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インドでは都市部と農村部の生活の格差は日本人の想像を絶するものがある。例えば、私の家では通いのお手伝いを雇っているが、彼女はカルカッタから片道五時間かけて我家まで通ってくる。家での仕事は主に掃除と洗濯だが、彼女が得る唯一の現金収入はこれによって得られるのだ。彼女の村に電気はなく、バスも通らず、乗り物といえばサイクルリキシャかサイクルバンであるが、村の住人はほとんど利用せず、もっぱら自分の足に頼っている。家を夜中の四時に出、三時間かかって駅まで歩く。そして電車に揺られ一時間。そしてまた三十分かけ私の家まで歩いてくる。三十分の余裕は、電車が定刻通りに来ない事によるものであり、我家へは九時までに到着する条件である。彼女の住む家は藁葺きの屋根に土の壁、床はなく土間であり、寝室には藁が敷かれているだけである。(「インドと日本」第23回より抜粋) |
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展示場(祭壇)内部のドゥルガーの眷族 各会場により一つ一つのドゥルガー女神は色も飾りも違っている
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河に流されるドゥルガー神 |
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10月に入ると年に一度のドゥルガ・プージャという西ベンガル州を挙げての最大の祭りが行われる。これは西ベンガル州の一大ページェントと言ってよく、地方の隅々にまで行われる祭りである。しかし、その中でもコルカタ市の盛り上がり方には格別なものがあり、この祭りのあいだばかりは富める者も貧しき者も、老若男女が一緒になってドゥルガ神の前に等しく頭をさげる。各地区ごとに競い合うようにドゥルガ神を美々しく飾り立て祭る。祭壇にあたる展示場作りからプージャは始まる。さながら万国博覧会のパビリオンにも似て、外観を眺めているだけでもその姿は雄大且つ華麗である。そんな展示場がコルカタ市内の各地区ごとに作られ、総計すれば幾百となることだろう。広い公園に設置され、遊園地も併設されているような大規模なものから、住宅が密集する空き地に祭られるものまで、その規模は様々だが、人々の熱気だけはどこも一様に等しく高い。人々が活発に動き出すのは日差しの強い日中を避け夜に集中するのだが、どこの地区のプージャが凄い祭壇を作ったとか、芸術性に富んでいるとか、ドゥルガ神の衣装が豪華だとか、内部の飾り立てが斬新であるなど、無数のニュースが人々のあいだを飛び交い、呼び声の高い地区を目指して夜通しのプージャめぐりが行われる。(「インドと日本」第37回より抜粋) |