Ex-diary 春来りなば8

Extra diary

小ネタ置場。

破壊王子。輪っかベジたん。ちょっとした連載小説から日記での小ネタログ、その他分類不能な文章置き場です。連載小説はカカベジ/くだらないギャグ系中心。飽きたorくだらなすぎて耐えられなくなったらさっさと辞めてしまうであろう、極めていい加減企画です、ご了承ください(゚Д゚;)ハアハア

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春来りなば 待ち人遠からじ [8]

2010/05/21

ブウ編後のカカベジ。空気読めない男x血圧高い乙女。



目の前のカカロットからは、先ほどまでの甘い笑顔が嘘のように消え失せていた。代わりに写るのは獰猛な同族の表情。獲物を狩る獣。鋭さを増す顔の中で緑色の目がぎらぎらと輝き、オレの背筋を冷たくする。鼻先に感じるのは濃厚な木々と緑の匂い。今を盛りと伸びる新緑は、山を豊かにし人の目を楽しませるが、地中に深く張り巡らされた強い根は恐るべき力を持っていて、ふとした雨で山を瓦解させ、土砂で人を襲う。
「いや、いやだ…」
必死で頭を振り、ヘッドボードに向かってずり上がろうとしても、太い腕に易々と腰を掴まれて引き戻され、一層深くその腕の中に閉じ込められてしまう。
「…ん…っあ…やっ…」
自分の口から洩らされたものだとは到底思いたくない、あまりにも弱弱しい拒否の声。情けなくて喉を掻き切りたくなる。その声に呼応するように、舐め上げる舌の動きが増し、滑る感触が敏感な胸の先をつつき、こね回す。
「いやだ…いや、止め……」
一向に聞き入れられる事は無いと分かっていても、拒否の声を上げ続けた。いやだ、こんな場所でこんな行為に及ぶのは……!


コイツに抱かれる事自体は、不本意ながら嫌じゃない。月光に興奮したカカロットに初めて組み敷かれて以来、オレ達は幾度となく体を重ねてきた。始めこそオレは死に物狂いで抵抗したが(こいつの力には決して敵わない事は分かっていても、だ)…今では形ばかりの拒絶はするものの、この行為自体は嫌いで無くなってきている。同性の、しかも下級戦士のカカロットに良いように翻弄されるのは今でも納得がいかないが、それでも行為に及ぶ時に味わう感覚…途方も無い愉悦・興奮・快楽。どれも同族である純血のサイヤ人相手でなけば決して味わえない。
――それに何よりも。相手がコイツだから、カカロットだから。


意識を反らしてしまったのは我ながら不覚だった。オレの抵抗の手が止まった瞬間を見計らってズボンも下着も乱暴な手つきで一気に引き下ろされてしまう。
「よせっ……や、やぁあっ!」
身じろぐ間も無くむき出しの足は膝裏を掴まれ、大きく割り開かされてしまう。
「や…っ…見る、な…あ…っ…」
日に晒される事の無い体の隅々まで奴の目の前に曝け出される。既に兆し始めている前も、自分の意思に反してこれからの行為にひくつき始めている奥まった場所も。羞恥に目をきつく閉じ顔をそむけると、体に力が入ってその箇所がきゅっと締まるのが分かった。目を閉じていても、緑色に輝くやつの視線がねっとりと注がれているのが分かる。
「まったくおめえは素直じゃねえなあ。『嫌だ嫌だ』って、おめえのココはすげえ欲しいって言ってるぞ?」
日ごろのカカロットよりも数段低い声が耳に届き、窄まりをするり、と指で撫でられた。
「あ、ひ…あ、あぁっ…!」
生々しい感触に悲鳴じみた声を上げると、固い指先が窄まりの中にこじ入れられられ、異物感に身が引き攣る。
「やだ、やっ…カカ…っ…痛い……!」
まだ慣らされていないそこに乾いた指先が潜り込まされる感覚に泣き声を上げると、今度は大きな手のひらに兆し始めた前をすっぽりと包まれ、いたわる様にゆるやかに揉みしだかれる。
「……っ…ふ、ぁ……」
抑揚をつけて梳かれ、一転して自分の声は溜息のように甘い声になる。逃げを打っていた体には、もはや力が入らなくなり、しどけなく奴の前に晒される。奴の体を割り込まされた内股に、足の付け根のきわどいところに口付けられ、緩やかに唇を滑らされ、時々軽く歯を立てられる。
「……ん……あ……」
切れ切れに上がる自分の嬌声に、耳をふさぎたくても、体に力が入らず手を持ちあげる事もできない。


コイツに抱かれる事は嫌いじゃない。強い腕に包まれてその胸に縋りつく時。重ね合った肌越しにやつの鼓動を、肌の熱さを、汗の湿り気を感じる時。時に乱暴に、時にひどく優しく愛撫を身に受ける時。そしてやつの昂ぶりを受け入れて、苦痛と快楽に悲鳴を上げながら強くやつに抱きしめられる時。感じるのは苦痛と快楽と、それを遥かに凌駕する幸福感。普段の呑気な表情とも、戦闘時の獰猛な表情とも違う、余裕の無いカカロットの顔を見ながら、自分も貪欲にもっと強く、もっと深くと強請る。その瞬間感じるのは間違いなく幸福感だ。カカロット相手でなければ決して味わう事の出来ない、めくるめく恍惚と快楽。


「……い、やだ…・・」
『嫌いだ、欲しくない』と言えば嘘になる。それでもオレは拒絶の声を上げ続けた。
見慣れた天井、壁紙、いつも身を横たえて眠るベッド。ここは自室だ。そして階下には家族が平和な時を過ごしているはずだ。コイツに抱かれる時は決まって荒野のただ中や山中、全て外だ。それはオレ達の中での不文律であり、オレ自身の最後の一線ともなっていた。エリートとしてのプライドをかなぐり捨てて下級戦士のカカロットを欲しいと認めながら、家族にだけは、自分のこんな姿を見られたくないと思った。
どこまでも自分のペースを崩さず、それでいて圧倒的な強さを見せるカカロットに翻弄されながらオレは拒否の声を上げ続けた。いやだ、こんな場所で抱かれるのは!けれどカカロットは、オレの言葉に一向に耳を貸す様子は無い。




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