電気機関車牽引の50系客車や気動車により運転されていた秋田地区のローカル輸送の効率改善のため,1993年6月に営業運転を開始した。現在,秋田の「顔」となっている。ワンマン運転に対応した2両編成(クハ700+クモハ701)と秋田地区にだけ配置されている3両編成(クハ700+サハ701+クモハ701)がある。足回りにはVVVFインバータ制御システムを採用し省エネ化を図るとともに,冷房化やスピードアップといったサービス向上に貢献したという評価がある一方で,徹底したコスト低減によって車内はオールロングシートで座席数が少なく,登場当初は賛否両論を巻き起こした。いわゆる「鉄」の人たちや青春18きっぷ愛用者の中には目の敵にしている人も多い。 1994年には,補助電源装置をMGからSIVに変更した100番台(3両編成×1,2両編成×5,土崎工場製)が増備された。尾灯の位置が0番台よりも高くなり,前面種別幕が自動化(側面連動)され大型になったため,外観で区別が可能である。山形新幹線新庄延伸の際,2両編成(5編成・10両)は仙台電車区(現・仙台車両センター)に転出し,N101編成が残った。現在では後述の更新工事が実施されおり,写真とは外観が異なる。
仙台地区に転出した100番台のうち,F2-102編成は2007年3月改正で秋田地区に再度転属となった。帯色変更に加えて後述のパンタグラフ・スカート交換が行われている。車内は,ワンマン運賃表を秋田地区のものに交換して秋田地区のワンマン運転に対応した (ワンマン放送装置はICカード式のまま)。シートモケットは当初 仙台時代のままで運転されていたが,現在では他編成と同じ緑色のものに交換されている。前面方向幕は行先の表示に改められ,その下にワンマン標識灯が再度設置された。仙台時代に設置された再開閉スイッチは撤去されている。現在では後述の更新工事が実施されており,写真とは外観が異なる。 2010年12月の東北新幹線・新青森開業にあわせて,仙台地区に転出していた100番台・F2-103〜105編成が秋田地区へ再度転属となっている。転属当初はパンタグラフは菱形のままで,スカート形状も変化はなかった(2011年5月現在)が,現在では他の編成と同様となっている。 N105編成だけは前面行先表示は種別のみとなっており,仙台時代の編成番号表示が残っていた。ワンマン標識灯は設置されておらず,車内の運賃表が撤去されているため,ワンマン運転は行わなかった。現在,この編成は再度 仙台地区へ転属となっている。 その他の動きとしては,2002年秋頃から前面貫通路扉や乗務員室扉に編成番号(N**)を表記するようになった。2003年夏ごろから車体帯の色が順次変更となった。従来に比べ鮮やかなピンクとなった。2005年後半から,セミクロス改造車以外の編成でもシングルアームパンタグラフに交換された編成が登場した。さらなる雪害対策のため,2007年2月頃からシングルアームパンタグラフへの交換に加えて701系5500番台のようなスカートに順次交換されている (トップの写真)。下の写真のような当初の仕様の車両は見られなくなった。
車内はすべてロングシートで,バケットタイプとなっている。登場当時はピンク色のシートモケットだったが,最近では緑色のモケットに張り替えられている。座り心地は209系シリーズのような片持ち式ではないため硬くはない。寒冷地向け車両であるがデッキはなく,ドアはボタン半自動となっている。座席袖の仕切りは首都圏の車両と同じものであり,冬はドアを開けっ放しにすると寒いので絶対にしてはいけない。 クハ700には省スペース型の洋式トイレを備えている。このトイレは妙に凝っていて,防臭のため便器の排泄口に蓋がついており,トイレに入るとセンサが作動し蓋が開く。また洗浄液が流れ終わると閉まるようになっている。「プシッ」という音を聞いたことがあるかもしれない。この機能は701系だけのようである。 一時は沈静化の様相を見せた701系ロングシート論議だったが,山形新幹線新庄延伸にともない「つばさ」接続をすべてこの701系が担うことになってから,その利用エリアである横手・湯沢地区の利用者から「座れない」という苦情が寄せられた。JR東日本秋田支社ではそのような声に応える形で,2000年12月より試験的にクハ700-36〜38を701系5000番台のようにセミクロスシートに改造し(シートピッチは広くとってあり,よほど足の長い人でなければ窮屈を感じない),折りたたみ式のテーブルを新設の上(その他,パンタグラフをシングルアーム式に変更),主に奥羽本線の秋田−新庄間で運転を始めた。しかしながら,この改造では着席定員はロングシートの場合と全く変わらないため,批判をかわすための形だけのものという見解がある。 2006年12月頃から,他地区に先駆けて優先席部分の明確化のため,優先席付近に設置された吊り手をオレンジ色のものに変更している。現在では他地区と同じ抗菌タイプのものに再度交換されている。
2009年春頃から,走行機器等を信頼性の高いものに交換した「機器更新車」が登場した。写真はN35編成。
電気ブレーキ方式が回生ブレーキに変更になったことにより屋根上のブレーキ抵抗が撤去されたほか,主変換装置の形状が在来車と異なるため,外観でも区別が可能である。また,車内に変化はないが,VVVFインバータ動作音はE217系更新車と同じで,連結器ばねを改良したためか起動時の衝撃がなくなったため,乗っていてもそれと判別できる。
運転台はパネル等が交換されており,「機器更新車」のシール表記がある。
また,二重系となった主変換装置を個別に制御したり台車ごとにMMユニットを解放できるNFBが設置されている。さらに,助手席側に設置されている設定器は基板・スイッチ等が交換された。
最近 更新された編成では,前面・側面の行先表示がLED式となっている。字幕車両も順次LEDに交換された。
車内では,ワンマン運転機器が更新されている。運賃表は液晶ディスプレイ式になっている。
放送装置はICカード式に変更されている。
座席は交換されており,シートモケットの柄が若干変更になっている。
2014年に入って,半自動ドアボタンが交換された編成が登場している。
この電車は,奥羽本線の青森−秋田−新庄間と,羽越本線の秋田−酒田(2001年12月から1往復 −鶴岡)間,津軽線の青森−蟹田間 (2009年3月まで東北本線の青森−浅虫温泉間, 一時期 小湊まで運転されたことがある) で運転される。この区間ではほとんどすべてがこの電車である。ワンマン運転も実施していて,奥羽本線と羽越本線の一部の列車がワンマン運転を行っているが,本数は少ない。新潟支社管内の鶴岡までこの車両がワンマン運転を行っている。 □ 機器更新車・LED 2016年3月20日,クハ700-14調査
北海道新幹線の開業に伴い 青森−新青森/津軽新城間の区間列車に充当されることから,54・55番が追加された。 ※機器更新車の31番,羽後本荘駅の電略は「ホン」が正しい。 □ 前面手動 2002年8月19日,クハ700-19 調査
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