Ex-diary 春来りなば14

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

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春来りなば 待ち人遠からじ [14]

2010/06/30

ブウ編後のカカベジ。空気読めない男x血圧高い乙女。




「………―――!!」
目にした光景に、再び驚く。てっきり、地球人どもがこちらを茫然と見守っているかと思ったが、予想に反して辺りには人っ子一人存在しなかった。気を探ってみても近くに地球人の気配はまったく感じられない。目に映るのは建造物の柱のように幾ばくかの距離を置きながら並んだ樹木の幹ばかりだ。頭上はみっしりと葉を茂らせた枝が、もつれ合って屋根のように覆っている。オレたちは茫然と深い森林地帯に立っていた。


「……どこだここは」
「ああ、昨日おめえと修行した岩場の近くだ。こんな森があるって知ってたか?」
「……誰もいねえ」
「これなら文句ねえだろ?」
未だぼうっとしながら口にするオレの質問に答えながら、カカロットが疎らな下草の上に腰を下ろす。相変わらずオレを抱き抱えたまま。…先程までの緊張が解けてオレは、カカロットの膝の上に乗せられながら、ぐたりと奴の胸にもたれ込んだ。良かった、『誰かの前に素っ裸で出現する』するという最悪の事態は回避できたらしいな…。安堵の息を吐きだすと、今度は新たな疑問が湧いてくる。
「…ちょっと待てカカロット」
「ん?何だ」
「キサマの瞬間移動は『知ってる奴のいない場所には行けない』じゃなかったのか…」
「何で誰もいない場所に瞬間移動できたかって事か?ああ、こいつの気を読んだんだ」
そう言ってカカロットは少し得意げに自分の背後を指差すと、そこには大人の二抱えはありそうな巨木が、悠然とたたずんでいる。
「木や水でも気があるからな。他の奴じゃ小さすぎるけど、これくらいでけえ木なら多少分かりやすいんだ」
…なるほど。『木』の『気』を読んだワケか…(シャレじゃねえか)…


カカロットの言葉にうなずきながら、オレはもう一度自分の状況を確認した。森林地帯に瞬間移動…地球人どもの前に素っ裸で出現するという最悪の事態は避けられた…けれど相変わらずオレ達二人揃って素っ裸である事に代わりはねえ…。そこまで考えて、ついでにオレはもう一つの疑問を口にする事にした。
「おいカカロット、オレ達の服はどうした」
「へ?服?」
見上げる先で、カカロットが首を傾げ、少し考え込むそぶりを見せる。それから頭を掻いてあははと笑い始めた。
「『服』なんておめえの部屋に置いてきちまったぞ」
「……なんだと?!」
奴の返答に再びオレは息を飲んだ。汗が再び額を伝う。ま、まさか…
「置いてきたって…ひょ、ひょっとして全部、か?!」
「ああ、全部だ。だって必要ねえだろ?」
「なんだとぉおおおっ?!」

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