台湾日記  2004年12月〜
 
バックナンバー2001年6月〜2004年11ジャンル別バックナンバー 
  「台湾つれづれ」サイトトップ


12月30日
2004年のこと
2004年の僕は、朝、顔を洗い、コーヒーを飲み、そのまま淡々と一日の暮らしを続けた。
竹ぼうきで軒先の落ち葉をかき、ひとところに集め、燃すこともなく、捨てた。
恋もせず、ビジネスの成果もなく、ゴルフも中国語もうまくならなかった。
そう、たこ焼き職人が、鉄の丸い穴にとじた卵を次々と流し込むように、
一日一日の時を埋めていった。

一かけらのねずみ色のパステルだけで描けてしまえるそんな生活に、
ホームページの読者と会ったひと時は、短いながらも一点の華やかな彩りを与えてくれた。
淡い淡い闇に輝く線香花火のように。

台湾で起業した日本人女性、大学教授、東大出の百姓、技術者、役人、
雑誌の編集者、飲み屋のママ、国会議員。
なかでも感激したのは、従業員数人の有限会社の社長さんだ。
彼は、僕の拙い文を読んで、撤退しようとしたビジネスを継続し、
大きな注文をとることに成功したという。

お会いした方々のそれぞれの生活は、
自分ではとるにたらぬと言われるが、深い意味があった。

そう、人は、心の居場所を得るためなら命すら惜しまない、
居場所を求める動物なのだとしみじみと感じ入る。

顔を洗い、コーヒーを飲み、竹ぼうきではくことを繰り返していて、
僕が知ったのは、平凡に暮らすことの心の痛みだ。
平凡に暮らし続けながら、心の平衡を保ち続けることの難しさだ。

時折、心の嵐がやってきて自分でも抑えられなく、苦しみ果てる。
そして、世の中のあらかたの人が軽々とこなしていることが、
僕の心には、できないのだろうか。
と、また、悩みがスパイラる。

しかし、外に目を向けると、自分だけでも平穏に暮らせたことの幸を思い知る。
疫病、拉致、戦争、地震、思わずチャンネルを変えてしまう残酷な犯罪。

こうしてみると、僕は、ただ、
平凡な生活に、耐えがたい心の痛みを感じ、
平穏に暮らしながらも恐怖に怯える
2004年に生きた、どこにでもいるごく当たり前の一人に過ぎないと思う。
それが幸運な人生というものなのだろう。


12月29日
感激のメイル
○ このホームページで知り合った河野さんと先日初めて台湾でお会いしました。頂いたメイルをそのままここに転載し「自動車泥棒との交渉」(02年1月29日)という面白い記事にさせていただいてから、約二年。とうとう、台湾でお会いして感激でした。このHPの熱心な読者なので、ココで紹介した日本人女性がママをやっている店に行ったりして、盛り上がりました。

○ 河野さんは、印刷製本などをする会社を経営されているのですが、「台湾つれづれのおかげでビジネスがうまく行きそうなのです。」とのことでした。なんでも、あるビジネスが手間ばかりかかってなかなか儲からないので撤退しようかと思っていた時に、僕が書いたアナログ技術が大事という一文を読んだ。(ココとかココ)それで、思いなおして、撤退せずにもう一粘りしたところ、ここのところ、そのアナログ技術をかってくれるお客さんからのひきあいがバタバタバタと増えた。ということでした。お会いしたときは、「まだ、完全には注文がはいっていないので、ぬかよろこびかもしれませんが。」と慎重におっしゃっておられました。

○ そうすると、数日前に、次のような朗報を送ってくださいました。いやあ、僕は、涙が出るくらい嬉しいです。

台北でお会いした時に、お話した仕事が大変なことになりそうです。
(例のデジタル出力の製本の仕事です)

本格受注は、来年からと説明しているにもかかわらず、受注の依頼がどんどん来ています。どうしても年内に、という依頼先も多くて、断わりきれずに仕事が山になっております。業界の大手数社からも、依頼が来ていますが、忙しくて打ち合わせにも行けない状態です。

これで私の正月休みは、無くなりました。ああ〜

アナログは儲かる!かな?
あのときに、らくちんさんのHPを拝見したお陰です。
感謝!


○ 河野さんの会社では、デジタル出力を少量短納期で製本するのがウリだそうです。納期が他社の半分になるなら、結婚式やファッションショーのアルバムなどにとても便利ですよね。デジタル技術によってできた市場で、製本というアナログ技術によって他と差別化したのがよかったと聞いて、こちらこそ勉強になりました。


12月27日
台湾に四年
○ 今月の15日で、台湾に駐在してから丁度四年が経ちました。四年というと、今までのサラリーマン生活の20%を、人生の内の約10%を、台湾で過ごしたことになります。とはいえ、中国語にしろゴルフにしろ、身につけようとしたものは、およそ中途半端なままですし、仕事にしても、大手を振って人様に成し遂げたといえるものは、一つとてありません。時が過ぎるのははやく、「おじさん、老い易く、学成り難し」であるなあとへの字の口で、虚しくひとりごちしておるところです。それでも、あたりまえですが、歳は四つとりました。

○ 僕がこんなしみったれたことをいいながら怠惰をむさぼっているうちに、台湾の社会は、この四年の間にも、せっせと動いていたように思えます。今日は、僕が台湾に来てからの四年で、台湾の社会で変わったことをあげてみます。

○ タクシーがきれいになった
ぼろぼろのタクシーがどんどん駆逐され、新車に入れ替わりました。こちらでは、手を挙げて止まったタクシーが、よく見るとボロイ車だとわかると、それからでも客は、あっちへ行けとばかりに手で「しっしっ」として、乗りません。並んで待っているタクシーでも先頭の車がボロければ、二番目の車に乗ります。こうすると市場原理が働いて、どんどんタクシーが新しくなりました。

○ 車の渋滞が少し緩和した
ほんの少しですが間違いなく緩和しています。MRT(地下鉄)が認知され、通勤にみんなが使うようになったからかと思います。

○ 台北市内の歩道がきれいになった
ベビーカーや車椅子は、到底通れないデコボコのガタガタだった歩道が、随分整備されました。

○ 女性の服装がエレガントになった
4年前の台湾の女性は、スリムが自慢とばかりに、スニカーに細身のジーンズをキメて、小気味いいカジュアルファッションがうりでした。スカートのときでも生足とスニカーは、マストで、日本じゃ珍しい染めずの黒ロングヘアで街を闊歩しておりました。ところが、上のように、スクターからMRTに乗り換え、平らになった歩道をそよと歩くようになると、ハイヒールを使いいの、暑いのにストッキングをはきいの、グラデーションの凝ったカラーヘアーにしいの、エレガントなファッションになってきたと思います。

○ 「今の日本」が民衆に広がり始めた
元来対日感情の非常にいいところですが、どうも、今の日本人には違和感のある日本趣味が多かったと思います。それが、現代の日本人の好むものが、かなり正確に、しかも、一部の日本文化愛好者だけでなく、広く民衆に受け入れられていると思います。タクシーにのると美空ひばりや、台湾語の演歌がなっていたりしたのが、今は、ミーシャや、浜崎あゆみがかかっていたりします。7-11のおにぎりも、4年前は日本のそれとは、似て非なる味でしたが、今では、普通の鮭おにぎりを売っています。

○ おしゃれなカフェが増えた
ややお金持ちの若い台湾人が行くようなおしゃれなカフェが、増えたように思います。日本人の目からすると、趣味や娯楽が高級になったように見えます。


12月26日
選挙後のニュース
● 台湾の立法委員選挙は、選挙前より選挙後のニュースのが、多くて重要だった。

○ 選挙前になじみの烏龍茶屋さんに夜10時頃行くと、お客で一杯でした。どうしたの、と店の人に聞くと、選挙で日本のマスコミの人がたくさん来ているとのこと。3月の総統選でいろんな事件があったので、今回の立法委員選は、各社とも大勢の人を投入したのでしょう。でも、残念ながらたいした事件もなく、むしろしらけた選挙に終わりました。ところが、選挙が終わってみんな日本に帰ってからから、たくさんの大きな動きがありました。マスコミの人も残念でしたね。いくつか並べてみます。

● 14日、台湾の陳水扁総統は、選挙敗北の責任をとり、兼務していた党主席を辞任すると表明。当面は、呂秀蓮副総統が代理主席を務める。党内で「ポスト陳」の呼び声が高いのは、官房長官役の蘇貞昌・総統府秘書長と謝長廷・高雄市長。

○ 20日、台湾団結連盟(台連)の黄主文主席が、立法院選での敗北の責任を取って辞任。後任は、もめており、李登輝前総統の調整待ち。
国民党連戦主席も、立法委員選勝利を花道に引退との観測が広がる。
大きく議席を減らした親民党(宋楚瑜主席)は、国民党の選挙協力を批判し、合併を強く否定した。与党民進党と連携する道を探っている。党内部は、路線をめぐり分裂。

○ 宋楚瑜氏は、相変わらず曲者ですね。世代交代あり、緑陣営(民進党+台連)vs. 青陣営(国民党、親民党、新党)というチームの組み替えあり、一本釣りあり、のなんでもありの激しい動きがありそうですね。

● このほかにも色々ありました。

○ 15日、故蒋経国・台湾総統夫人の蒋方良が死亡。旧ソ連白ロシア共和国(現ベラルーシ)出身。(12月20日アジアウィークリーにしみじみとした好文あり。)

○ 中国では、台湾独立の阻止を狙い、平和統一を基本としつつも、武力行使のガイドラインを明示する「反国家分裂法」の法案が早ければ二十九日に可決される模様。(18日頃の報道。)

○ 21日、日本政府は、台湾の李登輝前総統(81歳)に観光目的の短期査証(ビザ)を発給した。李氏は、27日から、京都や金沢などを一週間旅行する予定。これに中国は強く抗議。

● 台湾駐在の日本メディアの人は、さぞ大変でしょう。選挙前は、日本から来た本社の人の世話に飛び回り、選挙が済むと与党勝利の予定稿がみんな没になり、応援が帰った後に続発した事件を忙しく追い、今度は、寒い能登半島に李前総統について行っていたりしたら、こりゃ大変ですね。お体ご自愛ください。


12月23日
台湾のクリスマス
○ 他のあらゆることと同じように、台湾のクリスマスは、大体普通だけれど、やはりどこかが少しだけ違います。12月になると、ツリーができてそれらしい飾りが増えます。ケーキ屋さんやスターバックの人が赤い帽子をかぶります。ここまでは普通。

○ ところが、クリスマスが近づくと、だれでもかれでもあの赤い帽子をかぶりだします。スーパーの店員。これくらい許せる。中華料理屋さん。サンタ帽で、麻婆豆腐を持ってこないで。ししゃもを運ぶ日本式居酒屋のおばさん。なんで?

○ アパートの管理人のおじさん。赤いサンタ帽をかぶって、退屈そうにタバコを吸いながらテレビを見ています。西蔵(チベット)天珠屋さん。四千年前のチベットからお守りとして伝わる神秘的な石を売っているところです。骨董屋さんのように渋い雰囲気の中で、何十万円もする石が厳かにショーケースにはいっています。その店員が、スーパーで買ったフェルトのサンタ帽をかぶるのは、ぶちこわしです。

○ このように場所にちょっとずれがあるように、時期に対する感覚もちょっとずれています。こちらでは、旧暦の正月(新暦の二月)くらいまでは、クリスマスの飾りつけを片付けません。台湾の人に聞くと「だって、もったいなじゃない。」

○ 確かにね。12月25日に全国一斉、号令一過片付ける国も、冷静に考えると異様ですね。


12月20日
台湾女性に恋する日本男に
日本の男性が台湾の女性を好きになったときのアドバイスを書いてみました。以前書いた、「日本男に恋する台湾女性に」(ココ 6月15日)の続編です。 

1) 年間5回のプレゼント
とにかく、台湾では、男性が女性によくつくします。ヴァレンタインデイだって、男性から女性にプレゼントをする日なのです。これも含めて、プレゼントを忘れてはいけない日が年に5回あります。大変ですね。僕なんて、この1)を見ただけでギブアップしてしまいます。
@ ヴァレンタインデイ  2月14日
A 中国ヴァレンタインデイ(恋人節) 旧暦の7月7日
(織姫と彦星の話からでしょう。美しいですね)
B 誕生日
C クリスマス
D 二人の記念日

2) スクーターに乗ろう
車もいいですが、スクーターが便利です。会社や学校へ女性を送り迎えしている台湾の男性がなんと多いことでしょうか。こうした定期的なサービスだけでなく、女性が傘を持たずに外出して雨に降られれば、レインコートをもって駆けつけなければなりません。「寂しい」と電話がかかってくれば、渋滞をものともせず、すぐに駆けつけられるスクーターが、恋の必須アイテムなのです。

3) 相手の家族ともお付き合い
上の1)の話とも関係しますが、付き合い始めたら、相手のお母さんの誕生日にも何かした方がいいとも聞きました。家に行くことも多く、そこで、相手の家の家事を手伝ったりするそうです。日本だと、結婚してからでも、そんなことしない人の方が多そうですがね。また、お手紙を書くなどすると、お母上が、宛名書きの字の汚さをみて「付き合わない方がいい」とおっしゃられることもあるとか。台湾のおじさん、おばさんは、字がきれいですからね。こんな目でみられるとマル字しかかけない今時の日本人は、ひとたまりもありません。

4) 箸使いを気にしない
台湾では、箸の使い方があまり上手でない若い女性が多いですがそれを気にしてはいけません。おしゃれなレストランで、ファッショナブルな服を着てきれいにお化粧をした女性が、二本の箸をまとめてグーで握って食べ物を突き刺して食べているのをよく見かけます。日本人には、何度見ても興味深いのですが、その突き刺した食べ物を口に運ぶ途中で動きがとまり、口の外8cmのところで、待機していることもあります。話し始めたおはなしをとぎらせることができず、口にいれられないのです。さりとて皿にもう一度戻すこともせず、お顔の横で串刺しの食べ物がゆらゆらと漂い始めます。お話に熱が入ってくると、そのお箸串刺しの食べ物のゆれが大きくなってきます。こうなると、僕などは、話の内容など耳に入らず、あの食べ物はいつお口に入るのかとそればかり気になるだろうと思います。しかし、それでは、台湾の女性と付き合えません。

5) 仕事よりも恋
日本の男の人は、すぐ仕事、仕事というのでいけない。とも聞きました。仕事は、言い訳にならないと。

6)ショートメーッセージを使う
日本の携帯のemailに似たもので、携帯電話でショートメーッセージを使います。これがまた、マメに一日3回送る人もいるそうです。(ア、今の日本の若い人の携帯でのmailもそうですか)少なくとも、この携帯電話のショートメッセージの使い方をマスターしないと、なかなか恋の道は険しいでしょう。

結局、普通の日本男性には、なかなか要求水準が高すぎて、お勧めできませんね。と、結論付けようとしたのですが、こうして書いてみると、僕のようなおじさんには不可能に見えても、今の日本の若い人なら当然のようにできることかもしれません。もはや、日本と台湾の間では文化の違いよりも、世代間格差の方が大きいのかしらん、とも思うと、おじさん、やや傷心です。



12月17日
緑陣営のジレンマ
● 一般的に今回の選挙結果は、与党・緑陣営の低得票率と候補乱立、及び、低投票率が特徴としていわれている。僕としては、選挙前の12月1日にシナリオの一つとして書いている次のような事態がそのまま実現したとみている。( )内は、今日付け加えたもの。

(50.1%という)この支持率が総統選特有のもので、立法委選では、前の立法委選(41.1%)を継承するものだとすれば(実際、今回の選挙では、43.5%の得票率となった。)、立候補者を増やしただけに共倒れが発生し、緑陣営も急に苦しくなる。

● この状況をもう少し詳しく見てみよう。僕は、語学力がなく個別の選挙区事情や政局のやり取りは、よく分からないので、数字的データから推察できることを中心に書いてみたい。尚、選挙は中選挙区制31選挙区の176議席、比例区の41議席、僑選代表8議席の合計225議席である。詳しい選挙区別のデータは、「選挙区別政治状況」を御参照ください。(EXCELで読めるので統計的処理もできます。)

○ 総統選を参考にしてしまった得票率
まず、前回の総統選挙、前回と今回の立法委員選挙の得票率と議席占有率をならべてみる

与党・緑陣営 野党・青陣営 無所属等
01年立法委員選 議席数 100 115 9
01年立法委員選 議席占有率 51.10% 44.45% 4%
01年立法委員選 得票率 41.14% 49.74% 8.71%
04年9月総統選 得票率 50.11% 49.89%
04年立法委員選 議席数 101 114 10
04年立法委員選 議席占有率 44.89% 50.66% 4.44%
04年立法委員選 得票率 43.51% 46.86% 9.63%


結果論でいうと、与党・緑陣営は、予測の基礎を、3年前の前回立法委員選でなく、9ヶ月前の前回総統選においたのが間違いだったといえるだろう。 そして、与党緑陣営は、候補者擁立戦術を議論する以前に、なんといっても、得票率50%を越えないなら、目標の過半数の議席を取るのは、非常に難しい。結局は、議席数も過半数を大きく割り込み議席占有率は、44.9%となった。

○ 多数の候補を立てた間違い
選挙区における各党候補者数と新旧議席数を並べてみよう。(比例区、僑選代表を除く)

民進 台連 国民 親民 新党 無他
01年選挙区議席数(a) 69 8 53 35 1 10
候補者数(b) 92 30 74 41 2 148
(b)÷(a) 1.33 3.75 1.40 1.17 2 14.8
04年選挙区議席数 70 7 61 27 1 10

候補者数をみると、緑陣営、特に台連が超攻撃的な候補者擁立をしたのが分かる。緑陣営は、現職77議席数から45人増の大量の立候補者をたて、結局、45人落選した。青陣営が現職89人から立候補者を28人しか増やさなかったのと対照的である。なかでも台連は、現職8から22人増、2.5倍の30人の立候補者をたて、結局、23人が落選した。僕は、日本人の御多分にもれず、どうしても李登輝に感情的に同調しがちだが、さすがにこの大量擁立は、大胆すぎると思う。これだけ、超攻撃的な擁立をしていながら、前提となる得票率が期待以下だと地獄が待っている。

○ 厳しかった緑陣営内の競争
更にこの台連の超攻撃的擁立作戦は、陣営内の亀裂をうんだ。31選挙区に現職比22人増の候補者というと、緑陣営が議席を増やしそうなどこの選挙区にも台連が現職数に1または2多い候補者をたてることになる。これは、民進党からみると、前01年の立法委選から04年の総統選にかけて伸びた緑陣営支持票を全部台連がとろうとしているようにもみえる。

では、最後の一議席を争った最低得票当選者と次点落選者の陣営別対決パターンをみてみよう。

緑vs.緑 緑vs.青 青vs.青 無vs.緑,青,無 合計
選挙区数 9 12 1 9 31

なんと、緑対緑で最後の一議席を争ったのが9選挙区、青同士では、たったの1選挙区である。選挙戦最終盤で、現場では、血眼になって緑陣営同士の争いに明け暮れていたのが分かる。

○ 政策アピールの連携の失敗
こうしたなかで、与党陣営内の提携が上手くいかなくなってきた。総統選の時は、台連が、台湾志向の強い層を受ける一方で、民進党は、ソフト路線を出して中道層の拾いこみをするゆるい分業ができていた。しかし、今回の選挙では、緑陣営同士が最終議席を争う展開になった選挙区が多く、民進党側は、台連に対抗上、台湾志向の主張を強めた。結果的に、台連と民進党の支持層が重複してしまい、緑陣営全体の支持の層を狭め、得票率を下げることになってしまった。

○ 同士討ちの頻発
緑陣営は、許容度を超える多数の擁立と、それに伴う政治的主張の重複による合計支持率の低下を起こした。そうしたなかで、落選者の分析からも、緑陣営同士の同士討ちが頻発したのが分かる。

与党・緑陣営 野党・青陣営 無他
同じ陣営の落選者が2人以上いる選挙区数 11 8
次点落選の選挙区数 15 10 6

同じ選挙区に同じ陣営の落選者が2人いるというのは、結局、その2人の落選候補を1人に絞っていれば勝てた可能性が高いことを意味する。緑陣営は、この同士討ち選挙区が11もあり、全31選挙区の1/3を超えている。これでは、勝てるいくさも勝てまい。結局、次点落選の選挙区は15にものぼり、累々たる屍を野にさらすことになった。

● 緑陣営のジレンマ
僕は、選挙結果がでてすぐの第一印象として、「民進党が同じ与党内の台連へ対抗心を強め、より台湾志向に舵をきったのが一番の失敗だったように思う。」(12月11日)と書いた。しかし、上記のような状況を詳しくみると民進党の選挙戦術が単純に稚拙であった非難するのは、いささか酷な気もする。むしろ、緑陣営は、解決策の無い深刻なジレンマに陥っていたといえる。

○ まず、台連は、泡沫政党と見られると現状維持すら困難なので、台湾志向の2政党の二大政党制を目指す将来像を描がいた。そうである限り、堂々と台湾志向の「正名」と「制憲」を訴え、台連に票を入れたい人は、どの選挙区にいても票をいれられるように候補者の数を減らすわけにいかない。そして、多くの候補者を抱えた李登輝は、台湾化を正面からかっこよく主張し、民進党を軟弱ものであるかのように批判する。

○ 民進党は、なんといっても、この台連の超攻撃的な多数候補の擁立にたじろいだに違いない。そして、先程みたように、緑陣営の得票率の伸びをそのまま全て台連がすくい取りかねない布陣となっている。こうなると、民進党にとって中道路線をすすむことは、台湾志向の強い支持の確かな層を捨てて、支持の不確かな中道層に向かうことであり、よりリスクが大きい。そしてそのリスクをとって成功したとしても、民進党の議席は、せいぜい現状維持であり、台連が議席数を増やすだけになる。いくら大局的には、緑陣営が増えればよいではないかといっても、現実には手を出せる取引ではなかったようである。

○ さらに、陳水扁は、元反体制運動の闘士であり、夫人はそのために下半身不随になり、自らも刑務所を経験している。副総統の呂女史も刑務所経験者である。そうした歴戦の闘士たる民進党の幹部にとって、かつての体制側の長に軟弱者呼ばわりされるのはたまらないだろう。大げさに言えば、マンデラが人種差別主義者と批判されているようなもので、普通の人間なら感情的にブチ切れてもしかたがない。そうした台連の多数の候補者と強い主張に向き合い、民進党は、感情的な戸惑いのなかで台連への対抗心を強め、台湾志向の方に舵をきった。

○ 結果論をいえば、最後の一議席を緑陣営同士で争っている選挙区でも、民進党が台湾志向に舵を切らずにより中道的アピールをすれば、よかったのである。緑全体の得票率があがり、ひいては、緑候補の二人とも当選し、下から二番目にいた青の当選者を落選させられたかもしれない。しかし、この決断を残りの一議席を緑陣営同士で争っている実戦の場でするのは、不可能に近い。

○ 結局、民進党は、総統選の勝利を受けて勢い込んで今度の選挙に突入したものの、どちらに進んでも、思ったほどは、おいしい状態にならなくなってきた。一方で、台連の方も多くの候補者をたてたものの、民進党が台湾志向の強いパフォーマンスを強め、台連の票を正面から奪い始めると、ジリジリと後退していった。ことここにいたって、台連と民進党は、当面の自分にとって最適の作戦を取ると、緑陣営全体にとっては、最適でない作戦につながる状態になってしまっている。あまり正確な表現ではないけれども、囚人のジレンマ状態に陥ってしまったようである。

○ こうした構造的なジレンマをみていると、この二党の与党体制が、いつまで続けることができるのだろうかと思ってしまう。

(ちょっと間をおいて、「台湾人の選んだあいまい戦略」のようなものを書きたいと思います。)


12月16日
一言:魅力
魅力とは、美しさというよりも、自らの美醜の程度を過不足無く知っていることである。


12月15日
与党・緑陣営の基本的な錯誤 (かなりマニアックな話が続いてすいません。)
昨日、民意は、与党陣営に対して「方向には、YES(総統選)。方法には、NO(立法委選)」と示したと述べた。ではそのNOと言われた方法(プロセス)について考えてみると、与党・緑陣営にある幾つかの重大な現実認識の甘さに思いがいたる。与党・緑陣営が勝利した総統選直後にも指摘したが、今回の選挙での緑陣営の敗北で、さらに明確になってきた緑陣営の基本的な錯誤と思われるものをあげてみよう。(前回総統選直後については、ココ参照)

○ −緑陣営の3つの錯誤−
1)自由と選挙さえ実現していれば、アメリカは、台湾を支持し、守ってくれる。
2)アメリカが支持していれば、中国は攻めてこない。
3)中国が攻めてくる可能性が減りさえすれば、台湾化に台湾の民意は賛成する。
以上三つより、自由と選挙が実現しているなかで、台湾化を主張さえすれば、アメリカの支持があり、中国は攻めてこず、民意の賛成が得られる。


○ まず、1)について。あの最強のアメリカ軍が、命を張って助けに来るのは、アメリカ世論が共感する相当の理由、複雑な政治的なプロセス、ふんだんな幸運が必要である。アメリカが軍事的支援をせずに見捨てた民主主義社会などこれまでに星の数ほどある。報道の自由と公正な選挙が実現していることは、必要条件だが十分条件には、程遠い。

○ 例えば、日経BPエクスプレスのコラムニスト谷口氏が、頭の体操として、台湾が真剣にアメリカの支持を得て中国と袂を分かつつもりならば、しなければならないとした項目をここで挙げてみよう。

故宮にある大陸の宝物を大陸にそっくり返還する。英語を標準語とする。台湾の銀行その他金融機関は、株式の過半を米国投資家へ売り渡す。自発的なドル化。情報の公開度と手続きの公正さを、政治体制と経済並びに企業の運営において、極北まで追求する。

金融機関の株を米国投資家に売り渡すところまでするのは、少し極端な気がするが、いずれにせよこれくらいしないと、アメリカ世論が共感をもって支持しないのではないかという懸念は、共有したほうがいいと思う。

○ ところが、と、谷口氏は言う。
事実はと言うと、台北の友人は米国においてさえ減りつつある。中国への警戒感を売り物に登場したブッシュ政権は、本来なら台湾の頼もしいパトロンになるはずだった。ところがブッシュ氏は、台湾の陳水扁大統領を嫌っているとの観察がもっぱらだ。

国際感覚に長ける台湾の中道層は、アメリカもよく知っており、選挙と自由だけで、アメリカ軍が助けに来るなんて、感覚的に信じられなかったのだろう。

○ 次に上記錯誤の2)について。アメリカの支持がありさえすれば中国が攻めてこないと考えるのは、甘いだろう。(ココ) 中国は、自分の安全保障上の問題と考えれば、北京オリンピックなんて平気で犠牲にすると思われる。大陸との往復を繰り返してビジネスをしている台湾の人たちは、このあたりは、肌で感じているはずである。

○ さらに上記錯誤の3)について。例え戦争にならずに独立を実現できたとしても、台湾系企業の中国工場など、それに伴う経済的損失が大きいのは間違いない。もちろん、台湾企業が、大陸に進出する以上、そのリスクを踏んでいるのは、承知している。しかし、その損失を最小にする方法を考えようもしない政権ならば、民意の支持を得られない。

○ 緑陣営での、こうした3つの基本的錯誤が重なってできた「自由と選挙が実現しているなかで、台湾化を主張さえすれば、アメリカの支持があり、中国は攻めてこず、民意の賛成が得られる。」という認識は、なんとも甘っちょろいものにみえる。この論法は、ビジネスの世界でいうと、「安くてよい品質の製品を作りさえすれば、黙っていても商品は売れて会社は儲かるものだ。」という、大体は正しいが、それだけを信じて行動しても確実に失敗する、現実性の乏しい議論とそっくりである。

○ 以上のように、緑陣営には、重大な錯誤があり、しかもその錯誤が錯誤たることを、台湾の多数派である中道層が感覚的にだが、確実に見抜いている。錯誤という言葉がきついのであれば、少なくとも誤解を生みやすいパフォーマンスだった。いずれにしても、これでは、選挙でなかなか勝てない。結局、甘い現実認識のもとに、表面上だけ、ちゃらちゃらと急進的な動きをしたのが命取りになった。

○ 言い換えると、民進党の敗因は、独立路線に舵を切ったからというよりも中途半端に右往左往したからかもしれない。中国に負けないためには、アメリカに取り入らなければならない。そのためには、もっと「アメリカ的」なる色んなことをしなければならない。実は、自分達だけでも守るんだという気概を示すこともそれに含まれるだろう。それを、有権者に説明し、アメリカと十分連絡した上で腰をすえて独立路線に着実に舵を切らなければ、現実的で国際感覚もある台湾の中道層は、ついてこない。

○ そこまで民衆を説得してリードできないなら、いっそ前回の総統選の時のように、民進党は、猫なで声でふにゃふにゃと中国に融和的なことを言って議席だけとってから、ゆっくりと態度を変えるしかなかった。その場合、台湾化路線を目指す固い緑陣営支持者の票は、李登輝率いる台連で受け止め、中道層の票を民進党が取り込まなければならない。少なくともそうしなければ、総統選並みの得票率は、取れなかったと選挙結果は示している。こうした選挙戦術の失敗を次回見てみたい。


12月14日
方向にYES(総統選)、方法にNO(立法委員選)
○ 「台湾は、将来、独立すればいいじゃない。その前に、正名だっていうのも悪くはない。でもね、陳水扁は、アメリカにちゃんと根回しもせずに突っ走っちゃたりして、稚拙だよね。中国鋼鉄を台湾鋼鉄にするっていうような小さい話ですら、もめてるじゃない。あんな稚拙なやり方で、独立へのすごく難しい道を進むっていうのは、危なっかしいよね。コストが高いなら、独立への動きなんてやめたほうがいい。株が下がるのもいやだしね。」

○ 今回の台湾の立法委員選挙で、台湾の穏健な本土派の意見は、こんなところではなかったろうか。特に、前回の総統選で陳水扁に投票し、今回、野党陣営に投票した人、あるいは、棄権した人の多くは、こういう感覚だったように思える。

○ 今回の選挙結果をみて、日本の論調などにある「民意が独立路線にNOといい、現状維持を選択した。」とまで解釈するのは、おおよそは当たっているが、微妙にいき過ぎていて少しずれているように思う。最も中国よりの野党親民党が12議席減らし、与党連合(緑陣営)がそれでも前回立法委員選挙から比べると議席で1、得票率で2.4%増加している。これをみると、多数派の意見は、「方向として、台湾化路線は、どちらかというと賛成。しかし、どれだけ社会的コストを少なくしてそれを実現するかというプロセス(やり方)が大変重要。プロセスとしては、今の与党連合のやり方に、どちらかというと反対。」と解釈するのがより正確かと思う。

○ 総統選と合わせて考えれば、現政権の台湾化路線の方向には、総統選でYESとし、方法(やり方)には、立法委選でNOと示したと捉えることができる。「方向にYES。方法にNO。」である。そう理解することは、与野党両陣営にとって苦痛だろうが、だからこそ、両陣営にとって生産的で正確な認識ではないだろうか。

(次回は、緑陣営の基本的な錯誤)


12月11日
緑軍敗北
○ 今日投票の台湾立法委員選挙で、民進党と台連の与党連合(緑陣営)が敗北し、野党連合(青陣営)が114議席をとり過半数(113)を制した。陳総統政権は、発足以来の少数与党としての苦しい政権運営が任期一杯続く。投票率は59.16%(前回66.16%)で、7%減少。取りあえず、選挙結果を書いておきます。

国民党 親民党 新党 民進党 台連 無所属
前回計 68 46 1 87 13 10
今回計 79 34 1 89 12 10
 選挙区 57 25 1 69 7 9
 比例区 15 6 0 16 4 0
 原住民 4 2 0 1 0 1
 僑選 3 1 0 3 1 0
青vs緑 114 101 10


○ 12月3日に「台湾立法委員選挙 つれづれ編」では、両陣営のそれぞれが負ける場合のシナリオを書いた。今回は、次のように書いた与党が負ける場合のシナリオの通りになったのではないだろうか。僕個人の主観的感想だが、民進党が同じ与党内の台連へ対抗心を強め、より台湾志向に舵をきったのが一番の失敗だったように思う。

李登輝率いる台連(台湾団結連盟)の苦戦が伝えられている

このままでは、緑陣営同士、票を食い合い、青陣営に漁夫の利を得させてしまうという声も聞かれる。前回立法委員選の青陣営ほど稚拙な擁立戦術は、ありえないにしても、いささかそれに似てきている。

こういう状況下では、得票率が期待以上にいかないと、同士討ちが頻発し、議席数が、期待を大幅に下回るかもしれない。


12月8日
台湾立法委員選挙 街の声
○ 2004年立法委員選挙について街や酒場の声をひろってみました。総統選の時は、選挙の件を聞くと、かなりの人が、初めはおずおずと、そして、だんだんと熱く語ってくれました。(04年3月10日参照)しかし、今回の立法委員選挙では、話題をいくら振っても、あまり話したがらないようですし、興味も少ないようです。今回は、うまくコメントがとれませんでしたが、このコメントがとれないというのも、一つの記録と考えて書いておきます。

○ (緑支持者)
(緑が)過半数は、とるでしょう。

○ (弱い青の支持者)
(人ごとのように)緑が過半数とるのでしょうねえ

○ (以前にも書いた飲み屋のママのコメント。台湾日記:04年2月19日02年12月16日御参照 )
もう選挙には、興味ないですよ。緑が勝つんじゃないの。よく知らないけれど。
*このあたりのコメントの短さを、過去の例と見比べていただきたい。

○ (30歳台、女性、本省人、総統選の時は、比較的熱心な青陣営支持者)
ちょうど半分ずつくらいじゃないの。どっちでもいいわ。政治は、きらい。政治家は、自分のことばっかり。政党は、自分の党のことばっかり考えている。政治がいやになった。

○ (20年程前に台湾に住んだことのある日本人)
独立、正名、制憲なんて、おおっぴらに言っているのをみると、20年前とまるで別の社会みたい。昔は、「独立」なんて、下宿部屋で本当に仲のいい信頼できる友達とだけ、すごく緊張して、ひそひそ話す言葉だったからなあ。なんかでも、そういう昔の台湾が好きだった面もあるなあ。外国人の身勝手な感想になっちゃうけれどね。すごくいじめられてて、それでもたくましく生きてて、それでも優しい台湾人みたいなのが、どうしようもなく好きだったんだけれどもなあ。もうその面影はないよね。


12月6日
「アフターダーク」村上春樹
○ 人に勧めるかと聞かれると、あいまいな返事しかできない本だ。僕のような感受性の乏しい読者には、読む必要性とか、必然性とかを感じ取るのは難しい。ただ、作家にとっては、書く必要性のあった小説だろうと、鈍い僕でさえかなり固く信ずることが出来る。もしかすると、そういう小説をいい小説というのかもしれない。鴎外よりも漱石が、三島よりも太宰が、人々から長く愛されているのだから。

○ ものを書くにあたって、読んでもらいたいという動機と、書きたいという動機は、似ているが違う。つたない駄文をホームページに3年半も書き綴ってきて、しみじみそう思い始めている。


12月5日
盛りあがり
○ 11日に行われる台湾立法委員選挙ですが、少し盛り上がってきました。今日は、与党緑陣営の台連と、野党青陣営が、台北で大規模なデモと集会をしました。行進経路にニアミスもあり、周囲は緊張したようですが、取りあえず事件はなかったようです。各主催者側の発表では、台連の集会は10万人、青陣営の集会は15万人参加したとしています。しかし、台湾の全人口が23百万人ですので、100人に1人が今日の集会に参加したことになり、ちょっと信じ難く、真に受けないほうがよさそうですね。

○ 陳水扁総統は、台連への対抗を意識してか、5日に「正名」(台湾の名を正しく使う)に関して次のような積極的な意向を表明しました。
1)外交関係のない国にある台湾代表部の名称をすべて「台湾代表処」に変更する。これには、東京に置いている「台北駐日経済文化代表処」を含む。
2)中国石油、中国造船などの台湾公営企業の名称からも「中国」を削除して「台湾」を付ける。
中国がどう反応するかもさることながら、民進党と台連の緑同士の争いの厳しさも、注目すべきことでしょう。


12月4日
冬の台風、花蓮の選挙
○ こんな冬に台風がやってきた。冬といっても、日本人の感覚では秋程度の気候だったが、それにしても、12月に台風が上陸するのには、驚く。台北市は、コースからずれており、それほどの暴風雨ではない。しかし、台湾南東部で学校、職場の休み宣言がでた。東部の花蓮県では、土砂崩れなどがでており、退避している住民もいる。こういうニュースを見ると、花蓮を旅したときを思い出す。(02年1月5日「花蓮、台東」

○ 不謹慎ながら、せっかくなので、花蓮県の選挙区事情を「選挙区別政治状況」で見てみよう。東部の花蓮県は、重要な基地があるが、急峻な山が海岸まで迫っており平野部が少なく、観光以外に大きな産業もない、貧しい地域である。野党青陣営支持者の多い外省人、客家、原住民の人口比率が高い。この3つのグループが、それぞれ人口の1/4程度、残りの1/4がホーロー人(台湾全体の80%を占める客家を除く本省人。福建語に近い台湾語(ホーロー語)を話す)である。従って、この選挙区は、圧倒的に青陣営が強く、前回総統選挙でも、陳水扁総統は、連戦候補に得票率29.8%:70.2%で完敗している。

○ ところが、前回立法委員選挙での議席数をみると、緑1、青1となる。得票率を見ると、国民党は、37.9%も得票しているのに議席0であり、30.4%の民進党、27.9%の親民党に議席を奪われている。国民党の候補乱立による同士討ちがはっきり分かる。

○ そこで、今回の立法委員選挙で候補者数をみると、国民党0、親民党1であり、青陣営が候補者を一人に絞り込んでいるのが分かる。一方、緑陣営は、台連が一人候補を立てている。つまり、前回総統選で、得票率が緑:29.8%、青:70.2%だったにも係わらず、候補者数は、緑:2人、青:1人である。前回指摘した、緑陣営の候補乱立傾向と、青陣営の候補絞込みがここでもよく見ることができる。ところが、無所属からの立候補者が3人とも元国民党籍で、実は、青陣営の票を食い合いそうである。結局、緑の民進党1議席、青の親民党1議席、になりそうだと報じられている。なかなか、選挙は、難しい。

○ 選挙も大事、でも台風ももっと大事とテレビでは報じている。しかし台北のように、台風の直撃を受けず暴風雨でないところは、今日も候補者が雨の中を走り回っている。後一週間で投票となる。どうなることやら。


12月3日
台湾立法委員選挙 つれづれ編
○ 今回の選挙(2004年立法委員選挙)について、一般編マニア編に続いて、つれづれ編として、脈絡なく噂話などをつなげてつづってみたい。

○ まず、個人的な感想をいうと、今ひとつ盛り上がっていない感じがする。あれだけみんなが一生懸命やった3月の総統選挙からまだ、9ヶ月しか経っていない。総統選の前は、市長などの地方選があった。感覚的には、この数年、一年をおかずして選挙をやり続けているような気になる。いくら選挙好きの台湾人でもちょっと食傷気味である。更に有権者の気分が盛り上がらないのは、この5年ほど、攻める方も守る方も全く同じメンバー、即ち、陳水扁、李登輝、連戦、宋楚瑜、脇役に馬英九でやっていて、飽きてきたのではないかと思う。

○ 勝敗の行方を問うと、緑陣営(与党)支持者で、今年3月の総統選の直前に「どっちが勝つか全く分からない」と青い顔で言っていた同じ人が、今回は、「まあ、過半数はとるでしょう」と落ち着いている。一方で、薄い青(弱い野党支持者)と自称する人も、「緑が過半数でしょうね。」と残念そうに言っている。一般的には、緑が過半数を抑えるという人が多い。

○ そんな中で、李登輝率いる台連(台湾団結連盟)の苦戦が伝えられている。大体の台連の候補は、知名度が低い。また、地方の選挙区では、台連の理念型のスタイルは、どうしもドブ板型のスタイルの対抗候補に、投票日が迫るほど分が悪くなる。その対抗馬が多くの選挙区では、同じ緑陣営の民進党候補である。つまり台連の候補の多くは、当落線上ぎりぎりで戦っており、今のままでは、その選挙区で最後の議席を民進党に奪われて、次点で敗れる可能性が高くなっている。

○ こういう状況なので、民進党の指導者も、青陣営(野党)の攻撃よりもむしろ、台連への対抗を意識した言動になってきている。具体的には、青陣営(野党)支持者を緑陣営に取り込むには、総統選で行ったように、中国に対して融和的な態度を示し中道よりのスタンスをとるのだが、今回の立法委員選挙では、台連の支持者の切り崩しを狙って台湾本土志向の発言を日に日に強めている。

○ 「制憲」=新憲法制定と「正名」=台湾の名を正す、を主張する台連に対抗して、陳水扁総統は、2006年に憲法改正手続きをし、総統の任期が終わる2008年に施行すると発言した。これに対して、中国が反発するのはもちろん、アメリカも抗議しつつ真意をただしたりしている。アメリカの反発をみて、株価も下がった。株が下がると緑陣営の支持者が離れることになる。

○ このように、緑陣営同士の争いが激しくなっている。選挙の前は、緑陣営同士で選挙区により票を譲り合う「配票」が話題になったが、余り機能していないようだ。このままでは、緑陣営同士、票を食い合い、青陣営に漁夫の利を得させてしまうという声も聞かれる。前回立法委員選の青陣営ほど稚拙な擁立戦術は、ありえないにしても、いささかそれに似てきている。

○ こういう状況下では、得票率が期待以上にいかないと、同士討ちが頻発し、議席数が、期待を大幅に下回るかもしれない。一方で、同じ陣営同士のその激しい競争が、結局は、緑陣営の高い得票率につながれば、議席数をぐっと伸ばし、大きく過半数を超える可能性もある。

○ 結局、有利が伝えられる緑陣営の死角は、有利と思うが故の陣営内の激しい競争だろう。それが、一つは、同士討ちによる票の食い合いをうむ。また、もう一つは、発言がどんどん独立よりにエスカレートしてしまい、株価の下落と言う経路を通って、中道層の支持を失う。逆にいうと、この二つの問題を意識して対処していれば、緑陣営が過半数を制しそうな勢いである。

○ 国民党は、前回選挙での候補乱立による失敗にこりて、十分に候補者を絞り込んでおり、現有議席数維持、もしくは、若干の増と言われている。ただ、今回の選挙で過半数を失うと、かつて一党独裁時代に貯め込んだ党の資産が、国の資産をとったものだとして国に召し上げられるのは、ほぼ確実だといわれている。また、それを見越してあらかたの資産は、すでに腑分けが済んでおり、現在の時点でも、党としては、資金不足だとも言われている。最近では、党職員への給料不払いなどもニュースになった。いずれにせよ、世界一お金持ちの政党と言われた面影は、もうない。前回の総統選では、青陣営支持者である海外在住の台湾人を、費用を負担してでも帰国して投票させたりしたらしい。しかし、今回は、資金も減ってきていることから、そこまでする必要性もないとしたようである。

○ さらに、民進党陣営が最近、青陣営切り崩しの為についているのは、「今回、青陣営が過半数をとったりすると、連宋ペアがまだ生き残り、2008年の総統選にでてくるぞ。馬英九台北市長も王金平立法委員長も将来の目がないぞ」という点である。これは、多くの青陣営支持者の耳に痛いようである。

○ 親民党の状況は、厳しい。台湾では、選挙戦終盤になって当選の見込みの薄くなった候補の支持者が、より政治的スタンスが近く、当選の確率の高い候補に支持を乗り換える「棄保」という投票行動がみられる。今回は、支持率の退潮が止まらない親民党の候補が、「棄」てられて、屈辱的な敗北をするのを心配し始めている。

○ 結局、野党青陣営の問題は、状況が不利でありながら、資金面、人材面において党の将来像を描ききれないことにある。これでは、負けたとしても次の勝利への布石が打てたことにならず、将来的にもつらい。そして、将来的につらい、と有権者が思うとますます現在の支持を失うことになる。酷な言い方になるが、青陣営の将来の為には、同じ負けるなら、連宋が引退せざるを得ない程大敗した方が、いいのかもしれない。逆に、民進党にとって最高のシナリオは、緑陣営がギリギリ過半数を抑えながらも、連宋が引退しない程度に青陣営が健闘したとき、とも言える。

○ 明日、12月4日は、民進党の大規模な集会。明後日、5日は、青陣営と、台連がそれぞれ別に大規模な集会を予定している。そんなタイミングで、どんぴしゃりで、明日、冬の台風が台湾を上陸する。大通りに乱立してはためいていた候補者達ののぼりも、今日日中の風で飛ばされたり、スタッフにより片付けられたりしている。前の総統選での銃撃事件も投票日前日だった。最後の最後まで、何が起るか分からない台湾の選挙である。


12月2日
台湾立法委員選挙 マニア編
● 12月11日の立法委員選挙について、昨日の一般編に続いて、マニア編です。

● 結果予想
選挙結果の予測では、与党緑陣営(民進党+台連)がギリギリ過半数の113をおさえるというものと、それに、少しだけ足りないというものが多い。

○ 民進党調査では、緑:113、青:98
与党民進党の調査結果が29日に発表された。過去の実績からみて、マスメディアを含め各種調査のなかでこの民進党の調査結果が一番正確なので、注目される。そこでは、次のように、与党緑陣営がぎりぎり過半数の113を獲得するとしている。( )内は、現有議席数との比較。
 [緑陣営] 113(+13)  民進党:97(+10)、台連:16(+3)
 [青陣営]  98(-17)  国民党:67(-1)、親民党:30(-16)、新党:1(±0)
 [無所属]  14 (+4)   無盟:7、無所属:7

○ 国民党の予想では、国民党79、親民党40で青陣営が119獲得、少なくとも106は取れるとしているが、青陣営支持者ですらこの数字を信じていないだろう。前回選挙では、この表読みの巧拙が民進党の効率的な擁立と、国民党の候補乱立による同士討ちを生んだようだ。前回選挙では、民進党は、擁立戦術が非常に上手くいき、33.4%の得票率で、39%の議席の確保した。前回の擁立戦術ができすぎだっただけに、今回の選挙では、得票率はアップしても、議席数は現状維持が精一杯だと読む意見もある。国民党は、前回選挙で候補を乱立しつぶしあいとなったが、今回は、相当絞り込んでいる。

● 個別選挙区事情
いかにもマニアックだが、個別選挙区の過去の選挙結果を表にまとめてみた。「選挙区別政治状況」を見て欲しい。(作るのは、大変でした!)2次、3次情報を使ってまとめたもので、必ずしも正確ではないが、状況を掴むのには便利だと思う。できるだけ客観的なデータだけを記するようにした。

○ 政治的影響力のあるグループ
地域の政治事情を簡単に表すために、やや独断気味に、影響力のある政治勢力を書き込んでいる。地域により影響力のある政治勢力とは、次の通り。
農会:日本の農協にあたる。農村では、有力な集票組織であり、国民党支持に動く。
軍人:外省人が多く、国民党支持者が多い。軍事拠点のある東部、金門、基隆に多い。都市部でも軍関係用アパートのある信義、松山を含む台北市北区では、青陣営が強い。
外省人:国民党支持者が多い。新党支持者は、ほぼ100%外省人と思われる。軍関係者以外では、都市部に住む。外省人2世、3世で、台湾意識に目覚めた人もおり、台連、民進党から立候補している人もいる。
地域派閥:農村の地域で幅を利かせる派閥で、全国政党とは、独立した動きをする。概して、国民党支持が多いが、自らの地域派閥の存続を目的に、民進党とも国民党とも組む。
客家:本省人に分類されるが、大抵は、青陣営支持。民進党は、客家テレビ局をつくるなどして、少しずつ支持を獲得している。

○ 次の点が、「選挙区別政治状況」の表からよく分かる。
・ 前々回選挙、前回選挙、総統選挙と得票率を見比べると緑陣営の得票がよく伸びている。
・ 北部、東部、都市部は、青陣営。北部は、緑陣営が強い。
・ 青陣営は、軍人、外省人、客家、原住民、農会(農協)、地域派閥などの、比較的結束力の高い個別グループを取り込んできた。対して緑陣営は、イメージ選挙で伸びてきたように、規律の緩い本省人の支持のもとになりたっている。
・ 特殊な例だが、中国と対峙する最前線たる金門が、軍人が多く、中国との柔軟路線をとく青陣営の強い支持というのも、なんともいえない。
・ 今回の選挙では、青陣営が候補者をよく絞っている。現職の数と同じか一人増程度にしか、立候補者をたてていない例が多い。逆に前回選挙のデータを見ると、国民党は、数十%の政党得票率で議席0という例もあり、乱立による共倒れがみてとれる。

○ 選挙マニア向け楽しみ方
中国語が分からなくても楽しめます。
1) まず、この表と「選挙区別立候補者の当落予想表」の二つをプリントアウトする。
2)連合報などの、台湾の新聞のニュースサイトで、選挙特集のページをみる。(中国語だが、個人名程度なら分かる)
3)民意調査、民調比較などで、選挙区ごとの候補者の支持率の調査結果があるので、上の二つの表を見ながら、状況を確認する。
例えば、高雄市一区の、候補者別支持率は、ココにある。
総統選のように全体の支持率がニュースにならずに、各個別選挙区の報道をするので、土地勘のない日本人には、なかなか分かりにくい。それもあって、表を作ってみた。

○ 他の利用法
実は、個別の選挙戦術に余り興味をもてない筆者としては、選挙用だけではなく、台湾の客先や工場を訪問するときに、その土地柄を知るのにも役立てばと思って、この「選挙区別政治状況」を作ってみた。選挙の済んだ後も、台湾の人の出身地を聞いたときに、どういう土地柄か理解する一助になればとも思う。
情報ソースは、小笠原ホームページ、メルマガ「台湾の声」など。

○ 二次利用等
引用などの利用は、御自由に行ってください。自分で加工するためにexcelfileで欲しい方場合は、emailくださればお送りします。ただし、2次、3次情報をつなぎ合わせ作った表なので、細かな正確性には、今一つ自信がありません。例えば、前回選挙の得票率で合計が100%になっていないものもあります。学術的な研究や、マスメディアでの言論に利用されるときは、自分で一次情報に当たってチェックするか、自らのリスクでご利用ください。

○ 近々、「街の声編」をするつもりです。(ちょっと、確信もてないですが)


12月1日
台湾立法委員選挙 一般編
○ 選挙概要
12月11日に投票される台湾立法委員(国会議員)選挙の告示が11月30日にされた。定数は225(内、選挙区176、比例区49)。任期は三年。陳水扁総統率いる民進党と李登輝前総統率いる台湾団結連盟(台連)との与党連合=緑陣営と、中国国民党(連戦主席)、親民党(宋楚瑜主席)、及び新党からなる野党連合=青陣営が、争っている。緑青の両陣営とも、目標は過半数。評論家の予測や、繰り返される事前の世論調査でも、過半数を巡ってぎりぎりの争いを続けている状況がみてとれる。

○ 現有勢力
前回の2001年12月の選挙では、民進党87、台連13で、緑陣営合計100。国民党68、親民党46、新党1で、青陣営合計115。無所属その他が10ある。選挙直後、民進党は、国民党本土派と10の無所属の抱きこみを試みたが過半数の確保が果たせず、結局、少数与党として陳政権発足以来4年間の苦しい政権運営を余儀なくされた。

○ 勝敗
選挙戦の状況については、緑陣営がギリギリ過半数を獲得、とするか、緑青の両陣営とも過半数をとるのは難しいという予測が多い。これは、両陣営の獲得議席の差が、無所属の議席数(現在10)以下しかないという意味。大方の予想では、民進党は、増加。国民党は、現状維持。親民党は、激減。台連は、増加と読む人が多いが、当落線上の候補が多く、苦戦と読む人もおり、予想が難しい状況。尚、台連の当落線上の候補の場合、対抗馬の多くが民進党候補であることも話を複雑にしている。

○ 争点
今回の選挙の争点としては、与党の緑陣営が打ち出している次の政策に、野党の青陣営が批判するという構図で進んでいる。
・08年5月の新憲法施行
・六千百八億台湾元(約二兆円)のアメリカからの軍備調達(予算案)
・高校生向け「歴史」「国語」教科書改訂(台湾史と中国史を分けるなど)

○ 前回の立法委員選挙では、戦後初めてとも言われるマイナス経済成長のもとで行われたこともあり、陳総統及び与党の政権担当能力の有無も大きな議論になった。しかし、今回は、上記の論点を見ても分かるように、台湾アイデンティティ(帰属意識)をどう持ち、中国との関係のなかでどのように表現するべきかということに、政治的議論は、絞られている。

○ 中国要因
そこで中国の動向は、重要な政治要因になる。ただ、中国は、1996年の総統選で李登輝の当選を阻止しようとしてミサイル演習をしたのが逆効果になり、台湾の世論を却って李登輝支持に動かしてしまった悪い教訓があるので、なかなか動きにくい。今でも、中国が台湾に対してなんらかの強硬策にでると、台湾の世論は、緑陣営支持に動くのは間違いないだろう。そこで、アメリカが陳水扁総統の本土化の動きをとめるよう、全力でアメリカに働きかけているようである。

○ アメリカ要因
アメリカは、中東で問題を抱えているだけに、今アジアで紛争が起こるのだけは、なんとしても阻止しなければならず、従来のあいまい戦略よりも踏み込んだ形で、両岸の紛争を防ごうとしている。そこで、与党の憲法制定への動きなどについても、否定的な雰囲気を伝えだしている。これは、主として株価の下落を通じて−ここが、台湾らしいのだが−陳総統と与党の支持に対して、一定のマイナス効果をもたらしているようだ。

○ 李登輝要因
李登輝前総統の率いる台連は、中国との対決姿勢と台湾志向が最も強い有力政党である。独立、制憲、正名と色々な運動を繰り出しており、今回の選挙でも李登輝の神通力がどの程度効くかが一つの焦点と論ずる評者も多い。老いたとはいえ、前回の総統選で実行した「2.28人間の鎖」運動(ココ参照)などは、エレガントともいえる政治的クリエイティビティを感じることができる。また、緑支持票を民進党と奪い合う場面では、時に「阿扁(陳水扁総統の愛称)はまだまだ未熟。」と台湾語で言い放つなど、変幻自在である。この政治的独創性と自在さが、一部の有権者には、必ずしも共感を得ていない。台連候補者が概して知名度が低く当落線上にあることと相まって、台連は、今回の選挙で意外に伸び悩むと予想する人も少なからずいる。

○ 前回総統選の要因
今年の3月の総統選で、0.22%の得票差で敗れた野党陣営が、開票後強硬な抗議行動を続けたのは、野党陣営の支持に大きなダメージとなった。(ココなど参照)特に、親民党は、国民党の合併話もあり、退潮は避けられそうもない。一方、民進党は、それまで三十数%台から抜け出せなかった得票率が総統選で10%以上上積みした勢いに乗り、前回よりも強気の候補者擁立戦術をとっている。しかし、この支持率が総統選特有のもので、立法委選では、前の立法委選を継承するものだとすれば、立候補者を増やしただけに共倒れが発生し、緑陣営も急に苦しくなる。民進党は、前の立法委員選で、候補者を実に巧みに絞り込み、最小の得票率で最大の議席数を確保しており、次回選挙では現状維持すら難しい言われていただけに、総統選勝利による甘い現状認識が命取りになる可能性もゼロではない。
*前回総統選の総括については、拙ホームページの4月4日4月13日に連載した「台湾の明日」を御参照。

次回は、個別の選挙戦術と選挙区毎のデータを紹介するマニア編です。


台湾日記 バックナンバー
2001年6月7月8月
9月10月11月12月
2002年1月2月3月4月5月6月7−8月9月10月11月12月
2003年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2004年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月 


emailください!rakuchin@mvj.biglobe.ne.jp