 明日はクルマで一緒に帰ってくるので実家滞在は実質半日程度だが、母も登録している市のボランティアが9/30からの「のじぎく国体」植栽用の苗の水遣りや植え込みで忙しいとか。70過ぎて必要とされる場がある、なんともありがたいことだ。 意外と知られていないすぐれもの、JR東海の企画商品「ぷらっとこだま」名古屋―新大阪もJTBで予約済み。指定席特急乗車券+ドリンク300円分の引換券セットでたった4200円。近鉄よりおとくで速いのだ。移動の供はジャック・ウォマック『ヒーザーン』に決める。
  • ニコラス・ブレイク『血ぬられた報酬』(HPB543)
  • ジョルジュ・シムノン『娼婦の時』(HPB667)
  • フレドリック・ブラウン『遠い悲鳴』(HPB878)
  • ジャック・フィニイ『5人対賭博場』(HPB920)
  • フレドリック・ブラウン『現金を捜せ!』(創元推理文庫)
  • フレドリック・ブラウン『モーテルの女』(創元推理文庫)
  • フレドリック・ブラウン『不思議の国の殺人』(創元推理文庫)
  • フランク・グルーバー『コルト拳銃の謎』(創元推理文庫)

9月14日(木)

    ヤフオクにて:
  • 野口雄司・他編『フランス・ミステリ傑作選(2)心やさしい女』(ハヤカワ文庫HM102-2)
シムノン「街中の男」所収のフランス・ミステリ傑作選(1)の出品はたまに見かけても、(2)に遭遇したのは初めて。

9月13日(水)

きのう立ち読みしかけたミステリマガジンのバックナンバー(325)を買い求める。 ユーモア・ミステリ特集号でジャック・リッチーのカーデュラ探偵社もの、ジョイス・ポーターのホン・コンもの収録。

名古屋の食品メーカーが製造している「こてんぐおでん」を、職場向かいの商店街で発見。製造元は「天狗缶詰株式会社」 さつまあげ、こんにゃく、ちくわ、牛すじ肉、うずら卵、昆布入り250円。週末帰ってくる息子に見せてやろう。

9月12日(火)

通勤の供はジョイス・ポーター『殺人つきパック旅行』。 ホン・コンとミス・ジョーンズが、アルバトロス(アホウドリ)旅行会社主催の団体旅行でソ連14日間の旅へ。
    古書店と楽天フリマにて:
  • カート・ヴォネガット『ヴォネガット、大いに語る』(サンリオ文庫)飛田茂雄訳
  • ロバート・ブロック『トワイライト・ゾーン』(角川文庫)
  • ジュディス・メリル編『年刊SF傑作選(5)』(創元推理文庫)
トライワイト・ゾーンといえば、マンハッタン・トランスファーのヒット曲のあのイントロを思い出すなぁ。 古書店でミステリマガジンのBN(ユーモアミステリ特集)を立ち読み…しかけて雨が降り出し中断。 ホン・コンもの収録号だったから、明日残っていたら買って帰ろう(でも水曜定休日だったっけ?)。

9月11日(月)

The Dukes of Stratosphearの"The Mole from the Ministry"でスパイの隠語だと知った「モグラ」。 ウィリアム・モール『ハマースミスのうじ虫』読了。 昨日から読み始め、朝の電車、昼休みはドトールで、帰りの電車と帰宅後で一気に読んでしまった。 アッパーミドルの素人探偵が、同じくアッパーミドルの警視と組んで恐喝犯「バゴット」をプロファイリング。 犯人の正体は早々に明らかになるので、犯人の弱点を見抜きどこへ揺さぶりをかけ自白へ追い込むかということに物語の焦点が移る。 素人探偵キャソン・デューカーは自分より出自も教養も劣る相手を追いつめ、まるで酒樽の番をするように機が熟すのを待ち狩りを楽しむのだが、楽しんだツケも後できちんと払わされる。 キャソンのことは好きになれなかったが、最後の2行でこの物語全体がきゅっと括られて「うわぁ」と驚いてしまった(私が鈍いんだろうか?普通気がつくんでしょうか?)。 新訳での復刊ということだが、ある女性の「というか」という言葉遣いだけは、物語の舞台と年代には少しそぐわないような気がした。

9月10日(日)

密林からようやく『ハマースミスのうじ虫』『あの手この手』が到着。 クロネコのメール便から日通ペリカン便に変わったため、配達員による手渡し。 下の集合郵便受からいたずらで抜かれる心配は解消したが、不在がちなわが家では再配達ばかりでなんとも心苦しい。 特に昨日今日のような祭りによる交通規制中は、クルマを停めるところを探すのにも苦労されるだろうから。
市のお祭りモードにつられたか、ベランダの風船蔓も提灯のように実をふくらませた。揺れる風情が涼しげだ。

ジャック・ウォマックの邦訳2作品は小阪淳氏の表紙。 『ヒーザーン』がデビュー作だそうで、94〜99年のSFマガジン、グレッグ・ベア、グレッグ・イーガンの文庫など数多くの表紙イラストを手がけている。 手持ちの『ブルー・シャンペン』『凍月』を見て見ると、ひんやりしたタイトルと表紙イラストの質感がぴったりだ。 おや、かつてN社のウェブデザインを担当したこともあったようだ。

9月9日(土)

今日・明日は市の一大行事「せともの祭り」。 ここに越してきて10年くらい毎年楽しみで、人ごみも我慢して一軒一軒見て回ったものだが、最近は割れたり欠けたりした食器の補充のために短時間見る程度。 それでもたまに作家さんのおもしろい器にあたったりすると、行けば行ったで財布の紐が緩んでしまうのだが……。 クルマの受け渡し日が今日なので交通規制による渋滞がひどくなる前に家を出た。 これに乗るのも今日が最後か、と思いながら助手席からメーターを見ると125,996キロ。おおおおっ! 走行する間に126,000キロ達成。ありがとう、さようなら。 先週に引き続き本を処分し、その売上げで本を購入。
    『テラプレーン』以外各1ブクオフ:
  • トム・ホルト『疾風魔法大戦』(ハヤカワ文庫FT250)
  • グリーンバーグ&ウォー編『シャーロック・ホームズの新冒険(下)』(ハヤカワ文庫HM75-11)
  • ヒラリイ・ヘイル編『イギリス・ミステリ傑作選'88 わが手で裁く』(ハヤカワ文庫HM68-15)
  • 種村季弘編『ドイツ怪談集』(河出文庫)
  • クリスチアナ・ブランド『自宅にて急逝』(HPB492)
  • ジャック・ウォマック『テラプレーン』(ハヤカワ文庫SF983)

9月8日(金)

デイヴィス・グラッブ『狩人の夜』朝の電車で読了。 ロバート・ミッチャム主演で映画化されているそうだ。 『フィーヴァードリーム』のような大型外輪船でなく、小さなボートでの川下り、船長は幼い妹を連れた、まだ9歳の少年だ。 執拗に二人を追いかける伝道師から逃げ切ってくれ……と祈らずにいられなかった。 映画「ケープ・フィアー」の刺青("JUSTICE" "TRUTH")筋肉男デ・ニーロの原型が、この左右の手の指にそれぞれ"LOVE" "HATE"と刺青をした伝道師、というのもうなずける。

帰りに読む本を調達しに、百日紅の咲く道をてくてく歩いて職場近くの古本屋へ。 くせのありそうな訳者さんの作品を見つけた。表紙もクール。 これがおもしろかったら、姉妹編(というか全部で六部作らしいのね)『テラプレーン』も読もう。
    古書店とヤフオクにて(競合なし):
  • ジャック・ウォマック『ヒーザーン』(ハヤカワ文庫SF976)
  • アーサー・C・クラーク『白鹿亭綺譚』(ハヤカワ文庫SF404)
  • ジュディス・メリル編『年刊SF傑作選(7)』(創元推理文庫)
さて、録画予約しておいた発掘シネマ『ラスト・マップ』録れてるかな?マイケル・ケインとクリストファー・ウォーケンの競演だ。

9月6日(水)

あなたもですよ、ミスター・ガーガン。団長も何もいない終りのない観光旅行団なんだ(p314)
デイヴィッド・イーリイ『観光旅行(The Tour)』読了。 外へ外へと向かうマトリョーシカ人形(実物は内へ内へと向かうので反対だが)のような構造で、動きの少ない第一部・第二部をすぎ、怒涛の第三部でとうとうフロレンタインに同調してしまった私は危険人物か。 でも長さとしては「ヨットクラブ」くらいが嬉しかったけど。

『プリズナーNo.6』DVDで再見。観始めるとやっぱりおもしろいや。 最終回のキレ具合は異様だ。 YouTubeでGodley & Cremeのクリップ("An Englishman in New York"のお面人形目当て)を観ていたら、"Wide Boy"になんとマッケイ先生ことAndy Mackeyが!

9月5日(火)

注文1,500円以上で送料無料となる密林で、復刊されたウィリアム・モール『ハマースミスのうじ虫』とヘンリイ・セシル『あの手この手』をまとめて先週注文したのだが、「通常2日以内に発送されます」筈の『あの手この手』の入荷が遅れて足を引っ張っているのかまだ届かず。 そうこうする間に、別口で後日注文した『グラッグの卵』のほうがさっさと届いてしまった。 100円(実際は105円だが計算が面倒なので)=1ブクオフという単位であらわすと、新刊3冊で42ブクオフなり。 新刊ひさしぶりだ!見よ、このツヤ。流し読みなどしたら目がつぶれるだ。
    ヤフオクにて1.5ブクオフ:
  • 福島正実編『海外SF傑作選 人間を超えるもの』(講談社文庫)

9月3日(日)

家族分とあわせて、読んだ本などをブックオフへ持ち込む。 本当はDVDをたくさん処分したいところだが、北米盤(リージョン1)では引き取ってもらえないね。 Criterion Collectionや"Mishima"とかあるんだが、まあまた家族が観たいと思うこともあるかもしれない(誰が……)。 店舗ごとに異なるサービス中で、この店舗は今日文庫が1冊50円。 来週末は児童書半額セールとのこと。 岡田淳の本が出てこないかな。
本を片付け(散らかし)ながら、どうしてすぐ読めもしない本をこんなに増やしてしまうのだろうと考える。 読みたくなった時にすぐ読めるようにしておきたいからだが、それ以上に「あの本もまだ読んでいない、この本もまだ読んでいない」と、「読みたい本」でなく「読んでいない本」をかき集めずにいられない強迫観念に追われているようだ。 これではきりがない。 手に入れた本の一冊一冊を大事にする気持ちが薄れているこのごろ、何度も反省のふりだけして実行が伴わないのはいけないと思いつつ、今日も安さにつられてこのとおり。
  • シャーロット・マクラウド編『聖なる夜の犯罪』(ハヤカワ・ミステリアス・プレス)
  • マイク・リプリー『天使に銃は似合わない』(ハヤカワ文庫HM162-3) ……『名ばかりの天使』『天使の火遊び』に続く天使シリーズ第三弾。 原題は "Just Another Angel ("Wild Westend"の歌詞より)""Angel Touch" "Angels in Arms (Brothers in Arms)"いずれもDire Straitsの曲にちなんだものだそうだ。 相棒の猫の名前は「スプリングスティーン」。
  • マーティン・ルイス『ニュースになったネコ』(ちくま文庫)……著者はBBCキャスター。ひそかに収集した、世界中のネコに関するニュースの数々。写真がたくさんだ。
  • ディヴィス・グラッブ『狩人の夜』(創元推理文庫)

9月2日(土)

ウッドハウスの小説に登場する「Psmith氏(pは発音しない)」で思い出したのだが、XTC変名バンドDukes of Stratosphearの2枚目のアルバムタイトルが"Psonic Psunset(pは発音しない)"というのよな。 Andy Partridge、もといSir John Johns(1967年の、緑色の肌をした火星人探偵のアメコミから拝借した名前らしいがよくわからん)がウッドハウス読者かどうかは知らないが、それはおいといて……
    ヤフオクにて5冊800円:
  • アシモフ編『世界SF大賞傑作選(1)』(講談社文庫)
  • ドナルド・M・ダグラス『レベッカの誇り』(講談社文庫)
  • ジェームズ・フレーザー『エイブヤード事件簿 汚名挽回』(講談社文庫)
  • ジョルジュ・シムノン『メグレ警視のクリスマス』(講談社文庫)
  • ロバート・ブロック『殺しのメニュー』(徳間文庫)
セットでの出品だが手持ちとの重複なし。 世界SF大賞傑作選(1)はホーカ・シリーズ(宇宙人のお荷物・くたばれスネイクス!他)共著者のヒューゴー賞受賞作を収録とのこと。
  • 「王に対して休戦なし」ポール・アンダースン
  • 「兵士よ、問うなかれ」ゴードン・R・ディクスン

    9月1日(金)

    ナイジェル・ニール『トマト・ケイン』(早川書房)が届いた。 ニールの紹介文で必ず書かれているのが「マン島出身」。マン島といえば尾のない猫「マンクス」しか知らなかったのだが、マンクス・ポンドを通貨とする自治権を持った王領で、公用語のひとつであるマン島語(ケルト語派ゲール語群)の日常的な話者は現在確認されていない……最後のネイティヴスピーカーは1974年没。 現在マン島語による教育の機会も設けられ、多くの人が第二言語としてマン島を学び母国語とする人も現れているのだとか。 遺跡の写真を見るとなんだか「ウィッカーマン」の雰囲気。
    マン島語版ウィキペディア
    作者は若いマン島人である。彼が生い育ち、自作に注入した雰囲気は、ナイフで切れそうに濃厚である。 彼は決して地方性に依存しない― 作品のすべてがマン島を舞台にしているわけではない ―けれども、そこから創造性をひきだしているようだとはいっていい。(エリザベスボウエン/序文より)
    短編「おお鏡よ、鏡」を読む。 「風のなかのジェレミイ」と同様モノローグ形式。 ブラッドベリ「びっくり箱」にはまだ救いがあったが、「おお鏡よ、鏡」の「みにくいアヒルの子」ジューディスはそういうわけにいきそうもない……。
      ヤフオクにて:
    • ジョルジュ・シムノン『怪盗レトン』(稲葉明雄訳/角川文庫)
    • アシモフ他編『海外SFショートショート秀作選(1)(2)』(集英社文庫)

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