断腸亭日常日記 2011年 その18

−−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−

por 斎藤祐司


過去の、断腸亭日常日記。  −−バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で−−

太い斜字で書いてある所は99年、2000年、2001年、2002年、2003年、2004年、2005年、2006年、2007年、2008年、2009年、2010年、2011年のスペイン滞在日記です。

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 11月5日(土) 曇、夜になり小雨 8598

 どうすれば、塩分0%の料理が出来るのか?それを考えて料理をしようとすると、行き詰まる。今、医者から塩分を控えるようにした方が良いという症状だと訊いている。医者に行ったときに、食事療法をやるよりも、薬を飲んで落とした方が遙かに簡単だし、数値もグンと下がる。大体、食事療法をしなさいといって出来る人は殆どいない。無理だからやらなくて良いです。というので、カチンと来た。それでムキになって食事療法をする気になった。それと塩分0%の問題もあるのも大きい。

 そのことを、ある人にったら、「それは医者がよく分かっているからでしょう。そう言ってやる気にさせたんでしょう」を言われた。そう言うこともあるのかとも思った。ある人は、「嫁が栄養管理士で、家にいるとカップ麺とか食わせてくれない。だから、職場に来てこれを食べている。超美味しい」を言って毎食弁当などと一緒にカップ麺を食べている。それ塩分何グラム入っているの?普通カップ麺の平均は5.5グラム入っているんだけど、というと、「あっ、6.5グラム入っている」といった。1日2食それだけで13グラム。(病気に)近づいているねと、言ったら、笑っていた。だって美味しんだもん、といっていた。

 彼のようにカップ麺ではなくても、ラーメンが食いたくなったり、つけ麺がくりたくなったり、するときがある。今はそれをグッとこらえている。京都に行くまでは、少し減塩生活を続けようと思う。夕食は納豆に長いものすったものを混ぜて食べた。美味しかった。その後、カレーを作った。これは明日からの弁当用のもの。

 苔寺への参拝応募の往復はがきを送った。希望日に観れれば良いが・・・。

 『神々の国の首都』小泉八雲著、平川祐弘編(講談社学術文庫)をひもとくと、日本という異国文化に素直に驚き、そして喜び、受け入れている。それを吸収しようとしている真摯な姿勢で文章が書かれていることに驚く。


 11月6日(日) 小雨 4037

 「面影、いい言葉ですね。「俤」とも書く。私がいちばん好きな言葉のひとつです。そういえば、以前、日本の風土論を書いているオギュスタン・ベルクから「日本の最大の国家の理想は面影じゃありませんか」言われてギョッとしたことがあるんですが、ジャコメッティもそのように、「主体」として見ていたものといったん述語化して、その述語の状態を彫刻にしてみた。そうして生まれたのが、あのジャコメッティの細長い不思議な人物彫刻です。
 もっといえば、彫刻というジャンルすらどうでもよくなっていったことでしょう。私のなかでも、ジャコメッティの作品は、彫刻家であるというところから離れて、むしろ、池大雅や浦上玉堂の線と、あるいはパウル・クレーの線に近いものになっています。
 (中略) なんとかもう一度述語化してみる。好きなものであれば、それをさまざまに言い換えてみる。そこからもう一度主語に戻していったときに、今度はたくさんの主語が騒然と立ちあらわれていくはずです。
 そのようなものを大量にもってスサビをおこすというか、荒れるというあ、遊びのような闘いを挑むというか、そうしたことに向かっていきたいものです。(中略)肩書きをもたないことによって、何にでもなれるし、お気に入りの誰とでも共闘ができるんです。」 ーー『神仏たちの秘密 日本の面影の源流を解く』松岡正剛よりーー

 「主体」を述語化して、それからもう一度主語に戻してみる。難しいことだけど、そうすることによって全く違った事、大事なモノが見える来るのだと思う。


 11月7日(月) 曇 18901

 昨日今日と、ISOさん、シーラさんと電話で話した。京都旅行についてなど。中村さんにも連絡をしなければ。それと下山さんにも。塩分0%のブログを書いている人にも、メールしないと。相談に乗ってもらえるかどうか判らないが、質問したいことがいくつかある。京都のホテルは、ダブルブッキングになっていた処を改め、確定した。

 「第90回全国高校サッカー選手権(12月30日開幕)の地方大会は6日、東日本大震災で被災した岩手で決勝を行い、盛岡商高が5年ぶり16度目の出場を決めた。全国制覇した第85回大会以来の岩手代表に決まり、藤村慶太主将は「今年は震災があった。東北の皆さんに夢や希望を与えられるように頑張りたい。目標は優勝」と力強く宣言した。
 盛岡商高は決勝直前に関係者の家族に不幸があり、喪章をつけてプレー。7−1で遠野高に大勝し、J1仙台に来季加入が決まっている藤村主将は「この1年の思いがこみ上げた」とうれし涙を流した。
 岩手・大船渡高監督時代にはJ1鹿島の小笠原満男選手を指導した盛岡商高の斎藤重信総監督は、高校日本一に輝いた第85回大会のチームと比較し「攻撃力はあのときに負けず劣らずある」と手応えを口にした。」 ーースポーツナビよりーー

 全国大会に出場が決まった母校。その場で優勝を口にするのは凄いと思った。遠野に7-1で勝つこと自体凄い。想像できない。僕らがやっている頃は、考えられないことだ。逞しくなった。


 11月9日(水) 曇 31118/2

 今日主にスペイン語圏から来る観光客をガイドしている人に会ったとき、外国人ってどういうところが好きですか?と、訊いたら、金閣寺。銀閣寺とか興味を示さない。清水寺、伏見稲荷、天竜寺近くの竹林、祇園などといっていた。要するに派手なところが好きだという。主にスペイン語圏でも、メキシコ、南米が多いようだが、メキシコの人は、田舎に住んでいるから、都会的な処が好きらしい。

 コルバチョは、日本のテクノロジーとかは観たくないと言っている。日本的な処、そういうところが観たいのだと思う。ラフカディオ・ハーンがそうだった様に。

 苔寺から往復はがきの返信が来た。25日の午前中に行けることになった。


 11月11日(金) 小雨 30675/2

 夕方、馬場に行って本を買ってきた。BIGBOXで古本市をやっていたので、そこと本屋で買った。『宴のあと』『花ざかりの森・憂国』『近代能楽集』『金閣寺』以上三島由紀夫著『尚武のこころ』三島由紀夫対談集『隠された十字架』『梅原猛、日本仏教をゆく』以上、梅原猛著。『風姿花伝』世阿弥著。『無門関』西村恵信訳注。

 本を買ってコーヒーを飲みながら本を読んだ。『梅原猛、日本仏教をゆく』の聖徳太子と空海。『近代能楽集』のドナルド・キーンの解説と、『宴のあと』の第1章。そして今、酒を飲みながら『尚武のこころ』の寺山修司との対談を読み始めたところ。


 11月12日(土) 小雨のち曇 6848

 今度京都へ行くのは、試みの旅である。ある人を京都へ迎えて、何を見せれるかという、試みの旅だ。自分1人では到底案内できない。誰かに頼むしかないモノが多く含まれている。その限定された条件の中でどれだけ目途を立てれるかという事である。とても4日くらいで全てを試すことは出来ない。だから、あれもこれとも行くことは出来ない。しかし、それを選ぶのも悩む。


 11月14日(月) 曇のち夜雨 46661/2

 新宿の電気量販店に行ってデジカメを観た。買おうと思っていったのだが、商品説明など受けて、考えた。バカチョンのデジカメは、つまらないなぁともった。露出を表すF値が判らない、シャッタースピードが判らない状態で撮影するというのはどう考えてもつまらない。かといって、一眼レフのデジカメは、今は値段的に手が出ない。今回何故買おうかと思ったかというと、京都の紅葉は携帯のカメラじゃダメなので、折角行くなら今度は買ってしっかり撮ってこようと思ったのだ。去年はMEGUさんと一緒に行ったので、合流してからデジカメでバチバチ撮ったモノをCDのデータで貰って、これは良いなと思った。自分の携帯で撮った映像は、画質が悪くて折角の写真が台無しだった。明らかに携帯写真の限界を感じた。

 勿論一眼レフのフィルム用カメラは持っているが、フィルム代が高いので、出来ればデジカメの一眼レフが欲しいが、お金がないので買えない。お金があればニコンのD3xが欲しいが、これは90万くらいするのでとても手が出ない。こんなの買うならスペインに行っていた方がずっと良い。それでバカチョンのデジカメを買おうと思ったのだ。近日中の何を買うか決めようと思う。


 11月15日(火) 雨のち曇 11839

 検討の結果、デジカメのバカチョンはニコンの物を買うことに決めた。後は、新宿に行って買ってくるだけ。京都行きの新幹線の切符も買った。京都の宿も、最終的に4日間を決めた。初めの2日が和室、後の2日がホテルの洋室。考えてみれば、旅行という物を、スペインに行きだしてから、日本国内で行った記憶がない。それが闘牛の会を辞めたら行けるようになった。去年の京都、今年は3月に奈良、今月がまた京都。

 旅行といえばスペインだったので、泊まるところは洋室のホテル。ベッド寝るのが当たり前だった。今回は和室を頼み布団に寝れるのが楽しみの一つだ。そこから京都の紅葉を観に、寺に行く。楽しみがさらに増える。


 11月17日(木) 晴 34552/2

 新宿でコンパクトデジタルカメラを買ってきた。NIKON COOLPIX S6100。まだ買ってきたばかりで殆ど操作していないのでよく分からないが、ただ、室内ではピントが合いにくい。

 『梅原猛、日本仏教をゆく』を読んでいると面白い。自分があまりにも知らなすぎることが判ってくる。聖徳太子、空海(弘法大師)、最澄、夢想疎石、一休、雪舟・利休、沢庵、鈴木大拙・宮沢賢治などを読んでいると楽しい。しかし、禅の大祖師にして茶の祖、栄西のところで思考が停止する。臨済宗の開祖で建仁寺開山である。何故か。

 夢想疎石は多くの寺の開山である。京都の多くの有名な寺の開山に名前がある。死して開山になった名義上の開山のモノも多い。 天龍寺は始め、相国寺。その山外塔頭として有名な鹿苑寺(金閣寺)、慈照寺(銀閣寺)、そして荒れ果ていた西芳寺を禅寺として再興して中興開山した。いわゆる苔寺だ。天龍寺と苔寺に残る石庭は、のちの日本の石庭に大きな影響を与えたと言われているそうだ。真如堂は紅葉が有名なところで、去年ISOさんに連れて行って貰った。思えば去年は、1日目が、黒谷、真如堂。2日目が、銀閣寺から哲学の道を通り、南禅寺、そこから、高台寺前を通りねねの道、祇園などを観た。3日目が、竜安寺、金閣寺を観た。

 ようするに去年は、くしくも夢想疎石ゆかりの寺を多く観た事に気付いた。今年も行くに当たって色々調べて、苔寺に往復はがきを出して参拝を申し込みんだら天龍寺(京都五山の第1位)も観たくなった。相国寺も観たくなった。相国寺は、臨済宗相国寺派の本山で京都五山の第2位。調べれば、京都五山は全て臨済宗の禅寺だ。空海によって日本に入ってきた、真言密教で怨霊の鎮魂の政治的利用して栄えた。この真言密教から禅への繋がりがよく分からない。

 この辺になるともうお手上げ状態になる。今年は、空海の東寺。夢想疎石の天龍寺、苔寺。紅葉の大原、永観寺、高台寺、清水寺、原谷苑。出来れば相国寺、大徳寺などを見たいと思っている。行ければ、大覚寺、妙心寺にも行きたいが、時間がないだろうと思う。


 11月18日(金) 曇 4952

 三島由紀夫の本を読んでいる。『宴のあと』は、お水取りに行くところになった。対談集『尚武のこころ』も面白い。寺山修司、野坂昭如に続き、鶴田浩二を読んでいたら落涙した。特攻隊に入るべき教育を受けた鶴田浩二が、俳優としてやくざ映画で活躍。『刺客と組長 男の盟約』を題された『プレーボーイ』誌上の対談は、『"総長賭博"と"飛車角と吉良常"の中の鶴田浩二』というタイトルで三島が『映画芸術』に書いた文章がきっかけで実現したようだ。

 「鶴田 ぼくは三島さんというのは、すごく敵が多いと思いますよ。
三島 たいへんですよ。あなた。(笑い)
鶴田 みずから求めて対決することに生きがいを感じている感じだ。反抗精神で、そのことにみずから興奮するみたいな……。
三島 一種のマゾヒストでね、それは。(笑い)
鶴田 ぼくは頭が悪いから、この間の東大全共闘との討論にしても、理屈はよくわからないけど、三島さんという人は、たいへんりっぱだと思いますよ。なぜなら人の力を借りないもん。全く自分の感覚とか、そういうもので確かめないと、「ああ そうか」ということばの出ない人です。 」

 鶴田浩二は、三島由紀夫の本質をこういう風に表している。これは、三島を深く理解していることを意味している言葉だと思った。この対談後、鶴田は夫人同伴で三島邸を訪れ深夜まで憂国の論議を続けたという。三島邸辞去のとき、門前の三島夫妻は、鶴田の車が見えなくなるまで、雨の中で立ちつくして見送った。鶴田浩二は、車の中で夫人につくづく供述した。
「だから俺はたまらないんだ。こうしてまで、俺を見送ってくれる、あんなキチンとした日本人はだんだんいなくなっちゃう。」

 こういったそうだ。


 11月19日(土) 雨 19501

 京都行きの準備中。京都で上映するDVDをダビングした。編集は出来ているのでメディアにダビングするだけ。本や服などを詰めているところ。時間というのはあっという間に過ぎてしまうモノだ。調べることが多すぎて追い付かない。こういう状態での、旅の準備。


 11月20日(日) 曇 5659

 本当は今日から京都へ行けるなら、マイルチャンピオンシップを競馬場で観れるのだが、そうはいかない。今日の予想は、リディル、リアルインパクト、イモータルヴァース、あとはフィフスペトルかエイシンアポロンが来るかどうかという感じだ。

 昨日久々に外食らしい外食をした。そば屋でカツ丼と盛りそばのセットを食べた。そばつゆのしょっぱさに驚いた。今までこんなにしょっぱいモノを平気で食べていたのかと驚いた。夕食は定食屋で豚肉の生姜焼き定食。キャペツの千切りにドレッシングをかけて食べるように言われたが、かけずに食べ終えた。減塩生活者には、外食はしょっぱい。出来れば、京都では1回塩分0%のレストランで食べてきたいと思っているが、時間があるか。

 京都の紅葉は色づき始めた様で、行っている内に鮮やかに色づくかどうか判らない。昨日の雨で、寒くなって色が濃くなれば見頃の処が増えるだろうと思う。京都新聞のHPには観光寺院の所に紅葉の特集があって、そこには、日々紅葉の状態がアップされている。一気に色づくわけではないだろうから、見頃の処を見て回りたい気持ちもある。

 予定にはない詩仙堂、金幅寺、赤山禅院、東福寺など観てみたい。大徳寺、大覚寺、妙心寺、相国寺なども。言ってみればきりがない。京都は、街中に紅葉がある。しかも手の届くところにある。これは春になって桜の季節になっても同じだ。行ってみたいところは一杯ある。しかし、そうもいかないだろう。下見を兼ねた旅。何かを発見する旅。何かを掴むための旅である。

 今年は、コンパクトデジタルカメラを用意したので、写真を撮りまくってくるつもりだ。そうしたら、京都の紅葉のHPコンテンツでも開こうかと思う。

 雨が気になる京都。競馬場は夜中まで雨が降っていて、朝になり雨が上がった馬場を稍重の状態。天気予報では、今週は曇で降水確率40%前後。傘も持っていかないとダメな状態で、曇だと露出の関係で色が出にくい。

 マイルチャンピオンシップは、何と縦目だった。これは買えないよなぁ。優勝が池添謙一騎乗のアイシンアポロン、2着が横山典弘騎乗のフィフスペトル。3着にフランス馬サプレザだった。人気だった、リディル、リアルインパクトや、イモータルヴァースは来なかった。

 同時進行で複数の本を読んでいる。『宴のあと』『尚武のこころ』、『梅原猛、日本仏教をゆく』、『神々の国の首都』、『連塾 方法日本T 神仏たちの秘密 日本の面影の源流を解く』などである。1冊1冊読んでいって、『近代能楽集』『金閣寺』、『無門間』、『夢中問答集』夢想疎石や鈴木大拙の著書なども読んでいたくなった。それと小泉八雲。松岡正剛と梅原猛を読みながら続けていきたい。三島由紀夫も再読モノも含めて出来るだけ読みたい。


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