断腸亭日常日記 2011年 その11

--バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で--

por 斎藤祐司


過去の、断腸亭日常日記。  --バーチャル・リアリティーとリアリティーの狭間で--

太い斜字で書いてある所は99年、2000年、2001年、2002年、2003年、2004年、2005年、2006年、2007年、2008年、2009年、2010年のスペイン滞在日記です。

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 7月7日(木) 雨のち曇 5342

 今日は七夕。今年は短冊に、復興を願う気持ちや、家族の幸せと書く人が多いだろう。

 日本の政治状況はちっとも解らない。民主党代表選で、菅直人が選出されて、総理大臣になった。それから東日本大震災が起こってから菅卸しが始まるが、その間、小沢一派などの反主流派は、震災対策を邪魔するような動きをし、自民党や公明党も邪魔する動きをしている。にもかかわらず、震災復興の妨げているは、管首相だと言っている。内閣不信任案を提出したり、協力しているとはかけらも感じられない。

 自分たちが政権を取るか取らないか、誰が首相になるかしか興味を感じていない風にしか思えない状況が続いている。自分たちで選んだ代表が首相になったのに、それを支え、震災復興に当たろうとしない民主党は実にどうしようもない政党だと感じてしまう。その足を引っ張ってばかりいる自民・公明もどうしようもない政党だ。次の国政選挙でどこに入れるかは決めていないが、このままでは、1票を入れたいと思う政党がないという事になるだろう。

 どうでも良い政治家と政党ばかりだ。その中で実務している現政権に、被災地の人たちが感情的に何とか復興をして欲しいと思っても不思議ではない。それはあくまで管政権が良いとか言っているのではない。駄目でも実質政策を実行しているのが、現政権だからという現実の問題だ。党派などどうでも良い!被災地では、復興に向けて実務的に動いてくれる、汗を流して働いてくれる人を必要としている!!!

 昨日カタルーニャ州議会で、闘牛禁止の実行を3年間延期する法案がPPから提出されたが、20対112の大差で否決された。これによりバルセロナでの闘牛は、去年州議会で決まったとおり廃止になる。実質9月のフェリア・デ・ラ・メルセで終了する事になるのだろう。


 7月8日(金) 曇 6739

 歯が痛くなったので歯医者に行った。相変わらず指摘されるのは、ブラッシングが悪いということ。また、指導を受ける。帰りに本屋に寄った。表紙が写真で、石巻の鯨大和煮の缶詰の巨大なタンク。本のタイトルが、『大震災 欲と仁義』荻野アンナ著が目に入ってきた。荻野アンナの本なんて絶対読みたくないと固く誓っていたが、こうなればしょうがない。気になるモノはしょうがないので買うことにした。レジで支払いが済んで帰ろうとしたら、『週刊ダイヤモンド ドラッカー』が目に入ったのでこれも買う。

 帰りにカフェに入って、焼き鳥入りボカディージョの様なサンドイッチとアイスコーヒーを頼んで、ドラッカーの記事を読んだ。非常に面白い。『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら』通称『もしドラ』のドラッカーは、日本人経営者にもっと好んで読まれた経営のバイブルである。

 大震災直後、被災地の各地方行政機関は混乱した。何がどうなっているいるか、さっぱり解らない。そういうときに活躍したのは、非営利団体のボランティア組織である。いわゆるNPOである。ドラッカーは、非営利組織が成果を上げツタ目の自己評価法として、「5つの質問」を挙げた。①われわれの使命は何か?②われわれの顧客は誰か?③顧客にとっての価値は何か?④われわれの成果は何か?⑤われわれの計画は何か? である。

 行政機関が現実の把握を出来ないでいるとき、ローラー作戦で各避難所をくまなく廻って、被災者が何を欲しがっているか、何が必要か、そういう要望を訊いて、そのニーズに応えていった。食料や水、主に福祉施設の修繕、復旧作業。そして、人工透析患者の受け入れ先を確保し搬送もやった。本来行政がやるべき仕事。しかし、ニースに応えるために動いた。

 ドラッカーは生前、阪神大震災でNPOの活動を観て喜んだという。思い出すのは、チリの落盤事故の時、地下でみんなをまとめたリーダーがドラッカーの信奉者でドラッカー理論を実践して救助を待った話は有名だ。平時にも非常時にも役立つのがドラッカー理論。今の日本の政治家に読ませて実践して貰いたいモノだ。


 7月9日(土) 曇 6794

 九州電力は、原発を再開させるために、自分たちに有利になるように、再開に賛成するメールを出すように社員や関連企業に対して働きかけた。このことについて、海江田経産相は、企業体質が全く変わっていない。失望したと言って落胆した。

 人は命令されることによって、行動を起こさない。軍隊などでは、規律の中で命令によって動くが、企業は顧客のニーズに合わせて動くはずだ。企業としての使命や成果を出そうと思えば、顧客のニーズを的確に捉える必要がある。ドラッカー理論によれはこうである。しかし、九州電力は、顧客が原発に対しての安全性を求めているのに、電力供給のためにそれを無視しようとしている。企業理念や使命と言うが問われている。


 7月10日(日) 晴 7995

 朝、東北で強い地震があり、津波注意報が発令され、どうなるかと思ったが、大丈夫だった。それでも福島原発では、作業が中止になり高台に避難したようだ。女子サッカーワールド・カップ準々決勝ドイツ戦は、延長で1-0で日本が勝った。なでしこは今大会始まる前から優勝を目標に掲げていたが、優勝候補地元ドイツを破った。快挙である!


 7月11日(月) 晴 4374

 東北も梅雨明けした。これで全国が夏になった。被災地でも36度を超える気温を記録した。仮設住宅に入った老人の孤独死が発見された。ハエが大量発生して、避難所は、暑くて窓を開ければハエが入り、夜は暑くて眠れない状態が続いているという。菅内閣支持率が各放送局、各新聞社で発表されたが、いずれも支持率は16%前後になっている。

 今日は朝から頭が痛くて何もする気が起きない。ゴロゴロしていたが、洗濯と部屋の片付けを少しした。涼しくなった夜、遅めの夕食を外で取る。9月25日バルセロナの最後の闘牛は、ビセンテ・バレラとホセ・トマス、セラフィン・マリンになればいいなぁと、思っていたら、夜中村さんから電話があった。そういう話かと思い、今週東京で会って話をすることになった。


 7月12日(火) 晴 3796

 昨日の夜中に、『にっぽんの教養』で国境なき医師団のノブコ医師の話を訊きながら『JIN 仁』の中でタイムスリップして江戸時代に、火事や戦場で、トリアージュして手当てするシーンがあったが、その時の事を思い出しながら話を訊いた。医療体制が整っている先進国と、国境なき医師団が行く後進国では、医療体制が全然違う。レントゲンもないところで治療するには、『JIN 仁』でやったようなトリアージュをやっていた。

 10日バルセロナでは、3人の闘牛士がプエルタ・グランデした。ビデオで観たが、カステージャがやはり1番良かった。それとマドリード、ラス・ベンタス闘牛場では、コンチィ・リオスが、女性見習い闘牛士では、多分クリスティーナ・サンチェス以来のプエルタ・グランデした。快挙だ。落ち着いていて、普通に良かった。クリスティーナのように腰が動くパセなどはなかった。剣は、ア・ウン・ティエンポで正確に刺した。


 7月13日(水) 晴 9603

 暑い中、歯医者に行った。前回行ったときは、帰りに山手線が止まったが、今日は行きに人身事故で止まった。メトロで遠回りして着いたが、まだ山手線は止まっていた。歯医者の帰り本屋に寄った。讀賣や朝日新聞社から3月11日の東日本大震災の写真集が出ていた。観ていると胸が熱くなる。でも、僕が買ったのは、河北新報の特別縮刷版。大震災から1ヶ月の震災関連の記事を集めたモノ。河北新報は宮城県の新聞社。被災地の記事を書いているので読んでみたいと思ったのだ。それと『東日本大震災記録写真集 TSUNAMI3・11』。

 震災直後は、与野党力を合わせて復旧・復興に当たると記事にあるが、それがいつから今のような状態になったのか?

 今日は早く寝る。そして夜中に起きて、なでしこを観る。女子ワールド・カップ準決勝をフジテレビで生中継するからだ。


 7月14日(木) 晴 9268

 なでしこは、スウェーデンに、3-1と逆転で完勝した。バス回し、前線からのプレスといい、試合を圧倒的に支配していた。 「サッカー女子のワールドカップ(W杯)ドイツ大会は13日、当地で準決勝の日本―スウェーデンが行われ、なでしこジャパンは3―1で快勝し、2位以上を確定した。17日(日本時間18日未明)に当地で行われる決勝に初進出した日本は、世界ランキング1位の米国と対戦する。
 日本は前半10分に先制されたが、同19分に今大会で初めて先発起用された川澄(INAC)が同点ゴール。後半15分には沢(INAC)がヘディングで勝ち越し点。19分に川澄がミドルシュートで3点目を決め、そのまま逃げ切った。
 日本女子は6度目のW杯出場で、3位以上に入ったのは初めて。五輪の最高成績は2008年北京大会の4位で、世界大会で初のメダル獲得となった。
 もう1試合行われた準決勝では、米国がフランスを3―1で破り、1999年米国大会以来3大会ぶりに決勝に進んだ。日本は過去2度の優勝を誇る米国を相手に、初優勝を狙う。 」 ーー時事通信よりーー

 「佐々木監督「夢や感動を与えるのがなでしこジャパンの役目」 女子ワールドカップ準決勝 スウェーデン戦後会見

■川澄には攻撃にも守備にも走り回ることを要求した

 日本で応援してくれているサポーターの皆さん、ありがとうございます。ミスから失点しましたが、選手たちはそれで目が覚めたのかもしれない。初スタメンの川澄がよく決めてくれました。選手が代わる代わる活躍している。これで目標としていたメダル獲得が確定したが、選手たちはこれで満足していない。世界の頂点を懸けた戦い、米国は申し分のない相手です。
 特別なことをしたわけではなく、今までやってきたことを選手が実践してくれました。ボールも体もよく動いて、集中力もあった。近年にない質の高いサッカーをやってくれました。それが結果につながったと思います。

――初めて先発を入れ替えた、その意図は?

スウェーデンはボールを動かせるけれど、深いフィードも使ってくる。なので、高い位置からプレッシャーをかける必要がある。また、相手のボランチに対しても前からしっかりプレスバックして、味方のMFの負担を減らす必要がある。そういった狙いから、なでしこジャパンの中でも群を抜いたスタミナを持つ川澄を起用しました。川澄には前線で攻撃にも守備にも走り回ることを要求しました。「2点取ってくれ」とは言わなかったけれど(笑)、本当にいい働きをして、いいゴールを奪ってくれました。
 ドイツ戦の丸山に続き、今日は川澄と、ベンチで力をためていた選手が爆発してくれた。そして、勝敗が決する前に永里を投入してトドメを刺す、という狙いを試合前からイメージしていました。

■日本に元気と感動を与えられたとしたら最高

――決勝進出について思うことは? また、チームを誇りに思っているか

 北京五輪はベスト4を目指し、ベスト4に達した時点で力尽きたという印象が残りました。今回はファイナリストになりたいという思いを込めて、準備してきました。そこに違いがある。選手たちを誇りに思います。選手たちは一戦ごとに学んでいる。試合前、日本から多くの人が早朝のテレビ放送を見て、応援してくれているという報告がありました。日本の皆さんに元気と感動を与えられたとしたら、最高です。決勝でも日本のみんなに気持ちを伝えたい。

――日本のチームのスタイルは他国とどこが違うのか?

 われわれはどちらかというと小柄です。だからボールを動かして、かつ守備でも連係する必要がある。日本ではこれを「全員サッカー」と表現されることが多いです。日本はそういうサッカーをやらないと、世界には通用しない。だから攻守に連係、連動することをテーマに、一生懸命練習しています。他国のことは僕から言うことはできない。

――質の高い試合を見せてもらっている。このワールドカップ(W杯)にどのぐらい準備の時間があったのか?

 個の質が伴わないと、このサッカーはできない。選手たちが少女のころから指導にかかわった人たちの努力すべてが、代表のパフォーマンスにつながっているのです。僕が監督になって現在4年目です。4年間、チーム戦術として連係、連動をテーマにやっているが、僕が監督になる前からも同じようなコンセプトが日本にはずっとありました。そしてU-17代表など、若い世代の選手はもっと優れた技術を持っています。日本の若い年代にも期待してください。

■同点の時点で勝利を感じた

――試合前に「日本に勇気を与えたい」と言っていた。今日、それがどんな意味を持った?

 日本では、なでしこジャパンの躍進が連日報道されていると聞きます。テレビも生放送してくれています。ワイドショーでも取り上げてくれています。日本で女子サッカーがこんなふうに取り上げられるのは、快挙だと言えるでしょう。震災からの復興に向かう力にもなっていると思う。決勝戦は結果を怖がらず、自分たちが一生懸命にやることで、日本の皆さんに気持ちを伝えたい。

――澤について。最初にミスから失点したが、監督はその時どう思ったか?

 澤のミスではなく、スウェーデンの選手の予測が研ぎ澄まされていました。ちょうどリズムをつかんだ矢先の失点だったので「痛い」と思ったが、選手たちは怖がらずに、またボールを動かしました。そして宮間からいいボールが出て、川澄の同点ゴールが生まれた。失点にも慌てず、すぐに気持ちを切り替えられました。なでしこが成長しているのは、まさにそういう部分。北京五輪当時のチームだったら、失点の場面で慌てていたと思う。だから今日、僕は同点の時点で勝利を感じました。

――攻撃のことをよく聞かれると思うが、組織守備について監督の考えを聞きたい

 重点的に鍛えているポイントは、攻撃の途中にボールを奪われてからの素早い切り替えと、相手ビルドアップ時の追い込み方です。そのような守備を、ゴールを目指すためにやっています。サッカーとは、ボールを奪わなければ攻撃はできない競技なのです。

■なでしこの選手たちにはお金より大事なものがある

――決勝戦と先日のドイツ戦とでは、重要度がどのくらい違うか?

 ドイツ戦はまさしく決勝戦のつもりで戦いました。米国との決勝戦も、ピッチに立った時に感じる感動や重圧は、ドイツ戦に匹敵すると思う。われわれは5月に米国と親善試合を戦い、0-2、0-2と連敗した。その連敗の中で、われわれは数多くのことを学びました。その相手とW杯の決勝戦をできるなんて、この上ない幸せです。僕自身も本当に楽しみにしています。

――ドイツが世界一になったとしたら、個人賞金6万ユーロ(約670万円)が与えられる予定だった。日本はどうなのか?

 今日はJFA(日本サッカー協会)会長が来ているので、これから相談してみます。ただ、なでしこの選手たちには、お金よりも大事なものがある。そんなにお金のことは口にしてこない。でも、ファイナル進出ですからね、会長も何か考えてくれるかもしれません。

――試合前、震災のビデオを見ているとのことだが、米国戦もそうするのか? モチベーションの大切さは?

 今回、FIFA(国際サッカー連盟)にお願いして、震災以降に日本を支援し、励ましてくれている世界の皆さんに対するお礼のメッセージを掲げさせていただいています。スポーツを通じて、世界に感謝の気持ちを伝えるという意義を、選手たちも分かっています。決勝戦を前に、もう一度思い出したいことがある。震災だけじゃなく、日本のサッカー少女や、未来ある子供たちに、夢や感動を与えるのが、なでしこジャパンの役目なんです。今、なでしこジャパンは日本の誇りなのだという気持ちで戦っています。 

女子代表の川澄「ゴールが空いていたので思い切って打った」 女子ワールドカップ準決勝 スウェーデン戦後選手コメント

■川澄奈穂美(INAC神戸レオネッサ)

「ゴールが空いていたので思い切って打った」

 ベンチスタートが続いていたが、雰囲気には慣れていたので、特に緊張はしなかった。ループシュートは、ゴールが空いていたので思い切って打っただけ。なでしこはみんなコンディションが良く、パスも回っていた。そういう意味で、今日は特別な勝ち方をしたとかではなく、いつもの日々と変わらないサッカーができた。

 ほかの選手たちは5試合スタメンで出ていました。わたしのコンディションはすごく良かった。2得点はうれしかったけれど、それくらいできないといけないんじゃないかと思っていました。「2トップの2人で合わせてこう動こうね」と言っていたんですが、こっちに来て安藤とやるのが初めてだったので、自由に動くことにしました。

(1.5列目でのプレーが多かったが)守備の時は相手が中に3枚いたので、どうしても下がらなくてはいけなかった。だから攻撃に移ったときに、そのあたりで動くことが多くなりました。相手のディフェンスは4枚そろっているし、わたしは1.5列目でボールを受けるプレーが得意なので、それがハマったのかなとは思います。

 1点目はいいボールが来たので合わせるだけ。相手に押されてファウルをもらえるかと思ったんですが、気付いたらボールがゴールに吸い込まれていました。2点目は、1点リードしていましたし、追加点が取れたらいいなと打ってやろうと。思い切って振り抜きました。後半の最初にもシノさん(大野)のすごくいいシュートがありましたし、その前にもGKが明らかに前へ出ているというシーンがありましたので狙うだけでした。

■宮間あや(岡山湯郷Belle)

「米国にはもういい加減、勝たなくては」

 スウェーデンがどんなチームかなどは特に事前に気にしていなかった。自分たちのサッカーが大事。試合前に、『どんな試合もみんな一丸となって戦うことに変わりない。いつも通り、自分たちらしいサッカーをやろう』と、みんなで話した。決勝に向かう気持ちも、同じです。先制されても動じることなく、必ず結果はついてくると信じていた。サッカーの試合で、ビハインドを背負うことなんて、よくあること。なので動じることはなかった。
 得点シーンは、粘ってゴール前にボールを送ったという感じ。相手を崩し切ったとは言えない。もう少し、崩すサッカーをしないと、米国には通用しない。米国には負け続けているが、もういい加減、勝たなくてはいけない。

■阪口夢穂(アルビレックス新潟レディース)

「失点しても取り返せる自信はあった」

 予想していた展開と違ったので、ビックリした。相手はもっと前線からアグレッシブに来ると思っていたが、やってみると意外とプレッシャーもなくてボールも回せた。これはいけるんじゃないかと思った。先制されたが、慌てていなかった。取り返せるという自信はあった。相手が引いてブロックを作ってきた分、1人1人がちゃんと守備者の間に顔を出して、パスコースを作った。少ないタッチ数でボールを動かしていたので、日本らしいサッカーができたと思う。

 守備面では、ボールに対して必ず1人はプレッシャーにいくこと。そして、抜かれても必ず1人はカバーに入ることを徹底した。独走されるシーンも少なかったと思う。それができた要因として、DFとGKからの指示が的確だったことが挙げられる。そのおかげでボランチもいいポジショニングが取れた。

■安藤梢(デュイスブルク/ドイツ)

「自信が増えていっている」

 今日の相手は、前からプレスをかければ怖くないと思っていた。試合をやるたびに、自信が増えていっている気がする。ドイツ戦の後、デュイスブルクのチームメートたちから「頑張って」と激励のメールをもらった。それを読んで、絶対に手を抜いたプレーなんてしないと心に誓った。決勝は思い切り臨みたい。

■大野忍(INAC神戸レオネッサ)

「どんどん仕掛けようと思っていた」

 ドイツ戦までやってみて、できなさすぎる自分がいた。でもあのドイツに、あれだけやれたことは自信になった。自分たちに失うものは何もないと思っていた。この試合も、やるだけだから、どんどん仕掛けようと思っていた。今日のピッチは(芝が良くて)やりやすいピッチだった。W杯が始まって一番のグラウンドでした。

 分析の中で、相手がボールにつられて逆サイドが空くっていうのがあったので、それはチャンスだと思っていた。自分のところに(ボールが)来たらどんどん仕掛けようと思っていた。それが良かった。川澄とはチームで近いポジションでやっていたので、どこに出したらどう持っていくとか、どのタイミングで出してどこにボールをくれるのかも分かっていたのでやりやすかった。自分が前からディフェンスに行ったときに、右サイドに入ってくれたので良かった。

■岩清水梓(日テレ・ベレーザ)

「イングランド戦のことを糧にした」

 失点シーンは、ボールをインターセプトした選手に突っ込もうかと思ったけれど、ギリギリだったのでちょっと見ちゃいました。行っちゃえば良かったと思います。でも、最初からボールは回せていたので、失点後も回せると思っていた。早い段階で同点に追いついてくれたので、やれると思った。仲間に感謝したいです。
 スウェーデンも戦術なのかどうかは分からないけれど、あまり前から追って来なかった。イングランド戦と同じような相手だったけれど、イングランド戦のことを糧にして、『あまり急がずにいこう』と、みんなで話していた。

■上尾野辺めぐみ(アルビレックス新潟レディース)

「なでしこリーグでは考えられない観客」

 悔しい思いがあったので、その思いを出したかった。なでしこリーグでは考えられないぐらいの観客の中で、雰囲気も国内やアジアとは全然違っていて楽しめました。出場は予想していなかったので、呼ばれてビックリした。ベンチの仲間たちから「思い切っていけ!」と激励を受けて、ピッチに出ました。

 ファーストタッチのシーンでは、相手を抜くことよりも、味方につなぐことを優先した。ボールを取られてはいけないタイミングと場所だったので、急がない方が良かったと思う。スウェーデン相手ということではないが、今日も前からプレスをかけることが大事だと確認し合っていた。決勝は楽しんで、思い切ってプレーしたい。ベンチにいる時間も、練習の間も、しっかりチームのために働きたい。」 ーースポーツナビよりーー

 試合を観ていて勝って当然の内容だった。スウェーデンのテレビ中継した解説者は、「決勝に出る資格は完全に日本にある」と完敗を認めたという。「 「米国代表は(決勝で)日本代表の戦いぶりに驚くだろう」。サッカーの女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会で、初の決勝進出を果たした「なでしこジャパン」について、準決勝の対スウェーデン戦を中継したフランスのテレビ局は13日、最大級の賛辞を贈った。
 同局は試合中も「ボール回しの速さが日本の強さ」「守備への戻りが俊敏」「知性あふれるチームだ」などとゲームを支配した日本のプレーを称賛。特に左サイドを駆け上がり攻撃の起点となった鮫島選手を「(相手にとって)危険な選手」とたたえた。
 またフランスのスポーツ紙レキップ(電子版)は、日本がドイツに続きスウェーデンを破ったことについて「日本は欧州の代表チームにとり、厄介な天敵となったことを証明した」と強調。「日本は(格上の)米国との決勝でも、何度目かの驚きを実現しようとしている」と伝えた。」 ーー共同通信よりーー

 過去アメリカとの戦績は、23敗3引き分け。1度も勝っていない。しかし、ドイツにも1度も勝ったことがなかったが勝った。今のなでしこならやってくれるんじゃないかという雰囲気がある。


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