Ex-diary 春来りなば3

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

過去ログは左下の『Ex-diary 過去ログ一覧』から読む事ができます。

春来りなば 待ち人遠からじ [3]

2010/04/18

ブウ編後のカカベジ。ベジたんが乙女です。原作ベース/甘め…なのか?ハアハア。




ベッドの上に突然立ちあがったオレを、カカロットは少しの間驚いた顔で眺めていた。しかし、すぐにまた破顔した。
「ちょうど今からアイス食うところだったんだ、ベジータ、おめえも食うか?」
そう言って携えたビニール袋をぶらぶら振って見せる。
「何が『お前も食うか』だ、もとからそれはオレへの見舞いの品だろうが!!」
「あ、そういやそうだな、悪ぃ悪ぃ」
頭をかきながらあははと笑う能天気な顔を見ていたら、オレは先ほどまでの憂鬱な気分から一転ムカムカして、奴をぶん殴ってやりたくなった。(もっともそんな事をすれば返り討ちにあう事は目に見えているが、オレは負けん、負けんぞ!今はほんのちょっとだけカカロットの方が力が上だが、ほんのちょっとだけだ!!)キサマ、一体誰のせいでオレがこんなに気分が悪くなったと思ってやがる!!


「オラ、おめえがてっきり寝てるのかと思ってさ、待ってる間にアイスが溶けちまったら勿体無えから食おうと思ってたんだ」
「バカかキサマは!!そんなもの、ブルマにでも言付けて冷蔵庫に入れておけばいいだろうが!」
「あ、そうか。ベジータ、おめえ頭良いなぁ」
「~~~~~~~~っ!!!」
眉間のシワがぐぐっと深くなるのが自分でも分かった。コイツに褒められると、逆にバカにされているように感じるのはなぜだ!!何でオレは、こんな奴をいつまで経っても超えられないんだ、怒りで無意識に超化しちまいそうだぜ!まったく、こいつときたら、食いたくなったら食う、寝たければ寝る。来たくなったらこちらの都合も考えず他人の家に土足で踏み込み、渡せなかった見舞いの品を食おうとする。こいつの思考は一体どうなってやがる!!こんな奴だからオレはカカロットの事が……!!


「まあいいや、もう蓋も開けちまったしな、せっかくのおめえへの『見舞いの品』だ」
どんな罵声を吐いてやろうか素早く頭を巡らせている最中、先に口を開いたのはカカロットの方だった。それも、いつも通りののんびりした口調で。
「食えよ、ベジータ。おめえも食いたいんだろう?アイス」
「………」
「今日は天気も良いし、あったけえからなぁ。きっと旨えぞ」
「………」
「な?」
にこにこ笑っているヤツの顔を見ながら、オレは黙り込んだ。怒鳴ろうとしていた勢いをすっかり削がれた感じだ。いつもこうだ、こいつといるとどうにも調子が狂うというか、面食らう。カカロットは間違いなく闘いの天才だが、戦闘に明け暮れていないときのコイツは実にのんびりとしたものだ。戦闘以外でオレとコイツが二人きりになる時(滅多に無い事だが)、始めはオレが一方的に殺気を発していても、カカロットは常にのんびりとした自分のペースを崩さない。そのうちオレはピリピリした緊張を保ち続ける事に疲れてくる。あくびをしたり昼寝をする奴をチラチラ見るうちに、ほんのちょっとした好奇心が湧いてくる。それはたちまち大きくなり、オレの方から奴に近づいたところを、いつの間にか隣りに来ていたカカロットの懐深くに捕えられる。それは見事に、オレが捕えられた事にも気が付かない程の自然さで(やっぱり奴は天才だ)。いつの間にか、オレは強い腕に包まれる感触を心地良いと感じ始めて、その甘ったるい笑顔を見ているうちにオレはカカロットの事が……



そんな事を思いながら、気が付くとオレはベッドの上に座り込み、甘ったるい笑顔でこちらを見てくるカカロットと目線が同じ高さになっていた。そして目の前に、にゅっと何かが突き出される。
「ほらベジータ、『あーん』しろ、『あーん』」
………『あーん』??『あーん』とは何だ???
怪訝に思うオレの目の前に突き出されたもの。――それはバニラアイスクリームを一さじすくい取ったスプーンだった―ー。


「ほら早く口開けろよベジータ、ホントにアイスが溶けちまうだろ」
面食らったオレを見ながら、カカロットが不満そうな声を上げる。それは、その…まるで、ブルマが聞き分けのないトランクスに言って聞かせる時のような……。
「ちょっと待てカカロット……」
「ん、何だ?」
「キサマ、そいつでオレにアイスを食わすつもりか!?」
「ああ、そうだぞ」
さも当たり前の事のように答えるカカロットに、オレは頭がくらくらした。同時に、先ほど怒鳴りそびれた言葉が再びむくむく湧いて出てくる。


「何でオレがキサマにアイスを食わせてもらわねばならんのだ!」
「だっておめえ病人なんだろ?」
今度こそ怒鳴り散らすオレを見ながら、カカロットが再び不満そうな声を上げる。何でそんな分かり切った事を聞くのかとでも言うように。
「そんな必要あるかくそったれ!!」
「アイスのさじ、1個しか無えんだよな」
「ならそれをオレに寄こせ!!」
「うーん、けどよぅ」
眉を寄せ、聞き分けの無い子供に大人が言って聞かせるような顔をしながら、カカロットはこう言った。


「おめえに、さじ渡したらオラがアイス食えねえじゃねえか」
「キサマ、『見舞いの品』の意味が本当に分かってるのか?!」

|1|2|3|4|5|6|7|8|9|10|11|12|13|14|15|16|17|18|