台湾日記  2004年7月〜
 
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7月29日
「タテ読みヨコ読み世界時評」谷口智彦(日経ビジネス文庫)
○ 「えぇー?」「ふーーん」とページをめくる度毎に、つぶやいてしまう楽しいコラム集である。

○ 例えば、「ヴェーバーは嘘つき..」というコラム。ヴェーバーが「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」で、学者にあるまじき不誠実な資料操作の詐術をしていた。それを無名の一日本学者が明示し、ドイツで大反響を呼んだ話。ね。「えぇー?!」「ふーん」でしょ。

○ 他には、「ワシントン保守層のコミンテルン」と批判されるアメリカの「水曜会」に、外国メディアとしては、例外的に出席した時の様子をしるしている。こんな会があるなんて、存在すら知らない僕は、ひたすら、「えぇー?!」「ふーん」とつぶやいてしまう。

○ こうして最初は、「ギョエー」でもなく、軽く「ふーん」と驚くだけなのだが、時間がたって思いおこすと、「あれって、大変なことじゃないのか」とじわじわと効いてくる。ヴェーバーが嘘つきだなんて、大半の社会学の大学教授が失業しそうな話である。また、保守化するアメリカ社会の政策の源流の一つに、こんな「アジェンダの自由市場」のような会合があるなんて、ちょっと恐ろしくもなってくる。おいおい、3ページで済ますような内容じゃないよ。とすら思う。そんな濃い内容を惜しげもなく披露するコラムが50余も載っている。

○ 谷口氏とは、何度か個人的にお会いしたこともある。初めてお会いしたのは、イギリス勤務から戻られた直後に帰朝報告を聞こうと人が集まった席だったろうか。イギリス人を一言でいうと、と聞かれ、「英語が世界で最もうまい人たち」と答えられたのをいまだに印象深く覚えている。政治、外交においていかに言葉が重要であるか、イギリス人がいかに巧妙な英語を外交に使っているかを、わかりやすく説明していただいた。この端的なイギリス人評をする谷口氏は、「最も言葉の上手い人だなあ」と、僕は思ったものである。

○ こんな谷口氏だから、日本の政治家に対しても言葉で説明する能力を厳しく要求する。外国人記者クラブで論理的に自分の言葉で説明できなかった亀井氏と野中氏など、彼らの強面の顔もかたなしの一刀両断で切り捨てられる。

○ この本は、谷口氏が「日経ビジネスEXPRESS」に毎週一本書いたコラムを一年分集めてそのまま載せ、そのそれぞれのコラムに後記を付け加えてできている。文章や言葉というものに実に誠実に向き合っている谷口氏は、後記で誤っていたコラムを率直に反省し、訂正する。これは、ものを書く人としては、恐ろしいことだ。いい加減で矛盾する予測を断定調で次々と書いて、売らんかなの本で稼いでいる有名な評論家など、絶対出来ない芸当である。

○ 僕もこんなささやかの文を書いているとき、「である」と断定調で書くのか「と思う。」と少し緩めるのかというささいなことでもいつも悩む。少し緩めて、ぼやかして書いたことが、後になって思っていたとおりになると、もっとクリアに書けばよかったと思うし、断定で書いたことが、そうはっきりとした決着にならなかったりすると、穴があったら入りたい気分になる。言い換えると、述べたことの方向性があっていることはもちろんだが、今述べている論の射程を正確に表現できているかどうかが一番気になるところである。谷口氏は、昔書いた論の射程があっていたかどうか、亀井氏や野中氏に対して見せた厳しさの10倍する厳しさで自らを批判的に評している。これは、ちょっとぞくっとする迫力である。

○ このコラムは、一見、平易に、ときには、ふざけた文体で書かれているが、まとめて後記とともに読むと、文章を書く者、言葉を使う者としての責任感というものを強烈に感じさせる。話題は多岐にわたっているが、その点においては、実に一貫していて、凄みすら行間から滲み出て来る。この本の本当の味は、そうした言葉というものに対する深い畏敬の念と、言葉を使う者の使命感にも似た強い意思の迫力かもしれない。いやいや、もとい、その迫力に違いない。

○ ホームページに駄文をしたため憂さを晴らしている僕などは、先生にものさしで背中をピシャと叩かれたような感にうたれた。

○ ところで、谷口さん、また、台湾でタンツー麺を一緒に食べましょう。


7月28日
台湾の電子産業の実力 −台湾的経営4(27日のつづき)
○ 台湾のInstitute for Information Industry(III)によると台湾の主要IT製品のシェアは、次の通りである。
単位:%

02年 03年 04年
ノートブック型パソコン 61.2 67.2 70.9
デスクトップ型パソコン 23.9 26.8 28.4
マザーボード 74.2 79.0 81.2
サーバー 30.0 32.9 35.4
CRTモニター 52.0 54.5 55.6
LCDモニター 60.8 65.4 71.9
光ディスク・ドライブ 38.8 42.3 45.2
デジタルカメラ 32.9 37.6 38.2
プロジェクタ 8.8 17.5 26.7

○ これを見ても分かるように、IT製品のおおどころをほとんど台湾企業が押さえている。その中心は、パソコンである。

○ ここで、台湾のパソコン産業の概略を少し紹介したい。2003年の世界のパソコンの出荷量は、1.5億台。そのうちノートPCは、4千万台。そのうち、台湾メーカーの世界市場での生産シェアは、67%にも達する。さらに、そのうち、台湾のクァンタの生産量が、9.3百万台。台湾のコンパルが5.5百万台。とにかく、巨大な数量である。一般には知られていないが、電子産業の業界では、クァンタとコンパルは、圧倒的な存在感を持っている。

○ 上の表でデスクトップパソコンのシェアが、30%弱で少ないと思われるかもしれない。デスクトップパソコンというのは、マザーボード、メモリー、CPU、光ディスクドライブなどを購入して組み立てて作る。この組み立てだけなら、技術的にも簡単で付加価値も低く、いまでは、中国などに生産が移管してしまっている。ただ、その基幹部品であるマザーボードのシェアを台湾は、80%くらい握っている。つまり、世界中のデスクトップパソコンの5台に4台が台湾のマザーボードを使っており、ノートブックパソコンの約70%が台湾メーカー製なのである。パソコンという製品が台湾なしでは語れない実態がよく分かると思う。

○ それでは、この世界市場を席巻している主な台湾企業を挙げてみる。ビジネスウィーク04年6月21日号によると、世界100大IT企業にはいった台湾企業は、次の15社である。

 3位  広達(QUANTA)
 4位  鴻海精密(HONHAI)
 15位 仁宝(COMPAL)
 16位 華硯電脳(ASUS)
 17位 友達光電(AU Optical Electronics)
 20位 聯詠(NOVATEK)
 21位 建興電子(LITE-ON)
 25位 広碁(Acer)
 35位 聯発科技(Media Tek)
 36位 奇美電子(ChiMei Electronics)
 55位 台湾積体電路(TSMC)
 70位 聯強国際(Synnex)
 77位 明基電通(BenQ)
 85位 日月光(ASE)
 96位 聯華電子(UMC)
 
○ ところで、上の台湾を代表するこの優良企業の名前を見ても、ほとんどの日本人は、聞いたことがないのではないだろうか。台湾企業は、自社ブランド販売をせず、日米欧の大手企業へOEM供給をして伸びてきた企業が多い。Quanta、Compalをはじめ多くの企業が、会社の方針として明確に「自社ブランドでの販売を一切やりません」と客先にコミットしている。このように自社ブランドが表に出ないために、圧倒的な実力のわりに一般の人に知られていないのである。それでは、次回は、台湾のそのOEM生産について述べてみたい。


7月27日
台湾と日本の共通点 −台湾的経営3(25日のつづき)
○ ある社会を分析する時にどうしても、違いにばかり目が行きがちである。しかし、対照が強烈に見えるのは、基本的な共通点がしっかりあるからでもある。両社会の違いを検討する際に、日本と台湾との基本的な共通点を確認し、目配りするのも忘れたくない。

○ 台湾と日本の最大の共通点は、まず、世界のIT製品の生産、開発拠点のトップにいる点である。中国での電子産業の成長が言われるが「中国内のIT機器生産総額に占める在中国台湾系企業の生産額シェアは、2001年の56%から、2003年には、とうとう73.4%にまで達した。」(ココ)とも言われている。どの指標をとるかによりどちらが一番になるかは、異なってこようが、台湾と日本が電子産業におけるトップグループにいるのは間違いない。なんといってもこれが最大の共通点である。

○ このほかに、台湾と日本の共通点を挙げてみる。

○ モノづくり
台湾が香港、シンガポールと違って日本と共通しているのは、モノづくりができることである。僕は、日本人というのは、モノづくりの天才で、この点に関しては、いまだに間違いなく世界一だと確信している。その日本人に比べれば台湾は、確かにモノづくりの総合力では見劣りする。日本を工人とすれば、台湾人は、半商半工と言えるかもしれない。が、なになに世界の中でみれば、台湾は、ものづくりではトップクラスであって、香港、シンガポールの比ではない。

○ 積極的な輸出(世界市場を目指す)
台湾も日本もIT産業は、輸出指向が強い点は、共通点である。厳しい海外市場でもまれると、国内市場だけで育った企業と比べて、企業文化までもが全く違っているのは、日本でも台湾でも同じである。ただ、日本では、会社にしろ、製品にしろ、まず国内で育成して、うまくいってから、製品を海外に輸出する傾向が強い。一方、台湾では、台湾の市場規模が大きくなく、生産計画上、海外市場無しでは損益分岐点すら越えないことも多く、生産ラインをつくるときから海外市場を狙っている。また、会社にしても、設立当初から海外市場狙いの会社が多いのが特徴である。

○ 地元同業社との激しい競争
台湾でも日本でも、台湾企業同士、日本企業同士の競争は、激烈である。ソニーと松下、トヨタとホンダにあたるような激烈な競争を、台湾では、クアンタとコンパル、AUと奇美、TSMCとUMCが行っている。

○ 積極的な海外進出
台湾も日本もアジアでの生産拠点の移転には熱心であった。台湾企業は、今は、中国への集中的な進出をしているが、それ以前には、台湾語が通じやすいマレーシアや、英語が通じるフィリピンなどに進出してきた。もともと、戦後すぐの台湾経済を支えた繊維産業や軽工業が、アジアへの生産シフトの豊富な経験を持っていたため、IT産業も海外進出に積極的であった。
*因みに、中華系マレーシア人は、先祖が福建省からの人が多く、中国語(北京語)よりも福建語の方が話しやすい人が多い。福建語と台湾語は、方言程度の違いしかなく、相互におおよそ通じる。

○ こうして、台湾企業と日本企業を比較し、共通点と相違点を分析することによって、「台湾的経営」の強さの秘密を見出すことは、今後、日本企業がどう進むべきかについて多くの示唆を含むと思われる。結論を一部先取りして言えば、台湾企業がアメリカ企業と協力しながらパソコンの製造・販売で完璧に使いこなした分業体制、即ち、
1) ビジネスにおけるOEM(ODM)販売
2) 完成品の組立て生産におけるモジュール型製造
3) 部品における参考設計図面付での基幹部品の販売(買取)
とに、どう対抗し、それらを日本の会社が今後どう取り込み活用するかということになるだろう。


7月26日
一言:正直
正直は、最良の外交である。
のみならずまた、正直は、すいぶんと恵まれた環境での高級な趣味である。


7月25日
負けを認めよ −台湾的経営2 (22日の続き)
○ 日本の電子産業関係者は、まず、負けを認めるところからスタートした方がいいと思う。パソコンなどのデジタル機器で、日本は、台湾/アメリカ連合に完敗した。日本は、LCD、蓄電池、半導体、メモリーなど、パソコンの主要な要素技術でリーダーであった。独創性もあって、CPUのアイデアは、もともと日本人だとも言われている。今でも、電子部品の材料と製造装置では、圧倒的に強い。さらに、そのような様々な技術を上手に組み合わせるのにも、もともと長けていた。それにも係わらず、日本以外の世界市場では、パソコン、サーバーなどのデジタル機器の製造、ブランド販売で完敗した。

○ 日本の電子産業は、デジタル家電のブームに沸いている。台湾のこの分野の製品は、まだまだ日本に及ばないことも多い。それをみて、「まだまだだ」と説教をたれている場合ではない。まず、パソコンなどのデジタル機器において、負けを認め反省することで、今急速に普及していて、しかも、日本がリードしているデジタル家電市場拡大のメリットを最大限享受できるのではないだろうか。

○ そして、「パソコンで、台湾/アメリカ連合が勝って、日本が負けたのはなぜか。」という問題を考えることは、次のような疑問に答えることでもあるだろう。
− 台湾の強さを生み出した「台湾的経営」とはなにか。
− 日本が、パソコンで負けて、自動車で勝ったのは、なぜか。
− デジタル家電の製造・販売で今後日本メーカーが取るべき方法はなにか。

○ これらの課題に答えるために、台湾企業と日本企業の差異を見、「台湾的経営」を分析することは、日本のビジネスマンにとって有意義だと思う。それを今後の何回かに分けて述べていくことにしたいが、現時点で思いつくものを体系的でなくパラパラと並べるだけでも、日本と台湾は、著しい対照を成しているのに気付く。

台湾 日本
分業 独立会社による工程別分業 特定の関係(総合会社、または、系列)
ブランド OEM 自社ブランド
技術開発 モジュール型 摺りあわせ型
競争 つながれた競争 仕切られた競争
製品戦略 量と価格の追求 製品差別化戦略
部品調達 競争的共同購入 独自部品指向
市場 初めから海外市場 国内市場で育ってから海外に進出
資金調達 直接金融 間接金融
雇用 頻繁な転職 終身雇用
人・組織の関係 人と人との長期関係 人と組織との長期関係

尚、上の「つながれた競争」というのは、筆者の考えた言葉である。村上泰介が、日本経済を「仕切られた競争」という概念で上手く説明したのに対比してみたつもりである。後に詳しく説明したい。

(次回は、台湾と日本の共通点です。)


7月22日
韓国と台湾 −台湾的経営1
○ 「台湾的経営」について、長めのエッセイを書こうと思う。日本の電子産業の行く末を思うと、台湾の電子産業をよくよく見て参考にした方がいいというのが僕の意見である。まだ余り準備ができていないのに始めてしまうので、これまでの連載したエッセイ(例えば、「台湾の明日」)と違って、今回は、連続せずにとびとびになるかと思う。今日は、その前書きの前書きである。

○ 台湾的経営を書こうとすると「では、韓国はどうなんだ。」という疑問が頭から離れない。そこで、今日は、「台湾的経営」の前書きの前書きとして、回り道して韓国について述べたい。とはいえ、残念ながら、筆者は、韓国で直接のビジネスの経験が無いので、読んだものなどへのコメントを少しだけして、勘弁してもらいたい。

○ 電子産業において韓国と台湾とのビジネススタイルの違いを印象で言うと、剛の韓国、柔の台湾である。この印象は、韓国、台湾、日本、アメリカの電子産業関係者で共有されていると思う。一方で、韓国と台湾とで共通している点をあげておくと、この15年ほどの期間では、税制上の優遇処置など政府の厚い成長政策があった分、日本の会社より有利に伸びてきた点である。

○ 剛の韓国、柔の台湾がよく表れていると思うのが、後に再述するが、半導体における特許紛争への対処である。韓国も台湾も、アメリカの半導体メーカーの特許とそれに基づく訴訟に随分苦しめられた。韓国は、アメリカで何度も訴訟され、輸入差止めをくらいつつも、正面から販売を続け、自分達の技術を蓄積し、クロスライセンスできるだけの実力をつけていった。いわば、顔面でストレートパンチを浴びながら、立ち続け、反撃の力を蓄えるという、正面攻撃であった。

○ 一方、台湾は、アメリカのヴェンチャービジネスや、古い特許を持っている老舗の半導体メーカーから、半導体の生産委託を受け、技術を磨いた。自分達のブランドを出していないので目立たないし、また、受託生産にとどめているために訴えられにくい。受託生産契約をしたブランドオーナーを隠れ蓑にしていた点があると思う。台湾のメーカーは、いわば、小刻みの軽いフットワークで相手のパンチをかわしながら成長してきたといえる。

○ では、その剛の韓国の中味をみてみよう。といっても、結局、サムスン一社が論点になってしまいがちだ。
例えば、Ycasterでは、こういわれている。

その韓国の製造業の中でも、サムスンの地位は圧倒的である。昨年は5分の一になったが一時は同社が支払う法人税は韓国の全法人税収入の四分の一を占めたし、同社は
「韓国の株式市場の時価総額の22%」
「全企業の純利益の25%」
「全輸出の16%」
「貿易黒字の三分の一」
 を占める。つまり韓国経済はサムスン依存が極めて高い


○ ここまで、強大になると、韓国電子産業の分析は、イコール、サムソンの分析となる。部分的にLGなども強いが、いずれにしてもごく少数の勝ち組で成り立っている構造に違いは無い。こうした「一人勝ち」を生み出しやすい社会という点は、韓国社会の一つの特徴かもしれないが、電子産業の分析と言う意味では、結局、社会の仕組みというより、サムソンという特殊な一社の分析になる。従って、一つの特殊例として扱わざるを得ないので、台湾にみるアメリカとの分業体制のような、多くの会社が基盤として動いている社会の仕組みを見る視点がとりにくい。それでは、日本の今後の進む方向への示唆を汲み取りにくいと思う。

○ また、率直に言うと、サムソンは、日本の総合電機メーカーの縮小相似形からスタートし、強烈なキャッチアップ志向で、本家の日本メーカーを追い抜いていった。日本メーカーから見ると、ターミネーター3(サムソン)に出会ったターミネータ2(日本メーカー)のようなもので、非常に驚くし、かなわないと思うが、やりくちに新鮮味が少なくて参考にしにくい。質的な違いというより、量的な違いに視点がいってしまう。例えば、投資の仕方のユニークさというよりも、投資額の巨大さに目を奪われる。これに対して、台湾のやり方というのは、日本と全く異なる手法で成功しており、かえって、参考にしやすいし、相互協力の道を探しやすいのではないかと思う。

○ それでは、次回から、ぼつぼつと「台湾的経営」について述べたいと思う。


7月21日
台湾経済の近況
○ みずほアジア経済情報の7月版(ココ)がでていたので、それをもとに台湾の内容を紹介したい。

○ 2004年1-3月期の実質GDP成長率(前年同期比)は、6.3%で、3年半ぶりの高水準。今年半ばまでは、好調な輸出に引かれるように内需も回復し高い成長がある。しかし、後半からはやや減速といった見通しである。どの調査機関も概ね同じような報告を出している。

○ このレポートで面白いのが、IT産業における、台中の相互依存の高まりについて数字を挙げて指摘していることである。台湾のIT機器メーカーの中国内生産比率は、生産量・完成品ベースで、2003年47.5%から2004年63.3%に急上昇している。

○ 一方で、中国内での台湾メーカーの存在感の大きさも増している。中国内のIT機器生産総額に占める在中国台湾系企業の生産額シェアは、2001年の56%から、2003年には、とうとう73.4%にまで達した。現場の感覚では、例外的に具体的な名前と場所が挙げられる日韓の企業があり、それ以外はほとんどが台湾系企業という具合だ。また、2003年のデータで、中国の輸出企業上位200社のうち、台湾IT機器メーカーの中国子会社が28社入っており、この28社だけであの巨額な中国の輸出総額の7.4%を占めている。

○ 台湾企業や日本企業の中国進出について、以前に書いたこと(例えば、ココ)も含めて僕が思いつくことを並べてみたい。

・ 中国のIT産業が台湾系企業に大きく依存している実態がちゃんと報道されていない。そこで、ある日、その影響がもろに出る事件があると、サプライズになりえる。

・ 台湾の中国への投資の勢いは減少している。電力不足と政治的嫌がらせのほかに、初期投資の段階が済んで、従業員を訓練し生産効率を上げる段階に来ているからでもある。

・ 台湾企業は、工程別に独立した別の会社が分業して成長してきた。しかし、大陸に進出した台湾企業は、今、部品の内製化に取り組んでいる。台湾企業が垂直統合の経営をどのようにできるかみものである。

・ 中国政府は、景気の過熱を抑える短期的な処置として、政治的な内部同意を取りやすい、独立派台湾企業への金融締め付けを強化している。しかし、これは、中国の今後の経済発展に、ボディーブローのように長期的にマイナスの影響を及ぼすだろう。

・ 大陸に進出したIT系台湾企業で、中国を生産拠点、日米欧をターゲット市場として立ち上げたところは、中国をターゲット市場として立ち上げたところより成功率は高い。

・ 地域的分業がはっきりしてきた。自動車は、天津などの北部と、広東省。パソコンは、上海近郊。日系デジカメは、広東省。増値税と保税の扱いの関係で、省をまたいでの輸送が国境を越えるほど煩雑なことがあり、部品業者もできるだけセットメーカーに近い場所に進出しようとする。

・ 日米のIT企業にとっては、今から中国に独資や合弁で生産拠点をつくるよりも、台湾系中国工場で委託生産する方が、リスクも低いし、大抵の場合コストも安い。それだけ台湾系中国工場の利益率が低いともいえる。台湾系ノートパソコンメーカーの粗利は、メーカーなのに、10%を大きく割り込んでいる。

○ 大陸では、福建省で大規模な軍事演習をしているそうである。一方で、台湾では、今日、高速道路を使って戦闘機の離発着を行う軍事訓練を行った。デモンストレーションである。政治的な対立関係と、経済的な相互依存関係が、どちらもより深まっていく中で、これからも複雑な駆け引きが続きそうである。


7月19日
国民生活白書
○ 今年の(平成16年版)国民生活白書(ココ)に身内が関係していましたので、紹介させてください。本人からの解説は、全く聞いていないので、以下は、すべて僕の個人的な感想です。

○ 今年の国民生活白書は、「人のつながりが変える暮らしと地域―新しい「公共」への道」と題して、地域の住民による自発的で多様な活動を分析しています。

○ なんといっても面白いのは、第一章の色々な地域で行われているユニークな活動事例です。全部で32事例。「身延竹炭企業組合」から「アルビレックス新潟」まで実にユニークで多様です。地域の活性化に興味のある人は、−即ち、東京の中心以外の地域に住むほとんど全ての人と言えるかと思いますが− この32事例をぱらぱらと読むだけでも役に立つかと思います。

○ そしてこの生活白書が心地よいのは、まず、こういう実際の地域の事例を分析するところから始まって、帰納的に地域の活性化の鍵を分析しようとしているところです。おしつけがましくなく、むしろ政府の側が、実際に地域で頑張っている人から学び取ろうという姿勢が感じられます。

○ これが、民間系のものも含め他の報告書ですと、まず、これらの事例が巻末の補足資料の場所に収まっていたのではないかと思います。そうではなく、いきなり本文の初めから地域の実例の分析にはいり、それを本論として扱っているのが、拍手喝采ものです。

○ また、他の政府の文書では、大きな視点から、そして、上からの変革を訴えるスタイルをとりがちです。例えば「グローバリゼーションの流れで、この産業分野がX%で成長する。従って、この分野への投資をY億円にまで伸張しなければならない。」といった分析に満ちており、おしつけがましくて鼻につきます。民間企業にいるものとしては、「投資すべきだなんて簡単に書くけれども、誰の金や思っとるんじゃい。」と言いたくなります。そして概してこういう政府の計画や見通しに基づいて動いた民間人は、損をするものです。だって、日本中で皆がしているのと同じことをして、儲かるはずがありません。

○ これに対して、今年の白書では、第一章での成功事例の分析に基づき、下から、細部から見ていく視点で、こうした地域活動の成功の鍵が何か探り出そうとします。こうした帰納的方法が、結論を急ぐ最近の書き物の中に比較しても、際立って興味深く思えました。

○ 結論部分で、一つ、僕は、この文書で説得されてしまいました。僕も一時、地域開発に関係のある仕事を担当していたのですが(例えば、ココのようなもの)地域開発というのは、東京の縮小コピーを作ろうとするのは全く駄目で、何かしらの意味で、その地域の特色を活かした「その土地の力を使った」ものでなければならないと思ってやってきました。

○ しかし、この白書では、地域の活動を支える基礎は、まずなによりも「人と人とのつながり」ではないかと訴えます。考えてみると確かにその通りで、その地域の特色を活かそうとばかり考えていると、サッカーと新潟とを結びつける結論にどうしてもいたらないでしょう。

○ 人と人とのつながりのなかで何事かが始まり、それを育む過程で皆が知恵を絞って努力していると、自然にその地域の特色が顕著に現れてくるものかもしれません。アルビレックスのあり方は、決して東京のサッカーチームの縮小コピーで無く、いかにも新潟の人らしい活動に根ざしています。地域の活動が東京の縮小コピーでは駄目なのはもちろんですが、余りにその地域性にこだわって、自由な発想を無意識の内に押さえ込んでいると、なかなか成功しないかのではないかと、思い直してしまいました。


7月18日
JAVA
○ パソコン内のファイルを整理していると、1996年に僕がJAVAで組んだサンプルプログラムがでてきました。(ココ)当時出始めたばかりのJAVAというソフトウェア開発言語を理解するために、解説本を参考に組んだものです。1996年の5月という早い時期に、JAVAでソフトウェア(アプレット)を組んだことのある人は、ソフトウェアのエンジニアでも珍しいほうでしょう。僕のちょっとした自慢です。できばえについていうと、もう少し本物はかっこいいと思うのですが..

○ JAVAが出てきたときに、仲のいいソフトウェアのエンジニアのIさんが僕に「JAVAはすごい。」といいだしました。まだ、日本で一部の人しか騒いでいなかった1995年のことです。開発したサンマイクロシステムズのホームページに公開されたサンプルプログラムを彼と一緒に見ながら、Iさんは、僕に向かって「これを1995年に見たというのは、10年20年後に自慢できるようになりますよ。」と言っていました。実際には、ポットから湯気がゆらゆら立ち上がっているだけの、そっけないほど簡単なアニメーションで、「これのどこがすごいんやろか。」と思ったのを覚えています。

○ その後、JAVAの完全なオブジェクト指向、安全性、WEBとの親和性などを理解するにつれて僕も注目していましたが、しばらくは、遅いとか使いにくいとか色々言われました。しかし、パソコンの処理速度が上がると共に急速に普及し、今では、ネットワーク環境でも携帯電話コンテンツでも、JAVAは、欠かせない技術です。JAVAを使いこなせる技術者は、引っ張りだこです。JAVAの歴史については、例えばココを参照してください。

○ Iさんは、メインフレームの時代からソフトウエアの開発に携わり、UNIX、パソコンと、時代に合わせて様々な環境でコードを書いてきた人です。当時、専門雑誌で特集されるような注目株の新しい技術で、彼がたいしたことではないといったのは、数年後、消えていきました。一方で、ADSLなどは、みなが注目する何年も前に雑誌のすみっこにある4cm四方程度の小さな記事を見つけてきて、「これが本当ならすごいです。」と僕に言ってきてくれたこともありしました。やっぱり分かる人には、分かるんだなあと、いたく感心したものです。今このJAVAのサンプルプログラム(アプレット)を見るとIさんを思い出します。

○ Iさんは、個々の技術を完全に理解している訳ではないようですが、何十年のソフトウェアの歴史を知り、その開発の流れを実際にコードを書く現場の技術者の立場で見続けてきたので、当然のように本物かどうか、画期的かどうかの区別がついているようでした。ドッグイヤーだとか、IT産業は変化が激しくて過去のことなど関係ないと思いがちですが、やはり何十年の全体の流れを知っていることは、今ここにある新しい技術を見るときに、とても大切だと思います。


7月17日
参議院選挙
○ そうそう、危うく忘れてしまうところでした。それほど、今回の日本の参議院選挙は、刺激が少なかったのではないでしょうか。簡単に思ったことをばらばらに書き残しておきます。

○ 「辞めることは無いけれど、あんまり調子にのるな。もう少し考えてやれ。」というのが、有権者の首相へのメッセージでしょう。目標とした51議席にわずかに届かない49議席というのは、その意味で絶妙でした。

○ 「これということはできないだろうが、まじめに頑張りなさい。菅、鳩山世代に戻したら駄目よ。」というのが、有権者から民主党へのメッセージでしょう。そして、この二つの短いメッセージを世論は、正確に送り、今のところ、与野党共正確に受け止めているようです。

○ 今回の選挙の結果について、色々こみいった解説を見ますが、そんなに複雑なものととらえるのは間違いで、単純に上の二つのメッセージとするのが正しく思えます。強いて言えば、3年後の衆議院を含めた選挙で本格的な政権交代が可能になった訳で、与野党とも一生懸命精進せざるを得なくなったという意味があるぐらいでしょう。

○ 僕が述べていたバランス投票(ココ)ですが、猛威を振るったとまではいえませんが、微妙に働いていたように思います。投票一週間前の世論調査ほどは大敗しなかったのは、その調査結果と株価下落などを見て、有権者がバランスをとろうとしたようにみえます。

○ 岡田代表のイメージは、よかったようですね。「抵抗勢力に対決する小泉」のときのように、有権者が党内紛争に決着をつけようとして、その紛争気味の党に投票し、結果として、その党への得票率があがるという現象がおきたようです。官房長官のイメージの悪さは、僕が思うほどではないのかもしれません。

○ 最後に、共産党、社民党の退潮について。僕は、若いときからこれまでどうしても共産主義というのが好きになれませんでした。僕達の世代が高校生の頃は、社会のことに少しでも興味があるような人は、少しは共産主義にかぶれるのがむしろ普通でした。しかし、僕には、どんな説明を読んでも全くぴんとこず、自分は、社会的な理論を理解できないあほうかなと思いすらしました。いくら自分で自分を説得しようと理屈をこねても、おばさん、おじさん達が忙しくたち働く活気に満ちた市場が、市役所のように職員がのんびりと無愛想に働く場になって社会が発展するとは、どうしても思えなかったのです。

○ しかし、ここまで共産党と社民党が負けてくると少し考えるものがあります。共産主義は、嫌いだけれども、共産党が一議席もない日本の議会というのは、もっと薄気味悪い気がします。これは、あまのじゃくの僕だけの奇妙な感想でしょうか。


7月15日
元気な日本娘2
○ ココ(5月22日)に続き、台湾でおいしいレストランを経営している元気な日本人女性をもう一人紹介します。Iさんは、会社務めをしていたのですが、6年半前、本人曰く「逃げだすようにして」会社を辞めて日本を脱出しました。台湾に渡ってまず、師範大学で半年間中国語の勉強をしました。

○言葉の勉強の後、もともと実家が飲食・旅館を営んでいてそういう商売にカンがあったので、台湾での飲食店の立ち上げを行いました。オーナーに頼まれた雇われ店長です。今も経営しているイタリア料理屋のほか、デパートのフードコートのオムレツ屋さんなど3つの店舗を軌道に乗せ他の人に譲っています。昨年、彼女の店の成功振りを知っている台湾の人からオーナーでやってみたらといわれ、それまでの雇われ社長からオーナーになることを決意。資金的には、実家の支援も得て、8ヶ月前にオーナーとして独立しました。今は、2つのイタリア料理屋を経営し、8人の従業員がいます。

○ Iさんの場合は、まず、師範大学で日系企業からの留学生と友達になりました。その友達の奥さん(日本人)が料理のできる人だったので、協力して、その女性がシェフ、Iさんが接客を担当して店を立ち上げていきました。

○ 彼女達のお店は、日本人の口にあう洋食が特徴です。台湾では、「日本」というのが好印象をもたらす言葉で、街では、「日式料理」(日本風料理)「日式ラーメン」(日本風ラーメン)などといった看板が誇らしく並んでいます。なかには、「日式カレー」「日式焼肉」などもあります。日本人がなんにでもフランス語風の名前をつけるのと同じ感覚でしょう。ただ、「日式」のほとんどは、実は、日本人の口に合いません。そんな中で本当に日本人の口に合う洋食を出してくれているのが、駐在の日本人にとって彼女達の店のありがたいところです。また、本当に日本人客が来ていることが、台湾のお客にもアピールになっているのだと思います。

○ 台湾では、中華料理は、種類も豊富で安くてとても美味しいし、日本料理も外国のなかでは、一番美味しいところの一つだと思います。しかし、おいしいイタリア料理、フランス料理がなかなかありません。日本人駐在員で、僕のようにイタ飯が好きで、定期的に無性に食べたくなる者にとっては、Iさんのお店が砂漠のオアシスのように思えてきます。

○ Iさんのやっているお店は、台湾のレストランとしては、少し高めですが、おしゃれな雰囲気で美味しいイタリア料理が食べられます。日本人のお客も多いですが、少しスノッブでエグゼな台湾の若い客の姿も目立ちます。場所も大安路と安和路で、日本人ビジネスマンというよりも、台湾のおしゃれな人が歩く通りにあります。東京でいうと、麻布十番とか恵比寿のようなところです。

○ 自分で商売をしようとする元気な日本人女性が増えているように思うと僕が話すと、日本の女の人で脱OLして台湾で働きたいとかという人があれば、相談にのりますよとおっしゃっていました。取りあえず、そういう方は、このホームページのemailに連絡ください。僕がIさんにつなぎます。

○ ところで、この話をしているときに脱線して聞いたのですが、最近、日本の若者で、生活費の安いアジアの国々において殆どホームレス状態で暮らしている人が増えているそうです。(さすがにそういう人が相談に来てもらっても困るとIさんは、おっしゃっていました。)台湾でも、そういう日本人が30人くらいもたむろしている寮があって、所持金3万円程、宿泊費月7千円くらいで、何ヶ月も暮らしているそうです。相部屋の寮では、3段ベッドで自分の布団のある所だけが自分の空間で、そこでうずくまるように暮らしているようです。聞いた限りでは、人生の一時期にそういう時期があってもいいかもしれないと僕などは思いますが、実際に彼らがどういう風に暮らしているのかによるでしょう。

○ それでは、Iさんの経営する二つのお店の紹介を入れておきます。
MOGA:
台北市大安区安和路二段50号 02-2704-9646
日本の洋食メニューが中心のランチ(12:00-14:00)がNTD299(約1,000円)
パスタセット:NTD580、ステーキセット:NTD780
営業時間 10:00-23:00 15:00頃でも食事可、ラストオーダー10:30
     遅くなるときは電話すればAM1時まで延長可
パーティで盛り上がる自慢のオートスコアダーツが3台あり。
 
CIBO(会員制、完全予約制):
台北市大安区大安路一段101巷4号 02-2771-1255
営業時間 11:30 − 22:30 (17:00−17:30は、準備時間)


7月11日
日本の選挙
○ 参議院選挙のテレビをみていて、ある小学生から素朴な質問を受けました。こういう素朴な質問に簡単に答えられないのが日本の政治の問題だと思います。

○ 分かりにくい制度
(テレビをみて)「この二つの棒グラフは何?」らくちん「比例区と選挙区だよ」
「その違いは何?」らくちん「うーーんと、○X△しのごのしのごの!”#$%&。分かりにくいよね。」
「この上の方に書いてある参議院て何?」らくちん「国会には衆議院と参議院があるんだよ。今回の選挙は、参議院。」
「違いは何?」らくちん「うーーんと。*+{`|~=}?!。分かりにくいよね。」
「衆議院にも比例区と選挙区があるの?」らくちん「似たような仕組みがあるね。」
「じゃ、参議院と衆議院とどこが違うの?」らくちん「似てるねえ...」
*日本の参議院と衆議院の選挙制度を正確に説明できるのは、有権者の何%いるだろう。世界でも類を見ないほど複雑な選挙制度だろう。

○ 衆議院と参議院
「なら、どうして二つあるの?」らくちん「二つもいらないかなあ。一応、任期と人数が違うし、衆議院には、解散があるからね。違った役割があるんだよ。」
「人数は?」らくちん(調べて)「参議院が252人。衆議院が480人。」
「ひぇー!!!衆議院って多いねえ。小学校全校生徒ぐらいいるね。」らくちん「多いねえ。こうしてみると、たしかに多いねえ。」
「朝のドラマ(「天花」)でも、おじさんたち、リストラ、リストラって大変なのにね。」
らくちん「本当だよね。なんか腹立ってきたね。もめてるばっかりで、働きが悪いんだよ。やった仕事からいうと、合計半分の人数でいいよね。ぶつぶつぶつ」
(「おじさんたち、・・・」から後の一対の対話は、らくちんの創作です。)

○ 分かりにくい政党
(政党別の獲得議席数を見て)「この少ない数字は、なに?」らくちん「小さい政党だよ」
「公明党ってなに?」「宗教組織との関係が強い政党でね。たくさんの人の支持は、得にくいね。」
「共産党ってなに?」「共産主義って、昔、世界中で流行った考え方の政党だけどね。今は、あんまり、人気がないね。」
「社民党ってなに?」「絶対戦争は嫌いっていう政党だよ。自衛隊が海外に行ったりするのに真っ先に反対するよ。」
「でも、さすがに自衛隊も持つなとは言わないよね。」「昔は、そう言ってたんだけどね。不思議な議論だったよね。ぶつぶつぶつ」

ここまでは、それはそれで説明が出来る。問題は、これからである。
「民主党ってなに?」「いろんな政党がくっついてできたからね。いろんな人がいるね。」
「ずっと言い続けてきたことってなに?」「うーーん。あまり無いねえ。まあ、自民党もずっと言い続けてきた意見なんてないからねえ。」
*自民党が民主党を攻撃するのにこの「民主党ってなに?」というコピーは、使えないだろうか。

○ あっさり
「いつ決まるの?」「夜中には、分かるよ。明日の朝には、すっきりしているよ。」
「あっさりしているね。台湾は、大変だったのにね。」「うーーん」
*台湾は、台湾であれほどもめるとちょっと怖いものがあったけれども、日本のは、ちょっとあっさりしすぎているという気もする。

○ 今一番の議論になっている年金問題は、今小学生である彼らの世代が最も影響を受ける。この世代に、我々の世代は、ちゃんと説明できる方法で選挙をし、議会を構成し、議論をし、真剣に決めているのだろうかと自分の胸に手をあてて思うと、ちょっと恐ろしい。

○それでは、今日のお話はこれでおしまい。おやすみなさい。
(らくちんは、出張の為、15日までおそらく更新できません。)


7月8日
上海の偽物
○ 上海で偽物を買った知り合いのKさんに聞いた話です。フィクションも混じっています。

○ Kさんは、友人のXさん(日本人)と上海の偽物市に行きました。Xさんが、台湾人の知り合いに教えてもらった店に行きました。尚、1RMB=13円くらいです。

○ Kさんは、時計を5個選びました。Vacheron Constantin 自動巻きスケルトン、Vacheron Constantin クオーツ、Longines、各一個。Omega 2個。合計5個です。交渉に入ってすぐ、だみ声の女老板(社長)は、全部で2500RMB(約32千円。一個6200円くらい)には言ってくれました。後で聞いたのですが、大体の日本人は、これくらいの値段で買うものだそうです。

○ ところが、Xさんは、以前、知り合いの台湾人とその店に行っており、その時の交渉をみています。Xさんは、Kさんを助けるために、女老板(社長)に「僕の顔覚えている?あの台湾の女性と来た。」というと、「知っている。知っている。」といやそうにいいました。そういったとたん、女老板は、1300を電卓で叩いて示しました。そりゃそうでしょう。以前、その台湾人が交渉したときは、結局、時計一個RMB100くらいになったそうです。とはいえ、台湾人の顔を思い出させただけで、半分に下がるのもすごいものです。

○ その後、この雨の中来たのにとか、友達を連れてきた俺の面子をたててよとか、帰るとか帰らないとか、色々言って、結局、時計五個合計RMB800で買ってきました。ついでに、プラダのカバンの偽物を一個RMB100(1300円)で買いました。また、お土産用に、モンブランのボ−ルペンの偽物を一個RMB4(50円)で25個買いました。Xさんによると、台湾人の知り合いは、まだその値段の3割引きくらいまで交渉していたそうです。因みに、台湾で偽物を買うと、時計は5000円以上、カバンは、7千円くらいは平気でします。

○ 煎じ詰めれば、中国での厳しい交渉も、台湾人の直接の協力を得ると、日本人だけでするよりも、4分の1で買えます。間接的に協力してもらうだけでも3分の1で買えます。まあ、そんなものが相場でしょう。

○ その後、もって帰ったOMEGAの一個は、4時のところを示す部品が一個とれて時計の中をコロコロ転がっていました。これもまた、まあそんなものでしょう。

○ 以上、Kさんから聞いた話でした。


7月7日
バランス投票 2/2
● 昨日(ココ)は、民主主義社会の選挙でバランス投票が見られることを述べた。イデオロギー的対立(おお、懐かしい言葉!)が消え去っていく中で、世論調査とメディア報道が発達し、バランス投票が大きな役割を果たすようになってきた。今日は、そのバランス投票の特徴について、述べてみたい。未整理で、区切りが不明確な数珠繋ぎの議論になることをご容赦願いたい。

● 「政治的関心の強い無党派層」の存在
無党派層というと、政治的無関心であるかの印象もあるが、こういう微妙なバランス投票をする人は、政治に知識も関心もある。投票前の世論調査結果の推移を熟知しており、その後の世論の風を感じ取りながらバランスが取れるように投票している訳で、無関心どころか、政治的センスの鋭い人たちともいえる。そうでありながら、無党派なのである。

○ または、無党派でなくある政党の支持者であっても、支持の程度は弱く、大抵の選挙では棄権し、政治的必要性を感じた時だけ一定の支持政党に投票する人たちである。こうなると、「政治的関心の強い棄権票」という興味深い層がいることになる。極端な例だが、実際、台湾の先の住民投票では、多くの「政治的関心の強い人の意図的な棄権票」がでている。

● 大勝を阻止するバランス投票
無党派層とは、そもそも移り気でブームを起こす主体なので、結果的に大勝した陣営に無党派の人が投票していたことになりがちだった。「皆が投票する人に自分も投票する」となると、いわゆる「風が吹いた」状態となる。無党派層を大量に取り込んだ一方の陣営が大勝することは今後もしばしばおこるだろう。しかし、最近、時にバランスを取るべく動く無党派層がでてきた。大勝すると思っていた方が意外に苦戦したので後から調べると、無党派層がバランスを取るべく劣性の方に投票していた。ということが起こっているようにみえる。

○ 例えば台湾では、「棄保」という選挙行動が一般的にみられる。これは、自分の支持候補が選挙前の世論調査で三番目から抜け出せず当選の可能性がほぼないと有権者が確信すると、自分の意見に比較的近い二位の候補に投票する行動である。結局、二位の候補が三位の候補の票も取り込んで、投票日直前に一位の人に追いつき接線に持ち込んだり、時に逆転したりする。これなども大勝を阻止する行動の変種の一つだろう。最近の日本の世論調査では、自民、民主に次ぐ政党の支持が落ちてきているそうである。これは、台湾の「棄保」と共通しているようにみえる。

● バランス投票の重要性の増加
世論調査の結果をみながらバランスを取るべく行動していた人は、これまでもいた。基本となる支持者の数が均衡しているまれな場合に、そういうバランス投票が効果を発揮する、いわば脇役的存在であった。しかし、現代では、バランス投票が構造的に主役の位置を占め始めているようにみえる。

○ 前回の台湾の総統選挙では、与野党の支持者で鋭く対立したが、政党支持に係わらず、どちらかの陣営が大勝するのだけはいやだという人が大半だったように思われる。「与党支持者だけれども、与党が大勝して独立路線を突っ走るのはいやだ。」とか、「野党支持者だけれども、野党が大勝し、調子に乗って統一への布石を打ってしまうのは勘弁。」という人を合計すると、有権者の大多数になった。「中台関係の現状維持」を望んでいる、有権者の80%の人が、一方の陣営の大勝を避けようとした。つまり、台湾は、政党支持では鋭く対立し社会が分断したように見えたが、現状維持という点では、実に世論が統合されていたことになる。

○ そういう状況だと、大多数の有権者がどちらかの陣営の大勝を避けようとするので、投票日が近づいてくると、「支持未決定」の人が、勢力が均衡するように弱そうな陣営に多く流れていく。そうすると、投票日が近づく程、両勢力がますます均衡し、且つ、無党派層/未決定層が少なくなる。その結果、その最後の少数の未決定層が、キャステングボートを握ることになる。つまり、従来の強い政党支持者の多少が打ち消されてしまい、最後まで世論の動向を見極めていた少数の人が、投票日にどうでるかが、勝負の分かれ目になる。この態度を保留している少数の人の一票の価値のなんと重いことだろう。このように、現代では、政党支持や政策の嗜好よりも、選挙結果の政治的バランスを意識した「バランス投票」がますます決定的役割を果たしているようにみえる。

● 世論が一つの統合された意思を持っているかのような巧妙な選挙結果
台湾でも、日本でも、アメリカでも、最近の選挙で感心するのは、まるで誰かが指揮して施政者にメッセージを伝えようとしているかのような選挙結果の巧妙さである。台湾において、同日に行われたにも係わらず、住民投票では与党の提案が否決され、総統選挙では与党が僅差で勝利した。これは、上記のように、多くの無党派層がバランスを取るべく動き競争がどんどん均衡していった結果、最後に少数残った政治意識の強い人の選択が、明確に反映しているからかもしれない。全体の総指揮を誰も取っていないのに、政治的センスもあってバランス感覚にたけている少数の人の巧妙な意思が、選挙結果に正確に反映しているかのようである。

● バランス投票は、現状維持的に動くか
バランス投票は、結局、穏便な社会を望む状況になると、一方の政治勢力が大勝し大きな変化をおこすことを世論が避けようとして働くことが多そうである。民主主義社会の世論は、どんなに政治が好調であったとしても、それに与党が調子に乗ってしまうのを嫌う。アメリカでもイギリスでも、戦争に勝利した後、戦争をリードした与党がドラマティックに敗北してきた。台湾でも、大多数の有権者が穏便な現状維持を支持していたからこそバランス投票が絶妙に働いたといえる。現状に大きく不満でなければ、与党を負けさせる必要がないとしても、大勝をさせないようにする。

● ここまで読んでいただいた読者には、申し訳ないが、上記のようなバランス投票に対する考察は、今度の日本の選挙でどの政党が勝つかの予測には、あまり役に立たないかもしれない。日本の場合は、バランス投票が働く状況にあるか、どう働くかなかなか判じ難いからである。小泉ブームを支えたのは、日本社会の不調を背景に、リーダーが大きな力をもって動くこと−それは、田中政治の破壊でしかないが−を期待した世論であった。それが、小泉総理に予想以上の大勝を続けさせた。

○ しかし、日本社会に復活の兆しがやや見えた中で、今後は、穏便な変化を望む人々は、大勝をさけるバランス投票に傾斜するのかもしれない。さて、今の日本が危機的状況を脱し始めたとみるかどうか、小泉首相が急進的改革者か現状維持者とみるかとなると、大多数の有権者は、はっきりと決めかねているのではないだろうか。また、一つのポストを狙って過半数の得票を競う大統領選とちがって、多くの議席を巡る議会選挙でしかもその半数の改選となると、バランスの均衡点が51議席なのか、40議席そこそこなのか、分かりにくいのも確かである。世論がこのような点をどう認識しているかにより、バランス投票が機能するかどうか、ひいては、選挙結果にどう影響するか決まってきそうである。

○ 役に立たぬ予測だと承知で述べるなら、「有権者の巧妙なバランス感覚を示した結果」にはなりそうだと思っているがどうだろう。どちらが勝つかという予測には、余り役立たないが、ただ、このような視点でみると後講釈が面白いのではないかと思っているだけである。

● ところで、日本の参議院選挙の結果というのは、つまるところ、「マイナス菅プラス岡田」vs. 「マイナス福田プラス細田」の願いましてはのイメージの収支比較ではないだろうか。こむつかしいことを言っても所詮、現実なんざそんなものなのかもしれない。


7月6日 
バランス投票 1/2
○ 実話だが、僕の住んでいる地域に5月末頃大きなスーパーができた。なんと、これまで二階にあった大きなスーパーの同じ建物の地下一階に競合してできたのである。新しいスーパーは、きれいで品数も多く、日本の食材も豊富だ。たちまちのうちに古いスーパーがすたれるかと思いきや、開店から一ヶ月経って未だに古いスーパーにもかなりの客が来ている。同じ地域に住む知り合いに聞くと、「5回に2回は、意識して古いほうに行くようにしている。古い方がつぶれて競争がなくなるといやだからね。みんなそう言っているよ。」と。

○ 日本では、参議院選挙だそうだ。そこでも、小泉総理を好きか嫌いかや、民主党の政策の是非ではなくて、「民主党政権は避けたいし、小泉首相続投でもいいけれども、このまま小泉さんに図に乗らせるのもいやだ。」とか、逆に「民主党には好感をもてるが、参議院で余りに力をつけて、毎度国会が空転するのもいやだ。」とか、そういうバランスを維持しようとする意思、即ちバランス感覚に基づく行動が増えており、しかも、それが決定的役割を果たすのではないだろうか。

○ 日本でも、アメリカでも、台湾でも、最近の民主主義社会の選挙では、世論調査とメディアの報道が充実しているので、有権者にとって選挙の結果が予測しやすくなっている。精度の高い最終世論調査結果とその後の世論の動きを伝える大量の報道により、かなりの有権者が勢力の強弱を肌で感じ取ることができ、選挙直前に結果がどうなりそうか分かりやすくなっている。その予測に応じて、バランス感覚で投票行動を変える人が多くなっている。その結果、重要な選挙での僅差の接戦が増えているようにみえる。アメリカの大統領選が歴史的な接戦となり、台湾の総統選がギネスものの僅差(0.228%)になったりしているのは、実は、単なる偶然ではないのかもしれない。

○ 台湾の総統選の後に、「弱い野党(連戦)支持者」と自称する人に聞いた話である。選挙前は、両陣営とも気にいらなくて棄権しようと思っていた。総統選挙前日に陳水扁銃撃事件があったと聞いても、まだ棄権するつもりだった。しかし、知り合いの「弱い与党(陳水扁)支持者」が、銃撃事件を聞いて「銃撃事件によって陳水扁が負けるのは、まずい。棄権するつもりだったけれども、(与党に)投票をするために里帰りする。」と言っていた。それを聞いて、こんな人がたくさんいるとこれは選挙結果がおかしくなると思い、自分も急遽棄権をとりやめ、里帰りして野党に投票した。とのことである。

○ これなどは、バランス投票の応酬で、典型例なのだと思う。有権者が自分自身の政策の好み、政党の好みにより投票するなら、他の人がどこに投票しようが、自分の投票行動に変わりはないはずである。しかし、現代の投票は、他の人や世論がどっちに動いているかを見極めながら、バランスを取る方向に自分の投票行動を決めている人が増えているようである。これが僕の言うバランス投票である。

○ この種の投票行動は、次のような興味深い特徴があると思われる。

(ここから先は、また明日。御免!)


7月5日
豪雨
○ 台風7号が7月2日に台湾南部を通過した影響で、台中や東部などで大災害が起こっている。18人が死亡、12人が不明。農業への被害は、100億円を超えるといわれている。

○ 洪水がすごい。テレビでは、水没して川のようになった道路に自動車がプカプカ浮いている映像が、次々とでてくる。浸水した家屋は、まさに泥まみれで、一階にある家財道具は、殆ど全て捨てざるをえないようだ。それらの泥まみれの廃棄物をみんな家の前の道路に投げ出すものだから、道路がゴミ廃棄場状態である。

○ 台北、新竹などの北部は、それほどの雨でもなかったのでほとんど被害がなく、僕の周辺の人々は、みんなテレビをみて驚いている。

○ ところで、南部では、今回の豪雨で見事に解消したが、深刻な水不足に悩んでいた。水不足の翌日に洪水と聞くと、不謹慎ながら、なんだか底が浅いなあ、と思わなくもない。

○ まてまて、自分も同じような底の浅い言動を日々なしている気がしてきぞ。


7月3日
hakunamatataさん
● お懐かしい。昔、楽しいHPをやっておられたhakunamatataさんから久しぶりにmailをいただきました。この方は、自称「通貨オタク」の国際金融の専門家ですが、今は、忙しくて、HPをできそうもないとのことでした。6月7日8日の僕のエッセイについて、hakunamatataさんから質問を頂きましたので、僕なりの答えと共に、ここにあげさせてください。

● 質問1)
6月8日の記事で、液晶テレビについて、アナログでリードする日本、デジタルで追いかける米欧・台湾という対比をされていましたが、韓国企業はどういう位置付けなのでしょうか。サムソン製の液晶テレビは、日本企業のものに近い高い評価を受けているとも聞きますし。

○ 答え)
さて、ご質問の件ですが、家電製品一般でいうと、韓国企業は、日本以外の市場では、ほとんど日本ブランドと変わらない評価を受けているようです。サムソンは、確かブラウン管テレビでも欧米市場でやっていたかと思います。液晶テレビでは、ソニーの「ベガ」にあたるような「DNle」なる独自のテレビ用IC(エンジン)を持っており、私がHPで言っていたアナログ部分も相当強いようです。

○ サムソンの液晶パネルの品質は、台湾勢よりもよく、Sharpなどのトップ1,2社以外の日本メーカーと同じかそれ以上の品質です。また、サムソンの液晶テレビは、サムソンの液晶パネルだけでなく、日本のメーカーの液晶パネルを使っています。このあたり、合従連衡の激しい業界の象徴です。従って、液晶パネルの品質は、全く遜色ないと思います。

○ 因みに、半導体の分野では、サムソンは、日本メーカーよりほとんど格上に見られています。日本の半導体製造装置を台湾の半導体メーカーに売り込むのに、「日本メーカーに実績があります。」というより、「サムソンに実績があります。」と言う方が売りやすい場面も増えてきたようです。

○ 結局、ブランド力のみならず実力も、日本企業と変わらないと思われます。これは台湾勢と異なり、苦労して自社ブランドで欧米の市場で家電を売っていた蓄積がものをいっていると思われます。日本市場だけは、ブランド力がないのと、微妙な色具合について日本メーカーの方が日本の消費者の好みにあっており、なかなか伸びないようです。

● 質問2)
それから、日本の電気店で液晶テレビを見ると、20インチまでは12万円程度で買えるものが、23インチになるといきなり30万円くらいに価格がジャンプするのは何故だろう、と素朴な疑問をずっと持っているのですが、何か理由があるのでしょうか。一枚の液晶パネルから無駄なく取れる枚数の問題かな、と漠然と思っているのですが・・・。

○ 答え)
ご指摘のように、取れ数の問題のようです。一般的に、20”は4:3で、22”以上は16:9(Wide)です。例えば、第5世代(*)のLCD生産設備で20”は9枚とり、23”Wideは6枚取りとなります(ちなみに27”も6枚とり)。パネルの市場での価格は、20”で$420、23”が$600-650、27”が$750という感じでやはり20”と23”で大きく差があります。また、パネル価格の問題とともにWideになるとTV製品として高く売れる、という事情もあるようです。

(*) 液晶パネルの製造では、製造工程で使う一枚の液晶パネルの大きさを、設備更新の度に大きくしてきました。現在は、第5世代と言われています。

○ このあたり、実は、私も近い業界にはいますが直接タッチしておらず、人からつい先日聞いた話を100年前から知っていたかのように話しています。いい勉強になりました。

● Hakunamatataさん、今度日本に出張した際には、是非、お会いしたいものです。こんなに馴れ馴れしく100年前からの知己のようにHPで紹介していますが、実は、お会いしたことがないのです。HPの縁というのは、ありがたくも、不思議なものです。

ところで、7月1日分でプロブと書きましたが、ブログの間違いです。お恥ずかしい限りです。既に勝手に修正しています。


7月1日
ネタサイトとプログ
○ Starpriceさんという方からmailをいただきました。僕が毎日読むのを楽しみにしているサイトの管理人さんと既に御知り合いのようで、驚きました。因みに、勝手にあげさせていただきますと、かんべいさん(溜池通信)、伊藤さん(YCASTER )、梅本さんです。このサイトでも、これらのサイトをネタでしばしば使わせてもらっていますが、実は、僕が会ってお話をしたことがあるのは、かんべいさんだけです。そうですか、僕にとってアイドル的存在の方々の御知り合いからmailを頂いたようではしゃいでしまいます。

○ Starprinceさんは、内外債券外国為替の専門家とのことで、5月からプログをされているようなので、ここでもご紹介します。
Star Prince JUGEM:http://starprince.jugem.cc

○ 未だご存じない方に説明すれば、プログというのは、普通のWEBブラウサーで見られるのですが、ホームページより管理が簡単で、読者の書き込みもしやすく、他のプログとのリンクが取りやすくできているものです。例として、上のStar Prince JUGEMもみていただけたらと思います。簡単に個人で情報発信ができ、プログ同士の連携がとりやすいのでたちまちのうちにネット上で大きな世論を形成することもあります。アメリカ大統領選挙でも威力を発揮しています。

○ 最近、時々、「台湾つれづれ」もプログにしないのかと聞かれることがあります。僕の場合、しがない営業サラリーマンの身で、余暇時間を使ってホームページをやっており、ファイルの更新もエッセイの執筆も、ホームページに関することを出来る時間は、限られています。また、出張などで、ホームページの管理どころか見ることすらできないこともあります。従って、掲示板やプログをやって、万一、モラルに反し第三者を傷つけるような書き込みをされたときに、十分に管理できる自信がないのです。それで、まだプログへの転換をする勇気をもてずにいます。なんとなく、いつか将来、日本に帰ってこのホームページを続けられるなら、そのときにプログへの転換をすべきかどうかもう一度考えるんだろうなあと思っています。


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