キコエマスカ【白日夢通信より】
今から26年前に地球を旅立った宇宙探査機、ボイジャーを覚えていますか?
地球外生命体に向けたメッセージなども搭載された夢いっぱいのボイジャー・ミッションの探査機です。
その「彼」が、今月5日に太陽系の果てに近づいていると報道されました。
太陽系の端まで到達した人工物は彼が最初で、これはまさに快挙です。
でも、そのニュースを聞いた私は、いてもたってもいられなくなりました。
だって、彼はもう二度と帰ることのない故郷へメッセージを送り続けているんですよ。
「僕ハココニイルヨ。コンナ景色ガ見エルヨ」って。
なんて健気なんでしょう(T_T)
もちろん、ボイジャーは単なる機械ですし、そのようにプログラムされているわけで、こんな風に擬人化して考えるのは可笑しいかもしれません。けれど、彼が永遠の旅を続けながら、今この瞬間もメッセージを送り続けていると考えると、せつなくなってしまったのでした。
ボイジャーのメッセージは時間をかけて地球に届くし、メッセージを心待ちにしている誰かが必ずいるんですよね。それに、近い未来、漂流するだけの物体になったとしても、彼は存在そのものが「地球の夢のかたまり」だから、未知へ心を踊らせて飛び立った日のまま、未知の世界を航海していくのでしょう。期待に満ちあふれて。
そう考えると、私たちも、ボイジャーのスケールには到底かなわないけれど、ささやかな夢さえあれば、たとえ「お先まっくら!」な状況に立たされても、なんとか頑張れるのではないかしら?
……なんてことを、あのニュースを聞きながら思ったのでした。
インターネットという広大な世界に漂いながら、いつか誰かにこの声が届く日を願って、私もひそやかに囁いていこうと思います。
この気力が続く限り。
2003-11-19