台湾日記  2003年3月〜
  
(台湾日記 バックナンバー 2001年6月〜2003年2月) 

3月24日
イラク戦争
● 色々思うことをバラバラ書いて見ます。

● 他策無かりしか
○ 22日の朝日新聞によると小泉首相の支持率が42%、不支持率45%だそうだ。前回の二月調査の時点で、支持44%、不支持40%というのだから、支持率は、2%しか落ちていない。朝日新聞は、支持、不支持が逆転したことを強調している。しかし、僕にとっては、開戦前後で、たった2%しか支持率が落ちなかったことの方が驚きである。この数字は、今の日本政府のイラク戦争への対応を、多くの人が「いやだけれども、やむをえない」と思っていることを示しているように見える。

○ 色々批判はあるが、振り返って見るとこれまでの日本の対応は、他に良い方策があったとは思えず、誉められたものでもないが、結果的にまずいものではなかったと思う。

○ 「結論は、受け入れられるが、説明不足」という批判が、まだ一番痛いところをついている。しかし、アメリカ政府が国際政治でどういう駆け引きをするか分からない中で、とにかくアメリカ支持を前提するなら、選択肢をしばるような理由付けの説明は、できなくなる。日米同盟を念仏のように、ある意味で馬鹿みたいに唱え続けた小泉首相の説明は、仕方がなかったのではないかと思う。

○ また、フランスのように「支持するからには、軍隊を派遣して協力するが、今回は反対だ。」というなら、少しは意味があるかもしれないが、支持したところで武力行使をするつもりがないのだから、反対しても余り意味がないだろう。

○ かといって、例えば、国会が全会一致で、「戦争賛成」を決議するような状況も薄気味悪い。僕は、そんな国に住みたくもないし、税金も払いたくない。結局、今の日本政府の対応が、ちょっと情けない感は否めないが、他に良い方策もなかったと思われる。

● 海外生活者のリアリズム
○ 一ヶ月前には、「本当に戦争はあるの?」と言う人が意外に多かった。(そのうち多くの人が、今は、「やっぱりな」といっているのも面白い)僕の印象では、同じ日本人でも、海外で暮らしたり出張によくでたりしている人の方が、「よかれあしかれ、戦争不可避」と言っている人の比率が高かったように思う。

○ それは、何も「国際感覚が優れている」とかそういう高尚なこととも違うと思う。端的に言ってしまえば、海外にいるときに銃を突きつけられて金を出せといわれれば(いわゆる「ホールドアップ」)、とにかく抵抗せずに素直に金を出すのが鉄則である。海外でホールドアップにあっているのに、説教をしたり、相手の違法性を非難したりするのは、正義漢でもなんでもなくて、ただの阿呆である。このあたりの現実感覚が、日本にずっといるのと違ってくるのかもしれない。

○ 閑話休題。そういう僕も、小学校6年生の時には、隣の市で不良グループに金をくれとせびられたにもかかわらず、それ拒み、6人がかりでボカボカに殴られたことがある。(ふむ今思うとあれは、土井たか子の選挙区でなかったか。結局、払わなかったけれどね。へへへ。)また、海外にいてタクシーにぼられそうになったら、ドライバーの様子をみながらも、色々と非難してねばる気構えを持つことも大切である。これも別の意味で、海外暮らしのリアリズムだ。

○ 政府は、直接的に北朝鮮を論理的な説明に使っていない。僕も北朝鮮の問題が、直接的に世論の米国支持につながったとは、思わない。しかし、拉致問題は、日本人に身の安全に対するリアリズムを呼び覚ました点で、間接的ながら、決定的に影響を与えたと思う。それが、いいことかどうか、ましてや、幸せなことかどうかは、別問題だが。

● 日本の朝廷と国連
○ のんきなコメントを許してもらいたい。今の国連は、丁度、日本の歴史における朝廷の役割に似ている点があると興味を持って見ている。秀吉などの時の実力者が朝廷に対する態度は、アメリカが国連に対する態度に一部似ているようにもみえる。

○ 日本の天皇家は、世界最長といわれる程、権威を保ち続けているが、その殆どの期間は、最終的な政治的意思決定能力を持っていなかった。逆にいうと、だからこそ、こんなに長続きしたともいえる。時の権力者にお墨付きを与えていく中で、ほんの稀に、実質的実力者に逆らってみたり、かと思うと、また、従ってみたり。そうして、長続きし、日本の歴史に一定の役割を果たしてきた。更に、数百年に一度、明治維新のように果敢に決定的役割を果たしている。僕は、天皇制については、日本が歴史的にもち得た数百年に一度使う貴重な政治的資源として、維持されるといいと思っている。(天皇と皇族に対する人権侵害の問題を除けばだが)

○ 今回の件で国連の権威が落ちたという意見もあるが、そもそも、国連は、この程度の機能だったので、それほど、悲嘆にくれるほどでもない。また、国連の議論は、非生産的で、お公家様の議論を彷彿させなくもないが、それも暴力的なものであるよりましだ。国連に対する敬意を維持しつつ、その実効性には、余り期待しないのが、大切なのだと思う。

● 中世的戦争
最近のアメリカの最新兵器による戦争は、アメリカ軍のみならず、敵国の国民の被害も最小限にしている。20世紀の2度の世界大戦を見た後では、今後の戦争は、否応も無く非戦闘員を巻き込まざるを得ず、国民戦争になるとされてきた。しかし、今回のイラク戦争などは、戦闘員同士の戦争が行われた中世の戦争に、近づいているようにさえ見える。アメリカでは、プロ野球のオープン戦を行い、イラクでは、アメリカ軍の戦車の横をらくだの隊列がのんびり進んでいる。もちろん、まだまだ、イラクの非戦闘員の被害は甚大だろうが、兵器の高度化により、国民の戦争から、再びリーダー同士、戦闘員同士の戦争の色彩が濃くなるのかもしれない。

● スネークマンショー
○ 1980年代に、DJの小林克也などが、スネークマンショーというとってもハイセンスなトークショーをやっていた。高校生だった僕は、友達と聞きながら、腹をかかえて笑ったものだ。

○ そのなかで、タイトルは、忘れたが、戦場の実況報告というのがあった。戦争で死んでいく兵士にマスメディアの取材班が、「痛いですかああ」と聞くのである。20年も前のその頃には、なんともわさびの効いた設定だと思って感心していた。それが、今、現実の世界で行われている。あれは、なんともおそろしい企画であった。いや待て、というより、それが実現してしまっている今の世が、おそろしい世界だというべきだろう。


3月19日
希望と事実
○ 残念ながら、戦争が始まってしまいそうだ。僕は、2月15日「戦争」(ココ)にも書いたように、戦争は、不可避だと思っていた。今、大切なのは、戦争を嫌う気持ちと、戦争という事実を冷静に見つめる目との両方を自分の中にしっかり維持していくことだと思っている。

○ 実際、今読み返しても、2月15日「戦争」は、我ながら、相当正確に書けていると思う。丁度、フランスとドイツがアメリカに異を唱えて盛り上がっていた頃だったので、少数意見かもしれないと思って書いたことを覚えている。手前味噌だが、中間的な見直しとして振り返ってみたい。

○ この「戦争」という文では、戦争が不可避であることを明確に表現している。
「では、フセインは、開戦を止められることは、できないだろうか。できない。フセインは、現時点で何をしても開戦を止められない。」
かなり角張った表現だったせいか、多くの人から「本当?」というemailやコメントを頂いた。しかし、この通りであった。

○ また、戦争の時期は3月であるとしつつ、「今回の戦争の目的は、「フセインを政治から排除する。」ということではっきりしているようだ。」とも書いている。その後、「武装解除」とか「大量破壊兵器の破棄」とかが目的であるかのような報道もあったが、そんな言葉は、間接的で曖昧だったいえるだろう。今回、ブッシュが、「48時間以内のサダム・フセインの亡命」を要求したことで、僕が書いたように「フセインを政治から排除する。」ことが目的であることが明確になったと思う。

 「ところで、原材料の商品市況の方はというと、開戦し、最初の弾がドンと一発発射されると、終戦を見越して相場が崩れると言われている。」
とまあ、こんな余分な話まで、当たっちゃいそうである。

○ つまり、開戦の可能性、時期、目的、波及効果の一部等について、ほぼ正確に書けている。これは、今になってみれば、「みんなそう思っていた」と考えるかもしれないが、その時点、特にフランスとドイツが反対を表明した直後では、なかなかそのまま信ずる人もなく、書くのに勇気のいる文であった。

○ 更にいえば、僕が「戦争は不可避」と書くと、僕が戦争を希望しているかのように思う人が多いのには、戸惑い、且つ、あきれ、且つ、つらいものだった。「不可避と認識した」からといって、「希望する」訳ではない。同じ理屈で、一部の空想的平和主義者のように「避けたい」と思うからといって、「起こらない」と言い張るのも間違っている。この「希望」と「事実認識」を分けて考える癖をつけておかないと大変な間違いを犯してしまう。

○ フランスのシラクだって、「不可避」と知りつつ半ば「ダメモト」でやっていたのではないかと僕は思っている。シラクがどうだか、僕は知らないが、一般的に言って、欧米のエリートは、戦略論や安全保障論の基礎を教養として身に付けていることが多い。シラクも見えていながら踏み込んだ可能性が高いと思う。とすれば、いつも戦争よりも戦後処理で上手く立ち回ってきたフランスが、今度の戦後に「踊る会議」ができるかどうかが、ポイントだろう。

○ ところで、フランスについては、とうとう、フレンチフライにまで来てしまった。シラク憎けりゃ、イモまで憎い?
今年末に一年を振り返った時に次の様にいわれないだろうか。

ブッシュの選挙参謀は、イラクとの戦争で二つのものを得、一つのものを失った。
得た一つのものは、イラク戦争の勝利。
失った一つのものが、国民を団結させる敵。
得たもう一つのものが、国民を団結させる新しい敵。 

まあ、フランスだから、これが冗談になりうるのだろうが。


3月16日
前回、紹介した台湾ビジネスFQA(よくある質問)の答えです。

[中級編]
第十一問:日本は、1945年の第二次大戦終戦まで、台湾を統治していました。では、日本の台湾統治が始まったのはいつ?
@ 1895年 日清戦争終了の年
A 1910年 韓国併合と同時
B 1931年 満州事変勃発の年
C 1941年 日米開戦の年(真珠湾攻撃の年)


答え:@、台湾に住んでいる日本人でも結構知らない人がいるのではないでしょうか。
それにしても、同じ時代の日本が統治したにも関わらず、台湾と韓国でこんなに対日感情が対照的なのは、どうしてだろうと考え込んでしまいます。

第十二問:この政治家は、第二次大戦中、中国大陸で一時大勢力をなして日本軍と戦い、第二次大戦後は、毛沢東率いる共産党と戦って破れ、台湾に逃げてきました。台湾の歴史を決定付けたこの政治家は、誰?
@ 蒋介石 A 宋美麗 B 蒋経国 C ウーアルカイシ


答え:@
A 宋美麗は、蒋介石の奥さん。今もアメリカで生きています。西安事件では、蒋介石を共産党側から取り返す交渉にあたったりして、なかなかの人物のようです。B蒋経国は、蒋介石の息子で、李登輝の前の総統です。経済成長を実現した時代でもあり、本省人にも蒋経国に好感を持っている人が結構います。Cウーアルカイシは、天安門事件での学生側リーダーの一人です。

第十三問:台湾は、多言語社会なので、台北市の地下鉄では、多くの言語でアナウンスされます。ビンナン語(台湾語)、北京語、英語などと同時にアナウンスされている言葉は、どれ。
@ 関東語 A 関西弁 B 日本語 C 客家語


答え:C
台湾の来たことのない方で、正答を出来た方はすごいです。客家人は、台湾の全人口の10%程度います。ビンナン語、北京語、客家語は、方言の違い以上に全く異なる言語で、相互に全く理解不可能です。また、客家語にも、台湾の中に3種類くらいあり、なかなか相互に通じないそうです。A関西弁、台湾で聞きたい!聞かしておくんなはれ。

第十四問:台湾の面積は、おおよそ九州くらいです。では、台湾の人口は、次のどれ。
@  10万人 トンガと同じくらい 
A 450万人 シンガポールと同じくらい   
B 1000万人 ポルトガル、ギリシャ、ハンガリー、ベルギーと同じくらい
C 2200万人 イラク、北朝鮮、マレーシアと同じくらい 


答え:C
今、話題のイラク、北朝鮮と同じくらいというのは、考えさせられます。台湾の人口について詳しくは、ココ(「中位の台湾」02年10月12日)を見てください。

第十五問:中国から出てきた、客家(ハッカ)という少数民族の移民が、東アジア各国で活躍しています。20世紀後半に活躍した次の東アジアの政治家のうち、客家(ハッカ)でないのは、誰?(つまり、4人中3人が客家です。)
@ 中国のケ小平 
A シンガポールのリー・クワン・ユー 
B 台湾の李登輝
C マレーシアのマハティール


答え:C
客家(ハッカ)を東アジアのユダヤ人という人もいます。僕が思うに、これだけ各国の政治的リーダーになっていることからして、ヨーロッパにおけるユダヤ人よりは、土着化し、政治的にも認められていうように思います。

[IT編]
第十六問:台湾の外貨保有事情は、次のどれ。
@ 外貨獲得に苦労しており、海外での出稼ぎ、日本人観光客、外国の援助に頼っている。
A アジア通貨危機の時に、金融危機となり、IMFの支援を受けている。
B @、Aほどではないが、景気がよくなると輸入が増え外貨が不足する、「国際収支天井」を意識しつつ経済運営を行っている。
C 中国、日本と並んで、外貨保有高の多い世界トップ3の国として、知られている。


答え:C
とにかく、「先進国」と理解するのが、一番手っ取り早いと思います。アジア通貨危機でも、殆どうたれなかったアジアでも数少ない社会です。もともとが、金融よりも製造業が中心で、海外からの投資にあまり依存していなかったからと思われます。

第十七問
台湾のIT産業を語る時に、「新竹」の存在抜きに語れません。さて、「新竹」とは、次の内どれでしょう。
@ 会社名 A 地名 B 食品名 C 新喜劇の名前


答え:A
台湾のシリコンバレーと言われています。アメリカのシリコンバレーでも、半導体関係者は、まず、全員「新竹」の存在は、知っています。半導体産業にいるアメリカ人では、東京に行ったことはないが、新竹には行ったことがあるという人の方が多いのではないでしょうか。C 新喜劇の名前、そりゃ、松竹でんがなあ。新竹ちゃいまんがな。

第十八問
台湾の代表的なIT系企業で、パソコン以外の製品の開発、販売をしているACER系優良企業は、どれ。
@ ObaQ A BenQ B UltraQ C P&Q


答え:A
他の選択肢は、コメントのしようもありません。それにしても、この質問集、作者の歳がばれますね。

第十九問
世界最大のIC受託生産専門企業で、韓国、日本勢と互角の技術力をもつ台湾のICメーカーはどれ?
@ Ritek A Quanta B TSMC C Elpida


答え:B
@ Ritekは、世界NO.1のシェアを持つ、CD-Rメディアのメーカー。日本のTDKやマクセルにもOEM供給をしています。世界では、台湾が圧倒的で、日本メーカーは、上位20社にも入りません。A Quanta は、ノートブックパソコンのNo.1企業で、世界では、王様です。日本のソニー、富士通、NECも、Quantaに比べれば、日本という一地域のローカルベンダーに過ぎず、生産規模は、全く及びません。Cは、日本の半導体メーカー。

B TSMCについて。台湾の半導体メーカーに日本の半導体製造装置をセールスするときに、最近では、日本の半導体メーカーに納入実績があるというよりも、TSMCに納入実績があるといった方が、客にアピールするそうです。僕が15年ほ前に新竹に出張で来た頃からすると、隔世の感がします。

第二十問
台湾企業の中国への投資について、正しいのはどれ?
@ 中国、台湾ともに政府が禁止しており、一切行われていない。
A 中国、台湾ともに政府が厳しく禁止しているが、香港企業などから迂回投資をしている。
B 中国側企業との合弁は行われているが、100%台湾資本(独資)は、行われていない。
C 独資も含め、巨額の投資が行われており、日本企業と共同で出資して、中国に進出して成功するケースも多い。


答え:C
これも、実際にあった質問です。つい先日も、「台湾企業と組んで、大陸に投資なんかできるんですか。」と聞かれた中国担当の日本人ビジネスマンが本当におられました。日経ビジネスにもでておりましたが、台湾の「統一グループ」と組んで成功した日本の醤油メーカーなど、成功例は、枚挙にいとまがありません。台湾の企業は、実際には、様々な理由から、香港企業とか、ケイマン島籍の会社からの迂回出資が多いようです。


3月12日
台湾ビジネスFQA
○ 前回の「ブッシュさんの質問」(ココ)でご紹介した台湾に関するよくある初歩的な質問に続いて、今日は、台湾のビジネスに関する基本的なよくある質問(FQA)をまとめてみました。

○ 今回は、かなり難しいので、IT産業、それもハードウェアの関係者でなければ、分からない質問があっても気にしないでください。これを機会に台湾のことを知っていただけたらと思います。以前にも書きましたが、「台湾を知らずしてITを語るべからず」と僕は、思っています。しかし、現実には、台湾のことを全く知らずに、IT関係企業の戦略策定をしている人を見かけて愕然とします。例えば、エレクトロニクス製品を扱う部署の重要なポジションの人で、第17問の「新竹って..?」と聞かれた方が本当におられます。いかに日本のビジネスマン、特に戦略策定部署が、ビジネスの実体を知らず、マスメディアの情報と社内事情だけで、戦略策定を行っているかという典型例だと思います。そういうことにならないためにも、「台湾つれづれ」を熟読しましょう!

[中級編]
第十一問:日本は、1945年の第二次大戦終戦まで、台湾を統治していました。では、日本の台湾統治が始まったのはいつ?
@ 1895年 日清戦争終了の年
A 1910年 韓国併合と同時
B 1931年 満州事変勃発の年
C 1941年 日米開戦の年(真珠湾攻撃の年)

第十二問:この政治家は、第二次大戦中、中国大陸で一時大勢力をなして日本軍と戦い、第二次大戦後は、毛沢東率いる共産党と戦って破れ、台湾に逃げてきました。台湾の歴史を決定付けたこの政治家は、誰?
@ 蒋介石 A 宋美麗 B 蒋経国 C ウーアルカイシ

第十三問:台湾は、多言語社会なので、台北市の地下鉄では、多くの言語でアナウンスされます。ビンナン語(台湾語)、北京語、英語などと同時にアナウンスされている言葉は、どれ。
@ 関東語 A 関西弁 B 日本語 C 客家語

第十四問:台湾の面積は、おおよそ九州くらいです。では、台湾の人口は、次のどれ。
@  10万人 トンガと同じくらい 
A 450万人 シンガポールと同じくらい   
B 1000万人 ポルトガル、ギリシャ、ハンガリー、ベルギーと同じくらい
C 2200万人 イラク、北朝鮮、マレーシアと同じくらい 

第十五問:中国から出てきた、客家(ハッカ)という少数民族の移民が、東アジア各国で活躍しています。20世紀後半に活躍した次の東アジアの政治家のうち、客家(ハッカ)でないのは、誰?(つまり、4人中3人が客家です。)
@ 中国のケ小平 
A シンガポールのリー・クワン・ユー 
B 台湾の李登輝
C マレーシアのマハティール

[IT編]
第十六問:台湾の外貨保有事情は、次のどれ。
@ 外貨獲得に苦労しており、海外での出稼ぎ、日本人観光客、外国の援助に頼っている。
A アジア通貨危機の時に、金融危機となり、IMFの支援を受けている。
B @、Aほどではないが、景気がよくなると輸入が増え外貨が不足する、「国際収支天井」を意識しつつ経済運営を行っている。
C 中国、日本と並んで、外貨保有高の多い世界トップ3の国として、知られている。

第十七問
台湾のIT産業を語る時に、「新竹」の存在抜きに語れません。さて、「新竹」とは、次の内どれでしょう。
@ 会社名 A 地名 B 食品名 C 新喜劇の名前

第十八問
台湾の代表的なIT系企業で、パソコン以外の製品の開発、販売をしているACER系優良企業は、どれ。
@ ObaQ A BenQ B UltraQ C P&Q

第十九問
世界最大のIC受託生産専門企業で、韓国、日本勢と互角の技術力をもつ台湾のICメーカーはどれ?
@ Ritek A Quanta B TSMC C Elpida

第二十問
台湾企業の中国への投資について、正しいのはどれ?
@ 中国、台湾ともに政府が禁止しており、一切行われていない。
A 中国、台湾ともに政府が厳しく禁止しているが、香港企業などから迂回投資をしている。
B 中国側企業との合弁は行われているが、100%台湾資本(独資)は、行われていない。
C 独資も含め、巨額の投資が行われており、日本企業と共同で出資して、中国に進出して成功するケースも多い。


3月11日
ブッシュさんの質問の答え 
前回の「ブッシュさんの質問」(ココ)の質問の回答と解説です。台湾を知っている人には、退屈ですいません。でも、どの質問も、成人の日本人から受けたことのある質問です。まずは、「台湾を知ってください!」というのが、今回のメッセージです。そして、退屈してしまった人には、「一般的には、こんなレベルなのですから、台湾のことを広めてください!」というのが、切なる願いです。

第一問:台湾は、多人種社会ですが、法律で保護の対象となっている少数人種は、どれ?
@黒人 A原住民(高砂族) B 哈日族(ハーリー族) C オランダ系白人

答え A
400年ほど前に大陸から中国系の移民が来る前に台湾に住んでいた種々の部族です。原住民も9族以上あり、アミ族などが有名です。勇敢で、独自の文化を持っています。因みに、ブッシュ大統領は、「ブラジルに黒人がいるの?」と聞いたとそうです。B 哈日族(ハーリー族)は、日本文化大好きの台湾の若者のこと。また、台湾は、17世紀にオランダが支配していたことがあります。

第二問:台湾の現在の総統(大統領)は、誰?
@ 江沢民 A 郭泰源 B 李登輝 C 陳水扁

答え C
江沢民は、中華人民共和国前国家主席。郭泰源は、台湾でも活躍した元西武のピッチャー。李登輝は、台湾の前総統です。

第三問:アメリカの現職の大統領は、「ホワイトハウスはどんなところか」と聞かれて「白いよ」と答えたと言われています。では、台湾で「黒道」というと何のこと?
@ 黒い道 A 書道 B ヤクザ C 国道
答え B

第四問:台湾の首都は、どこ?
@ 台北 A 高雄 B 平壌 C 台場

答え @
Cは、東京で観覧車のあるところです。

第五問:日本人と台湾人の混血で、日本でも活躍する人気俳優、タレントは、誰。
@ 金城武 A 金正日 B 鄭成功 C 王銘
エン
答え @
「金 城武」と区切ると正解は、できません。B 鄭成功は、母が日本人で、17世紀に台湾を根拠に清に抵抗した明の遺臣です。C 王銘エンは、日本棋院で活躍する台湾出身の囲碁のプロ。現在、王座です。

第六問:台湾の大卒初任給(月給)に一番近いのは、次のどれ?(単位:日本円)
@ 1万円 A 3万円 B 10万円 C 30万円

答え B
詳しくは、台湾日記「給料」(02年7月14日、ココ)を見てください。

第七問:台湾で、1945年から2000年まで一党単独で政権を持ち続けていたのは、次のどの政党?
@ 国民党 A 民社党 B 共産党 C 民進党

答え @
A 民社党、懐かしいですね。戦後の日本の政党の一つです。「春日節!」と叫んだあなたは、かなりの歳です。C 民進党が現政権を担っている与党です。B 共産党!んな訳ないだろ!です。

第八問:日本と台湾(中華民国)との国交関係について正しいのはどれ?
@ 通常の国交がある。
A 第二次大戦時から、現在までずっと戦争状態にあり、国交がない上に、三通(通商、通航、通信)が厳しく規制されている。
B 1973年、日本が断交した後、ビザ発行などは、交流協会が行っており、人の往来、貿易額も非常に大きい。
C台湾は、日本の一部である。

答え B
三通(通商、通航、通信)が規制されているのは、台中間です。

第九問:次の品目のうち、最も台湾からの輸出額の大きいのは、どれ?
@ 台湾バナナ A ノートブックパソコン B ふかひれ C チャイナドレス

答え A
何度も繰り返しますが、現在の台湾は、ITハイテク製品の世界の工場です。日本メーカーなんて目じゃない分野もたくさんあります。世界のノートブックパソコンの生産に占める台湾のシェアは、約50%です。

第十問:台湾で1947年に起こった歴史的民衆弾圧事件は、次のどれ
@ 9.11事件 A 2.26事件 B 5.15事件 C 2.28事件
 
答え C
詳しくは、台湾日記「2・28事件」(03年2月28日、ココ)を見てください。@は、アメリカを襲ったテロ。AとBは、日本の戦前の事件です。


3月9日
ブッシュさんの質問 
○ 台湾の基本的なことを知ってもらおうと「ブッシュさんの質問」というのを考えました。選択肢を見ずに、全問正解し、且つ、選択肢を読んで笑っちゃったアナタ。「東アジア通」と威張っていいです。選択肢を見て全問正解のアナタ。これから、「ライスさん」と呼ばせていただきます。ブッシュさんの家庭教師が務まります。全部間違えたアナタ。罰として、これから「ブッシュさん」と呼ばせていただきます。では、さっそく。(今日は、初級編です。)

第一問:台湾は、多人種社会ですが、法律で保護の対象となっている少数人種は、どれ?
@ 黒人 A 原住民(高砂族) B 哈日族(ハーリー族) C オランダ系白人

第二問:台湾の現在の総統(大統領)は、誰?
@ 江沢民 A 郭泰源 B 李登輝 C 陳水扁

第三問:アメリカの現職の大統領は、「ホワイトハウスはどんなところか」と聞かれて「白いよ」と答えたと言われています。では、台湾で「黒道」というと何のこと?
@ 黒い道 A 書道 B ヤクザ C 国道

第四問:台湾の首都は、どこ?
@ 台北 A 高雄 B 平壌 C 台場

第五問:日本人と台湾人の混血で、日本でも活躍する人気俳優、タレントは、誰。
@ 金城武 A 金正日 B 鄭成功 C 王銘エン

第六問:台湾の大卒初任給(月給)に一番近いのは、次のどれ?(単位:日本円)
@ 1万円 A 3万円 B 10万円 C 30万円

第七問:台湾で、1945年から2000年まで一党単独で政権を持ち続けていたのは、次のどの政党?
@ 国民党 A 民社党 B 共産党 C 民進党

第八問:日本と台湾(中華民国)との国交関係について正しいのはどれ?
@ 通常の国交がある。
A 第二次大戦時から、現在までずっと戦争状態にあり、国交がない上に、三通(通商、通航、通信)が厳しく規制されている。
B 1973年、日本が断交した後、ビザ発行などは、交流協会が行っており、人の往来、貿易額も非常に大きい。
C 台湾は、日本の一部である。

第九問:次の品目のうち、最も台湾からの輸出額の大きいのは、どれ?
@ 台湾バナナ A ノートブックパソコン B ふかひれ C チャイナドレス

第十問:台湾で1947年に起こった歴史的民衆弾圧事件は、次のどれ
@ 9.11事件 A 2.26事件 B 5.15事件 C 2.28事件 

ところで、最後に、もう一つ。ブッシュさんて誰?

3月4日
アナログハイテク技術の時代
○ デジタル革命だ、IT技術だ、というけれども、現実にビジネスとしてエレクトロニクス製品を扱っている人間には、アナログ技術の大切さが身にしみる。実際に長期に渡って収益を維持している企業というのは、コアとなるアナログハイテク技術をもっていることが多い。

○ 僕がよく例としてあげるのが紙送りの技術である。コピー機、プリンター、ファックスなどを作ろうとすると、いくら最新のデジタル処理ができたところで、紙送りを上手くやらねば製品として世に出せない。しかし、消費者がどこから買ってくるか分からない不揃いの紙を自動で、シャ、シャと送るメカニズムを作るのには、一朝一夕には真似のできないアナログ技術のノウハウが必要だ。これらの業界を冷静に見てみると、全くの新規参入者など、10年に一度もないくらいだろう。

○ デジタル技術のかたまりのように思われているノートブックパソコンでも、生産の現場では、アナログ技術で苦労をしている。ノートブックパソコンや、PDAの開発の最終局面で、いつも問題になるのが、熱、発生する電波ノイズ、消費電力である。このあたりの問題の解決には、多くを経験とカンに頼っており、最終的には、トライアンドエラーによる解決、技術者のいう、いわば、「力でもっていく」ケースも多い。アナログ技術の典型である、熱、ノイズ、消費電力の問題をどれだけ上手に解決できるかは、今のパソコンメーカーの技術力を示す重要な基準の一つとなっている。

○ 今話題の、ワイヤレス通信の技術も、アナログ技術がコアである。携帯電話などで「デジタル方式」とかというので誤解しやすいけれども、あれは、無線で飛んでいるデータがデジタルなだけであって、そのデータを無線で飛ばすのは、やはりアナログ技術である。この無線の技術は、実に特殊で、時には、「本当に無線(RF)のことが分かっている技術者は、日本に20人いるかどうか」などと言われている。

○ 最新の携帯電話の開発現場でも、無線(RF)のところだけは、おじいちゃん技術者に、若い技術者は、頭があがらない。現場では、次のようなことは日常茶飯事で起こっている。若い技術者が最新の検査機械とシュミレーションマシンを使って開発中のサンプル基板を、ベテランの技術者が、一目見て「この基板、ツラがわるいなあ。ここ、ちょっとだけ変えてみたら」と言った。疑いながらも若い技術者がそこを変えると、本当にノイズが減った。

○ 日本が最強であるアナログ技術の一つが光学の技術である。レンズの設計、ズームレンズ機構、非球面ガラスレンズなどは、日本企業の独壇場だ。レンズ設計では、重さ、焦点距離、様々な収差(様々なボケの種類みたいなもの)など非常に多くのパラメーターを、ターゲット値に収める為に、曲面を表すいろんな設計数値を変えていかなけれならない。平たくいうと、方程式の数より項の数の方が多い方程式を解いているようなものだ。

○ 僕が立ち会ったことのある打ち合わせでは、おじいちゃん技術者が、ぼそぼそと、「これとあれを、この数値とあの数値にしてくれるか」というと、若い技術者数人が素直に「はい」と言って、最新のシュミレーターを搭載したパソコンにそれをダダダと入力していく。おじいちゃんは、そのシュミレーション結果をみて、また数値をいじって、ターゲットに合わしこんでいく。ちょっとした徒弟制が成立しそうな分野だと、僕は、驚いてみていた。

○ 非球面ガラスレンズも色々な分野で密かにコアになりつつある。小型化競争の激しいデジタルカメラでは、まさに、製品の成否の鍵を握っている。また、今日はやりのカメラ付携帯電話で100万画素以上の場合は、非球面ガラスレンズを使わないと薄くできない。最新の次世代光ディスクでも使われようとしているし、光通信でも不可欠の技術になっている。

○ デジタル技術というのは、非常に短期間の内に開発できるので、彗星のように画期的商品や、新興企業が現れることがある。しかし、逆に、一度シェアを奪っても、ある日、アメリカの大学の先生がいいことを思いつくと、あっという間に逆転されたりする。

○ これに比べて、アナログ技術は、経験がものをいう世界であり、なかなか新規参入に時間がかかる。企業を評価する時も、なにか、コアになるようなアナログ技術をもっている企業は、高く評価できる。政治家、役人、金融関係の方でまだ理解されていない人も、時々みかけるが、アナログ技術=遅れた技術という先入観をもっていると、失敗してしまうので、用心が必要だ。


3月2日
阿里山鉄道の事故
○ 台湾の阿里山を走っている登山列車が事故を起こした。ブレーキの故障で止まらなくなり、200人の死傷者を出した。恐ろしい。無事だった人の話によると、最後は、ジョットコースターのような猛スピードだったとのこと。僕も4時間程乗った同じ列車だけに、驚いてしまう。

○ 僕は、昨年の夏、阿里山に行ったときにこのサイトで次のように書いている。(ココ

阿里山鉄道
トロッコのような登山鉄道。日本統治時代の1911年に完成。ジェットコースターよりも狭いような軌道の上を、スイッチバックを多用し、森林の中を、こずえをかすめながら一生懸命進んでいく。僕達は、下りだけしか、この鉄道の切符が取れなかったが十分楽しかった。歩行者並のスピードのところも多く、片道3時間半−4時間かかる。


○ 本当に、日本のフジヤマなどの大型ジャットコースターの軌道よりも狭いと感じました。1911年に作ったものだといっても、だからこそ、ブレーキだけでもちゃんとメンテナンスして欲しいですよね。まさか、居眠り運転ではないと思いますが。


3月1日
李登輝前総統の講演
○ 今日、日本人学校で李登輝前総統の講演があったので、聞いてきました。
やっぱ、エライす。あの人。ただもんやないですぜ。いや、失礼。お下品な言葉づかいお許しください。

○ 題目は、「台湾の歴史において日本人がしたこと」。とまあ、こんな題目でアジアの政治家が講演するとなると、何て言われるのかと、ちょっとドキドキする題目です。しかし、そこは、日本びいきの李登輝さん。日本人をたっぷり誉めてくださり、「だからこそ、しっかりやれよ」という内容で、元気が出てくるお話でした。内容的には、慶応大学で講演する予定だった原稿と似た部分の多いものでした。(慶応大学での李登輝氏の講演の予定原稿をご参照。ココ

○ 講演では、日本統治時代に日本が台湾で行った、産業育成、教育、産業化に必要な価値観の定着、インフラ整備などを、具体的に説明されていました。また、八田與一の話も詳しくされていました。著作を読んでいて感じていたとおり、実に実践的かつ理念的な、偉大な人だと思いました。(著作に関する僕のコメントは、ココを御参照)

○ 因みに、八田與一というのは、司馬遼太郎の「台湾紀行」(ココ御参照)でも述べられている人で、戦前に台湾で巨大な治水事業を行った実に立派な日本人です。当時の世界最先端の技術を使って東洋最大のダムを作り、嘉南平野に16,000kmの水路を張り巡らしました。万里の長城が2,700kmなので、その巨大さが分かると思います。また、公平に水を分配する制度までつくって運用しました。30坪ほどの家で8人の子供を育て、威張らず台湾の人にも優しかったといわれていいます。八田與一は、戦死し、奥さんは、終戦後、日本に帰らず夫の作ったダムに身を投げて自殺しました。台湾の人は、戦後も八田氏を偲び、銅像に手を合わせ、今でも、命日には、墓前祭が行われているそうです。(八田與一の関するサイト、例えば、ココ

○ ところで、3月半ばに、李登輝氏が新渡戸稲造の武士道精神を解題したものが、出版されるそうです。楽しみですね。


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