台湾日記 2002年9月4日〜9月22日
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2002年1月、2月、3月、4月、5月、6月、7−8月)
9月22日
中秋のBBQ
○ 中秋の名月ということで、台湾では、中秋に、月餅を贈りあう。会社対会社でもこの風習は行われており、月餅の袋をたくさんもって、取引先の所に各社30分ずつくらいのスケジュールで挨拶まわりをしている営業の人もいるくらいだ。日本のサラリーマンがカレンダーを持って年末の挨拶周りをしているのと似ていなくもない。名月に月餅、いいではないか。おしゃれだ。
○ ところが、最近では、なんとも妙な組み合わせだが、中秋にバーベキュー(BBQ)をするのが、流行っている。この5年程の風習らしい。知り合いによると、みんな集まってただ月を見ているのも手持ち無沙汰なので、BBQを始めたということ。でも、本当の由来は、分からない。とにかく、街中でどこででもBBQをやっている。スーパーには、一番目立つところに、BBQコーナーができ、BBQの鉄板、木炭、紙皿などが、売られている。街なかでは、最近広くなった歩道のあちこちで若い人々が、BBQをしている。昨日(土曜日)通った中山北路という結構な繁華街でも、店の従業員が、店先の歩道に、炭焼きセットや、肉、野菜を持ち出し、BBQをあちこちでやっていた。コンビニの店員までが、その店先でやっているのもあって、驚いてしまう。七夕の時、恋人に贈り物を贈る風習といい、最近、台湾では、面白い風習がはやるものである。
○ らくちんは、来週出張の為、サイトの更新、Emailのお返事ができないと思います。宜しくお願いします。
9月19日
阿里山
○ 8月に阿里山に行ってきた。阿里山といっても連山の総称で、そういう山の頂上がある訳ではない。3000m級の山々が連なる中に、2300Mくらいのところまでバスや登山鉄道で登っていくのが、観光コースになっている。
○ 山の上なので、行ったことのある人の感想では、天気が悪かったというのが一番多い。しかし、僕達は、天候に恵まれ、阿里山5大名物をすべて見ることができるなど最高の旅行となった。ちょっと自慢なので、5大名物を挙げてみよう。
1)御来光
祝山(玉山)の標高2500m程のところにある展望台から御来光(日の出)を見るのがここの名物である。朝の3時から起きて、山小屋を出発、登山列車に乗り、少し歩いて広場から日の出を見る。3000m級の山々の陰から差し込むような朝日をきらめかせながら太陽がでてくる姿は、圧巻。
2)阿里山鉄道
トロッコのような登山鉄道。日本統治時代の1911年に完成。ジェットコースターよりも狭いような軌道の上を、スイッチバックを多用し、森林の中を、こずえをかすめながら一生懸命進んでいく。僕達は、下りだけしか、この鉄道の切符が取れなかったが十分楽しかった。歩行者並のスピードのところも多く、片道3時間半−4時間かかる。
3)神木
樹齢千年とか2千年の神木がそこここにあり、それを整備された遊歩道を歩いて見ていく。ひんやりとした森林の中を歩きながら、荘厳な巨木を見入るのは楽しい。
4) 夕暮れ
夕暮れもとても綺麗。山の中の沈む夕日は幻想的。
5) 雲海
見下ろす雲海が墨絵のように美しい。
○ ここで、これから行こうという人の為に、1分アドバイス。
1) 登山鉄道は、片道にすべし。バスで行くと2時間少しのところを、登山鉄道の場合、下手をすると4時間近くかかるので、往復乗るのはきつい。
2) できれば、最高のリゾートホテル「阿里山賓館」に留まりたい。最高といってもしれている。唯一学生旅行風でないホテルともいえる。僕達は、ここには、泊まれず、食事だけしたけれども、しっかりした味でした。
3) 夏でも寒い。登山列車が、何度も往復するピストン運転で御来光を拝む人を運ぶ為、その最初の便に乗ったりすると、山の上の広場で気温14度の中、朝の3時半から日の出まで一時間程待たなければならない。台湾の夏で毛穴が開ききっている僕には、モコモコのフリースを着ていったがそれでも寒くて仕方がなかった。精一杯厚着していこう。
○ ところで、一緒に行ったのは、男4人でした。誰ですか、変な質問を考えていたのは。
9月18日
吉田茂とその時代
○ 岡崎久彦の「外交官とその時代シリーズ」の最新刊「吉田茂とその時代」を読んだ。読みやすく且つ為になる、お勧めできる本である。なにせ、このシリーズは、ふり仮名が振ってあるくらいなのだから、「読みやすい」のは間違いない。内容の本筋については、読んでいただくとして、いつものように、本のメインテーマとは、離れた勝手なコメントをつけてみよう。
○ 本書では、吉田茂には、大政治家としての一定の評価をしつつ、所詮、マッカーサーの意を汲んでそれを実行しようとしていただけで戦略的な思考はなかったとしている。「吉田ドクトリン」なるものは、存在せず、人物的にも、「ドクトリンなどには、最も遠い世俗的人物」としており、このあたりが面白い。
○ それから、こうして書かれているのを読むと「意外に知らない占領期の歴史」というのを実感する。対米開戦(1941年真珠湾攻撃)から、終戦(1945年)までが、4年。マッカーサーの到着(1945年)から、GHQの廃止(1952年)まで、7年。占領期の方が、倍近くある。その割には、僕自身、なんだか、よく分かっていない。
○ 本書では、占領期の言論統制が与えた日本の言論界思想界への影響を非常に強調している。僕は、現在の日本における言論界の混迷の責任の大半は、やはり日本人にあるのであって、半世紀前のGHQに過半の責任を負わせるのは酷だと思う。しかし、占領期の言論統制の厳しさについて、これまで余りに語られなさ過ぎたのは、確かだ。この本を読んで思い出したのだが、僕が大学生の時(1983年頃)、政治学の老教授が授業で「占領期の言論統制は、ある意味で、戦時中の言論統制を越える、非常に厳しいものだった。このあたりは、いずれ、占領期の再検証が行われ明らかにされるだろう。しかし、未だ、その時期にはなっていない。」という趣旨のことを、ボソリと、講義の本筋から離れて唐突に言ったのを、妙に覚えている。その時に、戦後40年近くも経って、「未だにその時期ではない」ってどういうことだろう?と非常に不思議に思ったのを、思い出したりする。
○ 南京事件についても、本書では、その立場をはっきりと示している。同じ「外交官とその時代シリーズ」の「重光・東郷とその時代」が詳しく述べているのだが、ここでも、簡潔に、しかし、はっきりと次にように述べている。
−20万人以上の被害者が出たというのは荒唐無稽
−通常以上の規模の残虐事件があったのは、間違いない。「無かった」というのは、知的インテグリティー(思考に論理の乱れがないこと)の欠如。
−戦争と関係の無い人種絶滅政策であるナチスのユダヤ人大量虐殺と、南京事件は、全く異なる問題。
−南京事件は、戦争の際の非戦闘員の被害の問題であり、広島、長崎の原爆や東京、ドレスデンの大空襲あるいは、満州におけるソ連軍の暴行と同じ部類に入る問題。
このあたり、日本人がアジアで暮らすときには、最低限の知識は欲しくなるもので、岡崎氏の意見に賛成するにしろしないにしろ一読に値する。
○ 総じて言うと、本書は、岡崎氏の現代の日本人へのメッセージのようなものが、強く出ており、このシリーズの他の書とやや趣が違ってきている。非常に思い切って、所謂「タブー」にも挑戦している。本書に関する書評が、朝日、日経に未だ出ていないのは、余りに、思い切ってタブーを書いたので、誰もコメントできないのかとすら思う。以前、船橋洋一の「同盟漂流」と言う本が余りに生々しい政治の現実を書いていたので、却って殆ど書評で取り上げられなかったと聞いたことがあるが、同じような状況なのだろうか。
○ 確かにこの本は、刺激的で、ちょっとゾクゾクするところがあるが、「歴史」という点からいうと、僕は、個人的には、「幣原喜重郎とその時代」の方が、更に面白かったと思う。是非、このシリーズの他の4冊、「小村寿太郎とその時代」「陸奥宗光とその時代」「幣原喜重郎とその時代」「重光・東郷とその時代」も、読み比べて欲しい。
9月17日
日本人拉致問題
絶句です。
9月15日
ラブリーな日本語
○ 台湾では、よく、おちゃめな日本語をみかけます。これに関して、「Holoholo Walker」(http://www.hypertown.ne.jp/dolce/holoholo/taiwan/index.html)というサイトでの「ラブリー日本語」というコーナーの紹介がとても面白いです。
このサイトででている最高傑作は、「いかチレ」です。「チ」→「干」、「レ」→「し」と読み替えると、「イカ干し」のことだと分かります。言われてみると、似た字でしょう?!
○ なによりこのサイトでの、「ラブリーな日本語」という命名がいいですね。前々から、台湾での日本語の面白さを上手く伝える方法は、ないものかと考えていましたが、これは上手い。
○ 日本にも英語が大きく書いてあるTシャツや、英語の看板がありますが、きっと、英語を母国語とする人からみると「イカチレ」状態なのもたくさんあるに違いありません。このLovely日本語っていう、Lovelyも、はて、イギリス人が使う用法かどうか分かりませんね。でも、僕は好きですよ、この「ラブリーな日本語」って言葉。
9月8日
道路料金2
○ 金曜日(6日)は、台風のおかげで、台北市は、会社も休み。その割には、台北では、雨も風もたしたことはなく、ちょっと得した気分です。
○ 道路料金の値下げについて、読者から、結構反応があったので、驚きました。この読者数の限られた個人的なサイトで、これだけ反応があるというのは、広く一般の人が聞いても、相当インパクトあることではないかしらん。
○ このサイトで度々登場する河野さんからも次のようなemailを頂きました。
高速道路料金値下げ、是非やってもらいたいですね。日本の物流コストは高すぎます。地方では台湾から輸入するコンテナの海上運賃と、国内でそのコンテナを運んでくるトラック運賃が同じくらい、なんて笑えない話もありますからね。
○ そうなんです。貿易に関わって、少しでも採算を計算したことのある人なら、国内輸送費が、どれだけ日本製品のコストアップになっているか、痛感していますよね。国内の輸送費と通関時の諸費用を加えると、海外と日本の間の輸送費と同じくらいなんて話は、よくあります。地方自治体も、「ヴェンチャーインキュベーションのビル」なんて建てたりせずに単純に道路料金下げれば、今現存する中小企業で競争力が復活するところが一杯あるでしょうにねえ。「地方活性化の為に高速道路建設を」なんて、地方の政治家が言っていますが、道路利用料が安くなければ意味がありません。先日紹介した北陸の鉄工所は、高速道路ではなく、わざわざ一般道を通って、東京都内に運んでいました。「高速代なんて、とても採算上払えません。」とのことでした。つまり、「頑張っているところは、使えない」道路なのですよ、今の高速道路は。こんなことは、せっせとコスト計算して、頭を悩ませている現場の人は、みんな知っています。
○ 旧友で主婦のMさんからは、ひとしきり、僕の意見に賛成していただいた後、次のような気の利いたコメントを頂きました。
アメリカではフリーウエイっていったら無料って意味もあるんでしょ。
日本ではハイウエイだもんね。中央フリーウエイ♪なんて、うそうそ。
○ 歌がちょっと古いのは気になりますが(失礼!)、やはり、道路は、ただが基本ですよね。僕は、アメリカ大陸を自分の車で横断したこともありますが、もちろん無料でしたよ。無料だから、食事や給油は、気軽に一般道に出てできます。だから、サービスエリアの店の独占の問題もありません。ドライバーが、一般道にでて、食事をすれば、地元の活性化にもなりますよね。
○ 道路利用料が安いのがいいのは、当たり前ではないかという疑問がまだあるかもしれません。僕が今回言いたいのは、減税や公共事業といった景気対策に比べれば、道路利用料の値下げの方が、余程、費用対効果で優れているということです。いろんな経緯でがんじがらめになっているのでしょうが、遠目に見れば、これが比較的簡単で一番利きそうですよ、というのが僕の提案です。
9月6日
道路料金の値下げ
● 景気対策として、道路料金の値下げをすればいいと思うがどうだろうか。
● 概要
色々なやり方があるだろうが、基本的には、利用度の低い、「すいている」道路の値段を下げる。例えば次のようなものの組み合わせでどうだろう。
−アクアライン、本四架橋などを片道1000円程度に値下げする。(因みに現在アクアラインは、片道3000円。)
−利用者の少ない高速道路を、値下げする。
−一時的処置も行う。例えば、かなりの道路を、一年間限定で50%引きとする。
−200円以下の小額をとっているところを無料にする
● 効果 −特に他の景気対策との比較
景気対策としては、減税と公共事業をいつも行ってきたが効果がなかった。公共事業は、総需要の増加の為には、即効性はあるが、特定産業分野のみに需要を増やし、かけたお金の殆どが用地買収費に消えたりして、結局、波及効果、累乗効果が少なくなっている。また、結果として、国民の利便性が増すのは10年先だったりする。一方、減税は、広く国民が恩恵を享受できるけれども、結局、将来が不安なものだから預金に回ってしまう。また、累乗効果の少ない消費に使われることもあるので、効果が少ない。いずれにしても、支出金額以上の効果、即ち、累乗効果、波及効果がでない。且つ、国民に効果を実感できないことが問題である。
道路料金を下げるのは、公共事業よりは、広く国民に分配することができ、しかも、生産性の向上などにも、即効性がある。また、減税のように預金に回ることが無いので、確実に総需要を刺激する。休日にドライブに行けば、食事なりなんなりで消費を刺激する。観光業と自動車産業には、間違いなくプラスの効果があるだろう。構造改革という点でも、後に述べるように、地方の産業の競争力を増すことにもつながる。また、地方の利便性が増し、地価が上がれば資産デフレ対策にもなる。例えば、アクアラインを大幅に値下げすると、最近荒廃激しい木更津が活性化するだろう。そして、実行するのには、いわば、ペーパーワークが必要なだけなので、やろうと思えば明日からでもできる。
● 基本的な考え方
この意見の背景には次のような3つの基本的な考え方がある。
1)経済的な困難な時こそ、現状既に持っている資産を100%有効活用することを最初に考えるのが当たり前。企業が苦しくなった時に考える発想と同じである。新たに設備投資をするのが苦しければ、現状資産を徹底的に有効活用することを考えるべきだ。すいている高速道路を使わない手はない。
2)売れ行きが悪ければ、どんなに高く仕入れたものでも安売りするのが当たり前。地方にある盆と正月にしか一杯にならないガラスキの高速道路が、値段を下げないのは、建設費の借金の償還計画があるからいうことらしい。しかし、民間企業では、いくらコストをかけたものでも、作ってしまったものは、売れ行きが悪ければ、そのコストを割ってでも、安売りするのが当然である。これは、八百屋から不動産業者まで、全く同じだろう。道路だけ、コストが高かったから、値下げができないというのは、理屈になっていない。コストが高かったことは、失敗は、失敗として、高く作ってしまった人、無理な需要予測で計画を立てた人を別途、厳しく責任追及すべきことで、値下げを拒む理由にならない。
3)国内輸送費を下げれば、特に地方の国内企業の競争力強化に直結する。地方では、都市部より安い労働力と土地代を利用して、安い製品を供給できることが多い。筆者の知っているところでは、東北で非常に安く電子基板を組み立てる会社があったり、北陸方面の鉄工所などが建設用鉄工製品で、強い競争力を持っていたりする。その時に、製品の国内輸送費がコストの無視できない大きな部分を占める。国内輸送費がさがるだけで、まだまだ、アジアなどの海外製品に負けない国内企業は、多いと思われる。
● 疑問点としては、大きく次の3つが想定されるだろう。
予想される疑問1)― 財源
財源について問題を指摘するかもしれないが、所詮、国の借金の形態を変更する作業にすぎないのではないか。細かく言うと色々な制度的な枠があるのだろう。しかし、結局のところ、道路の建設費は既に支出してしまったお金である。その借金の返済方法の変更にしか過ぎないと思う。道路関係四公団民営化推進委員会の「高速道路を建設した借金を道路利用料で返済すると考え方は崩壊している」という認識は正しい。こんなこと、もう誰も信じていない。できてしまった借金は、結局、いつの時代かの国民が、払うのである。それを、今の国から払って、利用者が増え、道路の借金削減の足しにでもすれば、よいではないか。新たに国が支払うキャッシュを手当てするよりも、余程、実行しやすいと思う。
受益者負担の原則から外れるというかもしれないが、そこで撒いた金は、かなり広い国民に撒かれ、道路建設のように、一部の建設業者だけに撒かれるのより余程公平に思える。
予想される疑問2)− どこを下げるか。それをどう決めるか
どこをどれだけ下げるかは、確かに政治の介在する余地があり、また道路族のようなものが跋扈するのかと思うと嫌な気分になるかもしれない。しかし、それを逆手にとればいい。まず、高速道路の改革に余りに抵抗するところは、料金値下げの予算が取れないようにする。極端な話、低料金化のエリア指定の際に、今回の道路公団民営化委員の意見を尊重するとか、かなりのメンバーを現実に重複させるとかすればよい。これは、余分な話しだが、一時的に料金を下げてデータをとることによって、民営化して料金を下げた場合に、どの程度利用者が増えるか、価格弾力性を調べ、民営化時の経営をできるだけ正確に予測することに役立たせることもできる。
一方で、民営化で「高速道路建設の陳情」という存在意義を取り上げられた地元の先生方に、料金値下げの陳情合戦という、「生活の場」を与えればいい。そうすれば、政治家も地元へのアピールができ、存在意義を発揮できるではないか。今、高速道路の新設から政治家を排除した場合、その政治家達の存在価値を発揮する場がなくなってしまう。そういう人たちは、死に物狂いで民営化に抵抗するものだ。彼等に、新しい、活躍の場を与えれば、受け入れやすくもなるだろう。
予想される疑問3)−不必要な高速道路を作った地元の責任
利用度の低い高速道路を作ったところが、今度は、料金値下げの恩恵を受けるなんて焼け太りではないかと言う批判もあろう。これは、モラルハザードの問題で、建設の意思決定に関わったものの責任を徹底的に追及すればよいと思う。それと、できてしまったものを有効に使うことは、分けて考えるべきだ。「私が作った」などと威張っていた政治家には、私財全額提供させた上に、立候補資格の剥奪をしたいくらいである。
やや話はそれるが、民間企業には、株主代表訴訟があり、地方自治体には住民訴訟があり、民間企業の経営幹部も、地方自治体の役人も間違った判断をすると個人資産で賠償を支払わされる可能性がある。国会議員も、威張って「私が作った」などと言う以上、その結果が余りにひどかった場合には、私財提供を含めた、責任をとるべきだ。「威張る以上は、失敗した時に責任をとれ」と思う。今の道路建設のシステムは、国会議員にとって、威張るだけ威張れて、失敗した時の責任が追及されないので、「やれつくれ。ほれつくれ。」というのである。モラルハザードは、ちゃんとするべきだ。
● 道路料金値下げの効果
まとめると、道路料金の値下げは、次のような効果があるだろう。
1)景気刺激の即効性がある
2)構造改革を進める。
@ 国内産業の生産性を上げる
A 明日から目に見える改革をすることで、改革への国民の支持を得る
B 抵抗勢力に、構造改革につながる新たな活躍の場を与えて、改革を進めることができる。
以上のように、道路料金の値下げは、景気刺激と構造改革との二兎を追え、しかも、やる気になればすぐに実行できる政策だと思うのだがどうだろう。
9月4日
残酷な日本社会
○ 貴乃花が今場所から復帰するという。少数意見だとは分かっているけれども、敢えて言おう、どうしてケガをしているスポーツ選手に、半ば強制的に試合に出させるのだろう。本人が納得して「出られます」というまで、2年でも3年でも待てばいいと思う。
○ 第一、「痛い」ではないか。細君曰く、「最も根性という言葉と縁の遠い人間」である僕にとって、痛い話、痛そうな話は、聞くに堪えない。関取としてはもちろん、一生、健常者のように動けなくなった場合、誰がどういう形で今回の決定の責任をとるのだろうか。あんな鬼瓦みたいな顔をして、一番一番を取っていくのを、貴乃花の膝がちぎれるまで、みんなで見物しようというのだろうか。やめてくれよ、そんな残酷なことは。
○ スポーツ選手が大怪我から復帰する場合、あせる本人が思うよりも遅いくらいのタイミングで復帰させる方がいいくらいで、焦らせないことが大鉄則のはず。それを周りが、横綱だからといって、期限を切って無理やり復帰させるなんて、全く正反対の動きである。サッカーでも野球でも、あんな大怪我から復帰するのは、2年くらい平気でかかっていると思う。
○ 膝関節が完治していない選手に無理やり試合に出させるなんて、ほとんど「人権侵害」ものですよ、これは。例えば、今場所復帰することによって、貴乃花が一生生活に支障が残るほど膝の状態を悪化させてしまった時、世界的人権擁護組織にでも告発されれば、言い逃れできないのではないだろうか。
○ 今回の顛末は、たとえ、結果的に貴乃花がそこそこの成績を残せたとしても、日本の社会の反省材料だと思う。
○ うーーん、やっぱり、僕は、変わり者なのかしらん。ああいうのが世間で批判されずにまかりと通っているのを見ると、自分の常識が世間からずれているのかと思いひどく不安にさえなります。
9月2日
アーミテージ発言
○ 先週の木曜日(8月30日)から体調を崩し、最高「体」温39度を記録、全く動きがとれませんでした。今日から再復活です。
○ 8月26日に中国を訪問したアメリカのアーミテージ国務副長官が、記者団の質問に答える形で、中台関係について、コメントしました。その報じ方が、中台のメディアでかなり違っていて興味深いものでした。
○ まず、中国。8月26日の新華社通信は、「アーミテージ米国務副長官は26日、北京で米政府は「台湾独立」を支持しないという立場を示した」と報じています。(http://www.xcnjp.com/news/news_body/01/20020827113248_01_01_1.html )
○ 次は、台湾。8月27日付け自由時報は、アーミテージ氏の述べた内容を「米国は、台湾独立を支持しないが反対もしない」としています。また、聯合報では、更に、「両岸の人民が合意して解決できるなら、米国としては介入しないと述べた。先日のウルフォウィッツ副長官による「米国は台独に反対する」との発言を打ち消す内容。」と報じています。
○ こうなると、事実を見てみたくなります。これがインターネットで見られるのですね。当事者であるアメリカ政府公表の記録が、米国政府のサイトにでています。(http://usinfo.state.gov/ 現時点では、このサイトでRegionsの中のEastAsia/Pacificをクリックすると、EAST-ASIA
PACIFIC ISSUEに出ています)。
○ まず、この議事録のページのタイトルがこういうものです。
"Armitage Says U.S. Does Not Support
Taiwan Independence."
「アメリカは、台湾の独立を支持しないとアーミテージは言った。」
中国に分のある見出しですね。
○ 次の、記者団とのQ&Aの最初の方で、アーミテージ氏は次のように答えています。
The U.S. view has been put forward by spokesmen
from the State Department and the White
House. That is that the U.S. does not support
Taiwan independence..
確かに、はっきり言っています。「アメリカは、台湾の独立を支持しない」と。これで、この記者団とのQ&Aも台湾問題から離れていきます。
○ 僕も、もう、読み続けるのをよそうかと思う程最後の方に、もう一度、ある質問者が、話題を中台関係に戻します。比較的台湾よりのアメリカ系の記者かもしれませんし、台湾系の記者かもしれません。それに引き続いた質問が次のようなものです。
And, what could happen if, this would shock
us all but, if the people on both sides of the
Strait decided that Taiwan could go independent?
Would Washington continue not to support
Taiwan independence?
「両岸の人々が、台湾の独立に合意した場合もワシントンは、台湾の独立を支持しないことを続けるのでしょうか?」
○ これに対する、アーミテージ氏の答えがこうです。
The wording is important. By saying we do
not support, it's one thing. It's different
from saying we oppose it. If people on both sides
of the Strait came to an agreeable solution,
then the United
States obviously wouldn't inject ourselves.
「我々は、独立を支持しないと言っているだけです。これは、独立に反対すると言うこととは、異なることです。」
これを受けて、台湾の各紙は、「アメリカは、台湾独立に反対しない」と報じた訳です。
○ 上記の全体を見ると、僕は、中国のメディア、台湾のメディアのどちらかが偏向報道だったとか、アーミデージ氏の発言がいい加減だったとかと、責める気がおこりません。
○ このQ&Aの全体をみると、そして、米国政府のサイトの見出しをみれば、アメリカ政府が北京で言いたかったのは、「アメリカは、台湾独立を支持しない」ということだと思います、この点で、新華社の報道がひどく偏っているとは、言いにくいと思います。
○ しかし、このままでは、まずいと思った台湾を思う人々が、最後に、一生懸命くらいついている姿がこのQ&Aの最後の方に見えます。それで引き出したのが、「独立を支持しないが、反対もしない」という台詞です。引き出した方も立派ですし、言った方もたいしたものです。アーミテージ氏は、従来の政府の方針から一歩も踏み出さず、台湾のメディアに見出しを提供した訳です。
○ 以上のやり取りを見ていて、個人的には、次のようなことを思いました。
a) 中国もひらけたものです。こんな質問が平気で出ているのだから、たいしたものだと思います。
b) 台湾の頑張りに驚きます。日本の外交の足を引っ張る場面が散見される日本のメディアに比べれば、メディアを含めて、実に、一生懸命頑張っているように思います。
c)台湾のメディアは、全て外省人系で多数の本省人の意向は無視されているという日本人がかなりいますが、上記報道をみても、それほどではないと思います。
○ では、結局のところ、アメリカ政府の今のスタンスは、どうでしょうか。アーミテージ氏の言葉を借りて、簡潔にいうと次のようなものと言えるでしょう。尚、米中台関係というのは、最もリアルな国際政治の場なので、「支持する」、「反対する」というのは、当然、「アメリカの武力を使って支持する」、「アメリカの武力を使って反対する」を意味しています。(このあたりが日本人には、背筋が寒いというか、しゃんとさせられるものがありますね)
1) 中台関係の武力による解決には反対する。(中国が台湾に攻撃をしかければ、アメリカの軍隊で守る)
2) 台湾の独立は、支持しない。(アメリカの軍隊は支援しない)
3) 台湾の独立に反対しない。(アメリカの軍隊が、独立をつぶすということはしない)
○ 非常にクリアのようですが、言語明瞭意味不明瞭、結局、アメリカがどう動くのか分かりません。例えば、今年後半から来年始めにかけてアメリカの対イラク戦争が終わったとします。それから数ヵ月後、台湾が住民投票の末、独立宣言をし、それに対して、中国がミサイル攻撃をした場合、アメリカは、どうするのか。台湾を軍事支援しないと1)に矛盾するし、台湾を軍事支援すると2)に矛盾します。実は、アメリカがどうするのかなどというのは、その時のアメリカの世論によって決まるのでアメリカの大統領すらも分かりません。だから、曖昧にしておくのだというのが、前政権のナイ氏などの結論でした。現政権スタッフも、就任以前は、曖昧はよくないと言っていたのですが、今のアメリカは、中東が忙しくて中台関係をはっきりさせるだけの余裕がありません。結局、このあたりの曖昧なところが、アメリカの現状に近いのだと思います。
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