Ex-diary 春来りなば17

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

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春来りなば 待ち人遠からじ [17]

2010/07/30

ブウ編後のカカベジ。空気読めない男x血圧高い乙女。



「よし、着いたぞ」
一瞬のうちに微粒子となって拡散した景色が再び集束する。カカロットの瞬間移動によってオレは元通り、オレの部屋に運ばれていた。不本意ながらカカロットの腕に抱き上げられていたオレの体が、そのまま床の上に下ろされる。まったくひどり有様だった。いつも皺一つなくきっちり整えられた寝台のシーツがくしゃくしゃに乱れ、床には脱ぎ散らした二人分の服と下着が落ちている。確かにひどい有様だ。でももっとひどいのはオレ自身の方だった。
素っ裸のまま地面の上でカカロットともつれ合っていたのだ、体はあちこち泥だらけ、髪には草が絡まり、いつの間についたのか引っかき傷も何か所かあった。おまけに腹や胸には……その、何だ、カカロットとオレの体液がベットリついていて、それが汗と混じり合ってベトつき気分が悪いといったら無い。一刻も早く風呂に入りたい。


「あ~あ、すっかり汚れちまったなあ。……なあベジータ、おめえんとこの風呂借りてもいいか?」
床に散らばった服を拾い集めながら、カカロットも同じ事を思ったらしい。オレの服を投げて寄こし(膝を立てて座るオレの膝の上にバサリと落ちた)ながら、相変わらずずうずうしい事を口にする。
「ふっふざけるな!!」
誰のせいで汚れたと思ってやがる、キサマが外なんかに連れ出したからだろうが!!第一半裸の男に家の中をウロウロされてたまるか!ここには年頃の娘・ブラだっているんだぞ?!
「何が風呂だ、キサマに風呂なんて勿体無え、水が欲しけりゃ川か道端の水たまりでも使いやがれ!!」
「そっか、じゃあ仕方ねえな。そうするか」
…ある程度予想はしていたが、オレの精一杯のイヤミは、こいつにはまったく通じなかった。カカロットは平然とした様子で、泥に汚れた体に衣服をおざなりに身に付けていく。
「…………」
むき出しだった逞しい体が再び衣服に覆われていくのを見ると変な気分になる。……あの体に……オレはさっきまで散々……
「…………!!」
余計な事を考えそうになって、慌ててオレは奴から目を反らした。


「でも良かったなベジータ」
帯を仮結びしてから青いTシャツを手にしたカカロットが振り返る。
「おめえ、すっかり体調が良くなったみてえだな。やっぱせっかく春なんだからな、おめえも重力室ばっかに閉じこもってねえでちょっとは外に出た方がいいぞ」
カカロットの大きな手のひらが頬に添えられて、そこでオレは気がついた。確かに、今のオレは泥やその他のもので汚れてはいるものの、心身共にスッキリしていた。確かに奴の言うとおりだ。けれどオレはそこでもう一つの事実をはっきりと思い出す事ができた。
何でオレが寝込んでいたのか。もとはと言えばカカロット、キサマが――



「…おい、カカロット…」
「ん?」
邪気の無い顔でオレを見るカカロットに、またムカムカと腹が立ってくる。元はと言えばカカロット、キサマが全部悪いんだ!!
「キサマ、この前確かオレに向かって『お前とはもう二度と会わん』と言いやがったな!!どのツラ下げてのこのこオレの前に現れやがった!!」
怒りの言葉と共にオレが指を突き付けると、カカロットはきょとんとした顔で目を瞬いた。
「――へ?言ったっけそんな事」
「何が『言ったっけ』だ、忘れたとは言わさんぞ!」
「んー?」
本当に身に覚えがない、といった様子でカカロットは首をひねり、直後に、あっと何かを思い出した顔をする。
「あーそうだったな、言った言った!」
あはは、と呑気に笑うカカロットにむかっ腹が立つ。何があはは、だ!!

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