人・ひと・ヒト
人混みを見ていると気が遠くなってしまうことがあります。
休日に、某繁華街で買い物をしていたときのことです。
歩行者天国になっている道路は、ヒトでいっぱい。
一歩、お店へ入ると、そこもまた人でいっぱい。
どこを見ても、人・ひと・ヒト……。
私は自分の用事を済ませようと必死になって人混みをかき分けましたが、やがて、ふっと気が遠くなりそうになりました。
すれ違っていく人、一人一人には家族がいて、友達がいて、恋人や好きな人がいて、
それぞれの社会があって、人生があって、毎日色んなことを考え、感じながら生きている。
私もその中の一人なんだけど、圧倒的な人の数を見ていると、その圧力のようなものに負けて「自分」を見失ってしまいそうになるんです。
そして、今、自分がここで急に消えても、誰も驚かないんじゃないかな、気づかないんじゃないかな…とか思ってしまったりして。
まぁ、実際に消えたとしたら、一緒に買い物に付き合ってくれている相方も、そして消えた瞬間を目撃した誰かも、きっと驚くでしょう(そりゃそうだ)。
だけど、きっとそんな驚きも、あのむせかえるような人混みを前にしたら、強引に押し流されて曖昧になってしまうんじゃないかなぁ。
上手く言えないけど、虚無感……のようなものを感じてしまうのです。
そういう奇妙な感覚に襲われるため、私は人混みに紛れ込むことが苦手です。
自分を見失ってしまいそうで。
……単に私が田舎モノだからなのかもしれませんけどね(苦笑)
2000-05-01