台湾日記  2002年2月1日〜
  
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2002年1月2月3月4月

5月1日
角栄政治の総決算
○ 小泉政権一年ということで、色々な解説がでている。政局話は、素人には、よく分からないので、これまで彼がやろうとした政策、やってきた政策を見てみたい。一言でいうと、良かれあしかれ「角栄政治の総決算」だったと思う。

○ 中曽根が首相だったとき、「戦後政治の総決算」を掲げた。やったこと自体は、掛け声ほどの歴史的価値があったかどうかともかく、総決算をやろうとした「対象」(つまり「戦後政治」)と、「タイミング」は、悪いものではなかったと思う。

○ 一方、自民党をぶち壊すと言っていた小泉首相が行おうとした政策は、結局は、どれも、田中角栄が確立した政治、経済システムの破壊であった。道路に代表される公共事業による地域への利益誘導。それにより行われた都市から地方への豊かさの再配分。郵政事業により政府の政策裁量と政治力を増やすこと。素朴な日中友好路線。中東政策におけるアメリカと異なる独自外交。特殊法人の設立による、高級官僚への見返りとコントロール。金融系企業に対する手段を問わない信用の確保。厚生政策の密室性とそれによる医師会などの支持確保。小泉政権は、上に挙げた角栄政治システムの全てのものに、殆んど生理的ともいえる嫌悪感を示しながら、破壊へと向かった。これらの「角栄政治」システムは、日本のある時期においては、ものによっては、社会にプラスだったが、今となってはマイナス効果の方が大きい。その意味で、小泉政権が、壊そうとしたものは、そんなに間違ったものではない。(それだけ、田中角栄の作り上げたものの大きさが逆に実感できるといえなくもないが。)

○ しかし、今、日本の政治がおかれている状況を見ると、壊さなければならないのは、これだけでは十分ではない。不良債権の問題。製造業の生産性向上。空洞化対策。都市政策。高齢化と少子化。教育。年金。医療保険。つまり「角栄政治」は、病巣であるのは間違いないのだが、壊すべき対象としては、小さすぎるのである。永田町にいると、巨大な角栄政治を壊そうとするだけでも、ドンキホーテ的蛮勇と思え、時には、破壊を試みる当事者に英雄的自己陶酔を与えるかもしれない。しかし、これだけでは、足りないところまで、日本が来てしまっている。結局のところ、小泉政権のしようとしたことは、これまでのところ、角栄政治の総決算(破壊)であり、それに過ぎない。


5月2日
持続できる。実感できる。クリーンにできる。
○ 昨日は、日本の社会で壊さなければならないものが、角栄政治システムにとどまらず相当広い範囲らしいと書いた。しかし、壊すだけでなく創らなければならないものも多い。では、創造する方で言えば、何が必要だろうか。僕は、今市民が求めているのは、持続でき、実感でき、クリーンにできる政策だと思う。

○ 結局、小泉政権が誕生したのは、不況下のどまんなかであったにもかかわらず、選挙民が公共事業費バラマキにノーと言ったからであった。実感できないほど天文学的な国の借金の額を聞かされれば、普通の庶民なら、こんなことが続くはずもなく、将来の年金が減ったり、増税がされるに違いないと思う。つまり持続できない。そして、その膨大な借金の額と、ガラスキの田舎の有料道路、瀬戸大橋、アクアラインを見ると、効果が実感できない。更に、公共事業の工事は、いかにも、汚い金が動いていそうで、クリーンに出来そうもない。つまり、公共事業のバラマキは、この三つの条件にことごとく反していたのである。

○ 「持続できる」とは、対処療法ではなく構造を変えるということであって、まさに「構造改革」を唱える以上、必要な要件である。これまでのところ、国債発行額を抑えるなど財政規律の維持を計ろうとしており、「持続できる」という点には、それなりに注意を払っているようである。

○ 「クリーンにできる」という点は、小泉個人の金銭の清潔さにより政権発足時に最もアピールできた点であり、且つ、現在、最も政治に対する不信、ひいては、政権の支持率へ響いていることである。しかし、「クリーンにできる」というのは、単に汚職が無いという低次元のものではなく、市場のような自発的なチェックの働く機構でお金を使って、仕組みとして汚いお金が効果をもたないようにするということである。この点に関する政策としては、特殊法人の整理が、かろうじて関係する程度であった。

○ 「実感できる」と言った点への注意をもっと強められるべきだろう。「実感できる」とは、国債発行額を丸い数字で語ることではない。所詮、兆の数字を丸く言われても四角く言われても、庶民には、実感できない。「あ、世の中変わったな」と思わせることが、日常生活でも起こらなければならない。以前に書いたが、国鉄職員からJR職員になった改札係が乗降客に向かって挨拶をしたときに、庶民が感じた、震えるような変化の実感が必要だと思う。それは、表面上は、些細なことでありながら、背後の構造的な大きな変化の結果であるとすぐに納得できるからである。そうでなければ、構造改革への世論の支持を持続的に取り付けることは無理だろう。

○ 僕は、今後、この三つのものさしで、小泉政権の動きと世論の支持の程度を見てみようと思う。今後現政権が打ち出し、実施する政策のそれぞれを、持続できる、実感できる、クリーンに出来るという三つの視点からみて、どれをどの程度満足しているか、そしてそれがどの程度世論の支持を受けるかを注意深く見ていきたい。

5月3日
お天気とIC産業
○ 台湾の電子産業が好調だなどと書いていると、とんだ伏兵の登場である。台湾では、晴天続きによる水不足を不安視して、ハイテク銘柄の株が下がり始めた。

○ 半導体(IC)の工場というのは、とてつもなく大量に水を使う。三菱電機が他に何もない田舎にもかかわらず、四国の西条にIC工場を建てたのも、街のあちこちを溢れるほど流れている豊富な水が目当てであった。新設するIC工場の立地条件を調査する時、安定的に大量の水を確保できるかどうかは、電気の確保とともに非常に重要なチェックポイントである。

○ その水が、台湾のIC製造の拠点である新竹で不足し始めた。政府も飛行機を使ってお空(そら)に薬剤を撒いて人口雨に挑戦したりするなど必死であるが、所詮おてんとう様にはかなわない。農業用水を制限してでも、新竹のハイテク工場に水を供給すべきだとか、段々、冗談のような話が真剣に議論され始めている。これじゃ、まさに水取り合戦である。

○ らくちんは、いつもどおりのん気に、なんとかなるだろうとのんびり構え、下がった株でも買おうかと思っている。しかし、こればっかりは、僕が神様でもない限り分からない。ハイテクの象徴であるICも文字通り、「取れ高は、お天気次第」となるなんて、さすがは「電子産業のコメ」ですネ。

5月4日
台北動物園
○ 台北市立動物園に行ってきた。182ヘクタールの面積をもつ台湾最大の動物園で、施設の手入れも行き届いており、立派な動物園である。少なくとも、今の上野動物園より余程いい。目玉は、コアラとペンギンである。ペンギンは、台湾で昨年から人気急上昇で、若い女性が、スターを見ているような、いまにもキャーと叫びださないばかりのまなざしで見ている。「涼しげでかわいいから」ということらしい。どうも、僕には、最近の流行の理由というのは、台湾でも分かりにくい。

○ ところで、動物園を歩いていて思ったのだが、動物というのは、なかなか、たいくつなほど動きのないのんびりしたものである。ライオンなどは、2頭とも寝たきりだ。鹿とか山羊なども、とにかく口をもぐもぐして餌を食べているだけで、それ以外の動きはない。結局、肉食動物は、殆んど寝ているし、草食動物は、口だけもぐもぐさせているだけで、ほとんど動かない。どちらにしても大きな動きなどない。これは、動物園だからではなく、野生の状態でも同じだろう。アフリカの大草原で動物の群れが疾走する様をテレビで見ることがあるが、あれは、ごく稀な特別なシーンなのだなあと、改めて当たり前のことを思った。

○ そうしたのんびりした動物に比べ、それを見に来ている人間の方は、実にせわしない。やれ寝ているライオンの尻尾が少し動いただの、ラクダが餌場から三歩動いただのと言って、一緒にきた人を大声で呼び、子供に説明し、そして、足早に次の動物に向かう。動物園の中にいるあらゆる動物の中で、一番変わった動物は、間違いなく、「ヒト」なのだなあと、これもまた当たり前のことを改めて思いなおした。

5月5日
日本のイヤな中年男
○ 一連の政界不祥事事件で批判された議員のなかで、鈴木宗男氏は、一番人気が無いように思われる。雑誌「アエラ」のあるエッセイによると、鈴木宗男氏を見ていて不快に思うのは、彼が日本の中年男のイヤところを凝縮して持っているからだという。そう言われてしまうと日本の中年男としては、やりきれないものの、やはり頷いてしまう。それ故に余計に、僕達、中年男の目から見ても不快なのである。

○ 彼のしていたことは、なかなか刑事事件に繋がっていかないところを見ると、どの行為もどうやら永田町で皆がやっていることと大差ないことのようだ。それを、あらゆる分野でどれもこれも、ギリギリ精一杯やっていたところに、彼の特徴があった。彼にしてみると、「どこが悪い?」と今でも思っているだろうし、永田町の皆がやろうとしていたことを自分の卓越した能力と実行力で量的にたくさんやったのだと自負すらしているかもしれない。その開き直りと、見当違いの自信が不快の元だと思う。その意味で、「疑惑の総合商社」というよりも「不快のエッセンス」といった方が相応しいと思うがどうだろうか。

○ 僕達、中年サラリーマンも、ふと、我が身を振り返ると、会社内や業界内では、常識的だが世間では奇妙に見える目標に向かって、やたら熱心に頑張っていることが多い。そして、その目的が達成されれば、鼻も高くなってしまう。結局、こうした、「どこが悪い?」という開き直った、目的に対する無反省な肯定と、目標完遂への盲目的で過剰なエネルギーの投入が、顔の相に出てしまうところが、鈴木宗男氏の不快の元であり、日本の中年男の醜さなのだろう。一言でいうと、「知的」でないのだ。

○ こうしてみると、その不快の元と対極にある「知的」であるということは、常に自分を批判的に見ることなのだと思い当たる。僕自身が出来ていない故に、「おそらく」という言葉を使わざるを得ないが、おそらく、自分の追及している目的を常に批判的に見直しながらも、なお、目的実行のエネルギーを失わないことが、「実践的な知的さ」というものなのだろう。

○ ところでだ、日本の中年女性のイヤなところを凝縮して持っているのは、誰であろうか。

5月6日
アジア通貨危機
○ Just for the Record(http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/5466/) という、どうやら通貨問題のプロが運営しているサイトがある。このサイトで最近連載が終わった、座談会「アジア通貨危機を振り返る」が、やたら面白い。

○ 出版界の事は、よく分からないが、素人の発想で言えば、この内容で本にして出版して欲しいと思う。各国別に、1)素人向けにその国の通貨危機の経緯を説明する。その次に2)このサイトで書かれている想定座談会を付け加える。という構成で十分面白いと思う。少なくとも僕は買う。なんなら、3)座談会の個々の発言に膨大な脚注を付けてもいいかもしれない。一行一行が結構、重い意味が入っているので、丁寧に説明してもらった方が読者には、楽だとも思う。

○ 内容に対するコメントは、後日にしよう。なにより、ひとつ読んでください。

○ P.S. ううむ、ここまで書いて思ったのだが、「アジア通貨危機」というものものしいタイトルの割には、人のサイトの紹介で済ましてしまうなんて、ひどいですね。サイトのレベルの違いを改めて思います。

5月7日
靖国と台湾
○ 小泉首相の靖国神社参拝について、台湾が声明を発表している。小泉首相の行動、それに対する中国、韓国の対応に就いては、色んな意見があるだろう。ただ、ここで言いたいのは、日本人は、首相の靖国参拝に反対する人も含めてみんな、こういう声明を出す台湾には、友人として感謝すべきだと思う。尚、台湾の歴史教科書については、このサイトの「台湾読書案内」のココを参考にしてください。

○以下は、台北週報(http://www.roc-taiwan.or.jp/news/week/119.html)からの引用です。
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小泉純一郎首相が四月二十二日、靖国神社を参拝したことについて、中国と韓国は例によって対日非難を連呼し、とくに中国などは日本の防衛庁長官の訪中受け入れと中国艦艇の訪日延期を日本に通告するなど、具体的な非友好的行動を起こしている。中国や韓国にはそれなりの思惑があるのだろうが、台湾の中華民国政府はそれとは逆に、寛容と未来志向型の姿勢を示した。以下は外交部の声明全文である。
         〇           〇             〇
 小泉純一郎・日本国首相が四月二十一日に靖国神社を参拝したことは、各方面の関心を惹起している。外交部は、歴史を忘れてはならないが、寛容の精神を持ち、未来志向型の視野をもって対処すべきことを強調する。


 外交部は、日本が第二次世界大戦を発動し、アジア諸国に苦痛と不幸をもたらしたことは、歴史上忘れてはならず、真摯に対応すべきであるが、戦後制定された日本国憲法第九条で日本は永遠に戦争および紛争の武力解決を放棄することを明確に宣言し、戦後五十年来、日本は民主と平和の道に向かって進んだ事実、および小泉首相が昨年八月十三日に靖国神社を参拝したあと、日本は平和擁護に努力し、絶対に戦争の轍は踏まないと強調した談話に注目する。外交部はこれらの進展を評価する。


 われわれは歴史を忘れてはならないが、寛容の精神をもって歴史に対応してこそ、真に歴史の教訓を汲み取ることができるのである。いかなる歴史上の事件にもそのときの環境があり、未来志向型の視野をもって将来を展望してこそ、人類の前途のため新たな方向が見い出せるのである。現在日本はアジア太平洋地域の平和と繁栄の促進に直接的な役割を担っており、「正常化」された国家としての道を進んでおり、わが国も日本との協力関係の強化を模索している。外交部は、小泉首相の今回の靖国神社参拝はその内部の問題であると認識し、日本がひきつづきアジア太平洋地域の平和と繁栄を積極的に促進することを促すものである。

二〇〇二年四月二十三日

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○ ところで、明日から日本に出張しますので、しばらくお休みとなります。久しぶりに日本のラーメンを食べるが楽しみだなあ。

5月11日
40

○ 5月9日に40歳になった。感慨は、無い。新感覚風に言うと、これくらい歳を重ねれば、急行列車から通過する駅のプラットホームを見るように、まるで飛んでいく小石のように、誕生日が過ぎていくものだと思う。

○ とはいえ、こうして、40について書き出すと幾つか思わないでもない。
−人生が80年弱だとすると、もう半分は、過ぎた。
−最大でも10年強であろう今の会社の生活は、残りの人生(40年弱)のごく一部
−ならば、30年近い「ポスト今の会社」時代をどう暮らすかも、今から目配りしておいた方がいい。
−やはり、ボケ防止の為にも、個人サイトを頑張って続けるべし。
−「痴呆つれづれ」なんてのはどうだろう。

○ 読者の皆様、お互い長生きしましょうぞ。

5月12日
みずほ合併人事
○ 文芸春秋6月号の「巨艦みずほ合併人事の落し穴」というレポートが面白い。僕が個人的に知っている三神万里子さんが、書いている。彼女は、最近出版された「合併人事」(翔泳社)という本の著者で、この文芸春秋でも「経済ジャーナリスト」と言う肩書きである。しかし、世に出たのは、確か、山藤章二の似顔絵塾で注目されたからだったと思う。実にけっさくな似顔絵を書いてくれる異色の「経済ジャーナリスト」なのです。

○ さて、みずほの合併人事である。この文章によると、世界の金融機関のM&Aの3分の2以上は、失敗しており、戦後の日本企業同士の合併は、84%が失敗しているとのこと。つまり、「日本」の「金融機関」同士の合併であるみずほの合併は、成功確率の実に低い挑戦ということになる。そして現実にこれまでのところ、みずほの合併は、合併人事が上手くいっていない典型例のようなものだという。だから、前回のシステムのトラブルは、問題の氷山の一角で、今後も種々のトラブルが続くのだろう。

○ いやはや、恐ろしい。こんなとてつもなくデカイ銀行が、合併の弊害で早晩立ち往生するかと思うとぞっとする。興銀程度の規模ならともかく、みずほのようにここまで規模が大きくなってしまうと、好むと好まざるとにかかわらず、海外の荒波にさらされる。たすきがけ人事なんてもってのほか。日本流ののんきな社内政治などにうつつを抜かしていたら、5年ともつまい。

○ 僕が、以前に書いたように(ココ)外部の力を使ってでも、一度「創造的破壊」をやらないと大変ですぞよ。「ここまで大きくしておけば、国もつぶせまい。」とタカをくくって、社内(行内)政治にいそしんでいるなら、これは、とんでもないモラルハザードですよね。

5月13日
断水
○ 今日は、大きな朱色のバケツがあった。会社がある近代的な高層ビルの手洗いの入り口に、場違いな、大きな朱色のバケツが鎮座ましましていた。この巨大な朱色のバケツには、満とたたえられた水の上に、手桶がぷかりと浮かんでいる。

○ 台湾では、日照り続きによる水不足が深刻で、とうとう今日から断水が始まった。地区ごとに交代で、一週間に一度程度24時間の断水が行われる。今日は、会社のある地区が断水なので、この大きなバケツの登場とあいなった。

○ なんとも滑稽な風景であるが、用を足した人は、この手桶で朱色のバケツから水を汲み、手を洗うのである。しかし、実際に手桶でちょろちょろ自分の手に水をかけてみると、これがなんとも風情があって悪くない。こおろぎの音の一つも聞こえてくれば、一興、句でも読むところであろう。

○ 台湾の人は、時折、このような、なにかペーソスともユーモアともいえる様な、独特の「おかしさ」を、パフォーマンスしてくれる。以前にも書いたが、昨年の大変な洪水の時にも、テレビのニュースが報じた一家は、一階が浸水しているにもかかわらずにこやかに二階でマージャンをしていた。また、今回の水不足の際も、いっそ営業しなければいいのに、プールの水を4分の3だけ入れるという対策を行ったという。こういうニュースを伝えるときの台湾人の顔は、独特の毒と悲しさとおかしさをたたえている。

○ 会社から帰ると、同じ朱色のバケツが我家にも鎮座ましましていた。明日は、我が家のある地区が断水であった。ここでも、こおろぎでも出てくればまたそれも一興と、やや高尚且つ趣き深く、用を足しつつ思いきや、こおろぎよりも幾ばくか平べったい黒い虫が一点、朱色のバケツにおとまりになっていた。

○ げに、俗世とは、興無きものでありまするなあ。

5月14日
体感経済成長率
○ 実感できる経済成長率の差というのは、2−3%だと思う。統計上のGDP成長率が4%の場合と6%の場合とで、暮らしの中で実感できる違いは余り無い。0%と1%でもそうだろう。日本の経済も景気の底打ち話が出始めたけれども、僕のような素人は、0.5%刻みの数字に一喜一憂しても仕方がない。所詮「大体0%」と言う認識でよいのであって、しかも、それが全てではないかと思い始めている。

○ 海外に出張しても思うのだが、経済成長率について概ね0%、5%、10%、マイナス成長という4つぐらいの違いについては、短い滞在でも感じることができる。10%近辺の成長率を記録しているところは、暑苦しいほどの熱気があるし、5%前後のところであれば、なんだかみんな元気である。0%程度だと、落ちついているようだし、沈んでいるようでもある。マイナス成長だと、正直言って治安も悪いから旅行者でも気をつけた方がいい。しかし、それ以上細かい分類となると、短期の滞在のみならず、住んでみても良く分からない。従って、体感成長率の誤差は、プラスマイナス2−3%だと思うがどうだろう。

○ 実に大まかな議論であるが、だからと言って体感成長率を馬鹿にしてはいけない。統計上の成長率などというのは、道具であって目的ではないが、体感成長率は、「幸せ感」といえるものであって殆んど目的そのものである。当たり前であるが、持続できることを前提にすれば、統計上の成長率が高いことよりも、実感できる成長率が高い方が大切なのである。

○ ところで、日本の経済成長率を年毎に並べてみると、1960年頃から、ジグザグしながらもほぼまっすぐに0に向かっており、00年あたりで、ちゃんと成長率0あたりとなっている。体感成長率こそが大事という論法にのっとり、誤差を大きくとり「0成長ゾーン」を0プラスマイナス2%程度とする。そうした場合、今は、数年の循環周期でその「0成長ゾーン」にはまっているのではなく、もっと長期の半世紀近いトレンドで「0成長ゾーン」にはまっている。

○ つまり、普通に数字を並べてみれば、日本経済は、体感成長率が0%プラスマイナス2%程度の0%成長期にあることが明白であって、これは、この半世紀ほどの流れの延長線上であるといえる。従って、ここしばらくは、この今の体感が続くと思うのが無難であり、潜在成長率を2%と勝手に決めてしまうのはややはしたない。一方でこの0%成長期を真剣に脱っしようとするのであれば、相当大きな変化を社会全体で行うことを覚悟しなければならない。

○ 小市民である僕個人としては、0%成長でも生きていく道を見つけたいと思うのであるが...

5月15日
台湾近況
○ 地震
今日昼頃、台湾で地震があった。台湾東部の震源地で震度5、台北で震度4。目立った被害は、出ていないようだ。僕の個人的な感覚で言うと、台湾での震度の報告は、マイナス1くらいしたほうがいいように思う。今回の地震も大きいには大きかったが、日本では、震度3くらいに報告するように思う。

○ 水不足
昨日は、我家のある地区で断水。しかし、大抵のマンションは、元々屋上に大きなタンクがあるので24時間の断水くらいだと、終日支障なく水が出ることが多い。念の為にと、バスタブに張った水のことなどを考えると、結局、トータルで余り水の消費量は減っていないんじゃないかと思う。「上に政策あれば、下に対策あり」という言葉を思い出す。などといっていると、今雨が降ってきた。これはありがたい。

○ ダイエーの試合
昨日、今日とダイエーとオリックスが台北で公式戦をしている。台湾人の同僚が昨日見に行って、すごいすごいと感激していました。僕もその感激を見て感激してしまいました。ダイエーは、いいことをします。つぶさないでね。

○ 台湾の貿易統計
財政部が8日に発表した貿易統計によると、4月の輸出額は、2001年3月以来、13ヶ月ぶりにプラス成長で、108.7億米ドル(前年同月比0.3%増)。増加したのは、中国(同84.2%増)、香港(同6.9%増)、東南アジア(同1.1%増)向け。減少したのは、米国(同6.4%減)、日本(同13.0%減)、欧州(同11.7%減)向け。一方で、輸入は、景気が悪く、減少。
 ネガイマシテハ、4月の貿易黒字は、11.2億米ドルで前年同月比236.8%増。今年1‐4月の累計では、62.6億米ドル(前年同期比71.8%増)。今年の貿易黒字は、1986年の156.8億米ドルという過去最高記録を更新するかもしれない。

○ 一度にこんなにたくさんのネタを使ってしまうと、次からは、何を書こうかしらん。

5月16日
交渉力と統率力
○ 僕は、どうも人が良すぎるのか、今回の瀋陽の事件でも、帽子を取った間抜けな外交官を批判するよりも、同僚のチョンボを挽回すべく、今、(おそらく)必死で中国と交渉している外交官に同情してしまう。現在の交渉当事者は、どう転んでも日本の世論から合格点をもらえそうもないなかで、いわば20点の不合格答案を30点に、35点にと少しでもあげるべく、悩み抜いているに違いない。その交渉中の今ですら、内側であり味方である日本国内から、やいのやいのと批判されるのは、撤退戦において味方からも鉄砲を打ち込まれながらしんがりを努めている気分かもしれない。小村寿太郎なぞは、これの一億倍くらいの苦労を味わったのだろうなと思うと感慨深い。

○ こういう交渉中のときに、日本の世論が、交渉にあたっている者を感情的に批判するのは、却って、日本の交渉力を弱めると思うがどうだろうか。ありえない事だが、もし「世論」というものが国益追求に向け理想的に合理的なら、まず、国としての総意を明確に示しつつも、感情的にならず冷静に応対し、交渉当事者に一定の枠内でのできるだけ自由な交渉をさせ、交渉を有利にすすめる。そして、交渉が済んだ後、よく交渉経過を吟味し、プロとして能力不足の交渉当事者(外交官)を厳正に処罰または降格するのだろう。

○ 20年程前、僕が学生の頃、非暴力運動で有名なガンジーを主人公にした「ガンジー」という映画を見たとき、その映画の主題とは、やや離れて、「外に対する交渉力の強さは、内側に対する統率力の強さに依存する。」と強烈に思った。この映画の印象的なシーンで、イギリスの官憲にポカッと殴られる為に、地平線のかなたまでインド人が行列を作る場面がある。最後に官憲の気が狂い、インド人の非暴力闘争が、勝利してしまう。ガンジーのように、ポカッと殴られる人を地平線の彼方まで動員できる内側への統率力があれば、状況によっては、圧倒的な軍事力の差に対抗するだけの強力な交渉力を得られるものだと感心したものである。

○ その後20年、僕も、社会にでて、もっともっと小さいことではあるが、幾つかの撤退戦のしんがりを含め、交渉当事者としての立場を経験したきた。その際、毎回「交渉力は、内側の統率力による」という思いを強くもつ。よくネゴシエーターというと、口達者で声高に相手を批判する人をイメージするかもしれないが、必ずしもそういう人が、最後に良い交渉結果を導けるものではない。内側での統率力を持ち、且つ、そのことを交渉相手方に理解させることは、交渉を有利にすすめるのにとても大切なことだと思う。この意味で、内政に弱いリーダーが、良い外交をできるとは、思えない。

○ ところで、あの20年前、「ガンジー」を一緒に見た人は、確か、その後外交官になったと聞いた。今、この瀋陽の事件をどういう思いで見ているのであろう。

5月18日
瀋陽の思い出
○ 6,7年前に一度瀋陽に行ったことがある。国営の重化学工業が中心の地域で、沿岸地域の経済発展から取り残されていた。大連のように日系企業が大量に進出している訳でもなく、色んな意味でかなり苦しい地域だった。公害のせいか、街の景色もどんよりとくすんでいた。今の中国は、変化のスピードが激しいので、6,7年前の体験など、今や、実益のある話にはなり得ないが、テレビで瀋陽の領事館が出てくるたびに、あの時の出張を思い出す。

○ 瀋陽からは、ハルピンに移動したのだが、その時の国内便が、10数人乗りの小さな飛行機だった。乗り込むと、機内アナウンスで、「この飛行機は、中国国産の旅客機です。」と誇らしげに説明をした。同行してもらっていた中国人の通訳が、それを聞いて、不安そうに「国産ですって!」と眉毛をへの字にして僕の方に向けた青い顔を今でも覚えている。確か、ソ連からのライセンス生産で作った「運輸」だったと思う。この「運輸」の機内に響く騒音が凄い。隣りの人と話すなんてもちろん出来ない。騒音が前の方から渦を巻いてこちらに向かって来るようで、まるで洗濯機の中に座っているような気分であった。中国ビジネスの経験の長い人でも「運輸」に乗ったことのある人は、多くないようである。僕の、ちょっとした自慢の一つだ。

○ 夜中に到着したハルピンは、12月だったので零下20度とか30度とかそういう寒さだった。驚いたことに、その酷寒の地で道路も完全に凍結しているのに、どの車もタイヤにチェーンをつけていない。もちろん、スタッドレスなどでもなく、ただのノーマルタイヤで走っている。替わりにといってはなんだが、スリップを防ぐ為だろう、みんな、タイヤの空気を抜いてぺしゃんこにして、のろのろ走っているのだ。こればかりは、文字通り背筋が凍る思いがした。

○ 僕たちがハルピン空港からホテルに向かう時に乗った車がまた見たこともない、まるで装甲車のようにガッシリした車だった。後で分かったのだが、ソ連製ボルガだったかと思う。この車がまたよせばいいのに、そのぺしゃんこのノーマルタイヤで、スピードをどんどん出していく。灯り一つない真っ暗な凍結した道で頻繁に車線変更して他の車を次々追い越していく。その内、どこかの森の中を通っている時、見事に、スピンした。車は、スロモーションを見ているときのようにゆっくり二回転して、道路の横の大木にドンとぶつかってとまった。「この寒さで一晩過ごせば命がないな」と思った。その時の出張では、用心の為サバイバルグッヅを用意していたが、確かその中にライターがあったはずだと思い出していた。運転手が、もう一度キーをひねると、ブルッとエンジンがかかり、何事もなかったようにまた、車が動き出した。さすがボルガである。ペラペラの日本車だったら、ペシャンコだったろう。ホテルに着いたとき心身ともにとても寒かったことを覚えている。

○ ハルピンの町では、露天商が包装のない裸のアイスクリームを外気にさらして山積みにして売っていた。考えてみれば当たり前で、零下数十度なのだから、溶けることはない。中国も、そして、僕も、今よりももっと訳も分からず闇雲に動いていた頃の話だ。

5月19日
日台断交30年
○ 日本と台湾(中華民国)が断交してから今年が30年である。いつもどおり、まとまりなく、思いつくことをばらばら書いてみたい。

●日本の外務省の外交
○ 断交は、台湾にとって大変な苦痛であったが、日本側は、それでも、断交の際に一片の誠意だけは、見せた。それが、その後の日台関係のかすかなそして重大な救いになっている。

○日中国交正常化の際に、時の高島条約局長が、周恩来に「法匪(法律上の理屈ばかりいって社会に害をなす人)」とののしられながらも、「台湾が中華人民共和国に帰属するのを日本は認める」とせず、少しだけ間接的に、「台湾が中華人民共和国に帰属するといっている中華人民共和国の立場を、日本は、十分理解し尊重し、ポツダム宣言の立場を堅持する」と述べるに留めた。理由として日本の外務省は、「サンフランシスコ条約で、日本は、台湾を放棄したとしているのに、その後、その放棄したはずの台湾の領土的地位に関して独自に認定するわけには、いかない」とした。筋が通っているといえば通っているし、屁理屈と言えば屁理屈のような気もする。しかし、おかげで、日台関係は、その後、少しだが、決定的に救われた。

○ この高島条約局長の態度などは、今、外務省のあり方を考える時に非常に参考になるのではないだろうか。僕は、一部にある「中国と交渉するときは、まず最初は、強硬論ででなきゃだめだ」という意見には賛成しない。やはりできるなら友好が一番いい。しかし、相手が中国であっても、他の国に対するのと同様、正しいことは正しい、間違っていることは間違っていると主張することは必要だと思う。今、外交官に頭ごなしにバカだチョンだというよりも、同じ外交官の先輩について考える方が実りがあるように思う。

●台湾の発展
この時の日中交渉に関わった外交官によると、外務省の交渉チームの中でさえ、「台湾は、今後数年しかもたないだろう。そういう国の為に、ここまで、頑張るのが良いのかどうか」という議論があったという。しかし、そうは言っても、国際社会で日本がそういう台湾にも信義を見せたところを示すべきだということで、先ほどの、「法匪」発言となった訳である。ここで興味深いのは、30年前外務省で台湾を重視しようとした人も、軽視しようとした人も、いずれも、多数の人間が台湾の将来に悲観的であったことである。その大方の予想に反し、このたった30年の間に、台湾は、民主化を実現し、世界第三位の外貨を保有し、世界のIT製品の供給基地となって繁栄した。高島局長も周恩来も国益を一生懸命追求した立派な人同士の会話だと感心するが、やはり僕たちが一番尊敬するべきは、あれから30年でここまでもってきた台湾の人々だと思う。

●沖縄復帰30年
そこで、ふと、復帰30年を祝う沖縄について思いが及ばずにはいられない。こちらも30年である。しかし、産業の成長具合という点では、圧倒的に台湾の方が進んでいる。もちろん、人口も面積も台湾の方が圧倒的に大きく比較するのもおかしい話だが、台湾のおかれた厳しい国際状況、国内政治を考えると、台湾よりはその点で少しは恵まれていた沖縄でもっとよりよい方法があったのではないかと思わずにいられない。もちろん、これは沖縄の人の問題というより、日本の人、つまり自分の問題であり、且つ、過去の話というよりも今後に活きる反省だと思うがどうだろう。

5月20日
陳総統就任2年
○ 陳水扁総統は、20日に就任2周年を迎えた。台湾で初めて民主的な政権交代で就任した陳総統の人気は、かなり高い。行政府研究発展審査委員会が20歳以上の市民1052人に行ったアンケート調査によると、陳総統の施政に対して「満足」と答えた市民は、57%、「不満足」は24%だった。今日の日経新聞によると、中国時報が5月中旬に実施した世論調査でも支持率は、58%だったとのこと。少しあやかりたいリーダーは、近くの国に多いのではないだろうか。

○ 僕が思うに、陳総統の最大の政治課題は、「民主主義をちゃんと回してみせる」ということだったと思う。それが、このように高い支持率を得て、それなりに社会を混乱させずにいるのだから、おおまかに言えば、現政権は、成功していると思う。

○ というのは、後に詳しく書く機会があるかもしれないが、台湾は、民主主義であれば、アメリカが助けてくれるから安全であり、一方、民主主義でなければ、アメリカが助けてくれない可能性が高く、安全を確保できないという状況にある。だから、「民主主義をちゃんと回して見せ」ないと命が危ない。よく言われる「命がけの民主主義」というと、命を賭けて民主主義を守るという意味が強いが、台湾の場合は、「命の為の民主主義」であり、民主主義の維持が最大の安全保障政策である。蛇足しちゃえば、この状況は厳しいには違いないが、かつての東欧の国のように、「命の為の共産主義」よりは、ずっといいように僕は、思う。しかし、まあ、これは、歴史が裁くことかもしれない。

○ この政治的安定も李登輝の動きによるものが大きいように思える。李登輝は、節目節目で、やや極端な方に自分の立場をとり、陳水扁が、李登輝とその反対派の真ん中あたりを進めば、そんないひどくないところに行くように、わざと振舞っているようにすら見える。大陸との経済交流などは、その最たる例だ。李登輝は、主役を張れる千両役者でありながら、状況に応じて、巧みなバイプレイヤーも演ずることのできるまさに万能型の政治家である。そのことを政治的晩年おいても証明してみせたこの2年であった。いやはや恐るべし。

○ 一方、陳水扁の政敵の一人である国民党の馬英九台北市長は、最近少しついていない。今回の日照りによる水不足について、馬市長がダムの水を発電の為に流してしまったのが水不足の原因だと李登輝から非難され始めた。一年前の洪水の時は、地下の洪水対策用の排水管をちゃんとメンテナンスしていなかったから洪水被害が拡大したと非難された。水が多すぎてしかられ、今度は、少なすぎてしかられている。この2年は、とかく水運のない人ですなこの人は。

5月23日
嘘つきアーニャの真っ赤な真実
○ 米原万理の「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」(角川書店)が、面白かった。大宅壮一ノンフィクション賞を圧倒的な得票で授賞しただけのことはあって、とても面白く、そして、真剣に考えさせられる。

○ 著者は、1950年生まれで、ロシア語の同時通訳の大御所。最近は、エッセイストとして活躍中である。彼女の父は、約40年前、日本共産党からプラハに派遣されて、国際共産主義運動の理論誌「平和と社会主義の諸問題」の編集局で働いていた。そこで、彼女は、小学生の頃、1960年から64年までの間、ソ連の強い影響下にある在プラハ・ソビエト学校に通っていた。そこは、各国の共産党幹部の子弟が通う国際的な学校であった。その時の同級生、ギリシア人のリッツァ、ルーマニアから来たアーニャ、ユーゴスラビアから来たヤスミンカの3人の小学校時代の暮らしぶりを描き、その後30年以上経って再会して知った彼女達それぞれのソ連崩壊後の人生を語っている。これだけ聞いただけで、もう、他の候補作が勝てる訳がないと思うではないか。おまけに、これをエッセイのように面白おかしく語り、それでいて、考え抜かれた構成で述べるのだから、たまりません。

○ 中味は、読んでいただくとして、印象的だったことを幾つか。

○ 著者の父も含め、純粋に共産主義の理想に燃えていた人々は、随分多かったのだなあ。と改めて思い直した。例えば、そういう人達にとって、共産主義が崩壊した今、別の主義主張をもってきてこれを信じろといっても、なかなか信じられないだろうと思う。先日の日記(ココ)で、台湾と民主主義について書いている時、この本を読んでいる途中だったので、みんな民主主義を信じているけれども、本当に、絶対的に正しいのかと思い始め、思わず筆が滑って、蛇足してしまったのです。(一晩明けると、やっぱり正しいと思い直したけれどね。)

○ 「そうなんだよなあ。スロベニアもクロアチアもポーランドやチェコが顔色を失うくらいの重度の西欧病患者なんだよなあ」とセルビア人の血が50%のバルカン青年が言うくだりがある。スロベニアの人もクラアチアの人も自分達は、「中欧」だと思っていて、「東欧」と言われるのを嫌っているという。一方、セルビア人は、あまりそういうことは気にしないとのこと。僕の知らないユーゴ紛争当事者の生の声を聞くような気がする。そういえば、サッカーのストイコビッチ選手が、NATOの空爆に抗議して、ターゲットシャツを着ていた。ということは、彼は、セルビア側だったのだなあ。だからこそ、日本のような東方の国にも抵抗なく来てくれたのかあと思うと妙に納得してしまう。

○ なんといっても、ヨーロッパの多様性、特に、中欧、東欧の多様性は、実に興味深い。多様性という点では、東アジアに通じるものがある。

5月25日
トルシエ
○ 僕は、サッカーを見るのが好きだ。日本にいたときは、Jリーグ上位3チームのレギュラーメンバーぐらいなら、空で言えた程である。(でも4位ぐらいからは、怪しくなる。まあ、その程度では、ある。) 今は、日本に出張に行くといつもサッカー雑誌を数冊買って帰る。そこで、今日は、もう我慢できないのでトルシエについて言いたい。決戦前夜に味方に鉄砲を打つなと言われるだろうが、許して欲しい。サッカーは、口角泡を飛ばして自分の意見を言うのも楽しみの内、代表監督の報酬にも色々言われる分が含まれていると僕は勝手に信じている。日本サッカーへの愛故の言動なのだ。

○ トルシエが全く無能だとは思わない。今回の代表選出についても、余り強い批判は、ない。誰だって、今、代表監督を任されたらほぼ同じメンバーを選んだと思う。敢えて言えば、小笠原ではなくて中村だったと思うが、それも、そう絶対的なものではないだろう。僕は、中村を好きだけれども、左サイドでは、小野、アレックス(三都主)に次いで3番目、トップ下でも、中田、森島に次いで3番目といえ、好みで落すこともありえると思う。ただ、名波を入れないのならば、小笠原ではなくて、中村だと思うぐらい。いずれにしても、日本の選手のレベルは、随分高く、多少のメンバーの入れ替えがあっても、ちゃんとした指揮をすれば、十分世界で通用すると思う。

○ トルシエが全く無能だとは思わない。数年前、川渕チェアマンのトルシエ評を聞いたことがある。非公式の席だったが、さすがに批判はなく、プラスの点しか述べなかった。彼が挙げたプラスの点は、1)色んな人間を広く使い、一度ダメとなった選手にも、復活の機会を与えたこと。例えば、柳沢が代表の招集期間中にモデルと遊んでいたことがあったが、昔は、あんな事件があれば、代表からは永久追放だったという。2)おとなしい日本の選手に闘争心を植え付けたこと。しかし、川渕チェアマンが、トルシエのプラス点として、この2点しか挙げなかったことは、示唆的だと思う。つまり、戦術観、選手をまとめる能力、選手起用等代表の監督として求められる主な点に見るべきはないように思える。

○ トルシエが全く無能だとは思わない。しかし、僕は、日本のサッカーを愛するが故に、今、トルシエを好きになれないでいる。僕がトルシエを嫌いな理由。サラリーマン的な視点でいうと、ああいう人は、絶対上司にしたくないタイプと思うからだ。

○ 第一の理由、部下の才能と人気への嫉妬心。(=人間の薄さ)トルシエが全く無能だとは思わない。しかし、中田、名波、中村、松田、稲本等がトルシエと反りが合わなくなったことあるが、みんな、どうみてもトルシエの方からの挑発したものである。要するに、マネージャーが、実力ある部下に嫉妬しており、それがあからさまに外から見える。部下からは、これほどいやなものはない。

○ 第二の理由、危機においてアワテル腹のすわらなさ。(=戦闘力不足)トルシエが全く無能だとは思わない。しかし、トルシエは、試合での采配が、明らかに下手だ。ピンチになると、慌てて、頭が混乱して無茶苦茶になってしまう。本番で、「殿御乱心」てのがでなければよいが。

○ 第三の理由、実りある試行錯誤をプランできない中期的展望の欠如。(=戦術能力不足)トルシエが全く無能だとは思わない。しかし、今回、秋田を急遽呼ばなければならないのは、準備の失敗を明らかにしている。もっと以前から、秋田、服部、田中、鈴木、中西というDFを自分のシステムで慣らさなければならなかったのに、できていない。驚くほど、色々試行錯誤しているのに、肝心な点において必要な試行錯誤ができていない。

○ 第四の理由、大局における自分のミッションへの無関心。(=戦略観の欠如)トルシエが全く無能だとは思わない。しかし、日本の代表監督は、日本のサッカーが尊敬されるようにし、日本のサッカーファンが満足し増えるようにするのが、大局的な意味でのミッションだ。監督の報酬は、その為に払われている。そのミッションを忘れて、日本のサッカーをバカにするような言動をするのは、もっての他だ。クラブチームの監督がフロントの悪口をいうのとは、訳が違う。たとえ試合に勝っても、日本のサッカーへの軽蔑を示すなら、即刻クビにするべきポストだと思う。

○ 結局、人徳、戦闘、戦術、戦略の面において見るべきものがない。

○ さて、あなたは、トルシエを有能だと思いますか?

P.S. ところで、全くの余談だが、僕の知合いでフランスに住んでいたことのある人が(複数、日本人)、トルシエの性格は、全然フランス人らしくないと言っていた。ただ、英語だけは、笑っちゃうほど、典型的なフランスなまりの英語なんですって。面白い。

5月27日
飛行機事故
○ 中華航空の事故で犠牲になった方々に心より御冥福をお祈り申し上げます。らくちんの周囲には、犠牲者はおりませんでした。

○ それにしても、中華航空は、事故が多い。1994年の名古屋空港の事故から8年余りのうちに3回事故が起こっている。僕は、大韓航空機事故の直後、却って安全だろうし、安いからと、大韓航空機でヨーロッパ旅行に行ったことがある。その僕でさえ、さすがに、これから中華航空に乗るのには、ためらってしまう。他に気付いたことをバラバラと幾つか。

○ こういうときの台湾のマスメデイアの報道は、強烈だ。遺族が、泣き叫び、大声で誰かをののしり、政治家などにつかみかかる姿を至近距離でとらえ延々とテレビで放映している。僕は、こういう場面は、台湾にいつまでいても、なじめないし、見ていられない。遺族の方々にどうこういうつもりは毛頭ないが、メディアの報道の仕方にもう少し配慮がないものかと思う。しかし、これも、日本人の変な性格故なのかもしれない。

○ 今回の事故を機会に、中華航空の名前を台湾航空にするべきだという人もいるらしい。ううんと、うなってしまう。

○ 他には、飛行機からの落下物がある地区では、お金や金目のものを拾っているふとどき者がいたという。しぶといでんな。

6月10日
神奇桃太郎
○ 日本の勝利、おめでとうございます。バンザイ!

○ 台湾の新聞も稲本と小野が抱き合って喜んでいる大きな写真を載せるなどして、報道しています。日本の朝日、読売にあたる一般紙である中国時報(6月10日)も1ページを割いて報道していますが、その見出しがこれまた面白い。
「神奇桃太郎 驚艶全世界」:台湾では、桃太郎の話は有名だそうです。
「稲本潤一 大和英雄」
また、台湾の大学教授のコメントが載っており、そこでは、「1904年日本聯合艦隊總司令「嗜血軍神」東郷平八郎」まで、言及されています。日本軍のことは、下手な日本人より、台湾の年配の人の方が詳しいですからね。それにしても、日露戦争まで持ち出した新聞は、日本にはありますまい。

○ 台湾の人たちは、中国チームに対しては、「ヨワイネ」とクールに笑いながら、熱心ではないけれども、軽い応援の気持ちをもって見ているといった感じです。兵庫県出身の僕が、甲子園でややPL学園びいきで見ている感じと似ているかもしれません。

○ ホームページを作るときにいつも使っているノートPCのハードディスクドライブ(HDD)が、壊れてしまい、更新をお休みしていました。HDDを入れ替えて、何とか復旧しました。いやはや、バックアップは、とっておくものですね。

6月12日
小さな応援
次の日本戦の日には、青い服を着よう。

試合を見られないサラリーマンも、青いワイシャツを着よう。
ベランダにでる主婦も、青いTシャツを着よう。
畑仕事をするお百姓さんも、青い帽子をかぶろう。
制服の決まっている工員さんも、青いハンカチをもとう。
おしっこをすると青くなる紙オムツをつけた赤ちゃんは、おしっこをしよう。
きっと、気持ちが届くから。

お昼の試合のときは、
テレビでみることの出来ない人も多いと思う。
それでも、日本を応援している気持ちを示すことが出来れば素晴らしい。

前回のベルギー戦では、為替ディーリングの人達が、観戦できないからといって、
日本代表の服を着て仕事を続けたという。
フランス大会では、日本のサポーターは、青いゴミ袋で応援して、
世界中の人達から、驚きと賞賛を得た。
試合を見られなくても、日本代表の服が無くても、
みんなでできるだけの応援の気持ちを出そう。
きっと、気持ちが、届くから。

色んな状況の人がその場で、思い思いに日本を応援している。
そういう日本人が、僕は、好きだ。
日本中が「青」でいっぱいになると、すてきだと思う。

こんな意見に賛成する人は、色んなお友達にmailなどで広めてください。
この文を転送してもいいし、御自分の言葉で書かれてもいいと思います。
チェーンメールになるのを好まないなら、他のmailの最後にPSで、
14日は青い服を着ようね、って書いてくれたらいいと思います。
この文をリンクするならココです。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~RAKUCHIN/taiwan/zatu205.htm#0612

きっと、気持ちが届くから。

6月13日
小さな応援のリンク
○ 昨日サイトにアップした「小さな応援」ですが、幾つか反応を頂きありがとうございます。昨日の今日なのに早速リンクを張って頂いたところもあり、感謝感激です。幾つか紹介します。

mojiko.com(http://www.mojiko.com)
サイト管理者の魚住さんからのmailです。
はじめまして。
日本国北九州市で「mojiko.com」(http://www.mojiko.com)という地元紹介のサイトを
個人で勝手に開設・運営している魚住と申します。
貴サイトの「小さな応援」の呼びかけに賛同し、mojiko.com
のindexにリンクを貼らせて頂きましたことをご連絡いたします。

らくちん注:ありがとうございます。
       こんなに伝統あるサイトにリンクを張っていただいて恐縮です。

○ 溜池通信(http://tameike.net/)
かんべいさんに、載せてもらいました。いつもありがとうございます。かんべいさんも、にわかファンといいつつも結構お詳しいですよ。

○ 他に色んな方からmailも頂きましたが、結構、会社の大会議室で見ることになっているという人は、多いようですね。いいじゃないですか、4年に一度なんだから。ねえ。

○ 昔、川渕チェアマンの講演会で、こんな話を聞ききました。(むちゃくちゃあやふやな記憶です。)
「ドイツのコール首相が、ワールドカップ予選を戦うドイツ代表をサッカー場で応援する為に、サミットに遅れて参加した。それでも、他国の首脳は、遅れてきたコール首相に文句を言うどころか勝てて良かったですねと口々に言った。サッカーは、サミットの遅刻の理由としても十分正当化されるまでのものなんです。」
ワールドカップ予選だったか、欧州選手権だったか、コール首相だったか、ほかの首相だったか、随分曖昧な記憶ですがこんな話でした。その場はすごく感心して、以後、僕も持ちネタにしており、今回も、会社の上司に言ったりしています。しかし、冷静に考えれば、サミットで、こういう状況で遅刻してきた首脳をあからさまに批判する人なんていないですよねえ。

○ それより、なにより、日本が勝って欲しいですね!!(最後は、青くしてみました!)

6月14日
決勝T進出
○ 日本おめでとう。韓国もおめでとう。こんなことは、僕が死ぬまでにもう無いかもしれない!

○ トリシエの選手起用が当たりましたね。僕は、批判していましたが、今回ばかりは、脱帽です。特に稲本を下げる勇気は、なかなか普通の監督には無かったと思います。敬意を表して、今度、丸ぼうず、、、、とはいきませんが散髪に行って来ます。

○ 「小さな応援」運動に御賛同頂き、職場で広めて頂いた方から、今日は、8割方青い服だったとご連絡頂きました。楽しいですね。街ですれ違う人にも、「あ、この人、応援してる。」と思えるのは、いいですね。

○ こちらの地元のテレビでもワールドカップの試合を見られるのですが、平気で、試合中にCMが入ってきます。CMタイムには、一応、画面を二つに分けて、CMを大きな画面、サッカーを小さな画面にします。得点機が来ると、サッカーの画面が大きくなります。日本戦のときなんぞは、なかなか苛立たしいものですよ。

○ そこで流されている水虫薬のCMが強烈なのです。こちらでは、水虫のことを「香港脚」といいます。香港の人に随分失礼だとは思いますが、放送禁止用語にもならずに使われているようです。そこで、このCMでは、童謡風の、印象強烈なCMソングが流れ、「香港脚♪、香港脚♪」と連呼します。つまり、「水虫、水虫、かーーゆいなあーー」といった感じの間の抜けた、しかし、一度聞いたら忘れない歌です。台湾の人に聞くと、このCMソングは、20年位流しているとのことです。この歌の印象が余りに強烈なので、丁度、披露宴を出たあと、「乾杯」という歌が頭でずっとなっているように、サッカーを見終わった後もずっと頭の中で、「香港脚、香港脚」、となり続けて困ります。

○ サッカーが、足を使うスポーツだからといって、なにも水虫薬の宣伝をしなくともと思うのですが、このあたりが、僕のいう、「台湾的ユーモア」なのでしょうね。

6月16日
ペースダウン
○ 台湾のIT産業は、4−6月の四半期、深刻ではないものの少しペースダウンのようだ。今の日本の感覚で言うと、台湾は、好調としかいいようがないが、昨年の暮れから伸びてきた一本調子から比べると、少しペースダウンの兆候がでてきた。

○ まず、半導体が予想された通り、かなり減速してきた。昨年暮れからの好調は、供給側の調整が進んだことで、行き過ぎた価格競争が是正されたことによっていた。しかし、ここにきて予想通り、需要が余り伸びないからである。これは、業界では、見込まれていたことで、このHPでも再三指摘してきたことなので、それほど驚きは無い。むしろ、無線通信関係の需要が意外に良かったと思っている人も多いくらいだ。

○ 少し意外なのは、LCD業界である。パソコン用CRT(ブラウン管)モニターからの代替需要も強く、値段も上がり、その上新規供給増は来年ということで、今年一杯は、好調だろうと思っていた。しかし、ちょっと調子に乗りすぎ、「399ドルの壁」というのに突き当たってしまった。アメリカにおけるPC用LCDモニターの小売価格が399ドルを超えると、とたんに消費者が買わなくなるという説である。PC用LCDモニターは、もともと、CRTモニターを既に使っている人が、省スペースの為に買い替える需要が多い。従って、今すぐ無くてもいい訳で、ある程度以上値段が上がると買わなくなるのである。それにもかかわらず、昨年暮れから、LCDパネルメーカーは、調子に乗って値段を上げ続け、末端価格までかなり上昇したので、末端需要が価格上昇についてこられなくなったのである。

○ こういう装置産業は、うまくブレーキをかけないと無用の混乱が起こるから要注意である。台湾のLCDメーカーは、フル生産、部品の大量発注を行ってきた。今後は、在庫や材料の発注残の処理しながら、最終需要を確保できる価格水準で、流通業者、モニターセットメーカー、LCDパネルメーカーが、うまくやっていける取引価格の設定をできるだけ早く調整してしまう必要がある。基本的な需要は強いため、大きく崩れるとは思わないが、このあたりの手際の良さが、中長期におけるその企業の競争力の優劣をつける。別の見方をするとビジネスマンにとって面白い場面である。台湾企業向けに部品供給をしてきた日本の方々の間でも強気弱気が入り乱れている。とにかく、今まで納期前倒し要求がきつかったけれども、材料の先行手配などは、ペースダウンした方がいいと思うがどうだろう。

○ 他は、パソコンがまあまあ、携帯電話端末の生産が思っていたよりいいといったところ。総じて言うと、先月あたりは、「4−6月は、落ちるけれども、これは、毎年のことで季節要因。この時期、これだけ注文があれば十分。」という声が聞かれたが、今月は、「やはり、ちょっと用心した方がいいかもしれません」という声が多くなってきた。まあ、冒険心は強いが、脇の固い台湾企業のこと、これくらいのスピード調整は、涼しい顔でこなしてしまうのであろうが、ちょっとお手並み拝見である。

6月18日
残念
○ 日本残念でした。今は、もう、トルシエも含めて、「頑張った姿を見せてくれてありがとう」といいたいです。

○ 「小さな応援」運動に参加してくださった皆さんも、ありがとうございました。沖縄、九州、永田町、丸の内、大阪、タイと色々なところで、賛同して頂き、とても楽しかったです。台湾にいて、青い服を着ていても、みんなと一緒に応援している気分になれて幸せでした。ありがとう。

○ 韓国は、強いですね。今の実力だと、日本が何度やっても、負けるような気がします。ここまできたら、優勝して欲しいですね。

6月19日
台湾IT優良企業
○ アメリカの雑誌「ビジネスウィーク」が発表した世界100大IT企業ランキングに、11社の台湾企業が入っている。上位には、広達電脳[2位]、鴻池精密[3位]、精英電脳[8位]、明碁電通[13位]、華碩電脳[23位]などがランク入りしている。さて、ここで質問。これらの台湾企業の英語名と事業内容をどれだけ言えますか?IT産業について語るなら、その産業の世界トップ10の企業ぐらい知っていて当然と思うが、これがなかなか難しい。日本では、IT産業関係者でも、上記の企業の英語名をすべて言えて、事業内容を正確にいえる人は、少ないだろう。

○ ここで改めて驚くのは、まず、台湾企業の圧倒的な強さである。日本企業では、キャノン[24位]、シャープ[92位]などがランキングしているが、ソニー、松下、日立、NEC、富士通、東芝、三菱、三洋などは、100位にすら入っていない。これらの日本企業は、IT分野で見れば、上記の台湾企業の「格下」と言われても仕方の無い状況である。指標によってランキングが変るとは思うが、2位と100位以下では、どんなに言い訳を言っても、負け犬の遠吠えにしか聞こえない。

○ 次に思うのは、そのわりに、台湾企業の名前は知られていないということである。上記企業の英語名と順位をいうと、それぞれ、QUANTA[2位]、HON HAI[3位]、ELITE[8位]、BENQ(旧ACER)[13位]、ASUSTEK[23位]である。大抵の日本人は、英語名を聞いてもなお殆ど知らないのではないだろうか。これらの台湾企業は、OEM(相手先ブランドによる供給)により大きくなってきたこともあり、一般消費者には、そのブランド名を知られていないことが多い。このあたりが台湾企業の共通する特徴である。

○ これらのことから、ちょっと論理の飛躍と我田引水を許してもらえば、日本人には、次のことがいえると思うがどうだろう。

一、 台湾を知らずして、ITを語るべからず。
日本企業のIT関係における戦略立案部署の人で、「新竹」(世界的に有名なハイテク産業の集積する地域。台北から車で2時間ほどのところにある。)を知らない人がいて、周囲が驚いたという話を聞いたことがある。これはちょっとひどいとしても、IT産業関係者で、上記5社の英語名のうち、2社以上知らないなら、ちょっとモグリである。このサイトを読んで勉強しよう!(笑)

一、日本のIT産業は、台湾から学べ。
日本から台湾に出張で来られた方で、未だに勘違いして、台湾企業に「教えてやる」とばかりに大威張りの人がいるが、これはもう、釈迦に説法でみっともないとすら言える。実際台湾の優良企業と付き合ってみると、技術力があって且つ、お金儲けがうまいだけでなく、長期的関係の為には少しの価格の違いも辛抱することもあるし、突然取引を切ってきたりしないし、その際にも仁義を切ってくるし、今時の日本の電機メーカーより、余程、立派なビジネスマナーをもっていることに気付く。彼らが強い競争力をもっているのは、ズルイからでもなんでもなく、賢いからだと思って間違いない。僕もできるだけ彼らの行動様式を学んでいきたいと思う。だから、今後も、このサイトを読んでください!(笑)

6月20日
中国語の国名
○ 昨日は、意地悪質問だったので、今日は、エンターテイメント系でいきます。次の国は、ワールドカップベスト8の国を中国語(繁体字)で表記したものです。どれだけの国名をいえますか。塞内加爾、土耳其、英格蘭、巴西、徳国、美国、西班牙、南韓。今日は、簡単過ぎたでしょうか。順に、セナガル、トルコ、イングランド、ブラジル、ドイツ、アメリカ、スペイン、韓国です。

○ こちらのテレビでワールドカップを見ると、画面の左上隅に一国を一字で表示して得点表示がでます。鹿島対磐田のときに「鹿0−0磐」と出るようなものです。これが、予選リーグの時は、結構難しくて大変でした。例えば、「厄0―0克」と書いてあるのを見て、「厄瓜多」=エクアドル、対、「克羅挨西亜」=クロアチアと分かるのは至難のわざです。それにしても、「厄」なんて字をあてなくてもいいのにねえ。

○ 「哥斯大黎加」=コスタリカ、「斯洛凡尼亜」=スロベニアなんて難しいけれど今にも分かりそうで、考え出すと夜も眠れなくなっちゃいます。「阿根廷」のアルゼンチンは、なかなか想像力が追いつきません。一方、ちょっとおしゃれな「葡萄牙」=ポルトガル、一番長い「沙烏地阿拉伯」=サウジアラビアなんてのは、見ていると楽しくなってきます。 「丹麥」=デンマーク、「突尼西亜」=チュニジアなんてのは、3分ぐらいじいーと眺めていると、分かるような気がしませんか。同じ漢字文化圏なのだなあと実感します。

○ 「巴拉圭」は、またFKを蹴られるGKを連れて来てね。「喀麥隆」は、次回には遅刻しないでね。「美国」は、悪いけれど、世界中がしらけるから優勝だけはしないでおきましょうね。ではでは。


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