Ex-diary 春来りなば13

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

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春来りなば 待ち人遠からじ [13]

2010/06/29

ブウ編後のカカベジ。空気読めない男x血圧高い乙女。


「はっ離しやがれってんだ!このバカ、くそったれ!デカチン野郎!!」
素っ裸で抱き上げられるという体勢のあまりの恥ずかしさに、オレは体中から火が出る程の恥ずかしさを覚えながらメッチャクチャに暴れまくった。けれど腹立たしい事に、力の抜け切った今のオレでは、奴にほんの少しのダメージも与えられない。
「分かってるって、ほんのちょっとの辛抱だから待ってろよ」
『分かってる』って何をだ!そう聞きかえそうとカカロットを見上げたオレは、目にした光景にぎょっとした。奴は額に人差し指と中指を当て、集中するようなそぶりを見せている。ものすごく嫌な予感がする。……まさかと思うが、カカロットの奴は瞬間移動しようというんじゃないだろうな?
「えーっと、誰のところにすっかな……こいつの気は小さすぎるな……」
……ちょっと待て!!
……まさかと思うが『誰か知ってる奴』の気を探ってるんじゃないだろうな?!『二人そろって素っ裸』で瞬間移動しようって言うんじゃないだろうな?!


「――よし、こいつのところがいいかな」
!!!!『まさか』じゃなかった!!!!カカロットの言葉を聞いた瞬間目の前が真っ暗になった。悪い予感ほど良く当たるのは何故だ?!
「うわああああっ!!カカロット、よせ、止めろ、移動するな!!!」
抱きかかえられたまま、オレは半狂乱になって暴れたが、ほとんど片手でオレを支えているはずのカカロットの腕は、怯むどころかびくともしない。
「何だよ、ここじゃ嫌だって言ったり移動するなって言ったり、ホントにワガママだなおめえは。よし、行くぞ」
「『よし』じゃねえええええっ!!!!!」
目の前でカカロットの姿がかき消え、周りの光景が真っ白く燃え上がった。色が、音が、急速に遠ざかる。続いてオレの体は果ても無く細かな微粒子に分裂して遥か遠くへ運ばれるのを感じた。……素っ裸のまま。

\(^o^)/


……もうだめだ、オレの地球生活は終わった……
どこまでも飛翔する光の間道を抜けながら、オレは次に実体化した時目にする光景に備えた。
『きゃああっホモの変態よっ!!』
『うわあっ何やってんだよお前ら!?』
…往来のど真ん中で素っ裸で降り立つ自分…逃げ惑う奴…笑い転げる奴…硬直する奴。様々な地球人の反応と見知った顔を思い浮かべる…終わった…オレの地球生活もここまでだ…グッパイ俺の人生、あばよ地球…まあまあの星だったぜ…
光の間道が終息する場所に引きつけられ、軽いめまいと共に光が消え失せると感覚が戻ってきた。相変わらずカカロットの腕に抱きとめられる感覚。奴の声がする。
「おめえの言うとおり移動してやったぞベジータ」
何が『移動してやった』だ、くそったれ。キサマはどうしてそうオレの癇に障ることばっかりしやがるんだ…そう罵倒してやろうとして、出来なかった。すっかり放心し切ったオレは、もう声を出す気力も無かった。目を固く閉じてカカロットの胸にしがみついている事が精いっぱいだった。



「ここならいいんだろ?」
再び奴の声がする。もうこうなったら観念するしかない。どこのどいつの前に移動したかは知らんが、オレは誇り高きサイヤ人の王子だ、もう逃げも隠れもせんぞ…。オレは覚悟を決め、しかしこわごわと目を開いた。


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