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[7140] 沈みゆく男 '02/03/09(土) 21:28:17

 あー、どうももうアメリカンコメディの下ネタには、ついていけん部分があります。「アメリカンスウィートハート」の脚本は、ビリー・クリスタルが噛んでいるだけあって、馴染めんですたい。展開はご都合主義極まれりだし、ジョン・キューザックは相変わらずキ印キャラを与えられているし(そろそろ飽きてきた)。音楽も「こんぺいとうの踊り」を面白く使ったシーンに多少の新味が感じられたぐらいで、ほとんど効果を感じませんでした。ジュリア・ロバーツに厳しく、キューザックに甘いと言われる私ですが、本作では相殺できず。

 こんなもん、見せられると、「殺しが静かにやって来る」的な感覚の映画は、アメリカ人には絶対作れないと確信してしまいますな。例外はテリー・ギリアムですか。ハッピーエンド・バージョンを流しておいて、それがサイレンスの妄想であることを観客に提示。そして、通常のラストを持ってきて観客の絶望感を倍増(「未来世紀ブラジル」)させるぐらいのことはやりかねません。

 ところで、VAIOのコマーシャルで、おええしすの歌が使用されておるらしいですな。タワーレコードのCMソングコーナー(志の低い販売法だ)で立ち聞きしました。挿入曲で面白かったのは「アイ・アム・ザ・ウォルラス」。ドラムがすごく下手なんですけど、ギターアレンジは悪くないですね。個人的には嫌いなバンドであるU2のエッジが広めたカッティングに影響されたギタリストが多いことを、改めて実感しました。

Name: PINGUINO  Mail: vamos_a_matar@mac.com

[7139] 早起きのわけはいずれ '02/03/09(土) 07:06:33

きょうはずいぶん早起きしているでしょう。ふっふっふ、そう、きょうはとある二本立てをみにゆく予定なのです。

ちょっと時間ができたので、終わりそうな映画をかたっぱしからみた今週。「沈みゆく女」をみました。感想。なんだかなまぬるい映画だなあ。かつさんのおっしゃるとおり、ひんやりした感じの映像はいいかんじなのですが、全体に雰囲気ばかりでふわっとしてました。テーマやとりあげる題材としてはがんばっているんだけど「いわゆる、ありがちな、いかにも女性が撮った」映画になってるのがおしいです。心の闇をもっと赤裸々に描写しろ、というのではないのです。このお話の場合、「身をおとしていく」ことを選択したのはほかならぬヒロインなのに、結末も映像も、肝心のところをするする逃げているかんじがもったいなくて。痛い目にあうまで、アブナイことを続けてしまうヒロインが、「やめられないの」とぽつんというところや、逃げようにも逃げられなくなっていくあたりは、モリー・パーカーの清楚な容貌もあってぞくぞくするものがあるのですが、映画はヒロインを「痛い目」にあわせても、ヒロインに精神的な責任をとらせない。ナルシスティックな視点に同情的すぎて、周囲を傷つけながら危険に自らとびこむのは「幼少時の記憶」や「男のせい」というのはあまりに身勝手だし、月並みだなあ。ラスト近く、閉ざされた部屋のなかで彼女がなにを思っているのかが、一番知りたいところだったのに。

>サイレンスさん。ぷちぷちクッションの英国名および、それにまつわる逸話をありがとうございました。最近、かの国から送られてくる荷物にはカラフルだったり、巨大なタイプのものもまじっています。人知れぬ開発の苦労とか、プロジェクトXなみにあるのかと推測されます。でも「荒野のドラゴン」一本で転身する役者さんほどドラマチックじゃないだろうなあ。

>Mayさん。指輪>並び時間+予告編+本編で四時間はみておくように某所でいわれました。まったくそのとおりだと思います。なかなかみられませんよう。
エアープチプチ>あれをつぶすという行為自体がなんか、微苦笑をさそう行為なんですよねえ。

劇場予告で、スター・ウォーズ エピソード2の予告をみました。宇宙学園ラブコメってたしかに。テーマは恋と学問ははたして両立できるかってとこ? 兄弟子のオビワンは二人をじゃまする分別くさい優等生? あー、これはニーベルングの指輪でいえば「ワルキューレ」にあたる大事なおはなしなのに。うわっついた絵づくりが不安です。

爆笑「キリング・ミー・ソフトリー」の紹介は、後日。

Name: みいちゃん  Mail: bluetonic@geocities.co.jp

[7138] 虫愛づる姫君の映画ではありません '02/03/09(土) 06:56:37

「インティマシー/親密」は、登場人物をしぼりこんだ密室劇的作品で、監督も役者も脚本もよくって大満足。おかげで、主演のマーク・ライランスが気になってしまいました。「ベンヤメンタ学院」のときもちょっと気になっていたのですが、妙な映画だったので(クエイ兄弟の実写版)、半世紀くらい前の役者さんだと思っていたくらいです。「プロスペローの本」ではファーディナンドを演じていたのですが、グリーナウェイのこの映画って、台詞のほとんどはギールグッド先生があてているので、個々の役者さんの印象が非常に薄い(ダンサーは別)。見直してみてもラストシーンでは巨大なエリザベスカラーに埋没してしまっていて、彼だと思ってみても顔がよくわかりませんでした。なんだか、もっときちんと出演している映画がみたいのに・・・と検索してみて、よいものをみつけました。「エンジェル・アンド・インセクト」。ヴィクトリア朝のコスチューム・プレイで、マーク・ライランスは博物学者役。昆虫学者の娘の、美貌の令嬢に魅せられて虜になってしまうのですが、令嬢には兄の影がちらつく、という文芸メロドラマ。しかも、アカデミー賞に衣装デザインでノミネートされている作品ではありませんか。ところが、DVD版につけられた邦題があまりといえばあまりなのです。だって、「変態愛 インセクト」。どわ〜、この邦題、あんまりです。昆虫学者だからヘンタイ愛なら、宛てる漢字がちがうでしょーがっ。インセクトのほうは、原題がインセストとかけてるっていうのは、みてるとわかるのですが、それにしてもなぜ変態愛。そして主演女優はパッツィ・ケンジット。ああ、しかもパッツィ。もう、この典雅な映画の行く末は・・・。「ガヴァネス」→「視姦 無修正版」、「令嬢ジュリー」→「仮面令嬢」につぐとんでもタイトルです。なかみはなかなかおもしろかったので、また後日リポートします。

Name: みいちゃん  Mail: bluetonic@geocities.co.jp

[7137] 指輪、敢えて言うなれば '02/03/05(火) 21:37:20

そう今年は、去年のようなことじゃいけないわ!と、ちらちら映画館に通っていました。といっても水曜日限定、行ったり行かなかったりでしたが…『シュレック』『フロム・ヘル』『ジェヴォーダンの獣』『助太刀屋助六』というところ(どんな並びだ!)。
シュレックは、アンチ・ビューティであるあたりは非常にナイスなのですが、それならそうで話が見え見えのキレイさにまとまってしまうのが矛盾している。美女と野獣でなぜいけないのか?助六は…岡本喜八の余興といったらコトバは悪いけれど、楽しみのために作ったというだけの映画かなあ。
まあそれぞれ製作的こだわりは感じられるのですが、どうもこう「映画」を観た!という感慨が薄く、映画らしい映画がみたいみたいと思っていた折りも折り。『指輪』は、単に原作から物語が立ち上がっているだけでなく見事に「映画」なので、それを満喫させてくれました〜。

まあ実際のとこ、ああ、映画上こういうストーリーに、こういう流れになっちゃってるんだ、こういうセリフになっちゃってるんだ、あああの場面なくなっちゃったんだ、等々挙げれば切りが無いっちゃないんですけど。それを構成した監督の手腕をこそ買うべきなんでしょうが(でも好きなシーンとか設定だと寂しい)。
それと、ジェットコースター的に展開する人物達の運命を主眼にすることは、原作がもつ叙事詩的な面を犠牲にするということでもあるのですが。「物語の中に伝承がある」ような、頻繁に差し挟まれた詩に相当するものは、ただ地球上とは俄かに信じ難いニュージーランドの自然の描写が代弁しているのか…

>たけうちさん
>「指輪物語が映画になる」というニュースがMoviespottingを駆け巡ったのは1999年8月のこと
えっなんと!そんな前?長かったんですねえ〜いやはや。そういえば当時「ホビットはどうするんだ!小さい人を使うのか!?別の映画になっちゃうぞ!」とかいう意見が出ていたような…(笑)。

>みいちゃん
ごぶさたしました〜。
このキャスト、凄い説得力なんです〜!とにかく一度観ると決定的な印象が残ります。特にアラゴルン好きだったわたしは感涙。昔のわたしのイメージではガンダルフはもっと謹厳な人物でしたが、さすがサー!ガンダルフの本質を突いてきます、参りました!
>ぷちぷち
「エアープチプチ1.5m幅X42m巻2,800円」梱包材屋さんに売ってます…ぷちぷち好きの友人に「どう?」って言ったら「毎日20cm平方つぶしたとしても4年4ヶ月くらいかかるね…ニヤリ」だって。そんなに人を待つのはイヤでしょうね(すっすいません別に茶化しているのではない)。

Name: May  Mail: miao@mbm.sphere.ne.jp

[7136] 彼らはそれを「エアキャップ」と呼ぶ '02/03/05(火) 10:34:04

ちょっと自慢話。えへへへ…。
6月7日発売予定のDVD、『荒野のドラゴン』の主役はチェン・リーと名乗っていましたが、実は日本人俳優早川明心さんであります。“取材”と称し、年末に彼を囲んで銀座で“極薄切り牛肉お湯浸し”(あまり食べた事が無いので、正式名称を何と呼ぶのか知りません)を食していたのだな。
主役はこの作品1本だけなのですが、それでも元俳優。オーラが違いました。格好良かったですよお。「ショーン・コネリーは渋いね」なんて仰るのです。映画を観た感想ではないんですよ。会員制ゴルフクラブのバーで隣り合わせた時のコメントなのであります。
その彼は今や英国某社の社長。その会社は、実は『インティマシー』で女が来るのを心待ちにしている男がつぶしていた「ぷちぷちクッション」を製造しているのでありました。
マーク・ライランスがつぶしていた「エアキャップ」は、元マカロニウェスタン俳優が作ったものなんですよ〜。「だから何?」と問い返されると、何も言えませんが。

ショーン・コネリーつながりではないですが、昨晩は『大西部無頼列伝』と言う、昼間に音声に出すのが躊躇われるようなタイトルの、ジャンル映画を観ていたのです(原題は“INDIO BLACK”と言って、これも相当に恥ずかしい)。主演はユル・ブリンナー。この作品は007を西部劇に置き換えた『西部悪人伝』と言う映画の姉妹編で、ディーン・リードというにやけたロック歌手が共演しております。
某マカロニBBSで聞いた話では、このディーン・リードの伝記映画をトム・ハンクスが映画化するそうな。本当に共産圏のアイドル歌手だったんだあ。『大西部無頼列伝』の当時のパンフには、「ディーン・リードは名前がジョン・リードに似ているため、ソビエトで人気が出た」…なんてトホホな解説が書かれていたのです。だったら、リチャード・ハリスンも某英国男優に名前が似てるので(ほとんど同じ)、もっと人気が出ていい筈だぞ。

http://www.spo-k2.co.jp/title/macaroni2002/

Name: サイレンス  Mail: imura@tocom.co.jp

[7135] ベンヤメンタ学院の生徒さんだったなんて '02/03/05(火) 03:11:14

「インティマシー/親密」をみました。これ、本当に素晴らしい作品でした。パトリス・シェローの作品だから、痛いぐらいに激しい、とてもエキセントリックなものを想像していたのですが、大違い。とっても大人で、普遍的で、でもどこかアイロニックな世界。場所をロンドンにしたのがよかったのかな? 原作がハニフ・クレイシ(「マイ・ビューティフル・ランドレット」の原作者ね)だから、やはりこれはイギリスで撮らないとだめだったのね。ちょっと人生の表側からずりおち気味の主人公をとりまくパブの仲間たちとの友情とか、女に対して偽悪者ぶっているくせにシャイな男たちとか。なんか、ぜんぜんラテン系じゃないキャラクターが活躍するのはやっぱり、ロンドンでないと。

前面に押し出されている「性描写」に目がとらわれがちですが、この映画、ちっともそれがメインの映画ではないのです。五回ほど性行為が、それもかなり赤裸々に写されるのですが、むしろそれが意味するのは、多義的な要素を含む恋愛感情が進行する、その経過報告としてだから、ちっともエロティックな表現はなされない。むしろこれほどムードを廃して、真摯に、身も蓋もない性表現をする映画って、めずらしいのでは。ふわふわしたところがまるでなくて、肉体の反応をドラマの進行のうえで直視しようとしている。すれ違いながらも急速に肌がなじんでいく様を「演じた」主役の二人、マーク・ライランスとケイト・マクギリス(シャロウグレイヴのおねえさん! びっくり!)の勇気はすばらしいです。互いにワケアリそうな、不幸そうだった二人がはじめて幸福そうに、満ち足りた表情でよりそったとき、カメラがケイトの肩の線の美しさとか、なめるように撮る。「ああ、きれいだな」と思った瞬間、観客はすでに男の視線に感情移入している。そして、男はこれまで知ろうと思わなかった女の正体がきになって、帰る女の後をつけていく。街中で女を追う男の目は、恋するものの目になってしまっている・・・。撮り方、うますぎです〜。

男の純情が炸裂するラストまで、まったく目がはなせない密室劇。息がつまりそうな映画かと思えば、女がくるのを心待ちにしている男が「ぷちぷちクッション」をつぶしていたりして、なんともせつなく、ユーモラスな描写がたまらない。そして主人公を演じたマーク・ライランス、かっこよすぎですう。舞台俳優ならではの動きのキレの良さ。華奢な腰骨はシェロー好み? 「インティマシー」なのはカメラじゃないかと思わせる濃密なショットも、彼の魅力があってこそ。遠目には、髪の薄くなりはじめたおじさんなのですが、よくみると体の線がエレガントで、妙な色気が。しかもどっかでみたことがある顔・・・。パンフをよんで、うなってしまいました。だって、このおじさん、「ベンヤメンタ学院」の主役のおにいさんじゃありませんか! なんと、シェローは伝説の俳優(?)を脱がせちゃったのでした。

>Mayさん。おひさしぶりです! ああ、そしていきなり「指輪」! Mayさんの書き込みをよんで猛烈に観たくなってしまいました。しかも、キャストがそんなに美しいなんて、反則技だわ。「指輪」って、そんなキャラクターだったかなあ? はまってしまいそう。きっと「指輪」をみたあと、「ハリー・ポッター」を観ると、口直しにまた「指輪」をみてしまうかも。とにかく、アカデミー賞前にみるのが目標です!

>風見まほさん。どなただかわかりました〜。いつもお世話になっております〜。「ハンサムなアントーニオ」は邦題「汚れなき抱擁」です。「狂った夜」とともに探していたのですが、ある日ふっとメジャーどころからUS版が出ていてびっくり。セリエB系はたしかに、今回フィルムセンターからは無視されまくりでした(あたりまえ?)。マリオ・バーヴァも入りが悪かったのはちょっと意外。ピエール・クレマンティは、イタリア語版「山猫」ではほんのすこし出番が多かったです。

>たけうちさん。指輪>公式サイトができるやいなや、大いにもりあがっていたのでしたね。配役が決まった時点で、世界中の「指輪好き」から「イメージをこわさないで!」と嘆願され、注目されてきた役者さんたちは、いまどんな晴れがましい気分でいるのか。とにかく、アカデミー賞って、やたらと本編をみせてくれてしまうので、はやくみなくては、です。評論社の豪華本が欲しくなってきてしまいました〜。

Name: みいちゃん  Mail: bluetonic@geocities.co.jp

[7134] チェーホフ版不実の愛、短く燃え・・・とはいえ、出番短すぎ! '02/03/05(火) 02:35:30

週末、久々あそびまくり! 名物カレーを食べに、とある街にもいきました。でも夜になるとせっせと仕事のファイルつくる日々。家に仕事を持ち帰るのはよしましょう・・・。

先日、初めてスターダンサーズバレエ団の公演をみました。ケネス・マクミランのミックスプログラムを踊るゲストのサラ・ウィルドー&アダム・クーパー見たさです。彼らの出番はすごく短かったですが、オケつきだったし、久しぶりにかいだロイヤルのかほり(exロイヤルだけど)に満足です。

数年前にみたロイヤル・ガラ以来のサラ・ウィルドー。あいかわらず初々しくてかわいい〜。そんな彼女が、配偶者のアダム・クーパー氏と組んで踊るのをみたのは、実ははじめてなのです。クーパーは背が高いので、シルヴィとか、バッセルとか、お相手の女性がいつも大きかったのですよね。ですから、今回「七つの大罪」から、「傲慢」と「欲望」を二人が演じたときの、フィギュアスケートのペアみたいな身長差が新鮮でした。カーテンコールでクーパーがちょっとかがんでウィルドー嬢のおでこにキッス♪していたのがほほえましくて。

「七つの大罪」の猥雑な雰囲気もなかなかよかったですが、その日の白眉はやはり「三人姉妹」から、次女マーシャと将校との別れの場面の抜粋でした。クーパーの踊りは、いうまでもなく端正でかつ情熱的だし、彼に的確にリードされて、上品で清楚でいながら徐々に内なる情熱を物狂おしくさらけだしてゆくウィルドーのマーシャがもう、絶品。マクミランの振り付けは、上手にきれいに踊ればいいってものじゃなくて、技術があるのは当然で、その上にさらに踊り手の内面をぶつけあうようなエロティックな要素が要求されるから、踊り手は大変。しかも、ただ官能をみせればいいのではなくて、チェーホフの繊細でおさえにおさえたパッションの世界ですからねえ。ああ、久々、酔いました。でも、ほんの一瞬。

Name: みいちゃん  Mail: bluetonic@geocities.co.jp

[7133] そう言えばこの物語には「対」になる人達が多いかも '02/03/05(火) 01:15:57

こんばんは、ご無沙汰しております。
「指輪物語が映画になる」というニュースがMoviespottingを駆け巡ったのは1999年8月のことでございます。たまたま過去ログがとってあったのですが、そう言えばマッケラン=ガンダルフはかなり始めの段階に決定していたのでしたね。それから軽く2年半以上…いやほんと、待ったの待たないのって…。私はラッキーにも皆さんより2ヶ月も早く見ることが出来たわけなんですが、やっとおおっぴらに語れます。
とにかく原作ファンにとっては絵本がそのまま飛び出てきたような状態で(何しろ、原作のイラストレーターが美術をやっていますので)物語が展開し、想像するしかなかった光景が想像以上の形で眼前に広がる喜びでまずいっぱいいっぱいになってしまいます(私としては「川の水が白い馬になって乗り手達に襲い掛かる」の図が現実のものとなったのが感動的でした)。
「ハリー・ポッター」の原作がかなり映画的/ゲーム的と言われていますが、何しろト−ルキンの場合は神話の創造であって、基本的に「言葉」で緻密に世界を構築することが主ですから、ビジュアル化はしやすくもありしにくくもあるでしょう。その事業に徹底的なオタク的こだわりをもって挑んだピーター・ジャクソンの気概には感嘆せざるを得ません。しかもただ単純に書いてあることを現実にするだけではなく、きちんと彼自身の解釈も打ち出されている。そしてすべてのキャラクターがこれ以上ないと言うキャスティングで、まさに血肉のある人間として(人間だけではありませんが)存在し、文字だけでは想像し得なかった新たな部分を見せてくれます。
これは空前絶後の規模のインディーズ映画です。
…って言いますかもう誰も彼もかっこよすぎです…泣くう。

Name: たけうち  Mail: take-m@ka2.so-net.ne.jp

[7132] あの方ではないかも '02/03/03(日) 13:51:30

う〜ん、なんか人違いなような気がしますが、それでも話がつながっちゃうから凄いですよね。もちろんボロンテも弟も好きですよ。掲示板は初めてかも知れませんし、HN使ってキャラクターが別人みたいになっちゃってる(?)ので分かり辛かったかも。すみません。いちおう、パゾリーニの「殺して祈れ」が最初で、ズルリーニの「国境は燃えている」が最後になってる者です。いやいや、それにてしも毎日お疲れ様です。私の方は「アメリカン・ビューティ」以来映画館には足を運んでないです。「指輪物語」にはクリストファー・リーも出るそうですが... 怪物役ではないのですね。
「Il Bell'Antonio」は見憶えないかも。これは三位一体でもなかなか入らないんですよ。この頃のM.M.のオーラは相当なものじゃないでしょうか。C.C.と言えば最近観た「白熱マフィア戦争」でもシチリア女を演じてましたよ。ところで東京ではお祭り今年もやるんですねぇ。ラウラ・ベッティの監督作ですか〜。こちらはジョー・ダマト、ウンベルト・レンツィやアルド・ラドーといった映画界の「セリエB」で一人祭りをやってます。(観たくな〜いとか言われそ)

Name: 風見まほ

[7131] 灰色のガンダルフにあやかって灰色(な訳ではない本来) '02/03/03(日) 02:23:40

皆々様
明けましておめでとうございます。旧年中は大変ご無沙汰致しまして面目もありませぬ。さりとて今年も早や弥生になりぬれば(いや〜今日昼間あったかかったっすねえ。もう春ですね春)、遅れ馳せながら御挨拶を申し上げます次第。
って毎度こんなことばっか言ってるような気もしますが…や〜ホントごぶさたしています。今年はちゃんと映画をみるぞっ!と誓っていたところ。
ふっふっ去年から今か今かと待っていたものを、ついに公開初日に観るという偉業を達成しましたよ(偉業を達成した割に、自分で列に並んだ訳じゃないところがちと何ですが…)。んで偉業を達成した途端に、その続編を待ち焦がれて心は来年に飛んでいるというのはあまり健康的なこととも言えない感じです、はっはっは。

"指輪"が映画になるというニュースが世界中を駆け巡り、キャストが決まったというニュースも駆け巡り、作っているというニュースも駆け巡り、できたというニュースも駆け巡り、しかもそれがとんでもなくスゴイらしいというニュースも駆け巡り、公開されるや本当に凄いというニュースが駆け巡るまで、ここまで長い時間を待ちましたがついにとうとう見ましたこの目で「旅の仲間」。
いや〜フロドとは思えないほどハンサムですねフロド(?)。しかしまあよくぞこう、ここまではまったキャストが組まれ、各役者がそのキャラクターに成り得たかというのが驚嘆すべきこと。それを弛みなく奔流のようにひた走る映画に練り上げたというのもまた、なおのことです。やはり、原作に親しんできたものにとっては、思い描いていた世界がここまでの映像をもって眼前に立ち現れる衝撃は強いですね。
わたしなどなにかこう、いちホビットになってガンダルフの花火にうっとりし、厳しくも美しいかんばせの王者にうっとりと見とれ、エルフの女王にうっとりし、低音の魅力の白髪サラサラ賢者にうっとりし、あっなんか形容が全部うっとり気味ですが、とにかく「うっとり」で全然ダメでした(笑)。
なんというか人物の、歳を経てきた者がその年月を透徹し醸し出す美、というのがたまらなく素晴らしいのでした。特にガンダルフとサルーマン…そしてもう少し若いアラゴルンとボロミア。この二人が画面に納まっている場面はそれだけでうっとり、じゃない(うっとりだけど)、似ていると共に相反す要素が静かに火花を散らすかのようです。指輪の物語が、人物の心の戦いを主眼にしているだけに今回の人物の生命感、エネルギーに満ちた姿は物語を具現する確実な一助になっているかと。

それにしても今日は友人にご馳走になったカレーはおいしかったし、映画は満喫したし、ハガキは買ったし、アサグラのミフネ追悼号は入手した(してもらった)し、いい一日だったなあ。ガンダルフの花火の夢を見てシアワセに寝よう…
それではみなさまよい夢を。明日はスーパーに行ってブルボンの菓子を買うです。

Name: May  Mail: miao@mbm.sphere.ne.jp

[7130] 労働者階級はサービス残業に入る '02/03/02(土) 02:03:00

へろへろへろ〜ん。人手不足で残業が増えちゃって。薄利多売の世の中なので、仕事全体も増えているようです。おかげで長い一週間でした〜。同時に短い二月が終わってしまいました。あ〜あ。もう明日から指輪物語がはじまっちゃう!

>かつさん。マクガバーン>やはり、最後でガツンとやってくれてますか。私がいまもっとも信頼している脚本家の作品なので、なまぬるいんじゃやだなーと思っていました!
穴>私のみた予告はもっとフワフワひらひらしたものだったような。むむむ。ソーラ・バーチといえば、「アメリカン・ビューティ」のソフトがようやく発売されましたね。
沈みゆく女>モリー・パーカーのひんやりしてそうな肌が映像映えして好きなので、なんかそれだけが楽しみなんです。原作ものなのに、ふわっとした印象を与えてしまうということは、映画の作り手が(おそらくは)かいつまんでしまったディテールに、リアルなところがふくまれているのかしらん。うう、しかし、これと「インティマシー」がともに8日までとは。日程がきびしいっ。
シャーリー>連日タンクトップにサスペンダーだったのですね。私は先行予約だったのにCブロックになってしまってまったく近寄れず。がっかり!

>PINGUINOさん。労組>会社になにかおきたときにはごっこじゃいられないのですから、昇給があるうちは「ござる」でもいいと思います。
ベン・ハー>死の谷の描写はもちろん、健在です。むしろ、字幕がやきこんであるフィルムが古かったので、「業病」と訳されたままでした。むむ。
生み直す>Oasisの母がビートルズなら、父はきっとセックス・ピストルズ。私はビートルズは一生聴かなくてもこまらないけど、Oasisはないとこまる。バカでもなんでも、これが私にとってのリアルなポップチューンなので。U2のボノだけは、リアムの声を正当に評価していると思います。

>風見さん。おお、ひょっとして貴方は近頃残業つづきで顔つきがジャン・マリア・ボロンテに似てきたとおっしゃるあの方? ご無沙汰してしまって、申し訳ありませんでした。日中イタリア映画に通い、夜にオモテ稼業の埋め合わせをする日々で、すっかり消耗してしまって・・・。でも、おかげさまで、また新たなスクリーンの男前さんを多数キャッチいたしました。いま待機しているのはアメリカの密林で入手した「Il Bell'Antonio」。シチリアを舞台にした作品で、マルチェロ・マストロヤンニが妻役のクラウディア・カルディナーレに指一本ふれられないという悲喜劇です。若き日のミリアンも出演しているのですが、脚本がパゾリーニなのでなんだか楽しみ。パゾといえば、朝日ホールで公開される「イタリア映画祭2002」で「パゾリーニ、夢の論理」が上映決定! 監督は、なんとあのラウラ・ベッティ。撮影現場のパゾリーニの貴重なフィルムが多数ふくまれているとか。チラシにうたわれている「パゾリーニ率いる『ソドムの市』組とベルトルッチ率いる『1900年』組のサッカー試合」がたのしみ〜。今年もよろしく!

Name: みいちゃん  Mail: bluetonic@geocities.co.jp

[7129] My Life in the Cult '02/02/28(木) 21:44:36

みいちゃん様、昨年はお世話になりました。重ねて新年の御挨拶ありがとうございます。ミリアン、クレマンティ、テスティ、ロッシ=スチュアート好きの♂の子です(お察しくだされ)。あの、プレッシャーをかけに来た訳ではございませんよ。BBSの方がレスを頂きやすいかなぁ。と思いまして。
前に教えてくださった「La vittima designata」は、主題歌が気に入って、時々聴いていたのですが、最近イタリア版をちょびっと観る機会がありまして、マイ・リバイバルになってしまいました! これはオープニング・クレジットの文字の出し方が格好がよくてシビれます。

ちょっと極めて個人的な私信になりすみません。
また新たな男前を発掘されたらお知らせくださいな。

Name: 風見まほ

[7128] 労働者階級は天国への階段(意味不明) '02/02/25(月) 01:30:56

 春闘終わり! 一昨日、東京に日帰りで出向き、経営幹部に「主張」を行い、地方支局での「オルグ」の結果をまくしたて、とりあえず終了しました。あとは回答待ち。しかし、いまどき、こんな60年代的用語が平然と使用されていることに、労組のごっこ的体質を感じてしまいますね。労働担当役員に「主張」する前の挨拶が「大阪支部地方部長のマカロニペンギンであります」っていうんですよ。平成のこの世に「ござる」などと言っているようなもんだ。

 「ベン・ハー」、ずいぶん見てませんが、いまだに、らい病(ハンセン病)窟に家族を投げ込むような差別的シーンは残っているのでしょうか? 60年代後半のスクリーン誌に、ランニングで体を鍛えるヘストンというグラビアの見出しが「走るベン・ハー!」だったのを発見して爆笑しました。ジェンマの上司だったスティーブン・ボイドの代表作「増える賞金、死体の山」がもうすぐIMAGICAからDVD化されるのでお楽しみに!

 ところで先日、ある雑誌で「海外のプロミュージシャン100人に聞くビートルズ」という企画があったので、立ち読みさせてもらいました。リアムさんはベストにジョンの「Across the universe」を選ばれ、「でも、どれも一番なんだよ。ジョンは別格なんだよ〜」とラリラリの如くのたまわれておりました。じゃあ、なぜわざわざナンバーワンを選ぶ? また別のアーティストは、「ちょっと過剰評価。少なくともビートルズには、Oasisを生んでしまった、いや、生み直してしまった責任を負ってもらわなきゃね」とコメントしておりました。ひょtぅとして、仲間内の評判悪いのか、おええしす?

Name: PINGUINO  Mail: vamos_a_matar@mac.com

[7127] TV向けだろうと容赦しない '02/02/24(日) 23:24:35

『がんばれ、リアム』。みいちゃんが下で書いているようにお話は進んでいきます。そして、貧困と宗教、子供と宗教との関わりがいかに大きいかをきっちり描いた上でその矛盾も指摘する。さすがです。でもそれだけで終わらないのがマクガバーン。最後の一撃はものすごいです。あとから思えば伏線張りまくりなのですが、雑誌等の情報を取り込まないでいることが大事なときもあるんだなって思いました。でもまあフリアーズが監督しているわけなので、たとえこれがはじめの予定通りTV映画として製作され、日曜の夜とかに放送されたとしても次の日に出社・登校をしたくなくなったりはしなかったのではないでしょうか。これをウィンターボトムが撮ってたとしたら視聴者の何人かが死んじゃいたくなるようなものになっていたはず。でも考えてみれば『フィッツ』をTVでやっているんですよね、ウィンターボトム&マクガバーンで。。

僕はこの『がんばれ、リアム』って邦題があざとすぎて嫌だと思っていたんですが、観終わった今はとてもいいタイトルだと思っています。単にスクリーンの中で奮闘するリアム君に向かって「がんばれ」って応援してあげてってことじゃないから。
がしかし、前宣伝に力が入っていたという割にはお客さんは少なかったです。あまりヒットしてなさそうな『インティマシー』の2日目より入ってなかった気が…。もう「こども」を前面に出しただけではお客さんは来てくれないってことでしょうか。

かかっていた予告の中ではソーラ・バーチの出ている英国のパブリックスクールを舞台にしたミステリー『穴』が面白そう、ってゆーか怖そうでした。行方不明になっていたソーラが泥まみれ&血まみれのボロボロな格好でフラフラになりながら歩いている姿を延々と映していくだけなんだけど最後の悲鳴がもうビックリ。。

それから先週『沈みゆく女』を観ました。こちらもお客さん少なかったです。前作の『キスト』は一般的って意味でのリアルさが無かったので、今回は売春をテーマにしてグッとリアルなものになるかと思ったらやっぱりどこかふわっとした印象の作品でした。予告の段階から重要なんだろうと感じていた少女の役割が意外といえば意外なのですが、それがいいかっていわれると微妙ですね。ひんやりとした雰囲気はとても好きだけど。

>ガービッジ
いや〜、恥ずかしいのであまり言いたくないんですけど、サスペンダーをはずした姿で目の前に来てしかもしゃがんでくれたので胸がすっごい近くて嬉しかったんです(バカ)。とりあえずMCでのガハハ笑いは豪快でしたね。マイクを通さないでも聞こえたです。
先週ミュージックフェアに出たんですよね。でも見逃してしまいました。PUFFY(新作最高!)も出ていたのに。。

Name: かつ  Mail: katsu@jc4.so-net.ne.jp

[7126] そのむかし、アラブとユダヤが蜜月だったころ '02/02/24(日) 13:33:38

友人から誘い、誘われ、ちょっと疲れていたのに無理をしてみにいきました、リバイバル「ベン・ハー」。ああ、観てよかった。四時間弱なんて、あっというま! でした。何度テレビでみていても、大スクリーンでみるとやはり別物。情報量が、大きさが、違いすぎる。そして、テーマ曲が流れたとたんに鳥肌が立ってしまうような作品って、そうそう存在するわけではないので、この「旧テアトル東京リバイバル企画」シリーズ、またやって欲しいです。アンケート用紙にはぬけおちていたように思うのですが(テアトルだったのでは?)、「史上最大の作戦」もいつか大スクリーンでみたいなあ。

テレビだと、やはり途中でお茶を入れに席を立ってしまったりするのですが、劇場ではそうもいかない。それで、ふだん見逃していたようなシーンをたくさんみて、発見がたくさんありました。クインタス・アリウスはもと剣闘士だったのだ、とか、ポンテオ・ピラトはアリウスの親友ってことになっていたのね、とか。友人と発見しておどろいたのが、ローマでのパーティシーンで、ベン・ハーに「ぶらさがり」の女の子がいたこと。ストイックなはずの彼にグルーピーが? なかなか謎です(あのシーンは、ローマの上流階級の人々を招いて、一気に撮ったとか)。ジュリアーノ・ジェンマが出ているシーンもしっかり確認いたしました。二カ所ですね。状況設定からいって、彼はメッサラのお小姓役なのではないでしょうか。

私は「ベン・ハー」をオールタイムベストにいつもいれているのですが(ひえ〜)、この映画の魅力って、古い洋書絵本からぬけだしたような格調高い「イエス・キリストの物語」を伏線にして、ベン・ハーという被征服民のプリンスがローマに復讐する、という単純な物語が進行する、この二本立ての妙なのです。だけど、私はこどものころ、「金があって、動機もあるなら、なぜ反旗を最後まで翻さないのだ! 奇跡がなんだ!」とおもって、いつも観たあと怒っていたのですが、これは大間違いでした。最初からみると、ベン・ハーはもともと平和主義者ですし、復讐も「メッサラへの個人的な動機」なんですよね。メッサラが死んだあと、「大好きな、イイヤツだったメッサラをこんな男にしたのもローマだ!」とかいってましたけど、彼が復讐をとげるに至る道をきりひらいたのも「ローマのご威光」だったわけで。彼が矛盾のなかで先鋭的シオニストになったとしても、苦しむだけなんですよ。そして、メッサラのメッセージは「死んでも俺を忘れるな」という愛憎にみちたものなだけに、ベン・ハーがメッサラを憎み続ける限り、彼はメッサラに勝てないんですね〜。だから、この物語は奇跡によって信仰にシフトしたのではなく、許すことを知ったときに、奇跡の恩寵が下った、と解釈するべきなのでしょう。しかし、ベン・ハーって、単純! 「きれいさっぱり憎しみをぬぐい去って」しまわれて、メッサラはかわいそうだな〜。彼は憎まれることによって関心をひく、という愛情表現がたたれてしまったのだから。スティーブン・ボイドの演技は、なんどみても完璧!

Name: みいちゃん  Mail: bluetonic@geocities.co.jp

[7125] 労働者階級は時限ストに入る '02/02/24(日) 13:31:04

いよいよ、イタリア映画大回顧もファイナルに近づきました。そして、ついに観ました、「労働者階級は天国に入る」。これって、深刻な労働争議の映画だと思っていたのですが、コメディじたてだったのですね。お、おもしろすぎです〜。30代から40代の、ちょっと近頃はたらきすぎでストレスたまっちゃったかな? という自覚のある男性がみると、神経衰弱におちいってしまうことうけあいかも。イタリア人が過激でシニカルだということがよおくわかる作品でした。

主役はジャン・マリア・ボロンテです。インディオやチュンチョが拳銃を工場機械のシフトレバーに持ち替えたと思ってください。いやあ、熟練工役のボロンテの、部品を削る手のはやいこと、はやいこと。目もとまらぬ早撃ちならぬ、早削りで生産ラインのノルマをあげすぎて、出来高払いで搾取されることに抗議している労組から「裏切り者」扱いされるかなしさ。しかも、「工場はつまらないから、仕事するしかないじゃないか」とぶつくさいっているうちに、つのるストレス、悪化する胃潰瘍。当然、くたびれて帰宅すれば、家庭では抜け殻同然に。そしてちょっとしたイラつきから指を機械で切り落としてしまい、それをきっかけに「劣悪な環境下で怪我をした悲劇の労働者」として祭り上げられてしまう。優秀な労働者から、突如過激化して強調路線の労組からも逸脱してしまい、一人だけ解雇通知をもらってしまってどうするどうする・・・。まあ、いろいろあって、ラスト、みんなの嘆願によって職場復帰できたときは、おもわずうるうるしてしまいましたよ〜。でも、あのラストは・・・。実によくできた映画でした。日本映画でも労働者を描いた映画は過去、数々ありますが、ここまでブラックユーモアがきいたものって、あまりないです。とりわけ、労働争議に首をつっこむ、無責任な学生運動家たちの描写が辛辣! 「ぼくたちは革命の必要性を説いてまわるだけで、個別のケースなんて興味ないんだ」、なんて、スネカジリがいうのです。解雇されたものは最後の一人まで救うのが前提の労組とはちがうんですよね〜。

ボロンテの熱演って、すごいです。悲惨なのに、どこか笑わせる余裕があって。

Name: みいちゃん  Mail: bluetonic@geocities.co.jp

[7124] 考えると前に進めなくなる女の子の物語 '02/02/21(木) 03:36:30

毎日綱渡りで仕事やっています。とくに今月は短いんだもの〜。近々また会社でお引っ越しがあるからいろいろ片づけなくてはいけないし。そんなこんなで連日午前様。そんななかで、こっそりぬけだしてかけつけるフィルムセンターの闇のなかがもっとも心やすらぐ時間だったりして。

「彼女のことはよく知っていた」>ステファニア・サンドレッリ主演、というのにひかれてみたのですが、これがまたかなりぐっとくる作品で。男から男へとくったくなく渡り歩く、スタイルが抜群にいい女優志願の女の子・・・っていうと「女と男のいる舗道」のアンナ・カリーナみたいだけど、これはそのイタリア版の返答っていうかんじ。ゴダールのそれとはちがって、女の子の行状を観念的に描くのではなく、ひっかかる男のテストケースを、たっぷりみせるところがおもしろい。細部を省略して余剰をのこすのではなくって、類型的かつ通俗的なところをたっぷりみせてしまう。それを、夢のようにきれいなステファニア・サンドレッリがあっけらかんと演じているので、泥臭くなるどころか、キュートでシニカルなカタログのよう。

女優志願なんだけど、自分で自分の良さをちっともわかっていないから、ものすごく可愛いのに、その資質をぜんぜん生かし切れていない。駆け引きが不得意で、妙に正直なので損をする。そのくせ、やたらと行動的なので、ダメな男にばかりひっかかって。はっきりいって、その行動パターンは類型的で愚かなんですが、純情なのでほろりときてしまう。前へ前へと熟慮せずに行動する姿は、上向きのとこには実に魅力的なのだけれど、立ち止まり、葛藤が生じるような場面になると、とたんに弱さが露呈してしまう。欲しいものがわかっていないのにすべてをもとめ、自由できままに暮らしたいのにさびしがりという、実に女の子っぽいキャラクターでした。

ステファニア・サンドレッリって、「暗殺の森」でもちょっと愚かな、考えることをしない、だけども魅力的なブルジョア女を演じているのですが、その数年前に、こんなにいじらしくて魅力的な庶民的女の子を演じていたのですね。彼女以外の女優さんがこの役を演じたら、生々しくてうんざりするか、その愚かさにいらついたでしょう。くったくなく笑っているかと思うと、ふと謎めいた、子供のような顔をするところが魅力的。アントニオーニの描く、熟慮に熟慮をかさね、でもなにもしなかったりする女たちと異なり、考えなしで行動する女の子はドラマチックだから、親しみやすいのね。

インチキくさい映画関係者のパーティシーンで、老醜をさらす元喜劇役者役のウーゴ・トニャッツィがけっこう目立っていたなあ。でも、驚いたのは、ヒロインにほのかな思いをよせている純情な自動車整備工がフランコ・ネロだったことでしょうか。

>PINGUINOさん。組合活動おつかれさまです〜。事実上の査定をへらし、ベースアップをはかってくださいね〜。

Name: みいちゃん  Mail: bluetonic@geocities.co.jp

[7123] バカに埋もれて '02/02/18(月) 00:50:18

 春闘だ、春闘だ! ひー、忙しい。マカロニDVD見る暇もないす。無論楽器にも触れない。無給で組合兼務をやらされてるんで、仕事の合間に団体交渉の原稿やら労組広報誌の執筆やらに追われて、ジャックはもうすぐ気が狂う。また、バカな組合員が組合費払っているというだけで無理難題言いたい放題。給与格差の是正が労組の目的のひとつなのに「よその部の給料削って、俺らの賃金増やせ」だの、人が組合の仕事でたまに勤務抜けると「なんで仕事しない?」だの。ええ加減にせえよ。昨夜は組合抜けるために会社辞める夢まで見ました。あー、幸せになりたい。

 こんな精神状態から抜け出そうと、無理矢理時間つくって「アメリ」を見に行ったら満員で入れません。みんな幸せに飢えているのね。こんなにヒットしているのなら小劇場でやるなや。あー、ジャックはもうすぐ……。

 本を読む時間だけは無理にでもつくっているので、バカに対処するために「まれに見るバカ」(洋泉社)を読み倒しました。何の役にも立ちませんでした。だって、「バカは他人の言うこと聞かない」のが結論だから。

 ところで皆さま、マカロニDVDお買い上げありがとうございます。多くの方にマカロニを再認識していただければ、少し元気になるかな、「同人誌」にも書いてる一員としては。

Name: PINGUINO  Mail: vamos_a_matar@mac.com

[7122] 前宣伝って、やっぱり大切 '02/02/17(日) 23:39:18

>かつさん。『マリー・アントワネットの首飾り』>ちょっとどうかな、と思っていたのですが、クリストファー・ウォーケンで食指がうごきました。きゃ。『娼婦ベロニカ』のなんちゃってイタリアンは、個人的にはかなりたのしめたので、豪華メンバーのなんちゃっておフランスはかなりたのしめるかも。
リヴェット、リンチ・・・。まだ「アメリ」もみていないのに〜。新しい映画をみるのは、とにかくこのフィルムセンター通いから解放されてからのことになりそうです。それも、もうラストですが。
質問>お答えいただき、ありがとうございます。プロディジーからリロイがぬけたこと、すっかりわすれていました。そうですよね〜。あと、ガービッジの五曲目でなにがおきたのか教えていただけると・・・。私が見た二日目の舞台ではとくになにも・・・。衣装もすごくマニッシュでしたし。
修正>ヒロインがたちどまった雑誌売場のグラビア表紙に修正が踊ってましたね。あんなところにまでわざわざワンポイントで修正をいれるなんて、妙に芸が細かいというか・・・。R-15にしたって、あの映画に「劣情をもよおす」ティーンはいないと思うので、まったくご苦労さまなことです。

「がんばれリアム」、ずいぶん前宣伝に力がはいっていますね。スティーブン・フリアーズ監督作品で、貧乏・頑固親父・がんばれ男の子、っていう紹介だと「アンジェラの灰」とどうしてもダブってしまいますが、脚本がジミー・マクガバーンだもの。単なる父と子ものにおさまらない、強烈な一撃を期待しています。なんでも、こんどの親父さんは貧乏なあまりファシズムに傾倒して焼き討ちに参加してしまうそうだから、いまだかつてない厳しい内容になるかも。いくらなんでも「ハート」は内容がぶっとびすぎだったので(おもしろかったけど)、こんどは期待しています。

Name: みいちゃん  Mail: bluetonic@geocities.co.jp

[7121] シチリア紀行 '02/02/17(日) 23:34:14

アントニオーニの「情事」をみました。うーん、みおわってばかりでなんだけど、もう一回みたい。なんかあまりにも前もっていろいろ読まされ&きかされていたので、雑念がはいってじゃまだったっていうのもあるし。もう一回みたいけど、もうやってないし・・・。こんなことになるんじゃないかとせっかくチケットは二回分用意していたのに、「頭のカタイ」フィルムセンターは「キャンセルチケットをお持ちのかたも、当日は朝からお並びいただいて・・・」を繰り返すばかり。むかっ。お金は何ヶ月もまえからはらってるのに、なんでそれが朝からならばなきゃならないの? もっと臨機応変にサービスしてください。く〜っ、口惜しゅうございます。はやくどこかでDVDにしてくれないかな。

誘いにはすぐのるけど決して手の内をみせないブルジョア娘のアンナと、いつも規範にのっとって生きていて万事抑圧的な中産階級のクラウディア。わがままなブルネットのアンナと、みんなに優しいビヨンド(=ブロンド)のクラウディア。大胆なアンナとつつましいクラウディア・・・。でも、二人はどこか共通点があるはず。でも、それがはっきり言語化できない・・・。うーん。サンドロとクラウディアは「なぜ」失踪したアンナにこれほどまでも罪の意識を抱き続けなければならないのか。二人がアンナを殺したわけではないのに。でも、二人がどこかでアンナをじゃまだと思っていたのは事実で。不在の第三者に罪の意識を抱いて、恋愛が成就できないというテーマを変容させつづけるアントニオーニ。第三者が最初から存在しなかったとしても、この不安は解消されないのかも。しかも、不安が高じれば、自分の存在すらゆらいでくる。この繊細さを、「愛の不毛」なんて茫漠とした言葉でかたづけたくはないのですが。もう一回はみないとうまくまとまらないなあ。

モニカ・ヴィッティが道にたっているだけで、「美人だなあ」「まったくだ、まったくだ」と歯並びの悪そうな(失礼)男たちがわらわら現れて、不躾な視線でじろじろみつめるシーンには思わず爆笑。あれって、演出意図があったというより、シチリアロケで偶然あれが撮れてしまったのかも。ヒロインは「みんなが私をせめているようで恥ずかしいわ」といいながら、いたたまれなくなってその場を逃げ出すのだけれど、あれはどうみても「女優さんだー」「おお、ほんとだー」以上のことはないように思いました。

「婚約者たち」という佳作もみました。婚約者がいるのに、シチリアに転勤がきまったエンジニアのおはなし。シチリア島は貧富の差がはげしすぎて、とてもお嫁さんはつれていけない、だから単身赴任だ、という状況設定がすごいんですが・・・。でも、苛酷な自然、素朴な人々にとりかこまれているうちに、いつしか婚約者と手紙をやりとりするようになって、倦怠気味だった二人に愛がよみがえる、というお話がラブリーでした。しかし、「カビリア」にはじまって、「情事」「山猫」にいたるまで、シチリアはロケ地の宝庫ですね。これにパゾリーニの「テオレマ」と「豚小屋」がはいれば完璧なのに。裏テーマはシチリア映画祭?!

Name: みいちゃん  Mail: bluetonic@geocities.co.jp

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