インド四大古典舞踊

Indian Classical Dance Troupe


   
 

《 解 説 》

インドには四つの主な舞踊流派が残存し、古典舞踊としてその真価がみとめられている
 

第一の流派〜カタカリ〜
 
南インドのマラバール沿岸に伝わる伝統的な古典舞踊で、カタは踊り、カリは音楽を意味しています。技巧が極度に困難で、身体の各部が独立した動きや表情を要求され、また、日本の歌舞伎のように赤や青などといった原色のメークアップを施し、特に顎の横を紙でひろげ大きな顔につくり、美しく飾った冠をつけて踊ります。


第二の流派〜バーラタナッティアム〜


南インドのマドラスを中心とした古典舞踊で、四大古典舞踊のうちでは、その起源は最も古く、寺院において神々に奉仕する女性のみにより受け継がれ、人々の前で踊るようなことはまったくありませんでした。一般に人々の前で踊られるようになったのは19世紀も末からのことで、今日の古典舞踊の基礎となり、神々に奉仕する目的から、芸術的表現へと本質的な転換が行われました。バーラタ・ナッティヤムの舞踊形式には種々ありますが、ただ、その内容はやはり宗教的で、主として神話を題材に選び、女性の魅力を舞踊の型の中に表現するものとして広く称賛されています。目・眉・首・胸・腕・足など、身体各部を連続的に動かし叙述所作舞踊として音楽のリズムに合わせ演劇的内容を表現します。


第三の流派〜カタック〜

 
北インドのラクナウ及びジャイプールを中心として踊り継がれてきたもので、本来はイスラム王朝の王宮で踊られた西アジア系の踊りであったものに、インド古来の舞踊(ヒンズー神話)を加味して新たに作り出され、踊りの各要素の起源や歴史は古いものの、カタックとして総合され盛んに踊られるようになったのは11、12世紀頃からのことで、ムガール朝以後はまったく宗教性を離れ庶民の間に広まって行きました。


第四の流派〜マニプリ〜

東北インド、アッサム地方の民族舞踊から生まれた古典舞踊です。マニプリは元来女性の群舞で、その美しい二重のスカート、優美な手の動きなどによって広く親しまれていますが、技巧的には他の古典舞踊に比べ少し単純です。アッサム地方の住民は日本人同様、蒙古系の人種で、その踊りの動きの中には日本の舞踊と共通した要素も見受けられ、全体に激しい動きがなく、足でステップを踏むような複雑な脚足運動はまったくありません。  


その他の古典舞踊といわれるもの

インドは歴史が古く、文化の層に厚みがあり、「インド古典舞踊」といわれるものの解釈の仕方次第では、幾つものインド古典舞踊が今後も増えてゆく可能性を秘めています。多数の民族を抱え、地方で独自に守られてきた多様な伝統舞踊も「インド古典舞踊」で括ってしまえないこともないからです。広く人口に膾炙されていないためその存在を知られていなかった舞踊が脚光を浴びたとき、古典舞踊が生まれるという傾向があり、日本では「四大古典舞踊」から現在では「七大古典舞踊」と称され始めている事実がこのことを雄弁に物語っています。さらに言えば、インド本国では「四大古典舞踊」とか「七大古典舞踊」といわれる事はありません。単にバーラタ・ナッティヤムという古典舞踊やマニプリという古典舞踊があるというに過ぎないということも記憶にとどめておいて頂きたいものです。

※このページのタイトルも《四大古典舞踊》としていますが、あくまでも便宜的な総称に過ぎないことをお断りしておきます。 



バーラタ ナッティヤムは次の六種の構成からなる 
1.アラリプ
神への祈願をゆるやかなテンポで踊る。
2.ジャティスワラム 
テンポが早く賛歌を感情を持って表現する。 
3.シャブダム 
賛歌とともに身振り表現で手と胴の動きが強調される。 
4.ヴァルナム 
身体の動きとその表現が最高潮に達した舞踊家の見せどころ。
5.パダム 
身振り表現による小作品。
6.ティラナ 
様々な拍子によって踊り、美しい姿態をみせる。


その他のインドの民族舞踊(民族舞踊は大別、以下の三つに分類されます)

@宗教的儀式におけるもので雨乞いや豊年の踊りなどインドでは特にこの種のものが多く見受けられる。
A
戦いの踊りで、現在でも各地に散在する古族の間で特色ある衣装を着け、刀、槍、盾などを手に踊る。
B民衆の喜びの踊りで、輪舞、方形、横縦列、自由隊形など様々ある。
 

《アッサム地方》
悪魔バスカルとクリシュナの戦いの踊り、豊年の踊り「ビフー」、ナーガ族の戦いの踊りや闘鶏の踊り「ニルイラリム」、円陣踊りの「カンパリム」、四本の長い竹を井桁に重ね足を挟まれぬようにして踊る「クキナーガ」、ボロ族の祈祷舞踊「ナットブジャ」なとがよく知られています。

《ビハール地方》
仮面劇による「ビハールス」、ホー族の雨乞いの踊り「マグヘ」などが特に有名です。

《北部ウッダール地方》
宗教劇風の「ナウタンキー」、エロティックな動作に富む「カハール」、社交舞踊の「ジョラ」、戦闘舞踊の「トラ」などがあります。

《パンジャブ地方》
フォークダンスの「パングラ」や「ギッダ」がもっとも広く知られています。

《ラジャスタン地方》
棒舞踊の「ジンダッタ」、ビールス族の「グマール」や「ゲル」などがあります。

《マドヤプラデッシ地方》
宗教舞踊の「ゴンチャ」や「ラクシュミージャガル」、竹馬舞踊の「スティルト」などがあります。

《マジャラパット地方》
フォークダンスの「サウンダル」「ケロ」「ダクラ」が知られています。

 
 以上これらの他、インド各地にはまだまだ多数の民族舞踊があります。
 

 
現代創作舞踊
インド映画の上映に伴い、その独特なメロディーと振り付けで、広く人々の知られるところとなった。古典舞踊とのギャップに首を捻る人も多いことかと思われる。現代インドでは、潮流として、一頃の日本のお能や歌舞伎が衰退して行ったように古典舞踊が急速に過去の物になりつつある。海外でインド古典舞踊は相変わらず脚光を浴びてはいるが、インド国内に限って言えば、若者たちは映画音楽やダンスに興味を持つが、古典舞踊にそれほど魅力を感じなくなってきているようだ。実際、古典舞踊を観ても、日本の多くの人たちが、お能や歌舞伎を観るのと同じように、欠伸を噛み殺し、その意味さえ理解できなくなってきている若者が増えてきているのが現状である。《ウダイ シャンカール スタイル》による現代創作舞踊等はそうした映画の中のフォークダンスと古典舞踊の隙間を埋める位置にあり、近年益々その存在が重要視されつつある。
下の写真のようにウダイシャンカールスタイル・タゴールダンス・舞踊劇等、これらもすべて「創作舞踊」で括られる。


情    報

ミティラー美術館は濃緑の森にある小学校を美術館にしたもので、ミティラー画850点のほか日本に来て描かれた作品および大作300点、ほかにインド先住民族ワルリー画、テラコッタ等を所蔵し、常設公開しています。また、ミティラーでは毎年、インドから有名な舞踊団を招き日本全国で公演を行っております。

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