Ex-diary 春来りなば9

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

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春来りなば 待ち人遠からじ [9]

2010/05/29

ブウ編後のカカベジ。空気読めない男x血圧高い乙女。



「よせ、カカロット、い…やだ…!!」
圧し掛かる男の体は重く、力は強い。おまけにオレがいくら止めるよう懇願しても耳を貸そうともしない。オレに出来る事と言ったら喉に絡まる声で相手を叱咤する事くらいで、それすらも今やカカロットを煽っているとしか思えないような淫らな喘ぎ声しか上げられなくなっている。こいつの目の前で良いように乱れさせられている事が悔しくて、懸命に歯を食いしばって声を洩らすまいと堪えても、内股を滑る奴の舌の感触が敏感な部分を掠め、卑猥な水音を立てながら執拗に梳かれる前に爪を立てられるたびに、噛みしめた唇はほどけて前より一層甘い淫らな声を上げてしまう。
「………――――っ!!」


いつもこうだ。オレはいつもこいつに翻弄される。突然現れては突然消えるこの男に、いつも翻弄され続けている。
「くそっ……カカロッ、ト、いい加減に……!」
オレが気力を振り絞ってもう一度カカロットを制止すると、それまで殆ど無言で行為に没頭していたカカロットがうるさそうに顔を上げた。
「なんだよおめえ、諦めが悪いな。ちょっとは集中しろよな」
真っ直ぐにこちらを見る奴の視線。興奮状態に陥っている事を示すように、その髪は金色になり、垂れ落ちる前髪の隙間から緑色の眼が覗く。童顔な顔立ちの中で目だけが光っているのが異様だった。元の甘い顔立ちから表情を抜き取ると、これほどまでに背筋が寒く、同時に否応無く魅了されるものになるのか。圧倒的な力にねじ伏せられ、押し入られて蹂躙される事を心の隅で望んでいる自分を感じながらも、王子としてのプライドをかき集めて懸命に言葉を続けようとする。
「カカロット……ここじゃ……イヤ、だ……」
かすれた声で訴える。下級戦士であるこいつに良い様に嬲られる事はいつまで経っても自分にとって許しがたい事だが、同時に圧倒的な生命力を全身で受け入れたいという欲望も確かに存在する。けれどここは自宅だ、いくら広大な敷地とはいえ階下では家族の気配がある。この頃すっかり地球人の貞操観念に毒されたオレには、これも許しがたい事だった。こいつに抱かれる事を望んでない訳ではないが、この場所では嫌だ!


自分の中で相反する思いがぐるぐる回る。圧し掛かる相手の体の重みを感じながら束の間思考停止に陥っていたオレの意識は、強烈な異物感によって一気に引き戻された。カカロットの指が、ずぶりと無遠慮にオレの中に突き入れられる。
「…あ、あっ…あああっ……!」
これまでよりも一層高い声を上げる事を止められない。先ほどと違い、自分の先走りですっかり濡れたそこは難なく奴の指を受け入れる。それでも拭いきれない衝撃に背を反らせ、目をきつく閉じながらシーツを握り締めて違和感に耐える。ねじ込まれた指はそのまま乱暴な手つきで抜き差しを始めた。
「…ふあ……ぁ…あァ…ッ…!!」
内壁をこする異物感に苦しさを覚えながら、同時に固い指の感触が体の奥の一部を掠めるたびに痺れるような甘い疼きが背筋を走り抜け、抜き差しされる指を浅ましく締めつけてしまう。ぐちゅぐちゅと卑猥な水音がする。もうすぐだ、もうすぐオレは陥落してしまう。


いつもこうだ。オレはいつもこいつに良い様に振り回される。オレが嫌だと言っても聞く耳を持たず、気が付けば奴の思う通りに押し切られてしまう。突然目の前に現れてオレの行動を引っかきまわしては、何の断りも無くまた突然に消える。始めはぶち殺してやりたいと思っていた下級戦士に、王子であるオレがほんの少し気を許した途端、こいつはあっさり死んでしまった。そのまま7年もの間オレの気持ちは放り出された。オレは気の遠くなるような努力を続け、七転八倒の末に漸く気持ちの整理をつけ、カカロットのいない日常を受け入れ始めようとした矢先、オレの努力を全て無駄にするかように再び奴は目の前に現れたのだ。それこそ、昨日会ったばかりとでも言うような気安さで。



「……ア……ア…っあああァァッ!!」
混沌とする意識の中でも、体は確実に反応していた。遂に臨界点に達した快楽に、自分の意思と無関係に絶叫にも似た嬌声が上がり大きく背が仰け反る。硬直する体。ぴしゃり、と生温かい液体が頬にかかる。
同時に体の奥を蹂躙していた指の感触が抜き去られる。両足首を掴まれて大きく広げられ、奴の肩に担ぎあげられる。
「………………」
いつだってこうだ。荒い息を繰り返し半ば放心しながらも、オレはまだ僅かに残っている思考の冷静な部分で考えた。いつだってオレはこいつに振り回される。突然に現れて、こちらの気を引くような事を言動を見せながら、また突然に消えてしまう。そのたびにオレは苛立ったり、落ち込んだり、喜んだり。まるっきりバカそのものだ。こんな自分を昔のオレが見たら侮蔑するに違い無い。カカロットの甘ったるい笑顔に包まれてる事を心地良く感じたり、温もりが去った事が寂しくてたまらないと感じたり、こんな下らない思いに振り回されるのも、それもこれも皆こいつのせいだ!だいたいオレが今日、こうして昼間から食事もろくに喉を通らず寝付いていたのは――――
「………――――っ!!」


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