台湾日記  2002年6月1日〜
  
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2002年1月2月3月4月5月 


6月10日
神奇桃太郎
○ 日本の勝利、おめでとうございます。バンザイ!

○ 台湾の新聞も稲本と小野が抱き合って喜んでいる大きな写真を載せるなどして、報道しています。日本の朝日、読売にあたる一般紙である中国時報(6月10日)も1ページを割いて報道していますが、その見出しがこれまた面白い。
「神奇桃太郎 驚艶全世界」:台湾では、桃太郎の話は有名だそうです。
「稲本潤一 大和英雄」
また、台湾の大学教授のコメントが載っており、そこでは、「1904年日本聯合艦隊總司令「嗜血軍神」東郷平八郎」まで、言及されています。日本軍のことは、下手な日本人より、台湾の年配の人の方が詳しいですからね。それにしても、日露戦争まで持ち出した新聞は、日本にはありますまい。

○ 台湾の人たちは、中国チームに対しては、「ヨワイネ」とクールに笑いながら、熱心ではないけれども、軽い応援の気持ちをもって見ているといった感じです。兵庫県出身の僕が、甲子園でややPL学園びいきで見ている感じと似ているかもしれません。

○ ホームページを作るときにいつも使っているノートPCのハードディスクドライブ(HDD)が、壊れてしまい、更新をお休みしていました。HDDを入れ替えて、何とか復旧しました。いやはや、バックアップは、とっておくものですね。

6月12日
小さな応援
次の日本戦の日には、青い服を着よう。

試合を見られないサラリーマンも、青いワイシャツを着よう。
ベランダにでる主婦も、青いTシャツを着よう。
畑仕事をするお百姓さんも、青い帽子をかぶろう。
制服の決まっている工員さんも、青いハンカチをもとう。
おしっこをすると青くなる紙オムツをつけた赤ちゃんは、おしっこをしよう。
きっと、気持ちが届くから。

お昼の試合のときは、
テレビでみることの出来ない人も多いと思う。
それでも、日本を応援している気持ちを示すことが出来れば素晴らしい。

前回のベルギー戦では、為替ディーリングの人達が、観戦できないからといって、
日本代表の服を着て仕事を続けたという。
フランス大会では、日本のサポーターは、青いゴミ袋で応援して、
世界中の人達から、驚きと賞賛を得た。
試合を見られなくても、日本代表の服が無くても、
みんなでできるだけの応援の気持ちを出そう。
きっと、気持ちが、届くから。

色んな状況の人がその場で、思い思いに日本を応援している。
そういう日本人が、僕は、好きだ。
日本中が「青」でいっぱいになると、すてきだと思う。

こんな意見に賛成する人は、色んなお友達にmailなどで広めてください。
この文を転送してもいいし、御自分の言葉で書かれてもいいと思います。
チェーンメールになるのを好まないなら、他のmailの最後にPSで、
14日は青い服を着ようね、って書いてくれたらいいと思います。
この文をリンクするならココです。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~RAKUCHIN/taiwan/zatu205.htm#0612

きっと、気持ちが届くから。

6月13日
小さな応援のリンク
○ 昨日サイトにアップした「小さな応援」ですが、幾つか反応を頂きありがとうございます。昨日の今日なのに早速リンクを張って頂いたところもあり、感謝感激です。幾つか紹介します。

mojiko.com(http://www.mojiko.com)
サイト管理者の魚住さんからのmailです。
はじめまして。
日本国北九州市で「mojiko.com」(http://www.mojiko.com)という地元紹介のサイトを
個人で勝手に開設・運営している魚住と申します。
貴サイトの「小さな応援」の呼びかけに賛同し、mojiko.com
のindexにリンクを貼らせて頂きましたことをご連絡いたします。

らくちん注:ありがとうございます。
       こんなに伝統あるサイトにリンクを張っていただいて恐縮です。

○ 溜池通信(http://tameike.net/)
かんべいさんに、載せてもらいました。いつもありがとうございます。かんべいさんも、にわかファンといいつつも結構お詳しいですよ。

○ 他に色んな方からmailも頂きましたが、結構、会社の大会議室で見ることになっているという人は、多いようですね。いいじゃないですか、4年に一度なんだから。ねえ。

○ 昔、川渕チェアマンの講演会で、こんな話を聞ききました。(むちゃくちゃあやふやな記憶です。)
「ドイツのコール首相が、ワールドカップ予選を戦うドイツ代表をサッカー場で応援する為に、サミットに遅れて参加した。それでも、他国の首脳は、遅れてきたコール首相に文句を言うどころか勝てて良かったですねと口々に言った。サッカーは、サミットの遅刻の理由としても十分正当化されるまでのものなんです。」
ワールドカップ予選だったか、欧州選手権だったか、コール首相だったか、ほかの首相だったか、随分曖昧な記憶ですがこんな話でした。その場はすごく感心して、以後、僕も持ちネタにしており、今回も、会社の上司に言ったりしています。しかし、冷静に考えれば、サミットで、こういう状況で遅刻してきた首脳をあからさまに批判する人なんていないですよねえ。

○ それより、なにより、日本が勝って欲しいですね!!(最後は、青くしてみました!)

6月14日
決勝T進出
○ 日本おめでとう。韓国もおめでとう。こんなことは、僕が死ぬまでにもう無いかもしれない!

○ トリシエの選手起用が当たりましたね。僕は、批判していましたが、今回ばかりは、脱帽です。特に稲本を下げる勇気は、なかなか普通の監督には無かったと思います。敬意を表して、今度、丸ぼうず、、、、とはいきませんが散髪に行って来ます。

○ 「小さな応援」運動に御賛同頂き、職場で広めて頂いた方から、今日は、8割方青い服だったとご連絡頂きました。楽しいですね。街ですれ違う人にも、「あ、この人、応援してる。」と思えるのは、いいですね。

○ こちらの地元のテレビでもワールドカップの試合を見られるのですが、平気で、試合中にCMが入ってきます。CMタイムには、一応、画面を二つに分けて、CMを大きな画面、サッカーを小さな画面にします。得点機が来ると、サッカーの画面が大きくなります。日本戦のときなんぞは、なかなか苛立たしいものですよ。

○ そこで流されている水虫薬のCMが強烈なのです。こちらでは、水虫のことを「香港脚」といいます。香港の人に随分失礼だとは思いますが、放送禁止用語にもならずに使われているようです。そこで、このCMでは、童謡風の、印象強烈なCMソングが流れ、「香港脚♪、香港脚♪」と連呼します。つまり、「水虫、水虫、かーーゆいなあーー」といった感じの間の抜けた、しかし、一度聞いたら忘れない歌です。台湾の人に聞くと、このCMソングは、20年位流しているとのことです。この歌の印象が余りに強烈なので、丁度、披露宴を出たあと、「乾杯」という歌が頭でずっとなっているように、サッカーを見終わった後もずっと頭の中で、「香港脚、香港脚」、となり続けて困ります。

○ サッカーが、足を使うスポーツだからといって、なにも水虫薬の宣伝をしなくともと思うのですが、このあたりが、僕のいう、「台湾的ユーモア」なのでしょうね。

6月16日
ペースダウン
○ 台湾のIT産業は、4−6月の四半期、深刻ではないものの少しペースダウンのようだ。今の日本の感覚で言うと、台湾は、好調としかいいようがないが、昨年の暮れから伸びてきた一本調子から比べると、少しペースダウンの兆候がでてきた。

○ まず、半導体が予想された通り、かなり減速してきた。昨年暮れからの好調は、供給側の調整が進んだことで、行き過ぎた価格競争が是正されたことによっていた。しかし、ここにきて予想通り、需要が余り伸びないからである。これは、業界では、見込まれていたことで、このHPでも再三指摘してきたことなので、それほど驚きは無い。むしろ、無線通信関係の需要が意外に良かったと思っている人も多いくらいだ。

○ 少し意外なのは、LCD業界である。パソコン用CRT(ブラウン管)モニターからの代替需要も強く、値段も上がり、その上新規供給増は来年ということで、今年一杯は、好調だろうと思っていた。しかし、ちょっと調子に乗りすぎ、「399ドルの壁」というのに突き当たってしまった。アメリカにおけるPC用LCDモニターの小売価格が399ドルを超えると、とたんに消費者が買わなくなるという説である。PC用LCDモニターは、もともと、CRTモニターを既に使っている人が、省スペースの為に買い替える需要が多い。従って、今すぐ無くてもいい訳で、ある程度以上値段が上がると買わなくなるのである。それにもかかわらず、昨年暮れから、LCDパネルメーカーは、調子に乗って値段を上げ続け、末端価格までかなり上昇したので、末端需要が価格上昇についてこられなくなったのである。

○ こういう装置産業は、うまくブレーキをかけないと無用の混乱が起こるから要注意である。台湾のLCDメーカーは、フル生産、部品の大量発注を行ってきた。今後は、在庫や材料の発注残の処理しながら、最終需要を確保できる価格水準で、流通業者、モニターセットメーカー、LCDパネルメーカーが、うまくやっていける取引価格の設定をできるだけ早く調整してしまう必要がある。基本的な需要は強いため、大きく崩れるとは思わないが、このあたりの手際の良さが、中長期におけるその企業の競争力の優劣をつける。別の見方をするとビジネスマンにとって面白い場面である。台湾企業向けに部品供給をしてきた日本の方々の間でも強気弱気が入り乱れている。とにかく、今まで納期前倒し要求がきつかったけれども、材料の先行手配などは、ペースダウンした方がいいと思うがどうだろう。

○ 他は、パソコンがまあまあ、携帯電話端末の生産が思っていたよりいいといったところ。総じて言うと、先月あたりは、「4−6月は、落ちるけれども、これは、毎年のことで季節要因。この時期、これだけ注文があれば十分。」という声が聞かれたが、今月は、「やはり、ちょっと用心した方がいいかもしれません」という声が多くなってきた。まあ、冒険心は強いが、脇の固い台湾企業のこと、これくらいのスピード調整は、涼しい顔でこなしてしまうのであろうが、ちょっとお手並み拝見である。

6月18日
残念
○ 日本残念でした。今は、もう、トルシエも含めて、「頑張った姿を見せてくれてありがとう」といいたいです。

○ 「小さな応援」運動に参加してくださった皆さんも、ありがとうございました。沖縄、九州、永田町、丸の内、大阪、タイと色々なところで、賛同して頂き、とても楽しかったです。台湾にいて、青い服を着ていても、みんなと一緒に応援している気分になれて幸せでした。ありがとう。

○ 韓国は、強いですね。今の実力だと、日本が何度やっても、負けるような気がします。ここまできたら、優勝して欲しいですね。

6月19日
台湾IT優良企業
○ アメリカの雑誌「ビジネスウィーク」が発表した世界100大IT企業ランキングに、11社の台湾企業が入っている。上位には、広達電脳[2位]、鴻池精密[3位]、精英電脳[8位]、明碁電通[13位]、華碩電脳[23位]などがランク入りしている。さて、ここで質問。これらの台湾企業の英語名と事業内容をどれだけ言えますか?IT産業について語るなら、その産業の世界トップ10の企業ぐらい知っていて当然と思うが、これがなかなか難しい。日本では、IT産業関係者でも、上記の企業の英語名をすべて言えて、事業内容を正確にいえる人は、少ないだろう。

○ ここで改めて驚くのは、まず、台湾企業の圧倒的な強さである。日本企業では、キャノン[24位]、シャープ[92位]などがランキングしているが、ソニー、松下、日立、NEC、富士通、東芝、三菱、三洋などは、100位にすら入っていない。これらの日本企業は、IT分野で見れば、上記の台湾企業の「格下」と言われても仕方の無い状況である。指標によってランキングが変るとは思うが、2位と100位以下では、どんなに言い訳を言っても、負け犬の遠吠えにしか聞こえない。

○ 次に思うのは、そのわりに、台湾企業の名前は知られていないということである。上記企業の英語名と順位をいうと、それぞれ、QUANTA[2位]、HON HAI[3位]、ELITE[8位]、BENQ(旧ACER)[13位]、ASUSTEK[23位]である。大抵の日本人は、英語名を聞いてもなお殆ど知らないのではないだろうか。これらの台湾企業は、OEM(相手先ブランドによる供給)により大きくなってきたこともあり、一般消費者には、そのブランド名を知られていないことが多い。このあたりが台湾企業の共通する特徴である。

○ これらのことから、ちょっと論理の飛躍と我田引水を許してもらえば、日本人には、次のことがいえると思うがどうだろう。

一、 台湾を知らずして、ITを語るべからず。
日本企業のIT関係における戦略立案部署の人で、「新竹」(世界的に有名なハイテク産業の集積する地域。台北から車で2時間ほどのところにある。)を知らない人がいて、周囲が驚いたという話を聞いたことがある。これはちょっとひどいとしても、IT産業関係者で、上記5社の英語名のうち、2社以上知らないなら、ちょっとモグリである。このサイトを読んで勉強しよう!(笑)

一、日本のIT産業は、台湾から学べ。
日本から台湾に出張で来られた方で、未だに勘違いして、台湾企業に「教えてやる」とばかりに大威張りの人がいるが、これはもう、釈迦に説法でみっともないとすら言える。実際台湾の優良企業と付き合ってみると、技術力があって且つ、お金儲けがうまいだけでなく、長期的関係の為には少しの価格の違いも辛抱することもあるし、突然取引を切ってきたりしないし、その際にも仁義を切ってくるし、今時の日本の電機メーカーより、余程、立派なビジネスマナーをもっていることに気付く。彼らが強い競争力をもっているのは、ズルイからでもなんでもなく、賢いからだと思って間違いない。僕もできるだけ彼らの行動様式を学んでいきたいと思う。だから、今後も、このサイトを読んでください!(笑)

6月20日
中国語の国名
○ 昨日は、意地悪質問だったので、今日は、エンターテイメント系でいきます。次の国は、ワールドカップベスト8の国を中国語(繁体字)で表記したものです。どれだけの国名をいえますか。塞内加爾、土耳其、英格蘭、巴西、徳国、美国、西班牙、南韓。今日は、簡単過ぎたでしょうか。順に、セナガル、トルコ、イングランド、ブラジル、ドイツ、アメリカ、スペイン、韓国です。

○ こちらのテレビでワールドカップを見ると、画面の左上隅に一国を一字で表示して得点表示がでます。鹿島対磐田のときに「鹿0−0磐」と出るようなものです。これが、予選リーグの時は、結構難しくて大変でした。例えば、「厄0―0克」と書いてあるのを見て、「厄瓜多」=エクアドル、対、「克羅挨西亜」=クロアチアと分かるのは至難のわざです。それにしても、「厄」なんて字をあてなくてもいいのにねえ。

○ 「哥斯大黎加」=コスタリカ、「斯洛凡尼亜」=スロベニアなんて難しいけれど今にも分かりそうで、考え出すと夜も眠れなくなっちゃいます。「阿根廷」のアルゼンチンは、なかなか想像力が追いつきません。一方、ちょっとおしゃれな「葡萄牙」=ポルトガル、一番長い「沙烏地阿拉伯」=サウジアラビアなんてのは、見ていると楽しくなってきます。 「丹麥」=デンマーク、「突尼西亜」=チュニジアなんてのは、3分ぐらいじいーと眺めていると、分かるような気がしませんか。同じ漢字文化圏なのだなあと実感します。

○ 「巴拉圭」は、またFKを蹴られるGKを連れて来てね。「喀麥隆」は、次回には遅刻しないでね。「美国」は、悪いけれど、世界中がしらけるから優勝だけはしないでおきましょうね。ではでは。


6月21日
世界一の台湾IT製品
○ 台湾政府経済部が、19日に発表した統計によると、昨年2001年の生産量・額において、14品目のIT関係製品で、台湾が、世界一位になった。このホームページでも(ココ、6月19日「台湾IT優良企業」)、「台湾を知らずしてITを語るべからず」と大見得を切った手前、ここに上げておきます。

○ 下記の数字は、台湾国内での生産です。台湾企業が中国など海外で生産したものは含まれていません。従って、LED、プリント基板(PCB)、スキャナーなどがランクからはずれています。

○生産量・生産高が世界一位のもの

品目 生産高(百万米ドル) 生産量
金額 シェア 数量 シェア
ICファンドリー 6,070 72.9% - -
マスクROM 400 56.7% 1.4億個 48%
ICパッケージング 2,285 30.4% 87.7億個 -
ノートブックパソコン 11,594 23.9% 1,253万台 49%
LCDモニター 2,308 41.1% 604万台 39.2%
CD-Rディスク - - 4,680百万枚 83.3%
CD-RWディスク - - 167百万枚 70.3%
DVDディスク - - 257百万枚 74.5%
PCカメラ - - 870万台 58%
イーサネットカード 306 - 3,578万ポート 66%
集線装置(ハブ) 229 - 4,187万ポート 74.8%
ADSLモデム 374 - 512万台 59.6%
無線LAN 482 29.5% 571万台 60%
アナログモデム 436 - 3,882万台 41.7%


○ 世界第2位、3位のもの

世界
順位
品目 生産高(百万米ドル) 生産量
金額 シェア 数量 シェア
2位 IC設計 3,616 25.9% - -
2位 PCメインボード 2,640 33.9% 3,753万セット 32.8%
2位 ICレジスト 191 12% - -
2位 デジタルカメラ 678 9% 680万台 36%
2位 中小型TFT液晶パネル 162 5% - -
2位 中小型TN/STN
液晶パネル
703 16% - -
2位 イーサネットスイッチ 511 - 4,561万ポート 24.5%
2位 ケーブルモデム 258 - 331万台 39.9%
3位 DRAM 1,896 16.9% 8億個 19.8%
3位 大型TFT液晶パネル 2,524 23.3% 1,173万セット 26.1%


6月25日
台湾のIT製品
○ 前回紹介した世界のトップクラスにある台湾のIT製品について、いつくか補足をしたい。

○ まず、よく新聞に出てくるパソコンの市場シェアでは、デル、コンパック、IBM、アップルなどが上位であって、台湾の企業は、でてこない。そこで台湾のノートブックPCの市場シェア49%(台数ベース)という非常に高い数字には、不思議に思う人も多いと思う。実は、上述したアメリカ企業はもちろん、富士通、NEC,東芝といった日本の大手も今や殆ど、台湾メーカーのOEM生産品に頼っており、台湾メーカーの作ったものに自社ブランドのラベルを貼って売っているのが実態である。QUANTA、COMPALといった台湾のパソコンメーカーの企業名は、消費者には、知られていないが、業界内では、日米の大手メーカーに勝るとも劣らない存在感である。

○ 「ICファンドリー」というのが、分かりにくいかもしれない。これは、ICの受託生産である。アメリカのICベンチャー企業の多くは、「ファブレス」と言われる工場を持たずに、設計だけをしている企業である。これらのICデザイン設計会社が、台湾のTSMC、UMCといったICファンドリー会社に、自分たちのデザインデータを持ち込み、製造委託する。ICチップの上には、そのデザイン会社の名前が刻印されることが多いので、これもまた、台湾企業の名が人目につかないことが多い。例えば、AMD、nVIDIAなどの北米系大手IC企業も、台湾ファンドリー業界の上客である。言ってみれば、ICのOEM生産である。

○ CD-R、DVD等のメディア、(あの、プラスチックの円盤)が強いのも意外であろう。台湾のRitekとCMCという企業が世界市場で圧倒的に強い。日本では、マクセル、TDKなど色々なブランドで売られているが、殆どは、みんな台湾の企業のOEM供給である。意外かもしれないが、この商品について、世界市場の上位にランキングされている日本企業は、いない。

○ 総じていうと、台湾のIT産業について、次のようなことがいえると思う。
△OEM(または、ODM)が多く、これは、全商品分野に及んでいる。
△ノートブックPC、ICが横綱、LCDが張り出し横綱、CDメデイアが大関、通信、デジカメが関脇といったところか。
△昔から圧倒的に強かったスキャナー、キーボードの生産などは、中国などの海外に移転済み。

○ また10年くらい前の台湾の印象が強い人には、次の点を強調したい。
△台湾企業というと、小回りがきき少量多品種生産対応の印象が強かったが、今のトップ企業は、超大量生産でのコストダウンが真骨頂である。従って、少量の商談に興味を示さないことも多い。
△OEMといっても、設計から全て台湾企業だけが行い、日米のブランドオーナー側は、ブランドのついたラベルを貼って販売だけというようなケースが増えている。こうしたケースを受託生産ととられがちなOEMと区別してODMと最近いっている。それだけ、設計面を含めての技術力がついている。
△上記、横綱大関クラス、即ち、IC、ノートブックPC、LCD(特に大型)、CDメディアの分野では、技術力と過去の実績の点で実力的に、日本をゆうに凌駕している。極端な話、半導体製造装置を売り込むのに、「日本のOX企業(大手トップ企業のどれでも)で使われている」というより、「台湾のTSMCで使われています」と言った方が、客の興味をひけるような状況になっている。

6月26日
時間どろぼう
○ 日本では、株主総会の季節だと思う。新聞によると、27日には、2000社を超える会社が株主総会をするという。明日(27日)など、丸の内、大手町あたりに行くと、日本中の黒塗りの車が集まったのではないかと思うくらいたくさんの黒塗りの車が、不気味にゆっくりと走ったりとまったりしていることだろう。そして、またグレーの背広を着た無表情の人々がその車から降りてくるに違いない。

○ 10年程前、僕が東京駅近辺に勤めていた時、この株主総会集中日を知らず、急に黒塗りの車が街のあちこちに出現したのをみて、えらく不気味で、恐ろしく思ったことを覚えている。そして、さらに、この異様な風景と不気味さは一度見たことがあるような気がして必死で過去の記憶を探った。そこで、思い当たったのが、「モモ」(ミヒャエル=エンデ作)に出てくる「時間どろぼう」である。「モモ」の中の「時間どろぼう」は、黒塗りの車に乗って、無表情で町のあちこちに急に出現するのだが、そのイメージにそっくりな現実が目の前に現れたかと思うと少しぞくっとした。(少女「モモ」は、その時間どろぼうをやっつける英雄であった。)

○ 考えてみれば、この日に黒塗りの車に乗っている日本の大企業の幹部というのは、ミヒャエル=エンデが真剣に攻撃しようとしたまさにそのような人達なのかもしれない。エンデは、コミュニティ通貨を提案するなど、やや過剰なほどに「資本の論理」に異議を唱えていた作家だから。確かに、日本の大企業の幹部は、利潤を追求し、資本の論理の体現者で、時間の楽しみ方を知らない人々の代表と言えなくもない。

○ ことが矮小化されることを恐れずに別の視点をもう少し言えば、10年前に黒塗りの車に乗っていた人々こそが、日本の失われた10年という時間を盗んだ「時間どろぼう」かもしれない。さて、今の日本に「モモ」は、現れるのだろうか。

6月27日
個人サイトの縁
○ ドイツに詳しい方がサッカーコメントをされているホームページ(HP)を見つけた。ドイツがワールドカップサッカーでどんどん勝ち進むのでこれが熱い。ココ(http://homepage2.nifty.com/itsuro_umemoto/)
へえーと思って楽しくこのHPの日記を読んでいると、なんと、僕の「小さな応援」運動を紹介頂いていて驚いた。その上、その前から読んで下さっていたようで、ありがたいやら小恥ずかしいやら。

○ これもどうやら、このHPの紹介が縁だと思います。ココ(http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/5466/)

○ こうして、個人が運営するHPが縁で、知り合いが広がっていくのは、本当に楽しい。相手の方のHPが公開されていると、過去に書かれているのを見させていただくだけで、その方の人柄の暖かさが伝わってくる。また、自分自身の方も、下手な自己紹介よりも、こちらが過去に書いたものを見ていただき、短所も含めてご理解いただいていいように思える。お会いしたことが無くても、名刺交換をするよりずっと密度の濃い出会いができるように思う。

○ 「台湾つれづれ」の読者で、まだHPをされていない方もやってみませんか。ワードとペイントとemailをする実力があれば、できると思います。できたら教えてください。このHPで紹介させてください。


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