2012年 〜 東 大 寺 奉 納 舞 〜

Indian Classical Dance Troupe


〜2012年 東大寺奉納舞〜


 
聖武天皇の御代、菩提僊那といわれるインドのバラモン僧が東大寺開眼法要で導師を務め毘盧遮那仏に眼を入れられた。その時に使われた筆は今も正倉院に保存され遺されている。また平安時代末期に焼亡し、ただちに再建された際にも同じ筆が使用されており、その時には後白河法皇が毘盧遮那仏に眼を入れられたと伝えられている。
 創建当時の東大寺は現在と相当違っており、その偉容も規模も当時の方が格段に優り、伽藍は完備され東西に二基の70mに及ぶ七重塔が建っていたという。京都の顔と言われ現在日本で一番高い塔とされる東寺の五重塔がおおよそ55mの高さを有するということだから、このこと一つをとっても創建時の東大寺の荘厳華麗さがうかがえよう。しかも一千三百年ほども前のことなのだから驚嘆に値する。
 東大寺建立が「鎮護国家」の名のもとに国家的規模で行われたことは周知のことだが、その造立事業の裏側に秘められた多くの悲話も歴史の彼方に押し流され、現在の様子からは想像もできない。華やかさの裏側に埋没した歴史の影の多くの部分は語られることもなく東大寺の秘められた遺産として沈黙の裡にたたずんでいる。東大寺に限らず世界の文化遺産に登録されている歴史的建造物の多くもまた似たような経緯をたどって造られたであろうことも容易に推測される。
 我々は心のどこかで荘厳華麗な建造物を感動とともに眺めているのは光の当たる部分であり、しかし同時に影の部分にも同様、思いを馳せていることを考えるともなく感じている。民族の各時代を括る苛烈な歴史の実相を見るともなしに潜在意識のなかで感じ取っている。それ故に由って来る感動の本質が言葉を拒むのに比例するかのように、ただひたすらなこの感動は、静かな水面に投じた小石が波紋を拡げてゆくように、より深くより大きく広がってくるのだとも言えよう。
 東大寺の偉大さは単に建物が巨大であるとか、長い歴史があるといった、そんな単純なことではない。もちろん日本史上初の「大仏」が造られたことでは更にない。この日本という国の成り立ちに関わる時間
の大河に文化や伝統、歴史、宗教、国民性といったものの総てを綯交ぜて一点に絞った稀有の建物がこの東大寺にほかならないということなのだ。それはまた、いまに見る東大寺が過去の「遺物」として目の前にあるのではなく、創建以来一千三百年にわたって信仰の対象であり続け今日に到っているという、世界史上類をみない歴史の奇跡として銘記されるべきものだからである。
 私たちインディアン クラシカル ダンス トゥループは菩提僊那の事績に因みインド舞踊を「日印国交60周年」の記念すべき年にあわせミティーラ美術館館長 長谷川時夫氏のお誘いを受け奉納させていただく機会を得た。とくに私はインドに生まれ、インドに育った関係から、このような幸運を得たことに一入の感慨を覚える。
 トゥループの参加メンバーもまた東大寺ミュージアムでの公演も、中門に舞台を移した奉納舞踊も、ともに気の入った舞踊を披露したということでは満足のゆくものとなったようである。東大寺一千三百年の歴史の只中に、その歴史の一部に連なるものとして私たちは参加したのである。その意義はたいへん深いものであり、私たちの舞踊に寄せる真摯な真心がそのまま毘盧遮那仏にとどけられたのではないかと思っている。

 菩提僊那は西暦七三六年に来日し、その後二十有余年を日本で過ごし、来日後の半生は日本人の弟子たちの教育に総てを捧げたという。大安寺にて五十七歳の生涯を閉じ登美山右僕射林に葬られた。鑑真和尚の来日より七年後のことである。
(於、2012、8月)

小久保 シュヴァ チャクラバティ


チ ラ シ



 

往路 奈良盆地を一望できる峠のレストランでひと休み
 

東大寺ミュージアム前の「南大門」
 

大仏殿 高さ46.8m 間口57m 奥行50.5m。創建から平安末、戦国時代と二度にわたり焼亡したが、江戸時代中期に再建された。これが現在の東大寺の概要であるが、高さ、奥行は創建時と同様ながら、間口のみ2/3に(創建時88m)縮小されている。


東大寺ミュージアム(金鍾会館)地下控え室
 

 


〜 インディアン クラシカル ダンス トゥループ 東大寺奉納舞
 出演者 〜


代表 小久保 シュヴァ チャクラバティ

夏目 由紀子 ・ 岡田 さち代 ・ 鈴木 文子 ・ 木下 浩子 ・ 市川 ゆみか ・ アンナ ラウラ シュッカ




一般人は立入れない大仏殿に隣接して建つ集会館内 ダーガルと

ダーガルファミリーとは20年ぶりの再会でした。思い出話に花が咲きました。1992年の日印国交40周年記念の年、このダーガルファミリーと三ヶ月間を日本全国公演で一緒にまわった思い出があります。当時は姉のニローファと叔父のザヒルディンもいて、都合6人で来日されていました。今回は4名の来日で、声楽のワシフディン、姉でタンプーラのカマル、パッカワージ奏者のモハン、フランス人のお弟子さんはタンプーラ担当。ニローファとザヒルディン以外、今回の来日メンバーは当時と少しも変わっておりませんでした。
 

生徒さんたちも、ひと時を寛いで…
 

 

 〜東大寺ミュージアム〜

金鍾会館ホールの舞台


総合司会 ミティラー美術館館長


司会 波多野 むつみさん
名古屋から応援に駆けつけて下さいました


  〜パッラヴィ〜







 

 

  〜シヴァ ストットラム〜



 




〜ガビンダム〜





 



 

 


木下さんから届いたメール
 〜木下 浩子〜
 ナマシュカー、シュヴァ先生

 昨日はありがとうございました。私はまだ奈良にいて、今は東大寺ミュージアムにいます。先ほどは大仏様も見て、改めて昨日踊ったことを感慨深く思い返しました。まるで夢のようでした。本当にありがとうございました。本当は先生への出演依頼だったのに、私たち生徒も連れて来ていただき、貴重な体験をさせていただきました。先生のお心遣いを考えると、本当にありがたい気持ちでいっぱいになります。同時に、昨日中門を眺めていたら、先生がソロで踊っているところを想像し、鳥肌がたちました。先生と一緒に踊らせていただき本当に幸せでしたが、先生のソロも見てみたいというのが正直な気持ちです。奈良に二日滞在し、日本の歴史を肌で感じました。その歴史の中で、インドと密接に関わっていて、インドから多くのことを学んでいることを今回の東大寺でより強く感じました。私はもっと勉強しなければいけません。そして、踊りたいという強い情熱をもって練習していきたいと思いました。本当にありがとうございました。

 また公演を見た友人から以下のメールが届きました。率直な意見が述べられていると思いますので、先生にお伝えします。文中の「へろちん」は私のニックネームです。
「シュヴァ先生のシバ神の踊りは何回観ても迫力があって圧倒されるわ。素晴らしかった。そして何より、他の教室の生徒さん達とのレベル差に驚いた。考えてみれば、私はへろちんの教室の踊りしか見たことなかったのよね。他の教室の先生の踊りは身体の軸がしっかりしてて素敵だったけど、その生徒さんたちのレベルは低いわ。へろちんたちは全員上手かったもん。いい先生に出会ったんだね」と。
シュヴァ先生に出会えて、私は本当に幸せです。

  〜大仏殿〜 一般の人は立ち入れない大仏殿に隣接して建つ集会館前庭

大仏殿と回廊を背景に大谷紀美子先生と
 

大仏殿西側からの眺め 大仏殿の東西と裏側を間近に眺められる人は滅多にないということです
芝生の手入れもしっかりされていて素足に快い 皆さん結構お茶目しておりました

 


 

先生がいないとリラックスするのか皆さん自然な笑顔です
 

トゥループ恒例のポーズをつけたお揃いの写真


〜〜〜〜〜参加舞踊グループ一同が揃って〜〜〜〜




〜東大寺 中門にて参加者全員で〜


  〜東大寺 奉納舞〜

大仏殿奉納舞 中門にて 司会の波多野むつみさん


波多野さんによるアナウンス朗読
今から1260年前の天平勝宝4年(西暦752)、ときの聖武天皇のもと、大仏開眼法要が執り行われました。この開眼法要には一万人にも及ぶ大勢の人々が参集し、現在の韓国、中国、ベトナム、インド等の国々から高名な僧侶等が招かれ、国際色豊かな一大絵巻が繰り広げられたということです。インドから迎えられた僧のお名前は菩提僊那と言われるバラモン僧で、大仏開眼の導師を務められ、実際に大仏様の眼を入れられたそうでごさいます。ここ東大寺では、聖武天皇、行基大僧正、良弁僧正と共に菩提僊那を入れ東大寺「四聖」としてその功を称えられていると聞いております。私たちインディアンクラシカルダンストゥループの代表小久保シュヴァチャクラバティもまた、インドで生まれ、インドで育ち、バラモンの家系に繋がる一族の出でございます。今は第二の故郷となったこの日本で舞踊を仲立ちとして日印交流に努めておりますが、本日は毘盧遮那仏の膝下に、あまねく人類を照らす慈悲の心と菩提僊那の威徳を偲び、また昨年の東北関東大震災でお亡くなりになられた方々に祈りの思いを込め、本日のために小久保シュヴァチャクラバティ作によるバラタナッティアムを捧げます。





名古屋城に匹敵する高さを有する「大仏殿」が背後にライトアップされ荘厳さをいや増しています


中門脇には多聞天・持国天が祀られている




「蓮の花を思わせる」出だしだと隣に座っている観客が呟かれた
 

途中、雨が降り出してきましたが、雨の中、傘をさしながらも大勢の人たちがご覧くださいました
席を立つお客様がいないのには驚きでした!!

 


 

 





  





小久保シュヴァ作による「マンガラム」。「五体投地をイメージする」と客席か
ら声が洩れ聞こえてきました。観客は雨の中、身じろぎもせず見入っていた
 



奈良新聞 8/13日
 大仏にインドの調べ - 東大寺で日印国交樹立60周年コンサート

盛り上がった「ライトアッププロムナード・ならライトアップコンサート」=11日、奈良市雑司町の東大寺大仏殿中門

 日本とインドの交流樹立60周年を記念し、奈良市雑司町の東大寺大仏殿中門で11日、「インドの声楽と舞い」をテーマに大仏さまへ奉納する「ライトアッププロムナード・ならライトアップコンサート」が開催され、雨天にもかかわらず多くの来場者が大仏開眼にちなんだ声楽やインドの古典舞踊を楽しんだ。

 インド大使館とインド文化交流評議会、日印交流を盛り上げる会が共催する、日印国交樹立60周年記念公式催事「日印交流のはじまりと未来」の一環。

 華麗な民俗衣装をまとった小久保シュヴァさんの釈迦(しゃか)に感謝する祈りの舞「マンガラム」や、声楽家としてインドでは最高の賞とされるパドマシュリー賞を2年前に受賞したワシフディン・ダーガルさんがインドの素晴らしい歌と声を披露。来場者は境内にこだまする独特の調べに聴き入った。

  〜ダーガル 古典声楽〜



 

   〜すべての行事を終了して〜

大仏殿に向かって祈りを捧げている…ように見える!?


すべてを終え、肩の荷が降りたのか、その笑顔の輝いていること!!


こんなことは滅多にないのですが……通りすがりの観光客の女性に頼まれて"快諾"一緒に写真を
撮りました。しかもポーズつき。先生、よほど気分がよかったのでしょう、おまけの笑顔付き。


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