Ex-diary 春来りなば2

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

過去ログは左下の『Ex-diary 過去ログ一覧』から読む事ができます。

春来りなば 待ち人遠からじ [2]

2010/04/08

ブウ編後のカカベジ。ベジたんが乙女です。原作ベース/甘め…なのか?ハアハア。




例によってこちらが何をしていようとお構いなく、カカロットは唐突に現れた。無気力に陥っているオレが、中でも一番会いたくない奴が自分だとは毛ほども考えていないに違いない。まったく、もしオレが今でもフリーザ軍で地上げ屋をしていたら、カカロットに『瞬間移動』なんてふざけた技を教えたヤードラット星人を真っ先に滅ぼしてやるところだ!!
「パパならあの部屋だよ」
カカロットの問いかけにあっさり答えるトランクスにもムカッ腹が立つ。キサマ、このオレを売るつもりか!!トランクス、次のトレーニングでシゴキまくってやるからな、覚悟しやがれ!!
「そっか、サンキュー、トランクス」
カカロットの明るい声が聞こえ、続いて奴の気配が部屋のすぐ外にまで来てドアノブに手を掛けた。オレは咄嗟に逃げる事も隠れる事もできず……とりあえず、寝たフリをする事に決めた。



ガチャリと戸を開けてカカロットが部屋に入ってくる。手枕でベットに横たわり、壁の方を向いて布団を深く被る(敵に『背』を向けるなど、本当なら誇り高きサイヤ人の王子である俺様の主義に反するが、今回は緊急事態だ、止むを得ないだろう)。
「ようベジータ、調子はどうだ?」
これが良さそうに見えるかくそったれ。奴に背中を向けたまま、心の中で呟いた。オレが返事をしなくても、カカロットは気にする様子も無く勝手にしゃべり続ける。
「おめえが病気だっていうからさ、お見舞い持ってきてやったぞ」
『見舞いの品』だと?―――カカロットの奴、オレの事を心配して……いや、いやいやいや!!そんなはずは無え!!『見舞いの品』とか抜かしやがって、どうせロクなもんじゃねえだろ!!(オレの鼓動が一瞬早くなったように感じたが、多分それは気のせいだ)



「ほら、アイスだ。食うか?」
背後でガサガサとビニール袋の中身を探る音がして、それから微かに冷たい空気と甘い匂いを感じだ。カカロットが、手に携えてきた袋からソレを取り出して嬉しそうに話しかけてくる。
「おめえ、確か好きだったよな」
アイス……アイスって、地球人の菓子、『アイスクリーム』の事か?!何という事だ、オレ様の大好物……いや、いやいやいや!!違う、違うぞ、断じて違う!冷酷で残忍なベジータ様が、甘ったるいアイスなんぞ食う訳が無い!!第一この寒いのにアイスとは聞いて呆れる、もっと気のきいたもの持ってきやがれ!!(本当は『今日は季節外れの汗ばむほどの陽気なので、冷たいものが食いたかったところだ』など考えていたという事は、忘れる事にする。)



「あれ、なんだおめえ食欲ねえんか?」
この段階になって、カカロットはオレが無言のままでいるという事にようやく気が付いたらしい。
「…………」
「おーい、ベジータ、おめえ寝てるんか?」
「…………」
「なんだ、寝てるんだな」
「…………」
「うーん、仕方無えなぁ」
手近な椅子を手繰り寄せ、カカロットがどかり、と腰掛ける音がした。
「溶けちまったら勿体無えからな、アイスはオラが食うとすっか」
!!!!!何だとぉ?!!!!!


掴みだしたアイスの容器をカカロットが手にする音、それから蓋を開ける音がした。オレはこらえた。こらえた。こらえようとして……こらえきれなかった。
「ちょっと待てカカロット!!それはオレの見舞いの品だろうが!!キサマが勝手に食うんじゃねえ!!」
「………。何だ、ベジータ、おめえ起きてるんじゃねえか」
突然、布団を跳ね除けてベットの上に仁王立ちになったオレを、カカロットがきょとんとした顔で見る。し、しまった、つい咄嗟に……!だが後悔するには、もう既に遅かった。


|1|2|3|4|5|6|7|8|9|10|11|12|13|14|15|16|17|18|