Ex-diary 春来りなば10

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

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春来りなば 待ち人遠からじ [10]

2010/06/05

ブウ編後のカカベジ。空気読めない男x血圧高い乙女。



息を飲んだ。喉を反らせ、口を開き、言葉を発しようとするのを、あらぬ箇所に感じる熱に妨げられる。
カカロットの前立てが寛げられ、掴みだされた屹立が押し当てられる。狭い狭間に押し付けられる、その切っ先の熱さと質量に恐怖が走る。
「い…や、やだ……や……カカ……ぁ……」
言葉を発しようとしても、先ほどの解放の余韻の中では整わない呼吸で息をするのが精いっぱいで、上手くいかない。ぐったりと力の抜けた体でずりあがって逃げようとするのを、腰を掴まれて引き戻される。その力の強さ。絶対に逃げられない。
「…い、やだ……」
自分の口から発せられているとは絶対思いたくない、弱弱しい懇願。両足をはしたなく大きく広げさせられ、奴の胴を深く挟み込まされる。オレはこいつから絶対に逃れられない。どんなひどい仕打ちをされようとも。
「……や……」

まるで太陽だ、と誰かが言った。カカロットは太陽なのだと。あまねく全てを照らし出す。気まぐれに温かな日差しを投げかけては、その温もりに誰もが魅了される。その姿を隠せば、世界は闇に包まれて皆嘆き悲しむ。生きるもの全てにとって欠かす事の出来ない存在。けれどその本質は途方も無いエネルギーの塊だ。迂闊に見れば目を焼かれ、近づけば骨まで焼き尽くされる。
本当に悔しい事だが、今のオレには奴に勝てない。圧倒的な力を持つ奴の前で一糸纏わぬ姿にされ、無防備な個所を曝け出され、受け入れさせられる。最早今のオレにできる事といえば弱々しい声を上げる事くらいだ。今に身の内を襲うだろう衝撃と痛みに備えて、きつく目を閉じ顔をそむける。結局こいつはこういう奴だ。自分の興味のあるものにしか興味が無い、オレの言う事になんか耳も貸さない。悔しいが怖くて怖くて、体が細かく震えるのを止められない。


「……ベジータ……」
オレの名を呼ぶカカロットの声が耳に届く。…何だ?その声に、オレはふと目蓋をきつく閉じる力を緩めた。カカロットの声は先程までの、常より数段低い声では無かった。やや高めで甘ったるい普段のカカロットの声だ。思わず目を開けて背けていた顔を上げると、目の前にカカロットの顔が見えた。先ほどまでの輝く金色の髪に冷たく光る緑の目では無い、黒い髪、黒い瞳。普段通りのカカロットの姿がそこにあった。
「……なあ、ベジータ」
深く体を重ねあわせながら、カカロットが眉をややひそめて、心配そうな声で聞いてくる。
「そんなに怖え?」
気遣わしげな奴の声。先ほどまで人の言葉に一切耳を貸さず、思う様こちらを嬲っていた奴と同一人物とはとても思えない。そのあまりの落差にオレは気を削がれて、同時に少しばかり気が楽になった。
「だっ誰がだ!!このオレ様が怖いわけが……!!」
天賦の負けず嫌いが戻ってオレが抗議の声を上げるのを、カカロットの言葉が再び遮る。
「だっておめえ、すっげえ震えてる……」
固い指先が肩の稜線をめぐる感触。それこそ、震えが走るようなひどく優しい手つきで。
「悪ぃ、おめえ調子悪かったんだよな。オラ、すっかり忘れちまってた。すまねえ、ベジータ」
大きな手のひらに頬を包まれる。その親指に目じりを拭われて、オレは自分が我知らず涙を流していた事を知った。奴の前で迂闊にも泣いてしまった事に、気恥かしくてかあっと顔が熱くなる。
「べっ、別に!調子が悪いと言ってもだな!オレはキサマのような下級戦士と違って……」
「なあベジータ」
気恥かしさをごまかすために声を上げようとするオレを、カカロットがひどく真面目くさった顔で覗きこんでくる。
「オラ、おめえに無理させたくねえ。もしどうしてもおめえが今日はしたくねえって言うなら今日はもうやらねえ」
『やらねえ』、なんて言いながらもオレの内股にはヤツの昂ぶりが、どくどくと脈打ちながらヤケドをしそうな熱さをもって押し付けられている。途中でやめたとして、コイツはどうするつもりなんだ。
「すぐに気付けてやれなくて悪かったな、ベジータ」
心配そうな顔でこちらを覗きこまれ、優しい手つきで頬を撫でられる。それから、触れるだけの口付けが額に一つ落とされる。


―――どく、と鼓動が大きく跳ね上がる。
ああ、だめだ。またオレはコイツに振り回される。散々良い様に弄ばれて、もう嫌だ、うんざりだと思った瞬間、こいつの見せる優しさに、甘い笑顔にどうしようもなくまた魅せられる。今、オレを気遣うヤツの視線に嘘偽りは無かった。
だめだ、こんな事は。コイツの思う壺じゃないか、こんな田舎芝居に引っかかるほど(…最もカカロットの場合は芝居ではなく本心からの行動だから余計に始末が悪い…)オレは単純な奴じゃないはずだ!それでも……。
カカロットの黒い瞳がこちらをじっと覗きこんでくる。ドキドキと胸の高鳴りを感じる。……同時に、自分の奥がヤツを求めてひくり、と震えるのを感じる。


「なあベジータ、どうする?」



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